特許第5710170号(P5710170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710170
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】加飾体、及び加飾体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20150409BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   B32B33/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-171834(P2010-171834)
(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公開番号】特開2012-30478(P2012-30478A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2013年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大
【審査官】 岸 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−275737(JP,A)
【文献】 特開昭61−012337(JP,A)
【文献】 特開2004−255666(JP,A)
【文献】 特開2009−090639(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/084733(WO,A1)
【文献】 特開2009−166384(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/008403(WO,A1)
【文献】 特開2011−000710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B44C 1/18− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基材の表側となる面の上に設けられる金属酸化物の誘電体薄膜からなる反射増加膜層であって,前記基材の表側から入射する可視域の光を10%〜80%反射させるための反射増加膜層と、前記基材の一方の面を染色することによって設けられる色濃度勾配を有するグラデーション状の着色層と、前記反射増加膜層が形成される側と反対の基材面上に設けられる遮光用の下地層と、が形成されてなることを特徴とする加飾体。
【請求項2】
請求項1の加飾体において、前記反射増加膜層と前記基材との間、または前記下地層と前記基材との間にはハードコート層が形成されていることを特徴とする加飾体。
【請求項3】
透光性を有する基材の片面に色濃度勾配を有するグラデーション状の着色層を染色により形成する第1ステップと、前記基材の表側となる面上に金属酸化物の誘電体薄膜を形成することによって前記基材の表側から入射する可視域の光を10%〜80%反射させるための反射増加膜層を形成する第2ステップと、前記反射増加膜層が形成される側と反対の基材面上に遮光用の下地層を形成する第3ステップと、を有することを特徴とする加飾体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、特に携帯電話機等の意匠性が重視される筐体に用いられる加飾体、及び加飾体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機や他の電子機器等の意匠性が重視される筐体に対して美観を高めるために、その表面に金属的な光沢(メタリック感)を持たせる技術が知られている。このような技術としては基材フィルムに所望の色をプリンタを用いて印刷により形成した有色樹脂層と、金属薄膜層とを有した加飾シートを形成し、この加飾シートを用いてインサート成形により加飾シート成形体を得て、金属光沢を有する樹脂成形体を得る方法が知られている(特許文献1 参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−255666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように金属光沢を付与するために導電性の金属薄膜層を形成すると、携帯電話機や他の電子機器等の動作不良を招き易くなる。特に携帯電話機のようにアンテナを用いて送受信を行うような機器の場合には受信感度が低下する等の問題が生じやすい。また、従来には見られないデザイン性を持った外観が求められている。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、電子機器等の動作に影響を及ぼすことのない材料を用いながら、金属的な光沢と所望の色とを有した美麗な外観を得ることのできる加飾体、及び加飾体の製造方法を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の加飾体は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の加飾体は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 透光性を有する基材の表側となる面の上に設けられる金属酸化物の誘電体薄膜からなる反射増加膜層であって,前記基材の表側から入射する可視域の光を10%〜80%反射させるための反射増加膜層と、前記基材の一方の面を染色することによって設けられる色濃度勾配を有するグラデーション状の着色層と、前記反射増加膜層が形成される側と反対の基材面上に設けられる遮光用の下地層と、が形成されてなることを特徴とする。
(2) (1)の加飾体において、前記反射増加膜層と前記基材との間、または前記下地層と前記基材との間にはハードコート層が形成されていることを特徴とする。
(3) 加飾体の製造方法において、透光性を有する基材の片面に色濃度勾配を有するグラデーション状の着色層を染色により形成する第1ステップと、前記基材の表側となる面上に金属酸化物の誘電体薄膜を形成することによって前記基材の表側から入射する可視域の光を10%〜80%反射させるための反射増加膜層を形成する第2ステップと、前記反射増加膜層が形成される側と反対の基材面上に遮光用の下地層を形成する第3ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器等の動作に影響を及ぼすことのない材料を用いながら、金属的な光沢と所望の色とを有した美麗な外観を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は本実施形態の加飾体の例を示した模式図である。
【0010】
図示する加飾体10は、ベースとなる基材1に着色層2、反射増加膜層3、下地層4が形成されてなる。基材1としては、ある程度の耐熱性を有し透明の樹脂フィルムを好適に用いることができる。具体的にはポリエチレンテレフタラート,ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂や、ポリイミド、ポリエポキシ等の熱硬化性樹脂を使用することが可能である。また、基材1の厚さは、フィルムとして用いる場合、好ましくは0.01mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.05mm以上0.3mm以下程度である。また基板として用いる場合には、1.0mmより厚く、5.0mm以下程度である。基材フィルムを加飾体として用いる場合には、例えば携帯電話機や他の電子機器等の外形形態に成形加工された筐体に張り合わせたり、所定の型枠にフィルムを置いた状態で樹脂を流し込み、インサート成形によりフィルムと筐体とを一体的に成形することができる。また基板を加飾体として使用する場合には、加飾体とされた基板を外形形態に成形加工された筐体自体として用いればよい。
【0011】
着色層2は基材1の片面を着色することにより形成される層である。着色される面は基材1の表面、裏面のどちらでも良いが、本実施形態では基材1の裏面側に着色層2を形成するものとしている。また、本実施形態では図2に示すように基材1の片面に所望の色にて濃度勾配を有するように形成されたグラデーション状の着色層2を形成するものとしている。このような着色層2は、例えば、染色、印刷、塗装により形成することができる。着色層2の色は種々の色を用いることができるが、後述する反射増加膜層による反射光の色を好適に強調させるためには黒色の着色層であることが好ましい。なお、本実施形態では気相転写染色方法を用いて昇華性を有する染料を基材1に蒸着させた後、加熱により定着させて染色を行い着色層2を形成するものとしている。
【0012】
次に本実施形態における基材1を着色する方法について説明する。図3は気相転写染色方法の工程の概略を示した模式図である。気相転写染色用インク3種類(赤、青、黄)を市販のインクジェットプリンタ用のインクカートリッジ41にそれぞれ入れ、図示するインクジェットプリンタ40(以後、プリンタと記す)にこのカートリッジを装着する。プリンタ40は市販のものが使用可能である。なお、気相転写染色用インクに用いられる染料としては、キノフタロン系やアントラキノン系等の昇華性染料が好適に用いられる。
【0013】
次に、このプリンタ40を使用して所望の色をプリントさせるために、市販されているパーソナルコンピュータ50(以下PCという)を使用して、印刷される色相及び濃度の調製を行う。色相の調製はPC50のドローソフトにより行うため、所望する色データをPC50内に保存しておくことができ、必要になったときに何度でも同じ色調が得られるようになっている。また、色の濃淡もデジタル管理されるため、必要なときに何回でも同じ濃度の色を所望することができる。
【0014】
昇華性染料を印刷する基体には、市販のプリンタ用紙が使用可能である。基体100はプリンタ用紙に限らずプリンタ40にて印刷可能なものであれば特に限定されないが、気相転写時に熱を加えるため、熱吸収のよいものを使用することが好ましい。また、本実施形態ではインクジェットプリンタを用いているが、これに限るものではなく、例えばレーザプリンタ等の昇華性染料を所定の基体に塗布することのできる印刷手段であればよい。
【0015】
プリンタ40に基体100を入れ、PC50の操作により、予め設定しておいた色相及び濃度にてグラデーション状の印刷を行う。印刷された基体100には染色用インクが塗布されたグラデーション状の着色層100aが印刷される。
【0016】
次に着色された基体100を用いて気相転写染色法により基材1を染色する。気相転写染色法は、昇華性染料が塗布された基体を真空雰囲気中にて加熱し、染料を昇華させ対向する基材1に蒸着させた後、基材1を所定温度で加熱することにより染料を定着させ染色を行うものである。初めに着色された基体100と基材1を真空気相転写機本体20内に設置して着色層100aの昇華性染料を基材1に蒸着させる。20は真空気相転写機本体であり、正面には基体100や基材フィルム1を出し入れするための図示無き取出し口が設けられている。21は基体100に形成された着色層100aの染料を昇華させるための加熱手段となるハロゲンランプである。なお、本実施形態では加熱手段としてハロゲンランプを用いているが、これに限るものではなく、基体を加熱することができるものであればよい。22はロータリーポンプであり、本体20内をほぼ真空にさせるために使用する。23はリークバルブであり、このバルブを開くことでほぼ真空になった本体20内に外気を入れ大気圧に戻すものである。
【0017】
30は基体100と基材1とをセットするための治具である。治具30は基材1を載置するための載置台と基体100を載置するための基体載置台からなる。基材1の染色予定面と基体100の着色層100a側の面とを非接触にて対向させた状態にて治具30にセットした後、本体20を密封してロータリーポンプ22を用いて真空状態にする。本体20が所定の真空度に達したらハロゲンランプ21を点灯させ、基体100を上方から非接触にて加熱する。基体100上での加熱温度は染料の変質やフィルムの変形が生じない中で、できるだけ高い温度になるようにすることが好ましい。
【0018】
ハロゲンランプ21の点灯により基体100が加熱されるため、着色層100aより染料が昇華、蒸散し、基材1の染色予定面に蒸着する。ハロゲンランプ21の点灯による基体100への加熱は着色層100a上の染料が殆ど昇華、蒸散するまで行えばよい。
【0019】
加熱が終了したら、ハロゲンランプ21の点灯を止めるとともにリークバルブ22を開いて常圧に戻し、本体20の扉を開け染料が蒸着した基材1を取り出す。基材1には昇華した染料が蒸着しているが、このままでは取れやすいので、オーブン60に入れ、常圧下にて加熱し定着させる。この工程は基材1の耐熱温度以下で、できるだけ高温に設定された温度にオーブン内を加熱し、所望の色相及び濃度を得るために予め定めておいた時間が経過した後にオーブン内から基材1を取り出すといった手順で実行される。オーブン60の加熱温度は染料の変質やフィルムの変形が生じない範囲でできるだけ高い温度が好ましく、例えば、加熱温度は50〜150℃程度である。オーブン60によって所定時間加熱されることによって、基材1に蒸着した染料は定着してグラデーション状の着色層2を形成し、基材1の片面が所望の色にて濃く染色された部分から全く染色されていない部分にかけて徐々に薄くなるような濃度勾配を有した状態で染色されることとなる。
【0020】
図1に示す反射増加膜層3は、基材1の表側となる面上に形成される。反射増加膜層3は金属酸化物の誘電体薄膜を1層、または2層以上形成することによって構成され、透過性を有しつつ、基材1の表側から入射される光を反射して金属的な光沢を生じさせるための層である。なお、一般的に用いられる透明基板の両面合わせた反射率は数%程度とされている。したがって、これ以上の反射率を得られれば反射増加膜として効果があるとされる。このため、反射増加膜層3による反射率は可視域において10%〜80%程度が得られる膜構成であればよい。反射率が80%を超えるような膜構成を形成することも可能であるが、薄膜の積層数を増加させる必要があるため、生産性が悪くなる。
【0021】
このような反射増加膜層3を構成する薄膜は、使用する基材1の種類(材料)に応じて適宜選択されるが、基材1の屈折率よりも高い屈折率を持つ薄膜と、基材1の屈折率よりも低い屈折率(または高屈折率の薄膜に対して相対的に低い屈折率)を持つ薄膜とを用いて、これらの薄膜を基材1上に単層、もしくは交互に積層することにより反射増加膜層3が形成される。なお、基材1上に最初に形成される薄膜は高屈折率の薄膜となる。1層のみ形成する場合も高屈折率の薄膜を形成させる。このような高屈折率の薄膜は、屈折率1.50〜2.50程度の範囲のものが使用される。具体的には高屈折率の薄膜の主成分には、ZrO2(屈折率1.9)や、TiO2(屈折率2.2)等の金属酸化物が挙げられる。また、これ以外にもTa25、Nb25を用いてもよい。また、低屈折率の薄膜は、屈折率1.35〜1.60程度の範囲のものが使用され、具体的に低屈折率の薄膜の主成分にはSiO2(屈折率1.46)等の金属酸化物挙げられる。これらの高屈折率及び低屈折率の薄膜は、所望する反射増加効果が得られるために必要な膜厚であればよい。なお、より好ましくは、特定の波長域の光を特に反射させるように各誘電体薄膜の膜厚を調整することにより、反射増加膜層3による反射光に特定の色を付することができ、より美麗な金属光沢のある外観を表現させることが可能である。
なお、本実施形態では、高屈折率の薄膜としてTiO2を用い、低屈折率の薄膜としてSiO2を用いるものとし、基材1に形成された着色層2上に高屈折率の薄膜を、その上に低屈折率の薄膜を形成し、これを交互に3層積層させることにより反射増加膜3を形成する。このような薄膜の形成は、真空蒸着法やスパッタ法等、の既知の薄膜形成手法により行うことができる。
【0022】
また、反射増加膜層3が形成される基材1の面と反対側の面(裏面)には下地層4が形成される。下地層6は印刷等により白色の裏打ちを行うことにより形成され、着色層2と反射増加膜層3によるデザイン色を際立たせるものである。このような工程を得ることによって金属光沢を有した加飾体10が得られることとなる。なお、下地層4は反射増加膜層3及び着色層2によって得られる装飾的要素をより際立たせるために形成されるものであるため、必要に応じて形成されていればよい。
【0023】
このような加飾体10は、反射増加膜層3による反射光色によって所定の色合いを有した金属的な光沢が得られるが、この際、着色層2のグラデーション部分にて反射光色が強調される。一方、着色層2におけるグラデーションの無色部分(着色されていない部分)では下地層4の影響を受けるため、反射増加膜層3の反射色よりも下地層4による拡散反射の色が視感的に強調される。その結果、着色層2の着色部分(グラデーション状)と無色部分とにおける反射色の見え方の違いにより、グラデーション状に反射光色が視感的に得られることとなる。
【0024】
前述したように、加飾体10がシート状のものであれば、例えば携帯電話機や他の電子機器等の外形形態に成形加工された筐体に張り合わせたり、所定の型枠にフィルムを置いた状態で樹脂を流し込み、インサート成形によりフィルムと筐体とを一体的に成形することで加飾成形体を得ることができる。また、フィルムよりも厚い基板を加飾体とした場合には、加飾体とされた基板自体を外形形態に成形加工された加飾成形体として用いればよい。
【0025】
また、本実施形態では得られる加飾体の耐久性を向上させるためにハードコートを行ってもよい。ハードコート層は反射増加膜層3と基材1との間、または下地層4と着色層2との間に形成されればよい。ハードコート材料としては、ウレタン樹脂やアクリル樹脂を主成分とする有機系材料や、シラン化合物を主成分とするシリコン系の材料等のハードコート材料として既存の材料を用いることができる。ハードコート材料の基材1への塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート等、既知の塗工方法を用いることができ、ハードコートの硬化は熱硬化型、紫外線硬化型の何れでもよい。
【0026】
なお、本実施形態では基材1の一方の面上に反射増加膜層を形成し、他方の面に着色層を形成するものとしているが、これに限るものではない。基材1の一方の面のみに反射増加膜層と着色層とを形成した例を第2の実施形態として図4に示す。なお、各構成要素は図1に示す構成要素と同機能を有するため同符号を付してある。図示するように、基材1の表側となる面に着色層2を形成し、さらにその上に上述した反射増加膜層3を形成する。また、下地層4は基材1の裏面となる側に形成される。このような構成により得られる加飾体10´は、図1に示した加飾体10と同様に美麗な金属光沢を有する。
【0027】
<実施例1>
基材として、A4サイズ,厚さ125μmのポリエチレンテレフタラートのフィルムを用いた。図1に示す構成にて反射増加膜層、着色層、下地層を形成した。着色層は基材の片面に気相転写染色法を用いて染色を行うことにより形成した。市販のパーソナルコンピュータに附属のドローソフトを使用して、黒色が得られるように赤、青、黄のインクの出力量を設定し、プリンターを用いてA4サイズのプリンタ用紙に黒色でグラデーション状の色濃度となるように出力を行った。使用したインクはアントラキノン系昇華性染料を含有する(株)ニデック製、Red NK-1,Yellow NK-1,Blue NK-1を用いた。
【0028】
前述した真空気相転写機を用いて、インク塗布済の紙から基材フィルムへ染料を昇華させ蒸着を行った。蒸着条件としては、真空度0.2kPa、加熱温度は紙上にて230℃となるまでハロゲンランプを点灯させた。片面に染料が蒸着したフィルムをオーブン(ヤマト科学(株)製、DKN612)にて約120℃、2時間の加熱を行い染料の定着作業を行った。
【0029】
次に、真空蒸着機を用いて染色された基材フィルムの染色面とは反対側の面に反射増加膜層を形成した。反射増加膜は面側より順に光学膜厚20nmのTiO2膜,125nmのSiO2膜,125nmのTiO2膜を形成し、反射増加膜を形成した。次に染色面側に白色の塗料を用いてスクリーン印刷により下地層を形成し、加飾体を得た。得られた加飾体付き成形体を反射増加膜側から目視にて観察したところ、メタリック感のある美麗な外観であった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態における加飾体の構成を示した模式図である。
図2】基材上にグラデーション状の着色層を形成した状態を示した模式図である。
図3】気相転写染色方法を用いて基材を染色するための工程の概略を示した模式図である。
図4】第2の実施形態における加飾体の構成を示した模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1 基材
2 着色層
3 反射増加膜層
4 下地層
10 加飾体
図1
図2
図3
図4