(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710090
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】機械的アセンブリ保持具
(51)【国際特許分類】
F16B 41/00 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
F16B41/00 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2007-205536(P2007-205536)
(22)【出願日】2007年8月7日
(65)【公開番号】特開2008-89176(P2008-89176A)
(43)【公開日】2008年4月17日
【審査請求日】2010年8月6日
【審判番号】不服2013-10249(P2013-10249/J1)
【審判請求日】2013年6月4日
(31)【優先権主張番号】11/500,170
(32)【優先日】2006年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595022382
【氏名又は名称】ナイロック・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ジェイソン、デュプリスト
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン・カルロス、ナバ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・スティーブン、マクダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、アライモ
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン、セサ
【合議体】
【審判長】
冨岡 和人
【審判官】
小関 峰夫
【審判官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭53−131356(JP,A)
【文献】
特開昭57−40114(JP,A)
【文献】
特開2002−174221(JP,A)
【文献】
特開2003−278733(JP,A)
【文献】
特表2004−519817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00 - 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品と第2の部品とを組立関係で保持する保持具であって、その第1の部品はボディを含み、このボディは第1の外面と第2の外面と前記ボディを通じて延伸する孔を規定する内壁とを有し、第2の部品は、前記孔内に挿入して前記部品を組立てるようにする寸法及び形態を有する長手部材を含み、前記保持具は、
前記内壁に付着した基部から末端縁へ前記孔へ延伸する弾性隆起を備え、この隆起は、第1の部品の前記孔内に所定量の粉末樹脂を置き、この樹脂をその溶融温度へ加熱して、この溶融樹脂を冷却して硬化弾性状態にすることにより形成されており、
前記隆起が内壁及び外壁を有し、これらが前記末端縁で交わって互いに可撓自由端を規定し、
第2の部品の第1の部品への挿入に際して、前記隆起の自由端が第2の部品へ係合して前記挿入の方向に可撓になることにより、第1の部品と第2の部品との組立に必要な力はこれら二つの部品の分解に必要な力よりも小さく、
前記隆起の前記外壁が第1の部品の第2の外面と概ね同一平面上にあり、且つ前記隆起の前記内壁が第1の部品の第2の外面に対して角度をなして配置されることによりテーパー状の保持具を規定し、
前記隆起の末端縁が、第1の部品の前記内壁に沿う二つの離間した点の間の直線を形成し、
前記隆起は約40乃至50の範囲のショアD硬度を有するポリオレフィンエラストマーからなる保持具。
【請求項2】
請求項1の保持具において、第1の部品が圧着カラーであり、第2の部品が圧着スタッドである保持具。
【請求項3】
請求項1の保持具において、第1の部品がワッシャであり、第2の部品がボルトである保持具。
【請求項4】
請求項1の保持具において、前記組立力が前記分解力よりも小さい保持具。
【請求項5】
請求項1の保持具において、前記隆起が、ATSM 2240に従うショア硬度Dが40と50との間のデュロメータを有する材料からなる保持具。
【請求項6】
請求項1の保持具において、前記隆起の前記外壁が、第1の部品の前記孔の軸及び第2の部品の第1の部品への挿入方向に概ね直交して配置され、前記弾性部材の内側壁が第1の部品の前記内壁に対して角度をなして配置されて前記挿入の方向に延出する保持具。
【請求項7】
請求項1の保持具において、第2の部品が前記長手部材上に沿う隆起を有する保持具。
【請求項8】
請求項1の保持具において、第2の部品がねじ面を有する保持具。
【請求項9】
請求項1の保持具において、第2の部品が概ね滑らかな面を有する保持具。
【請求項10】
請求項1の保持具において、前記弾性隆起が前記内壁の全周に亘って延在している保持具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、機械的組立部品の構成要素を組立関係に保つ保持デバイスに関する。本発明は様々な構成部品(例えばカラー、ワツシャ及び他の穿孔部品)、補完部品(例えばスタッド、ピン、ボルト又はスクリュー)に特に有益であることが見出されている。
【0002】
様々な構成部品を組立作業の早期の段階で組立て、次いで、そのアセンブリを他の機械、物品又はより複雑なアセンブリに包含させるための他の場所へ輸送することが望ましい場合もある。一例として、ワッシャを補完ボルトに対して、このボルトを後の作業で相手方締結ファスナーと共に用いるのに先立って、組立てることが知られている。他の例は圧着アセンブリの現場での使用に先立って、圧着カラーの圧着ピンへの準備組立である。
【0003】
準備組立法が採用された際には、組立部品を後の製造又は製作作業に用いるまで組立状態に確実に保つことが重要である。そこで、様々な保持デバイスが従前から用いられており、例えば米国特許第5,518,768号及び6,025,019号に開示されている。
【0004】
従前から採用されている他の従来技法においては、高温溶融樹脂が液体として穿孔部品の内室へ塗布され、保持具を形成するように所定位置で冷却され、これは主として二つの部品を組立関係に維持する圧縮力に依っている。この従来技術においては、保持具は小さく丸められたランプ又はマウンドの形態を採り、丸められた保持具の幾何形状は不都合を被ることが判明している。最も重視すべきことは、このような丸められた要素は、組立部品の据付対分解に要求される力の充分な差を許容しないことである。
【0005】
より正確に寸法付けられ、二つの部品をこれらの部品の分解に要求される力に比べて比較的に小さな力で組立てることを可能とする形態の保持具が要求される。
【0006】
本発明は、第1の部品及び第2の部品を組立関係で保持する保持具に関し、その第1の部品はボディを有し、このボディは第1及び第2の外表面と、そのボディを通じて延伸する孔を規定する内壁とを含み、第2の部品は前記孔内に挿入して部品を組立てることが可能である寸法及び形態を有する長手部材を含む。この保持具は、内壁に接着された基部から孔の部分にかかる末端縁へ孔に延伸する弾性隆起を備え、その隆起は内壁及び外壁を有し、これらは末端縁で対面して柔軟な自由端を共に規定する。第1の部品の孔への第2の部品の挿入に際しては、隆起の自由端が第2の部品へ係合して、挿入の方向に可撓であるので、二つの部品の組立てに要求される力は二つの部品を分解するのに必要な力よりも小さい。
【0007】
本発明の特徴である新規な特徴は添付の請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明の好ましい実施例は、更なる目的、それに付随する利点と共に、添付図面に関連して説明する以下の詳細を参照することにより最も良く理解されるであろう。
【0008】
添付図面及び以下の好ましい実施形態の説明を参照すると、本発明は圧着カラー及び圧着ピンと共に使用するように図示して説明してある。この図示の適用例は単なる例示であって、本発明は様々な異なる機械的アセンブリ、例えばワッシャ及びボルト、又はピン、スタッド若しくは他の長手部材へ組立られる他の穿孔部品へ有益に適用できる。
【0009】
図において、全体的に符号10で示される第1部品は、全体的に符合12で示される第2部品へ組立てるように示されている。部品10は、第1の表面16及び第2の外表面18を有するボディ14と、第1の外表面から第2の外表面へボディを通じて延伸する孔21を規定する内壁20とからなる。第2の部品12は長手部材22であり、これは長手部材22を孔21を通じて挿入することにより、二つの部品の組立を容易にする寸法及び形態を有する。
【0010】
二つの部品を組立状態に保持することを支援するために、第1の部品10が保持具30と共に与えられ、この保持具30は、内壁20に取り付けられた基部へ取り付けられた弾性隆起32と、基端縁36とを備える。保持具30は内側壁37及び外側壁38により更に規定され、これらの側壁は末端縁36にて対面して、概ね可撓な自由端39を共に規定する。好ましくは、保持具30はエラストマー、例えばポリオレフィンなどから製作される。特に適宜なポリオレフィンは、Rohm and Hass Chemicals,LLC(ペンシルバニア州、フィラデルフィア)により商標名Corvekの下に製造されたものである。適宜なポリオレフィンは米国特許第5,141,375号開示されておるり、これは参照により本明細書に組み込まれている。他のエラストマーを採用してもよく、これは例えば米国特許第5,141,375号に開示された樹脂及び吹き付け剤組成であり、これも参照により本明細書に組み込まれている。保持具を形成するのに用いられる材料は、ASTM規格D2240に従って測定した際にショアD硬度約40乃至50であることが好ましい。
【0011】
保持具30の外壁38は、好ましくはボディ14の第2の外表面18と概ね面一になるように配置されており、孔21の軸に対して概ね直交して延出している。一方、内壁37は内壁20に対して角度をなして配置されている。保持具30の位置は第2の外表面18に隣接することが好ましいが、第1の外表面16に隣接して位置してもよく、或いは内壁20の長さに沿う中間位置に位置してもよい。
【0012】
長手部材22は滑らかな外表面を有するが、多くの用途においては、
図8及び
図9に示すように、外表面は概ねそれに沿う隆起を有するか、或いはねじとしてもよい。
【0013】
第2の部品長手部材22が第1の部品における孔21へ挿通されたとき、
図8に示すように、保持具の自由端39は第2の部品に係合し、且つ挿入の方向に可撓である。保持具の寸法及び形態のために、二つの部品を組立てるために必要な挿入力は、部品を分解するのに要求される力よりも適度に小さい。例えば、約40乃至50の範囲のショアD硬度を有するポリオレフィンエラストマーを用いると、挿入力は部品を分解するのに必要な力よりも僅かに約10%小さくなることが判明している。最も好ましくは、組立力は分解力のよりも約5%小さい。
【0014】
組立力と分解力との差は、保持具の幾何形状、即ち外壁が挿入方向に対して概ね直交して配置され、一方、内壁は挿入方向に延伸する角度をなして配置された形状に或る程度起因している。その結果、
図8に示すように、挿入中に自由端39を撓めるのに必要な力は比較的小さく、一方、
図9に示すように、隆起32を圧縮すること及び自由端39を二つの部品の分解中に移動又は曲げ戻すのに必要な力は比較的に大きい。
【0015】
図3乃至7は、従来の圧着カラー50の内壁上の保持具30の製作に有益な装備を図示する。図示のように、カラー50は板52により担持され、この板は取付具又は部品台からなる。複数の部品台が回転かルーセル54の周りに配置してある。粉末樹脂塗布機60は、粉末樹脂射出ノズル62及び粉末樹脂回収吸引ポート64を有して、カルーセルに隣接して位置し、重力で滑落する粉末流を与え、これにはカルーセルの回転につれてカラー50が通過する。担持板52の各々は薄いステンレス鋼シートストックから製作して、スロット55及び一対のステンレス鋼ロケータースタッド56を設けて、カラー50を正確に板52上に位置させており、このカラーと、スロット54の直下の斜めの板との間に小さなウェルを形成してある。個々のパーツ台は粉末塗布機を通って移動し、各板52上に担持されたカラーは粉末の滑落流と交差して、少量の粉末樹脂が保持される。過剰な粉末はスロット54を通じて落下するか、或いはカラー54から離れて吸引ポート64へ入る。所定の寸法の第1の部品によれば、ロケータースタッド56に対するスロット55の位置は、スロット55の下部縁により規定される堰の高さにより定められ、この方法では、ウェルは少量の粉末樹脂を保持し、保持具30の寸法及び形態は非常に正確に調節される。
【0016】
カルーセルが回転を続けるにつれて、未硬化の粉末樹脂が付いたカラー50は誘導ヒーター66を通過するので、樹脂はその溶融温度へ加熱される。これに続く材料の冷却は、カラーの内壁の上述の形状にある保持具隆起を降伏させる水槽、ストリーム又は噴霧を通じてなされる。薄いシリコン粘着テフロンテープ68を板52へ貼り付けて、エラストマーが板へ付着する傾向を抑制し、且つ製作処理の完了における仕上り部品の取り出しを促進するようにしてもよい。適宜なテープはCS Hyde Companyにより部品番号21−SNL−1.5−TFとして製造されているものである。
【0017】
図7に示すように、誘導ヒータ66はカラー50のみならず、ステンレス鋼板52をも加熱するように向き付けることが好ましい。この付助は隣接する板52の直下の領域においても粉末樹脂の完全な溶融を確実にする。このため、比較的に薄いテープ68は、板52からカラー内に保持される粉末樹脂への適宜な熱伝導を可能とするように用いねばならない。
【0018】
上述した好ましい実施の形態は内壁21の周囲の部分のみに延出する保持具の使用についてなされているが、本発明は、360°延在、即ち内壁20の完全な周囲に亘る保持具の使用も意図している。
【0019】
当業者には本発明の要旨を逸脱することなく図示の実施形態に他の変形及び変更をなせることは明らかであろう。そのような変形例及び変更例の全てが添付の請求の範囲により包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は穿孔組立部品と共に用いる本発明の保持具の部分的な断面図である。
【
図2】
図2は
図1の線2−2に沿う同一の保持具及び組立部品の側面図である。
【
図3】
図3は本発明の保持具を製作するための機械を示す平面図である。
【
図4】
図4は本発明の保持具の製作に有益な機械部品取付具サブアセンブリの拡大図である。
【
図5】
図5は保持具の製作のために実装された穿孔部品を有する
図4の部品取付具サブアセンブリを示す斜視図である。
【
図6】
図6は
図3の線6−6に沿う縦側面図であって、粉末樹脂塗布機に位置合わせした部品取付具及び第1の部品を示す図である。
【
図7】
図7は
図3の線7−7に沿う縦側面図であって、誘導ヒーターに位置合わせした部品取付具及び第1の部品を示す図である。
【
図8】
図8は機械的組立部品の組立及び分解の際の本発明の保持具の相互作用を示す部分的断面図である。
【
図9】
図9は機械的組立部品の組立及び分解の際の本発明の保持具の相互作用を示す部分的断面図である。
【0021】
10 第1部品
12 第2部品
14 ボディ
16 第1の表面(外面)
18 第2の外表面(外面)
20 内壁
22 長手部材
30 保持具
32 弾性隆起
36 末端縁
39 自由端