【実施例】
【0008】
以下に、図面を用いて本発明に係るスターターの取付構造の一実施例について詳細に説明する。
図1は本発明に係るスターターの取付構造の一実施例を示す断面図、
図2、
図3は施工状態を示す説明図、
図4はパネルAの一例を示す断面図であり、表面材1と裏面材2で合成樹脂発泡体からなる芯材3をサンドイッチし、幅方向の上下端部に雄型連結部4と雌型連結部5を形成した長尺状のパネルAである。また、
図5(a)、(b)はパネルAの一例を示す部分拡大断面図、
図6はパネルAの一例を示す部分拡大断面図、
図7はパネルAの施工状態を示す部分部分拡大断面図、
図8は水切りBの一実施例を示す断面図、
図9(a)、(b)((a)図のa−a部断面図)、(c)((a)図のb−b部断面図)、(d)((a)図のc−c部断面図)はスターターCの一実施例を示す平面図と断面図である。なお、αは躯体、βは固定具である。
【0009】
さらに詳説すると、
図4、
図5(a)、(b)、
図6、
図7に示すように表面材1は化粧面aの下端縁に表雄部1a、化粧面aの上端縁に表雌部1bを形成したものであり、表雄部1aは表面材1の下端縁を屋内側に屈曲すると共に上方に延長した下縁6と、下縁6と表面材1の下端部分よりなるカバー部7と、下縁6の先端を屋内側に屈曲した最奥縁8と、最奥縁8の先端を下方に垂下した上縁9と、下縁6と最奥縁8と上縁9とからなる係合溝10と、上縁9の先端を屋内側に屈曲した当接縁11と、下縁6とカバー部7と芯材3よりなる突出片12とから形成したものである。
【0010】
表雌部1bは表面材1の上端縁を屋内側に屈曲した段差片13と、段差片13の先端を上方に突出した固定片14と、固定片14の途中を屋内側に窪ませた固定溝15と、固定片14の先端を屋内側に屈曲すると共に下方へ垂下した下片16と、固定片14と下片16とから形成した係合片17と、下片16の先端を屋内側に突出した当接片18とから形成したものである。
【0011】
裏面材2は、
図4、
図5(a)、(b)、
図6、
図7に示すように下端縁に裏雄部2aと上端縁に裏雌部2bを形成したものであり、裏雄部2aは裏面材2の下端縁を屋外側に屈曲した下側面19と、下側面19の先端を上方に屈曲した内側面20と、下側面19と内側面20とから形成した嵌合面21と、内側面20の先端を屋外側へ屈曲した最奥面22と、最奥面22の先端を下方に垂下した外側面23と、内側面20と最奥面22と外側面23とから形成した嵌合溝24と、外側面23の先端を屋外側へ屈曲した当接面25とから形成したものである。
【0012】
裏雌部2bは裏面材2の上端縁を屋外側へ屈曲した上側辺26と、上側辺26の先端を上方へ屈曲した内側辺27と、上側辺26と内側辺27とから形成した段差28と、内側辺27の先端を下方に折り返した外側辺29と、内側辺27と外側辺29とから形成した突出辺30と、外側辺29の先端を屋外側へ屈曲した当接辺31とから形成したものである。
【0013】
また、雄係合片32は、表面材1の上縁9と当接縁11と裏面材2の外側面23と当接面25と芯材3とから形成されたものであり、雌係合溝33は、表面材1の下片16と当接片18と裏面材2の外側辺29と当接辺31と芯材3とから形成されたものである。なお、図示しないが雄係合片32と雌係合溝33の芯材3部分には、芯材3充填時に芯材3が外部に漏れ出さないようにサイドテープを形成するものである。
【0014】
1cは端部片であり、パネルAの長手方向の左右端部の表面材1を屋内側へ屈曲したものである。なお、表面材1の端部をL字状に屈曲して端部片1cとすることも出来る。
【0015】
Pはパッキング材であり、耐火性、防水性、気密性、等の向上のために形成したものである。例えば定型で弾性のあるパッキング材Pとしては、例えばポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているものである。また、硬化型のパッキング材P(シーリング材)としてはシリコーン系(反応硬化型、湿気硬化型)、変成シリコーン系(反応硬化型)、ポリサルファイド系(反応硬化型)、ポリウレタン系(反応硬化型、湿気硬化型)、SBR系(乾燥硬化型)、アクリル系(乾燥硬化型)等よりなるものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。勿論、これらの成分中に無機材等の難燃材、あるいは耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入した耐火性のあるパッキング材を使用しても良いものである。
【0016】
表面材1、または裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等、(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板、エンボス加工板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したものである。また、裏面材2としてはアルミニウム蒸着紙、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものも使用出来るものである。
【0017】
また、芯材3はポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材1、または裏面材2の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性、耐火性を向上させることもできる。
【0018】
Bは水切りであり、
図8に示すように、略垂直平面状の固定面B1と、固定面B1の固定面下端B4を屋外側へ傾斜して突出した傾斜面B2と、傾斜面B2の先端を下方に垂下した化粧面B3とから形成した長尺状部材であり、
図1に示すように躯体αの土台部下端に形成するものである。
【0019】
その素材としては、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等、(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板、エンボス加工板を含む)の金属製板材である。
【0020】
Cはスターターであり、
図1に示すように土台部に形成した水切りB上に隙間Sを有して形成したものであり、
図9(a)〜(d)に示すように少なくとも垂直平面状でパネルの働き幅Wに対応した長さの固定面C1と、固定面C1の長さ方向の略中央近傍において下端から上方に切り欠いた変形空隙固C4と、固定面C1の上端を屋外側へ突出した載置面C2、両端に形成した固定孔C5とから形成したものであり、スターターCの変形空隙C4をパネルAの縦目地部M近傍に合致させると共に、固定具βにてスターターCの両端を躯体αに固定するように形成したものである。
【0021】
その素材としては、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等、(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板、エンボス加工板を含む)の金属製板材である。勿論、スターターCはパネルAが変形した場合に、その変形に追従して変形出来る程度の強度と可撓性を有するものである。
【0022】
さらに詳説すると、スターターCの固定面C1は
図1に示すようにスターターCを躯体αに固定するための部分であり、固定孔C5を介して固定するものである。
【0023】
載置面C2は
図1に示すように、縦張りのパネルAの端部A1を載せることにより、スターターC上にパネルAを仮設置して、
図7に示すようにパネルAの固定溝15を躯体αに固定具βを介して固定することによりパネルAを躯体αに固定するための部分である。
【0024】
変形空隙C4は、躯体αの層間変形に対して、パネルAが
図3に示すように変形した場合に、この変形空隙C4部分よりスターターCがパネルAの変形に対して追従して変形出来るように形成した空隙である。
【0025】
固定孔C5は、躯体αへスターターCを固定する際の位置決めのために形成した孔であり、固定面C1の両端近傍に形成するものである。
【0026】
そこで、本発明に係るスターターの取付構造の施工例について説明する。まず、
図1に示すように、
図8に示すような長尺状の水切りBを躯体αの土台部に固定具βを介して連続状に固定する。
【0027】
水切りBの施工が完了したら、
図9(a)〜(d)に示すようなスターターCを、水切りBの固定面下端B4から隙間Sの間隔を有して固定具βを介して躯体α上に連続状に固定する。この際、パネルAの縦目地部Mと変形空隙C4のピッチを合致させて位置決めするものである。
【0028】
この場合、スターターCの固定は
図10に示すようにパネルAの働き幅をWとすると、固定具βの打設間隔はパネルAの働き幅Wとする。すなわち、固定具βの打設位置は
図2に示すように働き幅Wの略中央近傍の両端を固定することとなるものであり、図面では働き幅Wの中心である2/Wの左右の位置に形成する。つまり、固定具βの打設位置は、ピッチが働き幅Wで打設位置はパネルAの働き幅Wの略中央となるものである。また、スターターCにはあらかじめ左右両端の位置に固定用の固定孔C5が形成されているために、パネルAの働き幅Wのピッチと変形空隙C4と縦目地部Mを合致させて位置決めするだけで良いものである。
【0029】
また、層間変形角の規定値は1/200以下であるが、帳壁や内外装材、設備等に相応の措置が講じられている場合に限って層間変形角は1/120以下まで緩和が認められている。このため、隙間Sは働き幅Wが900mmの場合には隙間Sの高さh=働き幅900/120=7.5mm、働き幅Wが600mmの場合には隙間Sの高さh=働き幅600/120=5mmとなる。勿論、この数値以上に隙間Sの寸法を大きく形成しておいても良い。
【0030】
このようにして形成された
図2に示す壁体に対して、
図3に示すようにパネルAに対して層間変位追従性能試験を行うと、パネルAは固定具βを中心にパネルAが変位することになる。この変位に対応してスターターCが変形する訳であるが、スターターCと水切りB間に形成した隙間Sにより、スターターCがパネルAの変位に沿って変形していくことが可能となり、パネルAの端部A1が変形することが無いものとなる。
【0031】
スターターCの施工が完了したら、
図4に示すようなパネルAを
図1に示すようにパネルAの端部A1をスターターCの載置面C2に載せ、次に
図7に示すように雄係合片32を雌係合溝33に挿入し、他端の雌型連結部5の固定溝15を一定ピッチで固定具βにより躯体αに打設して固定する。このような工程を繰り返して行うことにより、パネルAを
図1、
図2に示すように縦張りにて施工完了するものである。
【0032】
以上説明したのは、本発明に係るスターターの取付構造の一実施例にすぎず、
図11(a)〜(e)、
図12(a)〜(k)、
図13(a)〜(k)、
図14図に示すように形成することも出来る
【0033】
すなわち、
図11(a)〜(e)はパネルAのその他の実施例を示す断面図である。
【0034】
図12(a)〜(j)、
図13(a)〜(j)はスターターCのその他の実施例を示す平面図である。
【0035】
図14は本発明に係るスターターの取付構造のその他の実施例を示す断面図であり、水切りBを削除した取付構造である。