(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態の要約]
実施の形態に係る放射線検出器は、放射線を検出可能な半導体素子と、半導体素子が設置される搭載領域、及び搭載領域に設置される半導体素子の輪郭に対応する領域を切り欠いて形成された切り欠き部を有する放射線検出用基板と、を備える。
【0017】
[第1の実施の形態]
(放射線検出器1の構成の概要)
図1は、第1の実施の形態に係る放射線検出器の斜視図である。
【0018】
本実施の形態に係る放射線検出器1は、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器である。
図1において放射線6は、紙面の上方から下方に沿って入射してくる。すなわち、放射線6は、放射線検出器1の半導体素子としてのCdTe素子10からカードホルダ31に向かう方向に沿って伝搬して放射線検出器1に入射する。そして、放射線検出器1は、CdTe素子10の側面(つまり、
図1の上方に面している面)に放射線6が入射する。したがって、CdTe素子10の側面が放射線6の入射面となっている。このように、半導体素子の側面を放射線6の入射面とする放射線検出器を、エッジオン型の放射線検出器と称する。なお、放射線検出器1は、特定の方向(例えば、被検体から放射線検出器1に向かう方向)に沿って入射してくる放射線6が通過する複数の開口を有する後述するコリメータを介して放射線6を検出する複数の放射線検出器1が並べられて構成されるエッジオン型の放射線検出装置用の放射線検出器1として構成することができる。また、本実施の形態に係る放射線検出器1は、カード型の形状を呈する。
【0019】
なお、本実施の形態に係る放射線検出器1は、コリメータを備えることができる。また、放射線検出器1は、コリメータを備えずに用いることもできる。コリメータを用いる場合、多孔平行コリメータ、ピンホールコリメータ等を用いることができる。本実施の形態では、一例として、多孔平行コリメータを用いることとし、その詳細については、後述する。
【0020】
また、詳細は後述するが、放射線検出用基板としての基板20は支持部材としてのカードホルダ30とカードホルダ31とに挟み込まれて支持される。カードホルダ30とカードホルダ31とはそれぞれ同一形状を有して形成され、カードホルダ30が有する溝付穴34にカードホルダ31が有する突起部36が嵌め合わされると共に、カードホルダ31が有する溝付穴34(図示しない)にカードホルダ30が有する突起部36(図示しない)が嵌め合わされることにより基板20を支持する。
【0021】
また、弾性部材実装部32及び凹部32aは、複数の放射線検出器1を支持する放射線検出器立てに放射線検出器1が挿入された場合に、放射線検出器1を放射線検出器立てに押し付けて固定する弾性部材が設けられる部分である。なお、放射線検出器立てはカードエッジ部29が挿入されるコネクタを有しており、放射線検出器1は、カードエッジ部29がコネクタに挿入され、コネクタとパターン29aとが電気的に接続することにより外部の電気回路としての制御回路、外部からの電源線、グランド線等に電気的に接続される。
【0022】
図1を参照すると、放射線検出器1は、一対のCdTe素子10の基板20の反対側に、各CdTe素子10の電極パターンと基板20に設けられた複数の基板端子22とのそれぞれを電気的に接続する配線パターン(CdTe素子10の基板20の反対側の素子表面10aの電極パターン、及びフレキシブル基板40のCdTe素子10側の配線パターンは図示しない)を有するフレキシブル基板40を更に備える。
【0023】
フレキシブル基板40は、一対のCdTe素子10の一方のCdTe素子10側、及び他方のCdTe素子10側の双方に設けられる(本実施の形態においては、4組の一対のCdTe素子10の一方のCdTe素子10側のそれぞれと、他方のCdTe素子10側のそれぞれとの双方に、フレキシブル基板40がそれぞれ設けられる)。そして、フレキシブル基板40の複数の配線パターンの一端はそれぞれ、基板端子22に電気的に接続する。
【0024】
(基板20の詳細)
図2は、第1の実施の形態に係る基板の正面図である。
図3(a)は、第1の実施の形態に係る基板の輪郭領域近傍の拡大図であり、(b)は、基板の角部近傍の拡大図である。
図4は、第1の実施の形態に係る基板とCdTe素子との位置関係を示す斜視図である。
【0025】
本実施の形態に係る基板20は、金属導体等の導電性材料からなる導電性薄膜(例えば、銅箔)が表面に形成された薄肉基板(例えば、FR4等のガラスエポキシ基板)を、ソルダーレジスト等の絶縁材料からなる絶縁層20cで挟んで形成される。
【0026】
また、基板20は、
図1及び
図2に示すように、CdTe素子10が設置される搭載領域21、及び搭載領域21に設置されるCdTe素子10の輪郭に対応する領域の一部を切り欠いて形成された切り欠き部21aを備えている。
【0027】
搭載領域21は、基板20のカードエッジ部29が設けられる側の反対側の辺近傍に位置する。本実施の形態における搭載領域21は、基板20の両面に設けられ、各搭載領域21に、一例として、4つのCdTe素子10が搭載される。
【0028】
切り欠き部21aは、
図3(a)及び(b)に示すように、CdTe素子10の角部分に対応する領域である角部200に形成される。この角部200は、
図2の紙面において基板20の上端部の両側にあたる。
【0029】
図3(a)に点線で示す輪郭領域100aは、搭載領域21に設置されるCdTe素子10の輪郭に対応する領域である。切り欠き部21aは、
図3(b)に示すように、この輪郭領域100aの4つの角部分100bのうち、基板20の角部200に対応する角部分100bに基づいて形成される。切り欠き部21aは、例えば、略1/4円形状となるように形成される。切り欠き部21aは、基板20の正面視にて、この略1/4円内にCdTe素子10の角部が見えるように形成される。
【0030】
この輪郭領域100aは、例えば、複数の素子接続部20aと、素子接続部20a間の領域である複数の間隙領域20bとを含んでいる。
【0031】
素子接続部20aは、例えば、導電性を有する金属材料を用いて形成される。また、素子接続部20aは、基板20の正面視にて長手方向が基板20の短手方向に沿った略長方形状を有する。そして、素子接続部20aは、一例として、幅W
1が0.6mmである。間隙領域20bは、一例として、幅W
2が0.8mmである。
【0032】
また、
図4に示す隣り合うCdTe素子10の間隔W
3は、一例として、0.1mmである。
【0033】
図5は、第1の実施の形態に係る基板にCdTe素子を搭載した状態の一部分を上面から示した模式的な拡大図である。
【0034】
本実施の形態においては、基板20の一方の面と他方の面とのそれぞれに複数のCdTe素子10が搭載される。各CdTe素子10は、
図5に示すように、フレキシブル基板40の配線パターンに接続する電極パターン(図示しない)を素子表面10aに有すると共に、複数の溝部10cを基板20側の素子表面10bに有する。また、CdTe素子10はそれぞれ、複数の溝部10cの間の素子表面10bに、基板20の素子接続部20aに接続する電極パターンを有する(図示しない)。
【0035】
また、一のCdTe素子10の複数の溝部10cは、素子表面10bに略等間隔で設けられる。一例として、一のCdTe素子10は、7つの溝部10cを有する。CdTe素子10は、溝部10cが基板20の間隙領域20bと対向するように設置される。
【0036】
溝部10cで分けられるCdTe素子10の部分のそれぞれが、放射線を検出する1つの画素(ピクセル)に対応する。これにより、一のCdTe素子10は、複数の画素を有することになる。そして、1つの放射線検出器1が8つのCdTe素子10(4組の一対のCdTe素子10)を備え、1つのCdTe素子10がそれぞれ8つのピクセルを有する場合、1つの放射線検出器1は、64ピクセルの解像度を有することになる。溝部10cの数を増減させることにより、一のCdTe素子10のピクセル数を増減させることができる。よって素子接続部20aは、1つのピクセルごとに形成されるので、
図2に示すように、基板20の片面に32個の素子接続部20aが形成されることになる。
【0037】
CdTe素子10は、
図5に示すように、基板20の素子接続部20aに導電性接着剤50によって固定される。ここで、本実施の形態においては、一方のCdTe素子10の一のピクセル部分と、この一のピクセル部分に基板20を対称面として対称の位置に設けられる他方のCdTe素子10の一のピクセル部分とは、導電性接着剤50aと導電性接着剤50bとで基板20に固定される。
【0038】
ここで、基板20は、CdTe素子10が導電性接着剤50により固定されるとき、接着による残留応力等で反りが生じることがある。この反りにより、仮に切り欠き部21aがない場合、例えば、基板20がCdTe素子10に接触することがある。この場合、CdTe素子10にストレス、欠け等が発生し、放射線検出器1の放射線検出特性が低下する。しかし、基板20には、切り欠き部21aが形成されているので、反りが生じてもCdTe素子10と基板20との接触が防止される。
【0039】
溝部10cの幅T
3は、一例として、0.2mmである。そして、CdTe素子10の厚さT
2は、一例として、1.2mmである。更に、
図5を参照すると、一のピクセルの幅もCdTe素子10の厚さT
2に等しい幅T
2を有して形成される。したがって、一のピクセルは、上面視にて一の隅部が溝部10cで欠けた略正方形状を有する。また、本実施の形態においては、複数のCdTe素子10それぞれの溝部10cの幅を、例えば、コリメータの開口径又は複数の開口を隔てる壁の厚さに応じて決定できる。以下に、基板20の厚さについて説明する。
【0040】
図6は、第1の実施の形態に係る放射線検出器上にコリメータを備えた付けた場合の模式的な断面の部分的な拡大図である。
【0041】
基板20は、コリメータ7の複数の開口71を隔てる壁部70と同程度又は当該壁部70の厚さd
2以下の厚さT
1を有する。一例として、
図6に示すように、コリメータ7の複数の開口71は略四角形状に形成される。そして、複数の開口71の開口径d
1のサイズは一辺が1.2mmに形成され、各開口71が1.4mmピッチでマトリックス状に並べられて形成される。したがって、コリメータ7において、一の開口71と、この一の開口71に隣接する他の開口71とを隔てる壁部70の厚さd
2が0.2mmである。
【0042】
また、コリメータ7は、複数の放射線検出器1を覆うように設けられる。そして、コリメータ7を用いる場合において、コリメータ7の複数の開口71それぞれの位置と、CdTe素子10の複数のピクセルそれぞれの位置とを対応させることが要求される。この対応関係がずれた場合、ピクセルの位置にコリメータ7の複数の開口71を隔てる壁部70(「隔壁」、「セプタ」という場合もある)が位置することになる。この場合、ピクセル上に壁部70が位置するので、このピクセルにおいて放射線を適切に検出することはできない。
【0043】
したがって、コリメータ7の壁部70にCdTe素子10のピクセル部分が覆われることを防止すべく、複数の放射線検出器1間の間隔を狭めることにより、複数の放射線検出器1のコリメータ7に対する高い位置精度を実現することが要求される。なお、コリメータ7の複数の開口71の開口径d
1を小さくして分解能を向上させる場合には、更に高い位置精度が要求される。
【0044】
本実施の形態に係る放射線検出器1は、コリメータ7の開口71を隔てる壁部70の厚さd
2と同程度若しくはd
2以下の厚さT
1を有する基板20を備えているので、複数の放射線検出器1間の間隔Xを壁部70の厚さd
2以下に設定できる。また、放射線検出器1とコリメータ7の間隔d
3は、例えば、1〜5mmである。
【0045】
ここで、放射線6が、
図6に示すように、放射線検出器1の検出面100に対して斜め方向から入射する場合、開口71の直下にあるCdTe素子10ではなく、基板20を介して対向するCdTe素子10に入射してしまう現象、いわゆるクロストークが発生することが考えられる。このクロストークを防止するためには、コリメータ7の開口71の開口径d1を狭くしたり、壁部70の厚さd
2を厚くしたり、放射線検出器1とコリメータ7との間隔d
3を狭くしたり、コリメータ7の入射方向の長さを長くする等の対策が考えられる。しかし、コリメータ7は、放射線6が透過しない鉛等の比較的比重が大きい金属を用いて構成されるので、厚さd
2を厚くしたり、コリメータ7の入射方向の長さを長くしたりすることは、コリメータ7の重さが増大する原因になる。そこで、基板20は、クロストークの防止の観点から、その厚さT
1は、0.4mm以下であることが好ましく、0.2mm程度であることがより好ましい。0.4mmという厚さは、放射線検出器1の分解能とコリメータ7の重さから設定される。また、0.2mmという厚さは、壁部70が放射線6を透過させない厚さであることから設定される。
【0046】
また、基板20は、複数のCdTe素子10のそれぞれが搭載される第一の端部側の幅が、複数のCdTe素子10が搭載される第一の端部側の反対側の第二の端部側よりも広く形成される。なお、第二の端部側において基板20はカードホルダ30及びカードホルダ31によって支持される。また、第二の端部側には、放射線検出器1と外部の制御回路とを電気的に接続可能である複数のパターン29aが設けられたカードエッジ部29が設けられる。また、素子接続部20aとカードエッジ部29との間には、複数のCdTe素子10のそれぞれと、素子接続部20aを介して電気的に接続する抵抗、コンデンサ等の電子部品を搭載する複数の電子部品搭載部26が設けられる。なお、電子部品搭載部26に、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field Programmable Gate Array(FPGA)等を搭載することもできる。
【0047】
なお、基板20は、一例として、幅広の方向、すなわち長手方向は40mm程度の長さを有して形成される。そして、基板20は、幅広の部分の端部から幅が狭くなっている部分の端部まで、すなわち、素子接続部20aが設けられている部分の端からカードエッジ部29の端までの短手方向において、20mm程度の長さを有して形成される。
【0048】
更に、基板20は、素子接続部20aと電子部品搭載部26との間に、基板20の表面からこの表面の法線方向に沿って突き出て形成される柱状の複数の基板端子22を有する。本実施の形態では、一例として、基板20の一表面に4つの円柱状の基板端子22が形成される。なお、基板端子22は、断面が矩形の柱状にすることもできる。更に、基板20は、幅広の部分の角部にグランド28を有すると共に、グランド28が設けられる領域に、カードホルダ30及びカードホルダ31の突起部36が挿入される複数の貫通穴24が設けられる。
【0049】
また、素子接続部20aと、基板端子22と、電子部品搭載部26と、グランド28と、パターン29aとはそれぞれ、基板20の厚さ方向の中心に位置する導電性薄膜を対称面として、基板20の一方の表面と他方の表面とのそれぞれに設けられる。ここで、素子接続部20aと、電子部品搭載部26と、グランド28と、パターン29aとはそれぞれ、一方の表面と他方の表面とに基板を対称面として略対称の位置に設けられる。一方、複数の基板端子22は、一方の面と他方の面とで互い違いになる位置に設けられる。更に、複数のグランド28はそれぞれ、導電性薄膜を被覆する絶縁層20cを除去することにより導電性薄膜を外部に露出させて形成される。
【0050】
本実施の形態において、半導体素子を構成する化合物半導体としては、例えば、CdTeを用いたがこれに限定されず、γ線等の放射線を検出するCdZnTe(CZT)素子、HgI
2素子等の化合物半導体素子を用いることもできる。
【0051】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る放射線検出器1によれば、基板20が反ったとしても、切り欠き部21aによりCdTe素子10と基板20との接触が避けられるので、放射線検出器1の放射線を検出する特性の劣化を防止することができる。また、この放射線検出器1によれば、組立て時にCdTe素子10が基板20に接触することによるCdTe素子10の欠けを防止することができる。
【0052】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、上記の切り欠き部21aの他に切り欠き部を形成した点で第1の実施の形態と異なっている。なお、以下に示す各実施の形態及び変形例において、第1の実施の形態と同じ構成及び機能を有する部分については、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0053】
図7は、第2の実施の形態に係る基板の正面図である。
図8は、第2の実施の形態に係る基板の輪郭領域近傍の拡大図である。
【0054】
本実施の形態に係る基板20は、
図7に示すように、基板20の搭載領域21の短手方向の両端部に、切り欠き部21bを有する。この切り欠き部21bは、切り欠き部21aに対応する角部分100bとは異なる領域であり、かつ、搭載領域21の端部であって、隣り合うCdTe素子10がないCdTe素子10の短手方向の角部分100bに形成される。また、切り欠き部21bは、例えば、半円形状となるように形成される。切り欠き部21bは、基板20の正面視にて、この半円内にCdTe素子10の角部が露出するように形成される。
【0055】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態に係る放射線検出器1によれば、基板20が反ったとしても、切り欠き部21a及び切り欠き部21bによりCdTe素子10と基板20との接触が避けられるので、放射線検出器1の放射線を検出する特性の劣化を防止することができる。また、この放射線検出器1によれば、組立て時にCdTe素子10が基板20に接触することによるCdTe素子10の欠けを防止することができる。
【0056】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、CdTe素子の4つの角部に対応する領域に切り欠き部を形成する点で上記の他の実施の形態と異なっている。
【0057】
図9は、第3の実施の形態に係る基板の正面図である。
図10は、第3の実施の形態に係る基板の角部近傍の拡大図である。
図11は、第3の実施の形態に係る基板とCdTe素子の位置関係を示す斜視図である。
【0058】
本実施の形態に係る基板20は、
図9乃至
図11に示すように、搭載領域21に位置するCdTe素子10の4つの角部に対応する領域に切り欠き部21a〜21dを有する。
【0059】
切り欠き部21cは、例えば、輪郭領域100aの上部の辺部分100cであり、かつ、CdTe素子10の角部に対応する領域に形成され、半円形状を有する。この切り欠き部21cは、例えば、
図10及び
図11に示すように、基板20の正面視にて、CdTe素子10の角部104と、角部104に隣り合うCdTe素子10の角部106とが、この半円内に露出するように形成される。角部104と角部106とが露出していることにより、CdTe素子10を設置する際、CdTe素子10の角部が基板20に接触することを防ぐことができる。本実施の形態における放射線検出器1では、基板20の片側に搭載されるCdTe素子10は、4つであるから、3つの切り欠き部21cが形成される。
【0060】
一方、切り欠き部21dは、例えば、輪郭領域100aの下部の辺部分100cに形成され、かつ、CdTe素子10の角部に対応する領域に形成され、円形状を有する。この切り欠き部21dは、例えば、
図10及び
図11に示すように、CdTe素子10の角部105と、角部105に隣り合うCdTe素子10の角部107とが、この円内に露出するように形成される。露出していることにより、CdTe素子10を設置する際、CdTe素子10の角部が基板20に接触することを防ぐことができる。本実施の形態における放射線検出器1では、基板20の片側に搭載されるCdTe素子10は、4つであるから、3つの切り欠き部21dが形成される。
【0061】
切り欠き部21c及び切り欠き部21dの直径W
4は、隣り合うCdTe素子10の間隔W
3が0.1mmであることから、例えば、0.2mm以上であることが好ましい。また、切り欠き部21c及び切り欠き部21dの直径W
4は、間隙領域20bの間隔W
2が0.8mmであることから、例えば、0.8mm以下であることが好ましい。よって、本実施の形態に係る直径W
4は、一例として、0.6mmである。
【0062】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態に係る放射線検出器1によれば、基板20が反ったとしても、切り欠き部21a〜21dによりCdTe素子10との接触を避けられるので、放射線検出器1の放射線を検出する特性の劣化を防止することができる。また、この放射線検出器1によれば、組立て時にCdTe素子10が基板20に接触することによるCdTe素子10の欠けを防止することができる。
【0063】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、輪郭領域100aの辺部分100cの間隙領域20bに対応する領域に切り欠き部を形成する点で上記の他の実施の形態と異なっている。
【0064】
図12は、第4の実施の形態に係る基板の正面図である。
図13は、第4の実施の形態に係る基板とCdTe素子の位置関係を示す斜視図である。
【0065】
本実施の形態に係る基板20は、
図12及び
図13に示すように、切り欠き部21a〜21d以外に切り欠き部21e、21fを有する。
【0066】
切り欠き部21eは、例えば、輪郭領域100aの上部の辺部分100cであり、かつ、間隙領域20bに対応する領域に形成され、半円形状を有する。この切り欠き部21eは、例えば、
図13に示すように、基板20の正面視にて、CdTe素子10の溝部10cが、この半円内に露出するように形成される。本実施の形態における放射線検出器1では、一のCdTe素子10の溝部10cの数は、7個であるから、基板20では、28個の切り欠き部21eが形成される。
【0067】
一方、切り欠き部21fは、例えば、輪郭領域100aの下部の辺部分100cであり、かつ、間隙領域20bに対応する領域に形成され、円形状を有する。この切り欠き部21fは、例えば、
図13に示すように、CdTe素子10の溝部10cが、この円内に露出するように形成される。本実施の形態における放射線検出器1では、一のCdTe素子10の溝部10cの数は、7個であるから、基板20では、28個の切り欠き部21fが形成される。
【0068】
切り欠き部21e及び切り欠き部21fの直径は、例えば、切り欠き部21c及び切り欠き部21dの直径と同じであるが、これに限定されない。
【0069】
(第4の実施の形態の効果)
第4の実施の形態に係る放射線検出器1によれば、基板20が反ったとしても、切り欠き部21a〜切り欠き部21fによりCdTe素子10と基板20との接触を避けられるので、放射線検出器1の放射線を検出する特性の劣化を防止することができる。また、この放射線検出器1によれば、組立て時にCdTe素子10が基板20に接触することによるCdTe素子10の溝部10c周辺の欠けを、特に防止することができる。
【0070】
(変形例)
図14(a)及び(b)は、変形例に係る基板の拡大図である。本変形例では、切り欠き部の変形例について説明する。
【0071】
図14(a)に示す基板20は、上記の各実施の形態における切り欠き部のような円弧形状ではなく、直線を組み合わせた三角形状、矩形状を有している。
【0072】
切り欠き部21aは、例えば、基板20の端部を直線的に切り欠いた形状を有している。この切り欠き部21aは、
図14(a)に示す形状であっても、基板20の反りによる、基板20とCdTe素子10との接触を防止することができる。
【0073】
切り欠き部21b及び切り欠き部21cは、例えば、輪郭領域100aの角部分100bであって、基板20の辺部分に対応する領域を三角形状に切り欠いて形成される。この切り欠き部21b及び切り欠き部21cは、
図14(a)に示す形状であっても、基板20の反りによる、基板20とCdTe素子10との接触を防止することができる。
【0074】
切り欠き部21dは、例えば、輪郭領域100aの角部分100bであって、基板20の内側の領域に対応する領域を矩形状に切り欠いて形成される。この切り欠き部21dは、
図14(a)に示す形状であっても、基板20の反りによる、基板20とCdTe素子10の接触を防止することができる。
【0075】
また、
図14(b)に示す基板20は、基板20の角部に形成された切り欠き部21aが、他の切り欠き部21b〜切り欠き部21dよりも大きく形成されている。これは、基板20の反りが一番大きい部分が、基板20の角部であることによる。切り欠き部21aを大きく形成することにより、基板20が反ったとしても、特に切り欠き部21aによりCdTe素子10と基板20との接触を避けられるので、放射線検出器1の放射線を検出する特性の劣化を防止することができる。
【0076】
なお、切り欠き部は、上記の各実施の形態及び変形例を組み合わせて基板20に形成されても良い。
【0077】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び変形例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。