(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記各先行技術には、次のような問題点がある。すなわち、特許文献1に記載の技術で使用する硬質ポリウレタンフォームは、断熱性能に優れるものの高密度であり、かつフォームの柔軟性に乏しいため、躯体間に硬質ポリウレタンフォームをはめ込む際の形状自由度が低く、作業性の点で問題があった。また、特許文献2に記載の技術では、吹き付け工法により硬質ポリウレタンフォームを製造するため、低復元率であることが重要であり、フォームの柔軟性に劣る。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低密度であり柔軟性を備え、かつフォーム強度に異方性を有するものであって、戸建て住宅などの建築物用の断熱材として有用なポリウレタンフォームパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、ポリオール化合物、発泡剤である水を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合、反応させて得られ、縦方向、幅方向および厚み方向を有するポリウレタンフォームパネルであって、フォーム密度が15kg/m
3以下、かつ縦方向の10%圧縮強度Saと幅方向の10%圧縮強度Sbとの比(Sa/Sb)が2以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、フォーム密度が15kg/m
3以下であり、フォーム密度が非常に低く、フォームの発泡過程で発泡倍率が大きくなる。その結果、フォームの発泡方向(鉛直方向)にフォーム内セル(気泡)が引き伸ばされ、略楕円形状のフォーム内セルが形成される。このような場合に、鉛直方向が縦方向となるようにポリウレタンフォームパネルを裁断することで、縦方向に長径を有する楕円形状のフォーム内セルを有するポリウレタンフォームパネルが得られる。楕円形状のフォーム内セルが、ポリウレタンフォームパネルの略縦方向に長径を有するように並ぶことに起因して、かかるポリウレタンフォームパネルは、縦方向にフォーム強度が高くなり、幅方向にフォーム強度が低くなり、かつ幅方向に柔軟性を備える。その結果、本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、縦方向の10%圧縮強度Saと幅方向の10%圧縮強度Sbとの比(Sa/Sb)が2以上となる。
【0010】
なお、建築物の断熱材として使用する際、ポリウレタンフォームパネルを躯体間にはめ込んだ後、躯体間に隙間が存在すると、断熱性能が悪化する。従来の硬質ポリウレタンフォームパネルは、優れた断熱性能を有するものの、硬く脆い傾向があるため、躯体間寸法と略一致するようにポリウレタンフォームパネルの裁断を行う必要があり、作業性が良くなかった。しかしながら、本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、幅方向に柔らかく、柔軟性を備えるとともに、縦方向には強度を有し、自立性を備える。これにより、躯体間の幅寸法よりも大きめの幅寸法にポリウレタンフォームパネルを裁断し、これを幅方向に圧縮しつつ躯体間にはめ込むことにより、躯体間に隙間を生ずることなく、ポリウレタンフォームパネルをはめ込むことができる。したがって、本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、建築物の躯体間に施工する断熱材として特に有用である。
【0011】
上記ポリウレタンフォームパネルにおいて、幅方向の10%圧縮強度Sbが3N/cm
2以下であることが好ましい。かかる構成によれば、ポリウレタンフォームパネルが幅方向に十分柔らかく、ポリウレタンフォームパネルを幅方向に圧縮しつつ躯体間にはめ込む際の作業性が向上する。
【0012】
上記ポリウレタンフォームパネルにおいて、前記ポリウレタンフォームパネルの厚み方向と、フォーム内セルの発泡方向とが略垂直であることが好ましい。上記のとおり、本発明に係るポリウレタンフォームパネルは低密度であり、フォーム内セルは個々には略楕円形状であって、複数のセルが連通し、連続気泡率が高い。このような場合に、ポリウレタンフォームパネルの厚み方向と、フォーム内セルの発泡方向とが略垂直であると、厚み方向での熱の移動を抑制することができる。そのため、戸建て住宅などの建築物にポリウレタンフォームパネルを配設した場合、特に厚み方向での断熱性能が高まる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、ポリオール化合物、発泡剤である水を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合、反応させて得られ、縦方向、幅方向および厚み方向を有するポリウレタンフォームパネルであって、フォーム密度が15kg/m
3以下、かつ縦方向の10%圧縮強度Saと幅方向の10%圧縮強度Sbとの比(Sa/Sb)が2以上であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルのフォーム密度(コア密度)は、15kg/m
3以下であることが好ましく、より好ましくは13kg/m
3以下であり、更に好ましくは11kg/m
3以下である。かかるフォーム密度は、例えば、発泡剤としての水の量を、20〜100重量部(対ポリオール化合物100重量部)に調整することにより、上記範囲内に設定することができる。ここで、フォーム密度は、JIS K7222に準拠して測定される値である。
【0016】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、縦方向、幅方向および厚み方向を有する形状、例えば直方体、立方体、平行六面体などの形状を有する。
図1Aに本発明に係るポリウレタンフォームパネルの一例を示す。本実施形態では、縦方向bが幅方向aよりも長い直方体を例にとって説明するが、本発明においては、幅方向aが縦方向bよりも長くても良い。
【0017】
図1Bに
図1Aに記載のポリウレタンフォームパネルのIB−IB断面図(拡大図)を示す。ポリウレタンフォームパネル1は、フォーム密度が15kg/m
3以下であり、フォーム密度が非常に低く、発泡倍率が高い。そのため、フォーム内セル2が縦方向bに引き伸ばされ、略楕円形状のフォーム内セルが形成されている。楕円形状のフォーム内セル2の長径方向が略縦方向と平行になることにより、ポリウレタンフォームパネル1は、縦方向bにフォーム強度が高くなり、幅方向aにフォーム強度が低くなり、かつ幅方向aに柔軟性を備えることとなる。
【0018】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、縦方向の10%圧縮強度Saと幅方向の10%圧縮強度Sbとの比(Sa/Sb)が2以上となる。躯体間にポリウレタンフォームパネルをはめ込む際の作業性と、はめ込み後のポリウレタンフォームパネルの自立性とを両立するためには、縦方向の10%圧縮強度Saと幅方向の10%圧縮強度Sbとの比(Sa/Sb)が3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。Sa/Sbの上限は特に限定されるものではないが、例えば7程度が例示される。
【0019】
幅方向にポリウレタンフォームパネルを圧縮しつつ躯体間にはめ込むために、ポリウレタンフォームパネルは幅方向に柔軟性を有することが好ましい。特に、幅方向でのポリウレタンフォームパネルの柔軟性を確保するためには、ポリウレタンフォームパネルの幅方向の10%圧縮強度Sbが3N/cm
2以下であることが好ましく、1N/cm
2以下であることがより好ましく、0.5N/cm
2以下であることが特に好ましい。
【0020】
また、幅方向にポリウレタンフォームパネルを圧縮しつつ躯体間にはめ込む場合、躯体間を隙間なくポリウレタンフォームパネルで埋めるためには、ポリウレタンフォームパネルが柔軟性と共に復元性を有することが重要である。かかる見地から、ポリウレタンフォームパネルは、幅方向に20%圧縮されても破壊することなく、20%圧縮後に開放した場合、圧縮前の幅方向長さの90%以上に復元することが好ましい。
【0021】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、ポリウレタンフォームパネルの厚み方向と、フォーム内セルの発泡方向とが略垂直であることが好ましい。本発明において、「略垂直」とは、具体的には90°±15°を意味し、特には90°±10°を意味するものとする。また、「フォーム内セルの発泡方向」とは、個々のセル形状を楕円形とみなしたときの長径方向を意味し、特にはポリウレタンフォームパネルの中央部分(幅方向および縦方向中心から、幅方向長さおよび縦方向長さの両側10%程度の部分)で測定したときの方向を指すものとする。
【0022】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、断熱材として使用されるため、断熱性能が要求される。ポリウレタンフォームパネルの断熱性能は、熱伝導率λが、λ≦0.04W/m・Kであることが好ましい。この場合、低密度化されたポリウレタンフォームパネルであっても、十分な断熱性能を発揮することができる。ここで、熱伝導率は、JIS A1412−2に準拠して測定される値である。
【0023】
また、該製造方法により得られるポリウレタンフォームパネルは、独立気泡率が15%以下であることが好ましく、より好ましくは0〜10%である。このように連通化率を高くすることにより、ポリウレタンフォームとしての優れた寸法安定性を確保することができる。ここで、独立気泡率は、ASTM D2856に準拠して測定される値である。
【0024】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、ポリオール化合物、発泡剤である水を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合、反応させて得られる。
【0025】
上記ポリオール化合物として、本発明においては、平均官能基数が2〜4、重量平均分子量が3000〜8000であって、アルキレンオキサイドの重合体であるポリエーテルポリオール(A)と、分子量が250未満であるショートグリコール(B)と、を含有することが好ましい。
【0026】
ポリエーテルポリオール(A)は、2〜4個の活性水素原子を有する開始剤に、アルキレンオキサイドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールである。開始剤としては、具体的には例えば、脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどの4官能アルコール類、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン)、芳香族アミン(例えば、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミンなど)などが挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で用いても2種以上併用してもよい。開始剤として、脂肪族アルコールを用いることが好ましく、トリオール類を用いることがより好ましく、グリセリンを用いることが特に好ましい。また、ポリエーテルポリオール(A)は、平均官能基数が2〜4であり、2.5〜3.5であることがより好ましい。さらに、ポリエーテルポリオール(A)は重量平均分子量が3000〜5000であることがより好ましい。
【0027】
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを併用して、前記開始剤に開環付加重合させることが好ましい。その際、エチレンオキサイドの比率((エチレンオキサイド)/(エチレンオキサイド+プロピレンオキサイド))を5%〜30%とすることが好ましい。
【0028】
ポリエーテルポリオール(A)の水酸基価は、20〜100mgKOH/gであることが好ましく、30〜60mgKOH/gであることがより好ましい。この水酸基価が20mgKOH/g未満であると、ポリイソシアネート成分に対するポリオール組成物の粘度比が高くなり、混合時の攪拌不良につながる。逆に、100mgKOH/gを超えると、得られたポリウレタンフォームに適度な靱性を付与することが難しくなる。水酸基価は、JIS K1557−1:2007に準拠して測定される値である。
【0029】
分子量が250未満であるショートグリコール(B)は、例えばエチレングリコール(分子量62)、プロピレングリコール(分子量76)、ジエチレングリコール(分子量106)、ジプロピレングリコール(分子量134)、1,4−ブタンジオール(分子量90)、1,3−ブタンジオール(分子量90)、1,6−ヘキサンジオール(分子量118)、グリセリン(分子量92)、トリプロピレングリコール(分子量192)などが挙げられる。これらの中でも、フォームの樹脂強度をより確実に高めるためには、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびグリセリンが好ましく、ジエチレングリコールが特に好ましい。ショートグリコール(B)の分子量は、62〜200mgKOH/gであることが好ましく、90〜150mgKOH/gであることがより好ましい。
【0030】
本発明で使用するポリウレタンフォーム用ポリオール組成物においては、ポリオール化合物として、さらに平均官能基数が2〜4、重量平均分子量が3000〜5000であって、プロピレンオキサイドの重合体であるポリエーテルポリオール(C)を含有することが好ましい。ポリエーテルポリオール(C)は、2〜4個の活性水素原子を有する開始剤に、プロピレンオキサイドのみを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールである。開始剤としては、上述した脂肪族多価アルコール、脂肪族アミン、芳香族アミンなどが挙げられ、特に限定されない。開始剤として、特に好ましくはグリセリンである。
【0031】
本発明にて原料として使用するポリオール組成物では、低密度化しつつ断熱性能に優れたポリウレタンフォームパネルを製造するために、ポリオール化合物100重量部中、ポリエーテルポリオール(A)を10〜80重量部含有し、ショートグリコール(B)を10〜60重量部含有することが好ましく、ポリエーテルポリオール(A)を15〜70重量部含有し、ショートグリコール(B)を10〜50重量部含有することがより好ましい。また、ポリエーテルポリオール(C)を含有する場合、ポリエーテルポリオール(A)を10〜30重量部含有し、ショートグリコール(B)を10〜60重量部含有し、かつポリエーテルポリオール(C)30〜70重量部含有することが好ましく、ポリエーテルポリオール(A)を15〜25重量部含有し、ショートグリコール(B)を10〜50重量部含有し、かつポリエーテルポリオール(C)40〜60重量部含有することがより好ましい。
【0032】
上記ポリオール組成物には、発泡剤として水が配合される。発泡剤は水単独であることが好ましく、その配合量は、ポリオール化合物100重量部に対して20〜100重量部であり、より好ましくは30〜90重量部であり、さらに好ましくは40〜80重量部である。このように水を多量に配合することで、ポリウレタンフォームパネルの低密度化を図ることができる。
【0033】
上記ポリオール組成物には、通常、難燃剤、触媒、および整泡剤が更に配合される。また、着色剤や酸化防止剤など、ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物に配合される各種添加剤を更に配合してもよい。
【0034】
難燃剤としては、有機リン酸エステル類、ハロゲン含有化合物、水酸化アルミニウムなどの金属化合物が挙げられ、特に、有機リン酸エステル類がポリオール組成物の粘度低下効果を有するので好ましい。有機リン酸エステルとしては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステルなどが挙げられる。具体的には、トリス(クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP、大八化学製)、トリブトキシエチルホスフェート(TBEP)、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。難燃剤の配合量は、ポリオール化合物100重量部に対して10〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは15〜40重量部である。特に、ポリオール組成物中、前記ポリエーテルポリオール(A)および前記ショートグリコール(B)に加えて、ポリオール化合物100重量部に対して難燃剤を20重量部以上含有すると、フォームの脆性悪化を防止することができるため好ましい。
【0035】
触媒としては、ウレタン化反応を促進する触媒であれば特に限定されないが、好ましくは、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基と反応することができる反応性のアミン触媒を用いることである。そのような反応性のアミン触媒としては、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−2−ヒドロキシプロピレンジアミン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、N−メチル−N−ヒドロキシエチルピペラジン、N,N−ジメチルプロピレンジアミンなどが挙げられる。
【0036】
なお、通常の第3級アミン触媒を用いることもでき、そのような第3級アミン触媒としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ジアザビシクロウンデセン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどが挙げられる。
【0037】
触媒の配合量は、ポリオール化合物100重量部に対して2〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜8重量部である。
【0038】
整泡剤としては、公知のポリウレタンフォーム用の整泡剤の中から、例えば、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの重合体であるポリオキシアルキレングリコールとポリジメチルシロキサンとのグラフト共重合体が挙げられ、ポリオキシアルキレン中のオキシエチレン基含有率が70〜100モル%のシリコーン整泡剤が好ましく用いられ、具体的には、SH−193、SF−2937F、SF−2938F(東レダウコーニングシリコーン社製)、B−8465、B−8467、B−8481(エボニックデグサジャパン社製)、L−6900(モメンティブ社製)などが挙げられる。整泡剤の配合量は、ポリオール化合物100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
【0039】
上記ポリオール組成物と混合、反応させてポリウレタンフォームパネルを形成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。好ましくは、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタンフォームの物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることである。液状MDIとしては、クルードMDI(c−MDI)(44V−10,44V−20など(住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン工業))、ウレトンイミン含有MDI(ミリオネートMTL;日本ポリウレタン工業製)などが挙げられる。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
【0040】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルでは、ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合、反応させる際のイソシアネート指数(NCO Index)を30以下に設定することが好ましく、より好ましくは30未満である。イソシアネート指数の下限としては、例えば20が挙げられる。イソシアネート指数を前記範囲内とすることにより、低密度であって、かつ優れた柔軟性および断熱性能を備えたポリウレタンフォームパネルとすることができる。ここで、イソシアネート指数とは、ポリオール組成物に含まれる全ての活性水素基(発泡剤としての水を2官能活性水素化合物として計算)に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比を百分率で表したもの(活性水素基100当量に対するイソシアネート基の当量比)を意味する。
【0041】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、例えば以下の製造方法;
ポリオール化合物、発泡剤である水を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを含有する発泡原液組成物を原料として得られる硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法であって、かかるポリオール化合物としては、例えばポリオール組成物が、平均官能基数が2〜4、重量平均分子量が3000〜8000であって、アルキレンオキサイドの重合体であるポリエーテルポリオール(A)と、分子量が250未満であるショートグリコール(B)と、を含有するポリオール化合物を含有し、ポリオール化合物100重量部に対して、水を20〜100重量部含有するものであり、ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合、反応させる際のイソシアネート指数が30未満であることが好ましい。ポリウレタンフォームパネルの厚み方向と、フォーム内セルの発泡方向とが略垂直であるポリウレタンフォームパネルを製造するためには、長手方向、幅方向および厚み方向を有するモールドに対し、幅方向および厚み方向に延びる側面を底面として、発泡原液組成物を注入する注入工程と、注入工程後に前記発泡原液組成物を反応させる反応工程と、を備える製造方法が好ましい。
【0042】
従来のポリウレタンフォームパネルの製造方法では、
図3に示すとおり、表面材3を原反より巻き出して供給しつつ、表面材3上に、ミキシングヘッド1からポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを含有する発泡原液組成物を注入する(注入工程)。注入工程後、発泡原液組成物を他の表面材(裏面材)4で覆いつつ、発泡原液組成物を反応させる(反応工程)。その結果、厚み方向に平行な発泡方向を有するポリウレタンフォームパネルが得られる。特に、低密度のポリウレタンフォームパネルでは、各セルが連続気泡となっているため、発泡方向では熱移動が大きく、断熱性能が低下する傾向がある。このため、従来のポリウレタンフォームパネルの製造方法では、厚み方向での断熱性能が悪化する傾向があった。
【0043】
一方、本実施形態に係るポリウレタンフォームパネルの製造方法では、例えば
図2に示すとおり、縦方向(長手方向)b、幅方向aおよび厚み方向cを有するモールド2に対し、幅方向aおよび厚み方向cに延びる側面を底面Xとして、ミキシングヘッド1から、ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを含有する発泡原液組成物を注入する(注入工程)。注入後、発泡原液組成物は、反応しつつ、縦方向bに発泡しながら(膨らみながら)、フォームを形成する(反応工程)。その結果、発泡方向(縦方向b)と厚み方向cとが略垂直であるポリウレタンフォームパネルが得られる。上記反応工程では、必要に応じて、モールドを全体的に、あるいは局所的に、加温しても良い。
【0044】
あるいは、図示を省略するが、コンベア上に発泡原液組成物を散布し、鉛直方向がパネル縦方向、コンベア進行方向がパネル幅方向、コンベア幅方向がパネル厚み方向となるようにポリウレタンフォームパネルを直方体状に裁断することで、ポリウレタンフォームパネルを製造しても良い。この場合でも、発泡方向(縦方向)と厚み方向とが略垂直であるポリウレタンフォームパネルが得られる。
【0045】
本発明に係るポリウレタンフォームパネルは、木造住宅や鉄骨住宅、建屋、施設などの各種建造物用の断熱材として有用であり、特にこれらの有する躯体間のはめ込み用断熱材として有用である。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
(ポリオール組成物の調製)
ポリウレタンフォームパネル原料として、下記表1に記載した配合にてポリオール組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
【0048】
(1)ポリオール化合物
ポリエーテルポリオール(A)−1;商品名「エクセノール−820」(旭硝子社製)、開始剤をグリセリンとして、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加重合して得られたポリエーテルポリオール(重量平均分子量4900、水酸基価(OHV)=34mgKOH/g)
ポリエーテルポリオール(A)−2;商品名「エクセノール−850」(旭硝子社製)、開始剤をグリセリンとして、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加重合して得られたポリエーテルポリオール(重量平均分子量7000、水酸基価(OHV)=25mgKOH/g)
ショートグリコール(B)−1;ジエチレングリコール(DEG)(分子量106、水酸基価(OHV)=1058mgKOH/g、ナカライテスク社製)
ポリエーテルポリオール(C);商品名「T−3000S」(三井化学社製)、開始剤をグリセリンとして、プロピレンオキサイドのみを付加重合して得られたポリエーテルポリオール(重量平均分子量3000、水酸基価=56mgKOH/g)
【0049】
(2)難燃剤:商品名「TMCPP」(大八化学社製)
(3)整泡剤
整泡剤−1;シリコーン系ノニオン界面活性剤、商品名「SF−2938F」(東レダウコーニングシリコーン社製)
(4)触媒
触媒−1;第3級アミン触媒、商品名「TOYOCAT−ET」(東ソー社製)
触媒−2;N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、商品名「カオーNo.26」(花王社製)
【0050】
(パネル評価)
実施例1−3
表1に記載の配合で調整したポリオール組成物とポリイソシアネート成分(c−MDI(住化バイエルウレタン社製「スミジュール44V−10」、NCO%:31%)を用い、イソシアネート指数(NCO Index)は表1に記載)に調整した発泡原液組成物を、
図2に示すモールド(幅方向aの長さ500mm、縦方向bの長さ900mm、厚み方向cの長さ500mm)の底面Xにミキシングヘッド1から注入した。その後、発泡原液組成物を反応させて得られたポリウレタンフォームパネルを厚み方向cで複数に裁断し、パネルの厚み方向とフォーム内セルの発泡方向とが略垂直(90°)であるポリウレタンフォームパネル(パネル幅方向aの長さ400mm、パネル縦方向bの長さ700mm、パネル厚み方向cの長さ60mm)を製造した。結果を表1に示す。
【0051】
[重量平均分子量]
重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)にて測定し、標準ポリスチレンにより換算した。
GPC装置:島津製作所製、LC−10A
カラム:Polymer Laboratories社製、(PLgel、5μm、500Å)、(PLgel、5μm、100Å)、及び(PLgel、5μm、50Å)の3つのカラムを連結して使用
流量:1.0ml/min
濃度:1.0g/l
注入量:40μl
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
【0052】
[フォーム密度]
フォーム密度についてはJIS K 7222 に準拠し求めた。
【0053】
[熱伝導率]
JIS A9526(建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム)に基づき、JIS A1412−2(熱絶縁材の熱抵抗および熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法)(HFM法)に準拠して、パネルの厚み方向での熱伝導率を測定した。
【0054】
[10%圧縮強度]
上記方法にて製造したポリウレタンフォームパネル(パネル幅方向aの長さ400mm、パネル縦方向bの長さ700mm、パネル厚み方向cの長さ60mm)の中央部分(幅方向および縦方向中心から、幅方向長さおよび縦方向長さの両側10%程度の部分)から、50mm角の立方体をフォーム試料として切り出し、AUTOGRAPH AG−X plus(島津製作所社製)を使用して、圧縮速度5mm/minの条件で10%圧縮強度を測定した。
【0055】
[所定形状へポリウレタンフォームパネルの嵌め込み作業性]
400mm幅のパネルで、幅方向に5%圧縮して380mm幅の躯体間に嵌め込むことが容易に可能であれば、所定幅に対して融通ありということでポリウレタンフォームパネルの嵌め込み作業性は良好(表中では○)と判断した。
【0056】
【表1】
【0057】
表1の結果から、実施例1−3のポリウレタンフォームパネルは、低密度であって、脆性が小さく、かつ厚み方向にて、優れた断熱性能を備えることがわかる。また、縦方向と横方向との間で圧縮強度に差があり、かつ幅方向に優れた柔軟性を有することから、嵌め込み作業性にも優れることがわかる。