(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記画素数が前記閾値に到達していないと判定された場合、前記所定動作の実行を待機させ、前記画素数が前記閾値に到達したと判定された場合、前記スキャン機構を制御して、スキャン条件の変更、前記スキャンの停止、及び前記被検体へのガイダンスの出力の少なくとも1つの前記所定動作を実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記閾値は、ユーザにより指定された画素数、前記ユーザにより指定された実空間上における面積に対応する画素数に基づいて設定される、請求項2記載の画像診断装置。
前記判定部は、前記画素数が前記閾値より小さい状態のままの場合又は前記画素数が前記閾値より大きい状態のままの場合において前記画素数が前記閾値に到達していないと判定し、前記画素数が前記閾値より小さい状態から前記閾値を上回った時点又は前記画素数が前記閾値より大きい状態から前記閾値を下回った時点において前記画素数が前記閾値に到達したと判定する、請求項2記載の画像診断装置。
前記ROI設定部は、前記医用画像上にROIを設定し、前記複数のサブROIによって前記ROIで設定された領域の全体を実質的にカバーするように設定することを特徴とする請求項7に記載の画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る画像診断装置及び画像診断装置の制御プログラムについて説明する。
【0011】
本実施形態に係る画像診断装置は、医用画像上において造影度合をモニタリングし、造影度合に応じてスキャン条件の変更、スキャンの停止、被検体への呼吸指示等のガイダンスの出力のタイミング等の所定動作(アクション)の実行タイミングを制御する。従って本実施形態に係る画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、及び核医学診断装置等の造影剤を利用してスキャンを行う如何なるモダリティに適用可能である。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る画像診断装置は、計測値(CT値)が絶対的な意味を有するX線コンピュータ断層撮影装置であるものとする。
【0012】
X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管とX線検出器とが1体となって被検体の周囲を回転するROTATE/ROTATEタイプや、リング状に多数の検出素子が配列され、X線管のみが被検体の周囲を回転するSTATIONARY/ROTATEタイプ等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも本実施形態は適用可能である。ここでは、ROTATE/ROTATEタイプとして説明する。
【0013】
また、X線コンピュータ断層撮影装置により利用される画像再構成法には、フルスキャン法とハーフスキャン法とがある。フルスキャン法では、1スライスのCT画像のデータを再構成するために、被検体の周囲1周、すなわち約2π[rad]分の投影データ(収集データ)が必要である。また、ハーフスキャン法では、1スライスのCT画像データを再構成するために、π+α[rad](α:ファン角)分の投影データが必要である。本実施形態は、フルスキャン法とハーフスキャン法とのいずれの方法も適用可能である。しかし、以下、説明を具体的に行なうため本実施形態は、フルスキャン法を採用するとする。
【0014】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、スキャン機構(ガントリ)10とコンピュータ30とを搭載する。
【0015】
スキャン機構10は、被検体PをX線でスキャンするための様々な機構を有する。具体的には、スキャン機構10は、円環又は円板状の回転フレーム12を回転可能に支持する。回転フレーム12の内周側には、天板14に載置された被検体Pが挿入される撮影領域が形成される。天板14は、図示しない寝台により長手方向と上下方向とに沿ってスライド可能に支持されている。
【0016】
回転フレーム12は、天板14に載置された被検体Pを挟んで対向するようにX線管16とX線検出器18とを有する。回転フレーム12は、回転駆動部20からの駆動信号の供給を受けてX線管16とX線検出器18とを連続回転させる。
【0017】
X線管16は、高電圧発生部22から高電圧の印加を受けてX線を発生する。高電圧発生部22は、コンピュータ30内のスキャン制御部44による制御に従ってX線管16に高電圧を印加する。
【0018】
X線検出器18は、X線管16から発生され被検体Pを透過したX線を検出し、検出されたX線の強度に応じた電流信号を生成する。X線検出器18には、データ収集回路(DAS)24が接続されている。
【0019】
データ収集回路24は、スキャン制御部44による制御に従ってX線検出器18から電流信号を読み出す。データ収集回路24は、読み出された電流信号を増幅し、増幅された電流信号をデジタル変換することによって、デジタル信号である投影データを生成する。生成された投影データは、非接触データ伝送部26を介してコンピュータ30に供給される。
【0020】
コンピュータ30は、前処理部32、画像発生部34、ROI設定部36、閾値設定部38、画素数計数部40、判定部42、スキャン制御部44、表示部46、操作部48、記憶部50、及びシステム制御部52を備える。
【0021】
前処理部32は、データ収集回路24から供給された投影データに対数変換や感度補正等の前処理を施す。前処理により画像再構成に利用される投影データが生成される。
【0022】
画像発生部34は、前処理が施された投影データに基づいてCT画像のデータを発生する。具体的には、画像発生部34は、投影データに再構成処理を施して被検体Pに関するCT画像のデータを再構成する。
【0023】
ROI設定部36は、再構成されたCT画像上にモニタリングのためのROI(関心領域:region of interest)を設定する。ROIは、血管領域等の造影度合のモニタリング対象部位を含むように設定される。ROIは、画像処理により自動的に設定されてもよいし、操作部48を介して手動的に設定されてもよい。なお、ROIは、CT画像上の血管領域等の特定部分だけでなく、CT画像全体に設定されてもよい。
【0024】
閾値設定部38は、ユーザからの指示に従って又は自動的に、後述する画素数に対して比較するための閾値を設定する。閾値は、例えば、ユーザにより操作部48を介して指定された画素数、ユーザにより操作部48を介してCT画像上に設定されたROI内の画素の画素数、又はユーザにより操作部48を介して指定された実空間上における面積に対応する画素数に基づいて設定される。また、閾値は、予め設定された値に自動的に設定されてもよい。
【0025】
画素数計数部40は、設定されたROI内の画素であって計数対象のCT値範囲(バンド)に属する画素の画素数を計数する。すなわち、計数対象の画素は、ROIに含まれる全画素のうちの計数対象のCT値範囲に属する画素に限定される。
【0026】
判定部42は、画素数計数部40により計数された画素数と閾値設定部38により設定された閾値との大小関係を比較する。そして判定部42は、計数された画素数が閾値に到達したか否かを判定する。画素数が閾値に到達していないと判定された場合、その旨の未到達信号がスキャン制御部44に供給される。一方、画素数が閾値に到達したと判定された場合、その旨の到達信号がスキャン制御部44に供給される。
【0027】
スキャン制御部44は、被検体PをX線でスキャンするためにスキャン機構10を制御する。スキャン制御部44は、画素数が閾値に到達していないと判定された場合、すなわち未到達信号が供給された場合、スキャン機構10(具体的には、回転駆動部20、高電圧発生部22、及びデータ収集回路24)を制御して、所定動作の実行を待機させる。一方、スキャン制御部44は、画素数が閾値に到達したと判定された場合、すなわち到達信号が供給された場合、スキャン機構10(具体的には、回転駆動部20、高電圧発生部22、及びデータ収集回路24)を制御して、所定動作を実行させる。所定動作は、スキャン条件の変更、モニタリングスキャンから本スキャンへの切り替え、モニタリングスキャンの停止、及び被検体Pへの呼吸指示等に関するガイダンスの出力の少なくとも1つである。
【0028】
ここで本実施形態において実行される3種類のスキャン、すなわちプレスキャン、モニタリングスキャン、及び本スキャンについて簡単に説明する。これら3種類のスキャンは、典型的には、プレスキャン→モニタリングスキャン→本スキャンの順に行なわれる。プレスキャンは、被検体Pに造影剤を注入する前に行われる。プレスキャンは、ROIの位置や大きさ決定したり、閾値を設定したりするために行われる。モニタリングスキャンは、計数対象のCT値範囲に属する画素の画素数をモニタリングするために行われる。本スキャンは、画素数が閾値に到達したことを契機として実行される。本スキャンは、画像診断のためのCT画像のデータを収集するために行われる。モニタリングスキャンのスキャン条件と本スキャンのスキャン条件とは、異なっている。すなわち、モニタリングスキャンから本スキャンへの移行は、スキャン条件の変更と同義である。
【0029】
表示部46は、CT画像や計数対象のROI、計数対象のCT値範囲、閾値、画素数を表示デバイスに表示する。表示デバイスとしては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が利用可能である。
【0030】
操作部48は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。例えば、操作部48は、ユーザにより入力デバイスを介してROIの設定位置や画素数、面積等を入力する。入力デバイスとしては、キーボードやマウス、スイッチ等が利用可能である。
【0031】
記憶部50は、ROIの位置や、投影データ、CT画像のデータを記憶する。また、記憶部50は、X線コンピュータ断層撮影装置1の制御プログラムを記憶している。この制御プログラムは、画素数に応じた所定動作の実行タイミングの制御機能をコンピュータ30に実行させるためのものである。
【0032】
システム制御部52は、X線コンピュータ断層撮影装置1の中枢として機能する。具体的には、システム制御部52は、記憶部50に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って各部を制御する。
【0033】
次に
図2を参照しながら、システム制御部52の制御のもとに実行される、所定動作の実行タイミングの制御処理の概略について説明する。
図2は、造影剤濃度の時間変化に伴うROI内の非造影血管領域の画素数(度数)の時間変化と造影血管領域の画素数(度数)の時間変化とを示す。
図2のグラフは、縦軸が度数(画素数)に規定され、横軸が時間に規定されている。時間t=1sは、スキャン開始時刻である。時間t=8sあたりで造影剤濃度がピークに達し、それ以降造影剤濃度が低下している。グラフ上の各時間の度数は、各時間における度数と時間t=1における度数との差分を示す。点線は、第1のCT値範囲に属する画素(非造影血管領域)の度数の時間変化を示す曲線である。第1のCT値範囲は、CT値0HU〜100HUである。第1のCT値範囲は、造影剤により造影されていない血管に関する画素が属するCT値範囲である。実線は、第2のCT値範囲に属する画素(造影血管領域)の度数の時間変化を示す曲線である。第2のCT値範囲は、CT値101HU〜400HUである。第2のCT値範囲は、造影剤により造影された血管に関する画素が属するCT値範囲である。
【0034】
図2に示すように、造影剤濃度の上昇に伴って、非造影血管領域(CT値範囲0〜100に属する画素領域)の画素数は減少し、造影血管領域(CT値範囲101〜400に属する画素領域)の画素数は増加する。計数対象のCT値範囲を限定することにより画素数は、計数対象のROI内に関する造影剤濃度を表す指標と成りうる。
【0035】
X線コンピュータ断層撮影装置1は、造影剤濃度に応じて変化するCT値範囲に属する画素の画素数をモニタリングし、所定動作の実行タイミングを制御する。
【0036】
例えば、
図2に示すように、造影血管領域のための閾値Th1が画素数(差分)1000に設定されたとする。この場合、判定部42は、画素数計数部40によりリアルタイムに計数された造影血管領域の画素数が閾値Th1に到達したか否かをリアルタイムに判定する。画素数が1000より下の状態の場合、スキャン制御部44は、スキャン機構10を制御し、所定動作の実行を待機させる。そして画素数が1000より下の状態から1000を上回った場合、スキャン制御部44は、スキャン機構10を制御し、所定動作を実行させる。
【0037】
また、例えば、
図2に示すように、非造影血管のための閾値Th2が画素数(差分)−1000に設定されたとする。この場合、判定部42は、画素数計数部40によりリアルタイムに計数された非造影血管領域の画素数が閾値Th2に到達したか否かをリアルタイムに判定する。画素数が−1000より上の状態の場合、スキャン制御部44は、スキャン機構10を制御し、所定動作の実行を待機させる。そして画素数が−1000より上の状態から−1000を下回った場合、スキャン制御部44は、スキャン機構10を制御し、所定動作を実行させる。
【0038】
このように本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、計数対象のCT値範囲に属する画素の画素数と閾値との大小関係をリアルタイムに比較し、画素数が閾値に到達した場合、所定動作を実行する。
【0039】
次にシステム制御部52の制御に従って行われる所定動作の実行タイミングの制御処理について具体的に説明する。以下の説明において、所定動作は、モニタリングスキャンから本スキャンへの移行であるとする。以下の動作例は、心臓を臨床応用例に挙げて説明する。
【0040】
実行タイミングの制御処理の前に、造影度合のモニタリングのための条件設定処理が行なわれる。まずは、条件設定処理について説明する。条件設定処理は、閾値の設定方法に応じて3種類に分けられる。以下、
図3、
図4、及び
図5を参照しながらシステム制御部52の制御により行なわれる第1の条件設定処理、第2の条件設定処理、及び第3の条件設定処理についてそれぞれ説明する。
【0041】
図3は、表示部46により表示される第1の条件設定処理に関する表示画面の一例を示す図である。なお、この表示画面は、条件設定処理だけでなく、実行タイミングの制御処理においても引き続き表示されていてもよい。
図3に示すように、表示画面は、画像表示領域60、条件表示領域70、及び度数表示領域80を有する。
【0042】
画像表示領域60には、プレスキャンにより発生されるCT画像や、プレスキャンにより発生されるCT画像が表示される。また、CT画像上には、画素数の計数対象のROIが重ねて表示される。条件表示領域70には、画素数の計数対象のCT値範囲や、計数対象のCT値範囲に属する画素の画素数、閾値(トリガ)が表示される。度数表示領域80には、計数対象のROI内且つCT値範囲に属する画素の画素数(度数)の時間変化を示すグラフが表示される。なお、度数の時間変化を示すグラフは、後述するモニタリングスキャン実行処理においてリアルタイムに更新される。
【0043】
第1の条件設定処理においてスキャン制御部44は、ユーザにより操作部48を介してプレスキャンの開始指示がなされることを契機としてスキャン機構10を制御し、造影剤が注入されていない被検体Pの胸部をプレスキャンする。プレスキャンは、典型的には、1回のみ行なわれる。プレスキャンにより胸部に関する非造影画像のデータが画像発生部34により発生される。発生された非造影画像は、表示部46により画像表示領域60に表示される。非造影画像は、例えば、
図3に示すように、心臓領域61、脊椎領域62、下行大動脈(DA)領域63を有している。
【0044】
ユーザは、表示された非造影画像を観察し、計数対象の領域(第1ROI)の範囲を決定する。そしてユーザは、操作部48を介して非造影画像上に第1ROI64の範囲を指定する。ROI設定部36は、ユーザにより操作部48を介して指定された範囲に対応する第1ROI64の座標を特定し、特定された第1ROI64の座標のデータを記憶部50に記憶する。例えば、DAの造影度合をモニタリングしたい場合、第1ROI64の範囲は、CT画像上のDA領域を含むように指定される。このように第1ROI64の範囲は、モニタリング対象部位よりも大きめに設定可能である。なおユーザは、必ずしも第1ROIの範囲を指定する必要はない。すなわち、第1ROIが画像全体に設定されてもよい。
【0045】
第1ROI64の範囲が指定されると画素数計数部40は、第1ROI64内であって計数対象のCT値範囲に属する画素の画素数を計数する。計数対象のCT値範囲は、予めユーザにより又は自動的に設定されているものとする。計数対象のCT値範囲は、造影血管領域(又は非造影血管領域)が取りうるCT値範囲に応じて設定される。上述のように造影血管領域が取りうるCT値範囲が101HU〜400HUであるとすると、計数対象のCT値範囲は、例えば、100HU〜200HUに設定される。この場合、画素数計数部40は、第1ROI内に含まれ、且つCT値範囲100HU〜200HUに属する画素の画素数を計数する。そして表示部46は、計数された画素数を条件表示領域70に表示する。
図3においては、画素数(度数)は、条件表示領域70の度数欄に983であると表示されている。
【0046】
また、ユーザは、操作部48を介して閾値(トリガ)として画素数を指定する。判定部42は、ユーザにより操作部48を介して指定された画素数に基づいて閾値を設定する。閾値は、モニタリング対象部位の画素数以下に設定される。例えば、ユーザは、
図3に示すように、閾値として、非造影時からの画素数の変化分(相対値)300を指定したとする。この場合、閾値設定部38は、非造影時の画素数983+相対値300=1283を閾値に設定する。すなわち、非造影時に比して第1ROI内であって計数対象のCT値範囲に属する画素の画素数が300増加するまでモニタリングが行なわれる。そして画素数が300増加したことを契機として所定動作が行なわれる。例えば、モニタリング対象部位であるDA領域の画素数が600であるとする。この場合、モニタリング対象部位が半分程度造影されれば判定条件が満足される。
【0047】
なお第1の条件設定処理において閾値は、非造影時の画素数に対する相対値により指定されるとしたが、第1の条件設定処理はこれに限定されない。例えば、造影開始時等の如何なる基準時からの相対値によって閾値が指定されてもよい。また、相対値ではなく、絶対値(例えば、上述の場合1283)により閾値が指定されてもよい。この場合、指定された絶対値が閾値に設定される。
【0048】
次に
図4を参照しながら、第2の条件設定処理について説明する。以下の説明において第1の条件設定処理と同様の処理については、説明を省略する。なお、この表示画面は、条件設定処理だけでなく、後述する移行タイミング制御処理においても引き続き表示されていてもよい。
【0049】
第2の条件設定処理においてユーザは、第1ROI64の範囲の他に第2ROI65の範囲を指定する。上述のように第1ROI64は、計数対象の画素数を場所的に限定するために設けられる。第2ROI65は、閾値の設定のために指定される。例えば、第1ROI64内のDA領域63をモニタリング対象部位とする場合、ユーザは、第2ROI65がDA領域63の内部に含まれるように、操作部48を介して第2ROI65の範囲を指定する。ROI設定部36は、指定された範囲に第2ROI65を設定する。第2ROI65が設定されると画素数計数部40は、第2ROI65内の画素数を計数する。そして閾値設定部38は、計数された第2ROI65内の画素数を閾値に設定する。第2ROI65内の画素数は、表示部46におより条件設定領域70の第2ROI欄に表示される。例えば、
図4の場合、第2ROI65内の画素数が295、すなわち閾値が295であることを示している。この場合、第1ROI64内であって、CT値100HU〜200HUに属する画素の画素数が非造影時の画素数983+相対値295=1278に到達したら所定動作が実行される。
【0050】
上述のように第1の条件設定処理において閾値は、ユーザにより数値(画素数)で指定される。しかしユーザが医師等の場合、CT画像上の所望範囲を画素数に換算できない場合が想定される。一方、第2の条件設定処理によれば、CT画像上に第2ROIの範囲を指定することで、指定された第2ROI内の画素数を閾値に設定することができる。従って第2の条件設定処理は、第1の条件設定処理に比して、ユーザにとって思い通りの閾値を設定することができる。
【0051】
次に
図5を参照しながら、第3の条件設定処理について説明する。以下の説明において第1の条件設定処理と同様の処理については、説明を省略する。なお、この表示画面は、条件設定処理だけでなく、後述する移行タイミング制御処理においても引き続き表示されていてもよい。
【0052】
第3の条件設定処理においてユーザは、閾値の設定のため、実空間上における面積[mm2]を入力する。ユーザにより操作部48を介して面積が入力されると閾値設定部38は、例えば、入力された面積とCT画像の拡大率とに基づいて、この面積に対応する画素数を算出する。例えば、ユーザは、モニタリング対象部位の実空間上における面積40mm2を操作部48を介して入力する。この場合、閾値設定部38は、40mm2に相当する画素数を算出し、算出された画素数を閾値に設定する。なお入力された閾値40mm2は、
図5に示すように、条件設定領域70の監視サイズ欄に表示される。
【0053】
なお、第3の条件設定処理においてユーザは、閾値設定のため、面積を入力するとしたが、これに限定する必要はない。例えば、閾値設定のため、直径や半径等の大きさを表す指標を入力するとしてもよい。この場合、閾値設定部38は、入力された指標とCT画像の拡大率とに基づいて、この指標に対応する画素数を算出し、算出された画素数を閾値に設定する。モニタリング対象部位の血管が比較的大きな血管の場合、大きさを表す指標として直径が用いられると良い。また。モニタリング対象部位の血管が広く分布する場合、血管領域の合計面積が大きさを表す指標として用いられると良い。
【0054】
上述のように第1の条件設定処理において閾値は、ユーザにより画素数で指定される。しかしユーザが医師等の場合、CT画像上の所望範囲を画素数に換算できない場合が想定される。一方、第3の条件設定処理において閾値は、実空間上における面積等で指定可能である。ユーザにとっては、実空間上における面積の方が画素数よりも大きさを把握しやすい。従って第3の条件設定処理は、第1の条件設定処理に比して、ユーザにとって思い通りの閾値を設定することができる。
【0055】
以上で条件設定処理の説明を終了する。なお、条件設定処理の種類、すなわち閾値の設定方法は、操作部48を介してユーザにより任意に設定可能である。
【0056】
次に上述の条件設定処理により設定された閾値等を利用した、モニタリングスキャンから本スキャンへの移行タイミング制御処理について説明する。
図6は、システム制御部52の制御により行なわれる移行タイミング制御処理の典型的な流れを示す図である。なお、移行タイミング制御処理は、上述の条件設定処理の種類に応じて異ならず、共通のものが用いられる。
【0057】
まずシステム制御部52は、ROI設定部36にROIの設定処理を行なわせる(ステップS1)。ステップS1においてROI設定部36は、上述の第1の条件設定処理、第2の条件設定処理、又は第3の条件設定処理を利用して、計数対象の第1ROIをCT画像上に設定する。第1ROIの位置や大きさは、プレスキャンにより発生されたCT画像上で設定される。第1ROIのCT画像上における座標のデータは、記憶部50に記憶される。
【0058】
ステップS1が行なわれるとシステム制御部52は、操作部48を介してモニタリングスキャンの開始指示がなされることを待機している。ユーザは、モニタリングスキャンの開始の準備が整うと、操作部48を介してモニタリングスキャンの開始指示を入力する。なお造影剤の注入は、開始指示の入力前であっても、入力後であってもどちらでも良い。
【0059】
ユーザにより開始指示がなされるとシステム制御部52は、スキャン制御部44にモニタリングスキャンを開始させる(ステップS2)。ステップS2においてスキャン制御部44は、スキャン機構10を制御して、モニタリングスキャンを実行する。モニタリングスキャンにおけるスキャン領域は、プレスキャンにおけるスキャン領域と同一であるとそる。モニタリングスキャンは、造影度合のモニタリングのために行なわれるので、本スキャンよりもスキャン条件が粗く設定される。例えば、モニタリングスキャンにおいては、連続的ではなく間欠的(例えば、1秒おき)にスキャンが繰り返される。また、モニタリングスキャンは、本スキャンよりも弱い管電流値で行なわれる。このようなモニタリングスキャンに関するスキャン条件に従ってスキャン制御部44は、高電圧発生部22を制御してX線管16にX線を発生させる。そしてX線検出器18は、被検体Pを透過したX線を検出し電流信号を生成する。データ収集部24は、スキャン制御部44による制御に従ってX線検出器18から電流信号を読み出し、読み出された電流信号に基づいて投影データを生成する。
【0060】
ステップS2が行なわれるとシステム制御部52は、画像発生部34に画像発生処理を行なわせる(ステップS3)。ステップS3において画像発生部34は、ステップS2において収集された1スライス分の投影データに基づいて、スキャン対象のスライスに関するCT画像のデータを発生する。発生されたCT画像は、表示部46により
図3等の表示画面上の画像表示領域60に表示される。
【0061】
ステップS3が行なわれるとシステム制御部52は、画素数計数部40に計数処理を行なわせる(ステップS4)。ステップS4において画素数計数部40は、まず。ステップS1において設定された第1ROIの座標のデータを記憶部50から読み出す。そしてROI設定部36は、ステップS3において発生されたCT画像上であって、読み出された座標と同一の座標に第1ROIを自動的に設定する。設定された第1ROIは、表示部46によりCT画像上に表示される。
【0062】
次に画素数計数部40は、設定された第1ROIに関するヒストグラムを生成する。そして画素数計数部40は、生成されたヒストグラム上の計数対象のCT値範囲に属する画素数を計数する。画素数が計数されると表示部46は、
図3等の度数表示領域70上に表示されている画素数の時間変化を示すグラフを更新する。
【0063】
ステップS4が行なわれるとシステム制御部52は、判定部42に判定処理を行なわせる(ステップS5)。ステップS5において判定部42は、ステップS4において計算された画素数が、予め設定されている閾値に到達したか否かを判定する。
【0064】
画素数が閾値に到達していないと判定された場合(ステップS5:NO)、システム制御部52は、未到達信号をスキャン制御部44に供給する。未到達信号が供給されるとスキャン制御部44は、プレスキャンに関するスキャン条件に従ってプレスキャンを継続する。そして再びステップS3からステップS5が繰り返される。このように、画素数が閾値に到達するまで、ステップS3〜ステップS5が繰り返される。
【0065】
そして、ステップS5において画素数が閾値に到達したと判定された場合(ステップS5:YES)、システム制御部52は、到達信号をスキャン制御部44に供給する。到達信号が供給されるとスキャン制御部44は、スキャン機構10を制御し、モニタリングスキャンから本スキャンへ移行する(ステップS6)。具体的には、スキャン制御部44は、まずモニタリングスキャンを停止する。次にスキャン制御部44は、モニタリングスキャンのスキャン条件から本スキャンのスキャン条件に変更し、変更後のスキャン条件に従って本スキャンを実行する。スキャン条件としては、スキャンに利用するX線検出器18の検出素子列数、管電流値、管電圧値、X線照射時間、X線発生間隔、撮影モード(ヘリカルスキャン、コンベンショナルスキャン等)の少なくとも1つである。例えば、モニタリングスキャンから本スキャンへの移行に伴って、検出素子列数を多くしたり、管電流値を大きくしたり、管電圧値を大きくしたり、X線照射時間を短くしたり、X線発生間隔を長くしたり、コンベンショナルスキャンからヘリカルスキャンに変更したりする。
【0066】
なお上述のように、画素数が閾値に到達したことを契機として実行される所定動作は、スキャン条件の変更のみに限定されない。例えば、本スキャンへ移行せずに、そのままスキャンが停止されてもよい。また、画素数が閾値に到達したことを契機として呼吸指示のガイダンスが出力されてもよい。この場合の動作例について簡単に説明する。
【0067】
モニタリングスキャンは比較的に長時間に亘り行なわれるので、モニタリングスキャン中、被検体Pには自由呼吸が許可されていることが多い。一方、本スキャンは短時間(例えば、一回のX線照射)に行なわれるので、本スキャン中、被検体Pには息止めが要請されることが多い。このため、本スキャンが開始される前に、被検体Pに対して息止め等の呼吸指示のガイダンスがなされる。典型的には、モニタリングスキャン中に呼吸指示のガイダンスがなされる。ガイダンスは、例えば、「息を止めて下さい」等の音声データの出力によりなされる。
【0068】
ステップS5において画素数が閾値に到達したと判定された場合、スキャン制御部44は、予め記憶部50に記憶されている音声データを読み出する。そしてスキャン制御部44は、スキャン機構10等に設けられたスピーカを介して音声データを出力する。これにより呼吸指示のガイダンスがなされる。
【0069】
また、所定動作は、1つに限定されない。例えば、画素数が閾値に到達したことを契機として、モニタリングスキャンから本スキャンへの移行とガイダンスの出力とが実行されても良い。
【0070】
ステップS6が行なわれるとシステム制御部52は、実行タイミングの制御処理を終了する。
【0071】
上記の実行タイミングの制御処理によれば、X線コンピュータ断層撮影装置1は、計数対象のCT値範囲に属する画素の画素数をモニタリングすることにより、モニタリング対象部位の造影度合をモニタリングする。以下に本実施形態に係る実行タイミングの制御処理の効果について説明する。
【0072】
従来においては第1ROI内の平均CT値に従って造影度合をモニタリングしていた。ところで、被検体Pの体動や呼吸動等によりモニタリング対象部位が動き第1ROIに脊椎領域等の高CT値領域が混入する場合がある。第1ROIに高CT値領域が混入すると、従来の場合、平均CT値が高CT値側にシフトしてしまい、正確なモニタリングを行なうことができなかった。
【0073】
しかし本実施形態によれば、第1ROI内の画素数を計数するものであり、計数対象の画素のCT値範囲を特定の範囲(例えば、造影血管領域が取りうるCT値範囲。脊椎領域のCT値範囲よりも低い。)に限定している。このように計数対象のCT値範囲を限定することで、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、第1ROI内に高CT値領域が混入した場合であっても、高CT値領域の画素を計数対象から除外することができる。従ってX線コンピュータ断層撮影装置1は、平均CT値を利用する場合に比して、安定して造影度合をモニタリングすることができる。
【0074】
また、頚動脈等の非造影画像上で位置を特定できない部位をモニタリング対象部位とする場合がある。この場合、モニタリング対象部位の大まかな位置しかわからないので、第1ROIを広めに設定せざるを得ない。平均CT値に従ってモニタリングする場合、第1ROIを広めに設定すると、第1ROIにモニタリング対象部位以外の部位が多く含まれてしまう。従って、第1ROIの平均CT値に対するモニタリング対象部位のCT値の寄与度が低下してしまい、造影度合のモニタリング精度が悪化してしまう。
【0075】
しかし本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、計数対象のCT値範囲に属する画素数に従ってモニタリングする。従って第1ROIを広めに設定した場合であっても、モニタリング対象部位以外の部位をCT値により自動的に計数対象から除外することができる。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、従来に比して広めに第1ROIを設定することができる。
【0076】
平均CT値の計算対象を、第1ROI内の画素で特定のCT値範囲に属する画素に限定する場合も考えられる。例えば、
図7に示すような、特定のCT値範囲内に関し、画素数が同一な2つの度数分布曲線を考える。この場合、実線で示す度数分布曲線の平均CT値AVE1は、破線で示す度数分布曲線の平均CT値AVE2よりも高CT値側に位置する。例えば、閾値Thが平均CT値AVE1と平均CT値AVE2との間に設定されている場合、実線の度数分布曲線は、判定条件を満足することになるが、破線の度数分布曲線は、判定条件を満足しないことになってしまう。このように、平均CT値に従ってモニタリングする場合、判定結果は閾値に過敏に影響されてしまう。しかし、本実施形態のように画素数に従ってモニタリングする場合、判定結果は特定のCT値範囲内の度数分布に影響されない。従ってX線コンピュータ断層撮影装置1は、従来に比してモニタリング精度の安定性が良い。
【0077】
かくして本実施形態によれば、造影度合のモニタリング精度の向上が実現する。
【0078】
なお、上記の実施形態において計数対象のCT値範囲は、1つであるとした。しかしながら本実施形態は、これに限定する必要はない。例えば、計数対象のCT値範囲は、複数のCT値範囲を含んでいても良い。この場合、閾値設定部38は、各CT値範囲について閾値を設定する。画素数計数部40は、複数のCT値範囲に属する複数の画素数を計数する。換言すれば、画素数計数部40は、各CT値範囲について画素数を計数する。判定部42は、複数のCT値範囲の各々について画素数が閾値に到達したか否かを判定する。そしてスキャン制御部44は、複数のCT値範囲の判定結果に基づいて所定動作の実行タイミングを制御する。例えば、スキャン制御部44は、全てのCT値範囲において画素数が閾値に到達した場合に所定動作を実行してもよい。また、スキャン制御部44は、複数のCT値範囲のうちの1つでも画素数が閾値に到達した場合に所定動作を実行してもよい。
【0079】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、計数対象のCT値範囲に属する画素数に従ってモニタリングを行っている。第2の実施形態では、操作者が設定した第1ROIの中にサブROIを設け、モニタリングすべき範囲をこのサブROIの選択によって特定する場合について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成、動作についてはその説明を省略し、同一の構成には同一の符号を付して説明し、異なる構成には異なる符合を付して説明する。
図8は本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置100の構成を示す図である。
【0080】
第2の実施形態において、ROI設定部136は、第1の実施形態と同様にモニタリングのためのROIを設定する。さらにROI設定部はこのROI101の中に複数のサブROI102を設定する。
図9に、設定されるROI101とサブROI102の関係を示す。
図9では頚動脈をモニタリングしたい場合を一例として示している。このように、石灰化領域104や脊椎領域105がROI101に含まれる場合を一例として説明する。
図9のように、サブROI102はROI101範囲内を埋め尽くすように複数設けられる。ここで、
図9においては、サブROI102はROI101からはみ出ない位置に設定される場合を示したが、これに限られない。ROI101の全領域をいずれかのサブROI102が含むよう設定した結果、一部のサブROI102がROI101からはみ出てるようにしてもよい。
【0081】
また、サブROI一つ当たりの大きさについては、部位や再構成直径(FOV)により血管径などの対象部位の大きさが変化するため、部位やFOVに応じて変更してもよい。また、
図9では、サブROI102の間隔はサブROI102の直径の1/2であるとしたが、これに限られない。密にサブROIをおけば、サブROI選択をより細かく行うことができるし、疎におけば、演算処理の負荷を低減できる。ただし、サブROIの直径に対して1/n(nは2以上の整数)であればサブROIを効率的に配置できるため、より望ましい。
【0082】
さらに、ROI設定部136は上述のように設定されたサブROIそれぞれにおけるCT値を計測し、計数対象のCT値範囲(バンド)に属するサブROIをモニタリング対象として選択する。具体的には、
図10に示されるように、石灰化領域104や脊椎領域105に対応する高CT値や空気などに対応する低CT値を有するサブROIをモニタリングの対象から除外する。
【0083】
なお、サブROI選択の方法は、これ以外のものでもよい。一例としては、特定のCT値以上の、例えば骨や石灰化領域に対応する領域の面積を算出し、次にその面積から除外すべきサブROIの数を計算する。そしてCT値が高いサブROIから順に計算した数のサブROIをモニタリング対象から除外するなどとしてもよい。複数上述したサブROI選択の手法は、部位によって切り替えられるものとしてもよい。
【0084】
次に、本実施形態では、既に骨や石灰化の領域が除外されているので、第1の実施形態と異なる方法で本スキャンへの切換のトリガを判定してもよい。その点に関連する構成について以下に説明する。
【0085】
まず、閾値設定部138は、ユーザからの指示に従って又は自動的に、後述する特定されたサブROIのCT値に対して比較するための閾値を設定する。
【0086】
CT値計数部140は、上述のサブROIの判別によって除外されなかったROIのうち、高いCT値を有する順に上位3つのサブROIのCT値の平均値を算出する。また、ここでCT値計数部140は、最高のCT値を有するサブROIの位置を表示部46の画像上に表示してもよい。ここで、計算の対象となるサブROIの数は3つに限られない。一つ、あるいは3以外の複数でもよし、サブROIの大きさ、間隔によって変化するものであってもよい。ノイズ等による特異なCT値が出現した場合でもそれを吸収でき、かつ、局所的な造影剤によるCT値変化が埋もれない程度の数であることが望ましい。また、画像上に位置を表示するサブROIも最高のCT値を有するもの一つとは限らず、計算の対象となったもの全て、あるいは、それ以下の上位複数のCT値を有するサブROIの位置を示してもよい。
【0087】
判定部142はCT値計数部140により算出されたCT値の平均値と閾値設定部138により設定された閾値との大小関係を比較する。そして判定部142は、計算されたCT値の平均値が閾値に到達したか否かを判定する。CT値の平均値が閾値に到達していないと判定された場合、その旨の未到達信号がスキャン制御部44に供給される。一方、算出されたCT値の平均値が閾値に到達したと判定された場合、その旨の到達信号がスキャン制御部44に供給される。
【0088】
一方、閾値設定部138、CT値計数部140、判定部142等の代わりに第1の実施形態における閾値設定部38、画素数計数部40、判定部42等を置き換えてもよい。この場合、上述の手順によって除外されなかったサブROIの領域を対象に第1の実施形態と同様の動作を行うように構成される。
【0089】
次に、スキャン制御部44は第1の実施形態と同様に動作するよう構成されていもよいが、操作者の指示入力を待って本スキャンへの移行を行うように制御してもよい。上述したように最大CT値を有するサブROI等を画像上に表示している場合は、操作者はそのサブROIが本当にモニタリングすべき部位であるか否かを確認することができる。したがって、本実施形態においてはスキャン制御部44は、CT値の平均値が閾値に到達した旨の到達信号を受けた後、表示部46に操作者の本スキャン移行のための入力を促す表示を行ってもよい。この場合、スキャン制御部は、この入力を促す表示の後、操作者からの入力があったときに本スキャンへの移行制御を行う。これにより、操作者は本当に本スキャンに移行すべきCT値の上昇があったか否かを確認したうえで本スキャンへの移行を行うことができる。
【0090】
本実施形態によれば、X線コンピュータ断層撮影装置100は、選択されたサブROI102を対象としてモニタリングすることにより、モニタリング対象部位の造影度合をモニタリングする。以下に本実施形態に係る実行タイミングの制御処理の効果について説明する。
【0091】
従来においてはROI内の平均CT値に従って造影度合をモニタリングしていたが、ROIに脊椎領域等の高CT値領域が混入する場合がある。ROIに高CT値領域が混入すると、従来の場合、平均CT値が高CT値側にシフトしてしまい、正確なモニタリングを行なうことができなかった。
【0092】
しかし本実施形態によれば、ROI内にサブROIを設け、脊椎領域等を、サブROI毎のCT値によって除外した残りのサブROIを対象としてモニタリングを行う。したがって、計数対象の画素のCT値範囲を特定の範囲(例えば、造影血管領域が取りうるCT値範囲。脊椎領域のCT値範囲よりも低い。)に限定している。このように計数対象のCT値範囲を限定することで、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置100は、ROI内に高CT値領域が混入した場合であっても、高CT値領域の画素をモニタリング対象から除外することができる。従ってX線コンピュータ断層撮影装置100は、平均CT値を利用する場合に比して、安定して造影度合をモニタリングすることができる。
【0093】
また、頚動脈等の非造影画像上で位置を特定できない部位をモニタリング対象部位とする場合がある。この場合、モニタリング対象部位の大まかな位置しかわからないので、ROIを広めに設定せざるを得ない。平均CT値に従ってモニタリングする場合、第1ROIを広めに設定すると、ROIにモニタリング対象部位以外の部位が多く含まれてしまう。従って、ROIの平均CT値に対するモニタリング対象部位のCT値の寄与度が低下してしまい、造影度合のモニタリング精度が悪化してしまう。
【0094】
しかし本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置100は、計数対象のCT値範囲に属するサブROIに従ってモニタリングする。従って第1ROIを広めに設定した場合であっても、モニタリング対象部位以外の部位をCT値により自動的に計数対象から除外することができる。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置100は、従来に比して広めにROIを設定することができる。
【0095】
かくして本実施形態によれば、造影度合のモニタリング精度の向上が実現する。
【0096】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、コンピュータに当該機能を実行させることのできる制御プログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。