特許第5710070号(P5710070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710070
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】プラグインコネクタケーシング
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20150409BHJP
   H01R 4/26 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   H01R13/648
   H01R4/26
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-510659(P2014-510659)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2014-513862(P2014-513862A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】DE2012100079
(87)【国際公開番号】WO2012155894
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2013年11月18日
(31)【優先権主張番号】102011106293.2
(32)【優先日】2011年5月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390040372
【氏名又は名称】ハルティング コマンデイトゲゼルシャフト アウフ アクチエン
【氏名又は名称原語表記】HARTING KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベネケン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーク ドブリック
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー ダムシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク シュターパーフェルト
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−117937(JP,A)
【文献】 国際公開第99/014399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648
H01R 12/00
H01R 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体となって1つのプラグインコネクタケーシングをなす少なくとも1つのケーシング上部(1)と少なくとも1つのケーシング下部(5)とから形成されており、
前記ケーシング上部(1)および前記ケーシング下部(5)は1つの導電性材料から製造されており、
前記ケーシング上部(1)および前記ケーシング下部(5)は腐食に対する保護のための表面コーティングを備えており、
前記ケーシング上部(1)および前記ケーシング下部(5)は、該ケーシング上部(1)と該ケーシング下部(5)とが相互に接続される際に少なくとも部分的に接触し合うそれぞれ1つずつのコンタクト面(3,9a,9b)を有している、
プラグインコネクタケーシングにおいて、
各コンタクト面のうち少なくとも1つは、一体となって1つのエッジ(9)をなす2つの部分面(9a,9b)から形成されており、
各コンタクト面(3,9a,9b)間の接触は前記エッジ(9)に沿って行われ
一方のコンタクト面(3)の表面コーティングは、他方のコンタクト面(9a,9b)のエッジ(9)によって切れ込み可能であり、
その結果、これらのコンタクト面(3,9a,9b)は、互いに線状の電気的コンタクトを形成する、
ことを特徴とするプラグインコネクタケーシング。
【請求項2】
前記2つの部分面(9a,9b)は相互に所定の鈍角をなしている、請求項1記載のプラグインコネクタケーシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念記載のプラグインコネクタケーシングに関する。
【0002】
こうしたプラグインコネクタケーシングは、例えば電流もしくは光波もしくは空気信号を伝送するコンタクト部材を収容するものである。
【0003】
従来技術
金属製のプラグインコネクタケーシングは、例えば、上述したようなコンタクト部材を収容したケーシング内部を電磁的に遮閉保護するために用いられる。
【0004】
こうした遮閉保護部の品質は、通常、いわゆる伝達インピーダンス(結合抵抗とも称する)を測定することによって求められる。伝達インピーダンスが低下するにつれ、プラグインコネクタケーシングの遮閉作用は高まる。伝達インピーダンスを求めることは、エレクトロニクス産業の実験検査部門の技術者にとってはよく知られた課題である。
【0005】
欧州公開第957540号公報には、電気的に遮閉されたプラグインコネクタケーシングが示されている。2つのケーシング部分を相互に電気的に接続するために、導電性部材としてのシーリング部が設けられている。
【0006】
独国公開第102005040425号公報には、機器の開口を通して電力を導入するためのプラグインコネクタが示されている。ケーシング容器とコネクタとの間のコンタクト部は真鍮環によって実現されている。プラグインコネクタのうち外部から可視の部品は環境影響に対して抵抗性を有する表面によってコーティングされている。
【0007】
金属製のプラグインコネクタケーシングでの腐食保護を改善するために、個々のケーシング半部の表面には例えば薄膜コーティングが設けられる。
【0008】
独国実用新案第202004014020号には、ニッケル製の導電性の表面コーティングを備えたプラグインコネクタが示されている。
【0009】
製造技術的な理由から、プラグインコネクタの各ケーシング部分のうち、組み合わされた状態で相互に接触する領域には、しばしばコーティングが設けられる。この領域はコンタクト面と称される。
【0010】
有利には、こうしたコーティングは、ケイ素の基本骨格と水素との化合物、いわゆるシランから形成される。
【0011】
国際公開第9914399号公報には、腐食保護のために金属表面をシランでコーティングする方法が示されている。
【0012】
シラン処理されたケーシング部分間の電気的コンタクトは、コーティングを有さないケーシング部分間の電気コンタクトに比べて劣悪である。これにより、伝達インピーダンスは高くなり、プラグインコネクタケーシングの遮閉作用は低下する。
【0013】
課題
本発明の課題は、腐食耐性および良好な遮閉特性を有するプラグインコネクタケーシングを提供することである。
【0014】
この課題は請求項1記載の特徴を有するプラグインコネクタケーシングによって解決される。
【0015】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0016】
プラグインコネクタケーシングは、通常、2つのケーシング半部すなわちケーシング上部およびケーシング下部から形成される。ケーシング上部は所定の挿入方向での挿入によってケーシング下部へ組み合わされる。さらに別のケーシング部分(またはアセンブリ部分)を設けてもよい。例えば、通常ケーシング上部内に配置されるケーブル引き出し部を付加的なケーシング部分として設けることができる。別個のケーブル引き出し部をねじ山によってケーシング上部にねじ込むように構成してもよい。この場合、ケーシング上部は、ケーブル引き出し部をねじ込み可能な複数の位置を含む。このようにすればプラグインコネクタケーシングをいっそうフレキシブルに利用できる。
【0017】
ふつう、ケーシング上部およびケーシング下部は導電性の金属材料から製造される。これにより、プラグインコネクタケーシングは厳しい工業環境での利用に対して充分にローバストとなる。さらなる利点は、ケーシング内部を外部環境から電磁的に遮閉できることである。
【0018】
工業環境では、プラグインコネクタケーシングは噴射水流および/または化学物質(例えば印刷機での印刷色素)に曝されることが多い。プラグインコネクタケーシングを腐食から保護するために、個々のケーシング半部にはしばしば表面コーティングが設けられる。有利には表面コーティングはシラン層である。このプロセスをプラグインコネクタケーシングのシラン処理とも称する。
【0019】
なお、本明細書では、「ケーシング半部」なる語をケーシング上部およびケーシング下部と同じ意味で用いる。
【0020】
少なくとも一方のケーシング半部にコンタクト部材を実装し、このコンタクト部材を接続されるべきケーブルの個々の導体に接続した後、各ケーシング半部は挿入方向で挿入されて組み合わされ、続いて例えば相互にねじ止めされる。組み合わされたケーシング半部間の接触はいわゆるコンタクト面で行われる。
【0021】
上述した挿入方向は、通常、個々のケーシング半部の軸線に沿った方向である。
【0022】
ケーシング半部を表面コーティングする際には、通常は、一方のケーシング半部のコンタクト面にコーティングが行われる。もちろん2つのケーシング半部の双方のコンタクト面をコーティングしてもよい。
【0023】
表面コーティング、特に上述したシラン処理は、各ケーシング半部のコンタクト面間の導電性を低下させる。このため、上述した伝達インピーダンスは低下し、プラグインコネクタケーシングの電磁的遮閉作用も低下する。
【0024】
本発明によれば、一方のケーシング半部のコンタクト面が他方のケーシング半部のコンタクト面に対してエッジをなすことにより、この問題が解決される。2つのコンタクト面間の接触部は線状に構成される。
【0025】
各ケーシング半部を挿入によって組み合わせると、一方のコンタクト面のエッジが他方のコンタクト面の表面コーティングへ切れ込む。このため表面コーティングを突き抜いて2つのケーシング半部間の電気コンタクトが形成される。
【0026】
言い換えれば、2つのケーシング半部を挿入によって組み合わせる際に、第1のコンタクト面の鋭いエッジが第2のコンタクト面上のコーティング面を削り取ることにより、一方のケーシング半部の導電性の基本材料が再び露出される。同時に、第1のコンタクト面のエッジ上のコーティング材料も剥離する。こうして、第1のコンタクト面のコーティングの無くなったエッジが第2のコーティングの無くなったコンタクト面に線状に導電接触するのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ケーシング上部の斜視図である。
図2】ケーシング下部の斜視図である。
図3】ケーシング上部およびケーシング下部を相互に組み合わせた際の断面図である。
【0028】
本発明の実施例を図示し、以下に詳細に説明する。
【0029】
実施例
図1にはケーシング上部の斜視図が示されている。ここに示されているケーシング上部1はほぼ円筒状に構成されている。ただし他の幾何学的形状、例えば角石状の構成も可能である。可能なケーシング形状は上述した本出願人による欧州公開第957540号公報に開示されている。
【0030】
ケーシング上部1の内部には、ケーシング上部1の内径を狭めた周端部2が設けられている。周端部2の上方にはケーシング上部1のコンタクト面3が延在している。
【0031】
図2にはケーシング下部の斜視図が示されている。ケーシング下部5はケーシング上部1に挿入可能なように構成されている。ケーシング下部5は挿入面の外側に周縁部6を有する。内側では周縁部6に沿って軸線方向に延在する環状隆起部7が成形されている。
【0032】
環状隆起部7はその周を取り巻く刻み部8を含む。挿入方向15で見て刻み部8の上側には、ケーシング下部5のコンタクト面の第1の部分面を形成する直線状領域9bが存在する。さらに上方には、ケーシング下部5のコンタクト面の第2の部分面を形成する、外側へ向かって傾斜した傾斜領域9aが存在する。2つの部分面は相互に所定の鈍角をなしており、この鈍角の頂がエッジ9を形成している。エッジ9は、2つのケーシング半部を挿入によって組み合わせたとき、ケーシング上部1のコンタクト面3に接触する。
【0033】
図3には、ケーシング半部1,5を挿入によって相互に組み合わせた際の断面図が示されている。ここから、ケーシング下部5のコンタクト面のエッジ9がケーシング上部1のコンタクト面3に一箇所のみで接触していることがよくわかる。3次元で見ればこの接触箇所は線状である。
【0034】
ケーシング半部1,5を挿入によって組み合わせると、上述したエッジ9は、ケーシング上部1のコーティングを除去する切り込み線のようになり、コーティング前の面が現れる。同時に、摩擦力によってエッジ9上のコーティング材料も剥離するため、ケーシング半部1,5のコーティングの無くなった領域どうしが接触することになる。
【符号の説明】
【0035】
1 ケーシング上部、 2 周端部、 3 コンタクト面、 5 ケーシング下部、 6 周縁部、 7 環状隆起部、 8 刻み部、 9 エッジ(コンタクト面)、 9a 傾斜領域、 9b 直線状領域、 10 軸線、 15 挿入方向
図1
図2
図3