(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710068
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ステッチング方法を用いる、大判スキャナーシステム用のスキャン方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20150409BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
H04N1/387
G06T3/00 780
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-506789(P2014-506789)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-512784(P2014-512784A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】EP2012001692
(87)【国際公開番号】WO2012146358
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】102011018496.1
(32)【優先日】2011年4月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513264887
【氏名又は名称】ロート プルス ヴェーバー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROTH + WEBER GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン ケンプフライン
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハート シェルペン
【審査官】
石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−371069(JP,A)
【文献】
特開2002−024814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大判スキャナーシステム(1)用のスキャン方法であって、
前記大判スキャナーシステムは、カスケード状に、少なくとも1つのオーバーラップ領域(13、14)を伴って配置された少なくとも2つの画像検出部材(2)を有しており、前記画像検出部材(2)は大判スキャン原稿(4)を走査し、
ステッチング方法によって、前記画像検出部材(2)の前記少なくとも1つのオーバーラップ領域(13、14)における画像情報を合成し、ここでサーチ領域(10)内の前記少なくとも1つのオーバーラップ領域(13、14)の画像情報を探す、方法において、
S1.前記スキャン原稿(4)の定められたサーチ領域(10)内のテクスチャーを識別する(18)ステップと、
S2.当該識別されたテクスチャー内の情報密度を、テクスチャーコンテンツの量(19)を求めるために評価するステップと、
S3.前記識別されたテクスチャーの前記テクスチャーコンテンツの前記量(19)に依存して情報密度を重み付けするステップと、
S4.各前記画像検出部材(2)のオーバーラップ領域(13,14)における、前記スキャン原稿(4)の前記定められたサーチ領域(10)内の合同の画像情報同士の偏差を検出する(20)ステップと、
S5.前記テクスチャーから導出された前記重み付けと、各測定の前記求められた偏差とから、各測定点(16〜17)に対する重み付けされた偏差(24〜25)を求めるステップと、
S6.前記重み付けされた偏差(24〜25)から前記偏差の重み付けされた平均値(29〜30)を求める(27、28)ステップと、
S7.前記偏差の前記重み付けされた平均値(29〜30)から、ずれた画像エレメントの位置を修正するためのシフト値(31)を計算し、これらの画像エレメントを一致させるステップと、
を特徴とする、大判スキャナーシステム(1)用のスキャン方法。
【請求項2】
ステップS1における、前記定められたサーチ領域(10)の大きさを、前記スキャン原稿(4)の走査の開始時に大きくする、
請求項1記載のスキャン方法。
【請求項3】
ステップS4における、合同の画像エレメントの検出(20)を、x方向およびy方向における求められた偏差の検出によって行う、
請求項1または2記載のスキャン方法。
【請求項4】
ステップS4における、前記定められたサーチ領域(10)内での合同の画像情報の検出(20)を、前記テクスチャー識別(18)とともに特定の間隔で行う、
請求項1から3までのいずれか1項記載のスキャン方法。
【請求項5】
ステップS1の前の前記スキャン原稿(4)の走査の開始時に、
前記スキャン原稿(4)の始まりを識別するために、より大きいサーチ領域を画定するステップと、
当該サーチ領域内のテクスチャー値(19)を求めて、前記識別されたテクスチャーを重み付けするステップと、
を実施する、
請求項1から4までのいずれか1項記載のスキャン方法。
【請求項6】
以下のさらなるステップ、すなわち:
一義的に割り当てることができない、見せかけの合同の画像情報の微細な規則的な情報構造を求めるステップと、
サーチ領域において求められた、見せかけの合同の画像情報を、前記画像検出部材相互のx方向のずれおよびy方向のずれから得られる、統計的なステッチングパラメータによって調整するステップと、
前記統計的なステッチングパラメータを用いて、見せかけの合同の画像情報を、前記一致に相応して重み付けするステップと、
最も高く重み付けされた画像情報を合同な画像情報として検出するステップと、
を実施することを特徴とする、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
修正アルゴリズムによって、生じているx方向のずれおよび/またはy方向のずれを補償する、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
ステップS3における、前記偏差の前記情報密度の重み付けおよび最大値の選択を、統計的なステッチングパラメータ(23)を用いて計算する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ステップS6における、前記偏差の重み付けされた平均値(29〜30)の特定(27、28)を、前記重み付けされた偏差(24〜25)の各重み付けを考慮したフィルタリング(27)および/または平均値形成(28)によって行う、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大判スキャナーシステム用のスキャン方法に関する。この大判スキャナーシステムは、大判スキャン原稿を走査する少なくとも2つの画像検出部材を有している。これらの画像検出部材は、カスケード状に、少なくとも1つのオーバーラップ領域を伴って配置されている。ここではステッチング(繋ぎ合わせ)方法によって、画像検出部材の少なくとも1つのオーバーラップ領域内の画像情報が合成される。ここでは、サーチ領域内で少なくとも1つのオーバーラップ領域が画像情報に関して調べられる。
【0002】
DE102009011945B4号から、大判スキャナーシステムが既知である。このスキャン装置では、連続している複数の画像検出部材、例えばコンタクトイメージセンサ(CIS)がスキャン幅全体を覆っている。
【0003】
さらに、大判スキャナーシステムでは、カスケード状に配置された複数の画像検出部材(例えばCIS)を備えたスキャン装置が知られている。使用されているCISは、大量に、オフィス領域における小型スキャナーシステムに使用されているので、少数しか生産されない、スキャン幅全体を覆うCISと比べてコスト上の利点が生じる。
【0004】
ジグザグ状配向としても既知のカスケード状の配置は、連続しているスキャン画像を完全なスキャン幅にわたって得るために必要である。xおよびy方向における個々のCISのずれないしはオーバーラップは、適切なソフトウェア方法、例えばいわゆるステッチング方法を介して修正され、これによって、連続したスキャン画像が得られる。
【0005】
US6348981号から、x方向およびy方向における個々の画像検出部材のずれないしはオーバーラップを統計的な修正値を介して補償することが知られている。このような統計的な修正値は次のような欠点を有している。すなわち、x方向およびy方向における画像検出部材間の移行領域において、修正が完全に正確には実施されない、という欠点を有している。スキャン原稿における僅かなうねりまたは折れ目またはスキャン原稿の走行速度の僅かな変動によって、目に見える画像エラーが画像検出部材のオーバーラップ領域において生じてしまう。これは例えば、中断された線またはずれた線または二重線等として現れる。
【0006】
US2003/0138167A1またはEP1422924A2から、画像検出部材間のオーバーラップ領域において、適切なアルゴリズムによって、隣接する画像検出部材の平均値で、画像検出部材間のスムーズな移行がもたらされる方法も知られている。画像検出部材間の移行領域における画像エラーは、x方向およびy方向において不鮮明に現れ、視覚的に制限された範囲内に抑圧される。
【0007】
この方法によって殊に、線の情報を有するスキャン原稿では、第一印象でのみ、利用可能な結果が得られる。
【0008】
統計的な修正値によるステッチング方法のこのような欠点を排除するために、適応ステッチング方法が知られている。
【0009】
このような方法では、統計的な修正値によるステッチング方法に対して付加的に、例えば、隣接して配置される2つの画像検出部材によって、オーバーラップ領域においてスキャンされた同一の画像コンテンツが適切なデータメモリ内にロードされ、相互に比較される。
【0010】
適切な方法によって、合同な画像エレメントが自動的に識別され、x方向またはy方向においてずれが生じた場合に修正アルゴリズムを介して一致させられる。
【0011】
この方法の欠点は、ステッチング結果が大きく、相互に比較される画像情報のボリュームに依存してしまうということである。画像検出部材のオーバーラップ領域におけるスキャン原稿上の画像情報が少なくなるほど、ステッチング結果は悪くなる。画像情報のボリュームが少ない場合には、合同でない画像コンテンツが誤って、合同であると識別されてしまうことがあり、これによって規則的に、誤認された一致の誤った割り当てが生起される。この結果、x方向ないしはy方向のずれが強まってしまう。
【0012】
カスケード状に配置された画像検出部材の下方でのスキャン原稿搬送中の速度変動によって、スキャンされた画像コンテンツのオーバーラップ領域においてコントロールすることができない、非線形の情報のずれが生じてしまう。既存の方法では、このような情報のずれを補償することはできない。なぜなら、オーバーラップしている画像情報の一致が、この速度変動によって、一致させるのには相互に離れすぎてしまっているからである。このような場合には、サーチ領域を拡大することが知られている。ここでの欠点は、調査されるべきデータ量がより大きくなったことによって、スキャン原稿を停滞させ得るまたは停止させ得る性能上の欠点が生じてしまう、ということである。さらに、サーチ領域が拡大したことによって、規則的に画像エラーが生じてしまう。なぜなら、相互に離れて位置している、見せかけだけの合同の画像エレメントが一致させられてしまうからである。これによって、目に見える、x方向およびy方向のずれが増幅する。
【0013】
上述した速度変動は、スキャン原稿の始まりで強く生じる。この原因は通常、カスケード状に配置された画像検出部材の場合には、非駆動型の弾性に支承されている反射器ローラが使用される、ということである。この反射器ローラのタスクは、スキャン原稿を所定のように、画像検出部材の下方に配置されているガラス板に押し当てる、ということである。使用されている画像検出部材の焦点領域が僅かなので、鮮明なスキャン画像を形成するためにこの押し当てが必要とされる。上述の非駆動型反射器ローラは、スキャン原稿によって加速され、駆動されなければならない。これは、スキャン原稿の始まりにおいて不可避の上述した速度変動を生じさせてしまう。さらに悪いことに、殊にスキャン原稿の始めには、通常は画像情報が含まれていない。例えばこれは技術的な図面に対する、規定で定められている図面の大きさの場合である。なぜなら、基本的に、5mmの印刷されない周りの縁部が設定されているからである。殊にスキャン原稿の始めでの速度変動および誤った画像情報が共に作用して、ステッチング結果をさらに悪いものにしてしまう。
【0014】
本発明の課題は、ステッチング方法によって画像情報が合成される、複数の画像検出部材を有する大判スキャナーシステム用のスキャン方法において、オーバーラップ領域におけるステッチング結果を改善し、画像エラーを回避し、かつ、ステッチング方法を速くすることである。
【0015】
上述の課題は、本発明では、冒頭に記載した様式の方法に対しては、請求項1に記載された特徴部分の構成によって解決される。有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0016】
上述の課題は、本発明では、以下のステップによって解決される:すなわち
スキャン原稿の定められたサーチ領域内でテクスチャーを識別するステップ、
テクスチャーコンテンツの量を求めるためにこの識別されたテクスチャー内の情報密度を評価するステップ、
識別されたテクスチャーのテクスチャーコンテンツの量に依存して情報密度を重み付けするステップ、
スキャン原稿の定められたサーチ領域内の合同の画像エレメントを検出するステップ、
テクスチャーから導出された重み付けと、各測定の求められた偏差とから、各測定点に対する重み付けされた偏差を求めるステップ、
これらの重み付けされた偏差から、偏差の重み付けされた平均値を求めるステップ、
偏差のこの重み付けされた平均値から、ずれた画像エレメントの位置を修正するためのシフト値を計算し、これらの画像エレメントを一致させるステップ
によって解決される。
【0017】
適応ステッチング方法とダイナミックな修正アルゴリズムを用いた、大判スキャナーシステム用のこのような本発明のスキャン方法によって、オーバーラップ領域において、ステッチング方法の結果が改善され、画像形成時のエラーが回避され、ステッチ方法の実行が加速される。
【0018】
有利な方法では、ステップS1に記載されている定められたサーチ領域は、スキャン原稿の走査の開始時にその大きさが変更可能であり、殊に拡大可能である。
【0019】
本発明では、ステップS4に記載されている合同の画像エレメントの検出は、x方向およびy方向における求められた偏差を検出することによって行われる。
【0020】
ステップS4に記載されている定められたサーチ領域内での合同の画像エレメントの検出が、テクスチャー識別と特定の間隔で行われることが有利であることが判明している。
【0021】
本発明では、ステップS1の前に、スキャン原稿の走査の開始時に、以下のステップを実行することができる:すなわち、
スキャン原稿の始まりを識別するために、より大きいサーチ領域を画定するステップと、
このサーチ領域内のテクスチャー値を求め、識別されたテクスチャーを重み付けするステップ
である。
【0022】
有利には、以下のさらなるステップが実施される:すなわち、
一義的に割り当てることができない、合同であると思われる画像情報の微細な規則的な情報構造を求めるステップと、
サーチ領域において求められた、合同であると思われるこの画像情報を、前記画像検出部材相互のx方向のずれおよびy方向のずれから得られる、統計的なステッチングパラメータによって調整するステップと、
一致に相応して、統計的なステッチングパラメータを用いて、合同であると思われる画像情報を重み付けするステップと
最も重く重み付けされた画像情報を合同な画像情報として検出するステップ
である。
【0023】
本発明では、修正アルゴリズムによって、生じているx方向のずれおよび/またはy方向のずれを補償することができる。
【0024】
ステップS3に記載されている、偏差の情報密度の重み付けおよび最大値の選択を、統計的なステッチングパラメータを用いて計算するのは有利であることが判明している。
【0025】
有利には、ステップS6に記載されている偏差の重み付けされた平均値の特定が、各測定点に対する、重み付けされた偏差の各重み付けを考慮したフィルタリングおよび/または平均値形成によって行われる。
【0026】
本発明を以下で、図示された実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】画像検出部材と反射器ローラを備えたスキャナーシステム
【
図2】カスケード状に配置された複数の画像検出部材を備えたスキャナーシステム
【
図4】大判スキャナーシステム用の本発明のステップ
【実施例】
【0028】
図1には、画像検出部材2を備えたスキャナーシステム1が示されている。この画像検出部材2の前には、ガラス板3が配置されている。このガラス板3に、スキャン原稿4が反射器ローラ5によって、ばね6を用いて押し当てられる。ばね6はここで、力によって反射器ローラ5の側方領域7に接触し、これによって反射器ローラ5はスキャン原稿4の方へ押される。反射器ローラ5の側方領域7には、側方ストッパーが設けられている。これは、反射器ローラ5の中央領域8よりも大きい直径を有している。これによって、反射器ローラ5とガラス板3との間に、中央領域8において間隙9が形成される。この間隙は所定の大きさを有している。この大きさは、ガラス板3へのスキャン原稿4の最適な当接を保証する。他方で、この間隙9は、反射器ローラ5の中央領域8において、スキャン原稿4のための充分な空間をもたらす。
【0029】
図2には、大判スキャン原稿をスキャンするための、カスケード状またはジグザグ状に配置された4つの画像検出部材2を有するスキャナーシステム1が平面図で示されている。各画像検出部材2には、1つの非駆動型反射器ローラ5が割り当てられている。ここでこの反射器ローラ5は、中央領域8において、側方領域7と比べて低減された直径を有している。スキャン原稿4にはサーチ領域10が割り当てられている。このサーチ領域においてステッチング方法によって画像情報が探され、これによってカスケード状に配置された画像検出部材2の下方でスキャン原稿4の搬送中の速度変動によって生じる、コントロールできない、非線形の画像のずれが除去される。
【0030】
画像検出部材2の出力信号は、公知の方法で、処理回路に供給される。この処理回路によって、画像信号が合成される。本発明のスキャン方法では、ここで、ダイナミックな修正アルゴリズムを伴う適応ステッチング方法が使用される。これを、
図3に基づいて以降で説明する。
【0031】
図3に基づいて、ここで、本発明の方法の流れをより詳細に説明する。ここでは部分的にオーバーラップしている2つのセンサ部材11および12を有する大判スキャナーシステム1が例として示されている。第1のセンサ部材11は第1のオーバーラップ領域13を有しており、第2のセンサ部材12は第2のオーバーラップ領域14を有している。これらのオーバーラップ領域は、拡大されて、センサ部材11および12の下方に、再度、分かり易くするために、破線矢印15によって示されている。センサ部材11および12は、これらのオーバーラップ領域において複数の測定点を有している。その中に、第1の測定点16とi番目の測定点17がある。オーバーラップ領域内で求められた値に基づいて、テクスチャー識別18が行われる。これは、測定された領域のテクスチャーコンテンツの量19を供給する。同時に、合同の画像情報の検出20が行われる。問い合わせ21に基づいてスキャン原稿4の始まりが識別されると、場合によっては、サーチ領域が拡大される。この検出20から求められた値から、偏差の重み22および最大値の選択が、統計的なステッチングパラメータ23を用いて計算される。次にテクスチャーコンテンツに対する量19と重み付け22とから、1番目からi番目の測定点16から17の各々に対して、重み付けされた偏差24から25が形成される。
【0032】
さらに、矢印26を追うと、フィルタリング27および平均値形成28によって、i個の測定点を有する領域に対する、重み付けされた偏差24〜25の各重みを考慮して、偏差の重み付けされた平均値29から30が得られる。
【0033】
x方向および/またはy方向に、求められたシフト値に依存して画像点をシフトさせること31によって、ステッチングされた出力画像32が得られる。これは、オーバーラップ領域33を有しており、このオーバーラップ領域33内で、オーバーラップ領域13および14の対になっている画像点が一致させられる。交線34で、スキャン原稿4の元来のオーバーラップ領域13と14が合成される。
【0034】
図4では、大判スキャナーシステム1用の本発明のスキャン方法の本発明に重要なステップが再度、まとめて示されている。この大判スキャナーシステムは、カスケード状に、オーバーラップ領域13および14を伴って配置された、大判スキャン原稿4を走査するための、2つの画像検出部材を有する。ここではステッチング方法によって、画像検出部材2のオーバーラップ領域13および14における画像情報が合成される。ここで、サーチ領域10内の少なくとも1つのオーバーラップ領域13および14が、画像情報に関して検索される。
【0035】
第1のステップS1では、スキャン原稿4の定められたサーチ領域10内でテクスチャーが識別18される。識別されたテクスチャーにおいて、第2のステップS2において、テクスチャーコンテンツに対する量19を求めるために、情報密度が評価される。ここから結果として、第3のステップS3において、情報密度の重み付け22が、識別されたテクスチャーのテクスチャーコンテンツに対する量19に依存して生じる。
【0036】
同時に、ステップS4に従って、合同な画像エレメントの検出20が、スキャン原稿4の定められたサーチ領域10内で行われる。この値によって、ステップS5では、テクスチャーから導出された重み22と、各測定の求められた偏差24〜25とから、各測定点16〜17に対する重み付けされた偏差24〜25が求められる。これらの、重み付けされた偏差から、ステップS6において、各画像点に対する偏差の重み付けされた平均値29〜30の特定27および28が行われる。
【0037】
偏差のこのような重み付けされた平均値29および30から、ステップS7に従って、ずれた画像エレメントの位置を修正するためのシフト値の計算が結果として生じる。従ってこれらの画像エレメントは、一致させられる。
【0038】
以降ではまとめて、既知の従来技術に対する本発明の方法の利点を説明する。
【0039】
画像情報が少ない場合または誤っている場合、および、スキャン原稿4の搬送中の速度が変動する場合にステッチング結果を改善するために、スキャン原稿の間、画像検出部材2ないし11および12の定められた大きさを有するサーチ領域10内のオーバーラップ領域13および14の画像情報が探される。さらに、本発明の方法では、所定のサーチ領域内で基本的にスキャン原稿4のテクスチャー識別18が行われる。
【0040】
高い情報密度を有するサーチ領域10はテクスチャーコンテンツに対して高いテクスチャー値または量19をもたらし、高い重みを有する。情報密度が低いサーチ領域10は低いテクスチャー値19をもたらし、これに相応して、低い重みを有する。
【0041】
規則的に、画像検出部材2のオーバーラップ領域13および14において、スキャン原稿4は均一の情報面(例えばグレー面)を示す。このような面は、より低いテクスチャー値19として識別され、低い重みを有するものに分類および評価される。
【0042】
本発明の方法では、定められたサーチ領域10内で、特定の間隔でアルゴリズムが使用される。これは、テクスチャー識別18の他に、合同な画像情報の検出20によって、このような合同な画像情報を自動的に識別する。x方向およびy方向における、求められる偏差がここで検出される。
【0043】
既存の方法では、各測定後にx方向および/またはy方向における識別されたずれを一致させるのは欠点であると判明している。この一致は、ピクセルの幅のx方向および/またはy方向における行が加えられるまたは除去されることによって実現される。各測定後のこのような手法は、ずれの頻繁かつ不必要な補償および画像エラーの増幅を生じさせる。
【0044】
本発明の方法では、各測定時に、識別されたテクスチャーに依存して重み付けが求められる。さらに各測定時に、合同な画像エレメント同士の偏差が求められる。テクスチャーから導出された重み付けと各測定の求められた偏差とから、各測定点16〜17に対する重み付けされた偏差24〜25が求められる。多数の測定の、このような重み付けされた偏差24〜25から、偏差の重み付けされた平均値29〜30が求められる。偏差のこのような重み付けされた平均値29〜30から、ずれた画像エレメントが修正アルゴリズムを介して一致される。
【0045】
この様な方法によって、ステッチング結果が格段に改善される。
【0046】
高いテクスチャー値19を有するサーチ領域に、低いテクスチャーを有する均一な画像領域が続く場合、既存の方法では規則的に、使用されている修正アルゴリズムが、それが必要でないにもかかわらず、使用される。
【0047】
この結果、x方向および/またはy方向におけるずれの形の画像エラーが増幅されてしまう。この画像エラーは、低いテクスチャーを有する均一な画像領域の長さが増すにつれて強く現れる。
【0048】
本発明の方法では、低いテクスチャーを有する(すなわち、テクスチャーコンテンツ19に対する低い量を有する)均一な画像領域において、各現在の測定時に、低い重みを設定する。さらに、このような領域において規則的に、合同な画像エレメント同士の偏差はほとんど検出さない。
【0049】
テクスチャーの低い重み付けおよび合同な画像エレメントの求められた偏差結果に基づいて、修正アルゴリズムは使用されない。これによって、上述した画像エラーが生じなくなる。
【0050】
低いテクスチャーを有する均一な画像領域に、高いテクスチャーを有する画像領域が続く場合、既知の方法では、適応ステッチングを用いて、規則的に増幅する画像エラーが、x方向およびy方向におけるずれの形で現れる。これははじめて、さらなるスキャン経過において識別され、補償される。
【0051】
本発明の方法では、高いテクスチャー値19を有する画像領域が、現在の測定時に識別され、高い重みが付けられる。
【0052】
同様に、合同な画像エレメント同士の偏差が、現在の測定時に求められる。テクスチャーから導出された、ここでは高い重み付けと、現在の測定の求められた偏差とから、現在の測定に対する重み付けされた偏差25が求められる。同様なことが、多数の先行の測定に対して行われる。現在の測定のこの重み付けされた偏差25と先行する測定の多数の重み付けされた偏差24とから、偏差の重み付けされた平均値29〜30が求められる。偏差のこの重み付けされた平均値29〜30から、ずれている画像エレメントが修正アルゴリズムを介して一致される。
【0053】
本発明では、現在の測定の重み付けされた偏差25が、高いテスクチャー密度19に基づく高い重み付けによって、より強く、修正アルゴリズムに影響を与える。この結果、x方向および/またはy方向におけるずれが修正アルゴリズムによって迅速に補償される。高いテクスチャーを有する画像領域の開始時により強いずれが生じることはない。
【0054】
冒頭で説明したように、スキャン原稿4の始まりでは頻繁に、x方向および/またはy方向におけるずれの形の画像エラーが生じる。これは殊に、例えば水平に延在する線の第1の画像情報の領域内に存在する。
【0055】
この画像エラーの原因は主に、スキャン原稿4の始めの部分で画像情報が欠如していること、およびスキャン原稿4搬送時に速度が変化することである。これらは、既知の方法によっては識別されず、補償されない。
【0056】
スキャン原稿4の走査開始時のステッチング結果を改善するために、本発明の方法では、スキャン原稿4の始めが識別される。このために自動的により大きいサーチ領域が定められる。
【0057】
このより大きいサーチ領域は、スキャン原稿4の開始時にのみ使用可能である。なぜなら、ここでは本発明に相応して、僅かな画像情報のみが生じ、この大きいサーチ領域によって、広く離れている、見せかけだけの合同の画像エレメントが識別され、一致させられてしまうという危険が生じないからである。さらに、画像情報が少ないことによって性能問題の危険が生じない。
【0058】
本発明の方法は、このより大きいサーチ領域のために、より大きいデータベースに基づく。これによって、テクスチャーおよび画像情報の識別時に高い能率が得られる。さらにこのより大きいサーチ領域によって、画像情報間のより大きいずれも識別可能である。
【0059】
サーチ領域内でまずはテクスチャー値19が求められ、相応に重み付けされる。経験的に、スキャン原稿4の始めでは画像情報が少ない。従って、現在の測定時に、低い重みの低いテクスチャーが生じる。
【0060】
この測定は、上述したように本発明に相応して実行される。テクスチャーおよび重みの識別後に、各現在の測定時に、合同な画像エレメント同士の偏差が求められる。
【0061】
テクスチャーから導出された重みおよび各測定の求められた偏差から、各測定に対する重み付けされた偏差24〜25が求められる。多数の測定のこの重み付けされた偏差24〜25から、偏差の重み付けされた平均値29〜30が求められる。偏差のこの重み付けされた平均値29〜30から、ずれた画像エレメントが修正アルゴリズムを介して一致される。
【0062】
この結果、低いテクスチャー従って低い重み付けを有する領域において通常は修正アルゴリズムは必要なくなる。しかし、低いテクスチャーを有するこの領域に、例えば水平に延在する線の形の高いテクスチャーを有する領域が続く場合、これは現在の測定時に識別され、相応に高く重み付けされる。
【0063】
しかし高いテクスチャーを有する画像領域における増幅されたずれはここでは生じない。
【0064】
既知の方法では、規則的に画像エラーがx方向および/またはy方向におけるずれの形で、微細な情報構造において生じる。この原因は既知のステッチング方法が、画像検出部材2ないし11および12のオーバーラップ領域13および14のサーチ領域10において、微細な規則的な情報構造によって、部分的に複数の見せかけの合同な画像情報を識別する、ということである。既知の修正アルゴリズムによってここで規則的に、これらの画像情報が誤って一致させられてしまう。この結果、x方向および/またはy方向のずれの形態の画像エラーが増幅されてしまう。
【0065】
微細な規則的な情報構造時のステッチング結果を改善するために、本発明の方法では、アルゴリズムを介して、一義的に割り当てられない見せかけの合同の画像情報が識別される。
【0066】
方法を介して、サーチ領域10において求められた、見せかけの合同の画像情報の調整が、統計的なステッチングパラメータ23によって行われる。これは、画像検出部材23ないしは11および12相互のx方向およびy方向のずれから得られる。
【0067】
統計的なステッチングパラメータ23による見せかけの合同の画像情報の一致が高まるほど、これは高く重み付けされる。
【0068】
高い重み付けを有する画像情報は、合同の画像情報として識別される。修正アルゴリズムによって、存在しているx方向および/またはy方向のずれが補償される。
【符号の説明】
【0069】
1 スキャナーシステム、 2 画像検出部材、 3 ガラス板、 4 スキャン原稿、 5 反射器ローラ、 6 ばね、 7 側方領域、 8 中央領域、 9 間隙、 10 サーチ領域、 11 第1のセンサ部材、 12 第2のセンサ部材、 13 第1のオーバーラップ領域、 14 第2のオーバーラップ領域、 15 矢印、 16 第1の測定点、 17 i番目の測定点、 18 テクスチャー識別、 19 テクスチャーコンテンツの量、 20 合同な画像情報の検出、 21 スキャン原稿の開始の問い合わせ、 22 偏差の重み付けおよび最大値の選択、 23 統計的なステッチングパラメータ、 24 重み付けされた偏差(測定点1)、 25 重み付けされた偏差(測定点i)、 26 矢印、 27 フィルタリング、 28 平均値形成、 29 偏差の重み付けされた平均値、 30 偏差の重み付けされた平均値、 31 x/y方向におけるずれ、 32 ステッチングされた出力画像、 33 移行領域、 34 交線、 S1〜S8 ステップ