(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、発泡体基材の両面に粘着剤層が設けられており、総厚みが250μm以下である基材付き両面粘着テープ(基材付き感圧性接着テープ)である。基材付き両面粘着テープにおける総厚みは、一方の粘着剤層表面(粘着面)から他方の粘着剤層表面(粘着面)までの厚みをいう。なお、本発明において「粘着テープ(感圧性接着テープ)」という場合には、シート状のもの、すなわち、「粘着シート(感圧性接着シート)」も含まれるものとする。
【0026】
本発明の両面粘着テープでは、基材が発泡体基材であることにより、防水性や止水性を発揮する。
【0027】
(発泡体基材)
本発明の両面粘着テープにおいて、発泡体基材としては、特に制限されないが、プラスチック発泡体により形成された基材が好ましい。プラスチック発泡体を形成するためのプラスチック材(ゴム材も含む)としては、特に制限されず、公知のプラスチック材の中から適宜選択することができる。プラスチック材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
具体的には、プラスチック発泡体としては、例えば、ポリエチレン製発泡体、ポリプロピレン製発泡体、エチレン−プロピレン共重合体製発泡体、エチレン−酢酸ビニル共重合体製発泡体等のオレフィン系樹脂発泡体;ポリエチレンテレフタレート製発泡体、ポリエチレンナフタレート製発泡体、ポリブチレンテレフタレート製発泡体等のポリエステル系樹脂製発泡体;ポリ塩化ビニル製発泡体等のポリ塩化ビニル系樹脂製発泡体;酢酸ビニル系樹脂製発泡体;ポリフェニレンスルフィド樹脂製発泡体;ポリアミド(ナイロン)樹脂製発泡体、全芳香族ポリアミド(アラミド)樹脂製発泡体等のアミド系樹脂製発泡体;ポリイミド系樹脂製発泡体;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製発泡体;ポリスチレン製発泡体等のスチレン系樹脂製発泡体;ポリウレタン樹脂製発泡体などのウレタン系樹脂製発泡体などが挙げられる。また、プラスチック発泡体として、ゴム系樹脂製発泡体を用いてもよい。
【0029】
中でも、耐薬品性、耐溶剤性、透湿抵抗性、弾力性、加工性が良い点から、オレフィン系樹脂製発泡体が好ましく、特にポリエチレン製発泡体、ポリプロピレン製発泡体などが好ましい。
【0030】
なお、プラスチック発泡体において、気泡の形態(連続気泡の形態、独立気泡の形態、またはこれらが混合された形態など)、気泡のサイズ、気泡間の肉厚などの気泡に関係する特性は特に制限されず、公知のプラスチック発泡体における気泡に関する特性の中から適宜選択することができる。プラスチック発泡体は、公知乃至慣用の形成方法(例えば、発泡剤による形成方法など)を利用して形成することができる。
【0031】
発泡体基材の表面には、公知の表面処理が施されていてもよい。例えば、発泡体基材における粘着剤層側の表面には、例えば、下塗り処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの化学的又は物理的な表面処理が施されていてもよい。なお、発泡体基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
【0032】
発泡体基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、界面活性剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0033】
なお、発泡体基材は、金属に対する腐食防止、両面粘着テープの基材として使用され、その両面粘着テープは電気・電子部品の固定に用いられる場合があることから、ハロゲン化合物を意図的に配合しないハロゲンフリーの発泡体基材であることが好ましい。ハロゲン化合物は、一般的に、ハロゲン化合物を含む難燃剤や可塑剤により配合される。
【0034】
また、発泡体基材は、両面粘着テープにおいて意匠性や光学特性(光遮光性、光反射性等)を発現させるために、着色されていてもよい。なお、着色剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
両面粘着テープを光遮光用途に用いる場合、発泡体基材は黒色に着色される。黒色としては、L
*a
*b
*表色系で規定されるL
*(明度)で、35以下(0〜35)が好ましく、より好ましくは30以下(0〜30)である。なお、L
*a
*b
*表色系で規定されるa
*やb
*は、それぞれ、L
*の値に応じて適宜選択することができる。a
*やb
*としては、例えば、両方とも、−10〜10(なかでも−5〜5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも、0又はほぼ0(−2.5〜2.5の範囲)であることが好適である。
【0036】
両面粘着テープを光反射用途に用いる場合、発泡体基材は白色に着色される。白色としては、L
*a
*b
*表色系で規定されるL
*(明度)で、87以上(87〜100)が好ましく、より好ましくは87以上(87〜100)である。なお、L
*a
*b
*表色系で規定されるa
*やb
*は、それぞれ、L
*の値に応じて適宜選択することができる。a
*やb
*としては、例えば、両方とも、−10〜10(なかでも−5〜5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも、0又はほぼ0(−2.5〜2.5の範囲)であることが好適である。
【0037】
なお、本願において、L
*a
*b
*表色系で規定されるL
*、a
*、b
*は、色彩色差計(商品名「CR−200」ミノルタ社製;色彩色差計)を用いて測定することにより求められる。なお、L
*a
*b
*表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L
*a
*b
*)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L
*a
*b
*表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
【0038】
黒色着色剤としては、例えばカーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などを用いることができる。中でも、コスト、入手性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0039】
白色着色剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタンなどの二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム,酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなど)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤などが挙げられる。
【0040】
着色剤の使用量としては、特に制限されず、本発明の粘着テープにおいて所望の光学特性が得られるような量が用いられる。
【0041】
例えば、両面粘着テープを光遮光用途に用いる場合、発泡体基材の可視光透過率は、両面粘着テープの可視光透過率と同様に、15[%]以下(0〜15[%])、より好ましくは10[%]以下(0〜10[%])とするのが好ましい。
【0042】
また、両面粘着テープを光反射用途に用いる場合、発泡体基材の可視光反射率は、両面粘着テープの可視光反射率と同様に、20[%]以上(20〜100[%])、より好ましくは25[%]以上(25〜100[%])とするのが好ましい。
【0043】
発泡体基材の発泡倍率は、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、例えば1.5〜30[cc/g]、好ましくは2.5〜25.0[cc/g]である。なお、本願において、発泡体基材の発泡倍率は、JIS K 6767に準拠して測定した見掛け密度の逆数として定義される。
【0044】
発泡体基材の伸びは、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、例えばMD方向で100〜600[%]、好ましくは400〜550[%]であり、CD方向で100〜500[%]、好ましくは150〜450[%]である。なお、本願において、発泡体基材の伸びは、JIS K 6767に準拠して測定される。
【0045】
発泡体基材の引張強さは、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、例えばMD方向で0.5〜15[MPa]、好ましくは1.0〜10.0[MPa]であり、CD方向で0.5〜13.0[MPa]、好ましくは1.0〜9.0[MPa]である。なお、本願において、発泡体基材の引張強さは、JIS K 6767に準拠して測定される。
【0046】
発泡体基材の圧縮硬さは、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、例えば、基材を平板上において、はじめの厚さの25%圧縮した時に5〜150[kPa]、好ましくは12〜120[kPa]である。なお、本願において、発泡体基材の圧縮硬さは、JIS K 6767に準拠して測定される。
【0047】
発泡体基材の表面は、粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0048】
発泡体基材の厚さは、両面粘着テープの総厚みが250μmを超えない限り、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、50〜240μm、好ましくは80〜200μm、さらに好ましくは100〜150μm程度である。発泡体基材が、50μm未満であると貫通孔が生じる点で不具合を生じる場合があり、また240μmを超えると十分な粘着特性を確保できない点で不具合を生じる場合がある。なお、発泡体基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
【0049】
(粘着剤層)
粘着剤層(感圧性接着剤層)は、本発明の両面粘着テープにおいて、粘着面(感圧性接着面)を提供する層である。このような粘着剤層は、公知慣用の粘着剤(感圧性接着剤)を主成分として形成される。上記粘着剤層を形成するための粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などの公知の粘着剤が挙げられる。粘着剤としては、上記の中でも、アクリル系粘着剤を好適に用いることができる。また、これらの粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、粘着剤は、いずれの形態を有している粘着剤であってもよく、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)などが使用できる。
【0050】
上記アクリル系粘着剤としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須の単量体成分(単量体主成分)とし、必要に応じて、これと共重合可能な共重合性単量体(極性基含有単量体や多官能性単量体など)を重合(または共重合)したアクリル系ポリマーをベースポリマー(主剤)とする粘着剤を用いることができる。前記重合方法としては、特に限定されず、UV重合法、溶液重合法またはエマルジョン重合法などの当業者にとって公知慣用の手法を用いることができる。
【0051】
上記アクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C
1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C
2-14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C
2-10アルキルエステル]などが挙げられる。
【0052】
上記(メタ)アクリル酸エステルはアクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられているので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して60重量%以上(好ましくは80重量%以上)であることが重要である。
【0053】
上記アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、極性基含有単量体や多官能性単量体などの各種共重合性単量体が用いられてもよい。モノマー成分として共重合性単量体を用いることにより、例えば、被着体への接着力を向上させたり、粘着剤の凝集力を高めたりすることができる。なお、共重合性単量体は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
上記極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。極性基含有単量体としてはアクリル酸等のカルボキシル基含有単量体又はその無水物が好適である。極性基含有単量体の使用量としては、アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば0.1〜30重量%)であり、好ましくは0.1〜15重量%である。極性基含有単量体の使用量が30重量%を超えると、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、粘着性が低下するおそれがある。また、極性基含有単量体の使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して1重量%未満であると)アクリル系粘着剤の凝集力が低下し、高いせん断力が得られなくなる場合がある。
【0055】
また、上記多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。多官能性単量体の使用量としては、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して2重量%以下(例えば、0.01〜2重量%)であり、好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性単量体の使用量がアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して2重量%を超えると、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、粘着性が低下するおそれがある。また、多官能性単量体の使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して0.01重量%未満であると)、例えば、アクリル系粘着剤の凝集力が低下する場合がある。
【0056】
また、上記極性基含有単量体や多官能性単量体以外にも共重合性単量体として、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどを用いることができる。さらに、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0057】
さらに、粘着剤層には、用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。例えば、粘着剤の種類に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(カーボンブラック等の顔料や染料など)などの適宜な添加剤を含んでもよい。
【0058】
粘着剤層を形成する樹脂組成物(粘着剤組成物)は、上記ベースポリマー、目的に応じて添加する各種添加剤等を公知の手法を用いて混合することにより調製することができる。
【0059】
粘着剤層の形成方法は、特に制限されないが、例えば、剥離ライナーや基材等の適当な支持体上に、前記粘着剤組成物を塗布して形成する方法が挙げられる。なお、該形成方法では、必要に応じて加熱や乾燥等を行ってもよい。
【0060】
粘着剤層の総厚み(両側の粘着剤層の合計厚み)は、粘着剤層の種類によっても異なり、両面粘着テープの総厚みが250μmを超えない限り特に限定されないが、通常、10〜200μm程度であり、好ましくは30〜170μmであり、さらに好ましくは40〜150μmであり、最も好ましくは50〜100μmである。粘着剤層の総厚みが、10μm未満であると十分な粘着特性を確保できない場合があり、一方200μmを超えると加工性が悪くなる場合がある。なお、両側の粘着剤層の厚みは、各々、同一の厚みであっても、異なる厚みであってもよい。また、片側の粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、5〜100μmであり、好ましくは15〜75μm、さらに好ましくは20〜65μmである。また、粘着剤層は、単層、多層のいずれの形態を有していてもよい。
【0061】
(剥離ライナー)
本発明の両面粘着テープの粘着剤層表面(粘着面)は、使用時まで剥離ライナー(セパレータ、剥離フィルム)により保護されていてもよい。なお、両面粘着テープの各粘着面は、2枚の剥離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっている1枚の剥離ライナーにより、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。剥離ライナーは、粘着剤層の保護材として用いられており、被着体に貼付する際に剥がされる。なお、本発明において、剥離ライナーが用いられている場合、該剥離ライナーの厚みは、両面粘着テープにおける総厚みには含まれない。
【0062】
このような剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。フッ素系ポリマーからなる低接着性基材のフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。無極性ポリマーからなる低接着性基材の無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、剥離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、剥離ライナーの厚さ等も特に制限されない。
【0063】
(他の層)
本発明の両面粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。例えば、発泡体基材と粘着剤層との間に他の層が設けられていてもよい。かかる場合、本発明の両面粘着テープの総厚みは一方の粘着面から他方の粘着面までの厚みをいうので、該他の層の厚みは両面粘着テープの総厚みに含まれる。
【0064】
(両面粘着テープ)
本発明の両面粘着テープは、発泡体基材の両方の面に粘着剤層を有し、総厚み(一方の粘着面から他方の粘着面までの厚み)が250μm以下の基材付き両面粘着テープである。また、両面粘着テープは、シート状のものが積層された形態を有していてもよく、ロール状に巻回された形態を有していてもよい。
【0065】
本発明の両面粘着テープは、公知乃至慣用の方法を用いて作製することができる。例えば、発泡体基材の両方の面に、前記粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成することにより作製することができる。また、発泡体基材の両方の面に、剥離ライナーや基材等の適当な支持体上に、前記粘着剤組成物を塗布して形成した粘着剤層を転写することでも作製することができる。
【0066】
両面粘着テープの総厚みは、薄膜化、小型化、軽量化、省資源化の点から、250μm以下(例えば、50〜250μm)、好ましくは200μm以下(例えば100〜200μm)、より好ましくは150μm以下(例えば100〜150μm)である。
【0067】
本発明の両面粘着テープは、基材として発泡体基材を有し、且つ総厚みが250μm以下であることから、薄膜であって、防水性(止水性)に優れる。
【0068】
本発明の両面粘着テープにおいて、JIS K 6767に基づく引張強さは、加工性を向上させる点から、例えば0.5〜20.0[MPa]が好ましく、好ましくは3.0〜13.0[MPa]である。
【0069】
このような引張強さは、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0070】
本発明において、上記のような引張強さを有していると、加工性が良好となり、例えば切断加工や打抜加工を施すことや、貼り直し時の再剥離を容易に行うことができる。このような引張強さを有する両面粘着テープは、特殊な形状や複雑な形状に切断加工や打ち抜き加工を施して、例えば部材の固定、防塵、防水、衝撃吸収等の用途に好適に用いることができる。
【0071】
本発明の両面粘着テープにおいて、JIS K 6767に基づく伸びは、特に制限されないが、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、例えば100〜600[%]が好ましく、好ましくは400〜550[%]である。
【0072】
なお、JIS K 6767に基づく伸びは、下記式により求められる。
伸び[%]=(破断時の標線間距離−初期の標線間距離)÷(初期の標線間距離)×100
【0073】
このような伸びは、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0074】
本発明の両面粘着テープにおいて、圧縮荷重は、特に制限されないが、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、はじめの厚さの30%だけ圧縮した際の圧縮荷重(30%圧縮荷重)で、例えば5〜200[kPa]が好ましく、より好ましくは5〜150[kPa]であり、さらにより好ましくは12〜120[kPa]である。
【0075】
なお、圧縮荷重は、下記式により定義される。
圧縮荷重=(両面粘着テープを10枚重ねたものを、10mm/minで、はじめの厚さの所定の厚さ分だけ圧縮したときの荷重)÷(両面粘着テープの面積)
両面粘着テープの面積は30mm×30mmとした。
【0076】
このような圧縮荷重は、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0077】
本発明の両面粘着テープにおいて、上記のような圧縮荷重を有していると、段差追従性が良好となり、シール機能も向上する。
【0078】
本発明の両面粘着テープにおいて、例えば、2kgのローラ1往復の圧縮荷重でポリカーボネート板とアクリル板とを貼り合わせた際の押圧接着力は、特に制限されないが、内部材料の応力による剥がれ防止の点から、例えば30〜200[N]が好ましく、より好ましくは50〜200[N]であり、さらにより好ましくは55〜200[N]である。
【0079】
このような押圧接着力は、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0080】
また、本発明の両面粘着テープでは、発泡体基材を用いているので、圧縮荷重ごとの押圧接着力のバラツキは小さく、軽圧着でも十分な押圧接着力を確保できる。例えば、500gという小さい圧縮荷重であっても、接着面積が100%確保できる押圧接着力に対して、80〜90%程度の押圧接着力を確保できる。
【0081】
また、上記の圧縮荷重ごとの押圧接着力のバラツキは、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することができる。
【0082】
このため、本発明の両面粘着テープは、接着信頼性にすぐれ、さらに作業性にも優れている。よって、本発明の両面粘着テープは、貼付時の圧縮荷重を大きくすることが困難な被着体(例えば、こわれやすい被着体、やわらかい被着体、表面段差のある被着体など)に対して好適に用いることができる。
【0083】
なお、押圧接着力は、よこ:40mm、たて:60mm、幅:1mmの窓枠状の両面粘着テープにより、所定の圧縮荷重で、ポリカーボネート板とアクリル板とを貼り合わせることにより得られる測定サンプルを、アクリル板を10mm/minで内部から外部に向かってアクリル板の厚さ方向に押圧して、アクリル板とポリカーボネート板とが分離するまでの最大応力として定義される。
【0084】
また、本発明の両面粘着テープは、発泡体基材を有することから、落下衝撃特性に優れている。このことからも、本発明の両面粘着テープは、良好な接着信頼性を有する。なお、本発明の両面粘着テープは、発泡体基材が衝撃吸収時に応力を緩和する点から、低温下(例えば−30〜10℃程度)であっても、高温下(例えば30〜50℃程度)であっても衝撃落下特性にすぐれている。
【0085】
本発明の両面粘着テープにおいて、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性の点から、下記式で定義される衝撃吸収性は、特に制限されないが、5[%]以上が好ましく、より好ましくは7[%]以上であり、さらにより好ましくは10[%]以上である。
衝撃吸収性(%)=(F0−F1)/F0×100
F0:両面粘着テープを用いない場合の衝撃力(ブランク数値)
F1:両面粘着テープを用いた場合の衝撃力
なお、衝撃吸収性の値は、100%に近いほど、サンプルとしての両面粘着テープが衝撃を吸収していることとなる。
【0086】
特に、本発明の両面粘着テープでは、上記式で定義される衝撃吸収性は、全く圧縮されていない場合(圧縮率0%)と、初期厚みに対して所定の厚みとなるように厚み方向に圧縮されている場合[例えば、初期厚みの85%となるように厚み方向に圧縮した場合(15%圧縮)や、初期厚みの70%となるように厚み方向に圧縮した場合(30%圧縮)など]との両方において、上記式で定義される衝撃吸収性を有することが好ましい。ギャップの大きさに関係なく適用することができ、多様な用途に用いることができるからである。
【0087】
このような衝撃吸収性は、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0088】
本発明の両面粘着テープにおいて、下記式で定義されるダストシール性は、特に制限されないが、シール性、クッション性、弾力性、加工性、防水性、防塵性の点から、90[%]以上が好ましく、より好ましくは95[%]以上であり、さらにより好ましくは98[%]以上である。
ダストシール性(%)=(P
0−P
f)/P
0×100
P
0:空間部の粒子の数(ブランク値)
P
f:両面粘着テープを通過した粒子の数
【0089】
このようなダストシール性は、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0090】
本発明の両面粘着テープにおいて、上記のようなダストシール性を有していると、電子機器の部品固定に好適に用いることができる。
【0091】
本発明の両面粘着テープは、ハロゲンフリーの両面粘着テープであることが好ましい。金属に対する腐食を防止することができ、電気・電子部品の固定に用いられる場合があるためである。また、本発明の両面粘着テープがハロゲンフリーであると、薄膜であり、防水性に優れるとともに、環境にやさしい。例えば、燃焼時に毒性や腐食性を有するガスの発生を抑制することができる。
【0092】
このようなハロゲンフリーの両面粘着テープは、ハロゲン化合物を発泡体基材や粘着剤の原料として意図的に用いないこと、ハロゲン化合物を意図的に配合しないハロゲンフリーの発泡体基材を用いること、添加剤を用いる場合にハロゲン化合物由来の添加剤を用いないこと等により得ることができる。なお、このようなハロゲンフリーの両面粘着テープを得るための手段は、組み合わせて用いられてもよい。
【0093】
特に、本発明の両面粘着テープでは、後述のハロゲン系ガスの発生量の測定方法に基づいて定量される塩素系ガスの発生量が、50[μg/g]以下であることが好ましく、より好ましくは30[μg/g]以下であり、さらにより好ましくは15[μg/g]以下である。ここで、塩素系ガスとは、塩素(Cl
2)や塩酸(HCl)等の塩素化合物と定義される。塩素系ガスの発生量が50[μg/g]以下であると、特に、金属に対する腐食を防止することができ、電気・電子部品の固定用途に好適に用いることができる。
【0094】
なお、塩素系ガス発生量が50[μg/g]以下である両面粘着テープは、上記のハロゲンフリーの両面粘着テープを得るための手段を用いることにより、得ることができる。
【0095】
ハロゲンガスの発生量は、両面粘着テープを所定量を秤量し、燃焼ガスサンプリング法にて完全燃焼させ、発生したガスを吸収液に吸収させてから、この吸収液をイオンクロマトグラフにより、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンの定量(μg/g)を行うことにより求めることができる。
【0096】
また、本発明の両面粘着テープは、発泡体基材を着色することにより、透過率や反射率等の光学特性を制御することができる。
【0097】
例えば、両面粘着テープを光遮光用途に用いる場合、発泡体基材を黒色着色することにより、可視光透過率を、15[%]以下(0〜15[%])、より好ましくは10[%]以下(0〜10[%])とするのが好ましい。また、両面粘着テープを光反射用途に用いる場合、発泡体基材を白色着色することにより、可視光反射率を、20[%]以上(20〜100[%])、より好ましくは25[%]以上(25〜100[%])とするのが好ましい。なお、本発明において、両面粘着テープの可視光透過率や可視光反射率は後述の方法により測定される。
【0098】
このような光学特性を制御した両面粘着テープは、例えば、光拡散部材、散乱素子部材、集光部材などの光学部材として用いることができる。
【0099】
本発明の両面粘着テープにおいて、下記の浮き距離測定用サンプルにより求められる浮き距離は、特に制限されないが、シール性を損なわない、内部部材の応力によるはがれ防止の点からも、例えば0〜0.3mmが好ましく、好ましくは0〜0.1mmである。
【0100】
なお、浮き距離は、ポリカーボネート板(幅:10mm、長さ:30mm、厚み:2mm)の長さ方向の一端にポリエチレンテレフタレートフィルム(幅:10mm、長さ:100mm)の長さ方向の一端を合わせて、ポリカーボネート板とポリエチレンテレフタレートフィルムとを固定し、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの他方の長さ方向端部のポリカーボネート板側の面に、両面粘着テープ(幅:10mm、長さ:3mm)を端部同士が重なるように貼り合わせてから、ポリエチレンテレフタレートフィルムをループ状に折り曲げ、ポリカーボネート板のポリエチレンテレフタレートフィルムと接する面と反対側の面の端部より10mmの位置となるように貼り合わせてエージングすることにより得られるサンプル(浮き距離測定用サンプル、
図4参照)から、求められる。
【0101】
浮き距離は、上記浮き距離測定用サンプルにおける両面粘着テープの粘着面と、ポリカーボネート板の表面との間の最大距離(
図5のaに相当、
図5のaは0.194mmである)を測定し、エージング前の浮き距離(浮き高さ)とエージング後の浮き距離(浮き高さ)の差が、最終的な浮き距離(浮き高さ)である。
【0102】
このような浮き距離は、発泡体基材の厚み、種類、発泡倍率や、粘着剤の厚みと種類を調整することにより得ることができる。
【0103】
本発明の両面粘着テープでは、このような浮き距離を有していると、良好な耐反発特性を発現することができる。また、浮き距離が、小さければ小さいほど、良好な耐反発特性を得ることができる。例えば、携帯電話のメインパネルが両面粘着テープにより固定されている場合、内部部材からの応力、両面粘着テープの経日劣化、または被着体の凹凸形状や両面形状により、このような浮きが発生し、不具合を生じることがある。このような両面粘着テープは、凹凸形状や曲面部を有する被着体に対して好適に用いることができる。
【0104】
このように本発明の両面粘着テープは、切断(打抜)加工性、貼り直し時の再剥離性、段差追従性、シール性能、止水性能、浮き防止性、接着信頼性、作業性、光学機能、耐反発性等の特性を有することができる。このため本発明の両面粘着テープは、例えば携帯電話のレンズ固定用、携帯電話のキーモジュール部材固定用、電子機器の衝撃材、テレビのデコレーションパネル固定用、パソコンのバッテリーパック保護用途、デジタルビデオカメラのレンズ防水等の用途に極めて有用である。
【0105】
また、本発明の両面粘着テープは、光学部材に用いられる。より具体的には、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や光学製品の製造用途などに用いられる。
【0106】
上記光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材をいう。光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば、特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材が挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態をも含むものとし、例えば、「偏光板」は「偏光フィルム」、「偏光シート」も含むものとする。
【0107】
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどが挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネルなどが挙げられる。
【実施例】
【0108】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0109】
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、攪拌装置を備えた反応容器に、トルエン69重量部、酢酸エチル163重量部を溶媒として、ブチルアクリレート80重量部、2−エチルヘキシルアクリレート20重量部、アクリル酸3重量部、酢酸ビニル5重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1重量部、開始剤に2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を入れ、窒素気流中で60℃にて6時間重合を行い、アクリル系重合体の溶液を得た。
この溶液中に、溶液中のポリマー成分の100重量部に対し、重合ロジンエステル樹脂を30重量部、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業(株)製)を1.5重量部(固形分換算)配合し、アクリル系粘着剤組成物とした。
このアクリル系粘着剤組成物を、バーコーターを用いて、厚さ135μmのシリコーン処理した剥離紙上に塗布し、110℃で3分間乾燥して、厚さが25μmの粘着剤層を形成した。
この粘着剤層上に黒色ポリエチレン発泡体基材[商品名「ボラーラXL−HN#03001Wショリクロ」積水化学工業(株)製、厚さ:0.10mm、発泡倍率:2.9cc/g、伸び率:480%(MD方向)、195%(CD方向)、引張強さ:9.5MPa(MD方向)、8.7MPa(CD方向)、圧縮硬さ:64kPa(25%圧縮時)]を粘着剤層と接するように貼り合わせ、剥離ライナー/粘着剤層/発泡体基材の層構成を有する片面粘着テープを形成させた。
次に、アクリル系粘着剤組成物、バーコーターを用いて、工程剥離ライナー上に塗布し、110℃で3分間乾燥して、厚さが25μmの粘着剤層を形成した。
この工程剥離ライナー上に形成した粘着剤層上に、前記の剥離ライナー/粘着剤層/発泡体基材の層構成を有する片面粘着テープを、発泡体基材と接するように貼り合わせてから、工程剥離ライナーを剥がして、剥離ライナー/粘着剤層/発泡体基材/粘着剤層の層構成を形成させることにより、両面粘着テープを作製した。
【0110】
(実施例2)
黒色ポリエチレン発泡体基材の代わりに、白色ポリエチレン発泡体基材[商品名「ボラーラXL−HN#03001Wショリシロ」積水化学工業(株)製、厚さ:0.10mm、発泡倍率:3.1cc/g、伸び率:497%(MD方向)、184%(CD方向)、引張強さ:9.4MPa(MD方向)、8.4MPa(CD方向)、圧縮硬さ:64kPa(25%圧縮時)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0111】
(実施例3)
剥離ライナー、及び工程剥離ライナー上に、厚さ50μmの粘着剤層を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0112】
(実施例4)
剥離ライナー、及び工程剥離ライナー上に、厚さ50μmの粘着剤層を形成させたこと以外は、実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0113】
(比較例1)
両面粘着テープとして、基材付き両面粘着テープ(商品名「No.5637」日東電工株式会社製、PET#12基材の両面にアクリル系粘着剤層が積層されている構成、一方の粘着面から他方の粘着面までの厚み:0.10mm)を使用した。
【0114】
(比較例2)
両面粘着テープとして、基材付き両面粘着テープ(商品名「No.5100」日東電工株式会社製、不織布基材の両面にアクリル系粘着剤層が積層されている構成、一方の粘着面から他方の粘着面までの厚み:0.20mm)を使用した。
(比較例3)
両面粘着テープとして、基材付き両面粘着テープ(商品名「KF−5713」日東電工株式会社製、発泡体基材の両面にアクリル系粘着剤層が積層されている構成、一方の粘着面から他方の粘着面までの厚み:0.33mm)を使用した。
【0115】
(評価)
実施例及び比較例について、180°ピール粘着力、押圧接着力、耐落下衝撃特性、耐反発特性、光学特性、防水特性、引張強さ、伸び、圧縮荷重、ハロゲン発生量、衝撃吸収性、ダストシール性を、それぞれ、測定又は評価した。
【0116】
(180°ピール粘着力)
作製した粘着テープを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットし、一方の粘着剤層に、PETフィルム(厚みが25μmであるポリエステルフィルム)を貼り合わせることにより、測定サンプルを作製した。
該測定サンプルの剥離ライナーを剥がして、粘着力を測定する粘着面を露出させてから、2kgローラ、1往復でSUS板に圧着し、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した。
放置後、万能引張圧縮試験機(装置名「引張圧縮試験機、TG−1kN」ミネベア(株)製)にて引張速度300mm/min、剥離角度180°で引き剥がして、180°ピール粘着力を測定した。なお、測定は23℃×50%RHの環境下で行った。下記表1に測定結果を示す。
【0117】
【表1】
【0118】
(押圧接着力)
作製した粘着テープを
図1に示すような幅1mmの窓枠状(額縁状)(よこ:40mm、たて:60mm)に切断し、窓枠状両面粘着テープを得た。
該窓枠状両面粘着テープを用いて、アクリル板(アクリルレンズ、よこ:40mm、たて:60mm、厚み:1mm)と、中央部に直径15mmの貫通孔をあけたポリカーボネート板(PC板)(よこ:70mm、たて:80mm、厚み:2mm)とを、所定の圧着荷重(1kg、2kg、3kg、4kg、又は5kg)のローラ1往復の条件で圧着することにより貼り合わせて、評価用サンプル(1kg評価用サンプル、2kg評価用サンプル、3kg評価用サンプル、4kg評価用サンプル、及び5kg評価用サンプル)を得た(
図1(a)(b)参照)。
また、これらとは別に、5kgローラ1往復の条件で貼り合わせた評価用サンプル(5kg評価用サンプル)をオートクレーブに投入し、5気圧、50℃、1時間の条件でさらに圧着した評価用サンプル(オートクレーブ評価用サンプル)も得た。なお、前記オートクレーブ評価用サンプルは、窓枠状両面粘着テープの接着面積が100%となっているものと仮定される。
【0119】
図1は、押圧接着力を測定する際に用いる評価用サンプルの概略図であり、(a)は上面図であり、(b)はA−A’断面図である。
図1において、1はポリカーボネート板、2は窓枠状両面粘着テープ、3はアクリル板、4はポリカーボネート板の貫通孔を示す。
【0120】
次に、これらの評価用サンプルを万能引張圧縮試験機(装置名「引張圧縮試験機、TG−1kN」ミネベア(株)製)にセットして、丸棒をポリカーボネート板の貫通孔に通過させて、丸棒でアクリル板を10mm/minの条件で押圧し、アクリル板とポリカーボネート板とが分離するまでの最大応力を押圧接着力として測定した(
図2参照)。なお、測定は常温で行った。下記表2に測定結果を示す。
【0121】
図2は、押圧接着力の測定方法を示す概略断面図である。
図2において、1はポリカーボネート板、2は窓枠状両面粘着テープ、3はアクリル板、21は丸棒、22は支持台を示す。評価用サンプルは、引張圧縮試験機の支持台22に
図2に示すように固定され、評価用サンプルのアクリル板3は、ポリカーボネート板1の貫通孔を通過した丸棒21により押圧される。なお、評価用サンプルにおいて、ポリカーボネート板1は、アクリル板が押圧される際に負荷がかかり、たわんだり、破損したりすることはなかった。
【0122】
【表2】
【0123】
実施例は、圧着荷重による押圧接着力のバラツキが小さく、一方比較例は圧縮荷重による押圧接着力のバラツキが大きかった。実施例は、発泡体基材を有するので、PET基材の比較例と比べて、軽圧着でも十分な押圧接着力を確保できた。
【0124】
(耐落下衝撃特性)
作製した粘着テープを
図3に示すような幅1mmの窓枠状(額縁状)(よこ:40mm、たて:60mm)に切断し、窓枠状両面粘着テープを得た。
該窓枠状両面粘着テープを用いて、アクリル板(アクリルレンズ、よこ:40mm、たて:60mm、厚み:1mm)と、ポリカーボネート板(PC板)(よこ:70mm、たて:80mm、厚み:2mm)とを、2kgローラ1往復の条件で圧着することにより貼り合わせて、評価用サンプルを得た(
図3(a)(b)参照)。
次に、評価用サンプルにおもりをつけて総重量を110gとしてから、該評価用サンプルを1.2mの高さからコンクリート板に自由落下させて、耐落下衝撃特性を評価した。耐落下衝撃特性の評価は、まず、常温(23℃程度)で18回自由落下させ、次に、常温での18回の自由落下において、18回とも保持したものについて、さらに低温(−5℃程度)下で60回自由落下させることにより行った。
評価基準
良好:「常温下での18回の自由落下及び低温下での60回の自由落下の両方について、アクリル板の剥がれが生じず、アクリル板を保持していたもの」
不良:「常温下での自由落下でアクリル板の剥がれが生じたもの」、あるいは、「常温下での自由落下では、アクリル板の剥がれが生じず、アクリル板を保持していたが、低温下での自由落下でアクリル板の剥がれが生じたもの」
【0125】
図3は、耐落下衝撃特性を評価する際に用いる評価用サンプルの概略図であり、(a)は上面図であり、(b)はB−B’断面図である。
図3において、31はポリカーボネート板、32は窓枠状両面粘着テープ、33はアクリル板(アクリルレンズ)を示す。
【0126】
【表3】
表3において、「不良」と評価される場合に記載されている回数は、自由落下によりアクリル板の剥がれが生じた時の回数を示す。例えば「不良(1回)」は、1回目の自由落下でアクリル板の剥がれが生じ、不良と評価されたことを示す。
【0127】
実施例と比較例1の粘着剤の組成は同じあることから、落下衝撃特性は、発泡体基材を有する実施例のほうが非常に優れている。
【0128】
(耐反発特性)
ポリカーボネート板(幅:10mm、長さ:30mm、厚み:2mm)、切断加工した実施例の両面粘着テープ(幅:10mm、長さ:3mm)、及びポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)(「PET#100」、幅:10mm、長さ:100mm)を用いて、
図4及び
図5に示す評価用サンプルを作製した。
該評価用サンプルを23℃で24時間エージングして、さらに80℃で24時間エージングした。
その後、デジタルマイクロスコープ(商品名「VH−500」(株)キーエンス社製)を用いて、「浮き距離」(浮き高さ)(両面粘着テープの粘着面と、ポリカーボネート板の表面との間の最大距離)を測定し(
図5参照)、エージング前の浮き距離(浮き高さ)とエージング後の浮き距離(浮き高さ)の差を最終的な「浮き距離」(浮き高さ)として評価した。
「浮き距離」が小さいほど、反発特性が良好と評価できる。
【0129】
図4は、耐反発特性を評価する際に用いる評価用サンプルの概略断面図である。
図4において、41はポリカーボネート板、42は両面粘着テープ、43はポリエチレンテレフタレートフィルムを示す。また、
図5において、51はポリカーボネート板、52は両面粘着テープ、53はポリエステルフィルム、aは浮き距離(浮き高さ)(両面粘着テープの粘着面と、ポリカーボネート板の表面との間の最大距離)を示す。
【0130】
【表4】
【0131】
(光学特性)
可視光透過率は、分光光度計(装置名「U−4100型分光光度計」株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長550nmにおける両面粘着テープの一方の面側から照射して他方の面側に透過した光の強度を測定することにより求めた。
可視光反射率は、分光光度計(装置名「U−4100型分光光度計」株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長550nmにおける両面粘着テープの一方の面に照射して、前記光を照射した面で反射した光の強度を測定することにより求めた。
なお、測定は、剥離ライナーを剥がした状態で行った。
【0132】
【表5】
表5において、「−」は測定を行わなかったことを示す。
【0133】
(防水特性)
作製した粘着テープを幅1mmの窓枠状(額縁状)(よこ:60mm、たて:40mm)に切断し、窓枠状両面粘着テープを得た。
次に、4つのアクリル板(アクリルレンズ、よこ:60mm、たて:40mm、厚み:1mm)に該窓枠状両面粘着テープを貼り合わせてから、
図6に示すように、該窓枠状両面粘着テープが貼付されている4つのアクリル板を、2本の段差テープ(幅:5mm)が貼付されたポリカーボネート板(PC板)に、2kgローラ1往復の条件で圧着することにより、各凹凸高さ(10μm、20μm、30μm、50μm、70μm、及び100μm)に対する評価用サンプルを得た。
段差テープは、ポリカーボネート板に凹凸を設ける目的で貼付されており、厚みが10μm、20μm、30μm、50μm、70μm、及び100μmのものが2本ずつ用いられている(
図6参照)。
また、上記と同様の手順で、窓枠状両面粘着テープが貼付されている4つのアクリル板を、ポリカーボネート板(2本の段差テープが貼付されておらず、表面が平滑なもの)に、2kgローラ1往復の条件で圧着することにより、凹凸高さが0μm(段差なし)の評価用サンプルも得た。
なお、不織布(よこ:20mm、たて:30mm、厚み:0.05mm)は、吸水すると変色する性質を有するので、内部浸水評価用としてアクリル板とポリカーボネート板との間に入れた。なお、不織布は、防水特性の評価試験に何ら影響を及ぼすことはない。
【0134】
防水評価試験は、IPX7規格(JIS C 0920/IEC60529)に基づいて、標準状態(温度:23℃、湿度:50%)で、各凹凸高さに対する評価用サンプルを、水深1mの水槽に30分間沈め、内部への浸水の有無を確認することにより行った。
なお、防水特性の評価試験は、各凹凸高さに対する評価用サンプルを標準状態(温度:23℃、湿度:50%)で30分間エージングしてから行った。
【0135】
評価は、4つのアクリル板が貼付されている評価用サンプル(
図6(a)(b)参照)を、各凹凸高さごとに2つ用意し、8サンプルに対する浸水の有無を目視で観察することにより行った。その評価結果を、表6に示した。表6において、表中の数値は、防水性試験において内部の浸水が認められず、「防水性良好」と評価できたサンプルの数を示す。
例えば、表中の数字が8である場合には全てのサンプルが防水性良好と評価できたことを示し、また表中の数字が7である場合には8サンプル中7サンプルが防水性良好と評価できたことを示す。表中の数字が0である場合には全てのサンプルで浸水が確認されたことを示す。
【0136】
図6は、防水特性を評価する際に用いる評価用サンプルの概略図であり、(a)は上面図であり、(b)はC−C’断面図である。
図6において、61はポリカーボネート板、62は段差テープ、63は窓枠状両面粘着テープ、64はアクリル板(アクリルレンズ)、65は不織布を示す。
【0137】
【表6】
【0138】
実施例は、比較例と比較して防水特性がすぐれていた。これは、発泡体基材特有の被着体凹凸面に対する追従性のよさが大きな要因と考えられる。
【0139】
(引張強さ、伸び)
JIS K 6767に基づいて、引張強さ及び伸びを測定することにより、引張強さを評価した。
両面粘着テープをダンベル1号サイズにカットして試験片とし、試験片の平行部の中央に、間隔が40mmとなるように標線をつけた。
標線のついた試験片を、万能引張圧縮試験機(引張圧縮試験機、装置名「TG−1kN」ミネベア(株)製)の上下のチャックに、測定中に歪み等が生じないように正確に取り付け、500mm/minの引っ張り速度で引っ張り、その間の最大荷重(破断時応力)及び標線間距離を測定した。
最大荷重及び標線間距離から、下記式より、引張強さ及び伸びを求めた。
引張強さ[MPa]=(最大荷重)÷(試験片の断面積)
伸び[%]=(破断時の標線間距離−初期の標線間距離)÷(初期の標線間距離)×100
【0140】
【表7】
【0141】
(圧縮荷重)
両面粘着テープを10枚重ねたものを、たて:30mm×よこ:30mmにカットして試験片とした。
該試験片を、万能引張圧縮試験機(引張圧縮試験機、装置名「TG−1kN」ミネベア(株)製)の平行な平面板状に置き、10mm/minではじめの厚さの10%、20%、30%、40%又は50%だけ圧縮して、そのときの荷重を測定し、下記式より、それぞれの圧縮率における圧縮荷重を求めた。
圧縮荷重[kPa]=(はじめの厚さの所定の厚さ分だけ圧縮した際の荷重)÷(試験片の面積)
【0142】
【表8】
【0143】
表8において、「overload」は、引張圧縮試験機のロードセルの測定可能限界を超えたことを示す。表8より、実施例は、より柔軟なテープであることが確認できた。
【0144】
(ハロゲン発生量)
剥離ライナーを除いた実施例及び比較例を、測定サンプルとしての両面粘着テープとした。
測定サンプル30mgを秤量し、燃焼ガスサンプリング法(自動燃焼装置、株式会社三菱化学アナリテック製、「AQF−100」)にて完全燃焼させ、発生したガスを水溶液[H
2O
2(30ppm)、メタンスルホン酸(3ppm)となるように調整]に吸収させた。
この吸収液をイオンクロマトグラフ(アニオン・DIONEX、DX−320)に250μL導入し、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンの定量(μg/g)を行った。
その結果を、表9に示した。なお、表9において、「<3」は、定量下限値である3[μg/g]未満であることを示す。
【0145】
(衝撃吸収性)
実施例(剥離ライナー/粘着剤層/発泡体基材/粘着剤層の層構成)については、幅:20mm×長さ:20mm(20mm角)に切断し、剥離ライナーを除いて、測定サンプルとした。また、比較例についても、同様に、剥離ライナーを除いて、測定サンプルとした。なお、該測定サンプルは、
図7の測定サンプル72に相当する。
【0146】
衝撃吸収性(衝撃吸収力)は、
図7に示す振り子試験機を用いて、サンプルとしての両面粘着テープを挿入しない場合の衝撃力(支持板及びアクリル板のみの衝撃力)(ブランク数値):F0、及び、サンプルとしての両面粘着テープを支持板とアクリル板との間に挿入した場合の衝撃力(両面粘着テープ貼り合わせ時の数値):F1を測定し、下記式より算出した。
衝撃吸収性(%)=(F0−F1)/F0×100
【0147】
図7は、測定サンプルが挿入された振り子試験機を示す概略図である。
図7において、7は振り子試験機であり、71はロードセルであり、72は測定サンプル(両面粘着テープ)であり、73はアクリル板であり、74は鉄球であり、75は押さえ圧力調整手段であり、76は支持板であり、77は支柱であり、78は支持棒である。ロードセル71は鉄球74が衝突した際の衝撃力を感知する圧力センサーを備えており、具体的な衝撃力の数値を測定できる。測定サンプル72は、
図7に示すように、アクリル板73と支持板76との間のロードセル上となる位置に、挿入される。また、測定サンプル72は、押さえ圧力調整手段75により、その圧縮率が調整される。鉄球74は、衝撃子であり、直径:19.5mm、重量:40g重(0.39N)である。また、鉄球74は、落下角度(振り上げ角度)40°に振り上げた状態で一旦固定し、その後、振り落とされる。
【0148】
衝撃吸収性の測定は、各測定サンプルについて、測定サンプルが全く圧縮されていない場合(圧縮率0%)、測定サンプルを15%圧縮した場合(15%圧縮、測定サンプルを初期厚みの85%となるように厚み方向に圧縮した場合)、及び測定サンプルを30%圧縮した場合(30%圧縮、測定サンプルを初期厚みの70%となるように厚み方向に圧縮した場合)の3つの試験条件で、3回ずつ行った。そして、表9に、各測定サンプルの各試験条件の衝撃吸収性の平均値を示した。
【0149】
(ダストシール性)
実施例(剥離ライナー/粘着剤層/発泡体基材/粘着剤層の層構成)については、
図8に示すように、額縁状(窓枠状)(たて:52mm×横:52mm、幅:2mm)に打ち抜き、剥離ライナーを除いて、評価用サンプルとした(
図8の評価用サンプル8)。また、比較例についても、同様にして、評価用サンプルとした。なお、該評価用サンプルは、
図9の評価用サンプル94に相当する。
【0150】
ダストシール性は、
図9のダストシール性評価試験装置を用いて、ガスケット材としての評価用サンプルを通過した粒子の割合を求めることにより行った。
【0151】
図9において、9はダストシール性評価試験装置であり、91は箱であり、92は台座であり、93は評価用箱体であり、931は評価用箱体の天井板であり、932は評価用箱体本体部であり、94は評価用サンプル(額縁状両面粘着テープ)であり、95はパーティクルカウンターであり、96は吸引ポンプであり、97は評価用箱体内部空間部であり、98は評価用箱体外部空間部である。ダストシール性評価試験装置9において、箱91により外界から閉じられた系を得ている。箱91内部の評価用箱体外部空間部97には、パーティクルカウンター95が接続されている。評価用箱体93は、台座92上に位置している。評価用箱体93は、評価用箱体の天井板931と評価用箱体本体部932からなり、6面体の箱形構造を有し、1つ面の中央部に正方形状の開口部を有する。また、この開口部を、評価用箱体の天井板931で覆うと、評価用箱体93内部の評価用箱体内部空間部97を独立した系とすることができる。評価用箱体内部空間部97では、吸引ポンプ96が接続されており、さらにパーティクルカウンター95が接続されている。評価用サンプル94は、評価用箱体本体部932の開口部の周囲に、評価用箱体の天井板931と評価用箱体本体部932との間に挟まれる形態で配置される。評価用サンプル94と評価用箱体の天井板931と評価用箱体本体部932により、評価用箱体内部空間部97と評価用箱体外部空間部98とは仕切られている。なお、評価用サンプル94の厚み(ギャップ)は、0.12mmとなるように調整されている。
【0152】
粒子としては、平均粒子径が0.5μmのシリカ粒子、平均粒子径が1μmのシリカ粒子、平均粒子径が2μmのシリカ粒子、及び平均粒子径が5μmのシリカ粒子を混合したものを用いた。吸引ポンプ96で評価用箱体内部空間部97を減圧し、評価用サンプル94を通過した粒子の数を求め、下記式よりダストシール性を算出した。なお、評価用サンプル94を通過した粒子の数は、パーティクルカウンター95により、減圧操作前後の評価用箱体内部空間部97の粒子の数、及び減圧操作前後の評価用箱体外部空間部98の粒子の数より求めることができる。
ダストシール性(%)=(P
0−P
f)/P
0×100
P
0:減圧操作前の評価用箱体外部空間部98の粒子の数
P
f:減圧操作により、評価用サンプル94を通過して、評価用箱体外部空間部98から評価用箱体内部空間部97に移動した粒子の数
なお、ダストシール性の値は、100%に近いほど、ダストシール性が良好であることを示す。
ダストシール性の測定結果は、表9に示した。なお、表9において、「>99」は、99%を越える値であったことを示す。
【表9】
なお、表9において、「−」は、測定を行わなかったことを示す。