(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各取引について、一取引に関連する送り元及び送り先を、前記送り元及び送り先に共通する前記階層内の最も近接した共通の親を介してつないでいる、前記樹構造内の経路の要素に関連付けられた座標を含む、制御座標の第1のセットを決定することは、
一取引に関連する送り元及び送り先を、前記送り元及び送り先に共通する前記階層内の最も近接した共通の親を介してつなぐ、前記樹構造上のノードのリストを決定することと、前記の取引についての送り元及び送り先が双方とも単一の親ノードから成る子ノードではない場合、前記最も近接した共通の親に対応するノードを削除することと、
を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
取引を表す制御座標のセット内の制御座標として、表されることになる前記取引の送り元及び送り先に関連付けられた制御座標の複数のセットを追加することをさらに含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
前記取引の各々を、各取引について、前記計算された制御座標を用いて描画される線で表すことは、各取引を、前記の計算されたセット内の制御座標のグループによって定義されるような、追加された一連のB‐スプラインで表すことを含む、請求項6に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に従った、データ分析システム1の略ブロック図である。データ分析システム1は、取引レコード5を保存するように備えた取引データベース3と、口座レコード9を保存するように備えた口座データベース7と、処理モジュール11とを含む。処理モジュール11を、取引データベース3及び口座データベース5からデータを取得し、取引を表すグラフィック表現を生成するように備える。取引の表現を線としてディスプレイ13にレンダリングするためのデータを、処理モジュール11及びディスプレイ13に接続している、グラフィックバッファ14に生成及び保存する。さらに、処理モジュール11は、キーボード15及びマウス17を通じたユーザ入力にも対応し、ユーザが、ディスプレイで情報をやりとりすることと、処理に関する取引のグループを選択することとを可能にする。
【0028】
データ分析システム1を、クレジットカード取引データの分析が容易となるように備えるこの実施形態では、取引データベース3を、クレジットカード取引に関連する取引データを保存するように構成することになる。クレジットカード取引以外のフィールドに関しては、そのデータベースを違ったふうに構成することになるか、又は構成してもよく、そして、そのデータベースは種々の種類の取引データを保持することになるか、又は保持してもよい。
【0029】
クレジットカード取引を分析するシステムにおいて、取引データベース3に保存される各取引レコード5には複数のデータフィールドを含むことになる。クレジットカード取引の場合、そのデータフィールドには以下の、
・取引日時、及び場合によって取引が発生した場所のタイムゾーン
・カード番号及びカードシーケンス番号
・カードに関連している口座番号
・借方額又は貸方額
・商店主端末ID
・商店主端末のロケーション、すなわち、番地、市、国、等
・商店主分類コード
・金額
・通貨
を一般に含むであろう。
【0030】
口座データベース7は、個人の口座に関連する詳細を保存することになる。一般に、口座レコードには例えば、
・カード保有者名、個人ID、TIN、SSN、ネットワーク上のアイデンティティ、等
・実際の住所、電話番号、IPアドレス、等
などの、個人の口座に関するデータを含んでよい。
【0031】
取引データベース3のレコード5と口座データベース7のレコード9とが共に、クレジットカードの使用を監視することを可能にする。まれな使用パターンを察知した場合、詐欺の可能性についての更なる調査を開始することができる。しかしながら、関連するデータが非常に大量であり、そのデータのほとんどは正規の取引を表すことから、察知は困難である。このため、データをどのように処理するのかが非常に重要となり、その処理の結果を、表示データを処理モジュール11に生成させて、表示する。その表示データは、潜在的に疑わしい取引をユーザに対してより明白にし、それによって詐欺の察知が大分容易となる。
【0032】
詳細に説明していくが、本発明によると、取引を表すデータを、大量の取引データを同時に表示可能とする方法、かつ、取引データのサブセットのユーザによる選択と表示の迅速な更新とを容易にする方法で、処理する。そしてこれにより、調査者は更なる調査に対して、特定の共通する属性を共有する取引に注目することが可能となる。
【0033】
したがって例えば、組織的なクレジットカード詐欺団はオンライン上の小売業者のデータベースに不正侵入して、口座所有者のクレジットカード番号とともにその所有者に関する情報を含む、200件の顧客レコードにアクセスする。
【0034】
クレジットカード詐欺団は、オンライン上の小売業者がその顧客データベースへの侵入を発見し、犯罪に関連する口座番号を閉鎖するようにカード発行者に通知する前にデータを使用するため、限られた長さの時間しかないことを理解している。
【0035】
データ取得からわずかな時間で、クレジットカード詐欺団はその盗んだ口座及びクレジットカードを使用し始め、オンライン上の電子商取引サイトで買い物をする。そこで彼らは、クレジットカード詐欺団に仕えている仲介人向けに出荷するようにして、品物を購入する。各クレジットカード口座を、口座の支出限度への到達によりそのカードが拒否されるまで、「カードを介在させない」取引に連続的に使用する。その後、すべてのカードが使い果たされるまで、クレジットカード詐欺団は、次の口座に切り替えてその活動を継続する。
【0036】
この実施形態において説明する分析処理、装置及び方法は、特異な行為から生じる特異なパターンを表示し、ユーザが察知するのに役立てるためのものである。そのパターンは、一連の取引又は取引フローの結果であり、上述の例において、その取引はクレジットカード取引の形式を取る。取引フローに現れつつあるパターンを視覚化することによって、クレジットカード詐欺の分析者がビジュアル分析を活用することにより、正規の取引である「通常の」パターンとは区別される例外をより迅速に察知することができる。人間の目及び脳は、データのビジュアル表現の変化、そしてデータを行、列及び表のインデックスで示す表現に、より速く順応することができる。
【0037】
前記の装置及び方法は、取引の中に存在する関連及びシーケンスを視覚的に表示するためのものである。多数の正規の取引の中で異常な活動が視覚的に際立つため、異常な活動への察知がより速くより正確に行われる。視覚化することが可能なデータの量が多ければ多いほど、分析者又は監視者/ユーザはより効率よくパターンを察知することができる。電子取引において必須である分析を、より正確にかつタイムリーに実施可能となる。その電子取引には、金銭の性質のものと、いずれの所与の時間においても非常に大量の取引を受信する、確実に詐欺的なカード取引に関するものとを含む。ツールが視覚化可能であるデータの量が多ければ多いほど、概念化することが可能な時間の量が多くなり、したがって、パターン分析をより安定した正確なものにすることが可能となる。
【0038】
これにより、金融機関は、いつも詐欺が行われる前に、クレジットカード情報が危険にさらされている単一の販売時点を迅速に特定し、そのセキュリティ侵害の時間枠を特定し、潜在的に危険にさられている情報を取引の実施に使用しているおそれがないということを保証するための先を見越した手段を取ることが可能となる。
【0039】
疑わしい取引の特定を容易にするため、説明していくように、この実施形態では、送り元をつなぐ線で取引を表し、クレジットカード口座番号、又はその他の一意的に付随する属性のいずれかと、オンライン若しくは実際のロケーション、又は再びその一意的に付随する属性のいずれかでの、販売時点管理端末を示す送り先とで、取引を表示する。そして処理モジュール11は、一緒にまとめられるべき類似の特徴を共有する取引の表現をもたらす、ビジュアル表示を生成する。
【0040】
図2は、取引をユーザに表示しているユーザインタフェースの略図である。
図2において、曲線が、円の外周にある点をつなぐ。線の各々に、つながりの方向を示すように、明るいものから暗いものへと陰影をつける。外周のまわりで、例えばロケーションの階層、例として国、地域、下位の地域などの階層の中に、点を備える。そのロケーションの階層は、カード所有者の住所のロケーションと、販売時点管理のロケーションとに対応することができる。これらを、図の外周にある弓なりのセクションによって、円の外側にありレイヤ(Layer)0〜4とラベル付けされて示されている、階層の最上部にある要素と、ユニット(Unit)1〜50で示される、階層の新たなレベルにある要素と、円の外周にある点をつなぐ線に隣接して示される、階層の最下レベルにある要素とを用いて表す。
【0041】
図のように、階層の共通した部分を共有する取引を、2つのロケーション間のフローの量を示すように、一緒にまとめる。説明していくように、データを選択することによって、ロケーションのグループか取引のサブセットかのいずれか一方を選択することによって、等で、ユーザはさらなる調査のため、疑わしい取引の一群に狙いを定めることが可能となる。
【0042】
さらにその表示を、特定の情報を強調するように変更してもよい。したがって例えば、特定の環境において、取引の送り元(source)と発端(origin)との区別が望まれる可能性がある。これにより、取引のサブセットを表示することが可能となる。そして、潜在的に疑わしいパターンをより明白にする目的で、例えば取引のタイミング又は取引の頻度若しくは大きさなどの、取引についてのいくつかの他の特徴を強調するため、取引の表現を色で塗り分けるように、画面表示を変更することができる。
【0043】
ここから、
図2に示すような表示を生成するための処理モジュール11の処理を、
図3〜10を参照して詳細に説明していく。
【0044】
処理モジュール11が行う処理のフロー図である
図3を参照すると、最初のステップ(S3−1)で処理モジュール11は、キーボード15及びマウス17を介したユーザ入力への応答として、取引データベース3に最初にアクセスし、ディスプレイ13の生成に使用されることになる取引レコード5を特定する。この最初のステップにおいて、表示されることになるレコード5を、ユーザが定めるようないかなる基準で選択してもよく、ユーザ入力によって処理モジュール11に指し示してもよい。したがって例えばユーザは、特定の時間、ロケーション又は取引量に対応するレコードの一群を選択でき、そのすべてが直接的又は間接的に、取引レコード5それ自体の中に記録される。あるいは、例えば異常に頻度の高い取引、又は量及び貨幣額が多い取引に関連する口座を特定する目的で、取引レコード5を処理することなどによって表示用の取引を選択するために、いくつかの間接的な評価基準を使用してもよい。
【0045】
最初のデータセットを特定すると、処理モジュール11は続いて、ユーザ入力への応答として、選択済みの取引データを表示すべき階層を決定する(S3−2)。
【0046】
使用されることになる階層を、予め保存されている階層をリストから選択しているユーザ入力に応えて、決定してもよい。そうした階層の一例には、口座保有者及び商店主端末のロケーションに基づく階層があるであろう。そのような場合、種々のロケーションを、地理的なロケーションによって、国、地域、下位の地域などにグループ化することができる。
【0047】
あるいは、人工的な階層を、取引レコード5及び口座レコード9の利用可能なデータフィールドから構成してもよい。したがって例えば、ユーザは、取引量を複数の範囲に分類し、これを階層の1番上のレベルに割り当てることができる。その後に、例えば、階層の2番目のレベルに対してMCCコードのカテゴリのグループが続き、階層の3番目のレベルに高いレベルのロケーションのデータを割り当てる。
【0048】
選択された階層でその階層内の送り元ロケーションと送り先ロケーションとの間に個々の取引を割り当てることが可能である場合は、どんなユーザに選択された階層でも使用してよい。単純な地理的な階層の場合、送り元(すなわち、カード所有者の住所のロケーション)と送り先(すなわち、販売時点管理のロケーション)との双方が同一の階層(例えば、国、地域、下位の地域など)を使用可能であることが十分に理解されるであろう。他の場合において、送り元ロケーションと送り先ロケーションとを異なるデータセットを用いて特定するような階層を使用してもよい。必要なのは、選択された階層データが、区別可能なペアのデータ項目で取引データを特定可能とするのに、十分であることだけである。
【0049】
表示すべき取引データを指図するために使用する階層を入力又は選択したら、処理モジュール11は続いて、現在選択されているデータセットと組織的な階層とについての表示イメージの生成へと進む(S3−3)。
【0050】
ここから、表示データを生成するために処理モジュール11がなす処理を、
図4〜10を参照して説明していく。
【0051】
始めに、処理モジュール11がなす処理のフロー図である
図4を参照すると、最初に処理モジュール11は、使用される階層内の要素の各々を画面のロケーションに割り当てる。
【0052】
図5は、例示的な階層を示している樹形図である。このような樹形図では、ルートノードA
0を階層の頂上部に設ける。カテゴリの第1のセットは、図でA
1、B
1、C
1と示すように、階層の第1レベルを形成する。階層の次のレベルを、A
2、B
2、C
2、D
2、E
2、F
2、G
2で示す。最後に、階層の第3層を、A
3、B
3、C
3、D
3、F
3、G
3、H
3、I
3、J
3、K
3で示す。したがって例えば、階層が地理的なロケーションを表すものである場合、A
1、B
1、C
1が国に対応してよく、A
2、B
2、C
2、D
2、E
2、F
2、G
2が地域に対応してよく、そして、B
3、C
3、D
3、F
3、G
3、H
3、I
3、J
3、K
3が下位の地域に対応してよい。
【0053】
本実施形態において、いったん処理モジュールに対して階層を特定したら、階層の種々の項目を画面のロケーションに割り当てる。
図6は、
図5の樹形図のノードへの、座標の割り当てを示す概略図である。
図6において、
図5の樹の種々のノードを、一連の同心円に対応する位置に割り当てる。そこでは、ルートノードA
0を中心に置き、残りのノードをルートノードに関する連続的な同心円に置いて、階層のより低いレベルにあるノードが、階層のより高いセクションにある親ノードの、隣のセクションに現れる。
【0054】
階層の要素について座標のセットを割り当てると、処理モジュールは続いて、プロットすることになる取引の各々を表している一連の線の計算及び描画へと進む(S4−2)。処理モジュールはそれから、取引を表すための、制御座標(control−co−ordinates)のセットを決定する(S4−3)。説明していくように、これら制御座標を、階層上のノードに関連付けられた座標と結果となる曲線をもたらすバンドリング要素とに、多かれ少なかれ基づいて選択し、その結果、階層の対応する部分に関連する線を一緒にまとめて示す。
【0055】
図7は、制御点のセットを決定するための処理モジュールの処理のフロー図であり、
図8は、例示的な階層の葉ノードに関連する2つの位置間のつながりの略図である。
【0056】
最初に
図7を参照すると、ディスプレイ13に示すことになる取引を選択したら、描画されることになる線に関連する送り元及び送り先についての値を決定し、選択済みの階層上の関連するロケーションを決定する。
【0057】
したがって例えば、取引を図示することになると、そこでは、口座保有者の住所と商店主端末のロケーションとに対応する位置をつないでいる線が描かれることになる。このような場合、口座保有者の住所と商店主端末のロケーションとに対応する階層上のノードを、特定することになるであろう。処理モジュール11は続いて、使用される階層内の2つの特定済みのロケーションに対して、最小共通祖先(least common ancestor;LCA)を決定する(S7−1)。それは、口座保有者の住所と商店主端末のロケーションとに対応するノードをつなぐ。
【0058】
一例として
図5の階層を取ると、ノードA
3及びD
3の場合、階層に対応するデータを処理して、樹をわたってのステップ・バックで、A
3及びD
3に対する最小共通祖先はA
1であろうということを決定する。最小共通祖先の識別を、樹構造のノードに対する共通の親を決定するための、いかなる従来プロセスを使用して決定してもよい。
【0059】
したがって例えば、
図5の階層が地理的なロケーションに対応するもので、そこでは上述の例においてロケーションA
1、B
1、C
1が国に対応し、A
2、B
2、C
2、D
2、E
2、F
2、G
2が地域に対応し、A
3、B
3、C
3、D
3、F
3、G
3、H
3、I
3、J
3、K
3が個々の町に対応する場合、A
3で識別される町に関連付けられた住所を有するカード所有者につながっている取引が、A
3と同じ国内ではあるが異なる地域にある町D
3でカードを使用しているということを特定するであろう。
【0060】
図示すべき送り元及び送り先の点に対する最小共通祖先を決定したら、処理モジュール11は続いて、最小共通祖先を経由する、送り元ノードから送り先ノードへとつながる経路に関するリストの生成へと進む(S7−2)。これもまた、従来技術を用いて決定してもよい。
【0061】
したがって、
図5の例示的な階層に対するノードA
3及びD
3の場合、次の経路データ、A
3、A
2、A
1、C
2、D
3を決定するであろう。
【0062】
処理モジュール11は続いて、生成済みのリストが少なくとも3つの要素を含んでいるかどうかの判定へと進む(S7−3)。もしそうでない場合、それは、図示すべき取引に関連するノードが同一の親ノードを共有しているということを意味することになる。この場合、ノードのリストを修正せずにそのまま残す。しかしながら、もし、経路データが1つ以上の要素を含む場合、この実施形態では、最も近接した最小共通祖先への参照をリストから削除する(S7−4)。
【0063】
したがって、経路データA
3、A
2、A
1、C
2、D
3と
図5の階層との場合、その経路データを、A
3、A
2、C
2、D
3となるように変更するであろう。対照的に、例えばノードA
3及びB
3に関連する経路データを決定することになる場合、ここで最小共通祖先はノードA
2であると識別するであろうし、ノードA
3とB
3とをつなぐための経路データを、A
3、A
2、B
3のように生成するであろう。このような、経路データが3つの要素しか含まない場合は、経路データの変更を行わないであろうし、生成された経路データを、A
3、A
2、B
3のまま残すであろう。
【0064】
最小共通祖先への参照を、少なくとも3つの要素を含んでいる経路データから削除した後、続いて、その経路データを、リスト内の最初の要素及び最後の要素のコピーを3つ、リストの始めと終わりとにそれぞれ追加することによって、変更する。
【0065】
したがって、例えば、次のリスト、A
3、A
2、C
2、D
3を有する経路データの場合、そのリストを、A
3、A
3、A
3、A
3、A
2、C
2、D
3、D
3、D
3、D
3となるように変更するであろう。
【0066】
この段階で、経路データのリスト内の要素に関連付けられる座標は、リストの始めの位置と終わりの位置とをつなぐように、追加されたB‐スプラインを含む線を描画する、制御点の第1のセットを定めることになる。このようなカーブは、階層の種々のレベルにあるノードに関連付けられる種々の制御点に向かって曲がることになり、したがって、例えば
図6に示すような、使用する階層の要素に関連付けられる種々の位置の座標に向かって、曲がることになる。
【0067】
経路データ内の要素に関連付けられた座標位置に基づいて線を描画することだけが、2点間のつながりを、単一の方法で描画することを可能にするであろうし、ユーザに、線が種々の制御点から逸脱する程度を変更させないであろう。より激しい逸脱は、階層内で共有される、より高い要素に関連するつながりを、一緒にグループ化することを可能にするため、取引を表している線が逸脱する程度を変更する機能は有利であり、それは、より重要な精査のための取引の選択を容易にする。
【0068】
これを
図8A及び
図8Bによって示す。
図8A及び
図8Bは、バンドリング要素に従って複数の点の間のつながりの図を変化させることを可能とする方法についての略図である。
図8Aにおいて、階層の上位部で共有している要素に関連する取引を線によって示しており、その線は
図8Bのものよりも逸脱が少ない。
図8A及び8Bを調べるとわかるように、これは、取引が階層内のこうした上位要素を共有している程度について、
図8Bに比べると、
図8Aの方がはっきりしないということを意味する。これを、図の中央部で一緒により密接に表現をまとめることによって、達成する。
【0069】
線のバンドリングを、画面スペースを解放することに用いてもよく、そうすると、構造及びパターンが視認可能となり、ユーザは構造及びパターンをより容易に察知及び認識できるようになる。この実施形態において述べた表示は、各々が取引のセットを表している非常に多数の線を保持することができるため、バンドリング動作が不可欠である。一例において、ディスプレイの実際の地所(画素)には、そのような量の線をディスプレイ画面上に示す余地がない。むしろ、線を(仮想の)オーバーレイ・モードで表示する。かなり以前にコンピュータ・ディスプレイの物理的な制限に到達しており、ユーザはもはや関心のある個々の線を容易に識別することはできないであろうし、代わりに、人間の目及び脳はただ、
図8Aに示すようなクラッタ(clutter)を把握するだけである。
図8Bに示すようなバンドリングは、人間がより良く知覚及び理解するためのイメージについての構造を提供し、ユーザが取引のフローを識別するのに役立つ。ユーザがサブセットの詳細又は同等の個々の取引を見たい場合、ユーザは自身のマウスを線の表示の外周に動かすことができ、上に重ねることによってその線を強調することが可能となり、一方、他の線は背景の中へと消えていく。個々の線が見えるようにレンダリングするために、システムは、データセットをズームイン機能のようにレンダリングする、ディスプレイの部分についての動的な照合を可能にしている。
【0070】
取引を表している線を一緒にまとめる程度を変化させる機能を提供するために、経路データのリストに関連付けられた座標に対応する制御点の第1のセットを識別している経路データを決定したら、処理モジュール11は続いて、その制御点の第1のセットによって定まる線の端点間の直線を描画するための、制御点の代替的なセットの決定へと進む(S7−6)。
【0071】
図9は、A及びGとラベル付けされている2つの位置間の接続の略図であり、そのA及びGを
図9において太い線で示されているカーブがつないでいる。そのカーブには、制御点A、B、C、D、E、F、Gによって定められる、追加されたB‐スプラインのセットを含む。
【0072】
2つの位置A及びG間の代替的なつながりは、2点間の直線であろう。そのような線を、追加されたB‐スプラインのセットによって表してよく、その場合、上記のB‐スプラインに対する制御点は、A及びGをつないでいる線に沿って位置する座標を有する。
【0073】
直線のつながりについての制御点の代替的なセットを、位置A及びGに関連付けられた座標から導出してよく、その後、その線上の複数の点を選択してよい。本実施形態において、代替的な制御点B’、C’、D’及びE’をそれぞれ、制御点B、C、D及びEの位置に最も近い、線A‐G上の位置を計算することによって決定する。
【0074】
続いて、A及びGをつないでいる、多かれ少なかれカーブしている線に対する制御点を、元の制御点及び代替的な制御点に関連付けられた座標の加重平均を用いて決定してよい(S7−7)。つまり、A及びG間のつながりを描画するための制御点を、
図9に示す点線のいずれかに沿った位置となるように選択してよく、その点線は、B及びB’、C及びC’、D及びD’並びにE及びE’をつないでいる。こうした線に対する制御点を、以下の式
制御点座標 = (1−B)×(元の座標 + B(代替的な座標)
を用いて計算することが可能である。ここでBは、使用されることになる、選択済みのバンドリング要素である。
【0075】
1というバンドリング要素を選択する場合、曲線は制御点として元の座標を使用することになる。一方、0というバンドリング要素を選択する場合、つながりを、始点と終点とをつないでいる直線で表すことになる。
【0076】
その後、生成された制御点のセットの4つのグループを重ねることを、送り元要素に関連する位置と送り先要素に関連する位置との間の線を描画することに用いてよい。より詳細には、4つの制御点の各セットを、3次のB‐スプラインに対する制御点として使用してよく、送り元要素と送り先要素とをつないでいる線全体を、これらの個々のB‐スプラインの結び付きによって形成される、1個の賢い3次のB‐スプライン(piece wise cubic b−spline)として使用してよい。
【0077】
図4を参照すると、取引を表すための制御点のセットを、その取引に対する送り元と送り先とに対応する2つの位置をつないでいるB‐スプラインとして決定したら、処理モジュール11は続いて、制御点を用いて各B‐スプラインを描画するための、形状のセットの決定へと進む(S4−4)。
【0078】
数学上、B‐スプラインは、制御点のセットに関連する座標にもっぱら基づいて十分に定義されている。B‐スプラインをイメージとしてレンダリングする場合、描画されることになる数学的なカーブを、コンピュータがレンダリング可能である形状のセットに分けることが必要となる。これは、レンダリングするにあたり、そのカーブに厚さを与えなければならないために必要であり、結果として、そのカーブのレンダリングが見えるようになる。
【0079】
ここから、上記の表現を決定するための処理を、
図10及び11を参照して説明していく。
図10は処理モジュール11の処理のフロー図であり、
図11はレンダリングされるカーブの例示的なセクションである。
【0080】
上記のレンダリングを達成するために、最初に(S10−1)、レンダリングされることになる線上の点のセットを決定する。その点に対する座標を、レンダリングされることになるカーブに対するB‐スプラインについての制御座標を直接処理することによって決定してよい。これらは点のセットを含むことになり、その点のすべてが、レンダリングされることになるカーブの中間に位置しなければならない。
【0081】
図11は、レンダリングされることになるカーブの例示的なセクションである。その図において、黒い太線上に位置する点50、51、52、53は、レンダリングされることになる線の部分に対応するように数学上決定された点から成る。
【0082】
第1の点50から始めると、処理モジュールは続いて、その点にある線の端についての座標を決定する(S10−2)。これを、その線上の第1の点50及び第2の点51をつなぐ軌道に対する垂線(N)と、第1の点50から±w/2の長さとを決定することと、レンダリングされることになる線の始めの角54、55にこれらの座標を割り当てることとによって、達成する。このようにして、レンダリングされることになる線の選択された幅に対応する、距離wだけ離れている2つの座標54、55を識別し、そこでは、第1の選択された点50が2つの点54、55の中間に位置する。
【0083】
最初の端点54、55を決定すると、処理モジュール11は続いて、レンダリングされることになる数学上の線上に位置する第1の点50及び第2の点51と、第2の点51及び第3の点52とをつなぐ線によって形成される角度を二等分する、単位ベクトル(V
1)の計算へと進む(S10−3)。
【0084】
続いて、カーブの最初のセクションを表している四角形に対する座標を、点56、57を識別することによって決定する(S10−4)。その点56、57は、レンダリングされることになる数学上のカーブ上に位置する第2の点51からの距離が±w/(2sinθ
1)V
1であり、ここでθ
1は、レンダリングされることになるカーブ上の第1の点50と第2の点51とをつないでいる線と、ベクトルV
1との間の角度である。
【0085】
第1のセクションをレンダリングするための四角形の座標を計算したら、処理モジュール11は続いて、現在全部の線をレンダリングしたかどうかを確かめるために、チェックを行う(S10−5)。
【0086】
上記が当てはまらない場合には、処理モジュール11は続いて、レンダリングされることになる数学上のカーブ上の点についての次の2つのペアをつないでいる線を二等分するベクトルの計算へと進む(S10−3)。このようにして、その線上の第1の点50、第2の点51及び第3の点52を処理したら、処理モジュール11はそれから、レンダリングされることになるカーブ上の第2の点51及び第3の点52と、第3の点52及び第4の点53とをつなぐ線を二等分するベクトルV
2を決定することになる。
【0087】
いったんこのベクトルを決定したら、そのカーブの次のセクションを表すための、次の四角形に対する端点を、ベクトルV
2を用いて決定する(S10−4)。そこでは、レンダリングされることになるカーブ上の第2の点51及び第3の点52と、第3の点52及び第4の点53とをつないでいる線の間の角度が、ベクトルV
2によってθ
2に二等分される。その後、処理モジュール11は、レンダリングされることになるカーブの端点に達しているかどうかをここで再びチェックする(S10−5)。
【0088】
図4に戻って、取引についての送り元及び送り先に対応する位置をつないでいる線を表すように、四角形のセットを決定したら、処理モジュールは続いて、その線に対する色付けを決定する(S4−5)。
【0089】
その線に対する色付けを、どんな情報をユーザが強調したいかに依存して、複数の種々の方法で決定してよい。そうあるようにユーザが選択した場合、処理モジュール11を、ユーザが表示された取引についての送り元及び送り先を区別することが可能となるように、例えば赤から緑へと色を変化させる線をレンダリングするように備えてよい。上記の場合、線のセグメントの色付けについての決定を、線のある部分に割り当てられる色が、その線上で位置する部分によって決まるように、なすであろう。
【0090】
代わりに、処理モジュール11を、いくつかの他の要素に基づいて、取引を色で塗り分けるように備えてよい。例えば、種々の色を、取引のタイミング、取引の大きさ、又は特定の取引がなされた頻度に依存して、取引に割り当ててよい。そうした色付けにより、ユーザは、一定の基準を共有している取引をさらなる分析のために識別することが可能となる。
【0091】
取引を表している線を色付けるために使用する色付けを決定したら、処理モジュール11は続いて、線をグラフィックバッファ14に、標準のオープンGLの手法を用いてレンダリングする(S4−6)。
【0092】
種々の取引に対応する種々の線をレンダリングする場合、その線を、先にレンダリング済みの線が後からレンダリングする線によって上書きされるように、レンダリンクしてよい。しかしながら、取引に関する追加の情報を示すように線を色付けする場合、好ましいのは、種々の取引のレンダリングを組み合わせるにあたり、処理モジュール11がそのレンダリングに基づいていずれの具体的な位置にも対応する最大の色値を決定することである。こうした方法には、大部分の取引とは異なる線を強調するという利点があり、外れ値をより明白にする。
【0093】
現在選択されている取引を、ディスプレイ上に線としてレンダリングしたら、処理モジュール11は続いて、最後の取引に達しているかどうかを判定する(S4−7)。そうでない場合には、最後の取引に達しているかどうかを処理モジュールがここで再びチェックする(S4−7)前に、次の取引を選択し(S4−8)、処理し(S4−3〜S4−5)、グラフィックバッファ14にレンダリングする(S4−6)。
【0094】
最後の取引を処理した場合、処理モジュール11は続いて、グラフィックバッファ14に保存されているイメージを表示させることができる(S4−9)。
【0095】
いくつかの実施形態において、グラフィックバッファの内容を表示前に変更することが好ましい場合がある。具体的には、種々の取引を表している線の間の重なっている点にある特定のチャネルに対する最大の色値を決定することによって、取引を表している線をレンダリングする場合、処理モジュール11は、その表現に対するある種のアルファブレンディングを模倣するために、色値の変更へと進んでよい。
【0096】
上述したように互いに重なる線をレンダリングする場合、単に最後の上書きを用いて、その情報を画面上に表示するだけとすることが、そうした領域を扱う1つの方法となる。別の方法は、複数の表現のアルファブレンドを取ることであろう。これは、重なっている領域をより暗く見せるであろうし、したがって、重なっている領域にある複数の取引の情報をユーザに提供するであろう。しかしながら、アルファブレンドの手法を用いることは、色の表現を平均化する。したがって、ある取引が画面の特定の部分に表示される主要な取引とは見掛けが異なる場合、重なっている領域の平均の見掛けに対して、単一の外れ値の取引が有する影響は非常に限られることになるため、その差異が明白にならないおそれがある。
【0097】
重なっている領域を、最大の色値を用いてレンダリングすることが好ましい場合があるのは、このためである。こうして例えば、画面の一部分にある取引の大多数を緑でレンダリングし、外れ値の取引を赤でレンダリングすることとした場合、それでも、その外れ値の取引の存在は画面上で明白となるであろう。
【0098】
このような方法の欠点は、イメージ内のアルファブレンディングの結果を使用せずにむしろ、重なっている領域を表すために最大の色値を使用することであり、そこでは、ある領域が上書きされた回数が不明となってしまう。したがって、ある位置について単に最大の色値を使用すると、それは、画面の特定の領域にレンダリングされる取引の数を識別可能とすることを、やめることになる。
【0099】
しかしながら、外れ値の取引を強調することと、ある特定の領域内にレンダリングされる複数の取引に関して明白にすることとを可能とする、折衷案の方法をなすことが可能である。これは、最大の色値を選択している、重なっている領域をレンダリングし、続いて、アルファブレンディングを使用して、ソリッド・カラー(すなわち、黒又は白)でのその線の再レンダリングの結果を組み合わせることによる。その後、ソリッド・カラーでの再レンダリングは、ある特定の位置で重なっている線の数が分かるように、最大の色値をどのように変更すべきかに関するデータを提供する。
【0100】
代わりに、線の色付けを他の方法で決定してもよい。しばしば、十分な範囲の色及び陰影を、イメージ上の線を表すために使用すべきであるということが、望まれるであろう。そのような実施形態において、画面上の特定の点の上書きについての程度を定めてもよく、画面上の上書きが最も多い部分と最も少ない部分とに、最も明るい色と最も暗い色とをマップし、画面の中間部分に中間の色をマップするように、色付けを調整してよい。上記の実施形態において、画面の中間部分のマッピングは線形であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、ある種の非線形のマッピングが好ましい場合がある。適切な非線形の色マッピングには、例えば、対数で表されたマッピング、又は自然対数の底で表されたマッピングを含んでよい。非線形のマッピングを用いることは、それら非線形のマッピングにより、外れ値をより明確に表すことが可能になるであろうことから、好ましい場合がある。
【0101】
選択された取引の表現を画面上にレンダリング及び表示すると、続いて、ユーザはキーボード15及びマウス17を用いて、表示を変化させるよう、選択を入力することが可能となる。
【0102】
典型的には、ユーザ入力は、取引に属するか、要素、階層及び/又はレンダリングに属するかのいずれかである、取引、属性についての代替的な選択に基づいて、表示を再レンダリングすることを処理モジュール11に指示するであろう。
【0103】
図12〜16は、簿記入力及び銀行取引に関する取引データの分析に使用する、上述したシステムの、例示的な画面表示である。
【0104】
図12に示すように、この例において、画面表示を2つの部分で示す。第1のセクション100では、取引を、円の中に配置された送り元及び送り先をつなぐ線で示し、第2のセクション102では、取引を、時間順で又は取引に関連する順序で配置された一連の直線で示す。
【0105】
この例において使用される階層は、分岐によって構造化された、総勘定元帳勘定、下位の元帳、仮勘定、残高勘定、損益勘定及び銀行の個々の顧客口座に、関連付けられる見出しを有する。元帳のスキームに包含される階層は、取引を分析することができる、詳細な、比較的安定した階層を定義するので、本出願に記載の方法を使用する分析に特に適している。一般に、勘定科目表は1年に1回、ごくまれに変更されるのみである。
【0106】
本図において、画面の第1のセクション100では、個々の勘定が、図の最上部から時計回りに伸びている円の約3分の2を占めるように示されており、勘定元帳階層が、円の残りのセクションに沿って伸びている。
【0107】
画面の第2のセクション102では、使用する階層を、取引を表している線の上部に示す。画面のこのセクションでは、個々の線が、取引の送り元及び送り先に対応する点の間に伸びている。
【0108】
第1のセクション100及び第2のセクション102の双方において、取引に対応する線に、選択された属性、例えば、送り元から送り先への方向、又は取引のフローの期間を示すように陰影を付ける。実施形態において、これを、色を用いて最も良く示すことができる。
図12は、画面のセクション100、102の双方内の取引に対応する、8777本の線の図を示している。
【0109】
図12に示す方法の取引データの図は、取引データについてのユーザ調査及び操作を容易にする。具体的には、選択された階層を用いる画面の第1のセクション100は、勘定と対応する勘定元帳との間の金額の流れを示す。それに対して、第2のセクション102は、個々の入力のタイミングに関連する情報をユーザに提供する。第2のセクション102の線の順序は、取引に関連付けられたレコード番号か、あるいは取引に関連付けられた時間データかの、いずれかの基準に基づいてよい。その表示は、表示される取引の範囲を確認するために、目盛りの表現を含んでよい。したがって例えば、レコードの範囲又は日付若しくは時刻の範囲についての目安を表示してよい。
【0110】
キーボード15又はマウス17を用いて、ユーザはその後、さらに調査するために、利用可能な情報の範囲内でドリルダウンを行ってよい。
【0111】
したがって例えば、ユーザは、特定の時間、量又は頻度に限定された取引を表示するように、取引を選択する基準を入力することができ、すると、そうした基準に合う取引だけが、画面での表示用に取引データベース3から抽出されるであろう。画面ディスプレイ13を、使用されることになる選択基準を示すデータのそうした選択又は入力を容易にするために、ユーザ選択可能なメニューを表示するように備えてもよい。
【0112】
あるいは、表示される取引のサブセットを、マウス17の制御下でポインタを用いて、画面のセクションを識別することによって作成してもよい。そのような場合、どの取引が画面の特定のセクションへの表示データのレンダリングにつながるのかを識別することが必要であろう。これを、特定の表示をレンダリングするために使用するグラフィックバッファ14にレンダリングされる表示データをチェックすることによって、達成することができる。
【0113】
調査すべき取引を識別するために、画面上に線を描画することによって取引を選択する場合、上記の方法に対する問題が生じる。これは、その線が、レンダリングされる画素と交差しないことになる可能性があるからである。これは、斜線を描画する場合、斜線のレンダリングは、共通する画素が1つもない、異なる角度での別の線を通過することになる可能性があるため、特に問題となる。そうした問題を、複数の画素の濃淡の箱を定義してその箱の中のどこかで生じるレンダリングを識別するように、ポインタを用いた線の識別を使用することによって回避することができる。しかしながら、これは、あまりに多くの取引が関心ありと識別されることにつながるおそれがある。
【0114】
しかしながら、代わりの方法は、角度を識別するために線の描画を使用することと、グラフィックバッファ14内の現在のディスプレイについての表現を、ディスプレイを更新することなく、再レンダリングすることとになるであろう。そこでは、レンダリングが、線の角度に基づいてディスプレイに回転を適用する。これは続いて、選択された線が、再レンダリングされた画像内の画素の行又は列に対応することを保証するであろう。そうした場合、その行又は列の選択された部分に対応する取引についてのどんなレンダリングも確実に識別することが可能となる。
【0115】
図12に示す取引の場合、画面の第2のセクション102に示す取引は当然ながら4つのブロック104〜110を形成することが、図から明らかである。
【0116】
図13は、
図12のブロック104〜110のうちの第1のブロック104を表示用に選択することとした場合、どのように画面を更新することになるかの例示である。これは図示されることになる取引の数を、8777から1499に削減するであろう。続いて、
図13に示す表示の内容を確認することにより、この例において、そのブロックは、対応する借方及び貸方の取引から主に構成され、最も厚い束の線112によって示される最大数の取引は、このデータセットにおいて会社成績及び対外債務に関連する総勘定元帳勘定のペアの間の対応する振替から主に構成されるということが明らかになるであろう。
【0117】
図14は、
図12のブロック104〜110のうちの第2のブロック106を表示用に選択することとした場合、どのように画面を更新することになるかの例示である。これは、異なるセットの取引が強調されることを引き起こすであろう。この例において、その取引は、現金勘定から支払われる2766の取引を含み、その現金勘定は、取引114に関して、多数の個々の勘定に対して共通の発端であるということを示す。
【0118】
図14に示すように、取引のレンダリングを、このブロック内の取引のみに限定する場合、取引についてのさらに下位区分116が表示の第2のセクション102において明白になる。
【0119】
同様な方法で、この下位区分を選択し、その結果を表示してもよい。そうした選択を行った結果を
図15に示す。
【0120】
勘定データを図示することは、異常なパターンのデータをユーザに対してより明白にする。多数のそうした異常なパターンを
図16に示す。
【0121】
図16は、
図12の取引を、第3のブロックの取引108に限定した結果の例示である。これらの取引には、現金勘定へと支払われる取引を含む。しかしながら、すべての取引が共通の発端を有する
図14とは対照的に、
図16では、取引118のうちの1つが総勘定元帳勘定の異なる部分につながるように示されており、複数の取引120は、総勘定元帳勘定につながっているというよりもむしろ、送り元及び送り先の双方を個々の勘定として有するように示されている。さらに、
図16において、取引122のグループが画面の第2のセクション102において明らかであり、それは追加の調査を必要とする可能性がある。
【0122】
どんなそうした取引も潜在的に誤っている可能性があり、したがって、さらなる調査を必要とする場合がある。そして、そうした調査を容易にするために、上述の個々又はグループの取引を選択することにより、そうした取引に関する追加の情報を表示させてよい。
【0123】
さらなる調査のために取引のグループを選択することに加えて、表示されることになる取引のサブセットを選択する他の方法を備えてもよい。ユーザは、階層の部分を選択することと、考慮される取引からそれらを消去することとが可能であってよい。そうした例において、階層の除外された部分に関するどんな取引も、レンダリングされないであろう。さらに、処理モジュール11を、残りの取引をより良く識別することが可能となるように、座標位置を階層の残りの部分に再割り当てするように備えてよい。
【0124】
取引の調査及び選択を容易にする追加の方法は、処理モジュール11が、イメージをレンダリングする目的で使用されることになるバンドリング要素を変更するためのユーザ入力に、応答することを可能とすることであろう。
図8A及び8Bに示すように、バンドリング要素を変化させることは、階層内でより高い要素を共有している取引を一緒にグループ化する程度を変化させる。これは続いて、取引のそうしたグループを画面上で選択することを容易にするであろう。
【0125】
表示を変更することが可能となるさらなる方法は、処理モジュール11が、選択された階層に関連付けられている座標を変更するためのユーザ入力に、応答することであろう。したがって例えば、ある階層内の要素を、
図6に示したような、一連の同心円に配置された位置と関連付けることに代わって、階層の要素を一連の線に配置してもよい。そのような配置は、取引に関する送り元及び送り先のデータを種々の階層について分析することになるようなデータを分析する場合に特に適しているであろう。
【0126】
別の代替手段は、例えば、送り元と送り先とを区別する方法よりもむしろ、時間順序に基づいて線を色付けるように、イメージを色付けるルールを変更することであろう。
【0127】
前の例において、取引データを、円の外周辺りに配置された点の間のつながりのセットとしてレンダリングするように、図示してきた。取引の配置を、線を描画するために制御点に座標を割り当てることと、したがって、使用される階層内の要素に座標を割り当てることによって決定することとが、十分に理解されるであろう。
【0128】
座標のセットを、一連の同心円に配置された階層内の要素に割り当てることに代わって、代替的な方法は、そうした座標を、一連の直線に位置するように配置することであろう。
図17は、階層メンバに割り当てられた座標のセットを用いてレンダリングされる取引のセットの例示であり、そこでは、そうした座標を一連の直線に配置している。
【0129】
図17において、離れたラベルのセット200、202を示し、送り元の階層と送り先の階層とを識別している。続いて、階層内の要素についての座標に位置を割り当て、そこでは、座標が、平行な線のセット204のうちの1つに位置し、階層内で最上の要素が、そのセット204の中心に最も近い線に位置し、葉ノードは、ラベルにすぐ近接する線上に位置する点に関連付けられる。
【0130】
この方法における取引の図は、送り元の要素と送り先の要素とについて使用される階層が異なるような取引の図示に特に適していることが、十分理解されるであろう。
【0131】
上述において、システムが、クレジットカードデータの分析を容易にすることを説明し、一例として、会社内での金銭取引の分析を容易にすることを示してきたが、そのシステムは、どんな種類の取引データのイメージング、マッピング及び分析にも適応させることが可能であり、そこでは、取引を送り元及び送り先に関連付けることができ、その送り元及び送り先を階層内のノードに関連付けることができるということが、十分理解されるであろう。したがって例えば、説明したシステムを、多くの種類の金銭データ又は銀行データの確認及び調査を容易にするように、適応させてよい。
【0132】
したがって例えば、電子送金を分析することが可能である。そうしたシステムにおいて、以下のような
・送り手(originator)
・送り手の銀行
・受け手
・訴訟書類番号(Bates number)又はスウィフト・コード(Swift code)
・取引日付
・通貨種別
・取引額
・取引種別
といった情報が、大抵の取引に対して利用可能であろう。
【0133】
その後、このデータを、取引に関する送り手、受け手又は訴訟書類番号若しくはスウィフト・コードに基づいて、取引に割り当てることが可能な国コード又は市コードを用いて補ってもよい。この地理的な情報を、データを表示する階層の基準として使用してよく、またあるいは、階層を、上記の金銭の出入り等の総額などからか、またあるいはその上記から導出されるかのいずれかにより、他の属性のグループに基づいて構築してもよい。最後に、取引を表している線を、上記から選択された情報を表示するように、またあるいは送り元及び送り先を区別するように、色付けしてよい。
【0134】
分析に適切であろうデータのさらなる例は、詐欺の察知を容易にすることに役立つ、医療費請求データであろう。
【0135】
典型的に、医療費請求データには、
・複数の医療提供者
・医療の要求
・要求人のグループ
・施設のグループ
・CPTコード
・CPTコードの日付時刻スタンプ
・複数の個々のグループ
・耐久性のある医療会社
・患者
・患者性別
・患者年齢
・医療クリニック
・クリニック開院時間
を含む。
【0136】
その後、そのようなデータを、これらから導出される階層に基づいて、異常なパターンを識別するために分析してよい。その異常なパターンにおいて、例えば、同一の治療コースを示すCPTコードの繰り返しが、詐欺の結果、またあるいは、請求を容易にするためのCPTコードの、誤使用の結果であるおそれがある。
【0137】
さらに、金銭データを、取引の調査を容易にするために、他のソースからのデータと組み合わせてもよい。したがって例えば、勘定を、したがって取引を、個人に関連付けることが可能である場合、金銭取引データを、そうした個人間の他のやりとり、例えば、Eメールメッセージ、テキストメッセージ、ソーシャル・メディア交流又は電話通話記録などを識別しているデータを用いて補ってよい。
【0138】
上記の実施形態において、取引を線で表すように説明しており、そこでは、取引を表しているデータを、ディスプレイに接続されているグラフィックバッファ14にレンダリングする。そうした方法で取引を表現することは、ディスプレイ13の迅速な更新を容易にすることが、十分に理解されるであろう。説明したようにより詳細には、取引を、グラフィックバッファ14にレンダリングされる初期の要素のセットによって示す。取引のサブセットを表示させたい場合、ディスプレイを更新する命令をある命令に限定してよく、その命令により、選択された取引に関するデータのみが、ディスプレイ13の更新に使用されることをもたらす。しかしながら、残りの取引に関するデータは、後続の表示をレンダリングする目的でグラフィックバッファ14になお残り続けてもよい。さらに、接合された3次のB‐スプラインに対応する四角形のセットの形式で取引を表すようにさせることによって、取引を表すのに必要な処理を、システムのスピードを向上させる専用のグラフィックプロセッサによってなすことが可能となる。
【0139】
上記の実施形態において説明したように、関連性を表している線を色付けすることを、調整された結果を用いて画面の一部分が上書きされた回数間でのある種のマッピングに基づいて決定してよく、結果として、表示することが可能な十分な範囲の色が画面上に明らかとなる。線の色を変更することに加えて、又はそれに代わって、線がイメージに表れる場合、線の太さを同様の方法で調整してもよい。したがって例えば、多くの類似の取引が発生する場合、より太い線をそうした取引を表すのに使用してよい。
【0140】
線の色付けと同様に、適切な線の太さの選択を、表示されることになる最多の取引及び最少の取引を特定することと、そうした取引を最も太い線及び最も細い線にマッピングすることと、そして、中間の頻度の取引を中間の太さの線で表すこととによって、なしてよい。
【0141】
そうした実施形態において、頻度のより少ない取引に対応する線を、実際の頻度が示唆するよりも厚い線を用いて表すように、ある種のスケーリング、例えば対数で表された関数又はべき関数などに基づいて頻度をマップすることが好ましい場合がある。
【0142】
いくつかの実施形態において、すべての取引を、同じ厚さの線を用いて描画するように備えることが好ましい場合がある。他の実施形態において、低頻度の取引についての相対的な厚さを大きく見せることや、より高頻度の取引を表している相対的な厚さを最小化することが好ましい場合がある。
【0143】
そうしたスケーリングを達成することに対する1つの方法は、値xを値x
pにマップするような、べき法則を使用することであろう。ここで値pは、最大値に対して使用されることになる表現に基づいて選択する。そのような一実施形態において、pを0と等しくなるように選択する場合、スケーリングは発生しないであろうし、正の値は、より高頻度の取引を強調させるであろうし、一方で負の値は、より低頻度の値の表現を増加させるであろう。
【0144】
同様にして、スケーリング機能を、取引の発端又は宛先を表しているセクションの表現のサイズを決定するのに使用してもよい。したがって例えば、制御点の位置を、端又は外周に沿って均一に分布させるように選択することよりもむしろ、制御点の位置が、表示されることになる取引の数に基づいていてよい。また、上記の値が、その数に直接基づくか、あるいは、より高頻度の取引を強調するか強調しないかのいずれかとなるように数を調整したマッピングに基づくかの、いずれかであってよい。
【0145】
イメージの外周又は端における、色、線の太さ及び制御点の配置の選択は、取引の頻度以外の変数に基づいて決定してよいことも、十分に理解されるであろう。適切な変数を、取引に関連するデータから直接決定してよく、またあるいは、そのようなデータを処理することによって導出される変数に基づいて決定してもよい。
【0146】
詳細に説明した本例において、3つのレベルを有する階層を図示及び議論してきたが、他の実施形態において、より多くの数のレベルを有する階層を使用可能であることが、十分理解されるであろう。
【0147】
図面を参照して説明した本発明の実施形態はコンピュータ装置と、コンピュータ装置内で実行される処理とを含み、さらに本発明は、本発明の実現に適合する、コンピュータプログラム、特に、運搬手段(carrier)上又は運搬手段内のコンピュータプログラムに広がる。プログラムは、ソース若しくはオブジェクトコードの形式であってよく、又は本発明に係る処理の実装用に適切な、どんな他の形式であってもよい。運搬手段は、プログラムを運ぶことが可能ないかなるエンティティ又はデバイスであってもよい。
【0148】
例えば、運搬手段には、ストレージ媒体、例えばROM、例としてCDROM若しくは半導体ROMなど、又は磁気記録媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク若しくはハードディスクを含んでよい。さらに、運搬手段は、送信可能な運搬手段、例えば、電気ケーブル若しくは光ケーブルを用いて、又は無線若しくは他の手段によって伝達が可能な電気的信号又は光信号などであってもよい。
【0149】
プログラムを、ケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって直接伝達可能な信号で実施する場合、運搬手段をそうしたケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成してよい。
【0150】
あるいは、運搬手段はプログラムが組み込まれた集積回路であってよく、その集積回路を、関連する処理の実行に、又は関連する処理の実行用に、適合させてよい。