(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、半導体製造工程における洗浄作業に水素溶解水を用いる場合には、水素溶解水に酸素ガスが溶解しているとシリコンウエハ表面に薄い酸化膜が形成されるという問題が生じるため、水の電気分解によって発生した水素ガスのみを抽出して純水に溶解させるようにしている。そのため、水の電気分解によって発生した水素ガスと酸素ガスから水素ガスのみを抽出する必要があり、装置が複雑となるため家庭用としては不向きである。
【0008】
また、上述したように、窒素や酸素が全く含まれていない純水に水素ガスを溶解させることは比較的容易であるが、窒素や酸素が飽和状態で含まれている飲料に水素ガスを溶解させることは困難である。特に、水素溶解水製造装置を工業用として用いる場合には大掛かりな装置とすることができ、水の電気分解で生じた水素ガスを高圧で供給することも可能となるが、家庭用として用いる場合には高圧で水素ガスを供給することが難しく、短時間で多くの水素ガスを飲料に溶解させることは容易ではない。
【0009】
本発明の目的は、水素ガスを飲料に溶解させる効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水素溶解水製造装置は、水素ガスを飲料に溶解させる水素溶解水製造装置であって、飲料が入れられる飲料容器と、水の電気分解により水素ガスと酸素ガスを発生させる電解槽と、前記飲料容器の吸入口に設けられた吸入流路、前記飲料容器の吐出口に設けられた吐出流路、および前記吸入流路と前記吐出流路とを相互に連通する連通流路を備え、前記飲料容器の外部に配置される循環流路と、前記吐出流路と前記連通流路との連通部分に位置させて設けられ、飲料が前記吸入口から前記循環流路内に吸入され前記吐出口から前記飲料容器内に吐出されるように、前記飲料容器と前記循環流路との間で飲料を循環させるターボ形ポンプと、前記電解槽と前記循環流路とを連通させ、前記電解槽で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスを前記循環流路に供給する供給流路と、前記連通流路の口径よりも外径が小さい略円筒状に形成されるとともに、前記連通流路内に位置させて前記供給流路の開口端部に前記連通流路と同軸上に設けられ、外周を流れる飲料によ
るエジェクタ効果により前記混合ガスを前記循環流路内に放出する多孔質部材とを有し、前記電解槽で発生して前記多孔質部材から放出される
前記混合ガスを、
前記ターボ形ポンプにより前記循環流路内に引き込んで微細な気泡として前記循環流路内の飲料中に供給することを特徴とする。
【0011】
本発明の水素溶解水製造装置は、水素ガスを飲料に溶解させる水素溶解水製造装置であって、飲料が入れられる飲料容器と、水の電気分解により水素ガスと酸素ガスを発生させる電解槽と、前記飲料容器の容器底に設けられた非磁性材料からなる仕切り板、および前記飲料容器の内部に突出した中央部に吸入口が形成されるとともに側壁に吐出口が形成された円筒部により形成される循環流路と、従動マグネットを有し前記循環流路内に設けられる羽根車、および前記仕切り板を介して前記従動マグネットに対向する駆動マグネットを備え、飲料が前記吸入口から前記循環流路内に吸入され前記吐出口から前記飲料容器内に吐出されるように、前記飲料容器と前記循環流路との間で飲料を循環させるターボ形ポンプと、前記飲料容器内に配置される飲料容器側流路、および前記電解槽の内部に配置され前記飲料容器側流路に着脱自在に取り付けられる電解槽側流路を有し、前記電解槽で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスを前記循環流路に供給する供給流路と、前記循環流路に連通し前記吸入口の中央部に位置させ
て前記飲料容器側流路の端部に設けられ
、前記羽根車の支軸を回転自在に支持するとともに前記混合ガスを前記循環流路内に放出する環状の多孔質部材とを有し、
前記電解槽で発生し
て前記多孔質部材から放出される前記混合ガスを、
前記ターボ形ポンプにより前記循環流路内に引き込んで微細な気泡として前記循環流路内の飲料中に供給することを特徴とする。本発明の水素溶解水製造装置は、
前記電解槽は固定台に取り付けられ、前記飲料容器は前記固定台に着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飲料容器と循環流路との間で循環される飲料中に電解槽で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスを、多孔質部材を通過させることにより微細な気泡として供給するようにしたので、水素ガスを飲料に短時間で効率良く溶解させることができる。さらに、循環流路内にターボ形ポンプを設けるようにしたので、混合ガスの微細な気泡を含んだ飲料がターボ形ポンプの羽根車により撹拌および剪断され、水素ガスを飲料に溶解させる効率を向上させることができる。したがって、大きな動力や高圧を用いない家庭用の小型の水素溶解水製造装置により、どのような飲料にでも水素ガスを容易に溶解させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1に示す水素溶解水製造装置10は、飲料11に水素ガスを溶解させて水素溶解水を製造するために、主に家庭用として用いられる。水素溶解水製造装置10は、飲料11が入れられる飲料容器12と、水の電気分解を行う電解槽13とを有しており、これら飲料容器12と電解槽13とが別体に分離して設けられている。この水素溶解水製造装置10は、飲料容器12および電解槽13がそれぞれ固定台14上に固定された固定式となっている。
【0016】
飲料容器12は上方側に開口するコップ状に形成されており、その開口部から飲料容器12に飲料11が入れられる。飲料容器12には、水道水やミネラルウォータ、清涼飲料水等の飲料水の他、牛乳やアルコール飲料など好みの飲料11を入れることができる。飲料容器12の下端部には、飲料容器12に入れられた飲料11を注ぎ出すための給水コック15が設けられている。
【0017】
電解槽13は、上方側に開口する有底の筒状容器13aと、筒状容器13aの開口部を閉塞する密閉用蓋13bとを備えている。密閉用蓋13bは筒状容器13aに着脱自在に取り付けられるようになっており、筒状容器13aと密閉用蓋13bとの間に挟み込まれる密閉用パッキン16により電解槽13内が密閉されている。電解槽13内には、白金メッキされた一対のチタニウム電極が陽極17および陰極18として相互に離間して取り付けられている。陽極17の端子17aは図示しない電源の正極に電気的に接続されており、陰極18の端子18aは電源の負極に電気的に接続されている。なお、陽極17および陰極18としてはチタニウム電極に限定されることはないが、長時間の電気分解に耐えられるものとして白金メッキされたチタニウム電極が好適である。
【0018】
この電解槽13内には、陽極17および陰極18の全体が浸されるように電解質水溶液19が注入される。つまり、電解槽13内の下方側には電解質水溶液19により満たされた水溶液層が形成され、電解槽13内の上方側には気体層が形成される。電解質水溶液19としては、イオン交換水にクエン酸を加えた質量濃度5%の電解質水溶液が用いられるが、これに限られることはない。例えば、イオン交換水または蒸留水に加えられる電解質には、誤って人体に入っても毒性がなく取り扱いも安全なカルボン酸類としてクエン酸の他、リンゴ酸や酒石酸などを用いるようにしても良い。ただし、電気分解による分解や変質が少なく、低濃度でもイオン伝導度が良く、安価であるものとしてクエン酸が好適である。
【0019】
電解槽13内に電解質水溶液19が注入された状態で陽極17と陰極18との間に6〜12Vの直流電圧を印加することにより、陽極17側から酸素ガスが発生するとともに陰極18側から水素ガスが発生する。この水の電気分解によって発生した水素ガスと酸素ガスとの混合ガスは、電解槽13内の気体層に貯留される。
【0020】
この水素溶解水製造装置10には、電解槽13で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスと、飲料容器12に入れられた飲料11とを混合して、水素ガスを飲料11に溶解させるための気液混合器21が設けられている。
図2は
図1に示す気液混合器の拡大断面図である。
【0021】
気液混合器21は、
図1に示すように、飲料容器12に形成された吸入口22および吐出口23を相互に連通する循環流路24、飲料容器12と循環流路24との間で飲料11を循環させるための循環ポンプとしてのターボ形ポンプ25、および電解槽13と循環流路24とを連通する供給流路26を有している。
【0022】
吸入口22および吐出口23は、飲料容器12の容器底12aに相互に近接させて形成されている。循環流路24は固定台14内に設けられており、吸入口22を介して飲料容器12内に連通する吸入流路27、吐出口23を介して飲料容器12内に連通する吐出流路28、および吸入流路27と吐出流路28とを相互に連通する連通流路29を備えている。
【0023】
図2に示すように、吸入流路27は上下方向に延びる円管状に形成されており、その上端側が吸入口22に向けて開口されている。同様に、吐出流路28は上下方向に延びる円管状に形成されており、その上端側が吐出口23に向けて開口されている。連通流路29は水平方向に延びる円管状に形成されており、一端部において吸入流路27の下端部と連通されるとともに、他端部において吐出流路28の下端部と連通されている。つまり、連通流路29は、吸入流路27および吐出流路28とほぼ直交させた状態で連通されており、循環流路24は吸入口22と吐出口23とを相互に連通する略コの字形状に形成されている。この循環流路24内には、吸入口22および吐出口23を介して飲料容器12内の飲料11が入り込み、循環流路24内が飲料11により満たされている。なお、吸入流路27の口径は吐出流路28の口径よりも大きく設定されており、連通流路29の口径は吸入流路27の口径とほぼ同径に設定されている。
【0024】
循環流路24内には、吐出流路28と連通流路29との連通部分に位置させてターボ形ポンプ25が設けられている。ターボ形ポンプ25には、直流モータ30により回転駆動される図示しない羽根車を備えた遠心ポンプが用いられ、羽根車はその軸方向が連通流路29の中心軸上となるように配置されるとともに、羽根車の径方向一方側が吐出流路28の長手方向に沿うように配置されている。
【0025】
給電端子31,32を介して直流モータ30に駆動電流が供給されターボ形ポンプ25が駆動されると、羽根車の遠心力により連通流路29内の飲料11が吸い込まれ、吐出流路23内へ飲料11が吐き出される。これにより、飲料11が吸入口22から循環流路24内に吸入され吐出口23から飲料容器12内に吐出されるように、飲料容器12と循環流路24との間で飲料11が循環される。
【0026】
この循環流路24内に電解槽13で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスを供給するために、循環流路24と電解槽13とを連通する供給流路26が設けられている。供給流路26はL字状に屈曲する円管状に形成されており、供給流路26の外径は連通流路29の口径よりも小さく設定されている。供給流路26の一端部は電解槽13内の気体層において開口している。また、供給流路26の他端側は連通流路29と同軸上に延びて連通流路29内に配置されており、供給流路26の他端部(循環流路24側の端部)には、連通流路29の長手方向中央部に位置させて多孔質セラミック33が取り付けられている。つまり、供給流路26の他端部は、多孔質セラミック33を介して連通流路29内に開口している。この供給流路26には、
図1に示すように、電解槽13と循環流路24との間に位置させて逆止弁34が装着されており、循環流路24内の飲料11が電解槽13へ逆流することが防止されている。
【0027】
多孔質セラミック33は連通流路29の口径よりも外径が小さく設定された略円筒状に形成されており、連通流路29の長手方向中央部には、多孔質セラミック33を同軸上に配置することによって、多孔質セラミック33の外周面と連通流路29の内周面との間で環状の狭い流路35が形成されている。この多孔質セラミック33には、気孔径が数ミクロンで吸水率10〜20%、見掛け気孔率30〜40%のムライト質あるいはアルミナ質からなるセラミックが用いられる。なお、供給流路26の他端部に取り付けられる多孔質部材としては多孔質セラミック33に限られず、例えば、多数の微細孔を備える焼結合金や樹脂などを用いるようにしても良い。
【0028】
電解槽13で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスは、電解槽13の気体層から供給流路26により連通流路29内に供給される。このとき、混合ガスは多孔質セラミック33を通過することで、微細な気泡(マイクロバブル)として連通流路29内の飲料11中に放出される。また、多孔質セラミック33が配置される連通流路29の長手方向中央部は多孔質セラミック33により流路35が狭く絞り込まれているため、飲料容器12と循環流路24との間で循環される飲料11は流路35を通過する際に流速が上昇される。この流速変化による圧力低下によって、エジェクター効果により混合ガスが供給流路26から連通流路29内に引き込まれる。これにより、多孔質セラミック33から放出される混合ガスの微細な気泡は、水の表面張力とガスの集合化によって大きく成長する前に多孔質セラミック33の表面から離脱され、数十ミクロン〜数百ミクロンの気泡として供給流路26から連通流路29内の飲料11中に放出される。
【0029】
その後、混合ガスの微細な気泡を含む飲料11がターボ形ポンプ25に吸い込まれ、羽根車により撹拌および剪断されることで、混合ガスは数ミクロン〜数十ミクロンのさらに微細な気泡となる。この微細な気泡が混合された飲料11が吐出口23から飲料容器12内に吐出され、水素ガスが溶解された水素溶解水としての飲料11が飲料容器12に貯留される。また、吸入口22と吐出口23とが相互に近接して形成されているため、吐出口23から飲料容器12内に吐出された気泡と飲料11との気液混合物は再び吸入口22から吸入され、飲料容器12と循環流路24との間で繰り返し循環されるので、水素ガスを飲料11に溶解させる効率が向上される。なお、水素ガスとともに供給される酸素ガスは、元々飲料11に飽和しているので、酸素ガスをさらに飲料11に溶解させても問題はない。
【0030】
このように、飲料容器12と循環流路24との間で循環される飲料11中に電解槽13で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスを、多孔質セラミック33を通過させることにより微細な気泡として供給するようにしたので、水素ガスを飲料11に短時間で効率良く溶解させることができる。さらに、循環流路24内にターボ形ポンプ25を設けるようにしたので、混合ガスの微細な気泡を含んだ飲料11がターボ形ポンプ25の羽根車により撹拌および剪断され、水素ガスを飲料11に溶解させる効率を向上させることができる。したがって、大きな動力や高圧を用いない家庭用の小型の水素溶解水製造装置10により、どのような飲料11にでも水素ガスを容易に溶解させることが可能となる。
【0031】
また、水の電気分解に電解質水溶液19を用いたので、電流効率が改善され、DC6〜12Vで十分な量の水素ガスを発生させることができる。すなわち、水の電気分解に水道水を用いる場合には、水道水のイオン伝導度が低く水の理論電解電位を大幅に上回るため、必要量の水素ガスを短時間で得ようとすればDC24〜28Vの高電圧が必要となり電流効率が悪く、電気分解によって水道水の温度が上昇することとなるが、水の電気分解に電解質水溶液19を用いることで電流効率を向上させることができる。さらに、イオン交換水または蒸留水に加えられる電解質にカルボキシル基を持つ有機化合物としてのカルボン酸類を用いるようにしたので、塩素ガスなどの有毒ガスや、電極を不導体化するマグネシウム化合物やカルシウム化合物などの不純物が発生することがない。これにより、水の電気分解を行う際に、時間の経過とともに電流が流れなくなることを防止することができる。
【0032】
本実施形態の水素溶解水製造装置10において、水素ガスを溶解させた飲料11中の溶存水素量を計測した結果、電解時間と平均溶存水素量との関係は表1の通りであった。なお、水の電気分解の条件としては、直流電圧12V、直流電流1Aとした。
【0034】
ただし、飲料11中には溶解されていない水素ガスの微細な気泡が多量に残留しているので、この状態で飲料11を飲めば、上記の計測データの2倍以上の水素を体内に取り込むことができる。微量の水素ガスが人体に入っても生体膜でのガス交換によって吸収され、水素溶解水と共に活性酸素の中和に貢献すると考えられる。また、この水素溶解水製造装置10によれば、飲料11を直接電気分解しないので、どのような飲料11からでも有害物が入らない水素溶解水を作ることが可能となる。
【0035】
図3は
図1に示す水素溶解水製造装置の変形例を示す断面図である。
図3において、上述した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
この水素溶解水製造装置40は、気液混合器21と一体化された飲料容器41と、電源部や制御部を備えた電解槽42とを互いに分離可能とした分離式となっている。飲料容器41はベース43上に固定されており、ベース43内には、
図1に示すものと同様の気液混合器21が設けられている。飲料容器41の容器底41aには、吸入流路27に連通する吸入口22と、吐出流路28に連通する吐出口23とが形成されている。この飲料容器41には給水コック15が設けられておらず、飲料容器41と電解槽42とを分離した状態で飲料容器41を傾けることで、飲料容器41に入れられた飲料11が開口部から注がれる。一方、電解槽42には、ACアダプタの給電端子が電気的に接続される端子接続部44と、電源スイッチや電解時間設定タイマからなるスイッチ部45などが設けられている。
【0037】
気液混合器21の循環流路24と電解槽42の気体層とを連通する供給流路46は、電解槽42内に配置される電解槽側流路46aと、飲料容器41のベース43内に配置される飲料容器側流路46bとを有している。それぞれの流路46a,46bは供給コネクタ47により互いに着脱自在に取り付けられ、取付状態において電解槽側流路46aと飲料容器側流路46bとが連通されるようになっている。飲料容器側流路46bには逆止弁34が装着されており、循環流路24内の飲料11が電解槽42へ逆流することが防止されている。
【0038】
また、水素溶解水製造装置40には、直流モータ30に駆動電流を供給するための図示しないモータ給電回路が飲料容器41のベース43内に設けられるとともに、端子接続部44と陽極17および陰極18とをそれぞれ電気的に接続する図示しない電解給電回路が電解槽42内に設けられている。それぞれの給電回路は給電コネクタ48により互いに着脱自在に取り付けられ、取付状態においてモータ側給電回路と電解給電回路とが電気的に接続されるようになっている。
【0039】
このように、
図3に示す水素溶解水製造装置40においては、飲料容器41と電解槽42とを供給コネクタ47および給電コネクタ48により互いに着脱自在に接続するようにしたので、飲料容器41や電解槽42を分離して自由に持ち運びすることができ、飲料容器41の洗浄等を容易に行うことが可能となる。
【0040】
図4は本発明の他の実施形態である水素溶解水製造装置の断面図であり、
図5は
図4に示す気液混合器の拡大断面図である。
図4および
図5において、上述した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
この水素溶解水製造装置50は、固定台14上に着脱自在に取り付けられる飲料容器51と、固定台14上に固定された電解槽13とを有しており、固定台14から飲料容器51のみを分離可能とした分離式となっている。飲料容器51には、
図3に示す飲料容器41と同様に、給水コック15が設けられておらず、飲料容器51を固定台14から取り外した状態で飲料容器51を傾けることで、飲料容器51に入れられた飲料11が開口部から注がれる。一方、電解槽13は、
図1に示すものと同様の構造をしている。なお、固定台14には、飲料容器51が取り付けられる際に飲料容器51の位置を定めるために、ガイド14aが上方側に突出して形成されている。
【0042】
図5に示すように、水素溶解水製造装置50に設けられる気液混合器52は、飲料容器51に形成された吸入口53および吐出口54を相互に連通する循環流路55、飲料容器51と循環流路55との間で飲料11を循環させるための循環ポンプとしてのターボ形ポンプ56、および電解槽13と循環流路55とを連通する供給流路57とを有している。
【0043】
飲料容器51の容器底51aは、その中央部が飲料容器51内へ向けて突出しており、下方側に開口する有底の円筒部58が設けられている。この円筒部58の底壁の中央部に吸入口53が形成されるとともに、円筒部58の側壁に吐出口54が形成されている。つまり、吸入口53および吐出口54は、飲料容器12の容器底51aに相互に近接させて形成されており、相互に直交する側に開口して飲料容器51内に連通されている。
【0044】
飲料容器51の容器底51aには、円筒部58の開口部を閉塞するように非磁性金属からなる仕切り板59が取り付けられており、吸入口53および吐出口54を介して飲料11が漏出することが防止されている。この仕切り板59と円筒部58との間で形成される空間により、吸入口53と吐出口54とを相互に連通する循環流路55が形成されている。循環流路55には、吸入口53および吐出口54を介して飲料容器51内の飲料11が入り込み、循環流路55内が飲料11により満たされている。
【0045】
循環流路55内に設けられるターボ形ポンプ56には遠心ポンプが用いられ、循環流路
55内に設けられる羽根車61と、固定台14内に配置される直流モータ30とを有している。羽根車61は、その軸方向が吸入口53の中心軸上となるように配置されるとともに、羽根車61の径方向が吐出口54の開口側に沿うように配置されている。この羽根車61の下方側には4極の円盤状の従動マグネット62が同軸上に固定されている。羽根車61および従動マグネット62は、羽根車61から上方側に同軸上に延びる支軸63が後述する供給流路57の端部に支持されるとともに、従動マグネット62が仕切り板59に装着されたボール状の軸受64により支持されることで、その軸まわりに回転自在に取り付けられている。
【0046】
また、直流モータ30の回転軸30aには4極の円盤状の駆動マグネット65が同軸上に固定されている。駆動マグネット65は、仕切り板59に接触しない程度に近接して配置されており、仕切り板59を介して従動マグネット62に対向されている。飲料容器51を固定台14上に載置した状態では、駆動マグネット65と従動マグネット62との間で磁気力が作用し、直流モータ30の回転軸30aと羽根車61とがマグネットカップリングされる。
【0047】
給電端子31,32を介して直流モータ30に駆動電流が供給されターボ形ポンプ56が駆動されると、駆動マグネット65と従動マグネット62の磁気力により羽根車61が回転される。この羽根車61の遠心力により、飲料11が吸入口53から循環流路55内に吸入され吐出口54から飲料容器51内に吐出されるように、飲料容器51と循環流路55との間で飲料11が循環される。
【0048】
気液混合器52の循環流路55と電解槽13の気体層とを連通する供給流路57は、電解槽13および固定台14の内部に配置される電解槽側流路57aと、飲料容器51内に配置される飲料容器側流路57bとを有している。飲料容器側流路57bの一端部には供給コネクタ66が装着されており、それぞれの流路57a,57bは、飲料容器51を固定台14上に載置した状態で供給コネクタ66により互いに着脱自在に取り付けられ、取付状態において電解槽側流路57aと飲料容器側流路57bとが連通されるようになっている。この供給コネクタ66は逆止弁としても機能しており、循環流路55内の飲料11が電解槽13へ逆流することが防止されている。
【0049】
飲料容器側流路57bの他端部は、吸入口53の中央部に位置させて循環流路55に連通しており、その外径は吸入口53の口径よりも小さく設定されている。飲料容器側流路57bの他端部には環状の多孔質セラミック67が取り付けられており、軸受部材としての多孔質セラミック67により支軸63が飲料容器側流路57bの端部に回転自在に支持されている。つまり、飲料容器側流路57bの他端部は、多孔質セラミック67を介して循環流路55に開口している。なお、供給流路57の他端部に取り付けられる多孔質部材としては多孔質セラミック67に限られず、例えば、多数の微細孔を備える焼結合金や樹脂などを用いるようにしても良く、軸受部材としての多孔質部材により支軸63が回転自在に支持される。
【0050】
電解槽13で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスは、電解槽13の気体層から供給流路57により循環流路55内に供給される。このとき、混合ガスは多孔質セラミック67を通過することで微細な気泡として循環流路55内の飲料11中に放出される。また、飲料容器側流路57bの他端部は、羽根車61と同軸上となるように羽根車61に対向させて開口しているため、羽根車61の遠心力により混合ガスが供給流路57から循環流路55内に引き込まれる。これにより、多孔質セラミック67から放出される混合ガスの微細な気泡は、水の表面張力とガスの集合化によって大きく成長する前に多孔質セラミック67の表面から離脱され、数十ミクロン〜数百ミクロンの気泡として供給流路57から循環流路55内の飲料11中に放出される。
【0051】
その後、混合ガスの微細な気泡を含む飲料11がターボ形ポンプ56に吸い込まれ、羽根車61により撹拌および剪断されることで、混合ガスは数ミクロン〜数十ミクロンのさらに微細な気泡となる。この微細な気泡が混合された飲料11が吐出口54から飲料容器51内に吐出され、水素ガスが溶解された水素溶解水としての飲料11が飲料容器51に貯留される。また、吸入口53と吐出口54とが相互に近接して形成されているため、吐出口54から飲料容器51内に吐出された気泡と飲料11との気液混合物は再び吸入口53から吸入され、飲料容器51と循環流路55との間で繰り返し循環されるので、水素ガスを飲料11に溶解させる効率が向上される。
【0052】
このような水素溶解水製造装置50においても、
図1および
図3に示す水素溶解水製造装置10,40と同様の効果を奏することができる。また、飲料容器51を固定台14に着脱自在に取り付けられるようにしたので、飲料容器51を固定台14から分離して自由に持ち運びすることができ、飲料容器51の洗浄等を容易に行うことが可能となる。
【0053】
本実施形態の水素溶解水製造装置50において、水素ガスを溶解させた飲料11中の溶存水素量を計測した結果、電解時間と平均溶存水素量との関係は表2の通りであった。なお、水の電気分解の条件としては、直流電圧12V、直流電流1Aとした。
【0055】
ただし、飲料11中には溶解されていない水素ガスの微細な気泡が多量に残留しているので、この状態で飲料11を飲めば、上記の計測データの2倍以上の水素を体内に取り込むことができる。微量の水素ガスが人体に入っても生体膜でのガス交換によって吸収され、水素溶解水と共に活性酸素の中和に貢献すると考えられる。
【0056】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前記実施の形態においては、ターボ形ポンプ25,56として遠心ポンプを用いたが、これに限定されることはなく、斜流ポンプや軸流ポンプなど他のターボ形ポンプを用いるようにしても良い。