特許第5710092号(P5710092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710092
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】有機リン中毒を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/55 20060101AFI20150409BHJP
   A61K 31/46 20060101ALI20150409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   A61K31/55
   A61K31/46
   A61K45/00
   A61P39/02
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2007-533601(P2007-533601)
(86)(22)【出願日】2005年9月23日
(65)【公表番号】特表2008-514609(P2008-514609A)
(43)【公表日】2008年5月8日
(86)【国際出願番号】US2005033789
(87)【国際公開番号】WO2006036686
(87)【国際公開日】20060406
【審査請求日】2008年9月22日
【審判番号】不服2013-7542(P2013-7542/J1)
【審判請求日】2013年4月24日
(31)【優先権主張番号】60/613,121
(32)【優先日】2004年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507094636
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オヴ メリーランド、バルティモア
(73)【特許権者】
【識別番号】502443851
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
【氏名又は名称原語表記】The United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】アルバカーキ、エドソン、イックス.
(72)【発明者】
【氏名】アドラー、マイケル.
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ、エドナ、エフ.、アール.
【合議体】
【審判長】 蔵野 雅昭
【審判官】 前田 佳与子
【審判官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/092606(WO,A1)
【文献】 特表平9−506360(JP,A)
【文献】 Toxycology Lett.,(2003),144,suppl.1,s132
【文献】 Biochem.Pharm.,(1979),28(14),p.2211−4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/33-33/44
CA,REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1有機リン化合物暴露前に抗ムスカリン性薬剤の投与がなく、有効量の抗ムスカリン性薬剤と同時に用いるための、有機リン化合物曝露後に哺乳動物に投与する有機リン(OP中毒を阻害する量のガランタミン、又は
有機リン化合物暴露前に抗ムスカリン性薬剤の投与がなく、有機リン化合物曝露後に哺乳動物に投与する有効量の抗ムスカリン性薬剤、及び抗ムスカリン性薬剤の投与後に投与するOP中毒を阻害する量のガランタミン
を含む、OP中毒の治療剤。
【請求項2】
ガランタミンが経口又は筋内投与される、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
ガランタミンが有機リン化合物への曝露の最大5分後までに投与される、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
抗ムスカリン性薬剤がアトロピンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
抗ムスカリン性薬剤が硫酸アトロピンであり、かつガランタミンが臭化水素酸ガランタミンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
有機リン化合物への曝露はソマン又はサリンの50%致死量の最大1.5倍のレベルでの暴露であり、該ガランタミンは治療された哺乳動物の脳におけるニューロンの構造を保持し、該構造は非暴露対照哺乳動物の脳におけるニューロンの構造に類似している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
化水素酸ガランタミンを硫酸アトロピンと一緒に同時に有機リン化合物への曝露後に最大2分以内に投与することを更に含む、又
機リン化合物曝露後最大2分以内に硫酸アトロピンを投与し、硫酸アトロピンの投与後かつ有機リン化合物への曝露後最大5分以内に臭化水素酸ガランタミンを投与することを更に含む、
請求項1〜のいずれか1項に記載の剤。
【請求項8】
ガランタミンが経口又は筋内投与される、請求項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年9月24日に出願された米国仮特許出願60/613,121号の利益を主張する。
【0002】
(政府の支持に関する陳述)
本明細書に記載された発明は、少なくとも部分的には助成金番号DAAD19−02−D−0001に基づいて米国陸軍より資金が提供されて行われた。したがって、アメリカ合衆国は本発明において一定の権利を有し得る。
【0003】
本発明は、動物、特に哺乳動物、詳細にはヒトにおける有機リン中毒を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
有機リン化合物(OP)は、その物理的状態および高親油性により、中枢神経系(CNS)に急速に浸透し、蓄積する。例えば、戦場での兵士のOP中毒、および神経ガスによるテロリストの攻撃時の一般市民のOP中毒は、近年世界中の一般大衆および政府当局の関心を増大させてきた。更に、食用作物および観賞用作物(ornamental crop)の需要の増大が、先進国および発展途上国において、パラチオンおよびマラチオンのようなOPを含む毒性の抗コリンエステラーゼ(抗ChE)を基本とする殺虫剤の使用を増大させる結果となっている。これは農業従事者および園芸家の不測の中毒を増大させる結果をもたらしている。
【0005】
OPおよび他の抗ChE剤の主要な毒性効果が酵素ChEの阻害から生じることは長い間知られていた。ChEはCNSおよび末梢神経系(PNS)における神経伝達物質アセチルコリン(ACh)の不活化に関与しており、それゆえOPおよび他の抗ChE剤は、ムスカリン性コリン作動性応答およびニコチン性コリン作動性応答を異常に増加させ、長引かせる。残念なことに、OPの毒性効果を治療または予防する現在の方法は、特に高吸収性であり脳に容易に到達する神経剤に急性曝露した時には、許容できる方法であることからは依然程遠い。
【0006】
臭化ピリドスチグミン(PB)、フィゾスチグミンおよびヒューペルジンのような可逆性ChE阻害薬は、OP中毒に対する解毒治療として試験されてきた。PBは、戦場で兵士により予防的治療として使用されてきた。PBは強力な抗ChE薬剤である一方で、ほとんどCNSに浸透しない荷電分子であるために、PBの作用はほとんどPNSに限定される。それゆえ、PBは神経剤に対して脳ChEを効果的に保護しない。フィゾスチグミンはPBより効果的ではあるが、安全性はより低い。したがって、OPによる不可逆的ChE阻害から脳を保護する方法はこれまでのところ存在しない。むしろ、OPに曝露した個人は、アトロピンのような抗ムスカリン性薬剤、オキシムのようなChE再活性化剤(例えば、ピリジン−2−アルドキシム(2−PAM))、および抗けいれん剤(例えば、ジアゼパム)で曝露後に治療されている。
【0007】
上記の事柄を考慮して、OP中毒の治療方法を提供することが本発明の目的である。この目的および優れた点ならびに他の目的および優れた点、ならびにさらなる発明の特徴は、本明細書中で提供された詳細な記載により明らかになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本発明はOP中毒の治療方法を提供する。該方法はOP中毒の危険がある哺乳動物に対してOP中毒を阻害する量のガランタミンを投与することを含み、有機リン化合物への曝露の際にOP中毒から哺乳動物が保護される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、少なくとも部分的に、OP中毒から動物を保護するためにOP中毒の危険のある動物、特に哺乳動物、詳細にはヒトにガランタミンのような第3級アルカロイドを投与し得るという驚きの、予期しなかった発見に基づく。PBおよびフィゾスチグミンと比べてガランタミンは弱いChE阻害薬である一方、ガランタミンは非荷電分子であり、したがって、血液脳関門を通り抜けることができる。ガランタミンはまた、ニコチン性受容体(nAChR)のアロステリック増強リガンド(APL)としても機能し、脱感作からいくらかのニコチン性受容体を「救助する」ことができる。この特徴は、過剰なAChがnAChRの大規模な脱感作を誘導する、OP中毒という状況において重要である。
【0010】
上記の事柄を考慮して、本発明はOP中毒の解毒治療方法を提供する。該方法はOP中毒の危険がある哺乳動物にOP中毒を阻害する量のガランタミンを投与することを含み、その後の有機リン化合物への曝露の際にOP中毒から哺乳動物が保護される。このガランタミンは有機リン化合物に曝露される前または後に哺乳動物に投与される。ガランタミンが曝露前に投与される場合、該方法は更に、有効量のアトロピンのような抗ムスカリン性薬剤をこの哺乳動物に続けて投与することを含む。ガランタミンが曝露後に投与される場合、該方法は、有機リン化合物への曝露後かつOP中毒を阻害するのに有効な量のガランタミンの前またはそれと同時に、有効量のアトロピンなどの抗ムスカリン性薬剤を投与することを更に含む。好ましくは、治療後の有効性を最大にするために、抗ムスカリン性薬剤およびガランタミンは有機リン化合物への曝露後なるべく早く投与される。有機リン化合物への曝露の時間に対する抗ムスカリン性薬剤およびガランタミンのその後の投与のタイミングに依存して、この実施態様はさらなる治療効果を有し得る。
【0011】
哺乳動物を毒するのに十分に高いレベルのOPに現在曝露されているまたは曝露される危険がある場合、その哺乳動物はOP中毒の危険がある。かかる危険は、戦場での兵士、神経ガスによるテロリストの攻撃時の一般市民、ならびに抗ChEを基本とする殺虫剤で処理される食用作物および観賞用作物を扱う仕事をする農業従事者および園芸家に対して存在する。
【0012】
健康障害の徴候から明らかなOPへの曝露の有害な影響を著しく、好ましくは完全に減少させるのに十分である場合、ガランタミンの量は「OP中毒を阻害する量」または「有効量」である。健康障害には、分泌過多、筋収縮、呼吸困難、けいれん、または行動異常などのOP中毒の末梢性の過剰なコリン作用性の(hypercholinergic)徴候および中枢性の過剰なコリン作用性の徴候のいずれも含まれるが、これらに限定されるものではない。OP中毒を阻害するのに十分なガランタミンの量は、当業者に公知である用量範囲発見技術に従って決定できる。例えば、最適用量は、臨床環境でまたは現場で(in the field)熟練した臨床医により決定され得る。通常は、その状況下で最適な効果が達成されるまで、最初の用量を徐々に変更することによって、最適な用量が決定される。硫酸アトロピンなどのアトロピン10mg/kgも投与される時、約5mg/kgから約8mg/kgの範囲の臭化水素酸ガランタミンなどのガランタミンの用量は、神経剤であるソマンおよびサリンの致死量により誘導される毒性および致死性を効果的に予防する。有機リン化合物への曝露の最大約1時間前、または最大約5分後までに急性的に使用される場合、ガランタミンは効果的な解毒治療法である。
【0013】
ガランタミンはとりわけHande Industry&Trade Holdings Co.,Ltd.,Shenzhen,Chinaから市販されている。望ましくは、ガランタミンは哺乳動物などの動物、特に人間に医薬組成物として投与することに適している。該医薬組成物の剤形は当業者に公知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Mack Pub.Co.参照)。ガランタミンは最近ではアルツハイマー病の治療のためにReminyl(商標)(Janssen−Cilag,Ltd.,UK)という名前で医薬組成物として入手可能である。
【0014】
該ガランタミンは当業者に公知のいずれの適切な投与経路によっても投与し得る。好ましい投与経路には経口および筋内が含まれるが、これらに限定されるものではない。投与経路は、一部、曝露の危険の状況次第である。例えば、定規的に(例えば毎日)OP殺虫剤を扱う農業従事者および他の個人の場合のように、経口投与は予期される曝露に対する事前の治療に好まれ得る。一方で、筋内投与は戦場の兵士、およびテロリストの攻撃という状況などでOPに曝露された市民の事後治療に好まれ得る。
【0015】
ガランタミンの投与後に有機リン化合物に曝露された場合、好ましくはアトロピンなどの抗ムスカリン性薬剤の有効量を有機リン化合物への曝露後なるべく早く哺乳動物に投与する。該抗ムスカリン性薬剤はいかなる適切な経路によっても投与され得る。通常は筋内投与が好ましい。OPへの曝露のいかなる悪影響も阻害、好ましくは予防するのに十分である場合、アトロピンなどの抗ムスカリン性薬剤の量は、「有効量」である。当業者に既知の用量範囲発見技術に従って、抗ムスカリン性薬剤の有効量が決定され得る。例えば、最適用量は、臨床環境でまたは現場で熟練した臨床医により決定され得る。通常は、その状況下で最適な効果が達成されるまで、最初の用量を徐々に変更することによって、最適な用量が決定される。上記のように、臭化水素酸ガランタミンなどのガランタミンが約5mg/kgから約8mg/kgの用量で投与される時、約10mg/kgが硫酸アトロピンなどのアトロピンの最も有効な量である。
【0016】
アトロピンはSigma Chemical Co.(St.Lois,MO)から入手可能である。望ましくは、アトロピンまたは他の抗ムスカリン性薬剤は、医薬組成物として哺乳動物などの動物、特にヒトに対する投与に適している(例えばRemington、上記参照)。
【実施例】
【0017】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、決して本発明の範囲を限定する意図はない。
【0018】
(実施例1)
本実施例は、後に有機リン化合物に曝露される哺乳動物における、ガランタミンによる事前治療の有効性を実証する。
【0019】
ソマン(42または56μg/kgを皮下注射)またはサリン(63または73.5μg/kgを皮下注射)の50%致死量(LD50)の1.5〜2.0倍にモルモット(若いオス、体重は300〜420g)を曝露させる30分前または5分後に、ガランタミン(4〜10mg/kg)をモルモットに(筋内)投与した。一部のモルモットに、神経剤のソマンまたはサリンの投与1〜2分後に、硫酸アトロピン(6〜16mg/kg)を(筋内)投与した。アトロピンの投与と同時またはその後(例えば約4分以内)に、一部のモルモットにガランタミンを(筋内)投与した。対照のモルモットはガランタミン(4〜8mg/kg)、アトロピン(6〜16mg/kg)、それらの組合せ、または生理食塩水を投与した。生存および体重は少なくとも1週間追跡調査した。
【0020】
ガランタミンは、ソマンまたはサリンの致死量に対してモルモットを保護したことが見出された。5〜8mg/kgのガランタミンおよび10mg/kgのアトロピンからなる治療は、ソマンおよびサリンのLD50の1.5倍により誘導される毒性および致死性に対してモルモットを十分に保護した。ガランタミンはモルモットを死に対して十分に保護しただけでなく、OP注射直後にモルモットはOP中毒のいかなる末梢性の過剰なコリン作用性の徴候および中枢性の過剰なコリン作用性の徴候(分泌過多、筋収縮、呼吸困難、けいれん、または行動異常など)も示さなかった。そして、最大1〜2週間の観察期間の間、モルモットは健康障害の徴候を示さなかった。ソマンまたはサリンを投与した後に硫酸アトロピンを投与したモルモットは全て、10〜20分以内で命にかかわる症状を示し、動物への配慮および取り扱いに関するIACUCに承認されたプロトコールにより安楽死させた。
【0021】
最初の24時間では、OPに曝露された全てのモルモットは5〜10%の体重減少を示した;しかしながら、翌日以降ではモルモットは体重が増加した。部分的な保護を与えるガランタミン用量では、OP中毒の徴候を示すモルモットもいた。これらのモルモットは、OP曝露後数時間または数日以内に命にかかわる症状を有しており、動物への配慮および取り扱いに関するIACUCに承認されたプロトコールにより安楽死させた。かかるモルモットは異なる程度のOP毒性を示しており、体重を回復しなかった。しかしながら、OPへの曝露から3〜4日後には、更なる死は記録されなかった。ガランタミン(最大8mg/kg)もしくはアトロピン(6〜10mg/kg)または該2つの保護剤の混合物のいずれかを投与された対照のモルモットは、体重の減少、または中毒の他の悪影響もしくは徴候を示さなかった。
【0022】
モルモットをCOにより深い麻酔をした後に断頭して安楽死させた時、コリンエステラーゼ阻害およびガランタミンレベルのその後の分析のために、血液サンプル(心臓穿刺により得た)および全脳を取り出し、ドライアイスで急速に凍結させた。最初に行った測定は、8mg/kgのガランタミンの筋内注射が血漿および脳でほぼ1〜3μMの薬剤の濃度を生じることを示した。該濃度は、アルツハイマー病の治療に臨床的に推奨されるガランタミンの用量で治療されたヒトの血漿中で見られるガランタミンの濃度と類似である。脳でのガランタミン濃度は、OPに誘導されるコリンエステラーゼの不可逆阻害に起因するAChのレベルの上昇によるnAChRの脱感作を防止するのに十分である。脳でのコリンエステラーゼ阻害は、最大20%〜最小1%未満の測定されたガランタミン濃度の範囲であった。脳のコリンエステラーゼ阻害がごくわずかである時でさえ、ガランタミンはOPに誘導される毒性をなお抑止した。
【0023】
ガランタミンで事前に治療されまたは事後に治療されることによりOP中毒からうまく保護されたモルモットの脳を、フルオロ ジェイドB染色を用いて形態計測的に対照のモルモットの脳と比較した。対照動物の脳および(ガランタミン+アトロピン)で治療されたOPに曝露された動物の脳において、ニューロンの生存能力および構造は非常に似ていた。
【0024】
(実施例2)
本実施例は、有機リン化合物に曝露された哺乳動物におけるガランタミンによる事後治療の有効性を実証する。
【0025】
ソマン(42μg/kg)をモルモット(若いオス、体重300〜420g)に(皮下)投与した。1分後、アトロピン(10mg/kg)を該動物に(筋内)投与した。アトロピン投与と同時に、またはそれに続いて(例えば4分後)、ガランタミン(8〜10mg/kg)を該動物に(筋内)投与した。ソマン投与5分以内の8〜10mg/kgのガランタミン投与は、100%の保護を与えた。対照的に、ソマン投与5分以内の6mg/kgのガランタミン投与は、約35%の生存率を与えただけだった。最初の24時間で、全てのモルモットが約5%の体重減少を示した;しかしながら、翌日以降では、モルモットは、OPに曝露されていない対照の動物と同じ割合で体重が増加した。
【0026】
本明細書中で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が、本明細書中で参考として援用されることが個別におよび具体的に示され、かつその全体が記載されているのと同じ程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0027】
本発明を記載する文脈において(特に、添付の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示語の使用は、本明細書中で他に特に明記がない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含するように解釈されるべきである。本明細書中での値の範囲の記載は、本明細書中で他に特に明記がない限り、その範囲内にある各々の別々の値を個々に言及する略記方法として働くことが単に意図され、そして各々の別々の値は、それが本明細書中で個々に列挙されているかのように本明細書中に含まれるものである。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に特に明記がない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書中で提供される任意及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「などの」)の使用は、本発明をより良く明瞭にすることが単に意図され、そして他に特に主張されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中の如何なる言葉も、本発明の実施に必須なものとして主張されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0028】
本発明の実施に関して、本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好適な実施態様を本明細書中に記載する。示された実施態様は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが、理解されるべきである。