(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710238
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
H05K13/04 M
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-285688(P2010-285688)
(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公開番号】特開2012-134348(P2012-134348A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500548884
【氏名又は名称】三星テクウィン株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Techwin Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】谷崎 昌裕
【審査官】
遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−135553(JP,A)
【文献】
特開平10−190297(JP,A)
【文献】
特開平02−303200(JP,A)
【文献】
特開平11−284396(JP,A)
【文献】
特開2002−359497(JP,A)
【文献】
特開平01−157600(JP,A)
【文献】
特開平06−077693(JP,A)
【文献】
特開2008−227249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するヘッドを備えた電子部品実装装置において、
前記ヘッドが、前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドルの自転と連動して前記各スピンドルをヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、
前記ヘッドが、前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行い、
前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記ヘッドが、電子部品の装着位置精度優先の動作と電子部品の認識視野活用優先の動作とを選択的に切り替えて、前記各ノズルを自転させることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するロータリ式ヘッドにおいて、
前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドルの自転と連動して前記各スピンドルをヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、
前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行い、
前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とするロータリ式ヘッド。
【請求項4】
電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するヘッドを備えた装置における電子部品実装方法において、
前記ヘッドが、前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドルの自転と連動して前記各スピンドルをヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、
前記ヘッドが、前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行い、
前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項5】
電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するロータリ式ヘッドの駆動方法において、
前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドルの自転と連動して前記各スピンドルをヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、
前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行い、
前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とするヘッド駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに連動する回転軸を有する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ式(回転式)ヘッドを有する電子部品実装装置において、ロータリーヘッドの動作時間短縮を目的として複数軸を同期制御したものがある。特許文献1には、ロータリーヘッドの回転軸モーターとは別に、各ノズルユニットにそれぞれ回転軸モーターを配置し、これらを同期作動させることで、動作時間を短縮したものが開示される。また、特許文献2には、ロータリーヘッドの回転軸モーターとノズルを昇降させるレバー駆動部とを同期させることで、同じく動作時間を短縮したものが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−77693号公報
【特許文献2】特開2008−227249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロータリーヘッドが、ノズルを備えた複数のスピンドルと、これら各スピンドルを自転させる第一モーターと、各スピンドルと平行かつ別軸の回転軸線を有すると共に各スピンドルと連動してこれらを前記回転軸線回りに公転させるヘッド本体と、ヘッド本体を回転させる第二モーターとを有し、ヘッド本体の回転で各スピンドルを公転させながら自転させる機構の場合に、各スピンドル及びヘッド本体の回転を適宜同期させて撮像検査の前後に渡るようにロータリーヘッドを間欠作動させると、撮像検査後に各スピンドルの機構的誤差による狂いが生じることがあり、電子部品の装着位置精度を低下させるという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、互いに連動する回転軸を有する電子部品実装装置において、各軸の同期方法の工夫により、電子部品の装着位置精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するヘッドを備えた電子部品実装装置において、前記ヘッドが、前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドル
の自転と連動して
前記各スピンドルを
ヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を
前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、前記ヘッドが、前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行
い、前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とする。
請求項
2に記載した発明は、前記ヘッドが、電子部品の装着位置精度優先の動作と電子部品の認識視野活用優先の動作とを選択的に切り替えて、前記各ノズルを自転させることを特徴とする。
請求項
3に記載した発明は、電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するロータリ式ヘッドにおいて、前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドル
の自転と連動して
前記各スピンドルを
ヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を
前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行
い、前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とする。
請求項
4に記載した発明は、電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するヘッドを備えた装置における電子部品実装方法において、前記ヘッドが、前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドル
の自転と連動して
前記各スピンドルを
ヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を
前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、前記ヘッドが、前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行
い、前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とする。
請求項
5に記載した発明は、電子部品を保持、移送して所定箇所に装着するロータリ式ヘッドの駆動方法において、前記電子部品を保持するノズルを備えた複数のスピンドルと、前記各スピンドルを自転させる第一駆動手段と、前記各スピンドル
の自転と連動して
前記各スピンドルを
ヘッド中心軸線回りに公転させるヘッド本体と、前記ヘッド本体を
前記ヘッド中心軸線回りに回転させる第二駆動手段とを有し、前記各ノズルを部品装着位置での電子部品の向きに合わせて自転させつつ、これら各ノズルで部品保持位置にて電子部品を順次保持し、その後に電子部品を部品装着位置に移送して所定箇所への装着を行
い、前記ヘッドが、前記各ノズルの内の部品保持位置上にあるものを部品装着位置での電子部品の向きに合わせるべく、前記各ノズルを逆方向に自転させた状態で、前記部品保持位置上のノズルで電子部品を保持し、その後に前記各ノズルを正方向に前記逆方向の自転量だけ正方向に自転させ、さらにその後に前記各ノズルを自転させることなくヘッド本体と同一回転速度で前記ヘッド中心軸線回りに回転させる手順を行いつつ、前記手順を繰り返すことで前記各ノズルに電子部品を順次保持した後、電子部品を部品装着位置に移送して、前記各ノズルを逆方向に自転する前の状態に戻した状態で電子部品の所定箇所への装着を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各駆動手段を同期作動させて各ノズルとヘッド本体とを適宜連動させることで、例えば各ノズルに保持した電子部品の撮像検査後に各スピンドルを自転させることなく部品装着位置にて電子部品の装着を行うことができるため、前記撮像検査後に各スピンドルの機構的誤差等による狂いが生じることがなく、電子部品の装着位置精度を向上させることができる。又は、前記撮像検査時の撮像視野を有効活用するべく各スピンドルを自転させることで、効率的な画像取り込みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態における電子部品実装装置の斜視図である。
【
図2】上記電子部品実装装置のノズルヘッドの軸線に沿う断面図である。
【
図3】上記電子部品実装装置のノズルヘッドの軸線に直交する断面図であり、(a)はT軸モーターのみが駆動した場合を、(b)はR軸モーターのみが駆動した場合を、(c)は各モーターが同期駆動した場合をそれぞれ示す。
【
図4】
図3に相当する断面図であり、(a),(b)は各モーターが同期駆動しつつ各ノズルが電子部品を吸着する様を順に示し、(c)は各ノズルが電子部品を吸着し終えた後にT軸モーターのみが駆動して各ノズル及び電子部品を自転させる様を示す。
【
図5】
図3に相当する断面図であり、(a)は一ノズルが電子部品を吸着する前にT軸モーターのみが逆転駆動して各ノズルを自転させる様を、(b)は一ノズルが電子部品を吸着した後にT軸モーターのみが正転駆動して各ノズルを自転させる様を、(c)は(a),(b)の手順を繰り返して各ノズルが電子部品を吸着し終えた後に各モーターが同期駆動して各ノズルを公転させる様をそれぞれ示す。
【
図6】電子部品を吸着したノズルヘッドをカメラ側から見た視野の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、電子部品実装装置1の装置本体1aは、基台2の幅方向(X方向)の両側部に奥行き方向(Y方向)に延びるYテーブル3を備えている。各Yテーブル3には、その上部に設けたテーブル台4にサーボモーター5によって回転するボールネジ6が設けられている。
【0010】
各Yテーブル3のうち、
図1左側のYテーブル3のサーボモーター5は手前側に、
図1右側のYテーブル3のサーボモーター5は奥側にそれぞれ設けられている。各Yテーブル3のボールネジ6には、X方向に延びるXテーブル7の両側部がそれぞれ螺合されている。
【0011】
Xテーブル7は、そのテーブル本体8が各Yテーブル3のボールネジ6に螺合し、各Yテーブル3のボールネジ6の回転によりY方向に沿って移動する。Xテーブル7には、
図1右側に設けたサーボモーター9によって駆動するボールネジ10が設けられている。ボールネジ10には、ジョイントブロック11が螺合しており、このジョイントブロック11には、負圧により電子部品を吸着し、正圧で解放する八本のノズル18を備えたノズルヘッド20が支持されている。
【0012】
各Yテーブル3には、Y方向に沿って開口部13が形成され、各開口部13に掛け渡すようにして、基台2の前側(手前側)にてX方向に延びる基板搬送装置14が設けられている。基板搬送装置14は一対のレール15を備え、これら各レール15上を、電子部品が実装される基板16がX方向に沿って搬送される。そして、基板搬送装置14上の部品装着位置に配置された基板16に、各ノズル18が吸着した電子部品が装着される。
【0013】
基台2の上部の前側には、
図1左側から順に、廃棄部品を投入する電子部品廃棄箱17、複数のノズル18を収容するノズルステーション19、及びノズルヘッド20を下方から照明した状態で撮影するカメラ21が配置されている。カメラ21は、ノズルヘッド20を下方から撮影し、各ノズル18に吸着された電子部品の配置等や不良品か否かの検査を行う。
【0014】
カメラ21の
図1右側には、装置本体1aに対して基板16に実装する電子部品を供給する復数(
図1では一対のみ示す)のテープフィーダー22を有する。各テープフィーダー22はX方向に沿って配列され、自身が保持するテープリールから繰り出したキャリアテープ上の電子部品(何れも不図示)をノズルヘッド20による部品吸着位置に配置する。
【0015】
この電子部品が、ノズルヘッド20の各ノズル18により吸着され、基板搬送装置14上の基板16への部品装着位置に搬送され実装される。
図2を併せて参照し、ノズルヘッド20は、T軸モーター31の作動により各ノズル18をZ方向に沿うノズル中心軸線C1回りに回転(自転)させると共に、R軸モーター32の作動により各ノズル18をZ方向に沿うヘッド中心軸線C2回りに回転(公転)させる。このノズルヘッド20と各テーブル3,7との協働により、各ノズル18の何れかが前記部品吸着位置又は部品装着位置の上方に配置されると共に、このノズル18が前記軸線C1中心又は軸線C2中心で各々任意の回転角度に位置決めされる。
【0016】
ノズルヘッド20は、各ノズル18の何れかを部品吸着位置の上方に配置し、このノズル18を昇降部材33の作動により下降させて電子部品を吸着する。その後、ノズルヘッド20は、電子部品を吸着したノズル18を昇降部材33の作動により上昇させ、このノズル18及び電子部品を部品装着位置の上方に配置する。さらにその後、ノズルヘッド20は、電子部品を吸着したノズル18を昇降部材33の作動により下降させて、基板16上に電子部品を装着する。
【0017】
装置本体1aにおける例えば基台2の前部下側の
図1左側には、各テーブル3,7及びノズルヘッド20を含む電子部品実装装置1全体の作動を制御するコントローラー24が配置されている。また、基台2の前部下側の
図1右側には、複数のテープフィーダー22を搭載した不図示の部品供給台車を収容する台車収容部25が凹設される。
【0018】
図2に示すノズルヘッド20は、Z方向に沿う円筒状の外形を有するもので、ジョイントブロック11に前記軸線C2回りに回転可能に支持される円筒状のヘッド本体34と、軸線C2回りの周方向で等間隔に配置される複数のノズル18とを有する。ヘッド本体34の下部外周には、Z方向に沿う棒状のスピンドル36が複数配置され、これら各スピンドル36の下端部に各ノズル18がそれぞれ設けられる。ヘッド本体34の下部外周には、これと一体回転可能な中空状のバレル体35が設けられ、このバレル体35の上下壁に各スピンドル36の上下が前記軸線C1回りで回転可能かつ軸線C1に沿って昇降可能に支持される。
【0019】
また、ノズルヘッド20は、ヘッド本体34内を同軸に貫通する駆動軸37と、駆動軸37の上端部に同軸かつ一体回転可能に設けられる入力ギヤ38と、駆動軸37の下端部に同軸かつ一体回転可能に設けられる出力ギヤ39と、ジョイントブロック11の上方にZ方向に沿う駆動中心軸線CT,CRを有して配置されるT軸モーター31及びR軸モーター32とを有する。
【0020】
各モーター31,32は、それぞれの駆動軸31a,32aを下方に突出させる。T軸モーター31の駆動軸31aの外周にはピニオンギヤ31cが同軸かつ一体回転可能に設けられ、このピニオンギヤ31cが比較的大径の入力ギヤ38に噛み合う。これらピニオンギヤ31c及び入力ギヤ38からなる第一減速ギヤ対を介して、T軸モーター31の駆動力が駆動軸37に伝達され、かつ出力ギヤ39及び後述の各ノズル駆動ギヤ41からなる第二減速ギヤ対を介して、前記駆動力が各スピンドル36(T軸)に伝達される。
【0021】
また、R軸モーター32の駆動軸32aの下方にはこれと同軸の中継軸32bが配置され、この中継軸32bと駆動軸32aとが一体回転可能に係合する。中継軸32bの外周にはピニオンギヤ32cが同軸かつ一体回転可能に設けられ、このピニオンギヤ32cがヘッド本体34の上端部外周に同軸かつ一体回転可能に設けられた比較的大径のヘッド駆動ギヤ42に噛み合う。これらピニオンギヤ32c及びヘッド駆動ギヤ42からなる第三減速ギヤ対を介して、R軸モーター32の駆動力がヘッド本体34(R軸)に伝達される。なお、図中符号32dは駆動軸32aと中継軸32bとの接続部分を支持する複列の玉軸受けを示す。
【0022】
各スピンドル36の下部には、それぞれ前記ノズル駆動ギヤ41が同軸かつ一体回転可能に設けられ、これら各ノズル駆動ギヤ41が前記出力ギヤ39に噛み合う。これにより、R軸モーター32が停止してT軸モーター31のみが駆動すると、各スピンドル36及び各ノズル18が軸線C2中心で回転(公転)することなく軸線C1中心で回転(自転)する(
図3(a)参照)。
【0023】
一方、T軸モーター31が停止してR軸モーター32のみが駆動すると、ヘッド本体34及びバレル体35が軸線C2中心で回転すると共に各スピンドル36及び各ノズル18も軸線C2中心で回転(公転)し、かつ各ノズル駆動ギヤ41が出力ギヤ39の外周を転動することで各スピンドル36及び各ノズル18がそれぞれの軸線C1中心で回転(自転)する(
図3(b)参照)。
【0024】
また、ヘッド本体34(ヘッド駆動ギヤ42)と駆動軸37(入力ギヤ38)とが同一回転速度となるように各モーター31,32が同期駆動すると、各ノズル駆動ギヤ41が出力ギヤ39の外周を転動することなく(すなわち各スピンドル36及び各ノズル18が自転することなく)、各スピンドル36及び各ノズル18がヘッド本体34及びバレル体35と同一回転速度で公転する(
図3(c)参照)。
【0025】
バレル体35の上壁には、各スピンドル36の上部がそれぞれノズル上ラジアル玉軸受け43を介して支持され、バレル体35の下壁には、各スピンドル36の下部がそれぞれノズル下ラジアル玉軸受け44を介して支持される。
また、ヘッド本体34の上端部内周には、駆動軸37の上部がヘッド上ラジアル玉軸受け45を介して支持され、ヘッド本体34の下端部内周には、駆動軸37の下部がヘッド下ラジアル玉軸受け46を介して支持される。
【0026】
図4(a)は、各ノズル18がヘッド本体34に対する自転角度を同一にした状態で、各ノズル18及びヘッド本体34を同期させて回転(公転)させつつ、各ノズル18で部品吸着位置A1にて順次電子部品Eを吸着する例を示す。この例では、各ノズル18に吸着された電子部品Eは、それぞれ自身を保持するノズル18に対する向きが全て同一となる(
図4(b)参照)。
【0027】
各ノズル18に電子部品Eを吸着したノズルヘッド20は、その下方(電子部品E側)からカメラ21により撮影され、各電子部品Eの配置等の検査が行われる。その後、部品装着位置A2にて各ノズル18に吸着した電子部品Eを基板16に装着することとなるが、このとき、電子部品Eの装着時の向きが前記部品吸着時の向きと異なる場合には、カメラ21による撮像検査後に各モーター31,32を差動させて各ノズル18を自転させて電子部品Eの向きを合わせることとなる(
図4(c)参照)。
【0028】
しかし、カメラ21の撮像検査後に各ノズル18を自転させると、各ノズル18の機構的誤差により電子部品Eの位置に狂いが生じることがある。なお、前記機構的誤差には、スピンドル36の回転による振れ誤差や軸受け部分の振れ誤差等がある。
【0029】
そこで本実施形態では、電子部品Eの装着時の向きが前記部品吸着時の向きと異なる場合には、その電子部品Eの装着時の向きを考慮して、各ノズル18を一旦逆方向に自転させ(
図5(a)参照)、この状態で電子部品Eの吸着を行い、その後に各ノズル18を正方向に自転させて、自転前の状態に戻している(
図5(b)参照)。
【0030】
この手順を繰り返すことで、各ノズル18に電子部品Eが装着時の向きで順次吸着され(
図5(c)参照)、その後にカメラ21による撮像検査を行うことで、撮像検査後にノズル18を自転させる必要がなくなり、ノズル18の機構的誤差等による電子部品Eの装着位置精度の低下が防止される。これにより、ノズルヘッド20各部の回転方向の相対的な位置変動を、部品撮像後から部品装着時まで最小限に抑えることが可能となる。
【0031】
上記実施形態によれば、各駆動手段を同期作動させて各ノズル18とヘッド本体34とを適宜連動させることで、カメラ21による撮像検査後に各スピンドル36を自転させることなく部品装着位置にて電子部品Eの装着を行うことができるため、カメラ21による撮像検査後に各スピンドル36の機構的誤差等による狂いが生じることがなく、電子部品Eの装着位置精度を向上させることができる。
【0032】
ここで、
図7を参照し、上記実施形態の如く電子部品Eの装着位置精度を優先して各ノズル18を自転させるべく各駆動手段を同期作動させる場合、カメラ21の撮像視野Bには無駄な部分が生じ易く、カメラ21の撮像視野Bに対して一度に撮像できる部品サイズが小さくなる。
【0033】
そこで、カメラ21の限られた撮像視野Bを有効に活用するために、部品吸着向きが絶対方向で維持できるようにノズルヘッド20を回転移動させる(R軸回転移動量に対し、電子部品Eの向きが撮像視野Bに整合するようにT軸回転移動量を調整して同期動作させる)ことで、例えば
図7に示す平面視正方形状の電子部品Eの場合、最大√2倍の部品サイズを一度に取り込み可能となる。すなわち、カメラ21の限られた撮像視野Bを有効活用して効率的な画像取り込みが可能となる。つまり、電子部品実装装置1は、ノズルヘッド20における電子部品Eの装着位置精度を優先した動作と電子部品Eの認識視野の有効活用を優先した動作とを選択的に切り替え可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、カメラによる撮像検査後に各スピンドルの機構的誤差等による狂いが生じることがなく、電子部品の装着位置精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 電子部品実装装置(装置)
E 電子部品
18 ノズル
20 ノズルヘッド(ヘッド、ロータリ式ヘッド)
31 T軸モーター(第一駆動手段)
32 R軸モーター(第二駆動手段)
34 ヘッド本体
36 スピンドル
A1 部品吸着位置(部品保持位置)
A2 部品装着位置