特許第5710520号(P5710520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710520
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ガスバルブの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20150409BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20150409BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   F24C3/12 V
   F23K5/00 301C
   F24C15/00 S
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-31168(P2012-31168)
(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-167406(P2013-167406A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2013年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉地 大修
(72)【発明者】
【氏名】畑岡 完
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−041526(JP,A)
【文献】 実開昭56−106277(JP,U)
【文献】 特開2012−013333(JP,A)
【文献】 特開2011−102497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F23K 5/00
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス器具内のマニホールドに一体的に連結されてガス器具器体の操作パネルに形成した開口を介して露出する操作体を備えるガスバルブの取り付け構造において、
前記操作パネル側の器体壁にガスバルブを連結して支持すると共に、該操作パネル側に位置するマニホールドと器体底部との間に設けた支持部材によりマニホールドを支持する構造とし、
前記支持部材は、マニホールドが着座する着座部と、前記操作パネル側を前方としたとき、該着座部の後方端に一体に立設されてマニホールドに当接する規制壁と、前記器体底部に形成された貫通孔に挿入して嵌合する嵌合部とを備えて、マニホールドを、該マニホールドの上方が開放された非連結状態で支持することを特徴とするガスバルブの取り付け構造。
【請求項2】
前記支持部材に、前記器体底部の上面に沿って張り出す張出部と、該張出部から下方に突出する突起とを設け、前記器体底部に、前記突起に対応する位置決め孔を設けて、該位置決め孔に前記突起を係合させることを特徴とする請求項1記載のガスバルブの取り付け構造。
【請求項3】
前記支持部材に、前記着座部の下方に位置して鉛直方向に延びる縦壁面を設け、前記器体底部に、前記縦壁面に対応する起立壁を設けて、該起立壁に前記縦壁面を当接させることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバルブの取り付け構造。
【請求項4】
前記支持部材の少なくとも前記着座部と前記規制壁とは、合成樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のガスバルブの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロ等のガス器具におけるガスバルブの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス器具として例えばガスコンロは、天板上に露出する複数のコンロバーナや、コンロ器体内部のグリルに設けたグリルバーナを備えている。コンロ器体の操作パネルには、各バーナを操作するための点消火ボタンや火力調節レバー等の操作体が配設されている。これらの操作体は、各バーナに対応する複数のガスバルブ(本明細書におけるガスバルブはガスコックも含むものとする)の夫々に設けられている。各ガスバルブは、コンロ器体内に設けられて、燃料ガスを分配供給するマニホールドに連通状態で一体的に取り付けられる。そして、コンロ器体の操作パネルに形成された開口に前記操作体が貫装される。
【0003】
ところで、マニホールドはガスバルブに一体的に取り付けられることから、マニホールドに連結部材を溶接して設け、この連結部材をコンロ器体に連結することで、ガスバルブの取り付け姿勢を安定させることが行われている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、連結部材をマニホールドに溶接する作業が煩わしいだけでなく、マニホールドに対する連結部材の溶接位置に誤差が生じた場合には、ガスバルブの取り付け精度が低下して操作パネルに形成された開口に対する前記操作体の位置ずれが生じる不都合がある。
【0005】
そこで、ガスバルブの前側端部を、コンロ器体の操作パネルの内面側に取り付け、ガスバルブと一体的に設けられているマニホールドを可動自在の吊り下げ構造としたものが提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
これによれば、マニホールドに連結部材を溶接するといった煩わしい作業を行うことなく、ガスバルブの取り付けが容易となり、しかも、ガスバルブの取り付けに自由度が得られるので、操作パネルに形成された開口に対する前記操作体の位置ずれを、ガスバルブの取り付け作業時に容易に解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−17640号公報
【特許文献2】特開2005−195282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のマニホールドをガスバルブにより吊り下げ構造としたものでは、ガスバルブの取り付けに自由度が得られる反面、マニホールドを介してのガスバルブの固定状態が不十分であるため、例えば、点消火ボタンの押圧操作に伴う押圧力によってガスバルブが所定位置から後方に(コンロ器体の奥方に)変位することがある。
【0009】
通常、ガスバルブには、バーナに向かって延びるガス導管が設けられ、ガス導管の先端にはバーナの混合管に設けられた燃料ガスの流入口に向って燃料ガスを噴出させるガスノズルが設けられる。バーナにおいて良好な燃焼を得るためには、ガスノズルから噴出する燃料ガスの噴出ガス流の軸線がバーナの前記流入口の軸線と一致している必要があるが、ガスバルブが所定位置から後方に変位するようなことになると、ガスノズルの噴出ガス流の軸線とバーナの前記流入口の軸線との位置がずれてしまい、バーナにおいて良好な燃焼が得られない。
【0010】
上記の点に鑑み、本発明は、ガス器具の器体に連結したガスバルブに対して、その後方への変位をマニホールドを介して防止することができ、しかも、ガスバルブの取り付け作業性を飛躍的に向上させることができるガスバルブの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、ガス器具内のマニホールドに一体的に連結されてガス器具器体の操作パネルに形成した開口を介して露出する操作体を備えるガスバルブの取り付け構造において、前記操作パネル側の器体壁にガスバルブを連結して支持すると共に、該操作パネル側に位置するマニホールドと器体底部との間に設けた支持部材によりマニホールドを支持する構造とし、前記支持部材は、マニホールドが着座する着座部と、前記操作パネル側を前方としたとき、該着座部の後方端に一体に立設されてマニホールドに当接する規制壁と、前記器体底部に形成された貫通孔に挿入して嵌合する嵌合部とを備えて、マニホールドを、該マニホールドの上方が開放された非連結状態で支持することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ガスバルブが器体壁に連結されると同時にマニホールドが支持部材により支持されるから、ガスバルブの取り付け状態を強固とすることができる。また、支持部材は、その着座部にマニホールドを着座させるだけで支持状態とするので、マニホールドと支持部材との溶接が不要なだけでなく、上方が開放されているため器体へのガスバルブの取り付け作業が極めて容易で、しかも、ガスバルブの取り付け作業時の自由度も得られる。
【0013】
そして更に、支持部材の着座部に着座した状態のマニホールドは、前記操作パネルの反対側から当接する前記規制壁によって後方への変位が規制される。これにより、マニホールドを介してガスバルブの後方(器体の奥側)への変位を防止することができ、バーナにおいて良好な燃焼を得ることができる。
【0014】
即ち、上述したように、ガスバルブには、バーナに向かって延びるガス導管が設けられ、ガス導管の先端にはバーナの混合管に設けられた燃料ガスの流入口に向って燃料ガスを噴出させるガスノズルが設けられるが、本発明によれば、マニホールドを介してガスバルブの後方(器体の奥側)への変位が防止されることによって、ガスノズルから噴出する燃料ガスの噴出ガス流の軸線とバーナの前記流入口の軸線とが一致した状態が維持されるから、バーナにおいて良好な燃焼を得ることができる。
【0015】
また、本発明においては、前記支持部材に、前記器体底部の上面に沿って張り出す張出部と、該張出部から下方に突出する突起とを設け、前記器体底部に、前記突起に対応する位置決め孔を設けて、該位置決め孔に前記突起を係合させる、或いは、前記支持部材に、前記着座部の下方に位置して鉛直方向に延びる縦壁面を設け、前記器体底部に、前記縦壁面に対応する起立壁を設けて、該起立壁に前記縦壁面を当接させることが好ましい。
【0016】
これによれば、支持部材を器体底部に取り付けるときに、前記突起を前記位置決め孔に向け、或いは、前記縦壁面を起立壁に沿った方向に向けるようにすることでマニホールドに対する支持部材の位置合わせが容易に行え、支持部材の取り付け作業を円滑に行うことができる。
【0017】
しかも、支持部材の嵌合部が器体底部の貫通孔に嵌合したときに、同時に前記張出部が器体底部に当接すると共に前記突起が位置決め孔に係合し、或いは、前記起立壁と支持部材の前記縦壁面とが当接するので、器体底部に対する支持部材のがたつきが防止でき、支持部材の姿勢が強固に維持される。これにより、支持部材に支持されたガスバルブ及びマニホールドの姿勢を安定させることができる。
【0018】
なお、支持部材に前記突起と前記縦壁面とを設けると共に、器体底部に前記位置決め孔と前記起立壁とを設けておいてもよく、これによって、器体底部への支持部材の取り付け姿勢を一層強固に維持することができる。
【0019】
また、前記支持部材の少なくとも前記着座部と前記規制壁とを合成樹脂により形成することが好ましい。これによれば、支持部材におけるマニホールドへの接触部分が合成樹脂であるので、当該接触部分でのマニホールドの傷付きが防止でき、マニホールドの表面にメッキが施されていても、メッキを損傷させることなくマニホールドを支持することができる。
【0020】
更に、前記支持部材は、前記着座部及び前記規制壁だけでなく、その全体を合成樹脂により一体成形することも可能であり、これによって支持部材を安価に製造してコストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を採用するガスコンロの外観を示す斜視図。
図2】本発明の一実施形態におけるガスコンロの器体の平面図。
図3】本実施形態のガスバルブの取り付け構造を示す説明的側面図。
図4】本実施形態における支持部材の斜視図。
図5】支持部材によるマニホールドの支持状態を背面視した説明図。
図6】(a)は本実施形態の構成を採用した場合の効果を示す模式図、(b)は比較例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1を参照して、1は本実施形態において採用したガス器具であるガスコンロを示している。該ガスコンロ1の天板2には2つのコンロバーナ3が露出しており、器体4の内部には図示しないグリルバーナが設けられている。器体4の前面には、グリル庫を開閉するグリル扉5が設けられ、その両側には操作パネル6が設けられている。操作パネル6に形成された開口には、点消火ボタン7(操作体)及び火力調節レバー8(操作体)が、操作可能な露出状態に貫装されている。
【0023】
図2に示すように、点消火ボタン7及び火力調節レバー8は、これを一組として、器体4の内部に設けられた複数(本実施形態では3つ)のガスバルブ9の夫々に一組ずつ設けられている。なお、図2においては、コンロバーナ3、グリル庫、及びその他の収容部品の図示を省略している。
【0024】
また、器体4の内部には、マニホールド10が設けられている。マニホールド10は内部に燃料ガスが流動する金属管体であり、その上流端には器体4の後壁を貫通して図示しないガスホースを接続するためのホースエンド11が設けられ、下流端には潰し加工等による閉塞部12が形成されている。そして、マニホールド10の操作パネル6に沿って延びる部分には、各ガスバルブ9が設けられている。
【0025】
各ガスバルブ9は、マニホールド10に連通して上記の2つのコンロバーナ3及びグリルバーナに燃料ガスを供給し、点消火ボタン7及び火力調節レバー8の操作により各バーナの点火と消火及び火力の調節が行われる。
【0026】
ガスバルブ9は、図3に示すように、器体4の前壁13(操作パネル6側の器体壁)にねじ部材14により取り付けられている。前壁13はその外側に操作パネル6(図1参照)が取り付けられる。ガスバルブ9に備える点消火ボタン7及び火力調節レバー8は、前壁13を貫通して操作パネル6から露出する。
【0027】
なお、図3においては図示を省略したが、図1に示すように、点消火ボタン7の先端にはボタン部材7aが取り付けられ、火力調節レバー8の先端には摘み部材8aが取り付けられて美観と操作性とが確保される。
【0028】
マニホールド10は、図3に示すように、支持部材15によって器体底部16に支持されている。なお、図中4aは器体底部16の四隅部に設けられた脚部材である。支持部材15が設けられている器体底部16は、図2に示すように、器体4の側壁17の下縁を内側に折り曲げて水平とした内フランジによって形成されている。
【0029】
図2を参照して、マニホールド10は、ガスコンロ1の製造時には、器体4の内部に収容される前工程で各ガスバルブ9が連結され一体化される。その後、マニホールド10と共にガスバルブ9が器体4の内部に収容され、各ガスバルブ9の前端部が器体4の前壁13にねじ部材14で連結固定される。支持部材15は、一体化されたマニホールド10と各ガスバルブ9とが器体4の内部に収容されるに先立って、器体底部16に取り付けられる。
【0030】
支持部材15は、合成樹脂により形成されており、図4に示すように、ブロック状の基体部18を備えている。基体部18には複数の凹部19が形成されおり、強度を低下させることなく軽量化及び合成樹脂材料の使用量の削減が図られている。
【0031】
基体部18の下面には、その下方に突出する嵌合部20が設けられている。嵌合部20には、下端を支点として弾発的に撓ませることができる一対のバネ片21が、上方に向かって互いに離反する傾斜姿勢で設けられている。基体部18の上面には、マニホールド10が着座する着座部22が形成されている。操作パネル6側を前方としたとき、着座部22の前端には、前側規制壁23が設けられ、着座部22の後端には、後側規制壁24が設けられている。着座部22と前側規制壁23及び後側規制壁24とはマニホールド10の周壁の曲面に対応して連続する湾曲面により切れ目なく形成されている。
【0032】
また、基体部18には、器体底部16に沿って後側に張り出す張出部25と、この張出部25の下面から下方に突出する突起26とが設けられている。更に、基体部18の一側には、着座部22の下方に段差を介して鉛直方向に延びる縦壁面27が形成されている。
【0033】
図3に示すように、嵌合部20は、器体底部16に形成された貫通孔28に挿通されて嵌合状態となる。嵌合部20の一対のバネ片21は、貫通孔28を通過途中では互いに接近する方向に弾発的に撓み、貫通孔28を通過して基体部18が器体底部16に当接したところで弾発的に拡開する。これにより、支持部材15は、基体部18が抜け止めされた状態で器体底部16に取り付けられる。
【0034】
基体部18が器体底部16に取り付けられたとき、同時に張出部25も器体底部16に当接して基体部18の姿勢を安定させる。更に、突起26が、器体底部16に形成された位置決め孔29に係合する。これにより、支持部材15は、基体部18が位置決めされ、がたつき等が防止された状態で器体底部16に取り付けられる。
【0035】
しかも、支持部材15を器体底部16に取り付けるとき、突起26と位置決め孔29とで相互の位置を合わせながら、嵌合部20を貫通孔28に挿入することができるので、支持部材15を誤った向きに取り付ける等の取り付けミスが防止できると共に、支持部材15の器体底部16への取り付け作業が円滑に行える。
【0036】
更に、図5に示すように、基体部18が器体底部16に取り付けられたとき、基体部18の縦壁面27が、器体底部16に形成された起立壁30に当接する。起立壁30は、器体底部16である内フランジの内周縁を折り起こして形成している。縦壁面27が起立壁30に当接することで基体部18のがたつき等が防止され、支持部材15の安定した姿勢が維持される。
【0037】
また、支持部材15を器体底部16に取り付けるとき、縦壁面27を起立壁30に向けて嵌合部20を貫通孔28に挿入することで、支持部材15を正しい方向に向けることができ、支持部材15の器体底部16への取り付け作業が円滑に行える。
【0038】
また、図3に示すように、マニホールド10が着座部22に着座した状態のとき、マニホールド10は、基体部18により下方から強固に支えられる。そして、着座部22に着座しているマニホールド10には、その前後方向から前側規制壁23と後側規制壁24とが当接する。これにより、マニホールド10は、下方向及び前後方向への変位が確実に防止された状態で支持部材15に支持される。
【0039】
支持部材15は、各ガスバルブ9を器体4の前壁13に取り付けたとき、マニホールド10を支持した状態となるが、着座部22はその上方が開放されていることにより自由度が確保される。それにより、前壁13に対する各ガスバルブ9の取り付け位置合わせが容易であり、各ガスバルブ9を高い精度で取り付けることができる。
【0040】
更に、支持部材15は、図2に示すように、前壁13側(操作パネル6側)に位置するマニホールド10を支持している。そして、本実施形態では、図5に示すように、マニホールド10の下流端の閉塞部12とガスバルブ9との間の位置に支持部材15を設けている。これによれば、ガスバルブ9と支持部材15との間の距離が比較的小さいことにより、ガスバルブ9からの荷重をマニホールド10を介して支持部材15により確実に受けることができる。この荷重は、例えば、点消火ボタン7を押圧したとき等に、ガスバルブ9からマニホールド10に伝達されるものである。
【0041】
ここで、支持部材15による効果を、図6(a)及び図6(b)を参照して説明する。図6(a)及び図6(b)は、何れも、器体4の前壁13に取り付けたガスバルブ9、及び器体4の内部に設けられたバーナ(図示省略)の混合管31の一部を模式的に示している。図6(a)は、本実施形態の支持部材15を備えている。図6(b)は、比較例として挙げるもので、支持部材15を備えていず、マニホールド10がガスバルブ9により吊り下げ状態となっている。それ以外の構成は、図6(a)と図6(b)とで同一である。
【0042】
図6(b)において、点消火ボタン7が押圧操作されると、このときの押圧力がガスバルブ9に付与される。この押圧力を受けたガスバルブ9は、器体4の前壁13の歪み等により僅かに器体4の奥側に変位する(この変位は僅かであるが、図においては説明の便宜上誇張して示している)。
【0043】
ガスバルブ9から延びるガス導管32の先端には、バーナの混合管31に設けられた燃料ガスの流入口33に臨むガスノズル34が設けられている。ガスバルブ9が器体4の奥側に変位すると、ガスノズル34からの噴出ガス流の軸線x1が、流入口33の軸線x2からずれる。このため、ガスノズル34からの噴出ガス流によって十分なエゼクタ効果が得られず、一次空気の吸入が不十分となってバーナ(図1におけるコンロバーナ3等)において良好な燃焼が得られないおそれがある。
【0044】
それに対して、本実施形態のものでは、図6(a)に示すように、支持部材15を備えている。支持部材15は、ガスバルブ9を一体的に備えるマニホールド10を着座させた状態で支持し、前側規制壁23と後側規制壁24とがマニホールド10の移動を前後から規制している。
【0045】
この状態で、点消火ボタン7が押圧操作され、このときの押圧力がガスバルブ9に付与されると、ガスバルブ9が器体4の奥側に変位しようとする。しかし、前側規制壁23と後側規制壁24との特に後側規制壁24がマニホールド10に当接していることにより、ガスバルブ9が器体4の奥側に変位しようとしても、支持部材15の後側規制壁24によってマニホールド10が規制され、ガスバルブ9は定位置に止まった状態を維持する。
【0046】
これにより、点消火ボタン7が押圧操作されたときの押圧力がガスバルブ9に付与されても、ガスノズル34からの噴出ガス流の軸線x1と流入口33の軸線x2とが一致した状態を維持することができ、バーナにおける良好な燃焼を得ることができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、図4に示す形状の支持部材15を採用したが、図示しないが、張出部25及び突起26の位置や、縦壁面27の位置を器体4の形状に応じて変更することが可能である。
【0048】
また、ガスノズル34からの噴出ガス流の軸線x1と流入口33の軸線x2とが一致すること及びマニホールド10の取り付けの際に支持部材15への着座の支障がない範囲であれば、前側規制壁23及び後側規制壁24の形状を適宜変更することが可能である。即ち、本実施形態のように、前側規制壁23と後側規制壁24とを同等の高さとする以外に、図示しないが、前側規制壁23を低くし且つ後側規制壁24を高くする、或いは、前側規制壁23を設けず後側規制壁24のみとする等の変更が可能である。後側規制壁24のみとした場合にも、ガスバルブ9の後方(器体4の奥側)への変位を防止できる。
【符号の説明】
【0049】
1…ガスコンロ(ガス器具)、4…器体、6…操作パネル、7…点消火ボタン(操作体)、8…火力調節レバー(操作体)、9…ガスバルブ、10…マニホールド、13…前壁(操作パネル側の器体壁)、15…支持部材、16…器体底部、20…嵌合部、22…着座部、24…後側規制壁(規制壁)、25…張出部、26…突起、27…縦壁面、28…貫通孔、29…位置決め孔、30…起立壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6