特許第5710467号(P5710467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5710467ターボジェットの軸受ハウジング内で圧力を平衡化するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710467
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ターボジェットの軸受ハウジング内で圧力を平衡化するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/18 20060101AFI20150409BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20150409BHJP
   F16N 7/32 20060101ALI20150409BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20150409BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20150409BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20150409BHJP
   F02C 7/06 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   F01D25/18 C
   F16C33/10 Z
   F16N7/32 A
   F16N7/32 D
   F02C7/28 Z
   F01D25/00 M
   F01D25/16 J
   F02C7/06 D
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-501276(P2011-501276)
(86)(22)【出願日】2009年3月24日
(65)【公表番号】特表2011-518975(P2011-518975A)
(43)【公表日】2011年6月30日
(86)【国際出願番号】FR2009050500
(87)【国際公開番号】WO2009125120
(87)【国際公開日】20091015
【審査請求日】2012年3月8日
(31)【優先権主張番号】0851923
(32)【優先日】2008年3月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアンテスキユ,イオン
(72)【発明者】
【氏名】ジル,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】ムルラン,ジヤン−ピエール
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−224912(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0213726(US,A1)
【文献】 特開昭58−204936(JP,A)
【文献】 特開昭62−197644(JP,A)
【文献】 特開2003−184510(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008031186(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/18
F01D 25/00
F01D 25/16
F02C 7/06
F02C 7/28
F16C 33/10
F16N 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(X−X’)を中心に回転するように装着された回転子(40)と、前記回転子(40)を支える軸受(22、32)がその上に装着された軸受支持体を含む固定子との間に画定された、ターボジェットの少なくとも1つの軸受エンクロージャー(20、30、80)内で圧力を平衡化するための圧力平衡化装置であって、前記エンクロージャー(20、30、80)が、前記軸受(22、32)に潤滑液体を供給するための手段と、加圧回路から到来する加圧された空気をエンクロージャー(20、30、80)内に送り込む空気吸入手段と、前記軸受(22、32)の前方および/または後方の固定子と回転子(40)の間に置かれた少なくとも1つのシーリングシステム(28)と、潤滑液体を回収するための回収手段と、空気を排気回路(60)に向けて除去するための除去手段(24、34、64)とを含む圧力平衡化装置において、
前記圧力平衡化装置が、軸受エンクロージャー(20、30、80)の下流側かつ排気回路のダクト(41、42)内に、前記除去手段によって除去される気の流量を調節するための調節器システム(100、200)であって、エンジン速度に応じて、ダクト(41、42)の流れセクションを、非ゼロの最小流れセクション(112、212、222、232)と最大流れセクションの間で変更して、前記流量を、エンジン速度に応じて可変と、非ゼロに留、高速時には、調節器システムが存在しないときよりも低くすることを可能にする調節器システム(100、200)を含むこと
記調節器システム(100、200)が、遮断部材(110、210、220、230)であって、最小流れセクション(112、212、222、232)をそのとき有する、ダクト(41、42)のセクションの大部分を前記遮断部材が占有する閉位置と、最大流れセクションをそのとき有する、ダクト(41、42)のセクションの小部分を前記遮断部材(110、210、220、230)が占有する開位置との間で移動するように装着され、前記閉位置と前記開位置の間の任意の中間位置をとることが可能になる遮断部材(110、210、220、230)を有すること
除去される空気の流量が、低いエンジン速度の場合は非ゼロの最小値であり、エンジン速度の上昇に伴って最大除去空気流量まで増大するように可変となること、および
ダクト(42)が、固定状態であること、および前記遮断部材(110)が、ダクト(42)の外側の、エンジン速度に応じてダクト(42)内の遮断部材(110)の位置を制御するのに適している制御手段に接続されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
遮断部材が、ダクト(41、42)の主方向(X−X’)に対して垂直である軸を中心に枢動するように装着されたプレート(110、210)であり、前記プレート(110、210)の主平面が、前記非ゼロの最小流れセクション(112、212)がプレート(110、210)とダクト(41、42)の壁の間に留まって最小空気流量を通過させる閉位置ではダクト(41、42)内で直角に配設され、前記プレート(110、210)の主平面が、開位置では、ダクトの主方向に対して平行に配設されることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項3】
遮断部材が、貫通穴が設けられ、ダクト(41、42)の内径とほぼ等しい外径を有する円形のプレート(110、210)であることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも前部エンクロージャー(20)および/または後部エンクロージャー(30)を有し、その下流側、および脱油装置(64)の上流側において、排気回路(60)が、回転するように装着されたダクト(41)と、固定状態になるように装着されたダクト(42)とを含むターボジェットであって、前記ターボジェットが、請求項1からのいずれか一項に記載の装置を含み、そのための調節器システムが、脱油装置(64)の上流側に装着されることを特徴とする、ターボジェット。
【請求項5】
脱油装置(64)が、機器の支持体(66)内に装着されることを特徴とする、請求項に記載のターボジェット。
【請求項6】
低圧回転子(40)の下流側において、固定ダクト(42)を含む排気回路(60)を有する少なくとも前部エンクロージャー(20)および/または後部エンクロージャー(30)を含むターボジェットであって、前記ターボジェットが、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置を含み、そのための調節器システム(100)が、前記固定ダクト(42)内に装着されることを特徴とする、ターボジェット。
【請求項7】
軸(X−X’)を中心に回転するように装着された回転子(40)と、前記回転子(40)を支える軸受(22、32)がその上に装着された軸受支持体を含む固定子との間に画定された、ターボジェットの少なくとも1つの軸受エンクロージャー(20、30、80)内で圧力を平衡化する方法であって、前記エンクロージャー(20、30、80)が、前記軸受(22、32)に潤滑液体を供給するための手段と、加圧回路から到来する加圧された空気をエンクロージャー(20、30、80)内に送り込む空気吸入手段と、前記軸受(22、32)の前方および/または後方の固定子と回転子(40)の間に置かれた少なくとも1つのシーリングシステム(28)と、潤滑液体(39)を回収するための回収手段と、空気を排気回路(60)に向けて除去するための除去手段(24、34、64)とを含む方法において、
前記方法が、エンジン速度に応じてかつ軸受エンクロージャーの下流側で、排気回路(60)のダクト(41、42)内の、前記除去手段によって除去される気の流量を調節し、エンジンの速度に応じて、ダクト(41、42)の流れセクションを、ゼロでない最小流セクション(112、212、222、232)と最大流セクションの間で変更することからなり、それによって前記空気流量は、エンジンの速度に応じて可変となり、非ゼロであり、高速時には、空気の流量が調節されないときよりも低いこと
記流量が、最小流セクション(112、212、222、232)をそのとき有する、ダクト(41、42)のセクションの大部分を遮断部材が占有する閉位置と、最大流セクションをそのとき有する、ダクト(41、42)のセクションの小部分を前記遮断部材(110、210、220、230)が占有する開位置との間で移動するように装着された前記遮断部材(110、210、220、230)を用いて調節され、前記遮断部材(110、210、220、230)が、前記閉位置と前記開位置の間の任意の中間位置をとることが可能になること、および
除去される空気の流量が、低エンジン速度の場合は非ゼロの最小値になり、エンジン速度の上昇に伴って最大除去空気流量まで増大するように可変となることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボジェットの少なくとも1つの軸受エンクロージャー内で圧力を平衡化するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボジェットエンジンの分野では、回転するように装着された部分と、固定状態である部分との間に転がり軸受を各々が含むエンクロージャーが使用され、そのようなエンクロージャーは、構成要素を潤滑および冷却するように働く油循環を有している。
以下において、形容詞「固定状態」、「可動」、「回転可動」は、概してターボジェットに関連して対象となる部品または部分の移動が無い状態またはその移動を説明する。
【0003】
油が、回路内で回収され再循環される前に、エンクロージャー内部に含まれたままであることを確実にするために、また、油がエンジンの流れセクションの他の空洞を汚染することを防止するために、前記エンクロージャー内部の空気が加圧される。
【0004】
残念なことに、この空気は、すでにエンジンの上流段を通って流れてしまっているため、すでに圧縮され、大気圧力に近い圧力でエンクロージャー内に注入されており、そのため、これは、エンジンによって送出される推力にはほとんどまたは全く関与しない。この結果、パフォーマンスに関して、特に燃費に関して、推力の所要レベルに好ましくない影響が生じる。
【0005】
一般的には、エンクロージャーに入る空気の流量を低減するために、したがって燃料および油の消費を低減するために、エンクロージャーの境界部においてできるだけリークタイトなシールを開発する努力がなされている。したがって、左程リークタイトでないラビリンスタイプのシールは、最新式のシーリングシステムによって置き換えられ得るが、そのシステムは、ブラシシールまたは炭素環シールなどの、より高いパフォーマンスを提供するがより複雑でコストがかかるものである。
【0006】
さらに、そのような最新式のシーリングシステムでは、そのコストが増大することに加えて、これらのシステムが、ラビリンスシールに比べてその技術的複雑性が増すことによる不具合という大きなリスクに悩まされるため、他の、すなわち組立体の脆弱性、摩耗粒子による油エンクロージャーの汚染、およびラビリンスシールの寿命より短命という欠点に遭遇する。
【0007】
また、空気圧力はエンジン速度の変化に伴って変化するために、状況がエンジン速度に応じて大きく異なる結果となることが認められている。低いエンジン速度(アイドリング)においては、エンクロージャーを十分に加圧し、油の漏れを回避するために、最小の空気流量がエンクロージャー内に送出される。この結果、高いエンジン速度(巡航速度またはエンジン全開)においては、空気が高速においてより大きく圧縮されるために特に高い空気流量が運ばれ、一方でエンクロージャー内の背圧は大気圧力よりも高くならずに留まるためシールの境界部に大きな圧力差が生じる。
【0008】
シールは、大きな圧力差、加えて前記圧力差の大きな変動にさらされるため、より早期に摩耗し、故に不具合のリスクの増大に悩まされやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することを可能にする解決策を提供し、特にシールの境界部の圧力差がエンジンの速度に応じてより小さい範囲で変化することを可能にするエンジンエンクロージャー用の加圧システムを提供する可能性を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、軸を中心に回転するように装着された回転子と、固定壁の組から全体が形成され、前記回転子を支える軸受がその上に装着された軸受支持体を含む固定子との間に画定された、ターボジェットの少なくとも1つの軸受エンクロージャー内で圧力を平衡化するための圧力平衡化装置を提供し、前記エンクロージャーは、前記軸受に潤滑液体を供給するための手段と、加圧回路から到来する(駆動ガス流をタッピングさせることによって形成された)加圧された空気をエンクロージャー内に送り込む空気吸入手段と、前記軸受の前方および/または後方の固定子と回転子の間に置かれた少なくとも1つのシーリングシステムと、潤滑液体を(潤滑液体を再利用するための1つ以上の回収回路を介して)回収するための回収手段と、潤滑液体から分離された後の、したがって潤滑液を微量だけ含有する空気を、排気回路に向けて除去するための除去手段とを含む。
【0011】
特徴的な方法では、軸受エンクロージャーの下流側かつ排気回路内において、前記圧力平衡化装置は、空気除去の流量をエンジン速度に応じて調節するための調節器システムを含み、それによって前記流量がエンジン速度に応じて可変となる、非ゼロに留まる、高速時には、調節器システムが含まれない、すなわち存在しないときよりも低いことを可能にする。
以下において、用語「エンクロージャーの下流側」は、対象となるエンクロージャーから離れる空気の流れ方向に関連するものである。
【0012】
このようにして、水頭損失がエンジン速度に応じて可変となるエンクロージャーの下流側で、水頭損失を設定することにより、エンジン速度に関係なく最小圧力差、有利には、エンクロージャーのシーリング境界部においてほぼ一定である圧力差を維持することが可能になることが理解されることができる。
【0013】
調節器システムを使用することにより、空気除去流量に対して得られる値は常に低く、とりわけ、空気除去流量の値は、高いエンジン速度において低いことにより、高速時において、空気除去流量は、調節器システムが存在しない場合よりも低い。
【0014】
調節器システムが存在しない場合(エンジン速度に応じて、すなわち回転子の回転速度に応じて可変となる流れセクションを有するシステムに対する準備が無いのが従来技術の解決策であるため)、圧縮機によって送出されたソース圧力と、排気回路の下流側の背圧(概ね大気圧と等しい)との間の差が、エンジン速度の上昇に伴って圧力差が増大していくにつれて大きくなると、排気によって除去される空気の質量流量が高くなる。調節器システムが存在しないとき、空気排気質量流量および一次ガス流の流量が、エンジン速度の上昇に伴って増大するため、(一般的にW25として参照される)一次ガス流の流量と比べた空気排気質量流量は、エンジン速度に応じて比較的一定になる傾向があることに留意すべきである。
【0015】
本発明によれば:
低いエンジン速度の場合、空気流量は、非ゼロに留まり、調節器システムが存在しない状況と比べてできるだけ低いものである。通常、そのような低速は、停止してアイドリングする範囲内にあり、このときエンジンのエンクロージャー用の加圧空気を送出する圧縮機によって送出される空気圧力は低く、それにより、水頭損失を排気回路に沿ってできるだけ低くなるように低減するために、また、それによって十分に加圧された軸受エンクロージャーを有するために、できるだけ妨害がない状態の排気路が必要とされる、
より高いエンジン速度の場合、空気流量は、有利には、空気流量を調節するためのシステムが存在しない状況よりも低い。通常、そのようなより高いエンジン速度は、「地上でのアイドリング」を上回る、特に、上昇するまたは巡航するためにエンジンが全開で作動している状況のための回転速度であり、この状況では、エンジンエンクロージャーは、軸受エンクロージャーを加圧するために圧縮機によって送出された高い空気圧力により、かなりの圧力差を伴って加圧される。
【0016】
したがって、簡単な解決策を用いることにより、第1に、シーリングシステムがより小さい応力にさらされ、第2に、水頭損失を可変式に低減することによってエンクロージャー内の空気圧力が増大し、それによって前記油エンクロージャーに入る空気の流量を低減することが可能になり、その結果、駆動ガス流からタッピングされる空気の量が節減される。
【0017】
油エンクロージャーを加圧するように働く空気の量を低減することに加えて、この解決策はまた、排気回路への空気の流れによって運び去られる油の消費を低減することを可能する追加の利点も提案する。
【0018】
加えて、エンクロージャー内の圧力を増大させることにより、排気回路の油回収ポンプの吸引圧力もまた増大され、したがって、ポンプの容量、故にサイズおよび重量を低減することが可能になる。
【0019】
全体として、本発明の解決策を用いることにより、最新式のシーリングシステムを使用する必要性を無くすことが可能になり、本発明の解決策は、実施が簡単であり、非ゼロの最小の空気流量により、加圧空気の少なくとも最小量の除去が保証されるので、いかなる深刻な不具合のリスクも発生させることはない。
【0020】
有利には、前記調節器システムは、空気除去流量がエンジン速度に応じて可変となるようなものである。調節器システムは、空気除去流量に対して得られる値が常に低く、とりわけ、高いエンジン速度において空気除去流量の値が低くなり、高速時において、空気除去流量は、調節器システムが存在しない場合よりも低くなるものである。
【0021】
好ましい構成では、前記調節器システムは、排気回路のダクト内に配設され、エンジン速度に応じて、ダクトの流れセクションを、最小流れセクションと最大流れセクションの間で変更する。
【0022】
このようにして、本発明の調節器システムを追加するように既存の排気回路を適合させることが可能になる。加えて、1つ以上の軸受の下流側、または軸受の全ての下流側に調節器システムを置くことが可能になる。
【0023】
有利には、別の構成では、前記調節器システムは、遮断部材であって、最小流れセクションをそのとき有する、ダクトのセクションの大部分を前記遮断部材が占有する閉位置と、最大流れセクションをそのとき有する、ダクトのセクションの小部分を前記遮断部材が占有する開位置との間で移動するように装着され、前記閉位置と前記開位置の間の任意の中間位置をとることが可能になる遮断部材を有する。
【0024】
このようにして、流れセクションを変化させ、したがって排気回路のダクト内の水頭損失を変化させることが簡単になる。
【0025】
好ましくは、前記最小流れセクションは、ゼロでない。
【0026】
本発明はまた、軸を中心に回転するように装着された回転子と、固定壁の組から全体が形成され、前記回転子を支える軸受がその上に装着された軸受支持体を含む固定子との間に画定された、ターボジェットの少なくとも1つの軸受エンクロージャー内で圧力を平衡化する方法も提供し、前記エンクロージャーは、前記軸受に潤滑液体を供給するための手段と、加圧回路から到来する(駆動ガス流をタッピングさせることによって形成された)加圧された空気をエンクロージャー内に送り込む空気吸入手段と、前記軸受の前方および/または後方の固定子と回転子の間に置かれた少なくとも1つのシーリングシステムと、潤滑液体を(潤滑液体を再利用するための1つ以上の回収回路を介して)回収するための回収手段と、潤滑液体から分離された後の、したがって潤滑液を微量だけ含有する空気を、排気回路を介して除去するための除去手段とを含む。
【0027】
特徴的な方法では、方法は、エンジン速度に応じて、排気回路内の軸受エンクロージャーの下流側の空気除去流量を調節することにあり、前記空気流量は、エンジンの速度に応じて可変となる、非ゼロになる、および高速時において、圧力平衡化方法が存在しない場合、すなわち空気の流量が調節されないときよりも低い。
【0028】
好ましくは、空気の流量は、エンジン速度に応じて可変となる空気流量で排気回路内において除去される。
【0029】
特に、空気除去流量が、低いエンジン速度の場合は非ゼロの最小値になる、またエンジン速度の上昇に伴って最大空気除去流量まで増大するように可変となる手段が講じられる。
【0030】
実際には、空気除去質量流量は、エンジン速度の全範囲にわたってエンジン速度の上昇に伴って連続的に増大させる必要はない。傾向としては、低いエンジン速度(または低い回転子回転速度)を含む全範囲にわたってエンジン速度に応じて空気流量を漸次的に増大させ、次いで、より高いエンジン速度の場合は、空気流量を、何らかの時点から、ただしよりゆっくりと引き続き増大させる、もしくは一定に留める、および/または任意選択で空気流量を少し低減し、それによって所与の高いエンジン速度の場合の最大空気除去流量を常に生じさせるものである。
【0031】
このようにして、空気除去流量は、低いエンジン速度の場合は非ゼロの最小値であり、エンジン速度を(エンジン全開タイプ、上昇タイプまたは巡航タイプの)最高のエンジン速度に到達するまで上昇させることに伴って増大するように可変となり、圧力を平衡化するための方法および装置は、有利には、エンジン速度の上昇を伴った流量における前記増大を限定することを可能にする。
【0032】
本発明の他の利点および特徴は、例として与えられた以下の説明を添付の図を参照して読むことにより、明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術の前部エンクロージャーの軸方向断面図である。
図2】従来技術の後部エンクロージャーの軸方向断面図である。
図3】調節器システムが開位置にある、平衡化装置の第1の実施形態を示す、図2の一部をより拡大した軸方向断面図である。
図4図3の詳細IVの平面図である。
図5】平衡化装置の調節器システムが閉位置にある、図3に類似する図である。
図6】調節器システムが開位置にある、平衡化装置の第2の実施形態の第1の変形例を示す、図2の一部の拡大断面図である。
図7】平衡化装置の調節器システムが閉位置にある、図6に類似する図である。
図8】調節器システムが開位置にある、平衡化装置の第2の実施形態の第2の変形例を備えた、図6に類似する図である。
図9】平衡化装置の調節器システムが閉位置にある、図8に類似する図である。
図10】閉位置にある平衡化装置の調節器システムを示す、図9の方向Xから見た部分図である。
図11】調節器システムが開位置にある、平衡化装置の第2の実施形態の第3の変形例を備えた、図6に類似する図である。
図12】平衡化装置の調節器システムが閉位置にある、図11に類似する図である。
図13】閉位置にある平衡化装置の調節器システムを示す、図12の方向XIIIから見た部分図である。
図14】エンジン内において、本発明の平衡化装置が機器の支持体に置かれる、3つのエンクロージャーおよび前記機器の支持体を有するターボジェットの軸方向断面図の半分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1および図2はそれぞれ、ターボジェットの前部軸受21、22、および23を含む前部エンクロージャー20と、後部軸受32および33を含む後部エンクロージャー30とを示している。エンクロージャーに関しては、低圧回転子40は、前部エンクロージャー20および後部エンクロージャー30を通り抜けた、空気と、空気によって運び去られ、脱油装置によって保持されない微量の潤滑油との両方を除去するダクト41を含む。
【0035】
ターボジェット内のこれらの前部エンクロージャー20および後部エンクロージャー30の位置は、図14に示され得る。
【0036】
より厳密には、図1に示されるように、加圧回路が、駆動ガス流から到来する加圧された空気の3つの流れ(実線の矢印51、52、および53)を前部エンクロージャー20に供給し、一方で、前部エンクロージャー20は、噴射ノズルを介して潤滑油を受け入れる。
【0037】
この油は、基本的に、潤滑液体を回収するための回路(矢印29)を介して、前部エンクロージャー20から除去される。
【0038】
(微量の残留油と混合した)空気は、煙突型の脱油装置24により、回転子40に固定され、またはこれと一体的であり、前記回転子内部で同軸である(軸X−X’)ダクト41を形成する中央の排気管に向かって除去される(点線の矢印61)。ラビリンスシールから形成されたシーリングシステムが、加圧された空気の吸入に対応する前部エンクロージャー20の位置28a、28b、28c、および28dに置かれる。
【0039】
前部エンクロージャー20内に存在する空気および回転子40によって除去された空気は、脱油装置24の下流側に位置する中央の排気管から構成される排気回路の水頭損失を無視して、ほぼ大気圧状態である。エンジン速度が高くなるほど、加圧空気の51から53の流れによってもたらされた加圧された空気P1が、より多くなる。したがって、「巡航飛行」および「エンジン全開」速度の場合、加圧空気P1の圧力は、大気圧力に対して大幅に上昇し、それによってシーリングシステム28a、28b、28c、および28dの境界部において相当な圧力差(一般的なエンジンでは約0.5バールから1バールの範囲)、したがってエンジンの推力に寄与しない極めて多くの空気流量を発生させる。
【0040】
後部エンクロージャー30は、加圧された空気の流れ(実線の矢印54および55)によって、また入口における油吸入(矢印36)によって同じ方法で作動する。この油は、本質的に潤滑液体を回収するための回路(矢印39)を介して後部エンクロージャー30から除去される。(微量の残留油と混合した)空気は、煙突型の脱油装置34によって、回転子40に向かって除去され(点線の矢印62)、ラビリンスシールから形成されたシーリングシステムが、加圧された空気の吸入に対応する後部エンクロージャー30の位置38a、38b、38c、および38dに置かれる。
【0041】
以下において、図1および図2の構造に合わせて適合された本発明の装置の第1の実施形態を示す図3から図5が参照されるが、図1および図2に対する相違点のみが以下で説明される。
【0042】
この第1の実施形態では、調節器システム100の遮断部材が中に置かれたダクト42は、固定状態であり、前記遮断部材110は、ダクト42の外側にある、エンジン速度に応じてダクト42内の遮断部材110の位置を制御するのに適している制御手段に接続される。
【0043】
この固定ダクト42は、回転子40と共に回転させられる回転式ダクト41の下流側の一直線上に延びている。
【0044】
図3から図5に示され得るように、遮断部材110は、ダクト42の主方向X−X’に対して垂直である軸Z−Z’を中心に枢動するように装着されたプレートであり、前記プレートの主平面は、前記非ゼロの最小の貫流れセクション112が、プレートとダクト42の壁の間に留まって最小流量の空気を通過させる閉位置(図5を参照)ではダクト42内で直角に配設され、前記プレートの主平面は、開位置(図3および図4を参照)では、ダクト42の主方向X−X’に対して平行に配設される。
【0045】
したがって、遮断部材110が開位置にあるとき(図3および図4を参照)、遮断部材110の両側に進むように分割する空気の流れと係合するのは、遮断部材110を形成するディスクの縁である(図4の矢印71および72)。
【0046】
この例では、遮断部材110は、中央に貫通穴が設けられ、遮断部材100が中に置かれるダクト42の内径とほぼ等しい外径を有する円形のプレート(ディスク)である。
【0047】
ディスクは、何らかの他の位置に貫通穴が設けられてもよく、またはダクト42の内径より小さい外径を有してもよい。また、円形でないプレートを使用することも可能である。
【0048】
遮断部材110は、閉位置にあるとき(図5)、空気を除去することができる(図5の矢印73)最小の貫流れセクション112を残すように、遮断部材110が中に置かれたダクト42の全断面を満たさないことが望ましい。
【0049】
軸Z−Z’を中心に遮断部材110の角度位置を制御するための制御手段は図示されていない。これらは、ダクトの外側にあり、たとえば、軸Z−Z’を中心に装着されたシャフトによって遮断部材に接続される。
【0050】
第1の可能性としては、スプール(現在の一般的なエンジン用の低圧スプール、中圧スプール、または高圧スプール)の1つのエンジン速度は、それが上昇すると同時に前部エンクロージャー20および後部エンクロージャー30に供給するために生じる空気の圧力も同様に上昇することを鑑みて選択されるパラメータである。別の可能性としては、より精密な調節モードを構成することにより、圧力もまた、調節パラメータ(複数可)として使用される(たとえば、除去された空気の送出圧力である周囲圧力および/または加圧空気の圧力を表す内部の駆動圧力)。
【0051】
したがって、この第1の実施形態では、遮断部材110は、加圧空気がそれに沿ってエンクロージャーから除去される経路内のモータの固定部分に置かれる。したがって、軸Z−Z’中心の遮断部材110の角度位置は、調節用に選択されたエンジンパラメータ(速度または圧力(複数可))に応じて変化することができる。角度位置のこの変化は、空気流れセクションにおける(空気の流量における)変化を引き起こし、したがってシステム内の水頭損失を引き起こす(流量の平方の関数に対応する水頭損失)。
【0052】
本発明の装置の第2の実施形態が以下で説明される。この実施形態では、回転子40の回転を考慮に入れた、受動型の独立した調節器システムが使用され、回転子の速度は、エンジン速度の変化に伴って変化し、その結果、遮断部材の位置が変化し、したがってダクト内の空気流れセクションが変化し、それによって空気流量自体が変化する。
【0053】
この目的のため、ダクト41は、低圧回転子40に固定され、またはこれと一体化しているということによって回転するように装着され、前記遮断部材は、回転運動するダクト41と一体化され、それに関連付けられ、回転子40の回転の速度に応じて前記遮断部材の位置を変更する制御手段に接続される。上記においては、用語「一体化される」は、前記遮断部材を制御するための制御手段が、回転運動するダクト41に固定され、またはこれと一体的であることを意味する。
【0054】
そのような配置は、非限定的な例として与えられた3つの変形例の実施形態に対して以下で説明される。
【0055】
図6および図7に示される第2の実施形態の第1の変形例では、第1の実施形態の遮断部材と同じタイプの、したがって回転運動するダクト41内に置かれた遮断部材210を含む調節器システム200が使用される。図6および図7では、遮断部材はまた、中央に(最小貫流れセクション212を形成する)貫通穴が設けられたディスク形状のプレート210から形成され、この遮断部材210は、回転子40の回転軸X−X’に対して垂直である軸Z−Z’を中心に移動するように装着される。
【0056】
この変形例では、制御手段214は、回転運動するダクト41内に受け入れられ、これらは、その端部の一方(215a)が玉継ぎ手216aを介して前記プレート210に接続された制御棒215と、玉継ぎ手216aを介して制御棒215の端部の他方(215b)に接続され、貫通穴が設けられたフライウエイト217と、前記ダクト41に締結されながら、前記ダクト41に対して直角の平面に対して傾く方向に配設された駆動棒218とを備え、前記フライウエイト217は、前記駆動棒218を中心にその貫通穴を介して摺動するように装着される。たとえば、駆動棒218の2つの端部は、ダクト41の壁内に組み込まれる。
【0057】
したがって、フライウエイト217は、駆動棒218に沿って移動することができる。プレート210と制御棒215の間の玉継ぎ手216aが、プレート210の縁に近接して、および軸Z−Z’に対して垂直な直径に近接して設けられる。
【0058】
加えて、当接部219が使用され、この当接部219は、駆動棒218の長さのほぼ中間に置かれ、回転子40が停止しているとき、フライウエイト217の位置、したがってプレート210の角度位置を画定する。例として示される、図6および図7のばね250の形態の戻り手段が、当接部219とフライウエイト217の間で作用する。回転子が回転を止めると、戻り手段は、フライウエイト217を当接部219に戻す戻り力を及ぼす。
【0059】
回転子40および回転運動するダクト41が回転している間、フライウエイト217上に及ぼされた遠心力が、ばね250によって発生した戻り力に打ち勝つのを可能にし、それによってフライウエイト217が駆動棒218に沿って移動することを可能にし、速度が高くなるにつれて、フライウエイトは駆動棒に沿ってより遠くに移動する。
【0060】
フライウエイト217は、次いで、軸方向成分X−X’で移動するため、制御棒215を介して、プレート210をその軸Z−Z’中心で枢動させるように作用し、エンジン速度が高くなるにつれて、前記プレートはさらに駆動させられる。最大速度では、プレート210は、それ自体が、図7に示されるように回転子40の長手方向軸X−X’に対して垂直な閉位置になる。
【0061】
プレート210の位置における変化により、ダクト41内の空気流れセクションが変更され、したがって水頭損失が変更される。
【0062】
弁部材を形成するプレート210の形態の遮断部材を用いたこの解決策の利点は、開位置における非常に低い水頭損失を提案し、その水頭損失は、プレート210の縁によって、次いで下流側において駆動棒によって、またフライウエイト217によって形成された妨害の程度にすぎないことである。
【0063】
図8から図10に示され得る第2の実施形態の第2の変形例では、異なるタイプであるが、これもまた回転運動するダクト41内部に置かれた遮断部材220を有する調節器システム200が使用される。
【0064】
図8から図10に示され得るように、この遮断部材220は、ダクト41の主方向(軸X−X’)に対して垂直に、軸Y−Y’に沿って配設された共通の遮断部材のピン221を中心に枢動するように装着された2つのフラップ220a、220bを有する(図10を参照)。たとえば、遮断部材のピン221の2つの端部は、ダクト41の壁内に組み込まれる。
【0065】
この例では、2つのフラップ220a、220bは、半円形状のものであり、半円直径は、遮断部材のピン221に沿って延びており、ダクト41の直径よりも小さい。このようにして、フラップ220a、220bの両方が展開されたとき、それにより遮断部材220をその閉位置に置き(図9および図10)、環状の空気の流路は、2つのフラップ220a、220とダクト41の壁の内面との間に留まる。この通路は、最小の貫流れセクション222を形成して、すべての作動形態、たとえば、不具合の場合(2つのフラップ220a、220bが閉位置でつっかえる)であっても、十分な量の空気を除去することを可能にする。
【0066】
ダクト41の内径と等しい直径を有するフラップ220a、220bを想定することが可能であるが、このとき、空気が流れることができる最小流れセクションを残すために、そのうちの1つまたは両方に、貫通穴(複数可)を設けることが望ましい。あるいは、前記フラップ220a、220bは、半円以外の形状を有することができる。
【0067】
この変形例では、フラップ220a(220b)ごとに、制御手段224は、フラップ220a(220b)と支持体226の間に装着されたばね225a(225b)を備える。このようにして、フラップ220a、220bは、回転子40およびダクト41が回転する間、遠心力の影響の下で開き、前記ばね225a、225bは、フラップ220a、220bを圧迫して閉位置に戻す。
【0068】
この例では、支持体226は、軸X−X’およびY−Y’を含む平面に対して平行であるプレートであり、前記支持体226を形成するプレートの縁のみが、ダクト41を通る空気の流れに対する妨害(したがって水頭損失)を構成するように、ダクト41の主方向(軸X−X’)に対して平行な方向で、ダクト41内のその直径の1つの位置に装着される。図示される例では、遮断部材のピン221が支持体226上に装着されるが、その両者をダクト41の主方向(軸X−X’)に位置合わせすることが可能になるにすぎない。
【0069】
ばね225a(225b)は、遮断部材のピン221から遠隔にあるフラップ220a(220b)の縁を、(図8および図9の右の)遮断部材のピン221の下流側(後方)で、各フラップ220a(220b)の半径に近い距離を離して支持体226に接続する。
【0070】
このようにして、図8に示される開位置では、2つのフラップ220a、220bは、折り畳まれており、ダクト41内の空気流れセクションをできるだけ低減しない。これは、エンクロージャー20、30の低い加圧が、空気回路における水頭損失ができるだけ低いことを必要するとき、たとえば、アイドリングなどの低いエンジン速度の場合に特に適用する。
【0071】
2つのフラップ220a、220bは、次いで、遠心力の影響の下で離れることによって再度閉じ(図9を参照)、それによって、空気流れセクションを環状の最小流れセクション222まで低減し、水頭損失を増大させる。
【0072】
2つのフラップ220a、220bには、任意選択で、フライウエイト227a、227bが設けられてもよく(図8および図9を参照)、その重量および位置は、さまざまな作動形態に合わせて調節器システム200によって発生した水頭損失を最適化するために(たとえば、最初の試用によって)選択される。
【0073】
ばね225a、225bは、遠心力を補償するために、2つのフラップ220a、220bを支持体226に向かって圧迫して戻す戻り手段を構成することが理解され得る(図9を参照)。
【0074】
図11から図13に示され得る第2の実施形態の第3の変形例では、第2の実施形態の第2の変形例で上記で説明された遮断部材とはわずかに異なるタイプの遮断部材230を有する調節器システム200が使用される。この調節器システム200もまた、回転運動するダクト41内に置かれる。
【0075】
図11から図13に示され得るように、前記遮断部材230は、ダクト41の主方向(軸X−X’)に対して垂直に配設された共通の遮断部材のピン231を中心に装着された2つの分岐部230a、230bを有し、前記分岐部230a、230bは、弾性材料から作製され、それにより、分岐部230a、230bは、回転子40が回転している間、遠心力の影響の下で開き、回転子40の回転の速度が下降するとき、閉位置に戻る。
【0076】
この例では、遮断部材230は、各々が軸231を中心に枢動するように装着された2つの別個のフラップを有さず、そうではなく、遮断部材230は、2つの分岐部230a、230bを有する、回転子40の回転運動するダクト41内に組み入れられる単一の弾性片である。遮断部材のピン231は、遮断部材230と一体的に形成され得る、または遮断部材230とは異なるが、それに締結される部分を構成することができる。
【0077】
遮断部材のピン231の2つの端部は、たとえば、ダクト41の壁内に組み込まれる。
【0078】
遮断部材のピン231の両側には、図示された例では半円形状のものである(半弁部材に類似する)2つの分岐部230a、230bが見出される(図13を参照)。
【0079】
遮断部材230が、静止状態または開位置にあるとき、2つの分岐部230a、230bは、遮断部材のピン231を中心に互いに向かって折り返される。
【0080】
全般的に、静止状態では、2つの分岐部230a、230bは、低速時において(たとえば、エンジンがアイドリングする間、エンクロージャー20、30の低加圧が、空気回路における水頭損失ができるだけ低いことを必要とするとき)、ダクト41内の空気流れセクションをできるだけ低減しない構成となる。
【0081】
より高いエンジン速度においては、2つのフランジ230a、230bは、遠心力の影響の下で弾性的に変形し、これらが、図12および図13に示された、最小流れセクション232が出現する閉位置に到達するまで、空気の流れ通路をより大きく遮る。
【0082】
2つの分岐部230a、230bは、減速の最後にその初期位置(静止状態)に帰り、それにより、これらは、エンジン上で行われる数多くのサイクルにわたって効果的であり続ける。この目的のため、遮断部材230の開位置(図11)と閉位置(図12および図13)の間では、2つの分岐部230a、230bの弾性疲労限界が超えられることはない。
【0083】
第2の実施形態の第2の変形例でのように、この第3の変形例では、任意選択の方法として、調節器システム200は、さらに、遮断部材のピン231から遠隔にある分岐部230a、230bのある時点で、各分岐部230a、230b上に装着されたフライウエイト237a、237bを含む。
【0084】
第2の実施形態を参照して上記で説明された例では、本発明の平衡化装置は、ターボジェットに装着され、このターボジェットは、脱油装置24または34の下流側において、低圧回転子40の内部にダクト41を備える排気回路を有する少なくとも前部エンクロージャー20および/または後部エンクロージャー30を有し、前記ターボジェットには、圧力平衡化装置が設けられ、そのための調節器システム200が、低圧回転子内に装着される。
【0085】
第1の実施形態を参照して上記で説明された例では、本発明の平衡化装置は、少なくとも前部エンクロージャー20および/または後部エンクロージャー30と、低圧回転子40の下流側において、固定ダクト42を備える排気回路とを有するターボジェット内に装着され、ターボジェットは、圧力平衡化装置を有し、そのための調節器システム100が前記固定ダクト42上に装着される。
【0086】
図14に示され得る別の構成では、ターボジェットは、少なくとも前部エンクロージャー20内の前部軸受および後部エンクロージャー30内の後部軸受と、この例では、中間のエンクロージャー80内に配設された2つの中間軸受とを有する。これらのエンクロージャー20、30、および80の全ての下流側および脱油装置64の下流側では、排気回路60は、回転するように装着されたダクト41と、固定状態になるように装着されたダクト42とを含む。本発明によれば、また特徴的な方法では、ターボジェットは、圧力平衡化装置を有し、そのための調節器システム100または200が、脱油装置64の下流側の、装置の第1の実施形態の場合は図14の位置A(固定ダクト42)、または装置の第2の実施形態の場合は図14の位置B(回転運動するダクト41)のいずれかに装着される。
【0087】
この状況では、調節器システム100または200が装着される下流側の脱油装置64は、有利には、それ自体、補機のギアボックス(AGB)または何らかの他の機器の支持体のエンクロージャー66内に装着される。
【0088】
図1および図2を参照すれば、上記で説明された解決策は、解決策が第1の実施形態(固定ダクト42)であるときは図2の位置A、または解決策が第2の実施形態(回転運動するダクト41)であるときは図2の位置Bの所定の位置に置かれているのが明らかである。
【0089】
取り付け位置のこれらの選択は限定するものでなく、本発明の圧力平衡化装置の第2の実施形態を、回転子40のさらに上流側、特に図1および2のゾーンC内、すなわち前部エンクロージャー20の脱油装置24の後に取り付けることを考えることも可能である。しかしながら、この状況では、前部エンクロージャー20に入る空気の流れのみが、本発明の装置によって影響を受ける。
【0090】
また、2つの位置:図3から13を参照して説明された後部エンクロージャー30の脱油装置34の下流側(第1の実施形態が取り付けられるときは図2の位置Aまたは第2の実施形態が取り付けられるときは図2の位置B)およびさらに本発明の圧力平衡化装置の第2の実施形態、または実際には、より簡単に一定の小さい流れセクションを備えたダイヤフラムを置くことによって前部エンクロージャー20の脱油装置24の下流側(図1および2のゾーンC)の両方に、本発明の圧力平衡化装置を取り付けるように手段を講じることも可能である。
【0091】
本発明の圧力平衡化装置は、シーリングシステムとしてラビリンスタイプのシールを用いるエンクロージャーに適用可能であり、それによってそのシーリング能力をエンクロージャーとエンクロージャーの外側の間の圧力差を低減することによって改良するが、本発明の装置はまた、最新式のシーリングシステムにも適用可能であり、それによってそのようなシステムのパフォーマンスを改良することに留意すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14