(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室と連続する少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングと、弁体収容室内で所定の軸線周りで回転可能に設けられた弁体であって、ハウジング内における主通路の開口全域に対向可能な封止部及び所定の軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通した連通路を有する弁体と、弁体収容室側における主通路回りに配置され、主通路の中心線の延びる方向で移動可能に設けられた環状のシート部材であって、弁体と密接するシート面を有するとともに弁体収容室側に向く被規制部を有するシート部材と、シート部材を弁体収容室側に付勢する弾性部材と、シート部材に外嵌されてシート部材とハウジングとの間に介装される筒状の介装部及び弁体収容室側とは反対側に向いて被規制部と対向する規制部を有するストッパー部材であって、ハウジングに固定されたストッパー部材と、規制部よりも弁体収容室側でシート部材とストッパー部材の介装部との間を封止するシール部材とを備えることを特徴とするバルブ装置。
ストッパー部材の規制部は、介装部の内周から内側に突出して形成され、シート部材の外周を主通路の中心線の延びる方向に案内可能に構成される請求項1又は2に記載のバルブ装置。
介装部は、主通路の中心線の延びる方向に第一端と第二端とを有し、ストッパー部材は、介装部の第一端の外周から径方向外方に延出した環状の固定部であって、弁体収容室内でハウジングの内面に沿った状態で固定される固定部をさらに備え、規制部は、介装部の第二端に連設されている請求項3に記載のバルブ装置。
主通路の中心線の延びる方向に第一端と第二端とを有する環状の挿入部であって、シート部材と介装部との間に挿入される挿入部と、挿入部の第一端に接続された環状の位置決部であって、ストッパー部材の固定部上に配置された状態でハウジングに固定される位置決部とを有する固定部材を備え、シール部材は、シート部材と介装部との間に配置されたグランドパッキンであり、シート部材と介装部との間に挿入された挿入部の第二端によって規制部側に押圧されてシート部材と介装部とに密接する請求項4に記載のバルブ装置。
シート部材は、主通路の中心線の延びる方向に第一端と第二端とを有するシート本体であって、主通路と同心又は略同心で配置される筒状のシート本体と、シート本体の第一端に同心又は略同心で連結された環状のヘッド部であって、弁体収容室側に臨出させたシート面を有するヘッド部とを備え、シート本体の外径がヘッド部の外径よりも小径に設定されるとともに、被規制部がヘッド部の外周上に設けられ、ストッパー部材の介装部は、シート部材のヘッド部に外嵌され、弾性部材は、ヘッド部とハウジングとの間に配置される請求項1乃至5の何れか1項に記載のバルブ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、この種のバルブ装置は、液体や、気体だけでなく、粉体等の固体を流通対象とした配管上に設けられることがある。この場合、この種のバルブ装置では、ストッパー部材104の規制部104aとシート部材102の先端との間に流通対象物が入り込み、弁体101(封止部101a)とシート部材102との密接性を確保できなくなる場合がある。
【0010】
具体的に説明する。この種のバルブ装置は、主通路R1,R2の開閉に伴う弁体101の姿勢変更或いは位置変更により、弁体収容室VR(ハウジング100と弁体101との間)が主通路R1,R2と連通し、主通路R1,R2を流通する粉体等の流通対象物が弁体収容室VR内に入り込んでしまう。そのため、弁体収容室VRに入り込んだ粉体等の流通対象物がストッパー部材104の規制部104aとシート部材102の先端部との間に入り込むことがある。その結果、シート部材102の弁体101側に向けての移動が阻害され、弾性部材103の付勢力が弁体101に対するシート部材102の圧接力(押し付け力)として適正に作用しなくなってしまう。
【0011】
すなわち、弾性部材103は、たわみ量に応じた付勢力を発揮するため、適正な付勢力を作用させるには、所定の付勢力を発揮できる所定の撓み量で撓む必要がある。しかしながら、上述の如く、シート部材102の移動が阻害される(シート部材102がストッパー部材104から離れた位置に留まる)と、弾性部材103がシート部材102の配置に対応して撓んだ状態になるものの、その撓みは、流体対象物の存在でシート部材102がストッパー部材104から離れた位置にあることによるものであり、弁体101がシート部材102に圧接することによるシート部材102の移動量(弾性部材103の撓み量)が少なくなってしまう。これに伴い、弁体101に対するシート部材102の圧接力が小さくなる結果、主通路R1,R2を遮断するときに、弁体101とシート部材102との間がシールされず、主通路R1,R2を確実に遮断できなくなる場合がある。
【0012】
特に、
図7及び
図8に示す如く、主通路R1,R2の開閉に伴って弁体101がシート部材102から離間した姿勢をとるバルブ装置においては、流通対象物が弁体101とシート部材102との間を通過して弁体収容室VR内に入り込み易く、主通路R1,R2を確実に遮断できなくなることが顕著である。
【0013】
そこで、本発明は、粉体等の固体を流通対象物とする配管上に配設されても、主通路を確実に遮断することのできるバルブ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るバルブ装置は、弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室と連続する少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングと、弁体収容室内で所定の軸線周りで回転可能に設けられた弁体であって、ハウジング内における主通路の開口全域に対向可能な封止部
及び所定の軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通した連通路を有する弁体と、弁体収容室側における主通路回りに配置され、主通路の中心線の延びる方向で移動可能に設けられた環状のシート部材であって、弁体と密接するシート面を有するとともに弁体収容室側に向く被規制部を有するシート部材と、シート部材を弁体収容室側に付勢する弾性部材と、シート部材に外嵌されてシート部材とハウジングとの間に介装される筒状の介装部及び弁体収容室側とは反対側に向いて被規制部と対向する規制部を有するストッパー部材であって、ハウジングに固定されたストッパー部材と、規制部よりも弁体収容室側でシート部材とストッパー部材の介装部との間を封止するシール部材とを備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成のバルブ装置によれば、弁体の封止部がハウジングの主通路と対向していない状態で、一方の主通路から他方の主通路に向けて流通対象物が流通可能となる。これに対し、弁体の封止部が主通路と対向した状態で、シート部材が弁体の封止部に密接し、主通路を遮断する。
【0016】
具体的には、上記構成のバルブ装置において、シート部材は、弁体の圧接によってストッパー部材から離れた状態になることで、主通路の中心線の延びる方向で移動可能になる。これにより、シート部材は、弾性部材の付勢によって弁体側に移動しようとする結果、弁体の封止部(主通路の周囲と対向する環状領域)に対して適正な圧接力を作用させつつ密接する。これにより、弁体の封止部が主通路と対向した状態で主通路が確実に遮断される。
【0017】
そして、上記構成のバルブ装置において、シート部材は、主通路の中心線の延びる方向に移動可能に設けられるとともに、弾性部材によって弁体(弁体収容室)側に付勢されているため、シート部材が弁体収容室側に向けて移動しようとするが、シート部材が弁体収容室側に過剰に移動しようとすると、ストッパー部材の規制部にシート部材の被規制部が当接(干渉)する。これにより、シート部材の過剰な移動が制限され、例えば、シート部材における主通路の開口の周辺部からの離脱等が防止される。そして、上記構成のバルブ装置においても、従来のバルブ装置と同様に、主通路の開閉に伴う弁体の姿勢変更或いは位置変更により、弁体収容室が主通路と連通した状態になる。
【0018】
しかしながら、上記構成のバルブ装置では、シール部材が規制部よりも弁体収容室側でシート部材とストッパー部材の介装部との間を封止するため、弁体収容室に流入した流通対象物がシート部材とストッパー部材の介装部との間を通って規制部及び被規制部の存在する領域に到達することがない。従って、規制部と被規制部との間に流通対象物が入り込むことがなく、シート部材が長期に亘って主通路の中心線の延びる方向で移動可能となる。これにより、シート部材は、弾性部材の付勢によって弁体側に移動しようとする結果、弁体の封止部(主通路の周囲と対向する環状領域)に対して適正な圧接力を作用させつつ密接する。従って、上記構成のバルブ装置は、粉体等の固体を流通対象物とする配管上に配設されても、主通路を確実に遮断することができる。
【0019】
本発明の一態様として、弁体は、封止部を主通路に向けた状態で、所定の軸線の延びる方向の何れか一端側を支点にして傾動可能に設けられる、ようにし得る。このようにすれば、弁体の傾動により、弁体の封止部がシート部材に密接した状態と、弁体の封止部がシート部材から離間した状態とに切り換えることができる。これに伴い、弁体は、シート部材から離間した状態で所定の軸線回りで回転可能となる。従って、主通路を開閉する(弁体を回転させる)ときに、弁体がシート部材に摺接することがなく、シート部材の摩耗が抑制される。これにより、弁体とシート部材との密接性が確保される結果、主通路を長期に亘って適正に遮断することができる。
【0020】
本発明の他態様として、ストッパー部材の規制部は、介装部の内周から内側に突出して形成され、シート部材の外周を主通路の中心線の延びる方向に案内可能に構成される、ようにしてもよい。このようにすれば、シート部材が主通路の中心線の延びる方向で移動するに当り、規定の軌道上で移動する。すなわち、規制部の先端によってシート部材が案内されることで、シート部材の円滑な移動が可能となり、シート部材が弁体に対して適正な状態で密接する。
【0021】
この場合、介装部は、主通路の中心線の延びる方向に第一端と第二端とを有し、ストッパー部材は、介装部の第一端の外周から径方向外方に延出した環状の固定部であって、弁体収容室内でハウジングの内面に沿った状態で固定される固定部をさらに備え、規制部は、介装部の第二端に連設されてもよい。このようにすれば、ストッパー部材がハウジングに対して適正な姿勢で固定される。従って、シート部材の被規制部がストッパー部材の規制部に対して安定して干渉(当接)し、シート部材の移動をより適正に規制することができる。
【0022】
また、この場合において、主通路の中心線の延びる方向に第一端と第二端とを有する環状の挿入部であって、シート部材と介装部との間に挿入される挿入部と、挿入部の第一端に接続された環状の位置決部であって、ストッパー部材の固定部上に配置された状態でハウジングに固定される位置決部とを有する固定部材を備え、シール部材は、シート部材と介装部との間に配置されたグランドパッキンであり、シート部材と介装部との間に挿入された挿入部の第二端によって規制部側に押圧されてシート部材と介装部とに密接するようにし得る。このようにすれば、ストッパー部材がハウジングに対して適正に固定されるだけでなく、シート部材と介装部との間のシール性能が高くなる。すなわち、グランドパッキンは、主通路の中心線の延びる方向における広い範囲で介装部とシート部材とに密接する。従って、粉体等の流通対象物がシート部材とストッパー部材との間を通過することをより確実に防止でき、シート部材の移動をより確実に担保することができる。
【0023】
シート部材は、主通路の中心線の延びる方向に第一端と第二端とを有するシート本体であって、主通路と同心又は略同心で配置される筒状のシート本体と、シート本体の第一端に同心又は略同心で連結された環状のヘッド部であって、弁体収容室側に臨出させたシート面を有するヘッド部とを備え、シート本体の外径がヘッド部の外径よりも小径に設定されるとともに、被規制部がヘッド部の外周上に設けられ、ストッパー部材の介装部は、シート部材のヘッド部に外嵌され、弾性部材は、ヘッド部とハウジングとの間に配置される、ようにし得る。このようにすれば、主通路の中心線の延びる方向において、シート部材と弾性部材とを重複した配置にすることができる。すなわち、シート部材と弾性部材とが主通路の中心線の延びる方向で一列に並ぶことなく、シート部材が弾性部材によって弁体収容室側に付勢される。これにより、シート部材を弾性部材で付勢した構成を採用しても、バルブ装置全体のサイズが大型化することが防止される。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係るバルブ装置は、粉体等の固体を流通対象物とする配管上に配設されても、主通路を確実に遮断することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係るバルブ装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1及び
図2に示す如く、バルブ装置1は、弁体収容室VRが形成されるとともに、弁体収容室VRと連続する二つの主通路R1,R2(以下、一方の主通路を第一主通路R1といい、他方の主通路を第二主通路R2という)が形成されたハウジング2と、弁体収容室VR内で所定の軸線(以下、基準軸線という)L周りで回転可能に設けられた弁体3であって、ハウジング2内における第一主通路R1の開口全域に対向可能な封止部30(
図2参照)を有する弁体3と、弁体収容室VR側における第一主通路R1回りに配置され、第一主通路R1の中心線(以下、基準中心線という)CLの延びる方向で移動可能に設けられた環状のシート部材4であって、弁体3と密接するシート面40を有するとともに、弁体収容室VR側に向く被規制部41を有するシート部材4と、シート部材4を弁体収容室VR側に付勢する弾性部材5と、シート部材4に外嵌されてシート部材4とハウジング2との間に介装される筒状の介装部60を有するとともに、弁体収容室VR側とは反対側に向いて被規制部41と対向する規制部61を有するストッパー部材6であって、ハウジング2に固定されたストッパー部材6と、規制部61よりも弁体収容室VR側でシート部材4とストッパー部材6の介装部60との間を封止するシール部材7とを備える。さらに、本実施形態に係るバルブ装置1は、ストッパー部材6をハウジング2に固定する固定部材8を備える。また、本実施形態に係るバルブ装置1は、流路の開閉操作を行うための第一ステム9Aと、第二ステム9Bとを備える。
【0028】
ハウジング2は、メインフレーム20と、該メインフレーム20に連結されるサブフレーム21とを備える。
【0029】
メインフレーム20は、基準軸線Lの延びる方向(以下、第一方向という)と直交する方向(以下、第二方向という)に第一端と第二端とを有する本体部200であって、弁体3を収容可能な内部空間を有する本体部200と、本体部200の第一端に接続されたメインフランジ部201と、第二方向に第一端と第二端とを有する第一筒状部202であって、第一端部が本体部200の第二端に接続された第一筒状部202と、配管(図示しない)を接続する第一配管用フランジ203であって、第一筒状部202の第二端に接続された第一配管用フランジ203とを備える。
【0030】
本体部200の内部空間及び第一筒状部202の内部空間は、第二方向で連通している。本体部200の内部空間は、当該本体部200の第一端で開放し、メインフランジ部201は、本体部200の内部空間と同心で設けられている。本体部200は、第一ステム9Aを挿通する第一ステム挿通部204と、第二ステム9Bを挿通するための第二ステム挿通部205とを備える。
【0031】
第一ステム挿通部204は、第一方向における本体部200の一端部に設けられ、第二ステム挿通部205は、第一方向における本体部200の他端部に設けられている。なお、第一ステム挿通部204及び第二ステム挿通部205のそれぞれには、挿通されたステム9A,9Bとの間を液密又は気密にするためのグランドパッキンGP1が設けられるとともに、ステム9A,9Bを定位置で回転可能としつつグランドパッキンGP1を固定する押部材206A,206Bが設けられている。
【0032】
サブフレーム21は、本体部200のメインフランジ部201に連結される連結用フランジ部210であって、本体部200の内部空間を閉塞し、本体部200とともに弁体収容室VRを形成する連結用フランジ部210と、第二方向に第一端と第二端とを有する第二筒状部211であって、第一端が連結用フランジ部210に接続された第二筒状部211と、配管(図示しない)を接続する第二配管用フランジ212であって、第二筒状部211の第二端に接続された第二配管用フランジ212とを備える。
【0033】
これにより、メインフレーム20とサブフレーム21とが連結されることで、本体部200と連結用フランジ部210とが弁体収容室VRを形成する。これに伴い、第一筒状部202内に第二主通路R2が形成され、第二筒状部211内に第一主通路R1が形成される。本実施形態において、基準軸線Lと基準中心線CLとは、直交している。従って、第一主通路R1及び第二主通路R2は、弁体収容室VR内の弁体3の回転中心である基準軸線Lと直交する第二方向に一列をなして形成されている。
【0034】
ハウジング2(サブフレーム21)内における弁体収容室VR側の第一主通路R1の開口回りには、シート部材4を第一主通路R1と同心又は略同心で配置するとともにシート部材4を弁体3側に付勢する弾性部材5を収容するための環状凹部213が形成されている。
【0035】
本実施形態において、環状凹部213は、
図3及び
図4に示す如く、弁体収容室VRに向けて開口した大径部213aと、大径部213aよりも小径に設定された中径部213bであって、大径部213aと連続する中径部213bと、中径部213bよりも小径に設定された小径部213cであって、中径部213bと連続する小径部213cとを備える。大径部213a、中径部213b、及び小径部213cは、それぞれ、第二方向から見て円形状に形成され、互いに同心で配置されている。
【0036】
本実施形態において、ハウジング2(サブフレーム21)には、第二筒状部211を内外に貫通した通気孔214であって、圧縮空気を供給するための通気孔214が設けられている。これに伴い、ハウジング2(サブフレーム21)の第二筒状部211内には、通気孔214から供給された圧縮空気をシート部材4(後述するヘッド部43)に向けて誘導する筒状の誘導体22が配置されている。誘導体22は、ハウジング2(第二筒状部211)の内周面との間に隙間を形成するよう形成されている。
【0037】
より具体的には、誘導体22は、第二筒状部211の内径よりも小径に設定された筒状の流体案内部220であって、第二方向の第一端と第二端とを有する筒状の流体案内部220と、流体案内部220の第一端に接続されたフランジ状の抜止部221とを備える。かかる誘導体22は、流体案内部220の第二端を弁体収容室VR側にして当該流体案内部220が第二筒状部211に挿入され、抜止部221を全周に亘って第二配管用フランジ212に当接させている。これにより、本実施形態のバルブ装置1は、誘導体22の流体案内部220の内穴が第一主通路R1を画定している。
【0038】
本実施形態において、弁体3は、
図1及び
図2に示す如く、基準軸線Lと直交又は略直交する仮想面上を通って貫通した連通路R3を有する。連通路R3は、弁体3における基準軸線L回りの外周上の二箇所に開口を形成する。本実施形態に係るバルブ装置1は、二方弁である。これに伴い、弁体3には、第一方向と直交する方向の両端で開口した連通路R3が形成されている。すなわち、弁体3の連通路R3は、基準軸線Lに対して直交する方向で真っ直ぐに延び、基準軸線Lを基準にした対称位置で開放するように形成されている。これに伴い、弁体3は、基準軸線L回りの外周上の二箇所にある開口間に封止部30を有する(
図2参照)。すなわち、弁体3は、第一主通路R1、及び第二主通路R2の開口径よりも大径に設定された球状に形成される。これにより、弁体3における基準軸線L回りの外周上には、第一主通路R1の開口全域に対向可能な封止部30が形成されている(
図2参照)。
【0039】
本実施形態において、弁体3は、基準軸線Lの延びる方向の何れか一端側を支点にして傾動可能に設けられる。すなわち、バルブ装置1は、第一ステム9Aの回転操作により、第一方向の一端側を支点にして弁体3を傾動させ、第二ステム9Bの回転操作により、弁体3を基準軸線L回りで回転させるようになっている。
【0040】
これに伴い、第一方向における弁体3の一端面(ハウジング2の内面と対向する面)には、第一ステム9Aが作動的に連結される第一ステム連結部31が形成されている。第一ステム連結部31は、第一ステム9Aを挿入可能な凹部とされている。該第一ステム連結部31(凹部)の内周面は、封止部30が第一主通路R1と対向した状態で、第一ステム9Aの後述するカム面90に押圧される第一押圧面S1と、第二押圧面S2とを備える。これにより、弁体3は、第一ステム9Aのカム面90によって第一押圧面S1が押圧されたときに、第一主通路R1側に押圧され、第一ステム9Aのカム面90によって第二押圧面S2が押圧されたときに、第二主通路R2側に押圧されるようになっている。
【0041】
また、第一方向における弁体3の他端面(ハウジング2の内面と対向する面)には、第二ステム9Bが作動的に連結される第二ステム連結部32が形成されている。第二ステム連結部32は、第二ステム9Bを挿入可能な凹部とされている。第二ステム連結部32(凹部)の内周面は、第二ステム9Bの後述するトルク伝達面91からの基準軸線L回りの回転トルクが伝達可能に形成される。
【0042】
シート部材4は、上述の如く、弁体3と密接するシート面40と、弁体収容室VR側に向く被規制部41とを有する。より具体的に説明する。シート部材4は、
図3及び
図4に示す如く、基準中心線CLの延びる方向(第二方向)に第一端と第二端とを有するシート本体42であって、第一主通路R1と同心又は略同心で配置される筒状のシート本体42と、シート本体42の第一端に同心又は略同心で連結された環状のヘッド部43であって、弁体収容室VRに臨出させたシート面40を有するヘッド部43とを備える。
【0043】
シート本体42は、環状凹部213の小径部213cの形状に即して円筒状をなし、第二端を小径部213c内に位置させている。すなわち、シート本体42の外径は、小径部213cの内径と同径又は小径部213cの内径よりも僅かに小径に設定されている。これにより、シート本体42と環状凹部213の中径部213bを画定する内周面との間に隙間が形成される。これに伴い、シート本体42と環状凹部213の中径部213bを画定する内周面との間にシール部材GP2が介装されている。本実施形態において、シール部材GP2には、軸線方向の圧縮力を作用させることで径方向に拡径する筒状のグランドパッキンが採用されている。
【0044】
ヘッド部43の内径は、シート本体42の内径と同径又は略同径に設定されている。これに対し、ヘッド部43の外径は、シート本体42の外径よりも大径に設定されている。すなわち、ヘッド部43は、シート本体42の第一端の全周から径方向外方に延出している。そして、ヘッド部43における弁体収容室VR側に向く部分にシート面40が形成されている。より具体的に説明すると、ヘッド部43は、第二方向に第一端と第二端とを有する。ヘッド部43の第一端は、シート本体42の第一端に連結されている。ヘッド部43の内周面は、第二端側において、第一端から第二端に向けて拡大するテーパー面とされ、該テーパー面には、周方向全周に亘って部分的に突出した環状の突出部430が形成されている。これにより、弁体3の封止部30が突出部430の先端に当接するようになっている。すなわち、突出部430の先端面が、シート面40を構成している。
【0045】
そして、本実施形態に係るシート部材4は、ヘッド部43の第一端部の外周上に径方向外方に突出した被規制部41を有する。被規制部41は、弁体収容室VR側に向く面であって、規制部61と対向する面を有する。また、本実施形態に係るシート部材4において、ヘッド部43の第一端面における外縁部上に環状凸部432が形成されている。
【0046】
弾性部材5は、環状凹部213の大径部213a内に配置されている。弾性部材5は、基準中心線CLの延びる方向(第二方向)で、シート部材4とハウジング2とに背反する向きの力を作用させている。具体的に説明する。弾性部材5には、皿バネが採用されている。本実施形態において、皿バネ5の外周縁部がシート部材4のヘッド部43に当接する一方、皿バネ5の内周縁部がシート本体42と環状凹部213の中径部213bを画定する内周面との間に介装されたシール部材(グランドパッキン)GP2に当接している。これにより、弾性部材(皿バネ)5は、シート部材4を弁体収容室VR側に付勢しつつ、シート本体42と環状凹部213の中径部213bを画定する内周面との間に介装されたシール部材(グランドパッキン)GP2を径方向に拡径させている。なお、本実施形態に係るシール部材7は、ヘッド部43の第一端面上に環状凸部432が形成されているため、皿バネ5の外周縁部は、環状凸部432に当接している。
【0047】
ストッパー部材6は、上述の如く、シート部材4とハウジング2との間に介装される筒状の介装部60と、弁体収容室VR側とは反対側に向いて被規制部41と対向する規制部61を有する。より具体的に説明すると、ストッパー部材6は、第二方向に第一端と第二端とを有する筒状の介装部60と、介装部60の第一端の外周から径方向外方に延出した環状(フランジ状)の固定部62であって、ハウジング2の内面に沿った状態で固定される固定部62と、介装部60の第二端に連設された規制部61とを備える。
【0048】
本実施形態において、介装部60の外径は、大径部213aの内径と同径又は略同径に設定されている。そして、介装部60は、環状凹部213の大径部213aに挿入され、外周面を大径部213aの内周面に密接させている。
【0049】
固定部62は、介装部60の第一端部の外周から径方向外方に延出している。本実施形態において、ストッパー部材6は、固定部62を第一主通路R1の開口の周囲にあるハウジング2の内面に面接触させた状態で該ハウジング2に固定することで、大径部213aに挿入された介装部60が、第一主通路R1回りにあるシート部材4(ヘッド部43)に対して同心で配置されるようになっている。なお、本実施形態に係るストッパー部材6の固定部62は、メインフレーム20(メインフランジ部201)とサブフレーム21(連結用フランジ部210)とに挟まれることでハウジング2に固定されている。
【0050】
規制部61は、弁体収容室VR側とは反対側に向く面であって、被規制部41と対向する面を有する。本実施形態において、規制部61は、環状に形成され、介装部60の第二端に同心又は略同心で接続されている。規制部61は、介装部60の内周から内側に突出するように形成されている。具体的には、本実施形態において、規制部61が環状に形成されるに伴い、規制部61の内径は、介装部60の内径よりも小径に設定されている。これにより、規制部61の内周縁部は、介装部60の内周よりも内側に延在している。本実施形態において、規制部61の内径は、シート部材4のヘッド部43の外径と略同径に設定されている。これにより、規制部61は、内側の先端(内周面)でシート部材4のヘッド部43を基準中心線CLの延びる方向(第二方向)に案内可能に構成されている。
【0051】
本実施形態に係るストッパー部材6は、規制部61の内周縁部を介装部60の内周よりも内側に突出させているため、介装部60の内周面とシート部材4のヘッド部43の外周面との間に隙間が形成される。これに伴い、介装部60とヘッド部43との間には、シール部材7が介装される。本実施形態において、シール部材7には、軸線方向の圧縮力を作用させることで径方向に拡径する筒状のグランドパッキンが採用されている。
【0052】
固定部材8は、基準中心線CLの延びる方向に第一端と第二端とを有する環状の挿入部80であって、シート部材4と介装部60との間に挿入される挿入部80と、挿入部80の第一端に接続された環状の位置決部81であって、ストッパー部材6の固定部62上に配置された状態でハウジング2に固定される位置決部81とを有する。
【0053】
固定部材8は、位置決部81をストッパー部材6の固定部62上で固定することで、挿入部80がシート部材4と介装部60との間に挿入され、該シート部材4(ヘッド部43)と同心になるように構成されている。また、本実施形態において、シール部材7にグランドパッキンが採用されているため、固定部材8は、シート部材4と介装部60との間に挿入された挿入部80の第二端がシール部材(グランドパッキン)7を規制部61側に押圧するようになっている。これにより、筒状のシール部材(グランドパッキン)7は、挿入部80と規制部61とによって挟まれた状態になっている。すなわち、シール部材7は、軸心方向に圧縮された状態になっている。これにより、シール部材7は、径方向外方に拡径するとともに径方向内方に縮径し、シート部材4と介装部60とに密接している。
【0054】
図1及び
図2に戻り、第一ステム9Aは、ハウジング2の第一ステム挿通部204に挿通され、一端側をハウジング2の外側に位置させる一方、他端側をハウジング2の内部に位置させている。第一ステム9Aの一端部には、ハンドルやアクチュエータ(図示しない)が取り付けられる。これにより、第一ステム9Aは、ハンドル操作やアクチュエータの作動により、基準軸線L回りで回転するようになっている。第一ステム9Aの他端部は、弁体収容室VR内の弁体3の第一ステム連結部31に挿入されている。第一ステム9Aの他端部には、基準軸線Lに対して偏心した位置に曲率中心を有するカム面90が形成されている。これにより、第一ステム9Aを基準軸線L回りで回転させることで、カム面90が弁体3の第一押圧面S1を押圧した状態と、カム面90が弁体3の第二押圧面S2を押圧した状態とに切り替わるようになっている。
【0055】
第二ステム9Bは、ハウジング2の第二ステム挿通部205に挿通され、一端側をハウジング2の外側に位置させる一方、他端側をハウジング2の内部に位置させている。第二ステム9Aの一端部には、ハンドルやアクチュエータ(図示しない)が取り付けられる。これにより、第二ステム9Bは、ハンドル操作やアクチュエータの作動により、基準軸線L回りで回転するようになっている。第二ステム9Bの他端部は、弁体収容室VR内の弁体3の第二ステム連結部32に挿入されている。第二ステム9Bの他端部の外周には、基準軸線Lと直交方向に広がるトルク伝達面91であって、弁体3の第二ステム連結部32の内周面に面接触可能なトルク伝達面91が形成されている。これにより、第二ステム9Bを基準軸線L回りで回転させることで、トルク伝達面91が弁体3のトルク伝達面91に回転トルクを伝達し、弁体3を基準軸線L回りで回転させるようになっている。そして、第二ステム9Bの他端部は、弁体3を傾動可能に支持している。
【0056】
本実施形態に係るバルブ装置1は、以上の通りであり、続いて、該バルブ装置1の作動について説明する。
【0057】
まず、流通対象物の流通させる場合、第一ステム9Aを回転させ、カム面90が第二押圧面S2を押圧した状態にする。この状態では、弁体3は起立し、封止部30がハウジング2内の第一主通路R1の開口の周辺部にあるシート部材4(シート面40)と非接触の状態になる。すなわち、シート部材4は、弾性部材5による付勢によって弁体収容室VR側に押され、被規制部41をストッパー部材6の被規制部41に当接させる。
【0058】
これにより、シート部材4の脱落が防止される。そして、第二ステム9Bを回転させ、弁体3を基準軸線L回りで回転させ、連通路R3が第一主通路R1及び第二主通路R2と対応するように弁体3を配置する。このとき、弁体3は、シート部材4(シート面40)及びハウジング2の内面と非接触の状態で回転する。そして、連通路R3が第一主通路R1及び第二主通路R2と対応した状態になると、連通路R3を介して第一主通路R1から第二主通路R2に向けて流通対象物が流通可能となる。
【0059】
これに対し、流通対象物の流通を遮断する場合、第二ステム9Bを逆回転させ、弁体3を基準軸線L回りで逆回転させ、弁体3の封止部30を第一主通路R1に向けた状態にする。このとき、弁体3は、シート部材4(シート面40)及びハウジング2の内面と非接触の状態で回転する。この状態においても、シート部材4は、弾性部材5による付勢によって弁体収容室VR側に押され、被規制部41をストッパー部材6の被規制部41に当接させている。そして、弁体3の封止部30が第一主通路R1と対向した状態になると、第一ステム9Aを回転させる。
【0060】
これにより、第一ステム9Aのカム面90が第一押圧面S1を押圧する。これに伴って、弁体3は、第二ステム9Bを支点にして第一主通路R1側に傾動し、封止部30が第一主通路R1の開口の周辺部にあるシート部材4のシート面40に密接する。すなわち、弁体3が傾動するに伴い、弁体3の封止部30がシート部材4を弁体収容室VR側とは反対側に押圧し、シート部材4を第二方向に移動させる。
【0061】
これに伴い、被規制部41が規制部61から離間する。これにより、弾性部材5がシート部材4の移動量に対応した撓み量で撓む結果、当該弾性部材5の付勢力の略全量がシート部材4に作用し、シート部材4(シート面40)が弁体3の封止部30に対して適正な圧接力を作用させつつ密接する。
【0062】
これにより、第一主通路R1が遮断され、第二主通路R2に向けての流通対象物の流通が不能となる。
【0063】
そして、流通対象物が粉体等の固体である場合、上述の如く、弁体3が姿勢変更してシート部材4から離間すると、流通対象物が弁体収容室VR内に流入することになるが、上記構成のバルブ装置1においては、シール部材7が規制部61よりも弁体収容室VR側でシート部材4とストッパー部材6の介装部60との間を封止するため、弁体収容室VRに流入した流通対象物がシート部材4とストッパー部材6材との間を通って規制部61及び被規制部41の存在する領域に到達することがない。
【0064】
従って、規制部61と被規制部41との間に流通対象物が入り込むことがなく、シート部材4が長期に亘って基準中心線CLの延びる方向(本実施形態においては第二方向)で移動可能となる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るバルブ装置1は、弁体収容室VRが形成されるとともに、弁体収容室VRと連続する二つの主通路R1,R2が形成されたハウジング2と、弁体収容室VR内で、基準軸線L周りで回転可能に設けられた弁体3であって、ハウジング2内における主通路R1の開口全域に対向可能な封止部30を有する弁体3と、弁体収容室VR側における主通路R1回りに配置され、基準中心線CLの延びる方向で移動可能に設けられた環状のシート部材4であって、弁体3と密接するシート面40を有するとともに弁体収容室VR側に向く被規制部41を有するシート部材4と、シート部材4を弁体収容室VR側に付勢する弾性部材5と、シート部材4に外嵌されてシート部材4とハウジング2との間に介装される筒状の介装部60及び弁体収容室VR側とは反対側に向いて被規制部41と対向する規制部61を有するストッパー部材6であって、ハウジング2に固定されたストッパー部材6と、規制部61よりも弁体収容室VR側でシート部材4とストッパー部材6の介装部60との間を封止するシール部材7とを備える。
【0066】
かかるバルブ装置1によれば、弁体3の封止部30がハウジング2の主通路R1と対向していない状態で、一方の主通路R1から他方の主通路R2に向けて流通対象物が流通可能となる。これに対し、弁体3の封止部30が主通路R1と対向した状態で、シート部材4が主通路R1の周囲と対向する弁体3の封止部30に密接し、主通路R1を遮断する。
【0067】
具体的には、シート部材4は、弁体3の圧接によってストッパー部材6から離れた状態になる(規制部61から被規制部41が離れた状態になる)ことで、基準中心線CLの延びる方向で移動可能になる。これにより、シート部材4は、弾性部材5の付勢によって弁体3側に移動しようとする結果、弁体3の封止部(主通路R1の周囲と対向する環状領域)30に対して適正な圧接力を作用させつつ密接する。これにより、弁体3の封止部30が主通路R1と対向した状態で主通路R1が確実に遮断される。
【0068】
そして、上記構成のバルブ装置1において、シート部材4は、基準中心線CLの延びる方向に移動可能に設けられるとともに、弾性部材5によって弁体3(弁体収容室VR)側に付勢されているため、シート部材4が弁体収容室VR側に向けて移動しようとするが、シート部材4が弁体収容室VR側に過剰に移動しようとすると、ストッパー部材6の規制部61にシート部材4の被規制部41が当接(干渉)する。
【0069】
これにより、シート部材4の過剰な移動が制限され、例えば、シート部材4における主通路R1の開口の周辺部からの離脱等が防止される。そして、上記構成のバルブ装置1においても、従来のバルブ装置と同様に、主通路R1の開閉に伴う弁体3の姿勢変更或いは位置変更により、弁体収容室VRが主通路R1と連通した状態になる。
【0070】
しかしながら、上記構成のバルブ装置1では、シール部材7が規制部61よりも弁体収容室VR側でシート部材4とストッパー部材6の介装部60との間を封止するため、弁体収容室VRに流入した流通対象物がシート部材4とストッパー部材6との間を通って規制部61及び被規制部41の存在する領域に到達することがない。
【0071】
従って、規制部61と被規制部41との間に流通対象物が入り込むことがなく、シート部材4が長期に亘って基準中心線CLの延びる方向で移動可能となる。これにより、シート部材4は、弾性部材5の付勢によって弁体3側に移動しようとする結果、弁体3の封止部(主通路R1の周囲と対向する環状領域)30に対して適正な圧接力を作用させつつ密接する。
【0072】
従って、上記構成のバルブ装置1は、粉体等の固体を流通対象物とする配管上に配設されても、主通路R1,R2を確実に遮断することができる。
【0073】
また、本実施形態において、弁体3は、封止部30を主通路R1に向けた状態で、基準軸線Lの延びる方向の何れか一端側を支点にして傾動可能に設けられる。これにより、弁体3が傾動することで、弁体3の封止部30がシート部材4に密接した状態と、弁体3の封止部30がシート部材4から離間した状態とに切り換えることができる。
【0074】
これに伴い、弁体3は、シート部材4から離間した状態で所定の軸線回りで回転可能となる。従って、主通路R1を開閉する(弁体3を回転させる)ときに、弁体3がシート部材4に摺接することがなく、シート部材4の摩耗が抑制される。これにより、弁体3とシート部材4との密接性が確保される結果、主通路R1,R2を長期に亘って適正に遮断することができる。
【0075】
また、ストッパー部材6の規制部61は、介装部60の内周から内側に突出して形成され、シート部材4の外周を基準中心線CLの延びる方向に案内可能に構成される。かかる構成によれば、シート部材4が基準中心線CLの延びる方向で移動するに当り、規定の軌道上で移動する。すなわち、規制部61の先端によってシート部材4が案内されることで、シート部材4の円滑な移動が可能となり、シート部材4が弁体3に対して適正な状態で密接する。
【0076】
また、介装部60は、基準中心線CLの延びる方向に第一端と第二端とを有し、ストッパー部材6は、介装部60の第一端の外周から径方向外方に延出した環状の固定部62であって、弁体収容室VR内でハウジング2の内面に沿った状態で固定される固定部62をさらに備え、規制部61は、介装部60の第二端に連設されている。かかる構成によれば、ストッパー部材6がハウジング2に対して適正な姿勢で固定される。従って、シート部材4の被規制部41がストッパー部材6の規制部61に対して安定して干渉(当接)し、シート部材4の移動をより適正に規制することができる。
【0077】
さらに、本実施形態に係るバルブ装置1は、基準中心線CLの延びる方向に第一端と第二端とを有する環状の挿入部80であって、シート部材4と介装部60との間に挿入される挿入部80と、挿入部80の第一端に接続された環状の位置決部81であって、ストッパー部材6の固定部62上に配置された状態でハウジング2に固定される位置決部81とを有する固定部材8を備え、シール部材7は、シート部材4(ヘッド部43)と介装部60との間に配置されたグランドパッキンであり、シート部材4と介装部60との間に挿入された挿入部80の第二端によって規制部61側に押圧されてシート部材4と介装部60とに密接するようになっている。
【0078】
かかる構成によれば、ストッパー部材6がハウジング2に対して適正に固定されるだけでなく、シート部材4と介装部60との間のシール性能が高くなる。すなわち、グランドパッキンは、基準中心線CLの延びる方向における広い範囲で介装部60とシート部材4とに密接する。
【0079】
従って、粉体等の流通対象物がシート部材4とストッパー部材6との間を通過することをより確実に防止でき、シート部材4の移動をより確実に担保することができる。
【0080】
また、本実施形態において、シート部材4は、基準中心線CLの延びる方向に第一端と第二端とを有するシート本体42であって、主通路R1と同心又は略同心で配置される筒状のシート本体42と、弁体収容室VR側に臨出させたシート面40を有するヘッド部43とを備え、シート本体42の外径がヘッド部43の外径よりも小径に設定されるとともに、被規制部41がヘッド部43の外周上に設けられ、ストッパー部材6の介装部60は、シート部材4のヘッド部43に外嵌され、弾性部材5は、ヘッド部43とハウジング2との間に配置される。
【0081】
かかる構成によれば、基準中心線CLの延びる方向において、シート部材4と弾性部材5とを重複した配置にすることができる。すなわち、シート部材4と弾性部材5とが基準中心線CLの延びる方向で一列に並ぶことなく、シート部材4が弾性部材5によって弁体収容室VR側に付勢される。これにより、シート部材4を弾性部材5で付勢した構成を採用しても、バルブ装置1全体のサイズが大型化することが防止される。
【0082】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0083】
上記実施形態において、弁体3が基準軸線Lの何れか一方側を支点にして傾動可能に設けられ、弁体3の封止部30がシート部材4(シート面40)に接離可能に構成されたが、これに限定されない。例えば、弁体3の回転中心が偏心し、弁体3を回転させることで、弁体3の封止部30がシート部材4(シート面40)に接離するようにしたものであってもよい。また、弁体3がシート部材4(シート面40)に対して接離するものに限定されない。例えば、シート部材4(シート面40)が弁体3に常時密接するものであってもよい。すなわち、弁体3が球状に形成され、シート部材4が弁体3の外面に常時密接した、いわゆるボールバルブであってもよい。従って、第一ステム9A及び第二ステム9B(二軸)を備えたものに限定されるものではなく、一軸で弁体3を回転操作するようにしたものであってもよい。
【0084】
上記実施形態において、流路の開閉に伴って弁体3がシート部材4に対して接離することを前提に、第一主通路R1側のみにシート部材4を設けたが、これに限定されない。例えば、弁体3が第二主通路R2側にも傾動可能に構成された場合には、第二主通路R2側にもシート部材4、弾性部材5、ストッパー部材6等を配置すればよい。特に、上述の如く、シート部材4(シート面40)が弁体3に常時密接するものであれば、第一主通路R1側及び第二主通路R2側の両方に、シート部材4、弾性部材5、ストッパー部材6等を配置することは言うまでもない。
【0085】
上記実施形態において、二つの主通路R1,R2を有する二方弁について説明したが、これに限定されない。例えば、弁体収容室VRの周囲に三つ以上の主通路を有する多方弁であっても勿論よい。
【0086】
上記実施形態において、シート部材4が互いに異径なシート本体42とヘッド部43とを備えたが、シート本体42及びヘッド部43が同径のものであってもよい。なお、言うまでもないが、この場合、弾性部材5は、シート本体42を付勢することになる。
【0087】
上記実施形態において、シート部材4に径方向外方に突出した被規制部41が設けられ、ストッパー部材6に径方向内方に突出した規制部61が設けられたが、これに限定されない。例えば、シート部材4の外周に溝を形成することで、弁体収容室VR側に向く面を有する壁状の被規制部41が設けられるとともに、ストッパー部材6の内周に凸設された規制部61であって、溝内に挿入されて該溝内で被規制部41と対向する面を有する規制部61が設けられてもよい。
【0088】
また、これとは逆に、ストッパー部材6(介装部60)の内周に溝を形成することで、弁体収容室VR側とは反対側に向く面を有する壁状の規制部61が設けられるとともに、シート部材4の外周に凸設された被規制部41であって、溝内に挿入されて該溝内で規制部61と対向する面を有する被規制部41が設けられてもよい。
【0089】
これらの場合、シート部材4の移動を許容すべく、規制部61と被規制部41とが基準中心線CLの延びる方向で接離可能に設けられることは言うまでもない。また、シール部材7は、規制部61よりも弁体収容室VR側でシート部材4とストッパー部材6の介装部60との間を封止できるように配置されることは言うまでもない。
【0090】
上記実施形態において、規制部61が介装部60の端部に設けられるとともに、被規制部41がシート部材4のヘッド部43の端部に設けられたが、これに限定されない。例えば、規制部61は、介装部60の途中位置に設けられてもよいし、被規制部41は、ヘッド部43の途中位置に設けられてもよい。但し、シート部材4が弁体収容室VR側に移動して所定位置に到達したときに、規制部61と被規制部41とが干渉するようにすることは勿論である。また、この場合においても、シール部材7は、規制部61よりも弁体収容室VR側でシート部材4と介装部60との間を封止することは言うまでもない。
【0091】
上記実施形態において、規制部61及び被規制部41のそれぞれが周方向で連続した環状に形成されたが、これに限定されない。例えば、規制部61及び被規制部41は、周方向に断続的に又は部分的に配置されてもよい。但し、規制部61と被規制部41とは、基準中心線CLの延びる方向で互いに対向(対峙)するように配置されることは言うまでもない。
【0092】
上記実施形態において、シート部材4とストッパー部材6の介装部60との間に配置されたシール部材7に、グランドパッキンが採用されたが、これに限定されない。例えば、シール部材7は、角リングやOリング等であってもよい。
【0093】
この場合、シート部材4の外周上又はストッパー部材6の介装部60の内周の何れか一方にシール部材7を介装する溝を設け、溝内のシール部材7を他方に密接させることは言うまでもない。なお、この場合、シール部材7を基準中心線CLの延びる方向に押圧する必要がないため、固定部材8は必須の要件でないことは勿論である。また、シート部材4のシート本体42と環状凹部213の中径部213bを画定する内周面との間にシール部材GP2についても同様である。
【0094】
上記実施形態において、弾性部材5として、皿バネが採用されたが、これに限定されない。例えば、弾性部材5には、圧縮コイルバネ等を採用しても勿論よいし、ゴム部材であってもよい。
【0095】
上記実施形態において、シート部材4に圧縮空気が供給可能なバルブ装置1について説明したが、これに限定されない。例えば、シート部材4に向けて圧縮空気を供給可能とする構成を備えていないものであってもよい。