(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グルーピング手段は、該属性情報が同一の複数拠点をグループ化すると、該複数拠点に対し同一の識別子を発行するとともに、該識別子を該複数拠点の前記属性情報内に記憶させ、
前記平均算出手段は、前記識別子が同一の拠点のエネルギー使用量のグループ平均値を算出すること、を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の環境情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。以下では本発明に係る環境情報管理システムを、本部及び複数の各店舗からなるコンビニエンスストア・チェーン(以下コンビニ、コンビニ・チェーンという)に導入・適用した例を示して説明する。
【0025】
コンビニ・チェーンの顕著な特徴として、各店舗は基本的に本部の指導の下に運営されるため、業務機能(小売業)は勿論のこと、店舗規模や店舗レイアウトも概ね画一的である。つまり各店舗のエネルギー使用量は近似する。但しエネルギー使用量(特に冷暖房等の空調)はその地域によって大きく変動しうるところ、例えば関東地方のみ展開されているコンビニ・チェーンであればエネルギー使用量も概ね同じであるが、北海道地区から沖縄地区などのように全国展開されている場合にはその地域に応じてエネルギー使用量もまた異なってくる。
【0026】
[システム構成]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る環境情報管理システム1のシステム構成図である。図に示されるように、本実施形態に係る環境情報管理システム1は、環境情報管理サーバ10、収集端末20から構成され、ネットワーク30を介し接続される。
【0027】
コンビニ・チェーンの本部には、環境情報管理サーバ10が設置される。本部は、コンビニ・チェーンの各店舗から、定期的にエネルギー使用量データを収集する。収集したデータは、環境情報管理サーバ10でDB管理されるので、本部では、店舗毎のエネルギー使用量を数値的・視覚的(グラフ)に把握できる。
【0028】
コンビニ・チェーンの店舗は、電気、ガス、水道等の各種エネルギーを使用しながら日々小売業を営むチェーン傘下の実店舗である。コンビニ店舗の場合、特に電力使用量が多く、中でも店舗内の照明、空調(冷暖房)、冷蔵庫(又は冷凍庫)のエネルギー使用量の割合が高い。電力は店舗の分電盤から供給されていくため、電力使用量は分電盤のメーターで収集される。また分電盤では系統別に配電されているため、本実施形態においては系統別メーター(センサー)を設置するものとし、照明系、空調系、冷蔵庫系など系統別の電力使用量を収集する。
【0029】
ネットワーク30は、本部と各店舗を結ぶWAN・ネットワークである。例えば、公衆回線やインターネット等により実現されればよい。
【0030】
なお本システム構成はあくまで一実施形態例であり、各店舗からエネルギー使用量データを収集する方法はこれ以外にも様々な形態で構成することができる。例えば電気の使用量データが電力会社から詳細に提供される場合には、電力会社と本部をネットワーク30で接続することによりデータを収集できる。なおまた、本部の環境情報管理サーバ10は例えば外部のデータセンター内に構築することもでき、この場合データセンターと本部をネットワーク30で接続し本部のPC端末から環境情報管理サーバ10にアクセスする。
【0031】
(ハードウェア)
ここで本実施形態に係る環境情報管理サーバ10のハードウェア構成について説明しておく。
図2は、環境情報管理サーバ10の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。環境情報管理サーバ10は、主要な構成として、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、補助記憶装置14、記憶媒体読取装置15、入力装置16、表示装置17、及び通信装置18を含む構成である。
【0032】
CPU11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM12は、CPU11で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM13は、CPU11がROM12に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。
【0033】
補助記憶装置14は、汎用のOS(Operating System)、プログラムを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)などが用いられる。
【0034】
なお、上記各種情報は、補助記憶装置14以外にも、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)、USBメモリ等の携帯型メディアなどの各種記憶媒体やその他のメディアに記憶されてもよく、これらの記憶媒体に格納された各種情報は、記憶媒体読取装置15などのドライブ装置を介して読み取ることが可能である。
【0035】
入力装置16は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置16は、マウス、キーボード、表示装置17の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。表示装置17は、各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。
【0036】
通信装置18は、ネットワーク30を介して他の機器との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
【0037】
(機能)
次に、環境情報管理サーバ10の主要機能構成について簡単に説明する。
図3は、環境情報管理サーバ10の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。環境情報管理サーバ10は、主要な機能として、記憶部110、グルーピング部120、グループ平均算出部130、判定部140、出力部150を含む構成である。
【0038】
記憶部110は、HDD等の補助記憶装置14により実現される。図に示されるように記憶部110には、各拠点から取得されたエネルギー使用量データが格納された使用量DB112、各拠点の属性データが格納された属性DB111、エネルギー使用量の削減案データが格納された削減案DB113が構築されている。このうちエネルギー使用量データは上述の如く定期的に各拠点(例えば店舗)から収集され、各拠点の属性データやエネルギー使用量の削減案データは管理者等により予め準備される。またこの削減案データは環境確保条例等の公に推奨されているものを中心に用意されている。これらDBの具体例は後述する。
【0039】
グルーピング部120は、各拠点の中から、拠点の属性データに基づき拠点をグルーピング(分類)する。後述するように属性データには、例えば1つに地域エリアの情報が格納されているので、この場合には同一の地域エリアに位置する複数拠点を同一の拠点グループであるとしてグループ化する。
【0040】
グループ平均算出部130は、グループ化された複数拠点でのエネルギー使用量のグループ平均値を算出する。グループに例えば100拠点あるならば、その100拠点でのグループ平均値は、「グループ・総エネルギー使用量/100」により算出できる。
【0041】
判定部140は、グループ化された拠点のうち、1拠点のエネルギー使用量と、該1拠点のグループ平均値とを比較し、該1拠点のエネルギー使用量が該1拠点のグループ平均値を、所定閾値以上又は所定割合以上を超過する場合は、該1の拠点を削減対象拠点と判定する。つまりある拠点が自グループ内の拠点を比べ、相対的なエネルギー使用量の多寡を判定する。エネルギー使用量が多い場合、その拠点はエネルギー使用量の削減に努める必要があると判断され、つまり削減対象拠点と判定される。
【0042】
出力部150は、削減対象拠点判定された拠点に対し、エネルギー使用量の削減を促すべく、削減案を出力(提示)する。削減案は、記憶部110から取得され、内訳・系統別に分類された具体的な対策メニューが提示される。
【0043】
以上説明したこれらの機能は、実際にはCPU11が実行するプログラムにより実現される。また各機能部の具体的な機能の詳細は具体的を挙げ後述する。
【0044】
(DB)
次に、記憶部110の属性DB111、使用量DB112、削減案DB113の具体例を以下に示す。なお、コンビニ・チェーンの店舗は、電気、ガス、水道等の各種エネルギーを使用しながら小売業を営むが、本実施形態においては、このエネルギーうち特に「電力」(電気)の例を取り上げて以下説明する。また特に電力使用量の内訳・系統別として、店舗内で高割合を占める「空調」(冷暖房)、「照明」、「冷蔵庫」(又は冷凍庫)の例を取り上げて以下説明する。
【0045】
図4は、属性DB111のデータ例を示す。店舗の属性データは上述の如く管理者等により予め準備され、1店舗につき1属性データがDBに格納される。
図4のデータ例は例えばA店の属性データである。「属性項目」の詳細は概ね図に示される通りであるが、このうち「規模」は同コンビニ・チェーンにおいてその店舗の規模分類を示し、例えば大型店、中型店、小型店などに分類される。また「拠点形態」はその店舗の店舗形態分類を示し、例えば独立店舗型、間借店舗型(商業施設の一部内)などに分類される。また「売上規模」は同コンビニ・チェーンにおける売上規模分類を示し、例えばA(○万円以上〜)、B、C、Dなどに分類される。また「配置店員規模」はその店舗に配置すべき店員規模分類を示し、例えばA(10人以上〜)、B(6〜9人)、C(3〜6人)、D(3人以下〜)などに分類される。なお「グループ分類」は、その店舗がグループ化・分類された分類コード(例えば01)を示すものであるがその詳細は後述する。
【0046】
図5は、使用量DB112のデータ例を示す。エネルギー使用量データは上述の如く定期的に各拠点(例えば店舗)からネットワーク30を介して収集される。
図5のデータ例は、例えばA店から収集された電力使用量データ例である。図に示されるように、1H毎に使用された電力量が系統別(空調、照明、冷蔵庫)に集計されていることが分かる。
【0047】
図6は、削減案DB113のデータ例を示す。削減案データは上述の如く管理者等により予め準備され、系統別に削減案(対策メニュー)がDBに格納される。(a)、(b)、(c)はそれぞれ空調、照明、冷蔵庫・冷凍庫/削減案例である。図に示されるように、系統別に削減案(対策メニュー)が保持され、系統別に電力量の削減対策が必要と判定された場合、系統別にその削減案が出力(提案)される。また削減案実施時の目安値として「効果(円換算)」、「効果(CO2)」の具体的数値が併せて保持されており、削減案とともにその効果が出力されるようになっている。
【0048】
[情報処理]
(グループ化処理)
まずグループ化処理を説明する。上述したようにグルーピング部120は、各拠点・店舗の中から、店舗の属性データに基づき店舗をグルーピング(分類)する。
図4の属性DB111には複数の「属性項目」が格納されており、そのうち所定の「属性項目」の「属性値」が同一である店舗は同一グループに属するものとしてグルーピング(分類)する。
【0049】
図7は、グループ化処理を説明するフローチャートである。この動作主体は特に断りのない限りグルーピング部120である。以下、図面を参照しながら説明する。
【0050】
S1:まずキーとなる「属性項目」(複数可)を取得する。つまりグループ化する際に条件として絞るためのキーとなる「属性項目」を取得するものであるが、これは管理者等により予め設定されうる。ここではキーとなる「属性項目」として、管理者は予め「地域」、「規模」、「拠点形態」、「売上規模」、「配置店員規模」を設定しているものとする。従ってキーとなる「属性項目」として、「地域」、「規模」、「拠点形態」、「売上規模」、「配置店員規模」が取得される。なおここでいうところのキーとなる「属性項目」はこれらのみには限られないが、ここでグループ化された店舗間においてのエネルギー使用量が比較対象となることから、エネルギー使用量が概ね同一水準になるであろう店舗を絞ることのできる属性項目を、キーとなる「属性項目」として設定するようにする。つまりここでは、「地域」、「規模」、「拠点形態」、「売上規模」、「配置店員規模」が同一である店舗は、エネルギー使用量が概ね同一水準であるといえる。
【0051】
S2:「属性項目」をキーとして、同一の属性値を有する店舗を抽出する。ここでは例えば、属性データが「地域」:関東エリア、「規模」:小型店、「拠点形態」:独立店舗型、「売上規模」:B、「配置店員規模」:Bである店舗をグループ化すべく抽出する。
図4に示されるように、A店はこれら属性値を有する店舗に該当するので、ここで抽出される。またA店と同様に、同属性値を有する店舗が抽出される。ここでは説明の都合上、A店、B店、C店は、いずれも同属性値を有する店舗として抽出されたものとする。
【0052】
S3:グループ分類の分類コードを発番する。所属するグループを識別するためである。ここでは例えば、「01」を発番する。
【0053】
S4:抽出された店舗に同一の分類コードを入力する。つまり
図4の属性DB111において、分類コード「01」をS2で抽出された店舗全てに対し「グループ分類」の属性値に入力する。これにより同グループに分類された店舗には、同一の分類コードが格納されることになるので、この分類コードを参照すれば、容易に同グループの店舗を抽出することができる。ここでは説明の都合上、A店、B店、C店は、いずれも同属性値を有する店舗として抽出されたので、いずれも分類コード「01」が入力される。
【0054】
以上のように、全店舗に対して同様の処理を行なうことにより、全店舗に対して分類コードを入力(複数入力可)することができる。また
図4の属性DB111に新たな店舗が登録(追加)された場合には、同様の処理を行ない、いずれの既存の分類コードに分類されるかを算出し、同分類コードを入力する。いずれの既存の分類コードに分類されない場合は、新たな分類コードを発番し同分類コードを入力すればよい。
【0055】
このように予めグループ化処理を行っておき、予め各店舗をコードに分類しておけば、後述のグループ平均算出処理毎に都度グループ化処理を行う必要がないので、環境情報管理システム1全体としての処理向上に寄与できる。分類コードはそう頻繁に変わるものではないので、月1回ごとなどキーとなる「属性項目」(例えば「売上規模」、「配置店員規模」
)の属性値が変わりうる期間毎に再処理すればよい。
【0056】
図8は、店舗グループの概念図を示す。図に示されるように、「属性項目」をキーとして、店舗がグループされた様子が示されている。また同一エリア(「地域」)によっても、その他の「属性項目」の属性値が異なれば、別グループとして分類されることが図から把握できる。
【0057】
(グループ平均算出処理)
次いでグループ平均算出処理を説明する。処理タイミングとしては、例えば本部ユーザがA店について削減案の出力操作を行うべく、環境情報管理サーバ10を操作して、A店を選択(指定)したときである(
図14参照)。上述したようにグループ平均算出部130は、グループ化された複数店舗でのエネルギー使用量のグループ平均値を算出する。
【0058】
図9は、グループ平均算出処理を説明するフローチャートである。この動作主体は特に断りのない限りグループ平均算出部130である。以下、図面を参照しながら説明する。
【0059】
S11:1の店舗を選択(指定)する。ここでは本部ユーザによりA店が選択されるものとする。例えば本部ユーザがA店について削減案の出力を行うためである。
【0060】
S12:選択された店舗と同一グループの店舗を取得する。ここでは本部ユーザによりA店が選択されたので、属性DB111からA店の分類コード「01」が取得され、全店舗から分類コード「01」を有する店舗が取得される。つまりここでは、A店、B店、C店がいずれも同一グループであるとして取得される。
【0061】
S13:同グループ全店舗の使用量データを取得する。上述の如く使用量DB112には、各店舗からのエネルギー使用量データが定期的に収集されているので、ここでは使用量DB112を参照し、A店、B店、C店のエネルギー使用量データを系統別(空調、照明、冷蔵庫)に取得する。なお使用量データは例えば1H毎に収集されているが、取得するデータの対象期間範囲は、例えば1週間、1ヶ月間、4半期間毎など管理者が任意に決定することができる。
【0062】
S14:エネルギー使用量データを系統別にグループ平均値を算出する。例えばある1ヶ月間の各店舗の電力使用量は次の通りである。
・
A店/空調電力使用量:1200kWh、照明電力使用量:2500kWh、冷蔵庫電力使用量:1800kWh
・
B店/空調電力使用量:900kWh、照明電力使用量:1700kWh、冷蔵庫電力使用量:1600kWh
・
C店/空調電力使用量:1000kWh、照明電力使用量:1600kWh、冷蔵庫電力使用量:1400kWh
この場合、空調電力使用量・グループ平均値は、(1200+900+1000)/3≒1033kWhとなる。また同様に照明電力使用量・グループ平均値は1933kWh、冷蔵庫電力使用量・グループ平均値は1600kWhと算出される。
【0063】
なおグループ平均値は、A店を除外したその他の店舗(B店、C点)の平均値を算出するようにしてもよい。A店を除外せずとも他の店舗数が多い程、A店分の影響程度は無視できる。
【0064】
(削減対象拠点判定処理)
次いで削減対象拠点処理を説明する。上述したように判定部140は、グループ化された店舗のうち、1店舗のエネルギー使用量と、その1店舗のグループ平均値とを比較し、1店舗のエネルギー使用量がその1店舗のグループ平均値を、所定閾値以上又は所定割合以上を超過する場合は、その1店舗を削減対象拠点と判定する。
【0065】
図10は、削減対象拠点処理を説明するフローチャートである。この動作主体は特に断りのない限り判定部140である。以下、図面を参照しながら説明する。
【0066】
S31:選択された店舗のエネルギー使用量と、その店舗のグループ平均値とを系統別に比較する。ここでは、A店と、A店のグループ平均値とを系統別に比較する。より具体的に、A店の空調電力使用量:1200kWh、照明電力使用量:2500kWh、冷蔵庫電力使用量:1800kWhと、A店を含むグループのグループ平均値の空調電力使用量・グループ平均値:1033kWh、照明電力使用量・グループ平均値:1933kWh、冷蔵庫電力使用量・グループ平均値:1600kWhとをそれぞれ比較する。
【0067】
S32:比較の結果、差分値が所定の閾値を超過する系統があるか否かを判定する。閾値を超過する系統が1つでもある場合には、その系統については使用量を削減すべきであると判定し、その系統についての削減対象拠点として削減案出力処理へ進む(S41)。このとき判定部140はその系統の情報を出力部150へ渡す。一方、閾値を超過する系統が1つもない場合には、その店舗のエネルギー使用量は他の同条件の店舗と比べても妥当であるため特段の削減対象の店舗ではなく、処理を終了する。削減案出力処理は行わない。このとき操作する本部ユーザに対しその旨を画面表示するとよい。
【0068】
図11は、電力使用量の系統別比較(その1)を示す図である。A店及びグループ平均の総電力使用量、系統別の電力使用量(kWh)を対比的にグラフ表示したものである。
【0069】
上述(S32)において、差分値が所定の閾値を超過する系統があるか否かを判定するが、判定に用いられる閾値(パラメータ)は、店舗毎の系統別に環境情報管理サーバ10で予め保持される。閾値の値自体は、本部ユーザが様々な事情(例えば店舗規模、コスト、売上実績、経験則・ノウハウ、省エネ行動指針、環境変数等)を考慮して、店舗毎に決定するとよい。例えば、店舗規模が大きい店舗では電力消費量の誤差、振れ幅も大きいので、閾値は高めに決定されるし、売上実績が増加(成長)している新店舗では経済活動が活発化しているので、閾値は高めに決定される。また例えば経験則・ノウハウが蓄積されている店舗では、省エネ対策も浸透していることから誤差、振れ幅は小さく、閾値は低めに決定される。ここでは説明の便宜上、仮に閾値をそれぞれ、空調系200kWh、照明系300kWh、冷蔵庫系250kWhとする。
【0070】
まず空調系に関し、A店の空調電力使用量:1200kWhと、A店のグループ平均値の空調電力使用量・グループ平均値:1033kWhとを比較し、その差分値は167kWhである。空調系の閾値は200kWhであるので、差分値は閾値を超過しない。
【0071】
また照明系に関し、A店の照明電力使用量:2500kWhと、A店のグループ平均値の照明電力使用量・グループ平均値:1933kWhとを比較し、その差分値は567kWhである。照明系の閾値は300kWhであるので、差分値は閾値を超過する。よって照明系については使用量を削減すべきであると判定し、A店を照明系についての削減対象拠点とする。
【0072】
また冷蔵庫系に関し、A店の冷蔵庫電力使用量:1800kWhと、A店のグループ平均値の冷蔵庫電力使用量・グループ平均値:1600kWhとを比較し、その差分値は200kWhである。冷蔵庫系の閾値250kWhであるので、差分値は閾値を超過しない。
【0073】
なお
図10のAグラフ表示を参照しても、A店の総電力使用量5500kWhはグループ平均の総電力使用量4566kWhに比べやや高い。総電力使用量についても同様に差分値が所定閾値を超えたか判定することも可能である。ただしかし、これをA店にフィードバックしたとしてもA店全体として総電力使用量が多いことは分かるものの、全体的・一般的な削減案の提示に留まるため、A店としては漠然とした省エネ活動に努めざるをえない。よって本実施形態では、より積極的且つ適切な省エネ活動を促し削減効率を高めるべく、系統別に電力使用量の多寡を判定するため、具体的にどの系統の電力使用量の多いかまでをA店にフィードバックし、またその系統に対応した具体的な削減案を提示するようにする。
【0074】
図12は、電力使用量の系統別比較(その2)を示す図である。A店及びグループ平均の総電力使用量、系統別の電力使用量(割合換算)を対比的にグラフ表示したものである。割合換算は、総電力使用量を100%とし、各系統別の電力使用量は総電力使用量対する系統別の電力使用量の割合として表示している。
【0075】
上述(S32)において、差分値(%)が所定の閾値(%)を超過する系統があるか否かを判定する。ここでは説明の便宜上、仮に閾値をそれぞれ、空調系2.7%、照明系4%、冷蔵庫系3.3%とする。
【0076】
まず空調系に関し、A店の空調電力使用量:21%と、A店のグループ平均値の空調電力使用量・グループ平均値:23%とを比較し、その差分値は2%である。空調系の閾値は2.7%であるので、差分値は閾値を超過しない。
【0077】
また照明系に関し、A店の照明電力使用量:46%と、A店のグループ平均値の照明電力使用量・グループ平均値:42%とを比較し、その差分値は4%である。照明系の閾値は4%であるので、差分値は閾値を超過する。よって照明系については使用量を削減すべきであると判定し、A店を照明系についての削減対象拠点とする。
【0078】
また冷蔵庫系に関し、A店の冷蔵庫電力使用量:33%と、A店のグループ平均値の冷蔵庫電力使用量・グループ平均値:35%とを比較し、その差分値は2%である。冷蔵庫系の閾値2.7%であるので、差分値は閾値を超過しない。
【0079】
なお、上述したようにコンビニ・チェーンの店舗は「地域」、「規模」・・等により電力使用量は異なってくるため、上述のグループ化処理により、総電力使用量(及び系統別電力使用量)が概ね同一水準になる店舗を抽出した。電力使用量の比較を行いその妥当性を判定するためである。しかしながら、属性のみでは考慮できなかった何らかの不特定要因が、店舗の電力使用量に影響する可能性もある。つまりグループ内に他の店舗に比べやや総電力使用量の水準が高い店舗が抽出されてくる可能性がある。例えばこのような店舗では、総電力使用量が多くそれに比例して個々の全系統についても電力使用量が多くなっているとすると、
図11の閾値(kWh)による判定を行う場合、全ての系統別の電力使用量はゆうに閾値(kWh)を超えてしまうことになる。
【0080】
総電力使用量が多いのは、ある1系統のみの電力使用量が多いことのみに起因していれば問題系統を適切に判定できるが、総電力使用量が多くそれに比例して個々の全系統についても電力使用量が多くなっている店舗に対して、全ての系統別の電力使用量は閾値(kWh)を超えており全系統について電力使いすぎであると判定するのは適切ではない。そこで電力使用量、系統別の電力使用量を割合(%)に換算し、かつ系統別の閾値もまた割合(%)で比較することにより、総電力使用量に対する系統別電力使用量の比率バランスが崩れた系統を、その系統についての削減対象拠点と判定できる。つまり
図11の比較方法は電力使用量の絶対量を、
図12の比較方法は電力使用量の相対量を判定の根拠としたものである。
【0081】
なお
図11の比較方法、
図12の比較方法いずれも多段階(複数)の閾値の越えたかどうかを判定することもできる。例えば、閾値レベル1、閾値レベル2、閾値レベル3のように閾値を段階的に用意しておき、閾値レベル1以上閾値レベル2以下であれば「要見直し」、閾値レベル2以上閾値レベル3以下であれば「要実施」、閾値レベル3以上であれば「至急実施」との情報を削減案とともに本部ユーザに対し出力することができる。
【0082】
(出力処理)
次いで出力処理を説明する。上述したように出力部150は、削減対象拠点判定された拠点に対し、エネルギー使用量の削減を促すべく、系統別に応じた削減案を出力(提示)する。
【0083】
図13は、出力処理を説明するフローチャートである。この動作主体は特に断りのない限り出力部150である。以下、図面を参照しながら説明する。
【0084】
S41:削減対象拠点判定処理において、差分値が閾値以上超過した系統は、「空調系」か否かを判定する(「空調系」を含むか否かを判定する)。該当する場合はS42へ進み、該当しない場合はS43へ進む。
【0085】
S42:削減案DB113(
図6)を参照し、空調/削減案を取得する。空調系統の電力使用量削減案を提示するためである。
【0086】
S43:次いで削減対象拠点判定処理において、差分値が閾値以上超過した系統は、「照明系」か否かを判定する(「照明系」を含むか否かを判定する)。該当する場合はS44へ進み、該当しない場合はS45へ進む。
【0087】
S44:削減案DB113(
図6)を参照し、照明/削減案を取得する。照明系統の電力使用量削減案を提示するためである。
【0088】
S45:次いで削減対象拠点判定処理において、差分値が閾値以上超過した系統は、「冷蔵庫系」か否かを判定する(「冷蔵庫系」を含むか否かを判定する)。該当する場合はS46へ進み、該当しない場合はS47へ進む。
【0089】
S46:削減案DB113(
図6)を参照し、冷蔵庫/削減案を取得する。冷蔵庫系統の電力使用量削減案を提示するためである。
【0090】
S47:取得した削減案を系統別に出力(表示)する。出力処理を行う限り削減対象拠点判定処理において少なくとも1の系統において差分値が閾値以上超過したと判定されているため、「空調系」、「照明系」、「冷蔵庫系」の少なくともいずれかの削減案が出力されることになる。
【0091】
[画面例]
以上の説明を踏まえ、環境情報管理サーバ10の画面例を示す。上述の如く、例えばまず本部ユーザは任意の店舗について削減案の出力操作を行うべく、環境情報管理サーバ10を操作して、店舗を選択する。
【0092】
図14は、画面例(その1)を示す。本部ユーザは本画面を操作して、任意の店舗(例えばA店)を選択する。エリアを絞り込むことで店舗をリストから選択できる。また「対象期間」を選択又は入力する。対象期間は、今回エネルギー使用量を集計・分析する対象期間を意味し、例えば1週間、1ヶ月間、4半期間毎などリストから選択することもできるし、任意に入力することができる。以上選択を終えると本部ユーザは「OK」ボタンを押下する。
【0093】
図15は、画面例(その2)を示す。「OK」ボタン押下後、図に示されるように、「対象期間」におけるA店の電力使用量データ1501、同店舗タイプ平均データ1502、対比グラフ1503、A店の属性データ1504が出力される。本画面では、A店の電力使用状況(実績)を把握できるようになっている。その後本部ユーザは「分析」ボタンを押下する。
【0094】
図16は、画面例(その3)を示す。「分析」ボタン押下後、図に示されるように、同店舗タイプ平均との比較に基づく系統別の分析結果1601、分析結果を踏まえた削減案1602が出力される。本分析結果1601では、照明電力使用量が同店舗タイプ平均より567kWh超過しており、標準の水準を超過している旨が表示されている。そのため照明電力使用量削減のための削減案1602が具体的に表示(提案)されている。
【0095】
その後本部ユーザは「店舗へ通知」1603ボタンを押下すると、
図15、16の内容が店舗(例えば店舗担当者)に対して通知される。通知方法はメールでもよいし、店舗担当者自身が同システムから参照するようにしてもよい。店舗担当者はこの内容を確認し、A店の電力使用状況(実績)を把握するとともに照明系統の、省エネ対策を具体的削減案に沿って実施していく。
【0096】
「至急実施」1604は、上述の閾値が多段階である場合の閾値レベルを表現するもので、ここでは例えば閾値レベル3以上であった場合の表現として「至急実施」と出力されている。また閾値が多段階でなく単一の場合は、実施を強く促すための意味合いから常に「至急実施」と出力してもよい。
【0097】
[削減対象拠点判定処理における閾値補正ついて]
上述の実施形態の「削減対象拠点判定処理」では、判定部140により、グループ化された店舗のうち、1店舗のエネルギー使用量と、その1店舗のグループ平均値とを比較し、1店舗のエネルギー使用量がその1店舗のグループ平均値を、所定閾値以上又は所定割合以上を超過する場合は、その1店舗を削減対象拠点と判定される。
【0098】
またこのとき、判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)は、店舗毎の系統別に環境情報管理サーバ10で予め保持され、閾値の値自体は、本部ユーザが様々な事情(例えば店舗規模、コスト、売上実績、経験則・ノウハウ、省エネ行動指針、環境変数等)を考慮して決定される旨を言及した。このようなことから閾値は判定の精度にかかわるものであるので、より店舗の事情(実情)に即した適切な閾値を決定しておくことが望ましい。
【0099】
ここでは、閾値の値を決定するに考慮される事情、その中の環境変数のうち、特に「気温」について言及する。一般に気温の変化は特にその店舗の「空調系」の電力使用量に影響するといえる。具体的に例えば、夏季においては、気温が高い(暑い)ほど、空調機(冷房)の電力を消費する。また例えば、冬季においては、気温が低い(寒い)ほど、空調機(暖房)の電力を消費する。
【0100】
上述の実施形態においては、1店舗のエネルギー使用量とその1店舗のグループ平均値とを比較することにより、相対的に電力使用量の多寡を比較している。ここで、グループは、属性項目に基づきエネルギー使用量が概ね同一水準になるであろう店舗をグループ化しており、属性項目の「地域」(狭小地域)が同一である場合、気温の変化によりある1店舗のエネルギー使用量が増加しているとすれば、同地域のグループ店舗においても同様にエネルギー使用量が増加していることになる。つまり1店舗のエネルギー使用量が増加しているとすれば、その1店舗のグループ平均値もまた同程度に増加していることになる。従って、例えば夏季(冬季)においては、気温が高い(低い)ほど、空調機(冷房)の電力を消費したとしても、上述の如くあくまで相対的に電力使用量の多寡が比較されるため、この場合、閾値の値の決定に影響させる必要はない。
【0101】
その一方、上述の如く店舗のグループ化によりエネルギー使用量が均質な店舗が選定できれば問題はないが、必ずしもそうならない場合がある。例えば、「地域」の範囲が、気象条件が異なる程度に広域である場合である。グループ平均値を算出するには、同グループにはある程度の数の店舗メンバーが必要である。むしろある程度の店舗数がなければ、グループ平均値としての妥当性を欠く。しかしながら、それ程店舗数が多くない企業体の場合、同地域にそれ程の店舗数は存在しないので、属性項目の「地域」を広域に取らざるを得ないという事情がある。この場合、同一のグループ内の店舗であっても、気象条件が異なるため、気温の変化によりある1店舗のエネルギー使用量が増加しているとしても、同地域のグループ店舗においても同様にエネルギー使用量が増加しているとはいえない。つまり、ある1店舗の地域において、気温が高く空調機(冷房)の電力を消費した結果、エネルギー使用量が増加したからといって、その1店舗のグループ平均値もまた同程度にエネルギー使用量が増加しているとは限らない。
【0102】
そこで、ある1店舗における「平均気温」と、その1店舗のグループにおける「平均気温」とを比較し、その平均気温値に乖離がある場合には、判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)を補正するようにする。
【0103】
(平均気温に基づく補正)
まず、ある1店舗における8月の「平均気温」と、その1店舗のグループにおける8月の「平均気温」とを比較する。「|ある1店舗における「平均気温」−その1店舗のグループにおける「平均気温」|」により、ある1店舗及びグループにおける平均気温の差(平均気温差の絶対値)をそれぞれ算出し、気温差の乖離が所定以上(例えば3度)、大きい場合は閾値を高めに決定することになる。なお、「平均気温」等の気象情報は、気象庁や予報業務許可事業者等から気象データを取得するものとする。
【0104】
例えば、ある1店舗における8月の「平均気温」が28度、その1店舗のグループにおける8月の「平均気温」が28度である場合、同一のグループ内の店舗は、例えば乖離は例えばプラスマイナス3度範囲内であることから、気象条件が同じであると判定でき、判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)の補正は必要ない。
【0105】
一方、例えば、ある1店舗における8月の「平均気温」が28度、その1店舗のグループにおける8月の「平均気温」が24度である場合、同一のグループ内の店舗は、例えば乖離は例えばプラスマイナス3度範囲外であることから、気象条件が同じでないと判定でき、判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)の補正を行う。この場合、「空調系」の電力使用量が高かったとしても、それは気温要因によるものであるため、多少の電力使用はやむを得ない。よって夏季(8月)の判定で用いられる閾値の値を決定するに際し、「平均気温」がグループ内で同じであった場合の閾値と比べ、若干閾値を高めに決定(補正)することにより、閾値はより妥当(適切)な値になる。
【0106】
また、ある1店舗における1月の「平均気温」が1度、その1店舗のグループにおける8月の「平均気温」が5度である場合、同一のグループ内の店舗は、例えば乖離は例えばプラスマイナス3度範囲外であることから、気象条件が同じでないと判定でき、判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)の補正を行う。この場合、「空調系」の電力使用量が高かったとしても、それは気温要因によるものであるため、多少の電力使用はやむを得ない。この場合、冬季(1月)の判定で用いられる閾値の値を決定するに際し、「平均気温」がグループ内で同じであった場合の閾値と比べ、若干閾値を高めに決定(補正)することにより、閾値はより妥当(適切)な値になる。
【0107】
(気温の寒暖差に基づく補正1)
図17は、ある1店舗及びグループにおける8月の実測気温及び平均気温のグラフ図を示す。即ち、(a)は、ある1店舗における8月の実測気温及び平均気温を示しており、(b)は、その1店舗のグループ平均における8月の実測気温及び平均気温を示している。
【0108】
ここでは両方とも「平均気温」は28度であるから、気象条件が同じであると判定でき、判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)の補正は必要ないとも考えられる。しかしながら、実測気温に着眼すると、気温の寒暖差が激しいため、ある1店舗ではグループ平均値に比べ、「空調系」の電力使用量が高かったとしても、多少の電力使用はやむを得ないといえる。
【0109】
つまりこの場合、夏季の閾値の値を決定するに際し、「平均気温」が同程度であったとしても、実測気温の寒暖差が激しい場合、若干閾値を高めに決定することにより、閾値はより妥当(適切)な値になる。同様に、冬季の閾値の値を決定するに際し、同程度であったとしても、実測気温の寒暖差が激しい場合、若干閾値を高めに決定(補正)することにより、閾値はより妥当(適切)な値になる。
【0110】
具体的には、「|最高実測気温−最低実測気温|」により、ある1店舗及びグループにおける実測気温の寒暖差(実測気の寒暖差の絶対値)をそれぞれ算出し、寒暖差の乖離が所定以上、大きい場合は閾値を高めに決定(補正)することになる。逆に寒暖差の乖離が所定以上大きくない場合は、特段閾値を補正しない。
【0111】
(気温の寒暖差に基づく補正2)
図18は、ある1店舗及びグループにおける1日の実測気温及び室内基準調整温度のグラフ図を示す。即ち、(a)は、ある1店舗におけるある1日の実測気温を示しており、(b)は、その1店舗のグループ平均における1日の実測気温(平均)を示している。
【0112】
1日単位で実測気温を見た場合、店舗の地域によっては、気温の寒暖差が大きいことがある。通常の晴れの日の場合、午後過ぎの時刻において実測気温は最大になり、深夜から早朝にかけて実測気温が最小になる。
【0113】
ここで、コンビニ店舗の場合、空調機により室温は概ね一定に保たれており、この室温を室内基準調整温度(例えば20度)という。そして「空調系」の電力使用量を外気(実測気温)との関係を考えると、外気が20度の場合、「空調系」の電力使用量は0である(正確には多少は消費する)。また、外気が20度を上回って実測気温が最大時に「空調系」(冷房)の電力使用量は最大となり、逆に外気が20度を下回って実測気温が最小時に「空調系」(暖房)の電力使用量は最大となる。つまり、室内基準調整温度を基準として、実測気温の振れ幅が上下に大きいほど、「空調系」(冷暖房)の電力使用量を消費することになる。
【0114】
さて一方、実測気温曲線と室内基準調整温度線との積分を算出することにより、図中の斜線箇所の面積を算出する。この斜線箇所の面積が大きいほど、電力使用量が大きいことを表し、斜線箇所の面積が小さいほど、電力使用量が小さいことを表しているといえる。
【0115】
そしてこのように考えると、ある1店舗において、1日の気温の寒暖差が激しいため、ある1店舗ではグループ平均値に比べ、「空調系」の電力使用量が高かったとしても、多少の電力使用はやむを得ないといえる。つまりこの場合、ある1日において判定を行いたい場合に、その1日の閾値の値を決定するに際し、実測気温の寒暖差が激しい場合、若干閾値を高めに決定することにより、閾値はより妥当(適切)な値になる。
【0116】
具体的には、上述の如く、実測気温曲線と室内基準調整温度線との積分を算出することにより、ある1店舗及びグループ平均における図中の斜線箇所の面積をそれぞれ算出し、面積差の乖離が所定以上、大きい場合は閾値を高めに決定(補正)することになる。逆に面積差の乖離が所定以上大きくない場合は、特段閾値を補正しない。
【0117】
なお、上述の実施形態で述べたように、削減対象拠点判定処理は削減対象拠点を判定するものであり、その削減対象拠点に対してエネルギー使用の削減案が提案されることになる。よって大抵の場合には、例えば各店舗(拠点)の1ヶ月ごと(又は数ヶ月)の電力使用量に基づき、1ヶ月ごとにエネルギー使用の削減案が提案される運用がなされる。但しこの(気温の寒暖差に基づく補正2)では、1ヶ月ごとに拘らずに1日単位でも気温の寒暖差に基づく閾値の補正を行えるようにしたものである。
【0118】
以上、上述の実施形態の「削減対象拠点判定処理」において、判定部140の判定で用いられる所定閾値(及び所定割合)は、より店舗の事情(実情)に即した適切な閾値を決定しておくことが望ましい。ここでは、閾値の値を決定するに考慮される事情、その中の環境変数のうち、特に「気温」について均質な店舗が選定できない場合、上述のような閾値の補正を行うことにより、判定の精度を向上させることができる。
【0119】
[総括]
以上本実施形態に係る環境情報管理サーバ10は、店舗の属性情報に基づきエネルギー使用量の条件を同じないし近い店舗を抽出し、同グループ間において各店舗のエネルギー使用量(内訳・系統別)を横断的に分析する。そしてまた他の店舗との比較に基づく削減案を提案できるため、各店舗に対しより有効な削減案を提案することができるようになる。
【0120】
即ち、複数拠点に対して省エネ行動指針指導を行う場合、各拠点のエネルギー使用量を横断的に分析し、その分析結果に基づく適切な削減案を拠点毎に提案可能な環境情報管理装置等を提供することが可能となる。
【0121】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば本実施形態では使用されるエネルギーとして電力(電気)を取り上げて説明したが、ガス、水道、その他のエネルギーについても同様に本発明を適用できることはいうまでもない。またコンビニ・チェーンの例を取り上げて説明したが、例えば外食・チェーンや、支店、工場、出張所等についても同様に本発明を適用できることはいうまでもない。