特許第5710610号(P5710610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5710610超音波手術器具のための電気外科手術用電気発生器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710610
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】超音波手術器具のための電気外科手術用電気発生器
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20150409BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   A61B17/36 330
   A61B17/39 310
   A61B17/39 320
【請求項の数】4
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2012-520695(P2012-520695)
(86)(22)【出願日】2010年7月12日
(65)【公表番号】特表2012-533346(P2012-533346A)
(43)【公表日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】US2010041663
(87)【国際公開番号】WO2011008672
(87)【国際公開日】20110120
【審査請求日】2013年5月28日
(31)【優先権主張番号】12/503,766
(32)【優先日】2009年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/503,769
(32)【優先日】2009年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/503,770
(32)【優先日】2009年7月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィーナー・アイタン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シャン
(72)【発明者】
【氏名】プライス・ダニエル・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ノーベル・デイビッド・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダノ・ジェイムズ・アール
(72)【発明者】
【氏名】ディナルド・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ウィット・デビッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】オールドリッジ・ジェフリー・エル
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−050181(JP,A)
【文献】 特表2009−523567(JP,A)
【文献】 特開2007−229454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具において、
ハンドピースハウジングと、
前記ハンドピースハウジング内に支持されて、振動を生成するように構成される音響アセンブリと、
近位端と遠位端とを含む導波管であって、前記近位端は、前記音響アセンブリによって生成された振動が前記導波管に伝達されるように前記音響アセンブリに装着される、導波管と、
前記導波管に対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なクランプと、
前記導波管と電気的に導通する第1の導体と、
前記クランプと電気的に導通する第2の導体であって、電流が前記導波管及び前記クランプと接触する組織を通って前記導波管と前記クランプとの間を流れることができるように、前記第1の導体及び前記第2の導体は、電源と電気的導通状態に配置されるように構成される、第2の導体と、
前記音響アセンブリが振動を生成する第1の動作モード、並びに、電流が、前記第1の導体、前記導波管、前記クランプ、前記導波管及び前記クランプと接触する組織、及び前記第2の導体を含む回路を流れる第2の動作モードで前記手術器具を操作するように構成される、制御ユニットと、
前記手術器具を前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で切り替えるように構成される、スイッチと、
前記導波管を少なくとも部分的に取り囲むシースと、
を備え、
前記クランプが、前記シースに旋回可能に装着される近位端を含み、前記クランプが遠位端を更に含み、電流が組織を通って前記導波管の前記遠位端と前記クランプの前記遠位端との間を流れることができるように、前記クランプの前記遠位端の端面及び前記導波管の前記遠位端の端面が、前記組織に接して配置されるように構成される、手術器具。
【請求項2】
前記クランプが、前記導波管と直接接触しない、請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記第2の導体が、前記シースに少なくとも部分的に埋め込まれる、請求項1に記載の手術器具。
【請求項4】
前記クランプに装着される組織接触パッドを更に備え、前記組織接触パッドが導電性材料で構成される、請求項1に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般に、超音波手術システムに関し、より詳細には、外科医が切断及び凝固を実行することを可能にする超音波システムに関する。
【0002】
超音波手術器具は、そのような器具の特有の性能的特徴のおかげで、手術処置にますます広範に用いられるようになってきている。特定の器具の構成及び操作パラメータによっては、超音波手術器具は、組織の切断及び凝固によるホメオスタシスを実質的に同時にもたらし、患者の外傷を望ましく最小限にすることができる。切断行為は、通常、器具の遠位端にあるエンドエフェクタ又はブレードの先端によって実現され、エンドエフェクタが接触した組織に超音波エネルギーが伝達される。このような性質の超音波器具は、ロボット支援処置を含む切開手術用途、腹腔鏡又は内視鏡手術処置用に構成され得る。
【0003】
いくつかの手術用器具は、正確な切断及び制御された凝固の両方のために超音波エネルギーを利用する。超音波エネルギーは、電気外科手術で使用される温度より低い温度を使用して切断及び凝固を行う。高周波(例えば、毎秒55,500回)で振動する超音波ブレードは、組織内のタンパク質を変性して、べったりとした凝塊を形成する。ブレード表面が組織に及ぼす圧力は血管を崩壊し、凝塊が止血シールを形成することを可能にする。切断及び凝固の精度は、外科医の技術、及び電力レベル、ブレードエッジ、組織トラクション、ブレード圧力の調整によって制御される。
【0004】
しかし、医療機器のための超音波技術の主たる課題は、引き続き、血管の封着である。出願者らによって為された研究は、標準的な超音波エネルギーの適用の前に血管の内側筋肉層が外膜層から分離され、移動されると、最適な血管封着が生じることを示している。この分離を達成するための現行の努力として、血管に適用されるクランプ力を増すことが行われてきた。
【0005】
更に、ユーザーは、切断されている組織の視覚的フィードバックを常に有するわけではない。したがって、何らかの形式のフィードバックを提供して、視覚的フィードバックが利用可能でないときに、ユーザーに切断が完了したことを示すことは望ましいであろう。更に、切断が完了したことを示す何らかの形式のフィードバックインジケータがなければ、切断が完了しているのにユーザーが高調波器具を作動させ続ける可能性があり、高調波器具のジョーの間に何もない状態で高調波器具を作動させると指数関数的に生成される熱によって、高調波器具及び周囲の組織の損傷を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の器具の欠点のいくつかを克服する超音波手術器具を提供することが望ましいであろう。本明細書に記述する超音波手術器具は、それらの欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの一般的な態様では、種々の実施形態は、所定の周波数で長手方向軸に沿って振動を生成するように構成されたトランスデューサを備える超音波手術器具(0instrument)を目的とする。種々の実施形態では、超音波ブレードは長手方向軸に沿って延び、かつ、トランスデューサに連結される。種々の実施形では、超音波ブレードは、近位端と遠位端とを有する本体を備え、この遠位端は、トランスデューサによって生成される振動によって、長手方向軸に対して移動可能である。
【0008】
1つの一般的な態様では、種々の実施形態は、機械的エネルギー及び電気エネルギーを手術器具のエンドエフェクタに供給することができる手術器具を目的とする。手術器具は、手術器具のトランスデューサが、エンドエフェクタに伝達される機械的エネルギー、又は振動を生成する第1の動作モード、及び電気エネルギー、又は電流がエンドエフェクタを流れて電気外科手術を行うことができる第2の動作モードで操作されることができる。別の一般的な態様では、手術器具はクランプ、又はジョーを備えてもよく、このクランプ、又はジョーは、エンドエフェクタの導波管、又はブレードに対して組織を保持するために、閉鎖位置に移動することができる。手術器具の第2の動作モードでは、電流は、電源から導波管を通って流れ、ジョーを含む経路を通って電源に戻ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
種々の実施形態の特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に示される。ただし、構成及び操作方法の両方に関する様々な実施形態は、それらの他の目的及び利点とともに、以下の説明を以下の添付図面と併せて参照すれば最もよく理解することができる。
図1】超音波手術器具システムと電気外科手術用の手術器具システムとを含む手術器具を示す。
図2】ハンドピースハウジングの一部が除去され、かつ、音響アセンブリが手術器具の導波管と動作可能に係合された状態にある、図1の手術器具のハンドピースアセンブリの一部を示す。
図3】音響アセンブリに電力を供給するように構成された負極及び正極接触を示すために音響アセンブリが除去された状態にある、図2のハンドピースアセンブリを示す。
図4図2の音響アセンブリの一部の詳細図。
図5図1の超音波手術器具のエンドエフェクタの詳細図。
図6】超音波器具の導波管の第1の通路、及びリターン導体のための第2の通路を画定することができる内側シースと外側シースとを含むシースアセンブリの実施形態の斜視図。
図7】超音波手術器具の導波管の少なくとも一部を囲むように構成されたシースの実施形態の斜視図であり、導体はシースの少なくとも一部に埋め込まれることができる。
図8】超音波手術器具の導波管に対して組織を保持するように構成されたクランプアームアセンブリの実施形態の斜視図。
図9】組織接触面の下に延びる下方に延在する壁を有するクランプアームアセンブの別の実施形態の斜視図。
図10】超音波手術器具の導波管に対して閉鎖位置に位置付けられた図9のクランプアームアセンブリの横断端面図。
図11】クランプアームアセンブリの組織接触パッドの斜視図であり、パッドは、その中に埋め込まれ、かつ超音波手術器具の導波管に対して位置付けられた、第1及び第2の電極を備えている。
図12】クランプアームアセンブリの組織接触パッドの別の実施形態の斜視図であり、パッドは、それ自体に装着され、かつ超音波手術器具の導波管に対して位置付けられた、第1及び第2の電極を備えている。
図13】クランプアームアセンブリの組織接触パッドの別の実施形態の斜視図であり、パッドは、その中に埋め込まれた第1及び第2の点電極を備えている。
図14】超音波手術器具の導波管導波管の少なくとも一部を囲むように構成されたシースの実施形態の斜視図であり、第1及び第2の導体は、シースの少なくとも一部に埋め込まれることができる。
図15】内側シースと外側シースとを含むシースアセンブリの実施形態の斜視図であり、内側シース及び外側シースは、第1及び第2の導体を含んでもよい。
図16】導波管に対して組織を保持するクランプアームアセンブリの端面図。
図17】導波管に対して組織を保持するクランプアームアセンブリの代替の実施形態の端面図。
図18】超音波トランスデューサを駆動するための超音波電気信号を生成する超音波発生器モジュールの駆動システムの一実施形態を示す。
図19】組織インピーダンスモジュールを備える発生器の駆動システムの一実施形態を示す。
図20】ブレードに連結された組織インピーダンスモジュール、及び組織がそれらの間に挟まれているクランプアームアセンブリの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
超音波手術器具の様々な実施形態について詳細に説明する前に、図示されている実施形態は、その適用又は用途において、添付図面及び説明の関連において例示される部品の構造及び配列の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な諸実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態に実装され又は組み込まれてもよく、様々な方法で実践又は実施されてよい。更に、特に指示がない限り、本明細書に使用される用語及び表現は、読者の便宜上、例示的な実施形態を説明するために選択されており、これらの範囲を制限することを目的とするのではない。
【0011】
更に、以下に記述される実施形態、実施形態の具現、実施例の任意の1つ以上を、以下に記述される他の実施形態、実施形態の具現、実施例の任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0012】
様々な実施形態は、手術処置中の組織の解離、切断、及び/又は凝固を達成するために構成される改良された超音波手術器具を目的とする。一実施形態では、超音波手術器具装置は切開手術処置における使用のために構成されるが、腹腔鏡、内視鏡、及びロボット支援処置のような他のタイプの手術における用途も有する。超音波エネルギーの選択的使用によって、多方面の用途が容易になる。
【0013】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に準拠して用いられることが理解されよう。ゆえに、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位にある。更に言うまでもなく、便宜及び明確さのために、「上部」及び「下部」などの空間に関する用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを握持する臨床医を基準として用いられている。しかしながら、手術器具は多くの向き及び位置で使用され、これらの用語は限定的かつ絶対的であることを意図しない。
【0014】
様々な実施形態について、本明細書に記述されている超音波器具との組み合わせとして記述する。そのような記述は制限としてではなく例として提供されているのであり、その範囲及び適用を制限することは意図されない。例えば、記述された実施形態の任意の1つは、例えば、米国特許第5,322,055号;同第5,449,370号;同第5,630,420号;同第5,935,144号;同第5,938,633号;同第5,944,737号;同第5,954,736号;同第6,278,218号;同第6,283,981号;同第6,309,400号;同第6,325,811号;及び同第6,436,115号に記載のものを含む多数の超音波器具と組み合わせるのに有用であり、当該特許のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。同一出願人による同時係属中の米国特許出願第11/726,625号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」(2007年3月22日出願)もまた、参照によりその全体が同様に組み込まれる。以下の同一出願人による同時期に提出された米国特許出願のそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(1)米国特許出願第_____号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」、代理人整理番号END6493USNP1/080593
(2)米国特許出願第_____号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」、代理人整理番号END6495USNP2/080594
(3)米国特許出願第_____号、発明の名称「ULTRASONIC DEVICE FOR CUTTING AND COAGULATING WITH STEPPED OUTPUT」、代理人整理番号END6427USNP/080591。
【0015】
以下の記述から明白となるように、本明細書に記述される手術器具の実施形態は、手術システムの発振器モジュールと関連付けて使用することができ、それにより、その発振器モジュールからの超音波エネルギーが所望の超音波作動を本明細書の手術器具にもたらすように、企図される。また、本明細書に記述される手術器具の実施形態は、手術システムの信号発生器モジュールと関連付けて使用することができ、それにより、例えば、無線周波数(RF)の形態の電気エネルギーを使用して、その手術器具に関してユーザーにフィードバックを提供するように企図される。超音波発振器及び/又は信号発生器モジュールは、分離できないように手術器具と一体化されてもよく、あるいは、手術器具に電気的に取り付け可能であり得る分離した構成要素として提供されてもよい。
【0016】
本明細書の手術装置の一実施形態は、その直接的な(straightforward)構造のおかげで、使い捨て用として特に構成される。しかしまた、本明細書の手術器具の他の実施形態は、使い捨てではないもの又は複数回使用されるものとして構成され得るものと企図される。関連付けられる発振器及び信号発生器ユニットとの、本明細書の手術器具の取り外し可能な接続について、ここでは1人の患者用として、あくまで例示を目的として開示する。しかし、本明細書の手術器具を、関連付けられる発振器及び/又は信号発生器ユニットと取り外し可能にせずに、一体化接続することもまた、企図される。したがって、本明細書に記載された手術器具の種々の実施形態は、非限定的に、使い捨て及び/又は複数回使用に、並びに、取り外し可能な及び/又は分離不能な一体化された発振器及び/又は信号発生器モジュールと共に構成されてもよい。かかる構成の全ての組み合わせは、本開示の範囲内であると考えられる。
【0017】
図1は、手術システム100の一実施形態を示す。手術システム100は、発生器112と超音波手術器具110とを含む。発生器112は、超音波手術器具110の超音波トランスデューサ114部分に、ケーブル142などの好適な伝達媒体を介して接続される。一実施形態では、発生器112は、超音波発生器モジュール180及び信号発生器モジュール102に連結される。種々の実施形では、超音波発生器モジュール180及び/又は信号発生器モジュール102は、それぞれ、発生器112と一体に形成されてもよく、又は、発生器112と電気的に連結される別個の回路モジュール(この選択肢を例示するために点線で示されている)として提供されてもよい。一実施形態では、信号発生器モジュール102は、超音波発生器モジュール180と一体に形成されてもよい。開示されている実施形態では、発生器112は手術器具110から分離して示されているが、一実施形態では、発生器112は手術器具110と一体化形成されて、一体型手術システム100を形成することができる。発生器112は、発生器112のコンソールのフロントパネルに位置する入力デバイス406を備える。入力デバイス406は、後に図18を参照して説明されるように、発生器112の動作をプログラムするために適した信号を生成する任意の適したデバイスを備えることができる。引き続き図1を参照すると、ケーブル142は、電気エネルギーを超音波トランスデューサ114の正(+)及び負(−)の電極に適用するための複数の導電体139、141を備えることができる。いくつかの用途では、超音波トランスデューサ114は、多様な処置及び手術の間に外科医が超音波トランスデューサ114を把持して操作することができるように手術システム100の手術器具110が構成され得ることから、「ハンドルアセンブリ」と呼ばれる場合があることに留意されたい。
【0018】
一実施形態では、発生器112は、無線周波数(RF)エネルギーを用いて双極電気外科手術を行うのに十分な電力を供給することができる電気外科ユニット(ESU:electrosurgery unit)として搭載されてもよい。一実施形態では、ESUは、ERBE USA,Inc.(Marietta,Georgia)から市販の双極ERBE ICC 350であり得る。双極電気外科手術用途では、上述のように、活性電極とリターン電極とを有する手術器具を使用することができ、その場合、電流が組織を通って活性電極からリターン電極まで流れることができるように、活性電極及びリターン電極は、処置対象組織に接するか、又は隣接した状態で位置付けられ得る。したがって、発生器112は、組織を処置するのに十分な電気エネルギーを組織Tに適応することによる処置目的(例えば、焼灼)のために構成されてもよい。
【0019】
一実施形態では、信号発生器モジュール102は、組織インピーダンス測定モジュールを実行するために、治療レベル未満のRF信号を伝達するように構成されてもよい。一実施形態では、信号発生器モジュール102は、以下により詳細に記載される双極無線周波発生器を備える。一実施形態では、信号発生器モジュール102は、組織T(図5)の電気インピーダンスZをモニタして、組織インピーダンスZに基づいて時間及び電力レベルの特性を制御するように構成されてもよい。組織インピーダンスZは、以下により詳細に記載されるように、治療レベル未満のRF信号を組織Tに適用して、組織T(図5図10図16図17)を流れる電流を、クランプ部材151に設けられるリターン電極を用いて測定することによって決定されてもよい。したがって、信号発生器モジュール102は、組織Tのインピーダンス特性又はその他の電気的特性を測定する治療レベル未満の目的のために構成されてもよい。組織Tのインピーダンス特性又はその他の電気的特性を測定するための技法及び回路構成は、以下の図18図20を参照して以下により詳細に記述される。
【0020】
好適な超音波発生器モジュール180は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により販売されているGEN 300と同様の様式で機能的に作動するように構成されることができ、その全てが参照により本明細書に組み込まれる以下の米国特許の1つ以上に開示されているようなものである:米国特許第6,480,796号(Method for Improving the Start Up of an Ultrasonic System Under Zero Load Conditions)、米国特許第6,537,291号(Method for Detecting a Loose Blade in a Handle Connected to an Ultrasonic Surgical System)、米国特許第6,626,926号(Method for Driving an Ultrasonic System to Improve Acquisition of Blade Resonance Frequency at Startup)、米国特許第6,633,234号(Method for Detecting Blade Breakage Using Rate and/or Impedance Information)、米国特許第6,662,127号(Method for Detecting Presence of a Blade in an Ultrasonic System)、米国特許第6,678,621号(Output Displacement Control Using Phase Margin in an Ultrasonic Surgical Handle)、米国特許第6,679,899号(Method for Detecting Transverse Vibrations in an Ultrasonic Handle)、米国特許第6,908,472号(Apparatus and Method for Altering Generator Functions in an Ultrasonic Surgical System)、米国特許第6,977,495号(Detection Circuitry for Surgical Handpiece System)、米国特許第7,077,853号(Method for Calculating Transducer Capacitance to Determine Transducer Temperature)、米国特許第7,179,271号(Method for Driving an Ultrasonic System to Improve Acquisition of Blade Resonance Frequency at Startup)、米国特許第7,273,483号(Apparatus and Method for Alerting Generator Function in an Ultrasonic Surgical System)。
【0021】
記述される実施形態によると、超音波発生器モジュール180は、特定電圧、電流、及び周波数(例えば、毎秒55,500サイクル(Hz))の電気信号を生成する。発生器112は、超音波トランスデューサ114を形成する圧電セラミック素子を収容しているハンドピースアセンブリ160の中の超音波発生器モジュール180に、ケーブル142で接続される。ハンドピースアセンブリ160上のスイッチ143、又は発生器112に別のケーブル105で接続されるフットスイッチ144に応答して、発生器信号はトランスデューサ114に適用されて、その素子の縦振動を引き起こす。一構造物は、手術ブレード146をトランスデューサ114に接続しており、発生器信号がトランスデューサ114に適用されたときに超音波周波数において振動される。この構造物は、選択された周波数で共振するように設計されて、トランスデューサ114によって始動される運動を増幅する。一実施形態では、発生器112は、高い分解能、精度、及び反復性で階段状に上昇され得る特定の電圧、電流、及び/又は周波数の出力信号を生成するように構成される。
【0022】
ここで図1図4を参照すると、手術器具システム110のハンドピースアセンブリ160は、エンドエフェクタ150を動作可能に支持するハンドピースハウジング116を備えてもよい。ハンドピースハウジング116は、その中に音響アセンブリ124を回転自在に支持する。音響アセンブリ124は、図2に示されるように、一般に変換部118と、第1の共振器又はエンドベル120と、第2の共振器又はフォアベル122と、付属構成要素とを含む超音波トランスデューサ114を備える。種々の実施形では、トランスデューサ114によって生成された超音波エネルギーは、音響アセンブリ124を通り、図1及び図3に示される超音波伝送導波管147を介してエンドエフェクタ150に伝達され得る。音響アセンブリ124がエネルギーを導波管147に、そして最終的にはエンドエフェクタ150伝達するように、音響アセンブリ124の構成要素がブレード146に音響的に連結される。例えば、超音波トランスデューサ114の遠位端は、超音波エネルギーを導波管147に伝達しながら、音響アセンブリ124が導波管147に対して自由に回転することを可能にする連結アセンブリによって、導波管146の近位端170に音響的に連結されてもよい。
【0023】
図3に示されるように、導波管146の近位端170は、その中に開口172が設けられてもよく、この開口172は、フォアベル122から遠位側に突出するステム(図示せず)を受容するように寸法設定される。種々の実施形態では、図2図4に示されるようにエンドベル120及びフォアベル122が組み合されると、圧電素子132は、例えば、エンドベル120とフォアベル122との間で圧縮されて、圧電素子のスタックを形成することができる。圧電素子132は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、チタン酸鉛、及び/又は、例えば任意の好適な圧電性結晶材料などの任意の好適な材料から作られてもよい。図2及び図4に示されるように、トランスデューサ114は、少なくとも1つの正極134及び少なくとも1つの負極136などの電極を備えてもよく、これら電極は、1つ以上の圧電素子132の両端に電位を作り出すように構成されることができる。図2に示されるように、正極134及び負極136、並びに圧電素子132は、それぞれ、エンドベル120のねじ付きの部分を受容することができる通路を形成するように協働するボア(図示せず)を備えて構成され得る。一実施形態では、正極134は、第1の外周「PC」を有する環状リングの形態で提供され、負極136もまた、第2の外周「NC」を有する環状リングの形態で提供される。図2に示されるように、種々の実施形では、圧電素子132のスタックは、第1の外周「PC」及び第2の外周「NC」よりも小さい外側外周「OC」を有してもよい。
【0024】
種々の実施形では、ハンドピースハウジング116は、超音波発生器モジュール180及び/又は信号発生器モジュール102を支持してもよい。一実施形態では、超音波発生器モジュール180は、正極スリップリング接触部191を含み得る電気接触アセンブリ190と電気的に連結されてもよく、この正極スリップリング接触部191は、ハンドピースハウジング116内に装着されて、正極134と回転接触する。陽極スリップリング接触部191は、正極超音波供給ケーブル/導体192によって、超音波発生器モジュール180と電気的に連結される。電気接触アセンブリ190は、ハンドピースハウジング116内に装着されて負極136と回転接触する負極スリップリング接触部194を更に含んでもよい。負極スリップリング接触部194は、負極超音波供給ケーブル195によって、超音波発生器モジュール180と電気的に連結される。かかる構成により、音響アセンブリ124が超音波発生器モジュール180と完全に電気接触している状態で、音響アセンブリ124が超音波発生器モジュール180に対して自由に回転自在になることが理解されるであろう。
【0025】
種々の実施形では、超音波伝送導波管147は、複数個の波節の位置又は少なくともその近くに配置される、複数個の安定化シリコーンリング又は弾性支持体(図示せず)を備えてもよい。上述のように、シリコーンリングは、望ましくない振動を弱め、かつ、導波管147を少なくとも部分的に囲むシース158から超音波エネルギーを隔離することができ、それによって、超音波エネルギーがエンドエフェクタ150の遠位端152まで長手方向に最高効率で流れるのを確実にする。
【0026】
図2及び図3に示されるように、シース158は、ハンドピースアセンブリ160の遠位端に回転自在に取り付けられる回転輪159に連結され得る。回転輪159は、ハンドピースアセンブリ160に対するシース158及び導波管147の選択的回転を容易にする。シース158は、回転輪159の上にねじ付けられる又はスナップ嵌めされ得るアダプタ部162を有してもよい。回転輪159は、ハンドピースアセンブリ160に対するシース158及び導波管146の軸A−Aを中心とした回転を容易にするために、ハンドピースアセンブリ160の中の環状溝にスナップ嵌めされるフランジ部(図示せず)を含んでもよい。一実施形態では、シース158はまた中空管状部164を含み、導波管146は、より詳細に上述された様式でそこを通って延在する。種々の実施形では、シース158のアダプタ162は、例えば、ULTEM(登録商標)で構成されてもよく、管状部164は、例えば、ステンレス鋼から製造されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、超音波伝送導波管147は、例えば、超音波伝送導波管147を外部接触から隔離するためにこれを取り囲む高分子材料を有してもよい。
【0027】
この実施形態では、図1に示されるように、超音波発生器モジュール180は、シースの中に収容されてケーブル142を形成し得るケーブル139、141によって、電子信号/無線周波発生器112に電気的に連結される。音響アセンブリ124は、超音波発生器モジュール180に対して自由に回転することができるので、導波管147及びエンドエフェクタ150は、ケーブル142を望ましくなくねじる及び絡ませることなく、ハンドピースアセンブリ160に対して軸A−Aを中心に自由に回転され得る。
【0028】
図2及び図3に示されるように、ハンドピースアセンブリ160は、ピストルグリップ形状を有し、かつ、ハンドピースアセンブリ160内に枢動可能に支持される可動トリガアセンブリ145を動作可能に支持してもよい。組み立てを容易にするために、ハンドピースアセンブリ160は、ねじ式締結具、スナップ式機構、接着剤によって一体に結合される2つのハウジング部分162を含んでもよい。可動トリガアセンブリ145はトリガ部153を備え、このトリガ部153は、それぞれがそこを貫通する穴155を有する一対の離間した取り付けアーム154を有している。穴155は、それぞれ、ハウジング部分162のそれぞれから突出している対応のピボットピン(図示せず)を受容するように寸法設定される。かかる構成により、トリガ部153は、軸A−Aをほぼ横断する軸を中心に、ハンドピースアセンブリ160に対して旋回可能となる。
【0029】
図2及び図3に示されるように、トリガアセンブリ145は、中間リンク157を介してトリガ部153に取り付けられる作動アーム156を備えてもよい。作動アーム156は、トリガヨーク185に枢動可能に連結される(ピンで留められる)。アーム156は、そこを通って横切るように延在する取り付けピン186を有し、この取り付けピン186は、ハウジング部分162の中に形成された対応する細長い空洞187の中に摺動自在に受容されるように寸法設定される。図2及び図3を参照されたい。かかる構成は、トリガ部153の旋回に応答した、ハンドピースアセンブリ160内の作動アーム156の軸方向運動を容易にする。
【0030】
図1に図示した実施形態では、手術システム100のエンドエフェクタ150部分は、手術器具110の遠位端に接続されたクランプアームアセンブリ149を備える。ブレード146は第1の(例えば通電)電極を形成し、クランプアームアセンブリ149は第2の(例えばリターン)電極を形成する導電部分を備える。信号発生器モジュール102は、ケーブル137のような好適な伝達媒体を介して、ブレード146及びクランプアームアセンブリ149に連結される。ケーブル137は、組織に電圧を印加するため、及び組織を通って流れて信号発生器モジュール102に戻る電流の帰路を提供するための、複数の導電体を備える。種々の実施形では、信号発生器モジュール102は、発生器112と一体に形成されてもよく、あるいは、発生器112に連結される独立した回路として提供されてもよく、また、一実施形態では、超音波発生器モジュール180と一体に形成されてもよい(これら選択肢を例示するために点線で示されている)。
【0031】
一実施形態では、図1に示される手術システム100は、エンドエフェクタ150を選択的に通電する、エンドエフェクタ150に機械的エネルギーを伝達する、また更に、エンドエフェクタ150に治療的及び/又は治療レベル未満の電気エネルギーを選択的に通電するための構成要素を備えてもよい。手術器具110は、超音波周波数(例えば、55.5kHz)の機械的エネルギー、又は振動がエンドエフェクタ150に伝達される第1の動作モードと、電気エネルギー(例えば、治療及び/又は治療レベル未満)、又は電流をエンドエフェクタ150に流すことができる第2の動作モードとの間で切替可能であってもよい。例えば、特定の実施形態では、図1を参照すると、手術器具110の第1の動作モードでは、例えば、トランスデューサ114は、発生器112の超音波発生器モジュール180(例えば、超音波発振器)によって供給される電気エネルギーを機械的振動に変換し、その振動を導波管147の中及びエンドエフェクタ150のブレード146部分まで伝達する。このような機械的振動は、超音波周波数で生成され得るが、任意の好適な周波数(又は複数の周波数)を用いることができる。手術器具110の第2の動作モードでは、電流は、発生器112によって供給されてもよく、この電流は、トランスデューサ114、導波管147、及びエンドエフェクタ150を流れることができる。例えば、導波管147及びエンドエフェクタ150を流れる電流は、交流(AC電流)であり得、その場合、種々の実施形では、このAC電流の波形は、正弦波形状であり得る及び/又は一連のステップ間隔を含んでもよい。
【0032】
一実施形態では、信号発生器モジュール102によって供給される電流は、RF電流である。いずれの場合にも、手術器具110は、供給経路と帰路とを含んでもよく、処置される組織T(図5)は、トランスデューサ114、導波管147、及びブレード146を通る供給経路と、導体ケーブル137を通る帰路とを含む電気回路、又はループを完成させる、又は閉じる。一実施形態では、患者は導電パッドの上に位置付けられることができ、その場合、電流は、電気回路を完成させるために、手術器具の供給経路から患者を通って導電パッドの中に流れる。
【0033】
更に図1を参照すると、上述のように、一実施形態では、手術器具システム110は、エンドエフェクタ150を通電するために、フットスイッチ144を使用して発生器112によって通電されてもよい。例えば、作動されると、フットスイッチ144は発生器112を起動させて、電気エネルギーをハンドピースアセンブリ160に伝達する。フットスイッチ144は、多くの状況において好適であり得るが、他の好適なスイッチを使用することができる。種々の実施形では、手術器具システム110は、少なくとも1つの供給導体139と、少なくとも1つのリターン導体141とを含んでもよく、電流は、供給導体139を介してハンドピースアセンブリ160に供給されることができ、また、電流は、リターン導体141を介して発生器112に戻ることができる。種々の実施形では、供給導体139及びリターン導体141は、絶縁線及び/又は任意のその他の好適な種類の導体を含んでもよい。特定の実施形態では、上述のように、供給導体139及びリターン導体141は、発生器112とハンドピースアセンブリ160のトランスデューサ114部分との間(又は少なくとも部分的にそれらの間)に延びるケーブルの中に収容されてもよい、及び/又は当該ケーブルを含んでもよい。いずれの場合にも、発生器112は、十分な電流をトランスデューサ114に供給することができるように、供給導体139とリターン導体141との間に十分な電圧差を印加するように構成され得る。
【0034】
種々の実施形態では、更に図1を参照すると、供給導体139及びリターン導体141は、トランスデューサ駆動ユニット135に動作可能に接続されてもよく、駆動ユニット135は、発生器112からの電流を供給導体139を介して受け取るように構成され得る。特定の実施形態では、ハンドピースアセンブリ160は、例えば、トグルスイッチ143などのスイッチを備えてもよく、例えば、このスイッチは、手術器具110を第1の動作モード及び第2の動作モードの一方に設定するように操作され得る。一実施形態では、後述のように、トグルスイッチ143は、手術器具110を第1の動作モードに設定するために押されることができる第1のトグルボタン143a、及び更には、手術器具を第2の動作モードに設定するために押されることができる第2のトグルボタン143bを備えてもよい。本明細書ではトグルスイッチが図示されかつ記載されているが、任意の好適なスイッチ(又は複数のスイッチ)を使用することができる。第1のトグルボタン143aが押されると、トランスデューサ駆動ユニット135は、例えば、トランスデューサ114が振動を生成するように、トランスデューサ114などのトランスデューサを操作することができる。トランスデューサ114は、1つ以上の圧電素子132を備えてもよく、その場合、圧電素子132が所望の様式で機械的に振動するように、駆動ユニット135は、圧電素子132の両端に電圧差、及び/又は一連の電圧差を印加するように構成され得る。また、トランスデューサ114は、例えば、圧電素子132の中間に位置付けられる及び/又は隣接した状態で位置付けられる、正極134及び負極136のような1つ以上の電極を備えてもよい。一実施形態では、手術器具110は、駆動ユニット135及び正極134に動作可能に接続される正極側の分極導体192、及び更に、駆動ユニット135及び負極136に動作可能に接続される負極側の分極導体195を備えてもよく、その場合、駆動ユニット135は、分極導体192、195を介して電極134、136をそれぞれ分極させるように構成され得る。
【0035】
種々の実施形では、トランスデューサ114はフォアベル122と速度変換器128とを備えてもよく、このフォアベル122及び速度変換器128は、圧電素子132によって生成された振動を伝送導波管147に伝えるように構成され得る。特定の実施形態では、更に図1を参照すると、伝送導波管147は、例えば、シース158によって囲まれる、又は少なくとも部分的に囲まれる細長いシャフト部を備えてもよく、導波管147は遠位端152を含んでもよい。導波管147の遠位端152は、エンドエフェクタ150の一部を含んでもよく、エンドエフェクタ150は、回転自在なクランプアーム、又はジョーを有するクランプ部材151を含んでもよく、このクランプアーム、又はジョーは、組織がブレード146とクランプ部材151との中間に位置付けられ得る開放位置と、クランプ部材151が組織T(図5)をブレード146に対して位置付ける及び/又は圧縮することができる閉鎖位置との間で旋回可能である。種々の実施形態では、手術器具は、例えば、クランプ部材151をその解放位置と閉鎖位置との間で旋回させるために外科医によって作動されることができる、ジョー閉鎖トリガ145などのレバー又は作動装置を備えてもよい。少なくとも1つの実施形態では、ジョー閉鎖トリガ145は、クランプ部材151と動作可能に係合されるプッシュ/プルロッドに動作可能に係合されることができ、ジョー閉鎖トリガ145が閉鎖される又はハンドピースアセンブリ160に向かって移動されると、閉鎖トリガ145は、プッシュ/プルロッドを遠位側に押して、クランプ部材151をブレード146に向けて、その閉鎖位置に旋回させることができる。それに対応して、ロッドを近位側に引いて、クランプ部材151をブレード146から離れるようにその開放位置に旋回させるために、ジョー閉鎖トリガ145を開放位置に旋回させることができる。クランプアームと、これらクランプアームを操作するための機構とを含む様々な手術器具は、米国特許[Ethicon特許又は特許出願に留意]に開示されており、当該文献の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
いずれの場合にも、組織T(図5)が、エンドエフェクタ150のジョーの中に適切に位置付けられた時点で、トランスデューサ114は、機械的エネルギー、又は振動を標的組織Tに伝達するために、駆動ユニット135によって操作されることができる。いくつかの実施形態では、フットスイッチ144の作動は、トランスデューサ114を作動させるのに十分であり得る。特定の他の実施形態では、フットスイッチ144の作動に加えて又はその代わりに、異なるスイッチの作動が必要な場合がある。一実施形態では、フットスイッチ144の作動は駆動ユニット135に電力を供給することができるが、駆動ユニット135がトランスデューサ114を駆動することができるようになる前に、ジョー閉鎖トリガ145、及びトリガ閉鎖スイッチ147の作動が必要であり得る。種々の実施形では、ジョー閉鎖トリガ145は、トリガ閉鎖スイッチ147が開放状態(又は条件)にある第1の(又は開放)位置と、トリガ閉鎖スイッチ147が閉鎖状態(又は条件)にある第2の(又は閉鎖)位置との間で移動され得る。トリガ閉鎖スイッチ147がその閉鎖条件にある場合、種々の実施形態では、駆動ユニット135内の回路は、例えば、駆動ユニット135がトランスデューサ114を駆動することができるように閉じられることができる。
【0037】
更に図1を参照すると、様々な用途において、例えば、外科医は、ブレード146を通って伝達される機械的エネルギー、又は振動を用いて、組織を処置することを望む場合がある。様々な他の用途では、外科医は、ブレード146を通って伝達される治療的電気エネルギーを用いて、組織を処置することを望む場合がある。様々な他の用途では、外科医は、ブレード146を通って伝達される治療レベル未満の電気エネルギーを用いて組織Tの電気的性質(例えば、インピーダンス)を測定することにより、組織T(図5)の状態に関するフィードバックを得ることを望む場合がある。種々の実施形では、トグルスイッチ143は、手術器具110を第2の動作モードに設定するために操作され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、手術器具110を第1の動作モードから第2の動作モードに切り替えるために、トグルスイッチ143の第2のトグルボタン143bを押すことができる。後述のように、第2のトグルボタン143bを押すことにより、駆動ユニット135がトランスデューサ114を駆動せず、むしろ、発生器112からハンドピースアセンブリ160に供給される電力が、機械的エネルギー、又は振動に変換されずにブレード146に流れることができるように、ハンドピースアセンブリ160を構成することができる。一実施形態では、ここで図5を参照すると、ブレード146の遠位端152は、標的組織「T」に対して位置付けられることができ、更に、電流は、供給導体139からブレード136へと流れ、組織Tを通り、クランプ部材151、リターン導体137、141を介して発生器112へと戻ることができるように、クランプ部材151の遠位端153もまた、組織Tに対して位置付けられることができる。図5に示されるように、クランプ部材151は、クランプ部材151が閉鎖位置にあるときにブレード146と接触しないように構成され得る。
【0038】
ここで図1に戻って参照すると、種々の実施形態では、リターン導体137は、クランプ部材151に動作可能に連結される第1の末端部と、リターン導体141に動作可能に連結される第2の末端部とを有する絶縁線を含んでもよく、トグルスイッチ143が第2の配置にあり、かつトリガ閉鎖スイッチ147がトリガ145によって閉じられていると、電流はリターン導体137を通って流れることができる。一実施形態では、トリガ閉鎖スイッチ147が開放条件にあるとき及び/又はトグルスイッチ143が第1の配置にあるとき、即ち、上述のように第1のトグルボタン143aが押されているとき、電流はリターン導体137を通って流れない。いずれの場合にも、様々な状況において、ブレード146の遠位端152からクランプ部材151の遠位端153まで、組織T(図5)を通って流れる電流は、遠位端152、153の中間に位置付けられた、及び/又はこれらを囲む組織を処置することができる。別の実施形態では、組織T(図5)の電気状態を測定するのを目的として、電流は治療レベル未満であってもよい。
【0039】
ブレード146の遠位端152は、供給電極を備えることができる一方で、クランプ部材151の遠位端153は、リターン電極を備えることができる。様々な他の実施形態では、クランプ部材151の遠位端153が供給電極を備えることができ、ブレード146の遠位端152がリターン電極を備えることができるように、電流を導体137に供給することができる。一実施形態では、電流は、ブレード146、導波管147、及び導体139を介して発生器112に戻ることができる。どちらの場合にも、再度図1を参照すると、リターン導体137の少なくとも一部は、シース158の外側に沿って延びることができ、リターン導体137の少なくとも別の部分は、ハンドピースアセンブリ160を通って延びることができる。特定の実施形態では、図示されていないが、リターン導体137の少なくとも一部は、シース158内に位置付けられることができ、かつ、ブレード146に沿って延びることができる。
【0040】
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、手術器具110は、内側シース257と外側シース258とを含んでもよく、内側シース257は、第1の(又は内側)通路259を画定することができ、内側シース257及び外側シース258は、それらの間に第2の(又は外側)通路261を画定することができる。一実施形態では、ブレード146は、内側通路259を通って延びることができ、リターン導体137、及び/又は任意のその他の好適な導体は、外側通路261を通って延びることができる。様々な他の実施形態では、導体は、内側シース257又は外側シース258の少なくとも一部に埋め込まれることができる。
【0041】
図7に示されるように、一実施形態では、シースは、例えば、銅からなることができる導電性インサート357にオーバーモールドされる、プラスチック及び/又はゴムなどの非導電性又は絶縁材料358を含んでもよく、例えば、導電性インサート357により、電流は、上述のように標的組織T(図5)を通過した後にブレード146を流れて発生器112に戻ることが可能になり得る。種々の実施形では、絶縁材料358は、例えば、導電性インサート357を流れる電流が誤って非標的組織に短絡しないように、導電性インサート357を完全に、又は少なくとも実質的に囲むことができる。少なくとも1つの実施形態では、絶縁材料358は、導電性インサート357の内側表面及び外側表面を覆うことができる。特定の実施形態では、図示されていないが、例えば、シースの絶縁材料は、導電性インサートの外表面のみを覆ってもよい。
【0042】
種々の実施形態では、上述のように、リターン導体137の第1の末端部は、電流がそこを通って流れることができるようにクランプ部材151に動作可能に連結されることができる。特定の実施形態では、リターン導体137の第1の末端部は、クランプ部材151に半田付け及び/又は溶接されることができる。一実施形態では、図示されていないが、クランプ部材151は、リターン導体137の第1の末端部を受容するように構成された開口を含んでもよく、その場合、第1の末端部をその中に固定するために、締結具が開口に挿入されることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、開口の側壁は、少なくとも部分的にねじ付きであり得、締結具は、ねじ付き開口にねじ込み可能に受容され得る。
【0043】
図8に示されるように、一実施形態では、クランプアームアセンブリ451は、ベース449に取り付けられる導電ジャケット472を備えてもよい。一実施形態では、電流が、ブレード146からブレード146とジャケット472の中間に位置付けられた組織を通ってジャケット472の中及びリターン導体137へと流れることができるように、リターン導体137の第1の末端部は、導電ジャケット472に取り付けられてもよい。種々の実施形態では、導電ジャケット472は中央部分473及び少なくとも1つの下方に延在する側壁474を含むことができ、この側壁474はベース449の底面475より下に延在することができる。図示の実施形態で、導電ジャケット472は、ベース449の両側で下方に延在する2つの側壁474を有する。特定の実施形態では、中央部分473は、ベース449から延出している突起477を受容するように構成され得る少なくとも1つの開口476を備えることができる。一実施形態では、突起477は、導電ジャケット472をベース449に固定するために、開口476内にプレス嵌めされることができるが、いくつかの実施形態では、突起477は、開口476に挿入された後で変形することができる。様々な実施形態では、締結具を使用して導電ジャケット472をベース449に固定することができる。
【0044】
様々な実施形態では、クランプアームアセンブリ451は、導電ジャケット472とベース449との間に位置付けられる、例えばプラスチック及び/又はゴムのような、非導電性又は絶縁材料を含むことができる。絶縁材料は、電流が導電ジャケット472とベース449との間を流れること又は短絡することを防ぐことができる。種々の実施形態では、再度図8を参照すると、ベース449は、例えば、ピボットピン(図示せず)を受容するように構成され得る少なくとも1つの開口478を備えてもよく、例えば、ピボットピンは、ベース449をシース158に旋回可能に取り付けるように構成されることができ、その結果、クランプアームアセンブリ451は、シース158に対して開放位置と閉鎖位置との間で回転することができる。図8に図示した実施形態では、ベース449は、ベース449の対向する両側に位置付けられた2つの開口478を含む。一実施形態では、ピボットピンは、たとえベース449が、例えば、導電ジャケット472と電気接触していても電流がシース158に流入することを防ぐように構成され得る、例えばプラスチック及び/又はゴムなどの非導電性又は絶縁材料で形成されることができる。
【0045】
種々の実施形態では、上述のように、手術器具システム110は、電流がブレード146の遠位先端から組織T(図5)を通ってクランプ部材151の遠位先端へと流れることができるように構成され得る。一実施形態では、図5に示されるように、クランプ部材151は、例えばそれ自体に取り付けられる組織係合パッド又はクランプパッド155を備えてもよく、このパッド155は、クランプ部材151と導波管146の中間に位置付けられた組織と接触するように構成され得る。この実施形態の1つの表現では、パッド155は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、E.I.Du Pont de Nemours and Companyの商標名であるTEFLON(登録商標)、低摩擦係数の高分子材料、又は任意のその他の好適な低摩擦材料といった、非導電性又は絶縁材料で形成されてもよい。非導電性又は絶縁材料は、電流が、最初にブレード146の遠位端152、標的組織T、及びクランプ部材151の遠位端153を通過することなく、クランプ部材151とブレード146との間を流れるのを防止する働きをする(server)こともできる。種々の実施形では、パッド155は、例えば、接着剤を使用してクランプ部材151に取り付けられることができる。クランプパッド155は、ブレード146と協働するようにクランプ部材151に装着され、クランプ部材151の枢動は、クランプパッド155をブレード146に対してほぼ平行な関係に、又は接触させて位置付け、それによって組織処置領域を画定する。この構成により、組織は、クランプパッド155とブレード146との間に把持される。鋸歯様の形態などの非平滑面をクランプパッド155に設けて、ブレード146と協働した組織の把持を強化することができる。鋸歯様の形態又は歯は、ブレード146の動きに対するトラクションを提供する。この歯はまた、ブレード146へのカウンタートラクション及びつかみ動作も提供する。鋸歯様の形態は、ブレード146の動きに対する組織の動きを防ぐための多くの組織係合表面の一例にすぎない。その他の代表的な例としては、バンプ、綾目模様、トレッド模様、ビード、又は砂吹き付け表面が挙げられる。
【0046】
様々な他の実施形態では、手術器具110は、最初にクランプ部材151の遠位端に電流を通過させる必要なく、電流が、ブレード146と、例えば、クランプ部材151との間にクランプされた組織を流れることができるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、ここで図9を参照すると、クランプアームアセンブリ551は、導電性部材572と、導電性部材572に取り付けられたパッド555とを備えてもよく、導電性部材572は、そこから下向きに延びる少なくとも1つの側壁574を含んでもよい。一実施形態では、電流は、例えば、ブレード146とクランプアームアセンブリ551の側壁574との間に位置付けられた組織を通ってブレード146とクランプアームアセンブリ551との間を流れ、そして側壁574に流れ込む。種々の実施形態では、各側壁574とブレード146との間に隙間が画定され得、更に、パッド555の組織接触面575とブレード146との間に隙間が画定され得る。
【0047】
一実施形態では、ここで図10を参照すると、各側壁574と導波管146との間の隙間は、距離「D1」によって定義されることができ、この距離D1は、クランプアームアセンブリ551が閉鎖位置に位置付けられると、側壁574のそれぞれとブレード146の中間に位置付けられた組織が圧縮され得るように選択され得る。これらの隙間は同じ距離D1を有して図示されているが、これらの隙間が異なる距離を有する他の実施形態が想定される。組織接触面575とブレード146との間の隙間は、「D2」によって定義されることができ、この距離D2もまた、クランプアームアセンブリ551が閉鎖位置に位置付けられると、組織接触面575が組織をブレード146対して接触させる及び/又は圧縮させることができるように選択され得る。
【0048】
種々の実施形態では、クランプアームアセンブリは、そのクランプアームアセンブリに装着される導電性パッドを備えてもよい。少なくとも1つのそのような実施形態では、例えば、電流がブレード146からパッドに流れ込むことができるように、そういったパッドは、クランプアームアセンブリと導波管、例えばブレード146の中間に位置付けられた組織と接触する及び/又は組織を圧縮するように構成され得る。特定の実施形態では、例えば、導電性パッドは、典型的な導電性材料、例えば銅などで構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、パッドは、典型的な非導電性材料、例えばPTFEなどで構成されることができ、この非導電性材料には、例えば、ブレード146とクランプアームとの間に電流を流すことができるようにパッドが十分に導電性であるように、導電性粒子(例えば[医療グレードのステンレス鋼(?)もしあれば追加材料が必要]など)を含浸させることができる。
【0049】
一実施形態では、上述のように、手術器具110は、例えば、第1の電極を備えてもよいブレード146、及び更に、第2の電極を備えてもよいクランプアーム(例えばクランプ部材151などの)を備える。種々の実施形態では、これもまた上述したように、ブレード146は供給電極を備えてもよく、クランプ部材151はリターン電極を備えてもよい。あるいは、クランプ部材151は供給電極を備えてもよく、ブレード146はリターン電極を備えてもよい。様々な他の実施形態では、クランプアームは、供給電極及びリターン電極の両方を備えてもよい。特定の実施形態では、ここで図11を参照すると、例えば、クランプアームは、パッド655と、第1の電極682及び第2の電極683などの2つ以上の電極とを備えてもよい。一実施形態では、パッド655は、例えば、クランプパッド155(図5)を参照して上述したように、PTFEなどの非導電性又は絶縁材料で構成されることができる一方、例えば、電極682、683は、銅及び/又は導電性粒子がその中に混合されたPTFE材料などの導電性材料で構成され得る。種々の実施形では、第1の電極682及び/又は第2の電極683は、パッド655に埋め込まれることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、パッド655は、電極682、683の上に成形されることができ、特定の実施形態では、電極682、683は、パッド655に形成された開口部に挿入及び/又はプレス嵌めされることができる。
【0050】
種々の実施形では、第1の電極682は、パッド655の第1の側674aに隣接した状態で位置付けられることができ、第2の電極683は、パッド655の第2の側674bに隣接した状態で位置付けられることができる。使用に当たって、第1の電極682は供給電極を含んでもよく、第2の電極683はリターン電極を含んでもよく、その場合、電流は、供給電極682から、パッド655とブレード146との間にクランプされた又は位置付けられた組織を通って、例えば、リターン電極683へと流れることができる。一実施形態では、供給線は、第1の電極682と動作可能に連結されることができ、リターン線は、第2の電極683と動作可能に連結されることができ、それにより、例えば、電流は、発生器112などの電源からこれらに供給されることができる。種々の実施形態では、更に図11を参照すると、クランプ部材151(図5)が閉鎖位置にあり、かつブレード146に短絡している場合に電極682、683がブレード146と接触しないように、電極682、683を、パッド655の中に位置付けることができる。図の実施形態は、パッドの中に位置付けられた1つの供給電極と1つのリターン電極とを備えているが、パッドが2つ以上の供給電極及び/又は2つ以上のリターン電極を有する実施形態が想到される。
【0051】
上述のように、電極は、クランプアームアセンブリのパッドに埋め込まれることができる。種々の実施形態では、第1及び第2の電極は、クランプアームパッドの側に装着され得る。ここで図12を参照すると、クランプアームは、例えば、ブレード146に対して組織を保持するように構成され得るパッド755を備えてもよく、例えば、第1の電極782は、パッド755の第1の側774aに装着されることができ、第2の電極783は、パッド755の第2の側774bに装着されることができる。種々の実施形では、電極782、783は、パッド755の両側の切欠き部の中に位置付けられることができ、特定の実施形態では、電極782、783は、例えば、パッド755に接着及び/又は締結されることができる。第1の電極782は供給電極を備えてもよく、第2の電極783はリターン電極を備えてもよく、電流は、供給電極782から、パッド755とブレード146との間にクランプされた又は位置付けられた組織を通って、例えば、リターン電極783へと流れることができる。一実施形態では、供給線は、第1の電極782と動作可能に連結されることができ、リターン線は、第2の電極783と動作可能に連結されることができ、それにより、例えば、電流は、発生器112などの電源からこれらに供給されることができる。更に、電極782、783がブレード146と接触せず、かつそこへの電気的短絡を形成しないように、電極782、783をパッド755に装着することができる。図の実施形態は、パッドの中に装着された1つの供給電極と1つのリターン電極とを備えているが、パッドが2つ以上の供給電極及び/又は2つ以上のリターン電極を有する実施形態が想到される。
【0052】
更に図12を参照すると、例えば、様々な電極は、ブレード146の長手方向軸に平行、又は少なくとも実質的に平行である長手方向に延在するように構成され得る。種々の実施形態では、エンドエフェクタ内に位置付けられる組織の全長を処置することができるように、電極は、エンドエフェクタに沿って延在することができる。種々の実施形態では、ここで図13を参照すると、クランプアームは、2つの点電極を有するパッド885を備えてもよい。より詳細には、一実施形態では、パッド855は、その中に位置付けられる第1の点電極882と第2の点電極883とを備えてもよく、電流は、第1の点電極882と第2の点電極883の中間に位置付けられた組織を通って流れることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、パッド855は非導電性材料で構成されることができ、第1の点電極882は供給電極を含んでもよく、第2の点電極883はリターン電極を含んでもよい。種々の実施形態では、電極882、883は、パッド885に埋め込まれることができ、一実施形態では、パッド885は、電極882、883の周囲に成形されることができる。特定の実施形態では、電極882、883は、パッド855の中の開口に挿入され得る。供給線は、第1の電極882と動作可能に連結されることができ、リターン線は、第2の電極883と動作可能に連結されることができ、それにより、例えば、電流は、発生器112などの電源からこれらに供給されることができる。更に、電極882、883がブレード146と接触せず、かつそこへの電気的短絡を形成しないように、電極882、883をパッド855の中に位置付けることができる。一実施形態では、クランプアーム支持パッド885、及び/又はクランプアームを回転自在に支持シースは、電極882、883がブレード146と接触する位置にパッド855が回転するのを防止するように構成され得るストッパーを更に備えてもよい。図の実施形態は、パッドの中に位置付けられる1つの供給点電極と1つのリターン点電極を備えているが、パッドが、2つ以上の供給点電極及び/又は2つ以上のリターン点電極を有する他の実施形態が想定される。パッドが供給点電極のアレイ及び/又はリターン点電極のアレイを有する種々の実施形態が想到される。
【0053】
種々の実施形態では、上述のように、手術器具は、供給電極及びリターン電極の両方を有するクランプアームを備えてもよい。一実施形態では、手術器具は、電極を備えていない導波管を備えてもよい。特定の実施形態では、供給電極及びリターン電極は、電流が所定の経路に沿ってそれらの間を流れることができるように構成され得る。種々の実施形態では、そのような経路は一次元である。2つの点電極を有する実施形態は、例えば、そのような経路を可能にすることができる。他の実施形態では、そのような経路は二次元であり得る。点電極のアレイを有する実施形態が、例えば、そのような経路を可能にすることができる。二次元の経路は、磁界と呼ばれ得る。特定の実施形態では、経路は三次元であり得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、クランプアームアセンブリは、供給電極とリターン電極とを有することができ、導波管は、供給電極又はリターン電極の一方を備えてもよい。導波管がリターン電極を備える実施形態では、電流は、クランプアームアセンブリの供給電極から、クランプアームアセンブリのリターン電極及び導波管のリターン電極に流れることができる。1つのそのような実施形態では、リターン電極は、共通接地を含んでもよい。導波管が供給電極を備える実施形態では、電流は、導波管及びクランプアームアセンブリの供給電極から、クランプアームアセンブリのリターン電極に流れることができる。そのような構成は、電流が三次元の経路、又は磁界に流れるのを可能にし得る。
【0054】
種々の実施形態では、図14を参照すると、手術器具110は、ブレード146の一部を取り囲む、又は少なくとも部分的に取り囲むシースを備えてもよく、シースは、少なくとも1つの供給導体及び少なくとも1つのリターン導体の両方を備えてもよい。一実施形態では、シースは、第1の導電性インサート957a及び第2の導電性インサート957bなどの複数の導電性インサートを備えてもよく、例えば、第1の導電性インサート957aは供給導体を備えてもよく、第2の導電性インサート957bはリターン導体を備えてもよい。種々の実施形態では、シースを備えるために、プラスチック及び/又はゴムなどの非導電性又は絶縁材料958が、例えば、第1の導電性インサート957a及び第2の導電性インサート957bの上にオーバーモールドされ得る。様々な他の実施形態では、ここで図15を参照すると、手術器具110は、導波管の一部を取り囲む、又は少なくとも部分的に取り囲むシースアセンブリを備えてもよく、例えば、シースアセンブリは、内側シース1057などの内側シースと、外側シース1058などの外側シースとを備えてもよい。一実施形態では、内側シース1057は、クランプアームアセンブリの中の供給電極と動作可能に連結される供給導体を備えてもよく、外側シース1058は、クランプアームアセンブリの中のリターン電極と動作可能に連結されるリターン導体を備えてもよい。特定の実施形態では、例えば、内側シース1057及び/又は外側シース1058は、[医療グレードのステンレス鋼(?)発明者ら−1種以上の材料を特定して下さい]などの導電性材料で構成されてもよく、一実施形態では、例えば、内側シース1057及び/又は外側シース1058の1つ以上の表面は、ポリ(p−キシリレン)ポリマーを含む材料などの非導電性材料で覆われる、又は少なくとも部分的に覆われることができる。ポリ(p−キシリレン)ポリマーからなる材料は、大抵、商標名「Parylene(商標)」で販売されている。
【0055】
種々の実施形態では、クランプアームは、組織Tをブレードに対して位置付ける及び/又は圧縮するために、開放位置と閉鎖位置との間で移動され得る。一実施形態では、図16を参照すると、クランプアーム1151は、ベース1149と、ベース1149に装着されるパッド1155とを備えてもよく、例えば、パッド1155は、組織Tをブレード146に対して接触させる及び圧縮するように構成され得る。図16に示されるように、パッド1155は組織接触面1175を含んでもよく、この組織接触面1175は、様々な鋸歯状部、隆起部、及び/又は表面テクスチャリングを有してもよいが、平坦、又は少なくとも実質的に平坦である。そのような実施形態では、特にブレード146が円形又は弓状の断面を有する場合、ブレード146とパッド1155の中間に位置付けられた組織Tのごく一部のみが、ブレード146の表面領域、又は外辺部と接触することができる。図16に示されるように、組織Tは、接触点Pでブレード146と接触することができる。クランプアーム1251が、例えば、パッド1255の組織接触面1275の下に延びる下方に延在する側壁1274を備える、様々な代替の実施形態が想到されるが、クランプアームは、パッドの有無にかかわらず組織接触面を含むことができる。一実施形態では、図17を参照すると、側壁1274は、ブレード146に対して横方向に位置付けられた組織Tと接触して、組織Tを下向きに押すように構成され得る。図17に示されるように、側壁1274は組織Tを下向きに押すことができるので、側壁1274の中間に位置付けられた組織Tは、図16に示される実施形態と比べて、ブレード146のより大きな表面領域、又は外辺部と接触する。より大きな接触領域のおかげで、ブレード146は、組織をより効果的に切断、凝固、及び/又は別の方法で処置することができる。ブレード146が円形又は弓状の断面を含む実施形態では、外辺部接触距離(即ち、組織がブレード146の外辺部と接触する距離)は、円弧Rの曲率半径と、2つの接触点Pの間に画定される掃引角度θとの積と等しくなり得る弧長を含み得る。図17に示されるように、接触点Pは、組織Tがブレード146と接触する外辺部の終点を表すことができる。図示されたブレード146は、湾曲断面又は弓形断面を有して描かれているが、任意のその他の好適な断面を用いてもよい。
【0056】
種々の実施形態では、クランプアーム1251の組織接触面1275は、クランプアーム1251がその開放位置と閉鎖位置との間で回転されると、エンドエフェクタ内に位置付けられた組織Tと接触するパッド1255の部分を表すことができる平面1298を画定することができる。図17に示されるように、クランプアーム1251の側壁1274は、平面1298を通って延びることができ、クランプアーム1251が開放位置から閉鎖位置へと回転されると、側壁1274はブレード146の対向する両側に沿って横方向に位置付けられることができ、更に、組織接触面1275は、平面1298がブレード146の上面を通って延びる平面1299と位置合わせされる又はそれに対して位置合わせされるように、ブレード146の上面に接するか、又はそこに隣接した状態で位置付けられることができる。一実施形態では、平面1299は、ブレード146の外辺部に接線方向である接平面として定義され得る。一実施形態では、平面1299は、ブレード146の上部組織接触面に接線方向であり得、例えば、146の上部組織接触面は、クランプアーム1271が閉鎖位置にあるときにクランプ組織接触面1275に最も近い表面を含むことができる。図の実施形態では、更に図17を参照すると、平面1298、1299は、組織接触面1275がブレード146に隣接した状態で位置付けられたときに互いに対して平行、又は少なくとも実質的に平行であることができ、また、平面1298、1299は、組織接触面1275がブレード146と接触したときに互いに同一平面上にある、又は少なくとも実質的に同一平面上にあることができる。側壁1274は、クランプアーム1271が閉鎖位置にあるときにブレード平面1299を通って延びるように、寸法設定及び構成され得る。種々の実施形態では、側壁1274は、クランプアーム1251が開放位置にあるときに平面1299を通って延びなくてもよい。一実施形態では、側壁1274は、クランプアーム1251が閉じられているが、完全に閉じられる前に、平面1299を破断してもよい。一実施形態では、側壁1274は、クランプアーム1251が完全な閉鎖位置に到達する直前に、平面1299を破断してもよい。
【0057】
図18は、超音波トランスデューサを駆動するための超音波電気信号を生成する、図1に示される超音波発生器モジュール180の駆動システム32の一実施形態を示す。ここで図1及び図18を参照すると、駆動システム32はフレキシブルであり、かつ、超音波トランスデューサ114を駆動するために設定された所望の周波数及び電力レベルで超音波電気駆動信号416を生成することができる。様々な実施形態では、発生器112は、モジュール及び/又はブロックのようないくつかの別個の機能的要素を備えることができる。特定のモジュール及び/又はブロックは例として記載され得るが、より多くの又はより少ない数のモジュール及び/又はブロックが使用され得、かつ依然として実施形態の範囲内にあることが理解され得る。更に、様々な実施形態は、記述を容易にするためにモジュール及び/又はブロックとして記述され得るが、そのようなモジュール及び/又はブロックは、1つ以上の、例えばプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、回路、レジスターのようなハードウェアコンポーネント、及び/又は、例えばプログラム、サブルーチン、ロジックのようなソフトウェアコンポーネント、及び/又は、ハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントとの組み合わせによって実施され得る。
【0058】
一実施形態では、超音波発生器モジュール180の駆動システム32は、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせとして実施される1つ以上の埋め込まれたアプリケーションを備えることができる。超音波発生器モジュール180の駆動システム32は、ソフトウェア、プログラム、データ、ドライバ、アプリケーションプログラムインターフェイス(API)などのような様々な実行可能なモジュールを備えることができる。ファームウェアは、ビットマスクされた読み出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリ(NVM)に格納することができる。様々な実施において、ファームウェアをROMに格納することはフラッシュメモリを保存し得る。NVMは、例えばプログラマブルROM(PROM)、消去可能なプログラマブルROM(EPROM)、電気消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、又はダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、及び/若しくは同期DRAM(SDRAM)のような電池バックアップ式ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む他のタイプのメモリを備えることができる。
【0059】
一実施形態では、超音波発生器モジュール180の駆動システム32は、超音波手術器具110の様々な測定可能な特性をモニタリングするため、並びに、手術器具110を操作するための対応する出力制御信号を生成するためのプログラム命令を実行するために、プロセッサ400として実装されたハードウェアコンポーネントを備える。種々の実施形では、出力制御信号は、超音波トランスデューサ114を切断及び/又は凝固動作モードで駆動し、手術器具110及び/又は組織Tの電気的特性を測定し、かつ、使用すべきフィードバックを提供するためのものである。当業者は、超音波発生器モジュール180及び駆動システム32が追加的な構成要素又はより少ない構成要素を備える場合があること、及び正確さと明瞭さのために本明細書には簡易版の超音波発生器モジュール180及び駆動システム32だけが記述されていることを理解するであろう。様々な実施形態において、既に述べたように、ハードウェアコンポーネントはDSP、PLD、ASIC、回路、及び/又はレジスターとして実施され得る。一実施形態では、プロセッサ400は、トランスデューサ114、エンドエフェクタ150、及び/又はブレード146のような超音波手術器具110の様々な構成要素を駆動するための階段関数出力信号を生成するコンピュータソフトウェアプログラム命令を格納及び実行するように構成され得る。
【0060】
一実施形態では、1つ以上のソフトウェアプログラムルーチンの制御下、プロセッサ400は、所望の実施形態に従った方法を実行し、例えば、様々な時限又は期間(T)についての電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を含む駆動信号の階段状波形により形成される階段関数を生成する、超音波トランスデューサ114を駆動する、治療及び/又は治療レベル未満の電気信号(例えば、RF信号)を使用してエンドエフェクタ150を駆動する、トランスデューサ114のインピーダンス(Z)を測定する、組織Tのインピーダンス(Z)を測定する、及び/又はユーザーにフィードバックを提供するといった、多様な機能を実行する。一実施形態では、それらの駆動信号の階段状波形は、超音波発生器モジュール180の駆動信号(例えば、出力駆動電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f))を階段状にすることによって、複数の時限にかけての定数関数の区分的線形の組み合わせを形成することによって生成され得る。時限又は期間(T)は既定(例えば、ユーザーによって固定及び/又はプログラムされる)であっても可変であってもよい。可変時限は、駆動信号を第1の値に設定し、かつモニタリングされる特性に変化が検出されるまで駆動信号をその値に維持することによって定義され得る。モニタリングされる特性の例としては、例えば、トランスデューサインピーダンス、組織インピーダンス、組織加熱、組織離断、組織凝固などが挙げられ得る。超音波発生器モジュール180によって生成される超音波駆動信号は、非限定的に、例えば、プライマリ縦モード及びその高調波、並びに曲げ及びねじれ振動モードのような、超音波トランスデューサ114の様々な振動モードを励起する超音波駆動信号を含む。
【0061】
一実施形態では、実行可能なモジュールは、メモリに格納された1つ以上のアルゴリズム402を含み、このアルゴリズム402は、実行されると、プロセッサ400に多様な機能、例えば、様々な時限又は期間(T)についての電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を含む駆動信号の階段状波形によって形成される階段関数を生成する、超音波トランスデューサ114を駆動する、治療及び/又は治療レベル未満の電気信号(例えば、RF信号)を使用してエンドエフェクタ150を駆動する、トランスデューサ114のインピーダンス(Z)を測定する、組織Tのインピーダンス(Z)を測定する、及び/又は組織Tの状態に従ってフィードバッを提供するなどを実行させる。一実施形態では、アルゴリズム402は、プロセッサ400によって実行されて、様々な時限又は期間(T)についての電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を含む駆動信号の階段状波形によって形成される階段関数を生成する。駆動信号の階段状波形は、発生器30の出力駆動電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を階段状にすることによって生成される2つ以上の時限にかけての定数関数の区分的線形の組み合わせを形成することによって生成され得る。駆動信号は、1つ以上の階段出力アルゴリズム402に従って既定の固定時限若しくは期間(T)又は変動時限若しくは期間のいずれかに関して生成され得る。プロセッサ400の制御下で、超音波発生器モジュール180は、既定期間(T)にかけて、又はモニタリングされる特性(例えば、トランスデューサインピーダンス、組織インピーダンス)における変化のような既定条件が検出されるまで、特定の分解能で電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を上又は下に階段状にする(例えば、インクリメント又はデクリメントする)。これらの階段は、プログラムされたインクリメント又はデクリメントにおいて変化することができる。他の階段が望まれる場合は、超音波発生器モジュール180は、測定されたシステムの特性に基づき適応して階段を増すこと又は減らすことができる。他の実施形態では、プロセッサ400によってアルゴリズム402が実行されて、超音波トランスデューサ114を駆動する、治療及び/又は治療レベル未満の電気信号(例えば、RF信号)を使用してエンドエフェクタ150を駆動する、トランスデューサ114のインピーダンス(Z)を測定する、組織Tのインピーダンス(Z)を測定する、及び/又は組織Tの状態に従ってフィードバックを提供することができる。
【0062】
動作中、ユーザーは、超音波発生器モジュール180のコンソールのフロントパネル上に位置する入力デバイス406を使用して、超音波発生器モジュール180の動作をプログラムすることができる。入力デバイス406は、プロセッサ400に適用して超音波発生器モジュール180の動作を制御することができる信号408を生成する任意の好適なデバイスを備えることができる。様々な実施形態において、入力デバイス406は多目的又は専用コンピュータへのボタン、スイッチ、サムホイール、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンモニタ、指先指示デバイス、リモート接続を含む。他の実施形態では、入力デバイス406は適したユーザーインターフェイスを備えることができる。したがって、入力デバイス406を使用してユーザーは超音波発生器モジュール180の階段関数出力をプログラムするための電流(I)、電圧(V)、周波数(f)、及び/又は期間(T)を設定又はプログラムすることができる。次いで、プロセッサ400は、ライン410で信号を出力インジケータ412に送信することによって、選択された電力レベルを表示する。
【0063】
様々な実施形態において、出力インジケータ412は視覚的、可聴及び/又は触覚的フィードバックを外科医に提供して、超音波手術器具110の測定された特性(例えば、トランスデューサインピーダンス、組織インピーダンス、又は他の、後に説明するような測定値)に基づいて、例えば組織切断及び凝固の完了のような、手術処置の状況を指示することができる。限定ではなく例示として、視覚的フィードバックには、白熱電灯又は発光ダイオード(LED)、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ディスプレイ、アナログインジケータ、デジタルインジケータ、棒グラフ表示、デジタル文字数字表示を含む、任意のタイプの視覚的指示デバイスが挙げられる。限定ではなく例示として、可聴フィードバックには、音声/スピーチプラットフォームを介してコンピュータと相互作用するための任意のタイプのブザー、コンピュータで生成されたトーン、コンピュータ化されたスピーチ、ボイスユーザーインターフェイス(VUI)が挙げられる。限定ではなく例示として、触覚的フィードバックは、器具のハンドピースアセンブリ160を介して、又は単にハウジングのハンドルアセンブリを介して提供される、任意のタイプの振動フィードバックを含む。
【0064】
一実施形態では、プロセッサ400はデジタル電流信号414及びデジタル周波数信号418を生成するように構成又はプログラムされ得る。これらの信号414、418は、トランスデューサ114への電流出力信号416の振幅及び周波数(f)を調整するために、直接デジタルシンセサイザ(DDS)回路420に適用される。DDS回路420の出力は増幅器422に適用され、増幅器422の出力は変圧器424に適用される。変圧器424の出力は、導波管147によってブレード146に連結される超音波トランスデューサ114に適用される信号416である。
【0065】
一実施形態では、超音波発生器モジュール180は、超音波器具110の測定可能な特性をモニタリングするように構成され得る、1つ以上の測定モジュール又は構成要素を備える。図18に示される実施形態では、プロセッサ400を使用して、システムの特性をモニタリングする及び計算することができる。図のように、プロセッサ400はトランスデューサ114に供給される電流及びトランスデューサ114に印加される電圧をモニタリングすることによってトランスデューサ114のインピーダンスZを測定する。一実施形態では、電流検知回路426を使用して、トランスデューサ114を流れる電流を検知し、電圧検知回路428を使用して、トランスデューサ114に印加される出力電圧を検知する。これらの信号は、アナログマルチプレクサ430回路又はスイッチ回路構成を介してアナログ−デジタルコンバータ432(ADC)に適用することができる。アナログマルチプレクサ430は、変換される適切なアナログ信号をADC 432に送る。他の実施形態では、マルチプレクサ430回路の代わりに複数のADC 432をそれぞれの測定された特性のために使用することができる。プロセッサ400はADC 432のデジタル出力433を受信し、電流及び電圧の測定値に基づいてトランスデューサインピーダンスZを計算する。トランスデューサインピーダンス(Z)に応答して、プロセッサ400は、手術器具110の動作を制御する。例えば、プロセッサ400は、トランスデューサ114に伝達される電力を調整することができ、トランスデューサ114への電力を遮断することができ、及び/又はユーザーにフィードバックを提供することができる。一実施形態では、プロセッサ400は、負荷曲線に対する望ましい電力を生成することができるように出力駆動信号416を調整する。一実施形態では、プログラムされた階段関数アルゴリズム402に従って、プロセッサ400は、トランスデューサインピーダンスZに応答して、駆動信号416(例えば電流又は周波数)を任意の適したインクリメント又はデクリメントで階段状にすることができる。
【0066】
ここで図1及び図18に戻って参照すると、手術ブレード146を実際に振動させるため、例えば、ブレード146を作動させるために、ユーザーは、上述のように、フットスイッチ144、又はハンドピースアセンブリ160上のスイッチ143を起動させる。この起動は、電流(I)、周波数(f)、及び対応する期間(T)のプログラムされた値に基づいて、駆動信号416をトランスデューサ114に出力する。既定の一定期間(T)、又はトランスデューサ114のインピーダンスZにおける変化のような測定可能なシステム特性に基づく可変期間の後、プロセッサ400はプログラムされた値に従って出力電流の階段又は周波数の階段を変更する。出力インジケータ412は、プロセスの特定の状態をユーザーに通信する。
【0067】
超音波発生器モジュール180の動作は、例えば、様々な出力駆動信号を提供して、無負荷状態、軽負荷状態、及び高負荷状態にあるトランスデューサ114に関連する電流、電圧、電力、インピーダンス、及び周波数の電気的性質を測定するようにプログラムされてもよい。例えば、超音波トランスデューサ114が無負荷状態であるとき、超音波発生器モジュール180の出力は、第1のシーケンスで階段状に上昇されてもよい。一実施形態では、超音波発生器モジュール180は、当初、およそ時間0で作動され、その結果駆動電流は約100mAである第1の設定点Iへと上昇する。電流は第1の設定点Iで、第1の期間Tにかけて維持される。例えば約1秒である第1の期間Tの終わりに、電流の設定点は、ソフトウェア、例えば階段関数アルゴリズム402に従って、超音波発生器モジュール180によって、約175mAである第2の設定点Iに変更、例えば段状に上昇され、例えば約2秒間である第2の期間Tへ進む。第2の期間Tの終わりに、例えば、約3秒で、超音波発生器モジュール180のソフトウェアは電流を約350mAである第3の設定点Iに変更する。システムに負荷がないので、電圧、電流、電力、及び周波数は、ごくわずか応答する。
【0068】
超音波トランスデューサ114が軽負荷状態にある場合、超音波発生器モジュール180はおよそ時間0で作動され、その結果電流は約100mAである第1の電流の設定点Iへと上昇する。約1秒で、電流の設定点はソフトウェアによって超音波発生器モジュール180内で変更され、約175mAであるIになり、次いで再び約3秒で超音波発生器モジュール180は電流300を約350mAである設定点Iに変更する。電圧、電流、電力、及び周波数は、軽負荷に応答する。
【0069】
超音波トランスデューサ114が高負荷状態にある場合、超音波発生器モジュール180は、およそ時間0で作動され、その結果電流は約100mAである第1の設定点Iへと上昇する。約1秒で、電流の設定点はソフトウェアによって超音波発生器モジュール180内で変更され、約175mAであるIになり、次いで再び約3秒で超音波発生器モジュール180は電流300を約350mAである設定点Iに変更する。電圧、電流、電力、及び周波数は、軽負荷に応答する。
【0070】
電流階段関数の設定点(例えば、I、I、I)及び階段関数の設定点のそれぞれの持続期間の時限又は期間(例えば、T、T)は、本明細書に記述されている値に限定されず、外科的処置の所与の設定に応じて望まれ得る任意の好適な値に調整され得ることが、当業者には理解されるであろう。設計上の特徴又は性能上の制約の所与の設定に応じて望まれ得るように、より多い又はより少ない電流設定点及び持続期間が選択され得る。既に述べたように、期間はプログラミングによって既定されてもよく、あるいは測定可能なシステム特性に基づいて可変であってもよい。実施形態はこの文脈に限定されない。
【0071】
手術システム100の様々な実施形態の動作に関する詳細を説明してきたが、上記手術システム100の動作について、図18を参照して説明される、入力デバイス406及びトランスデューサインピーダンス測定能力を備える手術器具を使用して血管の切断及び凝固をするためのプロセスに関して、更に説明することができる。特定のプロセスについて動作の詳細と結び付けて説明するが、本明細書で説明される全体的な機能性が手術システム100によってどのように実施され得るかを示す例をこのプロセスが提供しているにすぎないことは理解できよう。更に、所与のプロセスは、特に指定しない限り、必ずしも本明細書に提示されている順序で実行されなくてもよい。既に説明したように、入力デバイス406を使用して、超音波トランスデューサ114/ブレード146アセンブリへの階段状の出力(例えば、電流、電圧、周波数)をプログラムすることができる。
【0072】
したがって、血管を封着するための1つの技法は、基準超音波エネルギーを適用して血管の離断及び封着を行う前に、血管の内側筋肉層を分離して外膜層から離すことを含む。従来の方法はクランプ部材151に適用される力を増すことによってこの分離を達成してきたが、ここに開示されているのは、クランプ力のみに頼らずに組織を切断及び凝固するための代替的な装置及び方法である。より効果的に血管の組織層を分離するために、例えば、周波数階段関数を超音波トランスデューサ114に適用して、その階段関数に従って複数のモードでブレード146を機械的に変位するように超音波発生器モジュール180をプログラムすることができる。一実施形態では、周波数階段関数は、ユーザーインターフェイス406を介してプログラムすることができ、ユーザーは階段状の周波数プログラムと、各階段のための周波数(f)と、超音波トランスデューサ114が励起されることになる各階段に対応する持続期間(T)とを選択することができる。ユーザーは、様々な手術処置を実行するために、複数の期間のための複数の周波数を設定することによって、完全な動作サイクルをプログラムすることができる。
【0073】
一実施形態では、第1の超音波周波数を最初に設定して、第2の超音波周波数を適用して血管を切断及び封着する前に血管の筋肉組織層を機械的に分離することができる。限定ではなく例示として、プログラムの1つの実現によると、最初、超音波発生器モジュール180は、第1の駆動周波数fを第1の期間Tの間(例えば、約1秒未満)出力するようにプログラムされ、第1の周波数fは有意に共振から外れており、例えば、f/22f、又は他の構造的共振周波数であり、式中、fは共振周波数(例えば、55.5kHz)である。第1の周波数fは、低レベルの機械振動作用をブレード146にもたらし、それがクランプ力と合わさって、共振で一般に生じる有意な熱を引き起こすことなく、(治療レベル以下で)血管の筋肉組織層を機械的に分離する。第1の期間Tの後、超音波発生器モジュール180は、駆動周波数を共振周波数fに第2の期間Tの間自動的に切り替えて、血管の離断及び封着をするようにプログラムされる。第2の期間Tの持続期間は、プログラムされてもよく、ユーザーによって決定される血管の切断及び封着に実際にかかる時間によって決定されてもよく、又は、下記に詳述するように、トランスデューサインピーダンスZのような測定されるシステム特性に基づいてもよい。
【0074】
一実施形態では、組織/血管の離断のプロセス(例えば、血管の筋肉層を外膜層から分離すること及び血管の離断/封着)は、組織/血管の離断がいつ生じるかを検出するようにトランスデューサ114のインピーダンスZ特性を検知することによって自動化することができる。プロセッサ400が周波数及び/又は電流階段関数出力を生成するためのトリガを提供するように、インピーダンスZを筋肉層の離断及び血管の離断/封着と相関させることができる。図18を参照して既に述べたように、トランスデューサ114のインピーダンスZは、ブレード146が様々な負荷の下にある間に、トランスデューサ114を通って流れる電流及びトランスデューサ114に印加される電圧に基づいて、プロセッサ400によって計算され得る。トランスデューサ114のインピーダンスZは、ブレード146に適用される負荷に比例するので、ブレード146への負荷が増加するにつれてトランスデューサ114のインピーダンスZは増加し、ブレード146への負荷が減少するにつれてトランスデューサ114のインピーダンスZは減少する。したがって、トランスデューサ114のインピーダンスZをモニタリングして外膜層からの血管の内側筋肉組織層の離断を検出することができ、かつまた、いつ血管が離断及び封着されたかを検出するためにそれをモニタリングすることもできる。
【0075】
一実施形態では、超音波手術器具110は、トランスデューサインピーダンスZに応答するプログラムされた階段関数アルゴリズムに従って動作され得る。一実施形態では、周波数階段関数出力は、トランスデューサインピーダンスZと、ブレード146に対する組織負荷と相関された1つ以上の既定閾値との比較に基づいて開始され得る。トランスデューサインピーダンスZが閾値の上又は下に遷移する(例えば、閾値と交差する)とき、プロセッサ400はデジタル周波数信号418をDDS回路420に適用して、トランスデューサインピーダンスZに応答する階段関数アルゴリズム402に従って既定の階段によって駆動信号416の周波数を変更する。動作に際して、ブレード146は最初、組織処置部位に位置づけられる。プロセッサ400は第1のデジタル周波数信号418を適用して、共振から外れている第1の駆動周波数fを設定する(例えば、f/2、2f又は他のfが共振周波数である構造的共振周波数)。駆動信号416は、ハンドピースアセンブリ160上のスイッチ312a又はフットスイッチ434の起動に応答してトランスデューサ114に適用される。この期間中、超音波トランスデューサ114はブレード146を第1の駆動周波数fで機械的に作動させる。このプロセスを促進するために、力又は負荷をクランプ部材151及びブレード146に適用することができる。この期間中、プロセッサ400は、ブレード146への負荷が変化し、トランスデューサインピーダンスZが既定閾値を交差して、組織層が離断されたことを示すまで、トランスデューサインピーダンスZをモニタリングする。次いで、プロセッサ400は第2のデジタル周波数信号418を適用して、第2の駆動周波数f、例えば共振周波数f又は他の、組織の離断、凝固、及び封着に適した周波数を設定する。次いで、組織(例えば血管)の別の部分がクランプ部材151とブレード146との間に把持される。ここで、フットスイッチ434又はハンドピースアセンブリ160上のスイッチ312aのいずれかを作動させることによって、トランスデューサ114は駆動信号416によって第2の駆動周波数fで通電される。当業者には、駆動電流(I)出力もまた、トランスデューサインピーダンスZに基づいて図6〜8を参照して説明したように階段状にされ得ることが理解されるであろう。
【0076】
階段関数アルゴリズム402の一実施形態によると、プロセッサ400はまず、血管の内側筋肉層を外膜層から分離するために有意に共振から外れている第1の駆動周波数fを設定する。この動作の期間中、プロセッサ400はトランスデューサインピーダンスZをモニタリングして、内側筋肉層がいつ外膜層から離断又は分離されるかを決定する。トランスデューサインピーダンスZはブレード146に適用される負荷と相関されるので、例えば、より多くの組織を切断することは、ブレード146及びトランスデューサインピーダンスZへの負荷を減らす。内側筋肉層の離断は、トランスデューサインピーダンスZが既定の閾値未満に下がったときに検出される。トランスデューサインピーダンスZの変化が、内側筋肉層から血管が分離されたことを示すと、プロセッサ400は駆動周波数を共振周波数fに設定する。次いで、血管はブレード146とクランプ部材151との間に把持され、フットスイッチ又はハンドピースアセンブリ160上のスイッチのいずれかを作動させることによってトランスデューサ114が作動されて、血管を離断及び封着する。一実施形態では、インピーダンスZの変化は、組織との最初の接触点から筋肉層が離断及び封着される直前の点まで、基準インピーダンス測定値の約1.5〜約4倍の範囲であり得る。
【0077】
図1図8、及び図19を参照すると、上述のように、一実施形態では、手術システム100、及び超音波手術器具110は、信号発生器モジュール102を備える。一実施形態では、信号発生器モジュール102は、組織インピーダンスモジュール502として実施されてもよい。本発明で開示された実施形態では、信号発生器モジュール102は手術器具110から分離されて示されているが、一実施形態では、信号発生器モジュール102は、図1に点線で示されているように、手術器具110が一体型手術システムを形成するように手術器具110と一体に形成されてもよい。一実施形態では、手術器具の信号発生器モジュール102は、組織T(図5図10図16図17)の電気インピーダンスZをモニタリングして、組織TのインピーダンスZに基づいて時間及び電力レベルの特性を制御するように構成されてもよい。一実施形態では、上述のように、組織インピーダンスZは、治療レベル未満の無線周波数(RF)信号をその組織Tに適用して、その組織Tを通る電流をクランプ部材151上のリターン電極によって測定することによって決定され得る。図19に示される概略図では、手術システム100のエンドエフェクタ部分は、外側シース158の遠位端に接続されるクランプアームアセンブリ451(図8)を備える。ブレード146は第1の(例えば通電)電極を形成し、クランプアームアセンブリ451は第2の(例えばリターン)電極を形成する導電部分を備える。組織インピーダンスモジュール502は、ケーブル137のような、適した伝達媒体を介してブレード146及びクランプアームアセンブリ451に連結される。ケーブル137は、組織Tに電圧を付加するため、及び組織Tを通って流れてインピーダンスモジュール502に戻る電流の帰路を提供するための、複数の導電体を備える。様々な実施形態では、組織インピーダンスモジュール502は、発生器112と一体に形成され得るか、又は、発生器112に連結された別の回路として提供され得る(このオプションを例示するために図では点線で示されている)。
【0078】
更に図1図8、及び図19を参照すると、超音波発生器モジュール180と信号発生器モジュール102とを備える統合発生器モジュール320の一実施形態が示されている。図のように、信号発生器モジュール102は、組織インピーダンスモジュール502として構成される。統合発生器モジュール320は、超音波電気駆動信号416を生成して超音波トランスデューサ114を駆動する。一実施形態では、組織インピーダンスモジュール502は、ブレード146とクランプアームアセンブリ451との間に把持された組織T(図5図10図16図17)のインピーダンスZを測定するように構成されてもよい。組織インピーダンスモジュール502は、RF発振器506と、電圧検知回路508と、電流検知回路510とを備える。電圧検知回路508及び電流検知回路510はブレード146の電極に付加されたRF電圧vrfと、ブレード146の電極、組織、及びクランプアームアセンブリ451の導電部分を通って流れるRF電流irfに応答する。検知された電圧vrf及び電流irfは、ADC 432によって、アナログマルチプレクサ430を介してデジタル形式に変換される。プロセッサ400はADC 432のデジタル化された出力433を受信し、組織インピーダンスZを、電圧検知回路508と電流検知回路510によって測定されるRF電圧vrf対電流irfの比率を計算することによって決定する。一実施形態では、内側筋肉層及び組織の離断は、組織インピーダンスZを検知することによって検出され得る。したがって、組織インピーダンスZの検出を自動プロセスと統合して、通常なら共振で生じる有意な量の加熱を引き起こさずに、組織を離断する前に内側筋肉層を外膜層から分離することができる。図9図17に示されるような電極を備える追加のクランプアーム及びシースアセンブリを、非限定的に使用してもよい。
【0079】
図20は、それらの間に組織Tが位置するブレード146及びクランプアームアセンブリ415に連結された組織インピーダンスモジュール502として構成された信号発生器モジュール102の概要図である。ここで図1図8、及び図18図20を参照すると、発生器112は、組織離断プロセス中にブレード146とクランプアームアセンブリ451との間に挟まれている組織TのインピーダンスZをモニタリングするように構成された組織インピーダンスモジュール502として構成された信号発生器モジュール102を備える。組織インピーダンスモジュール502は、ケーブル137、139によって超音波手術器具110に連結されてもよい。ケーブル139はブレード146(例えば正[+]電極)と接続された第1の「通電」導体139と、クランプアームアセンブリ451の導電ジャケット472(例えば負[−]電極)に接続された第2の「リターン」導体137とを含む。一実施形態では、RF電圧vrfがブレード146に印加されて、組織Tを通るRF電流irfの流れを引き起こす。第2の導体137は電流irfが組織インピーダンスモジュール502に戻るための帰路を提供する。電流irfがブレード146から、導電ジャケット472とブレード146との中間に位置付けられた組織T及び導電ジャケット472を通って、導体137へと流れることができるように、リターン導体137の遠位端は導電ジャケット472に接続される。インピーダンスモジュール502は、第1の導体137及び第2の導体139によって回路を接続する。一実施形態では、RFエネルギーは、ブレード146に、超音波トランスデューサ114及び導波管147を介してブレード146に適用され得る。なお、注記すべきこととして、組織インピーダンスZを測定することを目的として組織Tに印加されるRFエネルギーは、組織Tの処置に有意なやり方で寄与しないか、又は全く寄与しない、低レベルの治療レベル未満の信号である。
【0080】
手術システム100の種々の実施形態の動作に関する詳細を説明してきたが、上記手術システム100の動作について、図1図8、及び図18図20を参照し、入力デバイス406と組織インピーダンスモジュール502とを備える手術器具を使用して血管の切断及び凝固をするためのプロセスに関して、更に説明することができる。特定のプロセスについて動作の詳細と結び付けて説明するが、本明細書で説明される全体的な機能性が手術システム100によってどのように実施され得るかを示す例をこのプロセスが提供しているにすぎないことは理解できよう。更に、所与のプロセスは、特に指定しない限り、必ずしも本明細書に提示されている順序で実行されなくてもよい。既に説明したように、入力デバイス406を使用して、超音波トランスデューサ114/ブレード146アセンブリへの階段関数出力(例えば、電流、電圧、周波数)をプログラムすることができる。
【0081】
一実施形態では、超音波手術器具110は、組織インピーダンスZに応答するプログラムされた階段関数アルゴリズム402に従って動作され得る。一実施形態では、周波数階段関数出力は、組織インピーダンスZと、様々な組織状態(例えば乾燥、離断、封着)と相関された既定の閾値との比較に基づいて開始され得る。組織インピーダンスZが閾値の上又は下に遷移する(例えば交差する)とき、プロセッサ400はデジタル周波数信号418をDDS回路420に適用して、組織インピーダンスZに応答する階段関数アルゴリズム402に従って既定の階段によって超音波発振器の周波数を変更する。
【0082】
動作に際して、ブレード146はまず、組織処置部位に位置付けられる。組織Tは、ブレード146及び導電ジャケット472が組織Tと電気接触するように、ブレード146とクランプアームアセンブリ451との間に把持される。プロセッサ400は第1のデジタル周波数信号418を適用して、共振から外れている第1の駆動周波数f(例えば、f/2、2f又は他のfが共振周波数である構造的共振周波数)を設定する。ブレード146は、組織インピーダンスモジュール502によって供給される低レベルで治療レベル未満のRF電圧vrfによって通電される。ハンドピースアセンブリ160上のスイッチ143又はフットスイッチ144434の作動に応答して、駆動信号416は、組織TのインピーダンスZが既定量変だけ変化するまで、トランスデューサ114/ブレード146に適用される。次いで、力又は負荷がクランプアームアセンブリ451及びブレード146に適用される。この期間中、超音波トランスデューサ114はブレード146を第1の駆動周波数fで機械的に作動させ、その結果、組織Tは、ブレード146とクランプアームアセンブリ451の1つ以上のクランプパッド155との間に適用される超音波作用によって乾燥し始め、組織TのインピーダンスZの増加を引き起こす。最終的に、組織Tは超音波作用及び適用されたクランプ力によって離断され、組織インピーダンスZは非常に高くなる又は無限になる。駆動電流(I)出力もまた、測定された組織TのインピーダンスZに基づいて上述されたように階段状にされ得ることが、当業者には理解されるであろう。
【0083】
一実施形態では、組織TのインピーダンスZは、以下のプロセスによりインピーダンスモジュール502によってモニタリングされ得る。測定可能なRF電流iは、第1の通電導体139から組織Tを通ってブレード146に送られて、導電ジャケット472及び第2の導体137を通ってインピーダンスモジュール502に戻る。1つ以上のクランプパッド155に対して作用するブレード146の超音波作用によって、組織Tが乾燥及び切断されるにつれて、組織514のインピーダンスは増加し、したがって、帰路、即ち、第2の導体137の電流iは減少する。インピーダンスモジュール502は組織インピーダンスZを測定し、代表信号をADC 432に伝達し、ADC 432のデジタル出力433はプロセッサ400に提供される。プロセッサ400は組織インピーダンスZを、これらの測定値であるvrf及びirfに基づいて計算する。トランスデューサインピーダンス(Z)に応答して、プロセッサ400は、手術器具110の動作を制御する。例えば、プロセッサ400は、トランスデューサ114に伝達される電力を調整することができ、トランスデューサ114への電力を遮断することができ、及び/又はユーザーにフィードバックを提供することができる。一実施形態では、プロセッサ400は、組織TのインピーダンスZにおける変化に応答して、任意の好適なインクリメント又はデクリメントによって周波数を階段状に上昇させる。他の実施形態では、プロセッサ400は駆動信号416を制御し、組織インピーダンスZに応答して、振幅及び周波数の任意の必要な調整を行うことができる。一実施形態では、プロセッサ400は組織インピーダンスZが既定の閾値に到達したときに駆動信号416を中止することができる。
【0084】
したがって、限定でなく例として、一実施形態では、プログラムされた階段状の出力アルゴリズムによって超音波手術器具110を動作して、血管の内側筋肉層を外膜層から分離してから血管の離断及び封着を行うことができる。既に述べたように、1つの階段関数アルゴリズムによると、プロセッサ400は最初に、共振から有意に外れている第1の駆動周波数fを設定する。トランスデューサ114は血管の内側筋肉層を外膜層から分離するために作動され、組織インピーダンスモジュール502は治療レベル未満のRF電圧vrf信号をブレード146に適用する。この動作の期間Tの間に、プロセッサ400は組織インピーダンスZをモニタリングして、内側筋肉層がいつ外膜層から離断又は分離されるかを決定する。組織インピーダンスZは例えばブレード146に適用される負荷と相関され、組織が乾燥したとき又は組織が離断されたときに組織インピーダンスZは極めて高くなる又は無限になる。組織インピーダンスZにおける変化は血管が内側筋肉層から分離又は離断されたことを示し、発生器112は第2の期間Tについては無効化される。次いで、プロセッサ400は駆動周波数を共振周波数fに設定する。次いで、ブレード146とクランプアームアセンブリ451との間に血管が把持され、トランスデューサ114は再び作動されて、血管を離断及び封着する。組織インピーダンスZの継続的モニタリングは、血管がいつ離断及び封着されたかの指示を提供する。また、組織インピーダンスZをモニタリングして、組織切断及び/又は凝固プロセスの完了の指示を提供すること、あるいは、組織TのインピーダンスZが既定の閾値に達したときに、発生器112及び/又は超音波発生器モジュール180の作動を停止することができる。組織インピーダンスZの閾値は、例えば、血管が離断されたことを指示するために選択することができる。一実施形態では、組織インピーダンスZは、初期の点から筋肉層が離断及び封着される直前の点までに、約10オーム〜約1000オームの範囲であり得る。
【0085】
出願者らは、様々な電流の設定点(増加及び減少の両方)及び滞在時間を実行する実験が、記載されている実施形態を使用して離断を完了する前に内側筋肉層を外膜層から分離することができ、結果的に、止血の改善及び離断部位における総エネルギー(熱)を下げる可能性を示すことを発見した。更に、筋肉層が外膜からいつ分離されるかを決定するためのインピーダンス閾値検出スキームに関して、手術器具110を説明してきたが、検出スキームを使用しない他の実施形態も本開示の範囲内にある。例えば、共振電力を適用して組織を切断する前に、層を分離するために約1秒以下の所定の時間だけ非共振電力を適用する簡易化された手術システムで、手術器具110の実施形態を使用することができる。実施形態はこの文脈に限定されない。
【0086】
種々の実施形態では、手術器具110は、超音波手術器具によって操作されている組織の状態の変化を検出するのを目的として、及び組織がそのような状態の変化を経たこと又は組織がそのような状態の変化を経た可能性が高いことを示すフィードバックをユーザーに提供するのを目的としてプログラムされてもよい。本明細書で用いるとき、組織は、例えば、超音波手術器具110のエンドエフェクタ150などの超音波手術器具のエンドエフェクタで操作されている間に、組織が他の組織又は骨の層から分離されたとき、組織が切断又は離断されたとき、組織が凝固されたときなどに、状態の変化を受けることが可能である。組織の状態の変化は、組織分離イベントの発生の可能性に基づいて決定され得る。
【0087】
図1図5、及び図18図20を参照すると、種々の実施形ではインピーダンスZ及び組織Z、並びに、手術システム100で実施することができる任意のその他の好適な電気測定を用いて、図18及び図19に示される出力インジケータ412によってフィードバックを提供してもよい。出力インジケータ412は、エンドエフェクタ151によって操作されている組織がユーザーの視野から外れており、組織Tの状態の変化がいつ発生するかをユーザーが見ることができない用途において、特に有用である。出力インジケータ412は、様々な論理の流れに関して記述した動作に準拠して測定された組織の状態の変化が発生したことをユーザーに伝える。既に述べたように、出力インジケータ412は視覚的、可聴、及び/又は触覚的フィードバック(ただし限定せず)を含む様々なタイプのフィードバックをユーザーに提供して、組織が組織の状態の変化を経たことをユーザー(例えば外科医、医師)に示すように構成され得る。限定ではなく例示として、既に述べたように、視覚的フィードバックには、白熱電灯又はLED、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ディスプレイ、アナログインジケータ、デジタルインジケータ、棒グラフ表示、デジタル文字数字表示を含む、任意のタイプの視覚的指示デバイスが挙げられる。限定ではなく例示として、可聴フィードバックには、音声/スピーチプラットフォームを介してコンピュータと相互作用するために任意のタイプのブザー、コンピュータで生成されたトーン、コンピュータ化されたスピーチ、VUIが挙げられる。限定ではなく例示として、触覚的フィードバックは、器具ハウジングのハンドピースアセンブリ160を介して提供される、任意のタイプの振動フィードバックを含む。
【0088】
プロセッサ400は、上述の動作に従って組織の状態変化を決定し、出力インジケータ412を用いてユーザーにフィードバックを提供する。プロセッサ400は発生器32、320から入手可能な電圧、電流、及び/又は周波数の信号サンプルをモニタ及び評価し、そのような信号サンプルの評価に従って、組織の状態の変化が生じたかどうかを決定する。組織の状態の変化は、超音波器具のタイプと、その器具が通電される電力レベルとに基づいて決定され得る。フィードバックに応答して、超音波手術器具110の動作モードはユーザーによって制御され得るか、又は自動的若しくは半自動的に制御され得る。
【0089】
一実施形態では、駆動システム32、320のプロセッサ400部分は、超音波発生器モジュール180及び/又は信号発生器モジュール102の電圧(V)、電流(I)、及び周波数(f)信号をサンプリングする。既に述べたように、出力インジケータ412は視覚的、可聴、及び/又は触覚的フィードバックを提供して、組織の状態の変化が生じたことを超音波手術器具110のユーザーに警告する。種々の実施形態では、出力インジケータ412からのフィードバックに応答して、発生器112、超音波発生器モジュール180、信号発生器モジュール102、及び/又は超音波器具110の動作モードは、手動で、自動的に、又は半自動的に制御されてもよい。動作モードとしては、非限定的に、出力電力を切断又は遮断すること、出力電力の低減すること、出力電力をサイクルさせること、出力電力をパルス化すること、及び/又は一時的な高電流サージを出力することが挙げられる。一実施形態では、動作モードは、エンドエフェクタ151に伝達される機械的エネルギー、又は振動をトランスデューサ14が生成する第1の動作モード、及び電気エネルギー、又は電流がエンドエフェクタ151に流れて電気外科手術を行うことができる第2の動作モードで、手術器具110を作動させることを含む。組織の状態の変化に応答する超音波器具110の動作モードを選択して、例えば、クランプパッド155のエンドエフェクタ151の加熱効果を最小限に抑えること、並びに手術器具110及び/又は周囲組織の損傷の可能性を防止する若しくは最小限に抑えることができる。これは、組織の状態の変化が生じるときと同じように、エンドエフェクタ151のジョーの間に何もない状態でトランスデューサ114が作動されると、熱は指数関数的に生成されるので、利点である。
【0090】
種々の実施形では、組織の状態変化は、上述のようなトランスデューサ及び組織インピーダンス測定値に基づいて、又は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、同一出願人による同時期に提出された米国特許出願第_____号、発明の名称「ULTRASONIC DEVICE FOR CUTTING AND COAGULATING WITH STEPPED OUTPUT」、代理人整理番号END6427USNP/080591の開示に記述されている操作に従った電圧、電流、及び周波数測定値に基づいて決定されてもよい。
【0091】
本明細書で開示した装置は、1回の使用後に処分されるように設計されることができ、あるいは、それらの装置は、複数回使用されるように設計されることもできる。しかしながら、いずれの場合も、装置は少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されることができる。再調整には、デバイスを分解する工程、続いて特定部品を洗浄する又は取り替える工程、及びそれに続いて再び組み立てる工程の、任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は解体することができ、装置の任意の数の部品又は構成要素は、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部品が洗浄及び/又は交換されると、続く使用のために装置を修繕施設において、又は外科手術の直前に外科チームによって組み立て直すことができる。当業者には、装置の再調整に、解体、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を使用できることが理解されるであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0092】
好ましくは本明細書に記載されている種々の実施形態は、手術の前に処理されている。まず新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じてクリーニングを行う。次に、器具を消毒することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの閉鎖かつ密閉された容器に器具を入れる。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子などの容器を貫通することができる放射線野の中に配置する。放射線により、器具上及び容器内の細菌が死滅される。消毒された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保つ。滅菌はまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、及び/又は蒸気を含め、当業者に既知の任意の数の方法によって実施することができる。
【0093】
種々の実施形態では、超音波手術器具は、導波管及び/又はエンドエフェクタが既に手術器具のトランスデューサに動作可能に連結された状態で、外科医に供給されることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、外科医、又はその他の臨床医は、超音波手術器具を滅菌包装から取り出し、上記に概略されているように超音波器具を発生器に差し込んで、外科的処置中に超音波器具を使用することができる。このようなシステムは、外科医、又はその他の臨床医が、導波管及び/又はエンドエフェクタを超音波手術器具に組み付ける必要性を排除することができる。超音波手術器具の使用後、外科医、又はその他の臨床医は、超音波器具を密封可能な包装に入れることができ、この包装は殺菌施設に運ばれることができる。殺菌施設では、超音波器具を消毒することができ、あらゆる使用済みの部品を廃棄及び交換することができる一方で、再利用可能な部品を殺菌して、再度使用することが可能である。その後、超音波器具は、再組み立てされ、試験され、無菌包装に入れられ、及び/又は包装に入れられた後に殺菌されることができる。いったん殺菌されると、再処理された超音波手術器具を再度使用することができる。
【0094】
種々の実施形態が本明細書で記載されてきたが、これらの実施形態に多くの改変及び変形が実施され得る。例えば、異なるタイプのエンドエフェクタが用いられてもよい。また、特定のコンポーネントについて材料が開示されたが、他の材料が使用され得る。以上の説明及び以下の「特許請求の範囲」は、そのような修正形態及び変形形態全てに及ぶものとする。
【0095】
参考として本明細書に組み込まれると言われたいずれの特許、公開文献、又は他の開示資料も、全体又は一部を、その組み込まれた資料が本開示に示された既出の定義、記載、又は他の開示資料と矛盾しない範囲に限り、本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明確に示した開示内容は、本明細書に援用されるいかなる矛盾する文献にも優先するものとする。本明細書に参照により組み込むと述べるが本明細書に記載した既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾する、任意の資料又はその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込むものとする。
【0096】
〔実施の態様〕
(1) 手術器具において、
ハンドピースハウジングと、
前記ハンドピースハウジング内に支持されて、振動を生成するように構成される音響アセンブリと、
近位端と遠位端とを含む導波管であって、前記近位端は、前記音響アセンブリによって生成された振動が前記導波管に伝達されるように前記音響アセンブリに装着される、導波管と、
前記導波管に対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なクランプと、
前記導波管と電気的に導通する第1の導体と、
前記クランプと電気的に導通する第2の導体であって、電流が前記導波管及び前記クランプと接触する組織を通って前記導波管と前記クランプとの間を流れることができるように、前記第1の導体及び前記第2の導体は、電源と電気的導通状態に配置されるように構成される、第2の導体と、を備える、手術器具。
(2) 前記クランプが、前記導波管と直接接触しない、実施態様1に記載の手術器具。
(3) 制御ユニットを更に備え、前記制御ユニットが、前記音響アセンブリが振動を生成する第1の動作モード、並びに、電流が、前記第1の導体、前記導波管、前記クランプ、前記導波管及び前記クランプと接触する組織、及び前記第2の導体を含む回路を流れる第2の動作モードで前記手術器具を操作するように構成される、実施態様1に記載の手術器具。
(4) スイッチを更に備え、前記スイッチが、前記手術器具を前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で切り替えるように構成される、実施態様3に記載の手術器具。
(5) 前記手術器具が、前記導波管を少なくとも部分的に取り囲むシースを更に備え、前記クランプが、前記シースに旋回可能に装着される近位端を含み、前記クランプが遠位端を更に含み、電流が組織を通って前記導波管の前記遠位端と前記クランプの前記遠位端との間を流れることができるように、前記クランプの前記遠位端及び前記導波管の前記遠位端が、前記組織に接して配置されるように構成される、実施態様1に記載の手術器具。
(6) 前記手術器具が、前記導波管を少なくとも部分的に取り囲むシースを更に備え、前記クランプが、前記シースに旋回可能に装着される近位端を含み、前記第2の導体が、前記シースに少なくとも部分的に埋め込まれる、実施態様1に記載の手術器具。
(7) 前記クランプに装着される組織接触パッドを更に備え、前記組織接触パッドが導電性材料で構成される、実施態様1に記載の手術器具。
(8) 手術器具において、
ハンドピースハウジングと、
前記ハンドピースハウジング内に支持されて、振動を生成するように構成される音響アセンブリと、
近位端と遠位端とを含む導波管であって、前記近位端は、前記音響アセンブリによって生成された振動が前記導波管に伝達されるように、前記音響アセンブリに装着される、導波管と、
前記導波管に対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なクランプであって、前記クランプは第1の電極と第2の電極とを備える、クランプと、
前記第1の電極と電気的に導通する第1の導体と、
前記第2の電極と電気的に導通する第2の導体であって、前記第1の導体及び前記第2の導体は、電流が前記第1の電極と前記第2の電極の中間に位置付けられた組織を通って前記第1の電極から前記第2の電極へと流れることができるように、電源と電気的導通状態に配置されるように構成される、第2の導体と、を備える手術器具。
(9) 前記導波管を少なくとも部分的に取り囲むシースアセンブリを更に備え、前記シースアセンブリが内側シースと外側シースとを含み、前記内側シースが前記外側シースの中に少なくとも部分的に位置付けられ、前記第1の導体が前記内側シースに少なくとも部分的に埋め込まれ、前記第2の導体が前記外側シースに少なくとも部分的に埋め込まれる、実施態様1に記載の手術器具。
(10) 前記クランプが組織接触パッドを備え、前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記組織接触パッドに埋め込まれる、実施態様8に記載の手術器具。
【0097】
(11) 前記第1の電極が第1の点電極を含み、前記第2の電極が第2の点電極を含み、前記第1の点電極が、前記第2の点電極よりも前記導波管の前記遠位端の近くに位置付けられる、実施態様10に記載の手術器具。
(12) 前記クランプが組織接触パッドを備え、前記組織接触パッドが第1の側と第2の側とを含み、前記第1の電極が前記第1の側に装着され、前記第2の電極が前記第2の側に装着される、実施態様8に記載の手術器具。
(13) 手術器具において、
ハンドピースハウジングと、
前記ハンドピースハウジング内に支持されて、振動を生成するように構成される音響アセンブリと、
近位端と遠位端とを含む導波管であって、前記近位端は、前記音響アセンブリによって生成された振動が前記導波管に伝達されるように、前記音響アセンブリに装着され、前記導波管は組織接触面を更に含む、導波管と、
前記導波管に対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なクランプであって、前記クランプは、
クランプ組織接触面であって、前記クランプが前記閉鎖位置にあるとき、前記クランプ組織接触面は、前記導波管の組織接触面に接するか又は隣接した状態の少なくとも一方で位置付けられる、クランプ組織接触面と、
前記クランプ組織接触面を越えて延在する側壁であって、前記クランプが前記閉鎖位置にあるとき、前記側壁はまた、前記導波管の組織接触面を越えて延びる、側壁と、を備える、クランプと、を備える手術器具。
(14) 前記導波管が第1の側と第2の側とを含み、前記側壁が第1の側壁を含み、前記第1の側壁が、前記クランプが前記閉鎖位置にあるとき、前記導波管の前記第1の側に対して横方向に延び、前記クランプが、前記クランプ組織接触面を越えて延在する第2の側壁を更に含み、前記第2の側壁が、前記クランプが前記閉鎖位置にあるとき、前記導波管の前記第2の側に対して横方向に延びる、実施態様13に記載の手術器具。
(15) 前記クランプが第1の電極と第2の電極とを更に備え、前記手術器具が、
前記第1の電極と電気的に導通する第1の導体と、
前記第2の電極と電気的に導通する第2の導体であって、前記第1の導体及び前記第2の導体は、電流が前記第1の電極と前記第2の電極の中間に位置付けられた組織を通って前記第1の電極から前記第2の電極へと流れることができるように、電源と電気的導通状態に配置されるように構成される、第2の導体と、を更に備える、実施態様13に記載の手術器具。
(16) 前記導波管と電気的に導通する第1の導体と、
前記クランプと電気的に導通する第2の導体であって、電流が前記導波管及び前記クランプと接触する組織を通って前記導波管と前記クランプとの間を流れることができるように、前記第1の導体及び前記第2の導体は、電源と電気的導通状態に配置されるように構成される、第2の導体と、を更に備える、実施態様13に記載の手術器具。
(17) 前記クランプが、それ自体に装着されるパッドを更に備え、前記パッドが前記組織接触面を含み、前記パッドが導電性材料で構成される、実施態様16に記載の手術器具。
(18) 前記クランプ組織接触面が第1の平面を画定し、前記導波管の組織接触面が第2の平面を画定し、前記側壁が、前記クランプが前記閉鎖位置にあるとき、前記第1の平面及び前記第2の平面を通って延びる、実施態様13に記載の手術器具。
(19) 前記クランプが部分的閉鎖位置にあるとき、前記側壁が、前記第1の平面及び前記第2の平面を通って延びる、実施態様18に記載の手術器具。
(20) 前記クランプが前記開放位置にあるとき、前記側壁が前記第2の平面を通って延びない、実施態様19に記載の手術器具。
【0098】
(21) 手術器具において、
ハンドピースハウジングと、
前記ハンドピースハウジングの中に支持され、信号源と電気的に導通する電気接触アセンブリと、
前記電気接触アセンブリと回転接触状態で前記ハンドピースハウジングの中に支持される音響アセンブリと、を備える手術器具。
(22) 前記音響アセンブリが、
複数の圧電素子を備えるトランスデューサを備え、前記音響アセンブリが、
前記トランスデューサに連結され、かつ前記電気接触アセンブリと連続的に回転接触するように支持される少なくとも1つの正極と、
前記トランスデューサに連結され、かつ前記電気接触アセンブリと連続的に回転接触するように支持される少なくとも1つの負極と、を更に備える、実施態様21に記載の手術器具。
(23) 前記電気接触アセンブリが、
前記ハンドピースハウジングの中に装着され、かつ前記少なくとも1つの正極と連続回転接触状態にある正極スリップリング接触部(positive slip ring contact)と、
前記ハンドピースハウジングの中に装着され、かつ前記少なくとも1つの負極と連続回転接触状態にある負極スリップリング接触部(negative slip ring contact)と、を備える、実施態様22に記載の手術器具。
(24) 前記複数の圧電素子が、最大外側外周を有する圧電素子のスタックを形成し、前記少なくとも1つの正極が、前記最大外周よりも大きい第1の外側外周を有する円環形状を有し、前記少なくとも1つの負極が、前記最大外側外周よりも大きい第2の外周を有する、実施態様22に記載の手術器具。
(25) 前記圧電素子のスタックが、第1の共振器とフォアベルとの間に支持される、実施態様23に記載の手術器具。
(26) 前記フォアベルが、エンドエフェクタに動作可能に取り付けられた導波管と回転自在に相互作用する、実施態様25に記載の手術器具。
(27) 前記導波管が、前記ハンドピースハウジングによって回転自在に支持されて、前記ハンドピースハウジング及び前記フォアベルに対して前記導波管が選択的に回転するのを可能とする、実施態様26に記載の手術器具。
(28) 前記導波管が、前記ハンドピースハウジングによって回転自在に支持される回転輪によって支持される、実施態様26に記載の手術器具。
(29) 前記信号源が、電子信号/無線周波数生成ユニットを備える、実施態様21に記載の手術器具。
(30) 前記音響アセンブリに音響的に連結されるエンドエフェクタを更に備える、実施態様21に記載の手術器具。
【0099】
(31) 前記エンドエフェクタがその上に移動可能部分を有し、前記手術器具が、前記ハンドピースアセンブリの上に動作可能に支持され、かつ前記移動可能部分を選択的に作動させるために前記エンドエフェクタの前記移動可能部分と連通するトリガ部を備える、実施態様30に記載の手術器具。
(32) 前記ハンドピースハウジングがピストルグリップ部分を有する、実施態様31に記載の手術器具。
(33) 手術器具において、
ハンドピースハウジングと、
音響手段であって、そこに電気信号が適用されたときに超音波動作を生成するために、前記ハンドピースハウジングの中に回転自在に支持される、音響手段と、
前記電気信号を前記音響手段に供給するための信号手段と、
前記信号手段からの前記電気信号を前記音響手段に伝達するために、前記音響手段及び前記信号手段に連結される連結手段と、を備える手術器具。
(34) 導波管手段を更に備えて、前記音響手段からの前記超音波動作を、前記導波管手段に動作可能に連結された外科用エンドエフェクタに伝達する、実施態様33に記載の手術器具。
(35) 手術器具システムにおいて、
ハンドピースハウジングと、
前記ハンドピースハウジングに対して回転自在に移動するように、前記ハンドピースハウジングによって回転自在に支持される音響アセンブリであって、前記音響アセンブリは、それ自体に電気信号が適用されると超音波動作を生成するように構成される、音響アセンブリと、
前記音響アセンブリに対して回転するように前記音響アセンブリと回転接触状態にある前記ハンドピースハウジングによって回転自在に支持される導波管と、
前記導波管に動作可能に連結されるエンドエフェクタと、
電気信号及び無線周波数信号の少なくとも一方を生成するための信号源と、
前記ハンドピースハウジングの中に支持され、かつ前記信号源及び前記音響アセンブリと電気接触状態にある電気接触アセンブリと、を備える手術器具システム。
(36) 手術器具の制御方法であって、
超音波駆動システムに連結された超音波発生器モジュールによって第1の超音波駆動信号を生成することであって、前記超音波駆動システムは、導波管に連結される超音波トランスデューサと、前記導波管に連結されるエンドエフェクタとを備え、前記超音波駆動システムは、共振周波数で機械的に共振するように構成される、ことと、
前記超音波駆動システムの電気的特性をモニタリングすることと、
前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答して前記超音波駆動信号を制御することと、を含む方法。
(37) 前記モニタリングされた電気的特性に応答して第2の超音波駆動信号を生成することを含み、前記第2の超音波駆動信号が前記第1の超音波駆動信号と異なる、実施態様36に記載の方法。
(38) 前記電気的特性が、前記超音波トランスデューサのインピーダンスである、実施態様36に記載の方法。
(39) 前記電気的特性が、前記エンドエフェクタと接触している組織部分のインピーダンスである、実施態様36に記載の方法。
(40) 前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答して、前記エンドエフェクタに連結された電気外科的発生器によって治療的電気信号を生成することを含む、実施態様36に記載の方法。
【0100】
(41) 前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答してフィードバックを提供する、実施態様36に記載の方法。
(42) 前記エンドエフェクタに連結された信号発生器モジュールによって、治療レベル未満の電気信号を生成することと、
前記エンドエフェクタと接触している組織部分に前記治療レベル未満の電気信号を適用することと、
前記組織部分の電気的特性をモニタリングすることと、を含む、実施態様36に記載の方法。
(43) 前記組織部分の前記モニタリングされた電気的特性に応答して前記超音波駆動信号を制御することを含む、実施態様42に記載の方法。
(44) 前記組織部分の前記モニタリングされた電気的特性に応答して、前記エンドエフェクタに連結された電気外科的発生器によって治療的電気信号を生成することを含む、実施態様43に記載の方法。
(45) 前記組織部分の前記モニタリングされた電気的特性に応答してフィードバックを提供することを含む、実施態様42に記載の方法。
(46) 手術器具において、
超音波駆動システムに連結される超音波発生器モジュールであって、前記超音波駆動システムは、導波管に連結される超音波トランスデューサと、前記導波管に連結されるエンドエフェクタとを備え、前記超音波駆動システムは、共振周波数で機械的に共振するように構成され、前記超音波発生器モジュールは、第1の超音波駆動信号を生成することができる、超音波発生器モジュールと、
前記超音波発生器モジュールに連結される電子回路であって、前記電子回路は、前記超音波駆動システムの電気的特性をモニタリングすることができる、電子回路と、
前記電子回路に連結されるプロセッサであって、前記プロセッサは、前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答して超音波駆動信号を制御することができる、プロセッサと、を備える手術器具。
(47) 前記電子回路が、
前記トランスデューサを流れる電流を検知する電流検知回路と、
前記トランスデューサに印加される出力電圧を検知する電圧検知回路と、を含む、実施態様46に記載の器具。
(48) 前記エンドエフェクタに連結される電気外科的発生器を備え、
前記電気外科的発生器が、前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答して治療的電気信号を生成することができる、実施態様46に記載の器具。
(49) 前記プロセッサに連結されて、前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答してフィードバックを提供する出力インジケータを備える、実施態様46に記載の器具。
(50) 前記エンドエフェクタに連結されて、治療レベル未満の電気信号を生成する信号発生器モジュールと、
前記エンドエフェクタ及び前記信号発生器モジュールに連結される電極であって、前記電極は、前記エンドエフェクタと接触している組織部分に前記治療レベル未満の電気信号を適用することができる、電極と、
前記信号発生器モジュールに連結されて、前記組織部分を流れる電気信号を検知する電流検知回路と、
前記信号発生器に連結されて、前記組織部分に印加される電圧を検知する電圧検知回路と、を備える、実施態様46に記載の器具。
【0101】
(51) 手術システムにおいて、
超音波駆動システムに連結される超音波発生器モジュールであって、前記超音波駆動システムは、導波管に連結される超音波トランスデューサと、前記導波管に連結されるエンドエフェクタとを備え、前記超音波駆動システムは、共振周波数で機械的に共振するように構成され、前記超音波発生器モジュールは、第1の超音波駆動信号を生成することができる、超音波発生器モジュールと、
前記エンドエフェクタに連結されて、治療的電気信号を生成する電気外科的発生器と、
前記エンドエフェクタに連結されて、治療レベル未満の電気信号を生成する信号発生器モジュールと、
前記超音波発生器モジュール及び前記信号発生器モジュールに連結されるプロセッサであって、前記プロセッサは、前記超音波駆動システムの電気的特性をモニタリングする、プロセッサと、を備える手術システム。
(52) 前記超音波発生器モジュールに連結される電子回路を含み、前記電子回路が、前記超音波駆動システムの電気的特性をモニタリングすることができ、前記電子回路が、
前記トランスデューサを流れる電流を検知するための電流検知回路と、
前記トランスデューサに印加される出力電圧を検知するための電圧検知回路と、を備える、実施態様51に記載のシステム。
(53) 前記電気外科的発生器が、前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答して治療的電気信号を生成することができる、実施態様51に記載のシステム。
(54) 前記プロセッサに連結されて、前記超音波駆動システムの前記モニタリングされた電気的特性に応答してフィードバックを提供する出力インジケータを備える、実施態様51に記載のシステム。
(55) 前記エンドエフェクタ及び前記信号発生器モジュールに連結される電極であって、前記電極は、前記エンドエフェクタと接触している組織部分に前記治療レベル未満の電気信号を適用することができる、電極と、
前記信号発生器モジュールに連結されて、前記組織部分を流れる電気信号を検知する電流検知回路と、
前記信号発生器に連結されて、前記組織部分に印加される電圧を検知する電圧検知回路と、を備える、実施態様51に記載のシステム。
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