特許第5710620号(P5710620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5710620回転運動を往復運動に変換する機構を備えた外科用やすり器具構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710620
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】回転運動を往復運動に変換する機構を備えた外科用やすり器具構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   A61B17/56
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-529750(P2012-529750)
(86)(22)【出願日】2010年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-505061(P2013-505061A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】US2010002542
(87)【国際公開番号】WO2011034601
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2013年9月17日
(31)【優先権主張番号】12/586,091
(32)【優先日】2009年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506327863
【氏名又は名称】ジ アンスパック エフォート,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】デル リオ,エディー,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ナルドゥッチ,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】メナード,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブキーナ,スティーブン
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500998(JP,A)
【文献】 特開昭60−142842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復運動外科用やすり器具であって、
往復運動外科用やすりと、
往復動外科用やすりを支持する管状ケーシングであって、往復動外科用やすりが遠位端にブレードおよびその反対端に舌部を有する、管状ケーシングと、
管状ケーシング内に支持された中実管状部材であって、往復動外科用やすりを受け入れる細長い内腔部を有し、ブレードが中実管状部材の遠位端に配置されかつ中実管状部材の遠位端を越えて突出し、舌部が中実管状部材の近位端に配置されかつ中実管状部材の近位端を越えて突出する、中実管状部材と、
運動変換器と、
を備え、運動変換器は、
分割ハウジングと、
分割ハウジング内に回転運動を往復運動に変換する手段と、
分割ハウジング内に回転モータと、
を備え、回転運動を往復運動に変換する手段は、
モータによって駆動される遊星ギアシステムと、
ドラムと、
前記遊星ギアシステムに作動的に接続されたカムスロットと、前記ドラムの外方周囲に取り付けられたカム従動部とを有するカムであって、前記遊星ギアシステムにより回転されたカムが、前記カムスロットの位置を回転させることにより、前記カム従動部が前記ドラムに往復運動を付与するカムと、
ブレードに往復運動を付与するように舌部に取り付けられかつドラムの一端に取り付けられたシャフトと、
ブレードを往復運動させるようにモータに電力を供給する電源と、
を備えることを特徴とする外科用やすり器具。
【請求項2】
前記カムに形成された環状スロットであって、前記往復運動の方向に垂直に形成されている環状スロットと、
分割ハウジングから延在し、環状スロット内へ延在し、カムに加えられた推進荷重を吸収する少なくとも1つの推進ピンと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の外科用やすり器具。
【請求項3】
カムの一端にあるプラテンと、
プラテンの周りに周方向に離間しかつプラテンに取り付けられた複数のシャフトと、
プラテンに回転運動を付与するようにこれらのシャフトのそれぞれに取り付けられたギアと、
を備えることを特徴とする請求項2記載の外科用やすり器具。
【請求項4】
電源はバッテリであることを特徴とする請求項2記載の外科用やすり器具。
【請求項5】
外科用やすり器具は、中実管状部材を封入する管状ケーシングを備えることを特徴とする請求項3記載の外科用やすり器具。
【請求項6】
細長い内腔部は、無限大記号のような形状を有することを特徴とする請求項5記載の外科用やすり器具。
【請求項7】
管状ケーシングは、遠位端に形成されかつブレードに隣接する平坦部分であって、案内・遮蔽組み合わせ部材を画成する平坦部分を備えることを特徴とする請求項5記載の外科用やすり器具。
【請求項8】
外科用やすり器具であって、
往復運動外科用やすりと、
往復動外科用やすりを支持する管状ケーシングであって、往復動外科用やすりが遠位端にブレードおよびその反対端に舌部を有する、管状ケーシングと、
管状ケーシング内に支持された中実管状部材であって、往復動外科用やすりを受け入れる細長い内腔部を有し、ブレードが中実管状部材の遠位端に配置されかつ中実管状部材の遠位端を越えて突出し、舌部が中実管状部材の近位端に配置されかつ中実管状部材の近位端を越えて突出する、中実管状部材と、
前記中実管状部材を部分的に包囲する管状ケーシングと、
運動変換器と、
を備え、運動変換器は、
分割ハウジングと、
分割ハウジング内に回転運動を往復運動に変換する手段と、
分割ハウジング内に回転モータと、
を備え、回転運動を往復運動に変換する手段は、
モータによって駆動される遊星ギアシステムと、
ドラムと、
ドラムを往復運動させるようにドラムに作動的に接続されかつ遊星ギアシステムに作動的に接続された、カムスロットとカムスロット内のカム従動部とを有するカムと、
ブレードに往復運動を付与するように舌部に取り付けられかつドラムの一端に取り付けられたシャフトと、
カムに形成された環状スロットと、
分割ハウジングから延在し、環状スロット内へ延在し、カムに加えられた推進荷重を吸収する一対の対向する推進ピンと、
ブレードを往復運動させるようにモータに電力を供給する電源と、
を備えることを特徴とする外科用やすり器具。
【請求項9】
カムに形成された環状スロットと、
分割ハウジングから延在し、環状スロット内へ延在し、カムに加えられた推進荷重を吸収する少なくとも1つの推進ピンと、
カムの一端にあるプラテンと、
プラテンの周りに周方向に離間しかつプラテンに取り付けられた複数のシャフトと、
プラテンに回転運動を付与するようにこれらのシャフトのそれぞれに取り付けられたギアと、
を備えることを特徴とする請求項8記載の外科用やすり器具。
【請求項10】
外科用やすり器具は、中実管状部材を封入する管状ケーシングを備え、
細長い内腔部は、無限大記号のような形状を有し、
管状ケーシングは、遠位端に形成されかつブレードに隣接する平坦部分であって、案内・遮蔽組み合わせ部材を画成する平坦部分を備えることを特徴とする請求項9記載の外科用やすり器具。
【請求項11】
往復運動外科用やすり器具であって、
往復運動外科用やすりと、
往復動外科用やすりを支持する管状ケーシングであって、往復動外科用やすりが遠位端にブレードおよびその反対端に舌部を有する、管状ケーシングと、
管状ケーシング内に支持された中実管状部材であって、往復動外科用やすりを受け入れる細長い内腔部を有し、ブレードが中実管状部材の遠位端に配置されかつ中実管状部材の遠位端を越えて突出し、舌部が中実管状部材の近位端に配置されかつ中実管状部材の近位端を越えて突出する、中実管状部材と、
運動変換器と、
を備え、運動変換器は、
分割ハウジングと、
分割ハウジング内に回転運動を往復運動に変換する手段と、
分割ハウジング内に回転モータと、
を備え、回転運動を往復運動に変換する手段は、
モータによって駆動される遊星ギアシステムと、
ドラムと、
ドラムを往復運動させるようにドラムに作動的に接続されかつ遊星ギアシステムに作動的に接続された、カムスロットとカムスロット内のカム従動部とを有するカムと、
ブレードに往復運動を付与するように舌部に取り付けられかつドラムの一端に取り付けられたシャフトと、
ブレードを往復運動させるようにモータに電力を供給する電源と、
カムに形成された環状スロットと、
分割ハウジングから延在し、環状スロット内へ延在し、カムに加えられた推進荷重を吸収する少なくとも1つの推進ピンと、
カムの一端にあるプラテンと、
プラテンの周りに周方向に離間しかつプラテンに取り付けられた複数のシャフトと、
プラテンに回転運動を付与するようにこれらのシャフトのそれぞれに取り付けられたギアと、
中実管状部材を封入する管状ケーシングと、
を備え、
細長い内腔部は、無限大記号のような形状を有し、
管状ケーシングは、遠位端に形成されかつブレードに隣接する平坦部分であって、案内・遮蔽組み合わせ部材を画成する平坦部分を備え、
電源はバッテリであることを特徴とする外科用やすり器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者から骨または骨の一部を除去する外科的処置に使用される外科用やすりに関する。より詳細には、本発明は、骨を切削、除去、研削、成形、および彫刻する外科用やすりに関連し、さらに、外科用やすり構造と、外科用器具の往復動やすりに往復運動を付与する機構とに関する。
【0002】
[関連出願]
本願は、エディー デル リオ(Eddy Del Rio)、デービッド ナルドゥッチ(David Narducci)、マイケル メナード(Michael Menard)によって発明された「外科用やすり」という名称の同時に出願された特許出願(代理人ドケットN1347PCT)であって、本願と同じ譲受人に譲渡され、参照によってその全体が本願に組み込まれる特許出願に関連する。
【背景技術】
【0003】
2008年6月24日にハープ(Harp)に付与された米国特許第7,390,330号には、ある種の病理学の処置のために外科医によって使用可能なさまざまな用途を有する外科用やすりが記載されている。この特許は本質的に、本特許出願に記載された外科用やすりに類似する外科用やすりに関連し、本特許出願に記載された発明は、上述の第7,390,330号特許(‘330号)に開示された外科用やすりに対して特許可能として区別されるが、その上、本願で以下に説明する理由によって予想外の結果が得られる。上述の‘330号特許では、遮蔽された往復動外科用やすりシステムが開示されており、使用者は、患者の身体の接近が困難な部分へとやすりを進めることができる。トランスミッション機構は、モータからの回転運動を往復運動に変換し、ポンプ機構および灌注システムは、外科的処置部位に流体を供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転運動から往復運動を得るために、上述の‘330号特許に開示されている構造は、一体型シャフトまたはしっかりと接続されたシャフトを備えることができるトーラストランスミッション装置を使用する。トーラスドライブおよびドライブシャフトは、中心回転軸周りに回転可能であり、トーラス中心軸がオフセット角になっている略円形または曲線のカム部分を有する。トーラスカム表面の厚みが可変なので、ハイブリッド二重または二元トーラスが形成される。以下の説明から明らかとなるように、本願に記載された発明となる機構によって、本願で以下により詳細に説明するように回転運動を往復運動に変換するトランスミッションシステムがよりいっそう複雑でないものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外科用やすり器具のやすり部材は、遠位端にブレードと近位端に舌部とを有する細長でかつ角度のついたシャフト部分を備えており、細長い略「無限大記号」形状の孔に配置されかつ内部に形成された内腔部を有するプラスチック材料の細長い円筒状管内に封入されている。内腔部は、患者の外部から外科的処置部位へと延在する通路を画成するように機能する。細長い管の遠位端は、やすりのブレードに対する案内部を一緒に画成する適切に配置された湾曲部分を有する略平坦部分へと張り出している。
【0006】
上述の‘330号特許で検討されたように、本願発明は、特に神経外科、整形外科、および形成外科において一般に関心事となる多くの医療処置に有用である。例えば神経外科では、神経孔は拡張が必要なことがあり、やすりは、神経根が硬い骨質脊椎構造を通過できるように硬い骨質脊椎構造を除去する際に役立つことができる。整形外科では、膝に彫刻が必要となることがある。さらに、形成外科では、骨と組織の彫刻が、鼻の再形成および鼻形成術に必要となることがある。外科用やすりは、これらの種類の処置および方法の使用に役立つ。
【0007】
本発明の目的は、改良された外科用やすりを提供することである。
【0008】
本発明の特徴は、外科用やすり用に、回転運動を往復運動に変換する改良された機構を提供することであり、小型で作業に役立つとして特徴付けられ、器具の大きさの最小化に寄与し、外科医の使用中に感覚を高める。
【0009】
本発明の別の特徴は、回転運動の往復運動への変換を実現するために遊星ギアシステムを利用することである。
【0010】
本発明の別の特徴は、円筒カムに作動的に接続され、外科用器具ケーシングに基礎を置く推進ピンを利用することである。
【0011】
本発明の別の特徴は、単一の従動部およびドラムの組み合わせを有する円筒カムを利用することである。
【0012】
本発明の別の特徴は、やすりアセンブリのための細長い中心孔と、外科用やすり器具の外部から外科的処置部位へと延在する通路を画成する内腔部とを備え、外側管状ケーシング内に取り付けられたプラスチック材料から形成された中実ロッドを利用することである。
【0013】
本発明の別の特徴は、やすりアセンブリのやすりを支持するための細長い中心孔が、無限大記号に類似する構成で形成されることである。
【0014】
本発明の上述した特徴および他の特徴は、以下の説明および添付の図面からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を例示する分解斜視図。
図2】本発明の外科用やすり器具の組み立てられた断面図。
図2A図2の2A−2A線に沿って取った断面図。
図3】本発明の運動変換器を例示する部分拡大断面斜視図。
図4図3に図示されたドラムの拡大斜視図。
図5】本発明のやすりアセンブリを例示する分解立面図。
図6】やすり、やすりブレード、やすり遮蔽部、およびやすりアセンブリの拡大部分斜視図。
図7図6の7−7線に沿って取った断面図。
図8図6の8−8線に沿って取った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本技術の当業者に理解されるように、やすりアセンブリ、特にブレードおよび舌部の構成は、本発明の範囲から逸脱せずに多くのさまざまな形態および設計にすることができる。例えば、やすりアセンブリの角度の大きさは、さまざまなものとすることができ、または角度のついていない形状とすることもでき、やすりのブレードの種類は、好ましい実施例に図示されているのとは異なったものにすることもできる。
【0017】
本発明は、参照符号10で概略示される外科用やすり器具を示している図1図4を参照して最も良く見ることができ、外科用やすり器具10は、外側分割ケーシング12、バッテリ14、モータ16、運動変換器18、およびやすりアセンブリ20を備える。図2に見られる組み立てられた状態では、ケーシング12は、ねじ付き突出部にねじ係合するねじ26によって適切に取り付けられる2つの略円筒形部材22、24で形成される。端子30、32がモータ16をバッテリ14に接続して、モータに電力を供給し、ドライブシャフト34を駆動する。次いで、ドライブシャフト34が、本願で以下に詳細に説明するように運動変換器18に回転運動を生じさせる。図2に示されるように、ドライブシャフト34は、運動変換器18の遊星システム40の被駆動シャフト38に結合されて被駆動シャフト38を回転させる。以下に説明するように、遊星ギアシステム40は、カム71を回転させ、従動部44(図3参照)を介して、次いで往復運動を付与するようにドラム49およびシャフト48を直動させる。
【0018】
やすりアセンブリ20(図5参照)は、角度のついたシャフト52と、ブレード54と、舌部56とを有するやすり50を備える。舌部56は、孔58(図5参照)を備えており、孔58は、端部62に形成された相補的なねじ付き孔60と、および、孔58内に嵌合しかつ孔60にねじ係合する適切なボルト61と、共に協働し、やすり50をドラム49に接続して、やすり50に往復動を付与する。
【0019】
この種の器具では、外科的処置部位に灌注を行うのが一般的である。この目的で、ケーシング12は、ポート42と、やすりアセンブリ20に形成された内腔部46に接続される潤滑剤伝達管とを備える。
【0020】
本願の次の部分では、発明となる運動変換器18のカム/ドラム構成を説明する。ピニオンギア66が、モータ16のドライブシャフト34に直接結合される。ピニオンギア66は次いで、遊星ギア70(3個)のそれぞれと噛合い、遊星ギア70は次いで、固定されたリングギア72と噛合う。リングギア72はその好ましい実施例では、リングギア72を外側ケーシング73に成形することで一体に形成される。代替としてリングギア72は、フランジ79に形成されたスロット77に配置されるドエルピン75を介して外側ケーシング73に固定されることもできる。図3から明らかなように、各遊星ギア70は、スタブシャフト74に回転可能に支持されており、スタブシャフト74は、プラテン76に適切にピン止めされている。プラテン76は、回転する遊星ギア70によって回転される回転カム69の一部である。カム69は、内部に形成されたカムスロット80を有する本体71を備えており、カムスロット80は、以下の説明から明らかとなるように、往復運動を生じさせるように設計される。カムスロット80内に嵌合する従動部44は、ピン86を介してドラム88にピン止めされる。図示のように本発明によれば、単一のカム従動部が、ドラム88を駆動するのに必要な全てである。ドラム88は、周囲側面に形成された孔92を有する中空スリーブ90(図4参照)を備える。従動部44は、凹部98を介して中空スリーブ90にローラ96を固定するスタブシャフト94を備える。シャフト94周りのローラの回転が損なわれないようにローラが十分な間隔を有することを確実にするためにワッシャ100が使用可能である。本発明によれば、2個の推進ピン102、104が、カムに形成された環状溝106内に嵌合する。推進ピン102、104は、カムケーシング108に基礎を置く。
【0021】
作動時には、モータがピニオンギア66を駆動し、次いでピニオンギア66が3個の遊星ギア70と噛合い、次いで3個の遊星ギア70が、固定リングギア72と噛合う。上述したギア全てのこの相互作用が、プラテン76を介してカム69を回転させるが、プラテン76は、カム69と一体に形成されており、その結果カム69と一緒に回転する。この回転運動は次いで、従動部44を介して往復運動に変換されるが、従動部44は、ドラムを直線的に駆動し、それによって往復運動が画成される。明らかにこの運動は、上述した接続によってやすりに伝達される。
【0022】
さらに本発明によれば、やすりは、本願で以下に詳細に説明するように独特である。上述したようにやすりアセンブリは、外管または管状ケーシング112を備え、管状ケーシング112は、遠位端においてその上に一体に形成された平坦でかつ角度のついた形状の遮蔽・案内部材115を有する。ロッドに類似した中実管状インサート114が、管112内にしっかりと嵌合し、管状インサート114内に、「無限大記号形状」スロット116と、一対の内腔部46、47とが形成される(図2A参照)。略平坦なやすり50が、無限大記号形状スロット116内に嵌合し、中実ロッド114の遠位端を越えて延在し、案内部分115の上面と接触して、その上で直線的に摺動する。その好ましい実施例では、やすりアセンブリは、近位端に隣接して30度で屈曲しかつ遠位端に隣接して同じ角度で屈曲している。明らかにやすりアセンブリの特定の形状は、外科用やすり器具が与えられる特定の使用に基づくであろう。
【0023】
図6図8に示されるように、ブレード50の切断面は、切断縁部122として機能する複数の径方向に突出するリング状要素120を備える。先に述べたように、特定のやすりヘッドは、本発明の関心事ではない。しかしながら、管112の遠位端に配置された遮蔽部115の形状は重要である。遮蔽部115は、略平坦部分117へと張り出している外管112の遠位端に形成されており、側縁部119、121が、ブレード50の下面に係合するように上に向いている。遮蔽部115上には、遮蔽部115の中心部分に沿って長手方向に延在する細長いくぼみが形成されている。このくぼみは、頂部126と、頂部126の両側に延在するまっすぐな傾斜部128、139とを備える。この特定の構成は、やすりを中心に配置し、その運動をまっすぐな直線に保持するが、これは明らかに、外科用やすり器具が使用される繊細な種類の作業にとって重要である。遮蔽部115の下部は、やすり50の外縁部の方へと径方向に延在し、上述したようにやすり50の側縁部と連続的に接触するようにわずかに上方へと屈曲し、くぼみ124と共にブレード50は、その往復動状態の際に真の線に沿って進む。
【0024】
本発明は、その詳細な実施例について示され、説明されてきたとはいえ、当業者には、開示された発明の趣旨および範囲から逸脱せずに本発明の形態および詳細にさまざまな変更を行うことができることが正しく認識され、理解されるであろう。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8