(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5710060
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】テーブルサンゴ複製物の製造法及びテーブルサンゴ複製物
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
A01K63/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-219202(P2014-219202)
(22)【出願日】2014年10月28日
(62)【分割の表示】特願2014-116300(P2014-116300)の分割
【原出願日】2014年3月31日
【審査請求日】2014年10月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590004291
【氏名又は名称】株式会社鬼工房
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 四郎
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−112048(JP,A)
【文献】
特開平2−135033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/00
A01K 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルサンゴ原型の裏面側を上側として平行状に設置し、
その上面側に裏面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、
前記シリコン樹脂と前記石膏とで裏面側型を構成し、
上下逆にして、その上から表面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とで表面側型を構成し、
次いで、前記テーブルサンゴ原型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂をそれぞれ剥がして、
前記裏面側型及び前記表面側型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂に対して、表面軟質ウレタン及び裏面軟質ウレタンの混合液を流し込み、その後に、少なくとも前記表面側型の表面側シリコン樹脂及び表面軟質ウレタンの混合液を真空装置に入れて脱泡作業を施し、そして、前記裏面側型と前記表面側型とを対向させてこの隙間内に内部用軟質ウレタンの混合液を流し込み、テーブルサンゴ複製物を製造することを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法。
【請求項2】
テーブルサンゴ原型の表面側を上側として平行状に設置し、
その上から表面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とで表面側型を構成し、
上下逆にして、その上面側に裏面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とで裏面側型を構成し、
次いで、前記テーブルサンゴ原型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂をそれぞれ剥がして、
前記裏面側型及び前記表面側型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂に対して、表面軟質ウレタン及び裏面軟質ウレタンの混合液を流し込み、その後に、少なくとも前記表面側型の表面側シリコン樹脂及び表面軟質ウレタンの混合液を真空装置に入れて脱泡作業を施し、そして、前記裏面側型と前記表面側型とを対向させてこの隙間内に内部用軟質ウレタンの混合液を流し込み、テーブルサンゴ複製物を製造することを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記裏面側型と前記表面側型とを凹凸部を介して対向して接合可能としてなることを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項の記載において、前記裏面側シリコン樹脂と前記石膏とを、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とを、それぞれ固形シリコン片を介して接合可能としてなる裏面側型と表面側型とを構成してなることを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項の記載におけるテーブルサンゴ複製物の製造法にて製造されたことを特徴とするテーブルサンゴ複製物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形型にて製造するのに、本物のテーブルサンゴにかなり近似したテーブルサンゴ複製物を製造することができるテーブルサンゴ複製物の製造法及びテーブルサンゴ複製物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より珊瑚には、天然珊瑚は、存在しているが、近年は、環境保護の見地より、天然珊瑚の捕獲は禁止されている。しかるに、水族館、動物園等では、海洋動物及び魚等を多くを展示しているのが現状である。この場合に、そのテーブルサンゴ複製の需要は、全国的にある。ここで、テーブルサンゴは、テーブル状サンゴの総称であり、円盤状で短い柄に一体化している。
【0003】
また、従来技術としては、特許文献1は、天然珊瑚又はレプリカ珊瑚を混在した珊瑚礁又は珊瑚礁の造成法として権利化されているが、その珊瑚の内の特定の種類のものを、工業的に如何に製造するかの特許は存在していない。
【0004】
また、特許文献2では、サンゴ礁の造園方法も存在しているが、特に、サンゴ礁を回復させて海中の環境を改善する方法に関する技術である。ところで、水族館等で、特に需要が多いのは、テーブルサンゴであるが、このテーブルサンゴを天然物ではなく、工業的に、型などで、成形することは極めて困難であった。
【0005】
製造しにくい理由は、そのテーブルサンゴの構造から、型から抜けないというのが最大の問題があった。具体的には、テーブルサンゴの上面側に多数の突起状部が放射状に群生しており、これを一般の型では抜くことができないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−112048号公報
【特許文献2】特開平2−135033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、テーブルサンゴ複製物を製造する要望は存在していた。このため、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、良好なテーブルサンゴ複製物を製造することを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、テーブルサンゴ原型の裏面側を上側として平行状に設置し、その上面側に裏面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記シリコン樹脂と前記石膏とで裏面側型を構成し、上下逆にして、その上から表面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とで表面側型を構成し、次いで、前記テーブルサンゴ原型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂をそれぞれ剥がして、前記裏面側型及び前記表面側型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂に対して、表面軟質ウレタン及び裏面軟質ウレタンの混合液を流し込み、その後に、少なくとも前記表面側型の表面側シリコン樹脂及び表面軟質ウレタンの混合液を真空装置に入れて脱泡作業を施し、そして、前記裏面側型と前記表面側型とを対向させてこの隙間内に内部用軟質ウレタンの混合液を流し込み、テーブルサンゴ複製物を製造することを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法としたことにより、前記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、テーブルサンゴ原型の表面側を上側として平行状に設置し、その上から表面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とで表面側型を構成し、上下逆にして、その上面側に裏面側シリコン樹脂の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させ、さらに、その上に石膏の水溶液を充填して適宜硬化させて、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とで裏面側型を構成し、次いで、前記テーブルサンゴ原型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂をそれぞれ剥がして、前記裏面側型及び前記表面側型の裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂に対して、表面軟質ウレタン及び裏面軟質ウレタンの混合液を流し込み、その後に、少なくとも前記表面側型の表面側シリコン樹脂及び表面軟質ウレタンの混合液を真空装置に入れて脱泡作業を施し、そして、前記裏面側型と前記表面側型とを対向させてこの隙間内に内部用軟質ウレタンの混合液を流し込み、テーブルサンゴ複製物を製造することを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法としたことにより、前記課題を解決した。
【0010】
請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記裏面側型と前記表面側型とを凹凸部を介して対向して接合可能としてなることを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法としたことにより、前記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項の記載において、前記裏面側シリコン樹脂と前記石膏とを、前記表面側シリコン樹脂と前記石膏とを、それぞれ固形シリコン片を介して接合可能としてなる裏面側型と表面側型とを構成してなることを特徴とするテーブルサンゴ複製物の製造法としたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、
請求項1,2,3又は4の何れか1項の記載におけるテーブルサンゴ複製物の製造法にて製造されたことを特徴とするテーブルサンゴ複製物としたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明においては、裏面側シリコン樹脂及び表面側シリコン樹脂と補強用の石膏とで、多数の突起状部が存在するサンゴの複製物を製造できる。特に、真空装置による脱泡作業にて、良好なテーブルサンゴ複製物を製造できる。さらに、請求項2の発明においては、請求項1と同様の効果を奏する。
【0012】
請求項3の発明においては、裏面側型と表面側型とを凹凸部を介して対向して接合可能としたことで、相互の型が正確な位置決めができ、より整然としたテーブルサンゴ複製物を製造できる。さらに、型相互の耐久性等の増加できる。請求項4の発明でも、裏面側型又は表面側型自体の型としても、正確な位置決めができ、より整然としたテーブルサンゴ複製物を製造できる利点がある。また、請求項5の発明では、良好なテーブルサンゴ複製物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)はテーブルサンゴ原型を簡易台座上に載置せんとする状態図、(B)はテーブルサンゴ原型を簡易台座上に載置した状態図、(C)はテーブルサンゴ原型上に裏面側シリコン樹脂の混合液を充填している状態図である。
【
図2】(A)はブロック状の固形シリコン片を裏面側シリコン樹脂上を載置せんとする状態図、(B)は固形シリコン片を裏面側シリコン樹脂上を載置して埋め込み状にした状態図、(C)は裏面側シリコン樹脂上に石膏溶液を充填している状態図である。
【
図3】(A)は裏面側シリコン樹脂上に石膏溶液面を平坦にしつつ硬化させている状態図、(B)はその硬化状態のテーブルサンゴ原型のものを持ち上げた状態図、(C)は(B)のものを反転させて簡易台座上に載置した状態図である。
【
図4】(A)はテーブルサンゴ原型の表側の突起状部の相互間に薄板片を跨がせて多数セットする状態図、(B)は突起状部の相互間に薄板片を跨がせて多数セットした一部平面図、(C)は突起状部の相互間に薄板片を跨がせている状態図、(D)は表面側シリコン樹脂を剥がした直後に凹凸部が逆となって図である。
【
図5】(A)はテーブルサンゴ原型の表側に表面側シリコン樹脂を注入している状態図、(B)はブロック状の固形シリコン片を表面側シリコン樹脂上に載置せんとする状態図である。
【
図6】(A)は表面側シリコン樹脂上に石膏溶液を充填している状態図、(B)は表面側シリコン樹脂上に充填した石膏溶液面を平坦にしつつ硬化させている状態図である。
【
図7】(A)はテーブルサンゴ原型及び表裏面の型材を合わせた状態図、(B)はテーブルサンゴ原型から表面側の石膏を剥がして外している状態図、(C)はテーブルサンゴ原型から表面側シリコン樹脂を剥がして外している状態図である。
【
図8】(A)は表面側型を分離した断面図、(B)は裏面側型を分離した断面図である。
【
図9】表面側型と裏面側型を分離した断面図である。
【
図10】(A)は表面側型の表面に軟質ウレタン樹脂の混合液を充填している状態図、(B)は表面側型の表面に軟質ウレタン樹脂を充填完了した状態図である。
【
図11】(A)は裏面側型の表面に軟質ウレタン樹脂の混合液を充填している状態図、(B)は裏面側型の表面に軟質ウレタン樹脂の充填して完了の状態図である。
【
図12】(A)は表面側型及び表面側軟質ウレタン樹脂を真空装置内に設置した状態の断面図、(B)乃至(D)は表面側軟質ウレタン樹脂から内部気泡が大きくなりつつ抜ける状態の表面側軟質ウレタン樹脂箇所の断面図、(E)は内部気泡が無くなった状態の表面側軟質ウレタン樹脂箇所の断面図である。
【
図13】(A)は表面側軟質ウレタン樹脂付き表面側型と裏面側軟質ウレタン樹脂付き裏面側型とが分離した状態の断面図、(B)は(A)を上下を接合した状態の断面図、(C)は表面側軟質ウレタン樹脂と裏面側軟質ウレタン樹脂との隙間(空隙)に新たに補充用軟質ウレタン樹脂を補充している状態の断面図、(D)は補充完了した状態の断面図である。
【
図14】(A)は表面側軟質ウレタン樹脂と裏面側軟質ウレタン樹脂との隙間に補充用軟質ウレタン樹脂が充填されて硬化されている状態の断面図、(B)はそれぞれの石膏型を外した状態の断面図、(C)はさらに表面側軟質ウレタン樹脂と裏面側軟質ウレタン樹脂を製造されたテーブルサンゴ複製物から剥がして分離させている状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。天然珊瑚に近似して製造されたレプリカ珊瑚としてのテーブルサンゴ原型90が存在している。前述したが、現実には、天然珊瑚の捕獲は禁止されているので、天然珊瑚に近いと思われるレプリカ珊瑚が原型となる。次いで、前記テーブルサンゴ原型90を基準とした上での、テーブルサンゴ複製物99の製造法及び各段階の構成を説明する。
【0015】
第1段階(
図1参照)
前記テーブルサンゴ原型90の裏面側を上側として平行状に簡易台座1上に設置し、その上面側に、裏面側シリコン樹脂2の混合液を所定厚さに充填してある程度硬化させる。いわゆる生硬化とも言う。前記裏面側シリコン樹脂2のみでは硬化しないので適宜の硬化剤を混入させるために油性等の混合液となる。
【0016】
前記裏面側シリコン樹脂2の混合液を所定厚さにしているとき、前記簡易台座1の周囲上の複数(主に、)箇所に、半球状の台座凹部11が形成されており、これによって、前記裏面側シリコン樹脂2の周囲部に凸部21が形成されるものである。また、前記簡易台座1の周囲には、該簡易台座1を囲むようにした周壁部材15が設けられている。
【0017】
第2段階
前記裏面側シリコン樹脂2の混合液が生硬化状態のときに、前記周壁部材15の内側位置の周囲上に、これまた複数の乾いたブロック状の固形シリコン片22を埋め込み状に配置する。その状態にて、その上に硫酸カルシウムからなる石膏3の水溶液を充填して適宜乾かす。該石膏3は、水を混ぜることで流動化させ、その上面を平坦化しておく。これで、約1時間乃至数時間で固める。固まると強度性は増加する。前記裏面側シリコン樹脂2と前記石膏3とで裏面側型Fを構成する〔
図3(A)参照〕。
【0018】
第3段階(
図3及び4参照)
前記裏面側シリコン樹脂2及び石膏3なる裏面側型Fが前記テーブルサンゴ原型9が付いたままで〔
図3(B)参照〕、上下を反転させて、前記簡易台座1に載せておく。そこで、今度は、上面となった多数の突起状部90a,90a相互間に、該突起状部90aの長手方向を向くv70を跨がせ、これらを多数設けるようにセットする。該薄板片70の存在が脱型に対して役立つ〔
図7(C)参照〕。
【0019】
第4段階(
図5)
そのような状態下で、前記テーブルサンゴ原型9の多数の突起状部90a,90a,・・・の上から、表面側シリコン樹脂4の混合液を所定厚さに充填する。その生乾き状態のときに、前記周壁部材15よりも内側位置の周囲上に、これまた複数のブロック状の固形シリコン片41(4個乃至6個)を埋め込み状に配置する。
【0020】
第5段階(
図6)
その状態にて、その上に石膏5の水溶液を充填して適宜乾かす。該石膏3は、水を混ぜることで流動化させ、その上面を平坦化する。これで、約1時間乃至数時間で固める。固まると強度性は増加する。前記表面側シリコン樹脂4と前記石膏5とで表面側型Rを構成する。特に、裏面側シリコン樹脂2及び表面側シリコン樹脂4においても、何れも半乾き状態で、補強のための図示しないガーゼを添付しておく。該ガーゼをシリコン樹脂に埋めるようにしておくものである。
【0021】
第6段階(
図7)
前記表面側型Rと前記裏面側型Fを前記テーブルサンゴ原型9に嵌めたままで乾かしておく。そして、ある程度、表面側型Rにおける前記石膏5が固まった状態で、該石膏5を外す〔
図7(B)参照〕。次いで、前記表面側シリコン樹脂4を、
図7(C)に示すように、端から持上げるようにして、前記テーブルサンゴ原型9の多数の突起状部90a,90a,・・・から外す。
【0022】
このように外せるのは、軟質である前記表面側シリコン樹脂4と、前記突起状部90a,90aを跨がせた前記薄板片70によって可能となる。つまり、
図3(B)の状態の薄板片70,70が、前記表面側シリコン樹脂4を充填後に硬化したときに、
図4(D)の状態のように樹脂相互を狭い範囲で区切るようになるためである。
【0023】
第7段階(
図8及び
図9)
また、裏面側型Rからも、同様にして、前記裏面側シリコン樹脂2も、端から持上げるようにして、前記テーブルサンゴ原型90から外す。このようにして、
図8(A)から(B)なるようにして、裏面側型R及び表面側型Fとして整える。
【0024】
このとき、裏面側型Rの凸部21と、表面側型Rの凹部41とが合致するように構成されている。これによって裏面側型R及び表面側型Fとが接合するときの位置決めが確実にできる。裏面側型Rの裏面側シリコン樹脂2と前記石膏3とは、固形シリコン片22と凹部32とで位置決めされている。表面側型Rの表面側シリコン樹脂4と前記石膏5とは、固形シリコン片42と凹部52とで位置決めされている〔
図8(A)及び(B)参照〕。
【0025】
第8段階(
図10)
表面側型Fの表面側シリコン樹脂4の表面に、表面軟質ウレタン6Aの混合液を塗布して、多数の突起状部90a,90a,・・・に形成できるようにする。このとき石膏5は補強としておくことが重要である。前記表面軟質ウレタン6Aのみでは硬化しないので適宜の硬化剤を混入させるために油性等の混合液となる。
【0026】
第9段階(
図11)
そして、裏面側型Rの裏面側シリコン樹脂2の表面にも、裏面軟質ウレタン6Bの混合液を塗布して、前記テーブルサンゴ原型9の裏面側を形成できるようにする。同様に、石膏3も補強としておく。
【0027】
第10段階(
図12)
真空装置8にかける。具体的には、真空操作は、表面軟質ウレタン6Aを有する表面側型F(表面側シリコン樹脂4及び石膏5は、真空装置8内にセットする(
図12参照)。真空状にすると、
図12(B)乃至(D)に示すように、その気泡kが真空力に応じて徐々に大きくなってそれが外に放出できる。所定時間に亘り真空装置8を作動させると、
図12(E)に示すように、表面軟質ウレタン6A内の気泡kを無くすことができる。
【0028】
このように、その気泡kが抜けると共に、その外形が整然としてくる。さらに、裏面軟質ウレタン6Bを有する裏面側型F(裏面側シリコン樹脂2及び石膏3)も、真空装置8内にセットする。そして、裏面軟質ウレタン6B内の気泡も抜く。さらに、前記真空装置8には、表面軟質ウレタン6Aを有する表面側型Fと、裏面軟質ウレタン6Bを有する裏面側型Fとを同時に脱気処理を行うことも多い。
【0029】
第11段階(
図13)
そのような状態にて表面軟質ウレタン6Aを有する表面側型Fと、裏面軟質ウレタン6Bを有する裏面側型Rとを重ね合わせる〔
図13(A)及び(B)参照〕。このとき凸部21と凹部41とが合致するようにすること。これによって、型ズレがなく、正確な型にできる。そして、最後に、内部用軟質ウレタン6Cの混合液を充填する〔
図13(C)及び(D)参照〕。これで隙間なく表面軟質ウレタン6A,裏面軟質ウレタン6B及び内部用軟質ウレタン6Cを一体化するように処理する。この状態にて自然乾燥を行う。
【0030】
第12段階(
図14)
自然乾燥後において、裏面側型Rを外し、内部のテーブルサンゴ複製物99を得る。このとき、その突起状部90a,90a,・・・間には、薄板片状(図示しないが、
図4の薄板片70と同一厚さ)が多数形成されているが、これを除去する。このような製造法によって、テーブルサンゴ複製物99を製造するものである。また必要に応じて着色等も行う。
【0031】
前述の説明では、第1〜第12段階にて、テーブルサンゴ複製物を製造するものであるが、別の製造法もある。つまり、最初に、裏面側型Fを作成し、次いで、表面側型Rの製造法である。別の製造法では、最初に、表面側型Rを作成し、次いで、裏面側型Fを製造する製造法である。また、テーブルサンゴ原型90の突起状部90aに凹凸が深くない場合には、前記真空装置8を使わないで、製造することもある。また、薄板片状部は剥がさないで、製品化することもある。
【0032】
また、前述の説明において、前記表面側型Rの表面側シリコン樹脂4と前記石膏5とは、これら相互を接合するときに、固形シリコン片42と凹部52とが合致して、相互が位置決めされることで、正確な型として製造できる。また、前記裏面側型Fの裏面側シリコン樹脂2と前記石膏3との接合にも同様の固形シリコン片22と凹部22が設けられている。
【符号の説明】
【0033】
R…表面側型、F…裏面側型、2…裏面側シリコン樹脂、21…凸部、
22…固形シリコン片、3…石膏、32…凹部、4…表面側シリコン樹脂、
42…固形シリコン片、5…石膏、52…凹部、6A…表面軟質ウレタン、
6B…裏面軟質ウレタン、6C…内部用軟質ウレタン、70…薄板片、8…真空装置、
90…テーブルサンゴ原型、90a…突起状部、99…テーブルサンゴ複製物。
【要約】 (修正有)
【課題】本物のテーブルサンゴにかなり近似したテーブルサンゴ複製物を製造する。
【解決手段】テーブルサンゴ原型に対して、裏面側シリコン樹脂2の混合液及び表面側シリコン樹脂4の混合液を石膏3,5を介して裏面側型R及び表面側型Fを構成する。テーブルサンゴ原型から裏面側シリコン樹脂2及び表面側シリコン樹脂4をそれぞれ剥がして、裏面側型R及び表面側型Fの裏面側シリコン樹脂2及び表面側シリコン樹脂4に対して、表面軟質ウレタン6A及び裏面軟質ウレタン6Bの混合液を流し込む。その後に、少なくとも表面側型Fの表面側シリコン樹脂4及び表面軟質ウレタン6Aの混合液を真空装置8に入れて脱泡作業を施す。そして裏面側型Rと表面側型Fとを対向させてこの隙間内に内部用軟質ウレタン6Cの混合液を流し込み、テーブルサンゴ複製物99を製造する。
【選択図】
図14