特許第5710276号(P5710276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710276
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】患者用伝熱装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   A61F7/10 310A
   A61F7/10 330P
   A61F7/10 300J
【請求項の数】27
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-549678(P2010-549678)
(86)(22)【出願日】2009年3月6日
(65)【公表番号】特表2011-512990(P2011-512990A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】US2009001468
(87)【国際公開番号】WO2009111074
(87)【国際公開日】20090911
【審査請求日】2012年1月12日
(31)【優先権主張番号】61/064,463
(32)【優先日】2008年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】307048044
【氏名又は名称】スミス メディカル エーエスディー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093067
【弁理士】
【氏名又は名称】二瓶 正敬
(72)【発明者】
【氏名】ロス フランシス エル ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】サール ゲーリー
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−127486(JP,A)
【文献】 特開2004−197961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に接触するよう配置することができる、治療目的で前記患者を冷やすための装置であって、
前記患者の体の少なくとも1つの部分の形に実質的に合わせることができ、また気密に封止され、そして前記患者に接触する少なくとも1つの伝熱部と、前記患者に接触しない少なくとも1つの熱消散部と、液状態とガス状態の間で変化することができ、前記患者から前記伝熱部に伝えられた熱を除去のために前記熱消散部に移動させる流体化媒体とを有する1つの平型構造と、
前記熱消散部の少なくとも一部と協同して働き前記構造から熱を除去することを促進する1つの能動伝熱層と、
前記構造の前記患者との接触面に設けられ、前記構造が連続的に前記患者と接触することを保証する接着層とを、
含む装置。
【請求項2】
前記構造が、前記患者の体の少なくとも1つの部分を覆うことができる寸法を持つ実質的に平形可撓熱パイプを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記構造が、中央縦部を有するように設計された平形可撓熱パイプを含み、そして前記中央縦部はその両側部から実質的に直行する方向に延びた複数の細片を有していて、これら細片の各々は前記患者の胴部の周りに沿って折り曲げることができ、したがって前記熱パイプが前記患者の胴部の外形に合わせることができる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記熱パイプを前記患者との連続的な接触状態に固定する固定手段をさらに含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記能動伝熱層と協同して働き前記熱消散部から熱を除去する冷却手段をさらに含んでいて、前記冷却手段が、前記熱消散部上に冷却空気を循環させて前記熱消散部から熱を除去する機構を備える請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記能動伝熱層及び前記熱消散部と協同して働き、冷却流体を前記熱消散部へ循環して熱を前記熱消散部から除去する冷却回路をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記熱パイプは、前記患者の下または上に配置することに適合するシートもしくはパッドの形状に構成され、前記患者の肢もしくは胴部に装着可能もしくはその周りに巻かれる請求項2に記載の装置。
【請求項8】
患者に接触するよう配置することができる、前記患者の体温を調整するための治療装置であって、
前記患者の体の少なくとも1つの部分の形に実質的に合わせることができ、また気密に封止され、そして前記患者に接触する第1熱エネルギー伝達部と、前記患者に接触しない第2熱エネルギー伝達部と、液状態とガス状態の間で変化することができ、前記熱エネルギー伝達部のうちの一方から吸収した熱を前記熱エネルギー伝達部のうちの他方に運ぶ流体化媒体とを有する1つの構造と、
前記熱エネルギー伝達部のうちの前記他方の少なくとも一部と協同して働き前記構造から熱を除去することを促進する1つの能動伝熱層と、
前記構造の前記患者との接触面に設けられ、前記構造の少なくとも前記第1熱エネルギー伝達部が連続的に前記患者と接触し続けることを保証する接着層とを含む治療装置。
【請求項9】
前記熱エネルギー伝達部のうちの一方が熱吸収部を含み、前記熱エネルギー伝達部のうちの他方が熱消散部を含む請求項8に記載の治療装置。
【請求項10】
前記構造の前記熱吸収部が前記患者と接触していて、前記患者からの熱が前記熱吸収部に伝達される請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記構造が実質的に平形可撓熱パイプを含み、この熱パイプが前記患者と接触する十分な寸法の部分を有していて、前記患者の体温を調整するために有効量の熱が前記患者と前記構造との間で伝達されることを可能にする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記熱消散部が前記患者に接触していて、熱源から熱を前記患者に伝送できるようになっている請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記他の熱エネルギー伝達部と協同して働き、前記他の熱エネルギー伝達部を冷やして前記構造から熱を除去する冷却機構をさらに含む請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記構造が平形可撓熱パイプを含み、前記第1熱エネルギー伝達部が熱吸収部を含み、そして前記第2熱エネルギー伝達部が熱消散部を含む請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記構造が、中央縦部を有するように設計された平形可撓熱パイプを含み、そして前記中央縦部はその両側部から実質的に直行する方向に延びた複数の細片を有していて、これら細片の各々は前記患者の胴部の周りに沿って折り曲げることができ、したがって前記熱パイプを前記患者の胴部の外形に合わせることができる請求項8に記載の装置。
【請求項16】
治療目的で患者の体温を調整するためのシステムであって、
前記患者の体の少なくとも1つの部分の形に実質的に合わせることができ、また気密に封止され、そして前記患者に接触する少なくとも1つの伝熱部と、前記患者に接触しない少なくとも他の伝熱部と、液状態とガス状態の間で変化することができ、前記1つの伝熱部と前記他の伝熱部のうちの一方において吸収された熱を除去のために前記1つの伝熱部と前記他の伝熱部のうちの他方に移動させる流体化媒体とを有する1つの構造と、
前記1つの伝熱部又は前記他方の伝熱部の少なくとも一部と協同して働き、協同して働く前記1つの伝熱部又は前記他方の伝熱部から熱を除去することを促進する1つの能動伝熱層と、
前記構造の前記患者との接触面に設けられ、少なくとも前記1つの伝熱部が連続的に前記患者と接触し続けることを保証する接着層とを、
含むシステム。
【請求項17】
前記他方の伝熱部と協同して働き、前記他方の伝熱部に集められた熱を除去する冷却機構をさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記他方の伝熱部と協同して働き、前記他方の伝熱部に熱を加える熱源をさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記構造が、前記患者の体の前記部分の形に合うように成形され得る平形可撓熱パイプを含み、そして前記一方の伝熱部が前記患者と接触する十分な寸法の部分を有し、これにより有効量の熱が前記構造と前記患者との間で伝達されることを可能にし、前記患者の体温を治療目的で制御するようにした請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記構造が、中央縦部を有するように設計された平形可撓熱パイプを含み、そして前記中央縦部はその両側部から実質的に直行する方向に延びた複数の細片を有していて、これら細片の各々は前記患者の胴部の周りに沿って折り曲げることができ、したがって前記熱パイプを前記患者の胴部の外形に合わせることができる請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
患者の少なくとも胴部の形に合わせることができる、前記患者の体温を調整するためのジャケットであって、前記患者に接触する第1熱エネルギー伝達部と、前記患者に接触しない第2熱エネルギー伝達部と、液状態とガス状態の間で変化することができ、前記熱エネルギー伝達部のうちの一方から吸収した熱を前記熱エネルギー伝達部のうちの他方に運ぶ肋骨状の気密に封止された1つの構造と、前記構造の実質的にすべての肋骨状構造と前記患者の体とが連続的に接触するように前記ジャケットを前記患者に固定する固定手段とを含むジャケット。
【請求項22】
前記構造が、中央縦部を有するように設計された平形可撓熱パイプを含み、そして前記中央縦部はその両側部から実質的に直行する方向に延びた複数の細片を有していて、これら細片の各々は前記患者の胴部の周りに沿って折り曲げることができ、したがって前記熱パイプが前記患者の胴部の外形に合わせることができる請求項2に記載のジャケット。
【請求項23】
前記構造に設けられ、かつ温度調整システムに接続可能なインターフェスをさらに含み、そして前記温度調整システムが前記構造と協同して冷却流体を前記第2熱エネルギー伝達部に循環して、前記第2熱エネルギー伝達部から熱を除去し、または加熱流体を前記第2熱エネルギー伝達部に循環して、前記第2熱エネルギー伝達部に熱を加える請求項2に記載のジャケット。
【請求項24】
前記構造の隣接する細片が空間的に離間していて、これら細片の各々は前記患者の胴部の周りに沿って折り曲げることができる請求項2に記載のジャケット。
【請求項25】
患者の肢を包み、前記患者の少なくとも肢の温度を調整するラップであって、
前記患者に接触する第1熱エネルギー伝達部と、前記患者に接触しない第2熱エネルギー伝達部と、液状態とガス状態の間で変化することができ、前記熱エネルギー伝達部のうちの一方から吸収した熱を前記熱エネルギー伝達部のうちの他方に運ぶ流体化媒体とを有する気密に封止された構造と、
前記封止された構造が取り付けられた長い外側構造と、
前記長い構造の少なくとも1つの端部に位置していて、そして前記封止された構造と前記患者の肢が連続的に接触するようにラップが前記患者の肢を固定的に包むことを可能にする固定手段とを、
含むラップ。
【請求項26】
両面に接着剤を有する従順性の発泡層をさらに含み、そして前記発泡層が前記封止された構造と前記長い構造の間に置かれていて、前記構造を一緒に固着する請求項25に記載のラップ。
【請求項27】
前記発泡層により一緒に固着された前記構造がベルトに形成されている請求項26に記載のラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者へ熱エネルギーを伝達する装置、および患者から熱エネルギーを伝達する装置に関し、特に患者の下側や上側に配置することができるパッド、シート、またはカバーの形状でもよい装置であって、患者に少なくとも低体温を誘導することに適合する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中患者や高熱などの他の医学的状態を伴う患者に関して、例えば誘導低体温により患者の体温を下げると、患者の恒久的損傷のリスクが減り、患者の存命率が上がることが見出されている。冷却には2つの主たる方法があり、それらは外部冷却と侵襲冷却である。侵襲冷却は、うわべ上極端ではあるが有効な手段、例えば患者に注入する血液や生理的食塩水を熱交換器に通すという手段を用いる。低度な侵襲方法は、冷やされた生理的食塩溶液の注入を伴う。外部冷却は、患者の外にある装置を用いて患者の体温を下げるので、使用がとても簡単であり、また高度な専門技術や慎重な監視を要しないので、医療環境では本質的により魅力的である。その装置が携帯可能であれば、外において実地に利用できる。実質上全ての既存の外部冷却装置は、冷やされた水を循環させる圧縮器ユニットを要する。
【0003】
1つの外部冷却装置が、米国特許第6197045号に開示されている。この外部冷却装置では、熱交換流体が医療パッドの流体層を通して循環しており、パッドに接触する患者から熱を伝導的に取り除く。パッドの出口下流に接続された外部ポンプが作る負圧により、流体がパッド内に吸い込まれる。パッドの入口上流に接続された流体容器により、パッドへ入りそしてパッドから出るように流体を循環させる流体路が完成する。流体がパッドの流体循環層を介して吸い込まれると、患者と流体の間で熱が交換される。パッドの入口と出口を介しての熱交換流体のパッドを通してのこのような循環は、「能動的外部冷却」と考えられる。
【0004】
侵襲冷却は、米国特許第6197045号に開示された能動的外部冷却装置より速い冷却を達成する。しかし、このような侵襲冷却では、患者へのカテーテルの挿入が必須である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、体温を非侵襲的に下げる必要がある脳卒中患者や他の患者に対して制御された迅速な誘導低体温を可能にし、また体温が低過ぎてそれを平熱に戻す必要のある患者に対して制御された非侵襲的な体温上昇を可能にする自給式外付け温度調整装置に関する。患者の誘導低体温処置の後、患者の体温を制御可能に平熱に戻してもよい。
【0006】
熱解析により、人の肉組織と皮膚の熱抵抗が人の冷却率を決定すること、および材料が可撓であって人体に形状を合わせることができて空気ポケットの発生を防ぐことができれば、材料の選択は重要ではないことが確認された。本件発明者の一人は、患者と外部装置の間で熱エネルギーすなわち熱を伝達する効率的な方法が、その装置を可撓材料で構成し、それが患者の体の少なくとも一部分を覆うことができ、あるいは患者の体の少なくとも一部分にもたれかけることができ、または患者の少なくとも一部分の下に置くことができるようにすることであることを確認した。必要なことは、患者へ熱を伝達したり患者から熱を伝達したりする装置の一部分が、患者の体の所望部分に連続的にもしくは密に接触していて、患者と装置の間での熱伝達を促進することである。さらに、感圧接着剤(PSA)を有する塩基性ポリオレフィン積層を可撓材料の患者への接触的な固定に使用してもよいことが確認された。
【0007】
その目的のために、本発明は、人体に形状を合わせることができる熱パイプ、より具体的には平たい可撓熱パイプ、すなわち平形可撓熱パイプを使用してもよい。熱パイプは、高熱伝導率の2相伝熱装置である。本発明に使用される熱パイプは、患者の体の形に合わせることができる平形可撓構造でもよい。この構造は、気密に封止され、そして少なくとも2つの伝熱部を有する。伝熱部の1つは、患者の体の少なくとも一部分に密にまたは連続的に接触するように配置される層の形でもよく、患者と装置の間で熱エネルギーを伝達する働きをする。他方の伝熱部は、同じく層の形でもよく、ただし患者とは接触しておらず、当該構造から熱を除去する熱消散器または凝縮器として機能する。2つの伝熱部の間で熱エネルギーを伝達するために、温度に応じて物理的相を変化させる流体化された媒体が当該構造の内部に入れられている。患者に低体温を誘導するために、患者と接触している伝熱部へ移送された患者からの熱が、ガス状態における潜熱として熱消散器または凝縮器として機能する伝熱部へ流体化された媒体により運ばれ、そこで潜熱が消散され、そしてガス状態にある流体化された媒体が液体に戻される。平形可撓熱パイプなどの構造は、全表面に渡って熱エネルギーを均一にする等温過程または状態をもたらす優れた装置を提供する。
【0008】
当該構造からの、したがって患者からの熱の除去を高めるために、冷却回路の形でもよい冷却システムが構造の熱消散または凝縮部に接続されていて、この部分に集まったいかなる熱も冷却流体により伝導的に除去される。冷やされた水を、冷却回路における冷却用の循環媒体として用いてもよい。冷却回路の代わりに、熱の消散を高めるために当該構造の熱消散部に空気などの冷却媒体を供給してもよい。この場合、熱消散部の温度が周囲温度に依存するので、熱消散部の温度は患者と接触する伝熱部の温度より低くなければならない。患者の体温を低体温状態から平熱化する場合における患者への熱供給を促進するために、温水などの加熱した循環流体媒体を用いた加熱回路の形の加熱システムを当該構造の凝縮部に接続して、当該構造へ熱を伝えるようにしてもよい。
【0009】
患者接触用の伝熱部が連続的かつ密に患者と接触することを保証するために、患者と接触し伝熱部を構成する当該構造の表面に接着層が設けられ、したがって一度患者に対して押し付けると、当該構造の伝熱部表面は患者の体と連続的かつ密に接触し続け、患者と当該構造の接触部分との間に空気ポケットは生じない。
【0010】
構造内に入れられた流体化媒体は、水、エタノール、メタノール、または他の同様な媒体でもよく、構造内の負圧の下で、熱を受けると液体からガス相もしくはガス状態に変化する。さらに、溝を形成するウィック層や多孔質焼結金属層を構造内に設けて、液状態からガス状態へ気化して潜熱を運ぶ際に構造の2つの伝熱部の間を渡る流体化媒体に対して、構造内で毛管作用を可能にするようにしてもよい。
【0011】
したがって本発明は、患者の少なくとも一部分の上または下に置くことができる、治療目的で患者を冷やすための装置である。この装置は、患者の体の形に合わせることができる構造を持つ。この構造は、気密に封止されている。この構造は、患者に接触する少なくとも1つの伝熱部と、少なくとも1つの熱消散部と、流体化媒体とを有する。流体化媒体は、患者から伝達された熱を熱消散部に移動して取り除くために構造内に存在していて、液状態とガス状態との間で変化することができる。さらにこの装置は、構造の患者との連続的な接触を保証するために、構造の患者との接触面に設けられた接着層を備える。
【0012】
さらに本発明は、患者の上または下に置くことができる、患者の体温を調整するための治療装置である。この装置は、実質的に患者の体の形に合わせることができる構造を持つ。この構造は、気密に封止されている。この構造は、患者に接触する第1熱エネルギー伝達部と、第2熱エネルギー伝達部と、構造内に存在する流体化媒体とを有する。流体化媒体は、一方のエネルギー伝達部から吸収した熱を他方のエネルギー伝達部へ運ぶためのもので、液状態とガス状態との間で変化することができる。さらにこの治療装置は、少なくとも構造の第1熱エネルギー伝達部の患者との連続的な接触を保証するために、構造の患者との接触面に設けられた接着層を備える。
【0013】
さらに本発明は、患者の体温を治療のために調整するシステムに関する。このシステムは、実質的に患者の体の形に合わせることができる構造を持つ。この構造は、気密に封止されている。この構造は、患者に接触する少なくとも1つの伝熱部と、少なくとも1つの他の伝熱部と、流体化媒体と、接着層とを有する。流体化媒体は、一方の伝熱部で吸収した熱を他方の伝熱部へ移動し除去するためのもので、液状態とガス状態との間で変化することができる。接着層は、患者に接触する伝熱部がその接触を維持することを保証するために、構造の患者との接触面に設けられる。
【0014】
さらに本発明は、患者の体温を治療のために調整する方法に関する。この方法は、実質的に患者の体の形に合わせることができる構造を患者に接触させる工程を含む。この構造は、気密に封止されている。この構造は、患者に接触する第1熱エネルギー伝達部と、第2熱エネルギー伝達部と、構造内に存在する流体化媒体とを有する。流体化媒体は、一方のエネルギー伝達部から吸収した熱を他方のエネルギー伝達部へ運ぶためのもので、液状態とガス状態との間で変化することができる。さらにこの方法は、構造に設けられた接着層により、構造に接触する第1熱エネルギー伝達部を患者に接着する工程を含む。さらにこの方法は、熱源または冷却機構を介して、患者に接触していない熱エネルギー伝達部に熱を加えたりあるいはそこから熱を取り除くことにより、熱エネルギーを構造内または構造外へと伝達させる工程を含む。
【0015】
さらに本発明は、患者の体温を治療のために下げる方法に関する。この方法は、実質的に患者の体の形に合わせることができる構造を患者に接触させる工程を含む。この構造は、気密に封止されている。この構造は、患者に接触する伝熱部と、熱消散部と、流体化媒体とを有する。流体化媒体は、伝熱部で吸収した患者からの熱を熱消散部に移動するためのもので、液状態とガス状態との間で変化することができる。さらにこの方法は、熱消散部で熱を除去するために、冷却機構を熱消散部と協同的に働かせる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面と連係した本発明の以下の説明により、本発明が明らかとなり、また本発明が最も良く理解される。
【0017】
図1】本発明の例としての装置、シート、あるいはパッドにより覆われた患者を示す図である。
【0018】
図2】患者の側面図であって、図示上の目的のために、患者上部に置かれた本発明のシートあるいはパッドが誇張された寸法で描かれている。
【0019】
図3】本発明の例としての装置の断面図であって、より良く本発明を図示するために、装置が誇張された寸法で描かれている。
【0020】
図4】本発明の例としての平形可撓患者温度調整装置の上面図であって、温度調整装置からの熱の消散及び/又は温度調整装置への熱の追加を高めるための冷却及び/又は加熱回路が温度調整装置に加えられている。
【0021】
図5】本発明の他の実施例の平面図であって、本発明の例としての平形可撓患者温度調整装置の上に空気カバーが置かれていて、温度が制御された空気とその装置との間での熱伝達を高めるようになっている。
【0022】
図5a図5の実施例の一部の拡大断面図である。
【0023】
図6】例としての平形可撓装置の実施例の平面図であって、患者の胴部を包囲するために、折り曲げられることに適合した肋骨状のパッドあるいはジャケットとしてその装置は設計されている。
【0024】
図7図6のジャケットの透視図であって、ジャケットはリブ細片と縦支持部材を有していて、リブ細片が縦支持部材に対して相対的に折り曲げられて、肋骨状ケージの形になっている。
【0025】
図8図6のジャケットを示していて、そのジャケットのリブ細片が連続的かつ密に患者の胴部を包囲している。
【0026】
図9】患者の肢を包むのに適合する例としてのベルトを示していて、そのベルトは可撓熱パイプ層から成る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、そこには患者2が示されている。患者2は、例えば脳卒中患者であったり、あるいは誘導低体温を要する高熱などの医学的状態にある。本発明の治療用冷却装置が、患者2の上に置かれている。この装置を、患者の下に置いてもよい。本発明の治療用装置は1つの構造であって、この構造は患者の体の形状に合わせることができる平たい可撓熱パイプ4、すなわち平形可撓熱パイプ4でもよい。このような平形可撓熱パイプの例は、米国特許第6446706号に説明されている。米国特許第6446706号の開示内容は、参照により本出願に組み込まれる。以前から知られている他の多くの熱パイプと同様に、米国特許第6446706号に開示の熱パイプは、電子機器を冷却するために使用される。例えば、平たくない熱パイプに関する米国特許第4019098号や米国特許出願公開公報第2006/0185827号を参照されたい。本発明装置の構造に使用してもよい他の平形可撓熱パイプは、日本の古河電気工業株式会社製造の商標名TERA FLEXというものである。
【0028】
図2を参照すると、そこには例としての平形可撓熱パイプ4が、図示目的のために誇張された寸法で示されている。平形可撓熱パイプ4は、患者2の上に置かれている。平形可撓熱パイプ4は、患者の体に接触する第1伝熱部6と、患者に接触していない第2伝熱部8を有する。伝熱部6を本発明の熱パイプパッドまたはシートの熱吸収または蒸発部と考えてもよく、伝熱部8をそれの熱消散または凝縮部と考えてもよい。伝熱部6と8は熱パイプパッドの長さ方向に沿って延びるように図示されているが、実際には、伝熱部8をパッドの特定部分または患者を覆っていないパッドの部分に配置してもよい。したがって、患者に接触せず、そして伝熱部6により患者2から吸収した熱を運び去るのに十分な寸法であれば、熱消散部はどのような形でもよく、またパッドのどのような場所に配置してもよい。
【0029】
熱パイプシートまたはパッド4には、2つの伝熱部6と8により挟まれた層部10が設けられている。水、エタノール、メタノール、または他の同様な流体などの流体化媒体が、構造の関連部分から空気を吸い出した後で、層10に入れられる。層10内の負圧の下で流体化媒体が入れられ、そして熱パイプ構造が気密に封止される。
【0030】
図3は、例としての本発明の平形可撓熱パイプ患者用パッドまたはシートのより詳細な断面図である。このパッドまたはシートは、上記の米国特許第6446706号に開示の熱パイプあるいはTERA FLEX熱パイプを反映してもよい。図示されるように、患者と接触する伝熱部6とパッドから熱を消散する伝熱部8の間に、ウィック層12を含む部分10が存在する。誇張されて図示されているが、スペーサ層14と16によりウィック層12は伝熱部層6と8から空間的に離されている。流体化媒体すなわち作動流体が伝熱部6で吸収された熱を熱消散部8へ循環または移動することを可能にするために、ウィック層12とスペーサ層14と16により熱パイプ構造に空間が設けられている。
【0031】
米国特許第6446706号に開示の平形可撓熱パイプやTERA FLEX熱パイプはウィック層を有しているが、2つの伝熱部を分ける空間部または毛管層を有する平形可撓熱パイプを用いてもよい。この場合、気化したガスが凝縮器として働く伝熱部で凝縮し、そして気化器部として働く伝熱部に液体の形で戻ることを可能にするために、空間部または毛管層は毛管圧力を発生するのに十分な寸法となっている。
【0032】
接着層18が伝熱部6の外面に設けられていて、これによりパッドを患者の体に押し付けるとパッドが固定的に患者に取り付けられ、または接着され、そしてパッドが患者に連続的かつ密に接触し続けるようになっている。パッドの伝熱部を患者に連続的かつ密に接触させることにより、患者とパッドの間に空気ポケットが生じることがなくなり、したがって患者とパッドとの間での熱伝達を促進することができる。
【0033】
部分6と8が伝熱部である限り、患者の芯部体温を上げる必要がある場合に、患者から熱を除去する代わりに、熱エネルギーを伝熱部8に加えて、伝熱部6を介して外部熱を患者へと運び伝達してもよい。
【0034】
本発明の熱パイプパッドが患者とその環境との間での熱または熱エネルギーの伝達を可能ならしめる理由は、熱パイプが2相伝熱装置であり、この伝熱装置が極端に高い有効熱伝導率と、固体伝導体よりも低い全熱抵抗を持ち、より効率良く熱を伝達できて、したがって優れた等温状態を生じさせ得るからである。さらに、熱パイプは受動伝熱システムであり、図4に示される構造が気密に封止されているので、唯一起こる反応は、層または部分10に収容された流体化媒体による内部物理相の液状態とガス状態との間での変化である。それゆえ、本発明の患者用熱パイプパッドには、磨耗する可動部品は存在しない。さらに、本発明システムに利用される例としての平形可撓熱パイプの有効熱伝導率は、銅のそれよりも最大100倍良く、ポリマーのそれよりも最大500000倍良く、また水のそれよりも最大100000倍良い。
【0035】
パッド4の部分10から空気を吸い出した後、部分10に流体化媒体が充填される。前述の如く、流体化媒体は、熱に晒されると液体からガスあるいは気化液体に変化する水、エタノール、メタノール、または他の流体でもよい。熱は、気化液体または加熱されたガス中の潜熱として、運ばれる。加熱されたガスは冷やされると凝縮して液体に戻り、ガス中の潜熱が除去される。
【0036】
動作状態において、患者における誘導低体温の場合、パッドにより患者から吸収した熱がパッド中の負圧下にある液体を加熱し、その結果液体が気化する。気化した液体、すなわち熱せられたガス蒸気が構造の熱消散または凝縮部に移動して、ガス中の潜熱が除去される。その結果、熱せられたガスが凝縮して液体に戻る。そして、ウィック層2の毛管作用及び/又は重力の働きにより、凝縮液体が伝熱部へと帰る。患者に接触するこの伝熱部における熱により凝縮液体が再び気化し、したがって患者から熱を除去する過程、すなわち患者への低体温の誘導が継続する。
【0037】
図3に示される熱パイプ患者用パッド4において、伝熱部層6と8は銅箔または同様の金属箔で形成してもよい。他のポリマー層、例えばポリオレフィン層を金属箔に重ねて、パッドに完全性を加えてもよい。
【0038】
患者用パッド4からの熱の除去を促進するために、外付け温度調整システムを設けてもよい。この構成は図4に示されていて、患者用パッド4はその上部に能動伝熱層20を有する。能動伝熱層20は、封筒状層20でもよい。封筒状層20は、複数の流体通路と流体接続管22を有する。流体接続管22により、封筒状層20は冷却/加熱システム24に接続される。装置が誘導低体温に使用される場合、システム24は冷却器、すなわち冷媒冷却機構(冷媒冷却メカニズム)でもよい。分かりやすさのために図示はしていないが、接続管22は入口と出口を有していて、これらにより冷却器システム24から層20へと冷やされた水などの冷却流体を送ることが可能となり、加えて流体がパッドの熱消散部または層から熱を捕捉して、そしてその消散熱を冷却器へ運ぶことが可能となる。冷却またはクーラーの技術分野では、このような冷却器回路は良く知られており、冷却層20がパッド4の熱消散層8の上面に恒久的にまたは取り外し可能に取り付け、あるいは接着されている点を除いて、説明は不要である。また、パッド4の上部を覆う代わりに、層20は、破線で示される層20aの如く、患者の体の一部のみを覆う大きさであってもよい。したがって、冷却器24は熱パイプ構造の熱消散層部8と協同して働き、そこからの熱の除去を高める。
【0039】
患者の芯部体温を上げる必要がある場合に、パッド4を用いてもよい。この場合、温度調整システム24は加熱器であって、加熱器は熱せられた水などの加熱流体を使用していて、この加熱流体が加熱器から層20へ循環し、パッド4に熱を加えて患者を温める。したがって、加熱回路が層20と協同して働いてもよく、その際、層20は加熱層になる。
【0040】
冷却器回路の代わりに、冷たい空気を熱消散層部8の上面に送ることにより、パッド4からの熱の除去を促進してもよい。この構成は図5の実施例に示されていて、空気層26が層8の上部の上に配置されるか、あるいはそこにベルクロなどの接着手段により固定されている。図5aに拡大して示されるように、層26は多数の空気穴または開口28を有するキャップでもよい。接続管32により流体的に接続された送風機30からの加圧空気がこれらの空気穴または開口28を通過するようにしてもよい。図5aの断面図に示されるように、キャップ26の下部に開口部30を設けて、さらに空気を通すようにしてもよい。冷却空気が層8に集められた熱を運び去る。したがって、送風機30は熱パイプ構造の熱消散層部8と協同して働き、そこからの熱の除去を高める。患者の体温を平熱にすることが求められる場合、パッド4に熱を加えるために、送風機30は熱せられて空気を層26に送ってもよい。このように、図5の送風機実施例は、パッド4からの熱の除去とパッド4への熱の供給の双方に用いてもよい。
【0041】
動作状態において、患者からの熱を吸収して除去するために、パッド4は患者の上部に置かれる。図1に示されるように、誘導低体温が求められる場合に、取り外してもよい部分を持つようにパッド4を設計してもよい。反対に前述のように、患者の芯部体温を上げる必要がある場合に、パッドに熱を加えてもよい。
【0042】
図1に示されるように、例えば部分4aといった取り外してもよい部分を持つようにパッド4を設計してもよい。この場合、患者を熱パイプパッドで覆い続けながら、外科医などの医療職員がその取り外し部分に対応する患者の体部に手術を施すことができる。代替例として、患者の体の異なる部分を異なるパッドで覆って、患者のそれらの部分を選択的に冷却/加熱してもよい。また、患者の体の異なる部分を選択的に冷却/加熱するために、患者の腕や脚などの複数の肢および/または胴に巻くことあるいは装着することができるような形に、本発明の平形可撓熱パイプ構造を設計してもよい。巻きつけあるいは装着可能な可撓熱パイプを、ベルクロなどの固定手段により、患者の肢の周りに固定してもよい。さらに、本発明の熱パイプ構造を患者の頭部の形にして、熱パイプと患者の頭部との間で熱が直接伝達するようにしてもよい。
【0043】
図6は、患者の胴部外形に形を合わせることができる可撓パッド32の実施例を示す。パッド32は、前述の平形可撓熱パイプと同じ構造的な構成でもよい。すなわち、パッド32は、前述の熱パイプと同じ流体化媒体、ウィック層、および伝熱部を有していて、前述と実質的に同じ方法で熱を患者との間で伝達する。
【0044】
本発明において、パッドをジャケットまたはベストと称してもよい。特に、図6の平面図において、ジャケット32は、中央軸36に沿って縦に延びる中央支持部材34を有する。複数のリブまたは細片38a、38b、40a、40b、42a、42b、44a、44bが、支持部材34のそれぞれの側部から直交する方向もしくは直角をなすように延びている。図示の如く、細片のそれぞれの隣接対は、対応するスロットにより空間的に隔てられている。例えば、細片38aと40aはスロット46aにより隔てられ、また細片40aと42aはスロット46bにより隔てられ、細片38bと40bはスロット48aにより隔てられている。例としての肋骨状ジャケットにおける図示された他のスロットは、符号46c、48b、48cで表示されている。隣接するリブ細片を分けるスロット46a−46cと48a−48cは、リブ細片を肋骨状ケージの形に折り曲げることを可能にし、したがってジャケット32は形状を患者の胴部に合わせることができる。図においてスロットの寸法が正確な縮尺率で描かれているわけではなく、実際にはスロットは隣接するリブ細片を分ける線状の切り込みでよい。
【0045】
コネクタ35がジャケット32に設けられている。コネクタ35は、ジャケットを温度調整システム、例えば図4の冷却/加熱システム24に導管22を介して接続するインターフェスとして働く。図示していないが、ジャケットの患者と接触していない伝熱部上に、層または部分があり、この層または部分を通してシステム24からの水などの加熱あるいは冷却流体が循環するようにしてもよい。この場合、その伝熱部から熱が除去され、またはその伝熱部に熱が加えられて、患者を冷やしたり、患者の芯部体温を上げたりする。
【0046】
患者とジャケット32の患者接触面との間での連続的かつ密な接触を保証するために、リブ細片38−44と支持部材34のそれぞれの内面、例えば図7における内面44b′は、前述の実施例で説明した如く接着層で覆われている。
【0047】
図7を参照すると、図示されたジャケット32のリブ細片38−44が、患者の胴部を囲むために肋骨状ケージ構造を形成するように折り曲げられている。
【0048】
図8は、患者の右側から患者の胴部46を囲んでいるジャケット32を示す。同じく患者の左側からも患者の胴部を囲めるようジャケット32が構成されている点を理解すべきである。図では患者の胴部を全周に渡っては囲んでいないが、実際には患者の胴部を完全に包囲するような長さにリブ細片38−44を構成してもよい。言い換えると、リブ細片38−44の長さはジャケットのサイズに応じて変わるのであり、そしてジャケットのサイズは患者の大きさに応じて決められるのである。例えば、普通体形の患者は通常のジャケットを使用し、肥満の患者はその胴部を十分に囲める長さの細片を持つ大型ジャケットを使用する。患者の皮膚とジャケットのリブ細片との間で向上した密な接触を得ることを目的として、ジャケット32を患者に完全に固定するために、ベルクロなどの固定手段を異なるリブ細片の端部に追加して、支持部材34の対抗側部から延びた符号するリブ細片、例えば44aと44b、を互いに固定するようにしてもよい。リブ細片を固定するために固定手段を使用した場合には、細片のための接着層は不要である点を理解すべきである。
【0049】
図7と8の実施例における肋骨ケージ形状の熱パイプをジャケットまたはベストと称しているが、他の例として、患者の体の所定部分の周りを包むために、従来の材料から成るベスト、ジャケット、またはベルトの温度調整部として平形可撓熱パイプを製造してもよい。このような熱パイプとベルトの組合せを、簡単にラップと称してもよい。例としてのこのようなラップの1つは、図9の透視断面図に示されるベルト50である。図示されるように、ベルト50は外側層52を有する。外側層52は、レザー、織物、またはプラスチックなどの従来の材料から成る。平形可撓熱パイプは、ベルト50の内側層54を形成する。熱パイプ内側層54を外側層52に固着するために、両面に接着剤を有する従順性または圧縮性の発泡層56がこれら層52と54の間に配置されている。発泡層56には次の2つの働きがある。1つは、内側熱パイプ層54を外側表面層52に固着することであり、2つ目は、熱パイプと患者の皮膚との間に空気ポケットが形成される可能性を減じるために、患者の皮膚に接触する熱パイプ層をより従順にすることである。ベルト50のそれぞれ端部に固定手段、例えばベルクロ細片58aとループ58b、が形成されていて、これによりベルトが患者の肢、例えば脚上部、に固定的に巻けるようになっている。図9の実施例では熱パイプをラップに固着する手段として両面に接着層を有する発泡層を開示しているが、実際には直接的な膠付けや結び付けなどにより、熱パイプを外側層52に直接固着してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図7
図8
図9