特許第5710263号(P5710263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710263
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ユーティリティガスの製造及び利用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   B01D53/04 B
   B01D53/04 F
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2010-534079(P2010-534079)
(86)(22)【出願日】2008年10月14日
(65)【公表番号】特表2011-504136(P2011-504136A)
(43)【公表日】2011年2月3日
(86)【国際出願番号】US2008079870
(87)【国際公開番号】WO2009064569
(87)【国際公開日】20090522
【審査請求日】2011年10月14日
(31)【優先権主張番号】60/987,308
(32)【優先日】2007年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500450727
【氏名又は名称】エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ラスムーセン ピーター シー
(72)【発明者】
【氏名】タナカ ポール エル
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ブルース ティー
(72)【発明者】
【氏名】アプティグローヴ スタンリー オー
(72)【発明者】
【氏名】デックマン ハリー ダブリュー
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−114715(JP,A)
【文献】 特開平04−250814(JP,A)
【文献】 特開2000−024445(JP,A)
【文献】 特開2001−254084(JP,A)
【文献】 特開2002−066248(JP,A)
【文献】 特開2006−036849(JP,A)
【文献】 特開2008−272534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02−53/12
B01D 53/26−53/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給ストリームの処理方法であって、
ガス供給ストリームを生成する工程を含み、前記ガス供給ストリームは、人造プロセス又は地球のガス源由来のいずれのガスストリーム又はガス支配的ストリームであり、かつ、大気中の空気又は主に大気から誘導されたガスのストリームを含まず、
前記ガス供給ストリームの少なくとも一部を分割してガススリップストリームを形成する工程を含み、ガススリップストリームは、少なくとも100バール〜少なくとも500バールの圧力であり、
少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システムを用いて前記ガススリップストリームを分離して、ユーティリティ成分内で使うためのユーティリティストリームを形成する工程を含み、
前記第1のユーティリティストリームを前記ユーティリティ成分内に供給する工程、を含み、
前記ユーティリティストリームは前記ユーティリティ成分で使用可能であり、かつ、プロセスのユーティリティ成分においてドライシールガスとして利用される、方法。
【請求項2】
前記ガススリップストリームが、炭化水素含有供給ストリーム、窒素リッチストリーム、プロセスストリームの少なくとも一部、及び圧縮機排出ストリームの少なくとも一部の少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガススリップストリームが、前記ガス供給ストリームの臨界点より高い圧力である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのユーティリティ成分の少なくとも1つが、圧縮機、ドライシール圧縮機、圧縮機ストリング、ターボエキスパンダー圧縮機、ターボエキスパンダージェネレーター、ポンプ、燃焼蒸気ボイラー、燃焼プロセスヒーター、ガスエンジン、密閉直接駆動電気モーター、磁気ベアリングを備えたターボ機械、ガス作動型機器及び制御機器、並びにガスタービンから成る群より選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットが、圧力スイング吸着(PSA)ユニット、熱スイング吸着(TSA)ユニット、分圧スイング又は置換パージ吸着(PPSA)ユニット、急速サイクル熱スイング吸着(RCTSA)ユニット、急速サイクル圧力スイング吸着(RCPSA)ユニット、急速サイクル分圧スイング又は置換パージ吸着(RCPPSA)ユニット、小型PSA、小型TSA、小型PPSA、及びそのいずれかの組合せから成るユニットの群より選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記選択成分除去システム(SCRS)が、吸着ユニット、膜分離ユニット、分子ふるい、蒸留塔、及びグリコール接触器の少なくとも1つをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーティリティストリームが、実質的に毒性成分及び腐食性成分のない組成を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記スイング吸着プロセスを圧力容器内で行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
窒素リッチガスストリームの処理方法であって、
窒素リッチガスストリームを生成する工程を含み、
前記窒素リッチストリームの少なくとも一部を分割してガススリップストリームを形成する工程を含み、ガススリップストリームは、少なくとも100バール〜少なくとも500バールの圧力であり、
少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システムを用いてガススリップストリームを分離して、ユーティリティ成分内で使うためのユーティリティストリームを形成する工程を含み、
前記ユーティリティストリームを前記ユーティリティ成分内に供給する工程を含み、
前記ユーティリティストリームは前記ユーティリティ成分で使用可能であり、かつ、プロセスのユーティリティ成分においてドライシールガスとして利用される、方法。
【請求項10】
ガス供給ストリームを処理するためのシステムであって、
少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを含む選択成分除去システムに作動可能に連結された、ガス供給ストリームを含む管状部材を含み、前記ガス供給ストリームは、人造プロセス又は地球のガス源由来のいずれのガスストリーム又はガス支配的ストリームであり、かつ、大気中の空気又は主に大気から誘導されたガスのストリームを含まず、前記ガス供給ストリームの少なくとも一部が分割されて、少なくとも100バール〜少なくとも500バールの圧力であるガススリップストリームを形成し、前記選択成分除去システムを利用して前記ガススリップストリームを分離してユーティリティストリームを形成し、
前記ユーティリティストリームを受けて利用するように構成されたユーティリティ成分を含み、前記ユーティリティストリームは該ユーティリティ成分で使用可能であるシステム。
【請求項11】
前記ユーティリティ成分が、圧縮機、ドライシール圧縮機、圧縮機ストリング、ターボエキスパンダー圧縮機、ターボエキスパンダージェネレーター、ポンプ、燃焼蒸気ボイラー、燃焼プロセスヒーター、ガスエンジン、密閉直接駆動電気モーター、磁気ベアリングを備えたターボ機械、ガス作動型機器及び制御機器、並びにガスタービンの少なくとも1つである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットが、圧力スイング吸着(PSA)ユニット、熱スイング吸着(TSA)ユニット、分圧スイング又は置換パージ吸着(PPSA)ユニット、急速サイクル熱スイング吸着(RCTSA)ユニット、急速サイクル圧力スイング吸着(RCPSA)ユニット、急速サイクル分圧スイング又は置換パージ吸着(RCPPSA)ユニット、小型PSA、小型TSA、小型PPSA、及びそのいずれかの組合せから成るユニットの群より選択される、請求項10又は11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は2007年11月12日提出の米国仮特許出願第60/987,308号の利益を主張する。
(発明の分野)
この発明は、一般的にスリップストリームの処理方法に関する。さらに詳細には、本発明は、ユーティリティガスとして使うためのガス支配プロセススリップストリームを処理するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、以下に記載及び/又は請求する本発明の典型的実施形態と関連しうる技術の種々の態様を読者に紹介することを意図する。この議論は本発明の特定技術のより良い理解を容易にするための情報を読者に提供するのに役立つと考えられる。従って、当然のことながら、これらの記載はこの観点から読むべきであり、必ずしも先行技術の承認として読むべきでない。
現在、ほとんどのガス圧縮機(圧縮機)アプリケーション又はガス処理施設は、ユーティリティガス流体としてプロセス内でいくらか圧縮又は処理したガスを利用してシール、燃料システム及び他の補助装置を供給する。これらの補助システム又は他の圧縮されるガスの利用のほとんどが多くの場合、シール又は補助システムを介した圧力調整又は圧力降下(露点制御)中に液体凝縮のないクリーンかつ乾いたガスを必要とする。それらはまた、硫化水素(H2S)又は二酸化炭素(CO2)及び水などの特有の有害又は腐食性のガス及び液体を除去することによる解毒及び腐食防止を必要とすることが多い。
これらの不要成分をストリッピングするための従来の方法は、資本集約的な大きい複雑な装置、例えば分子ふるい、蒸留塔、グリコール接触器及び他の従来の分離装置を必要とする。これらのユーティリティに必要なガス量は、該プロセスで取り扱われるガス全体に比べて少ないことが多く、これらのプロセスが全ガスストリームに必要でない場合は、この分離、脱水、解毒、腐食制御又は成分選択に付随する費用は、特に遠隔地又はインフラストラクチャーがまだ存在していない場所では、プロジェクトにとって法外に高い可能性がある。燃料ガス内に配管し、不活性ガスを生成し、十分な圧力でクリーンなドライシールガスを供給するための代替システムも非常に複雑で費用が掛かりうる。
【0003】
圧縮機シャフトは典型的に、ガス流体膜を利用することによる静止面と回転面との間のシーリングの原理を利用するドライガスシール(DGS)を利用してシールされる。この「シールガス」が長くかつ信頼できる作動用シールに必要な潤滑及び冷却特性を提供する。シールガスは微粒子がなく、液体がなく、かつシール面にわたって広がるときにシールガスの凝縮を起こす物理的性質を有してはならない。圧縮機の破損又はつまずきに共通の原因はシール欠陥の結果であり、シールの失敗の最も主な原因は、プロセスガス中の汚染物質、液体と固体の両汚染物質によってもたらされる。
多くの圧縮機アプリケーション用シールガス源は圧縮されているプロセスガスである。シールガスに必要な圧力は圧縮機吸気圧力より大きいが、圧縮機排出圧力より小さい。従って、多くのアプリケーションは、適切な場合にはシールガス源として排出ガスを利用する。しかし、一部のアプリケーションでは、ろ過及び加熱後でさえシール面にわたって排出ストリーム成分が凝縮する。
高圧酸性ガスサービスのようないくつかの状況では、シールガスを燃料ガスシステム等の別のユーティリティ源から得ている。このような他のユーティリティガス源から得たガスを次に圧縮してシールガスとして使う。該ガスを用いて、プロセスガスを使用することによって遭遇する液体汚染又は液体ドロップアウトを回避する。これは、燃料ガスを製造するための追加プロセス及び分離ユニット並びに別個のシールガス増幅圧縮機(例えば往復圧縮機)(それ自体が油源及び粒状汚染物質源でありうる)を必要とする。通常、このサービスでは高圧縮比及び低流量のため往復圧縮機を使用する。このタイプの往復圧縮機は通常シリンダー油で潤滑され、このシリンダー油は特に高圧ではガスといくらか混和する。従って、高圧ではシリンダー油をろ過して除くことができず、シールを介してか又はシールへの圧力を制御する圧力調整器のところで圧力が降下すると、シリンダー油は凝縮するか又はガスから「ドロップアウト」する。このシリンダー油のシールガス中への「キャリーオーバー」が標準的なDGSを傷つけ、早期故障を引き起こしうる。
【0004】
また、精油所における高圧水素圧縮機では、プロセスガスがドライシール面にわたる圧力降下によるガスから液体を凝縮させうることが一般的である。時々使用される代替ガスは往復圧縮機からの水素構成ラインからの水素であり、これも潤滑油によってガスを汚染する可能性がある。
処理又は圧縮されているガスを使う別の例は、ガスタービン及び蒸気ボイラー用の燃料ガスである。最近のガス燃焼器、及び低排気燃焼器は、許容できる作動条件を維持するため特に実質的に一定の組成を必要とする。さらに、これらの燃料ガスシステム内で、圧力降下(例えば燃料制御弁に沿って)又は配管内の冷却中に液体が同伴されるか又は凝縮(ドロップアウト)すると、タービン又はボイラー燃焼チャンバー内で、不安定な操作、不十分な操作、信頼性の低下、及び/又は環境規制種、例えば、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)及び/又はイオウ(例えば、イオウ酸化物(SOx))排出などの増加といった問題が生じる可能性がある。さらに、これらのガスの毒性又は腐食性成分は安全の問題があるのみならず、装置及び環境に有害である。解毒及び腐食制御について以下にさらに詳述する。
ガスストリームの腐食性又は毒性を低減するためにガスストリームからH2S、CO2、水及び他の毒性又は腐食性成分(例えばイオン含有物質)を除去することは井戸ストリームガス又は飽和ガスをユーティリティ流体として利用しようとするときに共通の課題である。これらのタイプの成分を除去すると、シールガスシステム及び燃料ガスシステムをより安全にし、信頼性を高め、かつ環境に優しく、或いはユーティリティシステムをより単純かつ低コストにすることができる。これらの毒性又は腐食性成分を除去するためにガスを調整するためのガス処理及び乾燥装置は非常に高価かつ複雑であり、所定のプロセス又は操作では燃料ガス又はガスシールに必要な量にふさわしくないことが多い。
ガス処理及び圧縮装置におけるユーティリティとして窒素又は不活性ガスシステムを利用することが多い。例えばシール内で確実に毒性若しくは炭化水素ガスが環境へ漏れないようにし、爆発性混合を防止し、メンテナンス前に使い残しの炭化水素を一掃するため、又はガスシール内でプロセスガス及び潤滑油などの異なる流体間の分離バリアとして、ブランケット又は不活性ガスパージを使用する。一般に、空気から窒素を分離するために設計された窒素システムを用いてこの不活性ユーティリティ流体を提供する。ガスが高率の窒素を含むとき、燃料としての有益性を低減し、ひいては追加の高い処理コストを容認することとなるが、プロセスガスから窒素を分離する場合もある。しかし、少量又はガス中の窒素の比率が低い場合には、これらのタイプのシステムは正当でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーティリティガスとして使うためのプロセスガスを処理する新規方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔概要〕
一実施形態では、ガス供給ストリームの処理方法を提供する。本方法は、ガス供給ストリームを生成する工程;ガス供給ストリームの少なくとも一部を分割してガススリップストリームを形成する工程;少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システムを用いてガススリップストリームを分離して、ユーティリティ成分(component)内で使うためのユーティリティストリームを形成する工程;ユーティリティストリームをユーティリティ成分内に供給する工程(ここで、ユーティリティストリームはユーティリティ成分と適合性である);及びユーティリティストリームをユーティリティ成分内で利用する工程を含む。ガス供給ストリームは高圧プロセスストリーム、炭化水素含有ストリーム、又は圧縮機排出ストリームであってよい。ユーティリティ成分は、圧縮機、ドライシール圧縮機、圧縮機ストリング、ターボエキスパンダー圧縮機、ターボエキスパンダージェネレーター、ポンプ、燃焼蒸気ボイラー、燃焼プロセスヒーター、ガスエンジン、密閉直接駆動電気モーター、磁気ベアリングを備えたターボ機械、ガス作動型機器及び制御機器、又はガスタービンであってよい。スイング吸着プロセスユニットは、圧力スイングユニット、熱スイングユニット、分圧スイング又は置換パージ吸着ユニット、急速サイクル又は小型ユニットであってよい。
【0007】
別の実施形態では、窒素リッチガスストリームの処理方法を提供する。本方法は、窒素リッチガスストリームを生成する工程;少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システムを用いて窒素リッチガスストリームの少なくとも一部を分離して、ユーティリティ成分内で使うためのユーティリティストリームを形成する工程;ユーティリティストリームをユーティリティ成分内に供給する工程(ここで、ユーティリティストリームはユーティリティ成分と適合性である);及びユーティリティストリームをユーティリティ成分内で利用する工程を含む。
本発明の第三の実施形態では、ガス供給ストリームを処理するためのシステムを提供する。このシステムは、少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを含む選択成分除去システムに作動可能に連結された、ガス供給ストリームを含む管状部材(この選択成分除去システムを利用してガス供給ストリームの少なくとも一部を分離してユーティリティストリームを形成する)と、ユーティリティストリームを受けて利用するように構成されたユーティリティ成分(ユーティリティストリームは該ユーティリティ成分と適合性である)とを含む。
【0008】
本発明の前記利点及び他の利点は、以下の詳細な説明を読み、かつ以下の図面を参照すれば明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の特定態様のプロセスプラントを管理するプロセスの典型的フローチャートである。
図2A図1のプロセスで圧縮機を利用する典型的プロセスレイアウトである。
図2B図1のプロセスで圧縮機を利用する典型的プロセスレイアウトである。
図3図2のスイング吸着プロセスユニットを取り囲む高圧容器を含む本発明のプロセスレイアウトの典型的概略図である。
図4】圧力スイング吸着プロセスではなく熱圧力スイング吸着プロセス(熱PSA)を利用する図2の選択成分除去システム(SCRS)の典型的プロセスレイアウトである。
図5】圧力スイング/急速サイクル圧力スイング及び熱スイング吸着プロセスユニットを併用する選択成分除去システム(SCRS)の別の典型的プロセスレイアウトである。
図6】遠心式ドライシール圧縮機用ユーティリティストリーム(例えばシールガス)を調製するための選択成分除去システム(SCRS)のプロセスレイアウトの典型図である。
図7】圧縮機内の通常のドライガスシールシステムの典型図である。
図8】典型的ガススリップストリームに付随する位相エンベロープを示すグラフである。
図9】処理済みガススリップストリームを形成するための処理後の典型的ガススリップストリームに付随する位相エンベロープを示すグラフ図である。
図10】高圧遠心式ドライシール圧縮機用の窒素リッチユーティリティストリーム(例えばシールガス)を調製するための選択成分除去システム(SCRS)のプロセスレイアウトの典型図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔詳細な説明〕
以下の詳細な説明及び実施例では、本発明の好ましい実施形態に関連して本発明を描写する。しかし、以下の説明が本発明の特定の実施形態又は特定の使用に特有である限り、これは例示としてのみのつもりである。従って、本発明は、後述する特有の実施形態に限定されず、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての代替物、変形、及び均等物を包含する。
用語「ガス供給ストリーム」は、本明細書では人造プロセス又は地球のガス源(例えば、炭化水素貯留層、天然ガス生産ストリーム、随伴ガスストリーム、又は合成ガス供給ストリーム)由来のいずれのガスストリーム又はガス支配的ストリームをも意味するが、大気中の空気又は主に大気から誘導されたガスのストリームを含まない。
用語「スリップストリーム」又は「ガススリップストリーム」は、体積測定分のガス供給ストリームを意味し、通常、取り扱われるガスの全体積の半分未満である。「スリップストリーム」はガス供給ストリーム等の一次ガスストリームの体積分率であり、通常、一次ガスストリームと同一組成を有する。
用語「ユーティリティストリーム」(例えばユーティリティーズ)は、(特に断らない限り)、ある施設又はプロセスユニット内で、該施設又はプロセスユニットの圧縮機若しくはガス処理装置全体を操作するために必要ないずれの流体(ガス又は液体)をも含め、消費されるいずれの物をも意味する。ユーティリティストリームのいくつかの一般例としては、燃料ガス、シールガス、機器及び制御機器ガス、窒素又は不活性ガス、ブランケットガス、水圧流体、空気圧システム、水(非飲料水を含む)、タービン若しくはボイラーを動作させるためのディーゼル若しくはガソリン又は所定プロセス用装置(例えば圧縮装置)を動作させるための他のいずれの流体も挙げられる。
【0011】
用語「スイング吸着プロセス」は、圧力スイング吸着(PSA)、熱スイング吸着(TSA)、及び分圧スイング又は置換パージ吸着(PPSA)等のプロセスを包含し、これらのプロセスの組合せも含まれる。急速サイクルを用いてこれらのスイング吸着プロセスを実施することができ、この場合、これらのプロセスを急速サイクル熱スイング吸着(RCTSA)、急速サイクル圧力スイング吸着(RCPSA)、及び急速サイクル分圧スイング又は置換パージ吸着(RCPPSA)と称する。スイング吸着という用語は、これらの急速サイクルプロセスをも包含する。スイング吸着プロセスのいくつかの例及びその天然ガス分離への適用は、その内容を参照によって本明細書に引用したものとする米国特許出願第60/930,827号、米国特許出願第60/930,826号、米国特許出願第60/931,000号、及び米国特許出願第60/930,993号、及び米国特許出願第60/930,998号で提供されている。
圧力スイング吸着(PSA)プロセスは、加圧下のガスが微孔性吸着材料の孔構造内又はポリマー材料の自由体積内に吸着する傾向があるという原理に基づいて作動する。圧力が高いほど、多くのガスが吸着する。圧力が下がると、ガスは解放、又は脱着される。PSAプロセスを用いて混合物中のガスを分離することができる。異なるガスは、吸着材の微小孔又は自由体積を異なる程度まで満たすからである。例えば、天然ガスのようなガス混合物が、メタンを満たすより多くの窒素で満たすポリマー又は微孔性吸着材を含有する容器を加圧下で通過すると、窒素の一部又は全部が吸着床内に留まり、容器から出てくるガスはメタンに富むだろう。吸着床が窒素を吸着するその容量の最後に達したら、圧力を下げ、ひいては吸着した窒素を解放することによって、吸着床を再生することができる。そして、別のサイクルでの準備ができている。
【0012】
温度スイング吸着(TSA)プロセスは、PSAプロセスと同じ原理に基づいて作動する。吸着材の温度が上昇すると、ガスが解放、又は脱着される。ガス混合物中の1種以上の成分を選択的に捕捉する吸着材を利用すると、周期的に吸着床の温度を変動させることによって、TSAプロセスを用いて混合物からガスを分離することができる。
いくつかの個別吸着床区画又は「管」を含む回転吸着モジュールを介してガス流を導くための回転弁システムを用いて急速サイクル圧力スイング吸着(RCPSA)を構築することができる。回転モジュールが作動サイクルを完了するように、各管が連続的に吸着及び脱着工程を通じて循環する。回転吸着モジュールは通常、回転吸着モジュールのどちらかの端部上の2つのシールプレート間に保持された複数の管で構成され、シールプレートは、個別マニフォールドで構成された固定子と接触しており、マニフォールドでは入口ガスがRCPSA管に導かれ、処理された精製生成物ガス及びRCPSA管を出る後部残余ガスは回転吸着モジュールから離れて導かれる。シールプレートとマニフォールドの適切な配置により、いくつかの個々の区画又は管がいずれの所定時間でも完全サイクルの特徴的工程を介して通過することができる。対照的に、通常のPSAでは、RCPSA吸着/脱着サイクルに必要な流量及び圧力の変化が、1サイクル当たり秒のオーダーでいくつかの個別増分で変化し、圧縮及び弁機構によって遭遇する圧力及び流速の脈動を滑らかにする。この形態では、RCPSAモジュールは、回転吸着モジュールが取る円形路の周囲に角度的に間隔のあいた弁要素を含むので、各区画は、完全なRCPSAサイクル内における増加性圧力/流れ方向工程の1つを達成するのに適した方向と圧力のガス流路に連続して各区画が通過する。
ユーティリティーズ又はユーティリティ成分で使うためのガス供給ストリームを調製するため、実施しうる分離アプリケーションの分類には、露点制御、消毒/解毒、腐食防止/制御、脱水、加熱弁制御、調整、及び精製が含まれる。1つ以上の分類のアプリケーションを包含するユーティリティの数例は、燃料ガス、シールガス、非飲料水、ブランケットガス、機器及び制御機器ガス、冷媒、不活性ガスの製造、並びに炭化水素回収である。
【0013】
本発明の実施形態は、選択的に個々の化合物又は化合物群をガススリップストリームから選択スイング吸着プロセスによって除去して、それぞれガススリップストリーム中に存在する1つ以上の成分を含有するユーティリティストリームを生成する。ストリームの特有成分(複数可)が必要であるか又は除去する必要がある場合のいずれの目的のためにもユーティリティストリームを使用することができる。
ガス処理施設が典型的に、該施設を支えるために必要な種々のガスユーティリティストリームを供給できる複数の大きい従来のバルク分離方法を含むのに対して、本発明の実施形態は、現存するガス処理プラントユニットへの結びつきが実用的でないか又は該プラントに結びつけるためのインフラストラクチャーが存在しない(すなわち、ガス処理プラントがない)ところであろうと、ユーティリティガス製造をもたらすことができる。典型的アプリケーションとして、地理的遠隔地、例えば砂漠内、北極内、海中、及び沖合における遠隔石油及びガス生産分野が挙げられる。
本発明のいくつかの典型的実施形態では、開示システム及び方法を用いて処理されるガス供給ストリームは、より低圧(例えば100バール未満)である。通常の分離プロセスを用いて該供給ストリームを調整して、遠心式ドライシール圧縮機のシールで見られる温度及び圧力条件ではガスストリームの分子組成が濃縮しないように保証することもできる。圧力が100バール未満なので、吸収、相分離、及び蒸留などの通常の分離プロセスを用いてガスストリームを調整することができる。通常の分離プロセス(例えば膜分離、アミン等)は、100バールを大きく下回る圧力で利用される。100バール近傍の圧力では、通常の分離プロセスの適用は非常に困難なことがある(場合によっては不可能である)。ドライシール圧縮機のシールにわたる温度及び圧力条件で二相領域に入らないように、酸性又は腐食性物質のない天然ガスストリームの組成をあつらえるために通常の分離プロセスを使用する場合、炭素数が4より大きい重質炭化水素を一般的にストリームから除去する。多くのアプリケーションでは、ストリームからC4+炭化水素の50%超えを除去すると有利でありうる。さらに好ましくは、ストリームからC4+炭化水素の90%超えを除去する。
【0014】
以下、図面について説明する。まず図1を参照すると、本発明の特定態様のプロセスプラントを管理するプロセスのフローチャートを提供してある。このプロセス100は102で始まる。104でガス供給ストリームを生成する。ガス供給ストリームは圧縮機排出ストリーム、プロセスガスストリーム、又は他の同様のストリームであってよいが、空気のような大気のガスストリームではない。好ましくは、ガス供給ストリームは該ストリームの臨界点より高い圧力である(これは通常のガス分離手法では追加の課題を提示することに留意されたい)。当技術分野では理解されているように、臨界点は、それより高いと唯一の分離相として液体が存在しえない圧力-温度点を意味し、その系は普通の蒸気又は液体と区別するため高密度流体又は濃密相と呼ばれることが多い。ガス供給ストリームを分割して(106)、ガススリップストリームを形成してから、少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システム(SCRS)を用いてガススリップストリームに分離して(108)、ユーティリティストリームを形成する。次にユーティリティストリームをユーティリティ成分110内に供給してその中で利用する(112)。ユーティリティストリームはユーティリティ成分と適合性であり、さらなる処理又は調整を受けうる。プロセスは114で終了する。
【0015】
ユーティリティ成分110はドライガスストリームを利用して作動するいずれかの装置であり、圧縮機、ドライシール圧縮機、圧縮機ストリング、ターボエキスパンダー圧縮機、ターボエキスパンダージェネレーター、ポンプ、燃焼蒸気ボイラー、燃焼プロセスヒーター、ガスエンジン、密閉直接駆動電気モーター、磁気ベアリングを備えたターボ機械、ガス作動型機器及び制御機器、又はガスタービンの少なくとも1つを含む。ユーティリティストリームをユーティリティ成分110内で利用する。どんな様式で利用しても非常に有効であるが、例えば、ユーティリティ成分内でドライガスシール用ガスとして使用することができる。
本開示の一部の実施形態では、ガス供給ストリームが少なくとも1種の炭化水素成分を含み、かつ少なくとも約50バール〜約600バール、又は約100バール〜約500バール、又は約200バール〜約320バールのような高圧であってよい。ガス供給ストリームが天然ガス又は随伴ガスを含む場合、製品ストリームを製造しうる。該製品ストリームは、パイプラインで市場に移送される精製ガスストリーム、又は液化天然ガス、又は天然ガス液、又は生産現場などの場所の表面下若しくは地下帯水層に再注入されるガスストリーム、又はこれらの種々製品の組合せの少なくとも1つである。
ガススリップストリームはガス供給ストリームの体積の50%未満であってよく、好ましくはガス供給ストリームの体積の約10%未満であろう。スリップストリーム自他は、ガス炭化水素含有供給ストリームのモル流速の半分未満のモル流速を有するであろう。フロースプリッター又は処理しているガスストリームをユーティリティガスストリームを提供するために処理するフラクションと、製品ストリームとして処理又は使用するフラクションとに分割する同等装置を用いて、ガス炭化水素含有供給ストリームからスリップストリームを発生させることができる。
さらに、この実施形態の好ましい形態では、スイング吸着プロセスユニットを操作して、ドライシール圧縮機用シールガスストリームとしてユーティリティストリームを生成する。ドライシール圧縮機の1つの重要な用途は、酸性ガスストリームをその生産層又は別の地下層へ再び注入できるように酸性ガスストリームを圧縮することである。これらの用途のためには、圧縮機排出圧は地下層内の圧力を超えなければならない。地下層内の圧力は通常100バールを超過し、多くの場合250バールを超過する。これらの用途では、入口(スリップストリーム)で操作されるスイング吸着プロセスユニットを、圧縮機の吸引圧又はシーリング圧によって決まる少なくとも約100バール〜少なくとも約500バールの範囲、さらに好ましくは200〜320バールの範囲で操作することが好ましい。これらの圧力は、通常のスイング吸着ユニットで使われている当該圧力を超過している。
【0016】
図2A〜2Bは図1のプロセスで圧縮機を利用する典型的プロセスレイアウトである。図1を参照して図2A〜2B自体を最もよく理解することができる。図2Aに示すように、プロセスレイアウト200は、圧縮機202、圧縮機202に供給するプロセスストリーム204、圧縮機202からの圧縮機排出ストリーム206、排出ストリーム206から分割されたスリップストリーム207、及び拒絶ストリーム222(プロセスストリーム204と混ぜ合わせてよい)を含む。ストリーム204及び206はそれぞれ「ガス供給ストリーム」とみなすことができる。このプロセスはフィルター208A及び208B、制御弁又は流量/圧力制御装置216A及び216B、スイング吸着プロセスユニット210、及び/又はエキスパンダー214を含んでなる選択成分除去システム(SCRS)201をさらに含む。スイング吸着プロセスユニット210は、少なくとも1つのユーティリティストリーム212Aと第2ストリーム212B〜212X(その1つは部分的に処分ストリーム220でありうる)を含む。ユーティリティストリーム212Aは、エキスパンダー214内で少なくとも部分的に拡張され、フィルター208B内でろ過されて処理済みユーティリティストリーム218を形成する。この処理済みユーティリティストリーム218はSCRS201の成果であり、シールガス又は他のユーティリティとして利用するため圧縮機202のシール内に供給される。
【0017】
スイング吸着プロセスユニット210は圧力、温度又は分圧パージ置換によって循環させられ、急速サイクルユニットであってよい。一実施形態では、圧縮機排出ストリーム206からスリップストリーム207をフィルター208A及び制御弁216Aを通過させて吸着ユニット210に向かわせることができる。フィルター208Aは、吸着ユニット210内の吸着材を汚染及び不活性化(例えば、塞ぐ)しうるいずれの外来粒子をも除去することができる。制御弁216A〜216Bは、SCRS201に供給される流体の流量を制御することができる。種々のストリームを管部材で接続することができる。管部材は、耐食合金、炭素鋼、又は他の材料から構築しうるが、好ましくは管部材は流体を圧力、例えば約100バール以上で取り扱うことができる。
スイング吸着プロセスユニット210は、スリップストリーム207から分離された成分を含む個々のストリーム212A、212B〜212Xを生成しうる。拒絶ストリーム212は処分用220の廃棄化合物を含む。一実施形態では、ストリーム212Xを圧縮機202の吸引又は処分のため降下した圧力のプロセスストリーム204の下流に戻して再循環させることができる。
プロセスストリーム204は、少なくとも約10バール〜少なくとも約600バールにてどこでも作動しうる。典型的な一実施形態では、プロセスストリーム204は、軽質及び重質炭化水素(C1〜C10)、メルカプタン、二酸化イオウ、硫化水素、二酸化炭素、硫化カルボニル、蒸気、窒素、及び他成分並びにそれらのいずれかの組合せを含有する地下貯留層からの生成ストリームでありうる。或いは、プロセスストリーム204は、300バール、400バール、500バール、600バール、又はそれより高い圧力に加圧しうる圧縮機202等のユーティリティ成分からの圧縮ストリームであってよく、上記生成ストリームと同様の成分を含みうるが、圧縮プロセス又は他のプロセスで捕捉された潤滑油又は同様の成分をさらに含みうる。
【0018】
ここで図2Bを参照すると、典型的な酸性ガスプロセス250に関してSCRS 201が示されている。圧縮機202A、202B、及び202Cを圧縮機ストリング内に配置することができ、これらの圧縮機は注入井マニフォールド258への単一の高圧排出256を発生させうる。マニフォールド258から、注入井260を通じてストリームを注入することができる。マニフォールド258からのストリームの一部をフィルター264を経てSCRS 201にスリップストリーム207として送ることができる。SCRS 201から、ストリームがアキュムレーター251に達してから、処理済みユーティリティストリーム218をシールガス制御ユニット又はパネル252に供給することができる。アキュムレーター251は、作動中の一定の分散流れ要求とサージ容量問題を満たすための保持容器であってよい。次にシールガス制御パネル252は、低圧シールガス(例えばユーティリティストリーム)254Aの流れを低圧圧縮機202Aへ向け、中圧シールガス254Bを中圧圧縮機202Bへ向け、かつ高圧シールガス254Cを高圧圧縮機202Cへ向けることができる。さらに、SCRS 201は、プロセスストリーム204にフィードバックしうる拒絶ストリーム222を生成することができる。このような配置では、圧縮機202A、202B、及び202Cが高圧酸性ガス注入圧縮機であってよく、排出256が酸性ガス注入排出であってよい。当業者は、酸性ガス注入以外の種々の用途でSCRS 201を利用できることを認める。その一部については本明細書で開示している。
【0019】
図3は、スイング吸着プロセスユニット210を取り囲む第2圧力容器302を含む本発明のプロセスレイアウトの典型的な概略図である。このプロセスは、図1及び2A〜2Bのプロセスと同様であるが、さらに第2圧力容器302を有する。図1及び2A〜2Bを参照して図3自体をよく理解することができる。スイング吸着プロセスユニット210内のシール上の差圧を減らすため、スイング吸着プロセスユニット210からその周囲環境への全体的な差圧を減らすために加圧しうる圧力容器302内にスイング吸着プロセスユニット210を置くことができる。ボックス304は、フィルター208A、エキスパンダー214、弁216A、又は該ガスの取扱い及び処理装置の何らかの組合せを含みうる。
スイング吸着プロセスユニット210は、ハウジング312内に含まれる吸着床310を利用する。吸着床310は少なくとも1種のビーズ状吸着材又は構造化吸着材で構成される。スイング吸着プロセスユニット内で加熱又は冷却流体を使用する場合、吸着床310は加熱又は冷却通路又は管(図示せず)を含んでもよく、吸着材が加熱又は冷却流体と接触しないように、ハウジング312に取り付けることができる。具体的には、加熱は電気式トレースで行い、冷却は冷却ジャケットで行ってよい。弁(複数可)316Aはスイング吸着プロセスユニット210への供給(スリップストリーム207から導かれる)並びに生成物(例えばユーティリティストリーム212A及び第2、拒絶又は他の生成物ストリーム212B〜212X)の吸着床310へ及び吸着床310からの周期的流量を制御することができる。他の弁(図示せず)を設けて、吸着床310へ及び吸着床310からの加熱及び冷却流体の周期的流量を制御してもよい。
弁技術の選択は、部分的に入口ストリームの圧力、入口ストリームの組成、入口ストリームの温度及び必要ないずれかの加熱又は冷却流体の温度によって決まる。全ての場合に、弁216A、316A、316B、316Cは、弁体からの成分の漏出を防止するシール面又はパッキングを有する。弁体からの漏出量は、弁を取り囲んでいる雰囲気と、弁によって制御されるストリーム(複数可)との間の差圧によって決まる。供給ストリームが高圧(例えば70バールより高い)で供給される場合、弁からの漏出率は安全上及び操作上の重要な関心事でありうる。例えば、吸着ユニット210が酸性ガスを含むH2Sを処理する場合、少量の漏出でさえ、安全上及び操作上の重大な関心事でありうる。
本発明の典型的な一実施形態では、スリップストリーム207の10%より高い圧力に加圧した個々のハウジング内で弁又は弁セット316Aを包囲し、さらに好ましい実施形態では、ハウジングをスリップストリーム207の90%より高い圧力に加圧する。本発明のこれとは別の典型的実施形態は、スイング吸着プロセスユニット210(弁316を含む)全体の周りに第2圧力容器302を含む。ある典型的実施形態では、第2圧力容器302をスリップストリーム207の10%より高い圧力に加圧し、別の典型的実施形態では、第2圧力容器302をスリップストリーム207の90%より高い圧力に加圧する。
【0020】
図4は、圧力スイング吸着ではなく熱圧力スイング吸着(熱PSA)を利用する図2Aの典型的プロセスレイアウトである。図1図2Aを参照して図4自体を最もよく理解することができる。熱PSAを利用するプロセスレイアウト400は、圧縮機202、圧縮機202に供給するプロセスストリーム204、圧縮機202からの圧縮機排出ストリーム206、及び排出ストリーム206から分割されたスリップストリーム207を含む。このプロセスレイアウトは、フィルター208A及び208B、制御弁216A及び216B、スイング吸着プロセスユニット210、吸着ユニット210からの出口ストリーム212A〜212X、並びに分離を実現するために必要な加熱及び冷却をもたらすための少なくとも1つの熱源404及び放熱板(図示せず)を含んでなる選択成分除去システム(SCRS)401をさらに含む。流体ストリーム402を熱源404で加熱してから再循環させるか又は残余ストリーム406を介して廃棄物ストリーム220に送ることができる。圧力エネルギーのみに頼る代わりに、熱エネルギーをも用いて分離を実現する。以下に図5で示すように、熱スイング吸着プロセスユニット210は、圧縮機202と併用してもよく、又は圧縮機なしでもよい。ライン222を介して圧縮機吸引ストリーム204に廃棄物ストリーム220を戻すか又は単に捨ててよい。
【0021】
図5は、圧力スイング/急速サイクル圧力スイングと熱スイングの併用吸着ユニットを備えた別の典型的選択成分除去システム(SCRS)のプロセスレイアウトである。このプロセス500は、プロセスストリーム502、プロセスストリーム502からのスリップストリーム507、及びSCRS 501を含む。SCRS 501は、圧力スイング/急速サイクル圧力スイングと熱スイングの併用吸着ユニットであってよい吸着ユニット510と共に熱交換器(加熱器又は冷却器)506、フィルター508、及び制御弁504Aを含む。ヒーター514及びそれらに付随するライン515、517もあってよい。吸着ユニット510内での処理後、少なくとも第1ユーティリティストリーム512Aがあり、必要に応じてさらにユーティリティストリーム512B〜512Xがある。512Xは廃棄物ストリーム520に送られるか、又はストリーム522を通じて再循環されてプロセスストリーム502と再び混合されうる。
処理システム500は、プロセス502へ戻す廃棄物522の処分を容易にするために圧力を降下させて高圧プロセスストリーム502を利用する。未使用廃棄物又は生成物ストリーム522の一部は、圧力スイングについて示す図2Aと同様に圧縮機202の吸引に戻されるか又は図5に示すように、廃棄物の流れを促進するためプロセスストリームの圧力降下後にプロセスに戻される。
図6は、遠心式ドライシール圧縮機用のユーティリティストリーム(例えばシールガス)を調製するための選択成分除去システム(SCRS)のプロセスレイアウトの典型図である。図2Aを参照して、図6自体を最もよく理解することができる。プロセスレイアウト600は、プロセスストリーム604の圧力を高めて圧縮ストリーム606をもたらす遠心式ドライシール圧縮機602を含む。選択成分除去システム(SCRS)601によってストリーム608から処理済みユーティリティストリーム(例えばシールガスストリーム)618A及び618Bを発生させる。ストリーム608は、プロセスストリーム604又は例えば燃料ガス等の別のプロセスから取ったスリップストリームであってよい。往復圧縮機610を用いて、シールガスストリーム618A及び618Bに必要な最高圧力より高いか又はわずかに高い圧力にストリーム608を圧縮することができる。油蒸気又は圧縮機602のシール内で凝縮するであろう他のいずれの分子種をも除去するため、スイング吸着プロセスユニット627を有するSCRS 601内でストリーム612を処理することができる。スイング吸着プロセスユニット627による処理用のストリーム612を調製するため、必要に応じて、ガスを調整して調整済みストリーム620を形成するユニット614にストリーム612を供給する。調整済み供給ストリーム620の吸着床625への速度を制御する(例えば律動的に送る)ことができる弁又は弁セット628を有するスイング吸着プロセスユニット627に調整済みストリーム620を供給することができる。出口弁又は出口弁セット636を周期的に開閉してユーティリティストリーム640をスイング吸着ユニット627から去らせうつ。次に例えばユニット分離弁、流量点検弁などの安全及びユニット分離装置642にユーティリティストリーム640を供給してよく、或いは必要に応じて圧力解放弁を設けて操作性を改善することができる。また必要に応じてアキュムレーター容器644を設けて流量又は圧力の変動をさらに減らすことができる。必要に応じてアキュムレーターが熱交換器(図示せず)を含んでもよい。このように結果として生じるストリーム646が、選択成分除去システムによって生成された処理済みユーティリティストリーム(シールガス)であり、圧縮機602のドライガスシールで使うためストリーム618A及び618Bに分割しうる。さらに、第2ストリーム638は、第2の入口弁又は入口弁セット630を介してスイング吸着ユニット627に入り、次いで、周期的に開閉して拒絶(例えば第2生成物)ストリーム又は拒絶ストリームセット626をスイング吸着ユニット627から去らせる第2の出口弁(複数可)624を介してスイング吸着ユニット627から出る。
【0022】
プロセス600の1つの典型的実施形態では、スイング吸着ユニット627は熱スイング吸着プロセスを使用する。この場合、1セットの弁634及び622を設けて、ストリーム616及び632を通じてスイング吸着ユニット627に入ってそこから去る加熱又は冷却流体の流れを律動的にすることができる。電気式加熱又はジャケット冷却(図示せず)を利用して温度スイングをもたらしてもよい。別の典型的実施形態では、スイング吸着ユニット627が分圧パージ置換プロセスを利用しうる。この場合、弁又は弁セット630を設けて、パージ置換ストリーム638の吸着床625への流れを律動的にする。吸着床625は圧力容器629内に含まれる。必要に応じて、この容器629と関連弁が第2圧力容器639内に含まれる。この第2圧力容器639は、弁628、636、634、630、624、及び622内のシールを通じた漏出の深刻さを軽減するように設計される。このことは、回転弁を使用する場合に特に重要である。回転弁を使用する場合、弁624、628、及び622を全て単一回転弁体に組み込むことができる(例えば、それらは弁体を分ける必要がない)。同様に、使用するいずれの任意の弁(636、630、及び634)をもそれらと共に単一の回転弁体に組み込むことができる。ユーティリティストリーム640にさらに連続的な流れを与えるため、数個のスイング吸着ユニット627を使用することができる。数個のスイング吸着ユニットを使用する場合、結果として生じる数個のユーティリティストリーム640をマージすることができる。
【0023】
プロセス600の一部の典型的実施形態では、プロセスストリーム604が、地下貯留層への注入のために圧縮される酸性ガスストリームであってよく、10〜100バールの範囲の圧力を有しうる。圧縮されたストリーム606は100〜800バールの範囲の圧力を有し、ストリーム606と604の圧力比は2:1より大きくてよい。好ましい実施形態では、ストリーム606の圧力が250バールより高い。遠心式ドライシール圧縮機602はいくつかの圧縮段階を有してよい。ストリーム608内の圧力自体は100バール未満である。プロセスストリーム604が酸性ガスの場合、そこから取られるスリップストリーム又はそれを形成するために使われるストリームを通常の吸収、相分離、及び蒸留プロセスを用いて処理して水を除去し、かつストリーム608中に流入するH2Sの量を減らすことができる。ストリーム608中へ流入するガスを分子ふるい床で処理して水を除去することもできる。ストリーム608に供給されるガスを通常の分離プロセスを利用して調整して、遠心式ドライシール圧縮機602のシール内で見られる温度と圧力の条件で、確実にガスストリーム608の分子組成が濃縮しないようにすることもできる。圧力が100バール未満なので、通常の分離プロセス、例えば吸収、相分離、及び蒸留を用いて、ストリーム608に合わせてガスを調整することができる。100バールより十分低い圧力で通常の分離プロセスを利用する。100バール近傍の圧力では、通常の分離プロセスの適用は非常に困難なことがある(場合によっては不可能である)。通常の分離プロセスを用いて、酸性又は酸性物質のない(sweet)天然ガスストリームが圧縮機602のシールにわたる温度及び圧力条件内の二相領域に入らないようにその組成を誂える場合は、通常、炭素数が4を超える重質炭化水素を除く。多くの用途では、ストリーム608を形成するために使用するストリームから50%より多くのC4+炭化水素を除くことが有利なことがある。さらに好ましくは、ストリーム608を形成するために使用するストリームから90%より多くのC4+炭化水素を除去する。
往復圧縮機610のシリンダーに潤滑油を差すことがあり、この油は圧縮機からミスト又は蒸気として運ばれうる。潤滑油はその性能を高める添加剤を含むことがあり、これらの分子の多くは圧縮ガスストリーム612中の蒸気又はミストとして同伴されることもある。往復圧縮機610から出てくる油蒸気、油ミスト、又は潤滑油の成分がドライシール圧縮機602のシール内で凝縮することがある。圧縮ストリーム612の圧力が100バールより高いと、これが重大な問題になる。要求されるシールガス圧力が100バールを超える場合、ストリーム612自体、ドライシール圧縮機602用ユーティリティストリーム(シールガス)として使うのに適さない。任意ユニット614における調整は、ストリームの温度を熱交換器で変える工程を含むか或いは往復圧縮機610から出てくる粒子又は油ミストをろ過する工程を含みうる。ろ過が不十分な場合には濃密相ガス中の油を吸着又は除去するようにSCRS 627を設計することができる。
【0024】
図7は、圧縮機202内の通常のドライガスシールシステムの典型図である。圧縮機202は、プロセスシステム200、250、300、400、又は600の一部であってよい。従って、図2A、2B、3、4、及び6を参照して図7を最もよく理解することができる。システム700は、プロセス側702、排出(大気)側704、及び高圧回転機器部706を含む。処理済みユーティリティガス(例えば、処理済みガス218、618A、又は618Bであってよいドライシールガス)は、システム700に708で入り、710及び712で出る。708におけるガスはドライガスシール722を操作するのに十分高い圧力である。出口ガス710はプロセス側702からの圧力に耐え、かつラビリンスシール720と回転機器706との間を出るのに十分高い圧力でなければならならない。出口ガス712は、ほぼフレア(flare)又は大気圧である。ガスストリーム714は、煙道ガス(例えば大気へ排出される)又はフレアガスでもあり、ストリーム716は分離ガス流(一般的に窒素又は空気)である。
1つの典型的実施形態では、本発明を利用して以下のいずれか又は全てを含む貯留層ガス中に注入する高圧遠心式圧縮機用の非凝縮シールガス(例えばユーティリティガス)708を製造したいという要望に取り組む:C1(メタン)〜C10+(デカン+)の炭化水素、水、酸性ガス化合物(すなわち、H2S、CO2、及び他のイオウ含有化合物)、及び不活性物(窒素、ヘリウム)。このサービス、露点制御の形態では、本発明は、除去しなければ、プロセスガスが圧縮機ドライガスシール722にわたって膨張するときに凝縮するであろう化合物を除去するであろう。
排出ストリームからのスリップストリームを粒子/液体除去フィルターを通過させてからSCRSによって選択的に凝縮性化合物を除去するであろう。次に弁又はエキスパンダーで処理済みストリームの圧力を所望のシールガス圧力に降下させる。上記降圧弁又は装置のいずれかの代わりにエキスパンダーを用いて、有効仕事を回収しながらストリームの圧力を所望の圧力に下げてもよい。次に廃棄物及び他のストリーム(炭化水素、窒素など)を含む拒絶ストリームをそのユーティリティに基づいて取り扱うことができる。売品でないCO2及びH2Sなどの廃棄物ストリームを圧縮機吸引又は処分用の他の適切なストリームに戻して再循環させることができる。経済的に有益なストリーム(例えば、炭化水素)を回収して販売するか又は燃料ガス若しくは分離ガス716等の他のユーティリティのために使用することができる。
【実施例】
【0025】
一実施例では、圧縮機の下流で以下の組成及び状態の圧縮ガスを再注入する。
モル画分
メタン 0.5933
エタン 0.1084
プロパン 0.0579
i-ブタン 0.0081
n-ブタン 0.0157
i-ペンタン 0.0041
n-ペンタン 0.0037
n-ヘキサン 0.0019
n-ヘプタン 0.0007
窒素 0.0108
H20 0.0000
H2S 0.1622
CO2 0.0324
COS 0.0001
M-メルカプタン 0.0002
【0026】
図8は、圧縮機排出から直接取ってドライガスシールへ入れる上記典型的ガススリップストリームに付随する位相エンベロープを示すグラフである。グラフ800中、圧力802はバールであり、エンタルピー804は1キログラムモル当たりのキロカロリー(kcal/kgmol)であり、プロセス流体の沸点806を菱形で示し、プロセス流体の露点808を四角で示し、約-19,900kcal/kgmolにおける垂直線によって弁膨張点810を示す。図に示すように、ガスは膨張すると冷却し、圧力が降下する。約77バールでは、弁膨張点810が露点808と交差し、液体が凝縮するにつれてスリップストリームガスが2相領域に入ることとなる。
図9は、プロセス又はシステム100、200、300、400、及び600のいずれか1つによって処理済みガススリップストリームを形成するための分離106後の上記典型的ガススリップストリームに付随する位相エンベロープを示すグラフ図である。このグラフ900中、圧力902はバールであり、エンタルピー904は1キログラムモル当たりのキロカロリー(kcal/kgmol)であり、プロセス流体の沸点906を菱形で示し、プロセス流体の露点908を四角で示し、約-19,350kcal/kgmolにおける垂直線によって弁膨張点910を示す。図に示すように、位相エンベロープ906及び908が左側に移動し、結果としてユーティリティガスストリームがシールにわたってガス状態で残存することとなった。ブタン及びより重質の炭化水素の除去がシフトをもたらした。従って、ユーティリティガス(例えば、シールガス)を、液体が凝縮する危険のないシールガスとして使用することができる。ユーティリティガスストリームは、ユーティリティガスストリーム218、512A、618A及び618Bのいずれか1つであってよい。
【0027】
図10は、高圧遠心式ドライシール圧縮機用の窒素リッチユーティリティストリーム(例えばシールガス)を調製するための選択成分除去システム(SCRS)のプロセスレイアウトの典型図である。図2Aを参照して図10自体を最もよく理解することができる。プロセスレイアウト1000は、プロセスストリーム1004の圧力を高めて圧縮ストリーム1006を生じさせる高圧遠心式ドライシール圧縮機1002を含みうる。SCRS 1001を用いて窒素リッチガスストリーム1008からユーティリティ(例えばシールガス)ストリーム1018A及び1018Bを生成する。ストリーム1008は通常の窒素生成プロセス、例えばターボエキスパンダー又は膜を配備する空気分離プラント由来であってよい。ストリーム1008は、プロセスストリーム1004から取ったスリップストリームであってよい。往復圧縮機1010を用いてストリーム1008をシールガスストリーム1018A及び1018Bに必要な最高圧力より高いか又はわずかに高い圧力まで圧縮してよい。しかし、往復圧縮機1010のシリンダーには典型的に潤滑油を差す。この油は圧縮機1010からミスト又は蒸気として運ばれ、圧縮ガスストリーム1012を汚染して該圧縮ストリーム1012をドライガスシールで使うのに適さなくしてしまうことがある。そこで、圧縮ストリーム1012を調整のためユニット1014に供給することができる。調整は熱交換器でストリームの温度を変える工程或いは往復圧縮機1010から出てくる粒子又は油ミストを除去する工程(例えばフィルターを介して)を含みうる。次いで、調整済み供給ストリーム1020の吸着床1025への速度を制御する(例えば律動的に送る)ことができる弁又は弁セット1028を有する吸着ユニット1027を含むSCRS 1001に調整済みストリーム1020を供給することができる。出口弁又は出口弁セット1036を周期的に開閉してユーティリティストリーム1040を吸着ユニット1027から去らせることができる。次に必要に応じて例えばユニット分離弁、流量点検弁などの安全及びユニット分離装置1042を通してユーティリティストリーム1040を流してよく、或いは圧力解放弁を設けて操作性を改善することができる。アキュムレーター容器1044を設けて流量又は圧力の変動をさらに減らすこともできる。必要に応じてアキュムレーター1044が熱交換器(図示せず)を含んでよい。このように結果として生じるストリーム1046が、窒素リッチ処理済みユーティリティストリーム(シールガス)であり、圧縮機1002のドライガスシールで使うためのストリーム1018A及び1018Bに分割しうる。さらに、第2ストリーム1038は、第2の入口弁又は入口弁セット1030を介してスイング吸着ユニット1027に入り、次いで、周期的に開閉して拒絶(例えば第2生成物)ストリーム又は拒絶ストリームセット1026をスイング吸着ユニット1027から去らせる第2の出口弁(複数可)1024を介してスイング吸着ユニット1027から出る。
【0028】
スイング吸着ユニットが圧力スイング吸着プロセスを利用する場合、ストリーム1026の圧力は好ましくはストリーム1040の20%未満である。必要に応じてスイング吸着ユニットは熱スイング吸着プロセスを利用する。この場合、少なくとも1034及び1022を含む1セットの弁を設けて、ストリーム1016及び1032を通じて容器1029に入って去る加熱又は冷却流体の流れを律動的に送る。電気式加熱又は冷却ジャケット冷却を用いてスイングを生じさせることもできる。必要に応じて、スイング吸着ユニット1026は分圧パージ置換プロセスを使う。この場合、弁又は弁セット1030を設けてパージ置換ストリーム1038の吸着床1025への流れを律動的に送る。吸着床1025は圧力容器1029内に含まれる。必要に応じて、この容器1029及び関連弁は第2圧力容器1039内に含まれる。この第2圧力容器1039は、スイング吸着ユニット1027内部の弁のシールを通じた漏出の深刻さを軽減するように設計される。これは回転弁を使用する場合に特に重要なことがある。回転弁を使う場合、弁1024、1028、及び1022を単一の回転弁体中に組み込むことができる(例えば、それらは弁体を分ける必要がない)。同様に、使用するいずれの任意弁(1036、1030、及び1034)をもそれらと共に単一の回転弁体中に組み込むことができる。精製ストリーム1040のさらに連続的な流れをもたらすため、数個のスイング吸着ユニット1027を利用してよい。数個のスイング吸着ユニット1027を利用した場合、複数のユーティリティストリーム1040をマージすることができる。
【0029】
プロセス1000の一部の実施形態では、プロセスストリーム1004は地下貯留層に注入するために圧縮される酸性ガスストリームであってよい。遠心式ドライシール圧縮機1002に供給されるプロセスストリーム1004の圧力は10〜100バールの範囲であってよい。圧縮ストリーム1006の圧力は100〜800バールの範囲であってよく、ストリーム1006と1004との圧力比は2:1より大きい。多くの場合、遠心式ドライシール圧縮機1002は数個の圧縮段階を有するであろう。好ましい実施形態では、ストリーム1006の圧力は200バールより高く、さらに好ましくは400バールより高い。別の好ましい実施形態では、ストリーム1006のガス流速は20(1日あたり百万標準立方フィート(million standard cubic feet per day))(MMSCFD)より大きく、さらに好ましくは200 MMSCFDより大きい。ユーティリティシールガスストリーム1018A及び1018Bの全体的な流速は、好ましくは0.1 MMSCFDより大きく、さらに好ましくは1.0 MMSCFDより大きい。高圧遠心式ドライシール圧縮機1002に必要なユーティリティシールガスストリーム1018A及び1018B圧力は、好ましくは100バールより高く、さらに好ましくは200バールより高い。高圧遠心式ドライシール圧縮機1002は酸性ガスストリームを処理するので、窒素リッチシールガスストリーム1018A及び1018B中の酸素含量は、好ましくは5%未満、さらに好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.001%未満である。シールガス中に存在する酸素は、プロセスストリーム中のH2Sと反応してCOSの形成を引き起こすことがあり、場合によってはイオウが沈着する。
通常の窒素生産プロセスは、圧縮機1002のような高圧遠心式ドライシール圧縮機でシールガスとして使うのに十分な圧力及び純度の窒素ストリームを生産しない。純度要件を満たす、より低圧の窒素ストリームを生産することはできる。しかし、往復圧縮機を用いてこれらの低圧窒素ストリームを加圧すると、それらは、往復圧縮機のシリンダーを潤滑させるために使う油からの油蒸気、油添加剤蒸気及び油滴を捕捉するので、高圧シールガス用途で使うのには不適切になる。本発明は、これらの蒸気及び油滴を除去するためのプロセス1000を提供する。高圧遠心式ドライシール圧縮機用のシールガスを提供するためにはこの両者を除去すべきである。例えば低温蒸留、選択透過性膜分離、及び圧力スイング吸着などの通常の技術は、空気供給から低圧ないし中圧の窒素リッチストリームを生成しうる。これらの窒素リッチストリームの全てに酸素が存在し、低温蒸留で生成されるストリームでは最小量の酸素が存在するであろう。いくつかの方法を用いて、シールガス用途に必要なレベルまでこれらのストリームから酸素を除去することができる。必要な流速では、最も魅力的な方法の1つは、ストリーム中の酸素を触媒によって炭化水素又は水素と反応させることである。水蒸気がこれらの両反応の生成物であり、低圧及び中圧の窒素リッチストリームから通常の分子ふるい吸着床を用いるか又は後でスイング吸着床1025を使用するプロセスで水蒸気を除去することができる。ストリーム1008は、議論してきたプロセス又は該プロセスの変形を用いて調製された脱酸素化窒素リッチストリームである。それは、その水蒸気含量以外は、ユーティリティシールガスストリーム1018A及び1018Bの純度要件を満たす。
【0030】
異なるシールガス圧力を必要とする多段階システムでは、ガススリップストリームは、中間圧縮機の各段階の排出に由来し、或いは排出流体をろ過及び処理するために十分な圧力を与えながら、それでも必要なシールガス圧力を満たすようないずれの圧縮段階の排出にも由来しうる。
有利なことに、本発明の実施形態は典型的なガス処理/調整代替物よりもサイズが実質的に小さくてよいと見込まれる。本発明の実施形態は、例えば、バルク分離が起こる場合に、フルプロセスストリーム又はフルウェルストリームに適用される溶媒抽出、分子ふるい処理、酸性ガス転換、又は蒸留などの従来のバルク分離方法よりずっと単純かつ小さい可能性がある。これらの化合物のいくつかは、ユーティリティとしてのその固有値のために分離されるか又は生成物ストリームとブレンドされうるが、他の分子は廃棄物として拒絶される。この発明の一形態では、これらの廃棄物を、主プロセスストリーム(もともとはこのストリームからガススリップストリームが取られた)に戻して、さらなる廃棄物ストリームを生じさせないプロセスを得ることができる。
SCRSプロセス分離を小型スイング脱着ユニット内で行うことができ、これは従来の資本集約的な大型装置、例えば蒸留塔、グリコール接触器、並びに他の従来の分離及び精製装置に取って代わるだろう。
本発明の技術は、種々の変更及び代替形態を受け入れる余地があり、上述した典型的な実施形態は例として示したものである。しかし、本発明は本明細書で開示した特定の実施形態に限定されないことも当然である。実際に、本発明の技術は、以下に添付する特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内に入る全ての変更、均等物、及び代替物を包含するものである。
次に、本発明の態様を示す。
1. ガス供給ストリームの処理方法であって、以下の工程:
ガス供給ストリームを生成する工程;
前記ガス供給ストリームの少なくとも一部を分割してガススリップストリームを形成する工程;
少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システムを用いて前記ガススリップストリームを分離して、ユーティリティ成分内で使うためのユーティリティストリームを形成する工程;
前記第1のユーティリティストリームを前記ユーティリティ成分内に供給する工程、ここで、前記ユーティリティストリームは前記ユーティリティ成分と適合性である;及び
前記ユーティリティストリームを前記ユーティリティ成分内で利用する工程
を含む方法。
2. 前記ガススリップストリームが、炭化水素含有供給ストリーム、窒素リッチストリーム、高圧プロセスストリームの少なくとも一部、及び圧縮機排出ストリームの少なくとも一部の少なくとも1つである、上記1に記載の方法。
3. 前記ガススリップストリームが、前記ガス供給ストリームの臨界点より高い圧力である、上記2に記載の方法。
4. 前記ガススリップストリームが、少なくとも約100バール〜少なくとも約500バールの圧力である、上記3に記載の方法。
5. 前記ガススリップストリームが、少なくとも約200バール〜少なくとも約320バールの圧力である、上記3に記載の方法。
6. 前記少なくとも1つのユーティリティ成分の少なくとも1つが、圧縮機、ドライシール圧縮機、圧縮機ストリング、ターボエキスパンダー圧縮機、ターボエキスパンダージェネレーター、ポンプ、燃焼蒸気ボイラー、燃焼プロセスヒーター、ガスエンジン、密閉直接駆動電気モーター、磁気ベアリングを備えたターボ機械、ガス作動型機器及び制御機器、並びにガスタービンから成る群より選択される、上記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
7. 前記ユーティリティ成分が、ガス処理プラントから離れた位置にある、上記1〜6のいずれか1項に記載の方法。
8. 前記ユーティリティストリームを、前記少なくとも1つのユーティリティ成分内でドライガスシール、ラビリンスシール、及び機械的シールの少なくとも1つのためのドライシールガスとして利用する、上記1〜7のいずれか1項に記載の方法。
9. 前記少なくとも1つのスイングスイング吸着プロセスユニットが、圧力スイング吸着(ASA)ユニット、熱スイング吸着(TSA)ユニット、分圧スイング又は置換パージ吸着(PPSA)ユニット、急速サイクル熱スイング吸着(RCTSA)ユニット、急速サイクル圧力スイング吸着(RCPSA)ユニット、急速サイクル分圧スイング又は置換パージ吸着(RCPPSA)ユニット、小型PSA、小型TSA、小型PPSA、及びそのいずれかの組合せから成るユニットの群より選択される、上記1〜8のいずれか1項に記載の方法。
10. 前記選択成分除去システム(SCRS)が、吸着ユニット、膜分離ユニット、分子ふるい、蒸留塔、及びグリコール接触器の少なくとも1つをさらに含む、上記1〜8のいずれか1項に記載の方法。
11. 前記ユーティリティシステムが、前記ユーティリティ成分の作動温度及び圧力で非凝縮性ガスストリームである、上記1〜10のいずれか1項に記載の方法。
12. 前記ユーティリティストリームが、前記ユーティリティ成分内でそれを利用する間じゅうガス相のままでいる組成を有する、上記1〜10のいずれか1項に記載の方法。
13. 前記ユーティリティストリームが、実質的に毒性成分及び腐食性成分のない組成を有する、上記1〜10のいずれか1項に記載の方法。
14. 前記毒性成分及び腐食性成分が、H2S、CO2、H2O、及びSO2の少なくとも1つを含む、上記13に記載の方法。
15. 前記ユーティリティストリームが、実質的に完全に不活性成分で構成される組成を有する、上記1〜10のいずれか1項に記載の方法。
16. 前記不活性成分が、窒素及び二酸化炭素の少なくとも1つを含む、上記15に記載の方法。
17. 前記スイング吸着プロセスを第2の圧力容器内で行う、上記1〜16のいずれか1項に記載の方法。
18. 前記第2の圧力容器を少なくとも約100バール〜少なくとも約600バールの内圧で維持する、上記17に記載の方法。
19. 前記第2の圧力容器を少なくとも約200バール〜少なくとも約500バールの内圧で維持する、上記18に記載の方法。
20. 内部電気加熱、ジャケット冷却、及びそのいずれかの組合せから成る群より選択される熱交換器によって、前記スイング吸着プロセスユニットへの熱又は前記スイング吸着プロセスユニットからの熱を交換する工程をさらに含む、上記1に記載の方法。
21. 窒素リッチガスストリームの処理方法であって、以下の工程:
窒素リッチガスストリームを生成する工程;
少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを有する選択成分除去システムを用いて前記窒素リッチガスストリームの少なくとも一部を分離して、ユーティリティ成分内で使うためのユーティリティストリームを形成する工程;
前記ユーティリティストリームを前記ユーティリティ成分内に供給する工程、ここで、前記ユーティリティストリームは前記ユーティリティ成分と適合性である、;及び
前記ユーティリティストリームを前記ユーティリティ成分内で利用する工程
を含む方法。
22. ガス供給ストリームを処理するためのシステムであって、
少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットを含む選択成分除去システムに作動可能に連結された、ガス供給ストリームを含む環状部材(ここで、前記選択成分除去システムを利用して前記ガス供給ストリームの少なくとも一部を分離してユーティリティストリームを形成する)と、
前記ユーティリティストリームを受けて利用するように構成されたユーティリティ成分(前記ユーティリティストリームは該ユーティリティ成分と適合性である)と
を含むシステム。
23. ガススリップストリームが、炭化水素含有供給ストリーム、窒素リッチストリーム、高圧プロセスストリームの少なくとも一部、及び圧縮機排出ストリームの少なくとも一部の少なくとも1つである、上記22に記載のシステム。
24. 前記ユーティリティ成分が、圧縮機、ドライシール圧縮機、圧縮機ストリング、ターボエキスパンダー圧縮機、ターボエキスパンダージェネレーター、ポンプ、燃焼蒸気ボイラー、燃焼プロセスヒーター、ガスエンジン、密閉直接駆動電気モーター、磁気ベアリングを備えたターボ機械、ガス作動型機器及び制御機器、並びにガスタービンの少なくとも1つである、上記22〜23のいずれか1項に記載のシステム。
25. 前記少なくとも1つのスイング吸着プロセスユニットが、圧力スイング吸着(ASA)ユニット、熱スイング吸着(TSA)ユニット、分圧スイング又は置換パージ吸着(PPSA)ユニット、急速サイクル熱スイング吸着(RCTSA)ユニット、急速サイクル圧力スイング吸着(RCPSA)ユニット、急速サイクル分圧スイング又は置換パージ吸着(RCPPSA)ユニット、小型PSA、小型TSA、小型PPSA、及びそのいずれかの組合せから成るユニットの群より選択される、上記22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
26. 前記ユーティリティストリームを、前記少なくとも1つのユーティリティ成分内でドライガスシール、ラビリンスシール、及び機械的シールの少なくとも1つのためのドライシールガスとして利用する、上記22〜25のいずれか1項に記載のシステム。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10