(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710525
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】障害情報収集解析システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/70 20130101AFI20150409BHJP
H04L 29/14 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
H04L12/70 100Z
H04L13/00 311
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-50367(P2012-50367)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-187685(P2013-187685A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237662
【氏名又は名称】富士通テレコムネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100105337
【弁理士】
【氏名又は名称】眞鍋 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100072833
【弁理士】
【氏名又は名称】柏谷 昭司
(74)【代理人】
【識別番号】100075890
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 弘一
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝
【審査官】
永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−244747(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0290364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/26、12/50−12/955、29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ伝送システムの障害情報を収集して障害原因を解析する障害情報収集解析システムに於いて、
受信データを保存する1次保存用メモリと、
該1次保存用メモリに保存された前記受信データを圧縮処理して保存する2次保存用メモリと、
障害発生情報に従った制御により前記2次保存用メモリに保存されたデータを基に前記受信データを復元するデータ復元部と、
該データ復元部により復元された受信データを基に障害解析処理を行う試験制御部と
を備え、
1次保存用メモリに保存された受信データを、期待値データと比較して一致又は近似した内容の期待値データに変換圧縮して前記2次保存用メモリに保存する構成を備えるとともに、
前記データ伝送システムを構成する伝送ユニットの単一又は複数の内部処理部対応の処理出力データをモニタし、該処理出力データと前処理出力データとの比較差分値を求めて保存する構成とを備えたことを特徴とする障害情報収集解析システム。
【請求項2】
前記データ復元部は、前記2次保存用メモリに保存されたデータを、該データの保存時に参照した前記期待値データを基に前記受信データを復元処理する構成を備えたことを特徴とする請求項1に記載の障害情報収集解析システム。
【請求項3】
データ伝送システムの障害情報を収集して障害原因を解析する障害情報収集解析システムに於いて、
複数の伝送網対応の複数の伝送ユニットと、該複数の伝送ユニットに対して共用化した制御系ユニットとを備え、
前記複数の伝送ユニットは、受信データを保存する1次保存用メモリと、期待値データを格納した期待値データ部と、前記1次保存用メモリに保存した受信データと前記期待値データ部からの期待値データとを比較して圧縮したデータを前記制御系ユニットに転送する比較部と、前記制御系ユニットからの制御に従って監視制御を行う試験制御部とを含む構成を備え、
前記制御系ユニットは、前記複数の伝送ユニットに於ける前記期待値データを基に圧縮したデータを受信して保存する2次保存用メモリと、前記期待値データを基に前記受信データを復元する復元処理部と、該復元処理部により復元した受信データを、障害発生通知を送出した伝送ユニットに対する受信データとして障害解析処理を実行させる制御部とを備えた
ことを特徴とする障害情報収集解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のデータ伝送システムに於ける障害発生の検出と障害原因の解析とを効率良く且つ迅速に実行可能とした障害情報収集解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種のデータをパケット構成やフレーム構成によって伝送するシステムが一般的であり、更に多重化して大容量且つ高速で伝送するシステムも運用されている。このようなデータ伝送システムに於けるデータの送受信装置は、伝送誤りを検出して、誤り訂正や再送処理等の手段により、正しいデータの送受信を行うことが必要であり、その為の各種の構成及び方法が提案されている。
図6は、従来例の伝送システムの要部説明図であり、101は伝送ユニット、102は監視端末、103は伝送網(例えば、IP網)、111は送受信部(PHY)、112は受信処理部、113は送信処理部、114は内部処理部、115は警報監視部、116は主信号データ監視部、117は制御部(CPU)を示す。伝送網103は、伝送ユニット101と図示を省略した他の伝送ユニットとの間のデータを伝送するものである。なお、伝送ユニット101及び伝送網103は、伝送データの種別や、フレーム構成、パケット構成、多重化構成等のデータ伝送形式に対応して各種の構成が適用されている。
【0003】
又前述の
図6に示す伝送ユニット101は、主として監視機能について示すもので、プロセッサCPUを含む制御部117は、監視端末102からの例えば装置設定の制御情報に応じて伝送ユニット101内の各部の設定制御を行うと共に、収集した警報情報等を監視端末102へ転送する。又送受信部111は、伝送網103の構成に対応してデータの送受信処理を行う構成を有するもので、受信処理部112は、送受信部(PHY)111により受信したデータを内部処理部114と主信号データ監視部116とに転送し、内部処理部114により処理した受信データを、図示を省略した送受信端末や他の伝送ユニットへ転送する。又内部処理部114により処理した送信データを送信処理部113へ転送し、送信フォーマットに従った処理を行い、送受信部111から伝送網103を介して、図示を省略した送信先の伝送ユニットに送信する。制御部117は、警報監視部115と主信号データ監視部116とによる監視情報を収集し、監視端末102に対して警報通知等の制御処理を行う。又主信号データ監視部116は、受信処理部112により受信処理した主信号の正常性のチェックを行い、異常検出の場合は、警報監視部115へ通知し、警報監視部115による警報内容の詳細検討処理を行って、処理結果を制御部117へ通知することも可能の制御構成を有するものである。
【0004】
又受信したデータ等を保存しておいて、障害発生を検出した時に、その原因を究明する為に、過去からの受信状態をチェックする各種の手段が提案されている。
図7は、受信データを保存して、障害発生時の原因解明を行う手段を含む従来例の伝送ユニットの要部説明図であり、201は伝送ユニット、202は監視端末、203は伝送網(例えば、IP網)、211は送受信部(PHY)、212は受信処理部、213は送信処理部、214は内部処理部、215は警報監視部、216は主信号データ監視部、217は制御部(CPU)、218はデータ格納部、219はデータ保存用メモリを示す。伝送ユニット201と監視端末202と伝送網203とは、
図6に示す伝送ユニット101と監視端末102と伝送網103とに対応した構成ではあるが、伝送ユニット201にデータ保存用メモリ219を有するデータ格納部218を設けて、送受信部211による受信データ及び主信号データ監視部216により監視する主信号データとを、データ格納部218のデータ保存用メモリ219に保存し、障害発生原因解析時に、データ保存用メモリ219に保存したデータを、送受信部211から受信処理部212及び内部処理部214に入力して処理することにより、障害発生の再現処理等によって、原因究明を図るものである。
【0005】
又送受信データをメモリに記憶させ、そのメモリの記憶容量を超える状態の場合は、記憶されている古いデータを破棄して、新たなデータの追加記憶を可能とし、又障害発生情報により、新たなデータの記憶保持を一時停止し、その障害発生直前までの記憶保持していたデータを送受信データ履歴情報として、障害発生原因解明の一助とする管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。又移動無線通信システムに於ける基地局の障害情報を収集して、障害原因を究明する為の障害情報収集手段が提案されており、その障害情報収集手段は、障害情報の記録と、履歴情報に変換しての記録と、有効か否かを判定して有効障害情報の記録とを含む各種の記録手段を含み、又記録用のメモリの容量不足となった時に於ける高優先度障害情報は、予め確保した空きメモリ領域に記憶させる等の制御手段を備えて、メモリ容量を極端に増加することなく障害情報の増加にも対処可能とすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−224184号公報
【特許文献2】特開2004−120072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
各種のデータ伝送システムに於いては、前述のように、障害発生を検出した時に、その原因を究明して、迅速に正常状態に修復させ、且つ障害による誤りデータの訂正処理を行って、信頼性の高い伝送システムを運用することが要望されるものであり、伝送路断等の障害発生時は、受信断検出により直ちに検出可能であるが、伝送データのフォーマットやデータの誤りを含む障害発生についても、迅速に検出して、正常状態に復帰させることがデータ伝送の信頼性向上の為に必要である。従って、前述のような各種の手段が提案されている。通常は、伝送路を介して受信したデータや、自動訂正処理等の処理情報を保存しておくことにより、障害発生検出時に、保存情報の中の所定期間遡った時点からのデータや処理情報を基に、障害発生の原因を調べる場合が一般的である。そのような場合の受信保存するデータ量は、高速且つ大容量伝送システムに於いては特に膨大なものとなり、メモリ容量や経済的な点から、保存する期間が制限される場合が一般的である。又メモリ容量削減を図る手段としては、前述の特許文献1,2等により提案されているが、迅速且つ正確な障害発生原因究明の為には充分ではない問題があった。
【0008】
本発明は、前述の従来例の問題点を解決することを目的とし、メモリ容量を極端に増大することなく、障害発生原因究明の為の所望の期間の受信した各種データを保存可能として、迅速且つ正確な原因究明を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の障害情報収集解析システムは、データ伝送システムの障害情報を収集して障害原因を解析する障害情報収集解析システムであって、受信データを保存する1次保存用メモリと、該1次保存用メモリに保存された前記受信データを圧縮処理して保存する2次保存用メモリと、障害発生情報に従った制御により前記2次保存用メモリに保存されたデータを基に前記受信データを復元するデータ復元部と、該データ復元部により復元された受信データを基に障害解析処理を行う試験制御部とを備え
、1次保存用メモリに保存された受信データを、期待値データと比較して一致又は近似した内容の期待値データに変換圧縮して前記2次保存用メモリに保存する構成を備えるとともに、前記データ伝送システムを構成する伝送ユニットの単一又は複数の内部処理部対応の処理出力データをモニタし、該処理出力データと前処理出力データとの比較差分値を求めて保存する構成とを備えている。
【0011】
又前記データ復元部は、前記2次保存用メモリに保存されたデータを、該データの保存時に参照した前記期待値データを基に前記受信データを復元処理する構成を備えることができる。
【0013】
又データ伝送システムの障害情報を収集して障害原因を解析する障害情報収集解析システムに於いて、複数の伝送網対応の複数の伝送ユニットと、該複数の伝送ユニットに対して共用化した制御系ユニットとを備え、前記複数の伝送ユニットは、受信データを保存する1次保存用メモリと、期待値データを格納した期待値データ部と、前記1次保存用メモリに保存した受信データと前記期待値データ部からの期待値データとを比較して圧縮したデータを前記制御系ユニットに転送する比較部と、前記制御系ユニットからの制御に従って監視制御を行う試験制御部とを含む構成を備え、前記制御系ユニットは、前記複数の伝送ユニットに於ける前記期待値データを基に圧縮したデータを受信して保存する2次保存用メモリと、前記期待値データを基に前記受信データを復元する復元処理部と、該復元処理部により復元した受信データを、障害発生通知を送出した伝送ユニットに対する受信データとして障害解析処理を実行させる制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
1次保存用メモリと2次保存用メモリとを含み、その1次保存用メモリは、少なくとも2次保存用メモリに保存する為の圧縮処理に要する期間の受信した各種データの保存を保証できる記憶容量で済み、又2次保存用メモリは、1次保存用メモリに保存したデータを圧縮処理して記憶することにより、少ない記憶容量で済むことが可能となり、比較的長期間のデータ受信処理についての主信号データを含む各種の受信データに関連する情報を記憶可能とすることでき、特に期待値データとの比較変換により、保存に要するメモリ容量を大幅に削減可能となる利点がある。又伝送ユニットに於ける内部処理ブロック対応に於いても、少ない記憶容量で比較的長期間の処理出力データについて情報を保存可能となり、従って、障害解析時には、比較的長期間にわたる処理出力データを復元して、解析処理を実行することができるから、有効な障害解析が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の障害情報収集解析システムは、
図1を参照すると、データ伝送システムの障害情報を収集して障害原因を解析する障害情報収集解析システムであって、受信データを保存する1次保存用メモリ18と、この1次保存用メモリ18に保存された前記受信データを圧縮処理して保存する2次保存用メモリ14と、障害発生情報に従った制御により前記2次保存用メモリ14に保存されたデータを基に前記受信データを復元するデータ復元部3と、このデータ復元部3により復元された受信データを基に障害解析処理を行う試験制御部2とを備えている。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の要部構成説明図であり、1は制御部、2は試験制御部、3はデータ復元部、4はデータ格納部、5は検出部、6はデータ比較部、11は試験データ作成部、12は試験部、13は復元処理部、14は2次保存用メモリ、15は比較部、16は期待値データ部、17は圧縮部、18は1次保存用メモリ、19は主信号データ監視部、20は警報監視部、21は処理データ部(各回路での処理データ)、22は比較部、23は前データ保持部を示し、データ伝送システムに於ける伝送ユニット等の障害情報収集解析システムの要部機能ブロックを示す。制御部1は、プロセッサCPUを含む構成を有し、各部の状態を監視し、且つ各部を制御する機能を有するものであり、又図示を省略している監視端末との間で警報や障害発生原因の情報の通知等の機能も含むものである。又検出部5は、伝送された主信号データの正常性等の監視を行う主信号データ監視部19と各部の警報等についても監視する警報監視部20とを含むものである。
【0018】
又データ比較部6は、処理データ部21により、データ伝送システムの伝送ユニット等のデータ送受信処理機能を有するシステム内の各回路部に於ける処理データを収集し、前データ保持部23に保持すると共に、この前データ保持部23に保持された前回のデータと今回のデータとを比較部22に於いて比較する機能を含み、比較結果をデータ格納部4へ転送する。このデータ格納部4は、1次保存用メモリ18と2次保存用メモリ14と比較部15と期待値データ部16と圧縮部17とを含む構成を有し、受信したヘッダ部等と主信号データとを含む入力データを、順次所定時間、1次保存用メモリ18に保存し、この1次保存用メモリ18から順次読出した入力データと、期待値データ部16からの期待値データとを比較部15により比較し、比較結果に応じたデータに圧縮処理して、2次保存用メモリ14に順次保存する。又データ復元部3は、制御部1からの制御に従って、データ格納部4の2次保存用メモリ14に保存されたデータと、期待値データ部16からの期待値データとを基に、データを復元処理して、試験制御部2の試験データ作成部11へ転送し、作成した試験データを基に、制御部1からの制御によって、試験部12による試験対象部に対する試験を行い、その試験結果を制御部1へ転送する。
【0019】
又データ格納部4は、主信号データ(ヘッダ等を含む入力データ)を所定期間、継続的に順次格納する1次保存用メモリ18と、比較部15又は圧縮部17により圧縮処理したデータを保存する2次保存用メモリ14とを備え、且つ比較部15に於いて比較処理する為の期待値を格納した期待値テーブル16とを備えている。そして、障害発生時や警報監視部(図示せず)からの制御によって、2次保存用メモリ14から、障害発生の前後の所定期間のデータをデータ復元部3の復元処理部13へ転送し、同時に期待値データ部16から圧縮処理に用いた期待値データを復元処理部13へ転送し、データを復元処理し、復元したデータを試験制御部2へ転送する。なお、圧縮部17により圧縮処理されて2次保存用メモリ14に格納されていたデータについては、圧縮処理の逆処理により、元のデータに復元されることになる。又伝送ユニットの内部処理部(図示せず)対応に、データ比較部6を設けて、処理データについて圧縮処理し、データ格納部4へ転送して、2次保存用メモリ14に保存する構成とすることも可能である。
【0020】
図2は、本発明の実施例1の説明図であり、61は伝送ユニット、62は監視端末を示し、伝送網及び他の伝送ユニットや送受信端末装置等は図示を省略している。又31は監視端末62と接続して内部の各部分を管理且つ制御する制御部(CPU)、32は試験制御部、33はデータ復元部、34はデータ格納部、35は主信号データ監視部、36は警報監視部、37は内部処理部、38は試験制御部、39は送受信部(PHY)、40は受信処理部、41は送信処理部を示す。又42は試験データ作成部、43は復元処理部、44は1次保存用メモリ、45は2次保存用メモリ、46は比較部、47は期待値データ部、48は圧縮部、49は試験部、50,51はデータ比較部、52,55は処理データ部、53,56は比較部、54,57は前データ保存部を示す。なお、伝送ユニット61に於ける内部処理部37は、同一又は異なる処理機能を有する構成を複数設け、それぞれに障害解析の為のデータ比較部を設け、それぞれのデータ比較部によるデータ比較結果を、各データ比較部を識別可能とする符号等を付加して、データ格納部34へ転送することにより、保存する構成とすることも可能である。それによって、内部処理部対応に障害解析処理が可能となる。なお、複数の内部処理部を設けた場合に、各内部処理部対応のデータ比較部によるデータ比較結果を所定期間保持するメモリを設けることも可能である。
【0021】
試験制御部32は、
図1の試験制御部2に相当する機能を有し、データ復元部33は
図1のデータ復元部3と同様のデータ復元処理機能を有する復元処理部43を備えている。又データ格納部34の1次保存用メモリ44には、送受信部39により受信処理したヘッダ等を含む受信データを転送して保持する。又試験制御部38の試験部49は、制御部31の制御により試験を行う場合、試験制御部32の試験データ作成部42に於いて作成した障害発生検出時点のヘッダ等を含む受信データを基に作成した試験データを受信処理部40へ入力して受信処理を行わせ、その処理結果を、主信号データ監視部35を介して制御部31へ転送して、制御部31の制御に従って監視端末62へ警報通知等を行う。又監視端末62からの装置設定等の制御情報を受信した制御部31は、その制御情報を基に、伝送ユニット61内の制御や設定等を行う。又内部処理部37は、データ比較部50,51と共に、図示を省略した送受信データの処理部を含み、伝送ユニット61内の図示を省略している処理回路等と共に、図示を省略した端末装置等との間のデータ転送制御手段を含む構成を有し、前述のように、伝送ユニット61として、送受信データを処理する為の複数の内部処理部37を含む構成とすることができる。
【0022】
図3は、MACフレームの説明図であり、データ伝送システムに於けるデータ伝送のフォーマットの一例のMAC(Media Access Control)フレーム構成を示し、このMACフレームは、先頭から、7オクテット構成のプリアンブル(PREAMBLE)、1オクテット構成のSFD(Start of Frame Delimiter)、6オクテッド構成の送信先アドレス(DESTINATION ADDRESS;DA)、6オクテッド構成の送信元アドレス(SOURCE ADDRESS;SA)、2オクテッド構成のフレーム長/タイプ(LENGTH/TYPE)、PAD(Pading bit)を含む46〜1500オクテッドのデータ(MAC CLIENT DATA)、4オクテッドのフレームチェックシーケンス(FRANE CHECK SEQUENCE;FCS)を含む構成を有するもので、更に、拡張部(EXTENSION)を含む場合もある。このMACフレーム構成によりデータ伝送する場合のデータ格納部(
図1の4及び
図2の34参照)の処理について、期待値データ部(
図1の16及び
図2の47参照)の処理について、
図4を参照して説明する。
【0023】
前述の期待値の説明図としての
図4に於いて、MACフレームの先頭の7オクテットのプリアンブルと1オクテットのSFD(Start of Frame Delimiter)とについて、期待値として、Case−1〜Case−4を定め、例えば、正常の場合をCase−1、正常値に対する反転値の場合をCase−2、受信フレームの一発目と同一内容の場合をCase−3、前フレームと同一の場合をCase−4とし、又送信先アドレスDAについては、Case−1〜Cace−3を定め、受信フレームの一発目は記録するCase−1、それ以後について同一の場合をCase−2とする。同様に、送信元アドレスSAについても、Case−1〜Case−3を定める。又フレーム長/タイプ(LENGTH/TYPE)については、Case−1〜Case−6とした場合を示す。又IFG(Inter Frame Gap)は、MACフレームを伝送する場合のフレーム間ギャップを示し、このフレーム間ギャップについてもIFG期待値として、規定時間内のCase−1、規定時間外のCase−2、前パケットと同じ場合のCase−3とを設定する。
【0024】
又1次保存用メモリ18,44(
図1及び
図2参照)に保持された
図3に示すMACフレームの46〜1500オクテッドのデータは、圧縮部17,48(
図1,
図2参照、以下同様に、
図1,
図2を参照して説明する)により圧縮処理し、その圧縮データと、比較部15,46に於いて比較処理した期待値データとを2次保存用メモリ14,45に順次記憶させる。この場合、例えば、7オクテットのプリアンブルと1オクテットのSFDとをCase−1〜Case−4を示す為の2オクテット構成に圧縮し、6オクテッドの送信先アドレスと送信元アドレスとをそれぞれCase−1〜Case−3の3種類として、1発目とその後に同一アドレスが継続するか否かを示す情報に圧縮し、2オクテットのフレーム長/タイプを、2オクテット構成に圧縮し、又4オクテット構成のFCSの期待値を、正常の場合とエラー発生の場合との1オクテットに圧縮することも可能である。なお、それぞれの圧縮値は、6オクテット単位とすることも可能である。即ち、2次保存用メモリ14,45に保存する受信データについて、データ部は圧縮部17,48により圧縮し、ヘッダ等については、期待値データを基に圧縮処理して、2次保存用メモリ14,45に保存することが可能となり、比較的少ない記憶容量でも長期間に亘るデータを保存することが可能となる。
【0025】
又制御部1,31により試験制御部2,32を起動して試験を行う場合、試験制御部2,32、データ復元部3,33、データ格納部4,34をそれぞれ制御し、データ格納部4,34の2次保存用メモリ14,45に保存した圧縮データと期待値データとを基にデータ復元部3,33の復元処理部13,43によりデータを復元し、試験制御部2,32の試験データ作成部11,42へ転送し、受信データを復元した試験用データを作成し、その試験用データを、試験制御部38の試験部49へ転送し、その試験用データを受信処理部40に入力することにより、障害再現試験を行うことができる。なお、他のログ情報も同時に利用することも可能である。又警報監視部36等からの制御によって、内部処理部37に於ける異常発生時に、データ格納部34、データ復元部33、試験制御部32及び制御部31の処理機能によって、復元したデータを基に異常発生原因を探索することが可能となる。
【実施例2】
【0026】
図5は、本発明の実施例2の説明図であり、制御系ユニット70と複数の伝送ユニット71−1,71−2,・・・と、監視端末72とを含み、伝送ユニット71−1,71−2,・・・は、伝送網92−1,92−2,・・・対応に設けた場合の要部のシステム構成を示し、73はデータ格納・復元部、74は制御部、75は復元処理部、76は期待値データ部、77は2次保存用メモリ、78は試験データ作成部、79は伝送ユニット71−1,71−2,・・・対応の制御部、80はデータ格納部、81は主信号データ監視部、82は警報監視部、83は内部処理部、84は送受信部(PHY)、85は試験制御部、86は受信処理部、87は送信処理部、88は試験部、89は比較部、90は期待値データ部、91は1次保存用メモリを示す。複数の伝送網92−1,92−2,・・・対応の伝送ユニット71−1,71−2,・・・に対して、制御系ユニット70及び監視端末72を共用化したシステム構成とし、データ格納・復元部73の2次保存用メモリ77は、複数の伝送ユニット71−1,71−2,・・・対応に設ける構成に比較して、経済化を図ることが可能となる。又伝送ユニット71−1,71−2,・・・に於ける内部処理部83は、複数の内部処理ブロックとして構成し、それぞれに、
図2に示すデータ比較部50,51を設けた構成とすることも可能であり、その場合は、データ比較部に対応したデータ格納・復元部73の構成とすることができる。
【0027】
又前述の各実施例は、MACフレームによるデータ伝送システムの場合を示すが、他のフレーム伝送システムや、SDH/SONET等の同期多重化伝送システムについても適用可能であり、
図4に示す期待値としては、それぞれの伝送フォーマットのヘッダ構成等を基に設定することが可能である。例えば、同期多重化伝送システムに於けるオーバーヘッドについては、例えば、フレーム同期パターンA1,A2、誤り監視用バイトB1、オーダワイヤ用バイトE1、ユーザチャネルバイトF1等があり、それぞれ期待値データを設定して、その期待値データとの比較結果を保存することも可能であり、長期間に亘り保存する各種データを、圧縮処理した状態とすることにより、メモリ容量を格段に大きくすることなく、受信状態の正常性を確認可能とすると共に、障害原因探索の為に保存するデータを長期間に亘り保存して、障害探索処理に寄与することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 制御部
2 試験制御部
3 データ復元部
4 データ格納部
5 検出部
6 データ比較部
11 試験データ作成部
12 試験部
13 復元処理部
14 2次保存用メモリ
15 比較部
16 期待値データ部
17 圧縮部
18 1次保存用メモリ
19 主信号データ監視部
20 警報監視部
21 処理データ部
22 比較部
23 前データ保持部