特許第5710542号(P5710542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5710542-クレーンカーホイル交換装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710542
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】クレーンカーホイル交換装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 11/00 20060101AFI20150409BHJP
   B66C 1/62 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B66C11/00
   B66C1/62 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-98469(P2012-98469)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-227090(P2013-227090A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000200334
【氏名又は名称】JFEメカニカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 能行
(72)【発明者】
【氏名】石田 忠博
(72)【発明者】
【氏名】兼井 俊英
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−048360(JP,U)
【文献】 特開昭59−031293(JP,A)
【文献】 実開昭61−161167(JP,U)
【文献】 実開昭62−188807(JP,U)
【文献】 実開昭53−063106(JP,U)
【文献】 特公昭40−021072(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/62
B66C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道台車式クレーンの台車の車輪であるカーホイルを交換する為のクレーンカーホイル交換装置であって、
前記軌道であるレールの上面及び側面に夫々接触して転動するクランプローラを具備し該クランプローラの転動により前記レール上を移動する架台と、
該架台でアーム尾端を軸支されて鉛直面内で旋回しアーム先端で前記カーホイルの車軸を支持するカーホイル支持アームと、
前記レールに固定されて前記架台を移動させる架台駆動手段と
を有してなることを特徴とするクレーンカーホイル交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンカーホイル交換装置に関し、詳しくは、天井クレーン等の、軌道台車式クレーンの走行台車(クレーンサドル)又は横行台車(トロリ)の車輪であるカーホイルを安全に交換(取り替え)する為の、クレーンカーホイル交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天井クレーン等の、高所に配設した軌道(レール)に沿って走行或いは横行する台車を有するクレーン(以下、軌道台車式クレーンという)では、点検の作業性・安全性・検査精度等を向上させる手段として、特許文献1に記載のクレーン走行レールなどの点検架台、特許文献2に記載の天井走行クレーンの点検時転落防止装置、特許文献3に記載の天井クレーン用移動式点検デッキ、特許文献4に記載の天井クレーンの点検台、特許文献5に記載のクレーンの巻揚機の点検台、特許文献6に記載のひずみゲージによる天井走行式クレーン横行ガーダの異常検査方法などが知られている。又、特許文献7には、ホイスト式天井クレーン並に小型で、且つクラブ式天井クレーン並にスピードや耐久性に優れた天井クレーンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−34878号公報
【特許文献2】実開昭59−187692号公報
【特許文献3】実開昭60−53792号公報
【特許文献4】実開昭60−93687号公報
【特許文献5】実開平3−97486号公報
【特許文献6】特開昭62−263440号公報
【特許文献7】特開2011−57429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、従来、前記クレーンカーホイル(略してカーホイル)の交換(取替)作業は、人手で行われていた。即ち、カーホイルの取り外し時には、走行台車(クレーンサドル)の、或いは横行台車(トロリ)の、左右両側のカーホイル取付部のいずれか一方の側をジャッキアップして、同側のカーホイルへの拘束を解き、該カーホイルの車軸に玉掛をしてこれを別の移動式クレーンに吊るしたチェーンブロックで引き出し、軌道であるレールから吊り下ろす。そして、取り付け時には、交換相手のカーホイルを前記チェーンブロックで吊り上げてレール上に下ろし、人力で前記カーホイル取付部へ押し込む。
【0005】
この作業は、クレーンガーダ上或いは走行レール脇に配設された点検用通路上などといった高所でのカーホイル(重量物である)に対する玉掛や手押し等を含む為、常に危険と隣り合わせであるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決する為に、軌道台車式クレーンの台車からのカーホイル引き出し、前記台車へのカーホイル押し込みの作業を、作業員が高所の重量物であるカーホイルに触れる事なく実行しうる手段を工夫し、本発明をなした。即ち本発明は以下の通りである。
(1)軌道台車式クレーンの台車の車輪であるカーホイルを交換する為のクレーンカーホイル交換装置であって、
前記軌道であるレールの上面及び側面に夫々接触して転動するクランプローラを具備し該クランプローラの転動により前記レール上を移動する架台と、
該架台でアーム尾端を軸支されて鉛直面内で旋回しアーム先端で前記カーホイルの車軸を支持するカーホイル支持アームと、
前記レールに固定されて前記架台を移動させる架台駆動手段と
を有してなることを特徴とするクレーンカーホイル交換装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る装置によれば、軌道台車式クレーンの台車からのカーホイル引き出し、前記台車へのカーホイル押し込みの作業を、作業員が高所の重量物であるカーホイルに触れる事無く実行しうるので、カーホイル交換作業の安全性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の一例を示す側面図である。
図2図1に対応する平面図である。
図3図1中の縦方向クランプ機構を示す断面図である。
図4図1中の横方向クランプ機構を示す断面図である。
図5図1中の架台駆動手段の固定機構を示す断面図である。
図6図1中の装置を用いたカーホイル交換作業を示す手順説明図である。
図7図1中の装置を用いたカーホイル交換作業を示す手順説明図である。
図8図1中の装置を用いたカーホイル交換作業を示す手順説明図である。
図9図1中の装置を用いたカーホイル交換作業を示す手順説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の一例を図1図9に示す。本例において、1は軌道(レール)、2はカーホイル、3は車軸、4は台車であり、これらはクレーンの構成部材である。尚、31は車軸3に取り付けられたギヤであり、このギヤ31はクレーン稼働中、台車4に搭載されているモータ(図示せず)からの回転力をカーホイル3に伝達して台車4を走行又は横行させる手段である。台車4は、走行台車(クレーンサドル)或いは横行台車(トロリ)の何れであってもよい。
【0010】
本発明装置である枠体であるクレーンカーホイル交換装置は、架台5と、架台5に取り付けられたカーホイル支持アーム6と、架台5をレール1上で移動させる架台駆動手段7とを有する。
架台5は、基板51に、レール1の上面に接触して転動する縦方向クランプ用のクランプローラ8及びレール1の側面に接触して転動する横方向クランプ用のクランプローラ9を装着してなる。これらクランプローラ8,9は、架台5をレール上に縦横両方向のブレなく拘束しながら、レール1との接触面に対して転動して、架台5をスムースに移動させる役割を担う。
【0011】
横方向クランプ用のクランプローラ9は、レール1の一側に配置された固定式クランプローラ9Aと、他側に配置された可動式クランプローラ9Bとで構成された。
固定式クランプローラ9Aはそのローラ軸が基板51に直接固定された。
可動式クランプローラ9Bは、基板51に固定した支軸10でリンクレバー11を軸支し、リンクレバー11の一端で可動式クランプローラ9Bを軸支し、リンクレバー11の他端をリンクバー12で回動自在に支持し、リンクバー12は基板51に配設したトグル式レバー13と連結する構成とされた。この構成によれば、トグル式レバー13の起倒操作により、図2図4に示される如く、リンクバー12及びリンクレバー11を介して可動式クランプローラ9Bがレール1の側面に接触/離間し、接触時には固定式クランプローラ9Aとでレール1が横方向にクランプされる。尚、横方向クランプ用のクランプローラ9は、レール1の頭部に対向する上段小径部9A,9Bと、レール1の頸部に係合する下段大径部9A,9Bとの二段構造とされた。
【0012】
縦方向クランプ用のクランプローラ8は、図3に示される様に基板51に装着され、調整ねじ81で皿ばね82の弾力を調整する事で、横方向クランプ用のクランプローラ9(9A,9B)の前記下段大径部とによる縦方向クランプのクランプ力(挟みつけ力)を調整する構成とされた。これにより、レール1の上面の摩耗等があっても追従可能となり、スムースな移動が実現できる。なお、レール1は、使用クレーンによりレール頭部の形状が異なるレールが使用されることもある。その場合は、レール1の断面形状に合わせてクランプローラ9(9A,9B)の上段小径部、下段大径部の形状を変更することで追従させることでクランプが可能であり、どのようなクレーンでも対応ができることになる。
カーホイル支持アーム6は、図1図2に示される様に、基板51上に立脚させた支持部材6Aでアーム6尾端が軸支されて該軸支点6Bを中心に縦方向に旋回(上下動)し、アーム6先端には車軸3を受ける窪み6Cが設けられており、前記旋回の上限位置では、基板51に起立/傾転可能に配設したアーム係止用のストッパ61が、その起立によりアーム6中央部を係止した状態下でアーム先端の前記窪み6Cによって車軸3を安定支持する構成とされた。
【0013】
架台駆動手段7は、図1図2図5に示される様に、枠体に固定したトグル式レバー71の操作によってレール1を横方向にクランプする前記枠体であるレールクランプ枠体72に油圧シリンダ73を固定し、該固定した油圧シリンダ73の作業ロッド74先端を架台5の基板51端部と連結させる構成とされた。レールクランプ枠体72は揺動式のレールクランプ枠体72Aを有し、この構成により、レールクランプ枠体72でレール1をクランプして油圧シリンダ73に位置を固定した上で、レール1をクランプした状態の架台5の基板51端部に連結させた作業ロッド74を、油圧シリンダ73の駆動源としての電動式油圧ポンプ(図示せず)を作動させ、進退させる事で、架台5をレール1上で移動させる事ができる。
【0014】
図6図9は、カーホイル2の取り外しを説明する図であり、カーホイル2の交換が必要とされる走行台車或いは横行台車の近傍にクレーンカーホイル交換装置を設置する。
すなわち、交換するカーホイル2側の軌道1上に架台駆動手段7とカーホイル支持アーム6を備えた架台5をカーホイル2の交換が必要となる側の軌道1側に設置する。
軌道1側への設置は、架台5側はクランプローラ8,9による軌道1を走行路とする組立て(図2,3,4参照)であり、架台駆動手段7は、レールクランプ枠体の揺動アーム側で軌道1を挟むことにより滑らないように拘束する。
【0015】
図6は、クレーンカーホイル交換装置設置後の状態を示すもので、この状態では、カーホイル支持アーム6は、カーホイル2の車軸3より下側になるように、ストッパ61を傾倒させた下向き状態で走行台車或いは横行台車のカーホイル2下部位置にカーホイル支持アーム6の窪み6Cが達する位置まで架台5側は移動される。移動は、架台駆動手段7側に設置された油圧シリンダ73で架台5を前進させることで成される。
【0016】
クレーンカーホイル交換装置の前記カーホイル支持アーム6の窪み6Cでカーホイル2の車軸3を受け前記カーホイル支持アーム6をストッパ61で支持した後、台車4側下部に昇降シリンダ20を挿入し、台車4を持ち上げることによって、カーホイル2を軸受3Aから離脱させる(図7図8参照)。
また、本図ではカーホイル2の車軸3の軸受3Aは下面側軸受側を取り外した状態で示しているが、カーホイル2の車軸3を前記カーホイル支持アーム6の窪み6Cで受けた状態で、軸受3Aを分解し、下面側軸受側を取り外し、その後、台車4を持ち上げることによって、カーホイル2を軸受3Aから離脱させてもかまわないことはもちろんである。
【0017】
その後、カーホイル2を搭載したまま架台5側を台車4から遠ざけることによって台車4の下部から抜き去り、障害物の無い空間で、取り外したカーホイル2をクレーンなどにより架台5側から撤去し修理などに回す。
また、取り外したカーホイル2に代え、修理済み、あるいは新品のカーホイルを図9状態の架台5側のカーホイル支持アーム6の窪み6Cに搭載し、今度は逆に図8状態になるまで、架台駆動手段7側に設置された油圧シリンダ73で架台5側を台車4側に前進させることで台車4下部へと移動させ軸受3Aと修理済み、あるいは新品のカーホイル車軸の位置決めを行い、台車4側下部の昇降シリンダ20を下降させることで図7の状態を作り出せば新カーホイルの交換が完了する。その後、軸受3Aを組み合わせ車軸3を組み込むことで修理は完了することができる。
【0018】
以上説明したように本発明になるクレーンカーホイル交換装置によれば、鉄製品であり重量物であるクレーンのカーホイルの取り外し、取り付けを安全に行うことができ、また、迅速な修理を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 軌道(レール)
2 カーホイル
3 車軸
3A 軸受
4 台車
5 架台
6 カーホイル支持アーム(略してアーム)
7 架台駆動手段
8 クランプローラ(縦方向クランプ用)
9 クランプローラ(横方向クランプ用;添字のAは固定式、Bは可動式)
10 リンクレバー支軸
11 リンクレバー
12 リンクバー
13 トグル式レバー
20 昇降シリンダ
31 ギヤ
51 基板
61 ストッパ(アーム係止用)
71 トグル式レバー
72 レールクランプ枠体
73 油圧シリンダ
74 作業ロッド
81 調整ねじ
82 皿ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9