【実施例】
【0035】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、数値の単位「部」は質量部を示す。
【0036】
以下の実施例に示すような組成にて本発明の紫外線硬化型樹脂組成物及び硬化物を得た。又、樹脂組成物及び硬化膜についての評価方法及び評価基準は以下の通り行った。
【0037】
合成例1:(ポリ)カルボン酸化合物の合成
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂である日本化薬(株)製NC−3000H(エポキシ当量288g/eq)144g、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸としてアクリル酸(分子量72)36g、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.5g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート100gを加え、100℃で24時間反応させ、エポキシカルボキシレート化合物を得た。
得られたエポキシカルボキシレート化合物に多塩基酸無水物としてテトラヒドロ無水フタル酸を4g(設定酸価7)加え、該エポキシカルボキシレート化合物との総和が70質量%となるように溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートを添加し、100℃にて10時間加熱して付加反応させ、(ポリ)カルボン酸化合物を得た(実測固形分酸価11)。
【0038】
(1)粘度:E型粘度計(TV−200:東機産業(株)製)を用い、25℃にて測定した。
【0039】
(2)離型性:硬化した樹脂を金型より離型させるときの難易度を表す。
○・・・・金型からの離型が良好である
△・・・・離型がやや困難あるいは離型時に剥離音がある
×・・・・離型が困難あるいは型残りがある
【0040】
(3)型再現性:基材上に紫外線硬化型樹脂層を塗布・成型し、高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で1000mJ/cm
2の照射を行い硬化させた。硬化した紫外線硬化型樹脂層の表面形状と金型の表面形状を観察した。
○・・・・再現性良好である
×・・・・再現性が不良である
【0041】
(4)密着性:型再現性評価で用いたサンプルにて、JIS K5600−5−6に準じて密着性評価を行った。
評価結果は0〜2を○とし、3〜5を×とした。
【0042】
(5)屈折率(25℃):硬化した紫外線硬化性樹脂層の屈折率(25℃)をアッベ屈折率計(DR−M2:(株)アタゴ製)で測定した。
【0043】
(6)耐擦傷性:PET基材上に金型を使いプリズム形状を附形し試験片を作製。試験片上に拡散シートのマット面を合わせ、さらにその上に100gの分銅を載せ、プリズムパターンと垂直方向に拡散シートを引っ張った際に発生する擦り傷を観察した。拡散シートには市販品(Haze値50%)を使用した。
○・・・・傷無し〜僅かに傷有り
△・・・・傷有り
×・・・・強い傷有り
【0044】
実施例1
成分(A)としてKAYARAD OPP−1.5(日本化薬(株)製:o−フェニルフェノールポリエトキシアクリレート)を60部、成分(B)としてFA−PTG9A(日立化成工業(株)製:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(n=9))を10部、成分(C)としてIrgacure 184(BASFジャパン(株)製:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン)を5部、成分(D)として合成例1で得られた化合物を25部、成分(E)としてTEGORad 2200N(Evonik Industries製:アクリレート変性シリコーン)を3部、その他の成分として4−HBA(大阪有機化学工業(株)製:4−ヒドロキシブチルアクリレート)を5部、60℃に加温、混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が約50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで1000mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射させ、硬化させた後剥離して、本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果
粘度:900mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.580、耐擦傷性:○
【0045】
実施例2
成分(A)としてKAYARAD OPP−1(日本化薬(株)製:o−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート)を40部、同じく成分(A)としてKAYARAD OPP−1.5を10部、成分(B)としてFA−PTG49A(日立化成工業(株)製:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(n=49))を10部、成分(C)としてIrgacure 184を5部、成分(D)として合成例1で得られた化合物を10部、成分(E)としてX−22−1602(信越化学工業(株)製:アクリレート変性シリコーン)を2部、その他の成分として、KAYARAD UX−0937(日本化薬(株)製:ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー)を20部、ニューフロンティアBPE−10(第一工業製薬(株)製:ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート)を10部、60℃に加温、混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果
粘度:2750mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.569、耐擦傷性:○
【0046】
実施例3
成分(A)としてKAYARAD OPP−1.5を40部、成分(B)としてA−PTMG−65(新中村化学工業(株)製:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(n=9))を15部、成分(C)としてDAROCUR 1173(BASFジャパン(株)製:2−ヒドロキシ−2−メチルー1−フェニル−プロパン−1−オン)を5部、成分(D)として合成例1で得られた化合物を40部、成分(E)としてX−22−1619(信越化学工業(株)製:アクリレート変性シリコーン)を4部、ニューフロンティアPHE(第一工業製薬(株)製:フェノキシエチルアクリレート)を5部、60℃に加温、混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果
粘度:4050mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.584、耐擦傷性:○
【0047】
実施例4
成分(A)としてKAYARAD OPP−1.5を30部、成分(B)としてブレンマーADT−250(日油(株)製:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(n=3))を20部、成分(C)としてIrgacure 184を5部、成分(D)として合成例1で得られた化合物を30部、成分(E)としてX−22−164A(信越化学工業((株))製:メタクリレート変性シリコーン)を5部、その他の成分として、ニューフロンティアBPE−10を10部、60℃に加温、混合し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の(25℃)はであった。また、実施例1と同様にして得た樹脂層の(25℃)はであった。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果
粘度:1600mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.572、耐擦傷性:○
【0048】
実施例5
成分(A)としてKAYARAD OPP−1.5を40部、成分(B)としてFA−PTG9A(日立化成工業(株)製:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(n=9))を15部、同じく成分(B)としてFA−PTG28A(日立化成工業(株)製:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(n=28))を15部、成分(C)としてIrgacure 184を5部、成分(D)として合成例1で得られた化合物を20部、その他の成分として、ニューフロンティアPHEを10部、60℃に加温、混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果
粘度:1100mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.577、耐擦傷性:○
【0049】
比較例1
成分(A)としてKAYARAD OPP−1.5を60部、成分(C)としてIrgacure 184を5部、その他の成分としてニューフロンティアPHEを10部、KAYARAD UX−4101(日本化薬(株)製:ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー)を10部、SR−213(サートマー製:テトラメチレングリコールジアクリレート(n=1))を20部、60℃に加温、混合し、比較例の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明のプリズムレンズシートを得た。テトラメチレングリコール骨格の繰り返し単位が少なく、十分な耐擦傷性を得ることができなかった。
評価結果
粘度:100mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.557、耐擦傷性:×
【0050】
比較例2
特許文献3(特開2010−189534号公報)の合成例に従い、該文献合成例1の化合物(ビナフトールジエトキシジアクリレート)を合成し、得られた化合物を20部、o−フェニルフェノールモノエトキシアクリレートを31部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンを3部、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシドを0.1部、KAYARAD R−115を4部、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを18部、アクリロイルモルホリンを7部、加温、混合し、比較例の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果
粘度:900mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.587、耐擦傷性:×
【0051】
比較例3
特許文献2(特開平8−176243号公報)の実施例1に従い、ビスフェノールA型エポキシメタクリレートを40部、イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの反応物であるウレタンジメタクリレートを15部、ノナブチレングリコールジメタクリレートを20部、フェニルメタクリレートを25部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド0.03部、t−ブチルパーオキシイソブチレート0.1部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.05部、トリドデシルフォスフェート0.2部を加温、混合し比較例の樹脂組成物を得た。
評価結果
粘度:2000mPa・s、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、屈折率:1.541、耐擦傷性:△
【0052】
実施例1〜7及び比較例1〜3の評価結果から明らかなように、特定の組成を有する本発明の樹脂組成物は離型性、型再現性、基板フィルムとの密着性が良好であり、耐久性(耐擦傷性、耐スクラッチ性)に優れる。そのため例えばレンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等の光学レンズシートに適しており、他の光学シートとの接触によって発生する形状の欠点を抑制することができる。