特許第5710587号(P5710587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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5710587半導体スイッチング素子を有する負荷時タップ切換器
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  • 5710587-半導体スイッチング素子を有する負荷時タップ切換器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710587
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】半導体スイッチング素子を有する負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/04 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   H01F29/04 502D
   H01F29/04 502G
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-503877(P2012-503877)
(86)(22)【出願日】2010年2月6日
(65)【公表番号】特表2012-523680(P2012-523680A)
(43)【公表日】2012年10月4日
(86)【国際出願番号】EP2010000750
(87)【国際公開番号】WO2010115485
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2013年2月5日
(31)【優先権主張番号】102009017196.7
(32)【優先日】2009年4月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックル・オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ドーナル・ディーター
(72)【発明者】
【氏名】レスマン−ミースケ・ハンス−ヘンニング
【審査官】 井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−076510(JP,A)
【文献】 特開昭61−285705(JP,A)
【文献】 実開昭61−180421(JP,U)
【文献】 特開昭48−037631(JP,A)
【文献】 特公昭45−007889(JP,B1)
【文献】 特開昭60−127713(JP,A)
【文献】 特開平01−194311(JP,A)
【文献】 特開昭62−081929(JP,A)
【文献】 特開平09−017660(JP,A)
【文献】 特開平08−288154(JP,A)
【文献】 特開昭54−099975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ付変圧器の巻線タップに電気接続されている負荷時タップ切換器の固定接触子(15)間を停電させずに切り換えるための半導体スイッチング素子を有する当該負荷時タップ切換器において、
前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)は、軌道に沿って配置されていて、
接触摺動部(9,29)が、前記軌道に沿って移動可能であり、
互いに絶縁された電気伝導性の第1接触ブリッジ、第2接触ブリッジ及び第4接触ブリッジ(10,11,13;30,32,36)が、前記接触摺動部(9,29)上に配置されていて、これらの第1接触ブリッジ、第2接触ブリッジ及び第4接触ブリッジ(10,11,13;30,32,36)に対して同様に電気絶縁されたものの、互いに電気接続されている2つの別の第3接触ブリッジ及び第5接触ブリッジ(12,14;33,35)が配置されていて、静的運転中には、前記負荷時タップ切換器の複数の固定接触子(15)のうちの1つの固定接触子が、第4接触ブリッジ(13;36)を介して転位タップ(20)の複数の転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子に選択式に電気接続可能であり、第1接触ブリッジ(10;30)と第2接触ブリッジ(11;32)と第3接触ブリッジ(12;33)と第5接触ブリッジ(14;35)とを介して前記転位タップ(20)の前記複数の転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子に電気接続不可能であり、切り換え開閉中には、前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)のうちのその都度の1つの固定接触子が、前記半導体スイッチング素子(2,3)のうちの1つの半導体スイッチの入力部(4,5)に短期間電気接続可能であり、さらにそれぞれの前記半導体スイッチ(2,3)の出力部(6)が、前記転位タップ(20)に電気接続可能であり、
前記半導体スイッチング素子(2,3)が、前記静的運転中に前記転位タップ(20)及び同時に前記変圧器の巻線から電気的に分離されているように、前記転位タップ(20)が、分割されて固定された複数の前記転位接触子(19.1,...,19.5)を有し、当該個々の転位接触子(19.1,...,19.5)は、前記転位タップ(20)を通じて互いに電気接続されている当該負荷時タップ切換器。
【請求項2】
前記分割されて固定された複数の前記転位接触子(19.1,...,19.5)、別の軌道内で前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)の前記軌道に対して平行に且つ前記複数の転位接触子(19.1,...,19.5)と同じ間隔をあけて且つ前記複数の転位接触子(19.1,...,19.5)と同じ幾何構造で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項3】
固定された前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)及び固定された前記転位接触子(19.1,...,19.5)はそれぞれ、1つの平面軌道に沿って配置されていて、前記接触摺動部(9)は直線状に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項4】
固定された前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)及び固定された前記転位接触子(19.1,...,19.5)はそれぞれ、回転可能な前記接触摺動部(9)の回転点を同心円に包囲する1つの円形軌道上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項5】
前記半導体スイッチ(2,3)は、IGBTであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項6】
両前記半導体スイッチ(2,3)はそれぞれ、独立した1つの電気入力部(4,5)及び共通の1つの電気出力部(6)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項7】
電気伝導性であるものの、互いに絶縁された複数の接触軌道(16,17,18;25,26,27)が、固定された前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)の前記軌道に対して平行に設けられていて、これらの接触軌道(16,17,18;25,26,27)のうちのその都度の1つの接触軌道が、前記電気入力部(4,5)のうちの1つの電気入力部又は前記電気出力部(6)に電気接続していることを特徴とする請求項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項8】
前記転位接触子(19.1,...,19.5)の軌道が、前記接触軌道(16,17,18;25,26,27)に対して平行に、これらの接触軌道(16,17,18;25,26,27)に対して電気的に絶縁されて設けられていて、前記転位接触子(19.1,...,19.5)自体が、前記転位タップ(20)に電気接続されている請求項7に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項9】
前記第1〜5接触ブリッジ(10,11,12,13,14;30,32,33,35,36)が、前記接触軌道(16,17,18;25,26,27)又は前記転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子に対応し、前記第1〜5接触ブリッジ(10,11,12,13,14)を介して、切り換えに応じて、選択的に、前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)のうちの1つの固定接触子と前記転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子とが直接電気接続可能であるか、又は、前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)のうちの1つの固定接触子と前記電気入力部(4,5)のうちの1つの電気入力部とが電気接続可能であり、且つ、前記電気出力部(6)と前記転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子とがさらに電気接続可能であるように、前記第1〜5接触ブリッジ(10,11,12,13,14;30,32,33,35,36)が、寸法決めされていて、且つ前記接触摺動部(9,29)上に立体的に配置されていることを特徴とする請求項に記載の負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タップ付変圧器の巻線タップ間を停電させずに切り換えるための半導体スイッチング素子を有する負荷時タップ切換器に関する。この場合、本発明は、負荷タップ選択器の原理にしたがう負荷時タップ切換器に由来する。
【背景技術】
【0002】
負荷時タップ切換器は、様々な実施の形態で知られている;これらの負荷時タップ切換器は、負荷タップ選択器と、切り換えられなければならない新しい巻線タップを無電流状態で選択するための独立したタップ選択器及び当該選択に追従して実際に切り換えるための切換開閉器を有する機器とに原理的に区別される。“Axel Kraemer:On−Load Tap−Changers for Power Transformers”,MR−Publikation 2000年は、様々な構造形式についての概論を提示する。当該構造形式の特徴が、その第7頁に説明されている。あらゆる負荷時タップ切換器が、構造形式に関係なく1つの共通の転位タップを有する。この転位タップは、負荷時タップ切換器の実際の位置に関係なく変圧器、通常は主巻線に対する接続を行う。
【0003】
例えば、従来の技術のように、このようなただ1つの転位タップを有する負荷時タップ切換器が、国際公開第99/60588号パンフレットから公知である。当該公知の解決手段の場合、この転位タップは、電気伝導性のスリップリングとして形成されている。このスリップリングは、柱状スイッチを同心状に包囲する。接触ブリッジの一方の部分が、このスリップリング上で摺動する。この接触ブリッジの他方の部分が、それぞれの固定ステップ接触子に電気接触する。
【0004】
負荷時タップ切換器にほぼ類似する配置が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3833126号明細書から既に公知である。特に当該図4が、ここでは概略的に直線で示されている1つの連続した転位タップを示す。
【0005】
機械式の接触子又はスイッチ手段として真空スイッチ室も有する負荷時タップ切換器に関しては、これらの連続したスリップリング又は負荷時タップ切換器の直線方向の操作の場合は転位軌道も問題ない;当該スリップリング又は転位軌道は、構造上簡単な構成を可能にする。これに対して、半導体スイッチング素子を有する負荷時タップ切換器に関しては、様々な欠点が生じる。運転電圧の持続する印加及び衝撃電圧による電力用電子機器のストレスに起因して、長い絶縁距離が必要である。このことは、望まれていない。さらに、変圧器の隔壁による高価な高圧遮断器が必要である。以上により、当該公知の転位タップは、電力用電子機器の構成要素に持続する負荷をかける。
【特許文献1】国際公開第99/60588号パンフレット
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第3833126号明細書
【非特許文献1】“Axel Kraemer:On−Load Tap−Changers for Power Transformers”,MR−Publikation 2000年、第7頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、これらの欠点を排除すること、及び、半導体スイッチング素子の高い負荷を回避し且つ静的運転中に負荷時タップ切換器を変圧器の巻線から電気絶縁する半導体スイッチング素子を有する負荷時タップ切換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の
タップ付変圧器の巻線タップに電気接続されている負荷時タップ切換器の固定接触子(15)間を停電させずに切り換えるための半導体スイッチング素子を有する当該負荷時タップ切換器において、
前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)は、軌道に沿って配置されていて、
接触摺動部(9,29)が、前記軌道に沿って移動可能であり、
互いに絶縁された電気伝導性の第1接触ブリッジ、第2接触ブリッジ及び第4接触ブリッジ(10,11,13;30,32,36)が、前記接触摺動部(9,29)上に配置されていて、これらの第1接触ブリッジ、第2接触ブリッジ及び第4接触ブリッジ(10,11,13;30,32,36)に対して同様に電気絶縁されたものの、互いに電気接続されている2つの別の第3接触ブリッジ及び第5接触ブリッジ(12,14;33,35)が配置されていて、静的運転中には、前記負荷時タップ切換器の複数の固定接触子(15)のうちの1つの固定接触子が、第4接触ブリッジ(13;36)を介して転位タップ(20)の複数の転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子に選択式に電気接続可能であり、第1接触ブリッジ(10;30)と第2接触ブリッジ(11;32)と第3接触ブリッジ(12;33)と第5接触ブリッジ(14;35)とを介して前記転位タップ(20)の前記複数の転位接触子(19.1,...,19.5)のうちの1つの転位接触子に電気接続不可能であり、切り換え開閉中には、前記負荷時タップ切換器の固定接触子(15)のうちのその都度の1つの固定接触子が、前記半導体スイッチング素子(2,3)のうちの1つの半導体スイッチの入力部(4,5)に短期間電気接続可能であり、さらにそれぞれの前記半導体スイッチ(2,3)の出力部(6)が、前記転位タップ(20)に電気接続可能であり、
前記半導体スイッチング素子(2,3)が、前記静的運転中に前記転位タップ(20)及び同時に前記変圧器の巻線から電気的に分離されているように、前記転位タップ(20)が、分割されて固定された複数の前記転位接触子(19.1,...,19.5)を有し、当該個々の転位接触子(19.1,...,19.5)は、前記転位タップ(20)を通じて互いに電気接続されている当該負荷時タップ切換器によって解決される。従属請求項は、本発明の好適なその他の構成に関する。
【0008】
本発明の解決手段の特別な利点は、パワーエレクトロニクス部品の接続線が、静的運転中に変圧器の巻線から電気的に分離されている点にある。したがって、当該パワーエレクトロニクス部品は、衝撃電圧と運転電圧による持続するストレスとの双方から確実に分離されている。切換フェーズ、すなわち実際の切り換え開閉中にだけ、変圧器の巻線との電気接続が存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施の形態に基づいてさらに詳しく説明する。
図1中には、パワーエレクトロニクスを利用した切換開閉器1を有する負荷時タップ切換器を示す。この場合、2つの半導体スイッチ2及び3が設けられている。これらの半導体スイッチ2及び3はそれぞれ、電気入力部4又は5及び共通の電気出力部6を有する。したがって、切換開閉器1は、2つの経路:断路側用の経路及び継電側用の経路から構成され、当該経路のそれぞれが、半導体スイッチ2又は3によって実現される。電気入力部4,5及び電気出力部6が、導管7によって機械式接触系8内に引き込まれている。この機械式接触系8は、接触摺動部9を有する。この接触摺動部9は、図1中では専ら破線によって示されている。この接触摺動部9は、接触ブリッジ10,11,12,13を有する。これらの接触ブリッジ10,11,12,13は、接触摺動部9に固定して配置されている。これらの接触ブリッジ10,11,12,13は、電気伝導性であるものの、互いに絶縁されている;これらの接触ブリッジ10,11,12,13は、当該端部に図2中だけに示された公知の接触ローラ、摺動装置又は匹敵する手段を有する。これらの接触ブリッジ10,11,12,13及び枢着連結された追加のもう1つの接触ローラ(第5接触ブリッジ)14に関しては、後でさらに詳しく説明する。図1中に示されたステップ接触子15の各々が、タップ付変圧器の制御巻線の1つの巻線タップn,n+1,...に対応する。
【0010】
さらに、3つの接触軌道16,17,18が、機械式接触系内に設けられている。これらの接触軌道16,17,18はそれぞれ、電気伝導性である。これらの接触軌道16,17,18の各々が、半導体スイッチ2,3の電気入力部4又は電気入力部5又は電気出力部6に電気接続している。
【0011】
本発明によれば、転位タップが分割されている。すなわち、従来の技術から公知の連続した転位軌道又はその他の軌道は設けられていない。この代わりに、本発明では、個々の転位接触子19.1,19.2,19.3,19.4,19.5が配置されている。接触摺動部9の移動方向に沿って設けられているこれらの転位接触子19.1,19.2,19.3,19.4,19.5の寸法が、固定されたステップ接触子15に一致する。換言すれば:転位接触子19.1〜19.5の位置及び寸法が、−別の水平面内の−固定されたステップ接触子15の位置及び寸法に対応する。本発明で図示された実施の形態の場合、接触軌道16〜18及び個々の転位接触子19.1〜19.5が互いに平行に敷設されている;この場合、接触摺動部9が、接触のために直線状に並進移動する。個々の転位接触子19.1〜19.5は、電気接続部である転位タップ20を介して互いに接続されていて且つ主巻線21に接続されている。転位タップ20は、負荷時タップ切換器の内側だけではなくて、外側にも敷設され得る。
【0012】
第1接触ブリッジ10の一方の解放端部が、ステップ接触子15に接触し、その他方の解放端部が、接触軌道16で移動する。この接触軌道16は、第1半導体スイッチ2の入力部4に電気接続されている。同様に、第2接触ブリッジ11の一方の解放端部が、固定されたステップ接触子15に接触し、その他方の解放端部が、別の接触軌道17上で移動する。この接触軌道17は、第2半導体スイッチの入力部5に電気接続している。第3接触ブリッジ12の一方の解放端部が、接触軌道18上で移動する。この接触軌道18は、パワーエレクトロニクスを利用した電力スイッチの共通の電気出力部6に接続されている。この第3接触ブリッジ12の他方の解放端部が、転位接触子19.1〜19.5に対応する。別の接触ブリッジ13が、説明した両接触ブリッジ10及び11間に間隔をあけて設けられている。この別の接触ブリッジの一方の解放端部が、固定されたステップ接触子15に接触され得る。その他方の端部が、転位接触子19.1〜19.5に接触され得る。さらに、ローラ接触子14が、説明した接触ブリッジ12に対して対称に配置されている。このローラ接触子14は、接触ブリッジ12に電気接続されていて且つ同様に転位接触子19.1〜19.5に接触可能である。
【0013】
接触ブリッジ12及びパワーエレクトロニクスを利用した電力スイッチの共通の出力部6並びに接触ブリッジ13が、接触摺動部9の位置に応じて転位接触子19.1〜19.5のうちの1つの転位接触子に電気接続可能になることが分かる。静的運転中に、接触ブリッジ13が、その都度接触したステップ接触子15とその都度の転位接触子との間の直接の電気接続を受け持つ;このその都度の転位接触子は、切換位置に応じた転位接触子19.1〜19.5のうちの1つの転位接触子である。これに対して、パワーエレクトロニクスを利用した切換開閉器1の入力部に接続している接触ブリッジ10及び11は接触していない;半導体スイッチ2及び3がオフにされている。
【0014】
切り換え開閉時に、方向「高い」に切り換えられなければならないのか又は方向「低い」に切り換えられなければならないのかに応じて、接触摺動部9が、左又は右に向かって移動される。その結果、両接触ブリッジ10又は11のうちの1つの接触ブリッジが、新たに接触すべきステップ接触子15で停止し、それと同時にそれぞれの半導体スイッチ2又は3に対応する入力部4又は5に電気接続する。同時に、接触ブリッジ13が、固定されたステップ接触子15のうちの1つのステップ接触子に接触しなくなる。
【0015】
接触ブリッジ10及び11が共に再びしなくなり、接触ブリッジ13が通電を受け持つように、接触摺動部9がさらに移動した時に、当該切り換え開閉が終了する。
【0016】
図2は、円形の配置を有する本発明の別の実施の形態を示す。ここでも、半導体スイッチ2及び3が設けられている。これらの半導体スイッチ2及び3はそれぞれ、独立した1つの入力部4又は5及び共通の1つの電気出力部6を有する。この場合、接触ローラ22,23,24が設けられている。これらの接触ローラ22,23,24はそれぞれ、1つの接触リング25,26,27上で回転する。これらの接触リング25〜27は、当該機能に関して図1による接触軌道16〜18に相当する。図2では、固定された複数のステップ接触子15が、同心円上に設けられている。中心切換軸28が示されている。さらに、転位接触子19.1〜19.3が示されている。これらの転位接触子19.1〜19.3は、負荷時タップ切換器の固定接触子15と異なる別の水平面内に配置されている。しかしながら、これらの転位接触子19.1〜19.3は、負荷時タップ切換器の固定接触子15と同じ幾何構造及び垂直方向の配置を有する。
【0017】
さらに、破線だけによって示された絶縁材料から成る切換セグメント29が設けられている。切り換え開閉のため、この切換セグメント29は、負荷時タップ切換器の2つの固定接触子15間の距離又は2つの転位接触子19.1...19.3間の距離に相当する角度だけ切換軸28によって回転可能である。当該切換セグメント29には、接触ローラ(第1接触ブリッジ)30,31,(第2接触ブリッジ)32が、第1水平面内に設けられている。これらの切換セグメント29は、負荷時タップ切換器の固定接触子15に接触可能である。さらに、別の接触ローラ(第3接触ブリッジ)33,34,(第5接触ブリッジ)35が、第2水平面内に設けられている。これらの別の接触ローラ33,34,35は、当該切換セグメントの位置に応じて転位接触子19.1〜19.3のうちの1つの転位接触子に接触可能である。接触ローラ30は、接触リング25を介して第1半導体スイッチ2の入力部4に電気接続している。接触ローラ32は、接触リング26を介して第2半導体スイッチ3の入力部5に電気接続している。下の接触ローラ33及び35は一緒に、接触リング27を介して両半導体スイッチ2及び3の共通の出力部6に接続している。最後に、接触ローラ30と接触ローラ32との間に間隔をあけて配置されている接触ローラ31が、下の接触ローラ34を介して−位置に応じて−転位接触子19.1〜19.3のうちの1つの転位接触子に直接接続され得るように、上の接触ローラ31及び下の接触ローラ34が、電気伝導接続部(第4接触ブリッジ)36を有する。
【0018】
説明したように、本発明のこの実施の形態の場合は、切換セグメント29及びこの切換セグメント20と共に接触ローラ30〜35が、切換開閉ごとに回転運動する。しかしながら、当該機能原理は同じものである:静的運転中に、負荷時タップ切換器のその都度切り換えられた固定接触子が、接触ローラ34を介して転位接触子19.1〜19.3のうちの1つの転位接触子に直接電気接続されている一方で、半導体スイッチ2及び3が、オフにされているだけではなくて、変圧器の巻線から電気的に分離されている。切り換え開閉時にだけ、回転方向に応じて、パワーエレクトロニクスを利用した切換開閉器の両入力部4又は5のうちの1つの入力部が、割り当てられた接触ローラ30又は32によって負荷時タップ切換器の切り換えられなければならないその都度の固定接触子15に短期間その都度接続される。このとき、同時に、すなわち当該切り替え開閉中にだけ、回転方向に応じて、接触ローラ33又は35のうちの1つの接触ローラが、転位接触子19.1〜19.3のうちの1つの転位接触子に対する電気接続を受け持つ。
【0019】
図3は、変圧器に対する本発明の負荷時タップ切換器の変更した接続を示す。ここでは、公知の無電流で切り換わるタップ選択器37が、当該変圧器内にさらに設けられている。使用可能な電圧ステップの総数を増やすため、当該変圧器の巻線部38及び39が、このタップ選択器37によって異なって切り換えられ得る。
【0020】
全ての実施の形態において、説明した本発明の負荷時タップ切換器には、従来の技術と比べて、パワーエレクトロニクスを利用した切換開閉器までの全ての接続導線及びパワーエレクトロニクスを利用した切換開閉器からの全ての接続導線が、変圧器の巻線から電気的に分離されているという大きな利点がある。この場合、個々の接触ブリッジと個々の接触ブリッジとの間のオイル経路が、これらの構造部品間の絶縁を受け持つ。したがって、本発明の場合、当該パワーエレクトロニクスを利用した切換開閉器が、衝撃電圧と運転電圧による持続するストレスとの双方から分離されている。約100msの期間の切換フェーズの実際の切り換え開閉中にだけ、変圧器の巻線との電気接続が発生し、同時に運転電圧が印加される。これに応じて、導管7の絶縁部分及び空気中の絶縁距離が、従来の技術と比べて小さく構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の負荷時タップ切換器を概略的に示す。
図2】本発明の負荷時タップ切換器の別の実施の形態を示す。
図3】変圧器に異なるスイッチを装着してある本発明の負荷時タップ切換器を示す。
【符号の説明】
【0022】
1 切換開閉器
2 第1半導体スイッチ
3 第2半導体スイッチ
4 電気入力部
5 電気入力部
6 電気出力部
7 導管
8 機械式接触系
9 接触摺動部
10 第1接触ブリッジ
11 第2接触ブリッジ
12 第3接触ブリッジ
13 第4接触ブリッジ
14 接触ローラ、ローラ接触子、第5接触ブリッジ
15 ステップ接触子、固定接触子
16 第1接触軌道
17 第2接触軌道
18 第3接触軌道
19.1〜19.5 転位接触子
20 転位タップ
21 主巻線
22 接触ローラ
23 接触ローラ
24 接触ローラ
25 接触リング
26 接触リング
27 接触リング
28 切換軸
29 切換セグメント
30 接触ローラ、第1接触ブリッジ
31 接触ローラ
32 接触ローラ、第2接触ブリッジ
33 接触ローラ、第3接触ブリッジ
34 接触ローラ
35 接触ローラ、第5接触ブリッジ
36 電気伝導接続部、第4接触ブリッジ
37 タップ選択器
38 巻線部
39 巻線部
図1
図2
図3