特許第5710749号(P5710749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710749
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】シリカ担持触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/30 20060101AFI20150409BHJP
   B01J 23/31 20060101ALI20150409BHJP
   B01J 23/34 20060101ALI20150409BHJP
   B01J 27/057 20060101ALI20150409BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20150409BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20150409BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20150409BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20150409BHJP
   C07C 255/08 20060101ALI20150409BHJP
   C07C 253/24 20060101ALI20150409BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150409BHJP
【FI】
   B01J23/30 Z
   B01J23/31 Z
   B01J23/34 Z
   B01J27/057 Z
   B01J37/00 F
   B01J37/04 102
   B01J37/08
   B01J35/10 301G
   C07C255/08
   C07C253/24
   !C07B61/00 300
【請求項の数】5
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2013-510952(P2013-510952)
(86)(22)【出願日】2012年4月9日
(86)【国際出願番号】JP2012059707
(87)【国際公開番号】WO2012144369
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2013年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2011-95422(P2011-95422)
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】加藤 高明
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−523314(JP,A)
【文献】 特開2002−219362(JP,A)
【文献】 特開平06−285372(JP,A)
【文献】 特開2002−159853(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0199730(US,A1)
【文献】 特開2006−061888(JP,A)
【文献】 特開2009−285581(JP,A)
【文献】 特開2010−172851(JP,A)
【文献】 特開昭57−075147(JP,A)
【文献】 特開平04−118051(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/087262(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/090979(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C07B31/00−63/04
C07C1/00−409/44
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応により対応する不飽和ニトリルを製造する際に用いられるシリカ担持触媒であって、下記式(1)
MoVaNbbcden・・・(1)
(式(1)中、Xは、Sb及びTeから選択される少なくとも1種以上の元素を示し、Tは、Ti、W、Mn及びBiから選択される少なくとも1種以上の元素を示し、Zは、La、Ce、Yb及びYから選択される少なくとも1種以上の元素を示す。a、b、c、d及びeは、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1、0≦e≦1の範囲にあり、nは原子価のバランスを満たす値である。)
で示される金属酸化物を含み、平均細孔直径が60〜120nm、且つ、全細孔容積が0.15cm3/g以上、且つ、比表面積が5〜25m2/g、且つ、X線回折による(001)ピークの半価幅から求められる結晶子サイズが40〜250nmであるシリカ担持触媒。
【請求項2】
細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満であり、且つ、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満である、請求項1記載のシリカ担持触媒。
【請求項3】
シリカの担持量が、前記金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して20〜70質量%である、請求項1又は2記載のシリカ担持触媒。
【請求項4】
シリカ担持触媒の製造方法であって、以下の工程(I)〜(IV);
(I)Mo、V、Nb、X、T及びZを含有し、XはSb及びTeから選択される少なくとも1種以上の元素であり、TはTi、W、Mn及びBiから選択される少なくとも1種以上の元素であり、ZはLa、Ce、Yb及びYから選択される少なくとも1種以上の元素であり、Mo1原子に対するVの原子比a、Nbの原子比b、Xの原子比c、Tの原子比d及びZの原子比eが、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1及び0≦e≦1である原料調合液を調製する工程、
(II)前記原料調合液を乾燥し、乾燥粉体を得る工程、
(III)前記乾燥粉体を200〜400℃で前段焼成し、前段焼成体を得る工程、
(IV)前記前段焼成体を600〜750℃で本焼成し、焼成体を得る工程、
を有し、前記原料調合液が、シリカ原料の全質量に対して0〜30質量%の平均一次粒子直径が3nm以上20nm未満であるシリカゾル(i)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が20nm以上100nm以下であるシリカゾル(ii)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が50nm以下の粉体シリカを含有し、シリカゾル(i)、シリカゾル(ii)及び粉体シリカの合計がシリカ基準で100質量%であるシリカ担持触媒の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載のシリカ担持触媒を用い、プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応を行うことにより対応する不飽和ニトリルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和ニトリルの製造に用いられるシリカ担持触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロピレン又はイソブチレンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化して対応する不飽和カルボン酸又は不飽和ニトリルを製造する方法が良く知られているが、近年、プロピレン又はイソブチレンの代わりにプロパン又はイソブタンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化することによって対応する不飽和カルボン酸又は不飽和ニトリルを製造する方法が着目されている。そのため、プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化の触媒としても、種々の酸化物触媒が提案されている。
特許文献1には、シリカの原料としてシリカゾルと粉体シリカを使用することで、細孔容積を大きくしたシリカ担持触媒が開示されている。
特許文献2には、アクロレイン及びアクリル酸を製造する際に用いられる複合酸化物触媒であって、細孔分布を特定の範囲に調整した触媒が開示されている。
特許文献3には、目的物収率の向上のために、細孔を特定の範囲内に制御した粒状多孔性アンモ酸化触媒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−219362号公報
【特許文献2】特開2003−220334号公報
【特許文献3】国際公開2004/078344号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようにシリカゾルと粉体シリカを混合すると、細孔容積を大きくすることはできるものの、平均細孔直径は大きくならない。そのため、細孔容積の増大による流動性の向上効果は見られるものの、目的物の収率の向上には至らない。また、アルカンを気相接触アンモ酸化させてニトリルを製造する際の課題の一つである原料アンモニアの燃焼に関しては記載がない。
特許文献2には、細孔径を制御することで収率を上昇させることが記載されている。しかしながら、打錠成型との記載があり、流動性に乏しいと考えられることから、固定床反応用の触媒であることが判り、流動床反応には不向きな触媒である。
特許文献3に記載された方法は、細孔径を特定の範囲にすることで、目的物の収率を向上させるものである。本発明者らが、当該文献に記載された方法に従って追試実験を行ったところ、得られる触媒の細孔分布は、「細孔直径80Å以下の細孔の積算容積が該触媒の全細孔容積に対して20%以下であり、且つ、細孔直径1000Å以上の細孔の積算容積が該触媒の全細孔容積に対して20%以下である」を満たすものの、細孔は直径80〜1000Åの間で比較的小さい方に分布していることが明らかになった。酸化力の強いアルカンのアンモ酸化触媒において、直径の小さい細孔は、原料アンモニアの燃焼及び/又は目的物の分解反応が進行しやすいため、不適である。また、結晶子サイズを規定していないため、収率の向上が十分でないと考えられる。
上記事情に鑑み、本発明は、原料アンモニア燃焼率が小さく、且つ、目的物の収率が高い触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下において、本発明者らは、従来技術の上記諸問題を解決するために鋭意研究を行った結果、少なくともMo、V及びNbを含む組成を有し、平均細孔直径等の特定の物性値が適正な範囲に制御されたシリカ担持触媒を用いることにより、目的物収率が大きく向上し、更には、原料アンモニアの燃焼を抑制することができるため、効率的に不飽和ニトリルを製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応により対応する不飽和ニトリルを製造する際に用いられるシリカ担持触媒であって、下記式(1)
MoVaNbbcden・・・(1)
(式(1)中、Xは、Sb及びTeから選択される少なくとも1種以上の元素を示し、Tは、Ti、W、Mn及びBiから選択される少なくとも1種以上の元素を示し、Zは、La、Ce、Yb及びYから選択される少なくとも1種以上の元素を示す。a、b、c、d及びeは、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1、0≦e≦1の範囲にあり、nは原子価のバランスを満たす値である。)
で示される金属酸化物を含み、平均細孔直径が60〜120nm、且つ、全細孔容積が0.15cm3/g以上、且つ、比表面積が5〜25m2/g、且つ、X線回折による(001)ピークの半価幅から求められる結晶子サイズが40〜250nmであるシリカ担持触媒。
[2]
細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満であり、且つ、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満である、上記[1]記載のシリカ担持触媒。
[3]
シリカの担持量が、前記金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して20〜70質量%である、上記[1]又は[2]記載のシリカ担持触媒。
[4]
シリカ担持触媒の製造方法であって、以下の工程(I)〜(III);
(I)Mo、V、Nb、X、T及びZを含有し、XはSb及びTeから選択される少なくとも1種以上の元素であり、TはTi、W、Mn及びBiから選択される少なくとも1種以上の元素であり、ZはLa、Ce、Yb及びYから選択される少なくとも1種以上の元素であり、Mo1原子に対するVの原子比a、Nbの原子比b、Xの原子比c、Tの原子比d及びZの原子比eが、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1及び0≦e≦1である原料調合液を調製する工程、
(II)前記原料調合液を乾燥し、乾燥粉体を得る工程、
(III)前記乾燥粉体を200〜400℃で前段焼成し、前段焼成体を得る工程、
(IV)前記前段焼成体を600〜750℃で本焼成し、焼成体を得る工程、
を有し、前記原料調合液が、シリカ原料の全質量に対して0〜30質量%の平均一次粒子直径が3nm以上20nm未満であるシリカゾル(i)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が20nm以上100nm以下であるシリカゾル(ii)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が50nm以下の粉体シリカを含有し、シリカゾル(i)、シリカゾル(ii)及び粉体シ
リカの合計がシリカ基準で100質量%であるシリカ担持触媒の製造方法。
[5]
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシリカ担持触媒を用い、プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応を行うことにより対応する不飽和ニトリルを製造する方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、アンモニア燃焼率が小さく、且つ、目的物の収率が高い触媒を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0009】
本実施形態のシリカ担持触媒は、
プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応により対応する不飽和ニトリルを製造する際に用いられるシリカ担持触媒であって、下記式(1)
MoVNb・・・(1)
(式(1)中、Xは、Sb及びTeから選択される少なくとも1種以上の元素を示し、Tは、Ti、W、Mn及びBiから選択される少なくとも1種以上の元素を示し、Zは、La、Ce、Yb及びYから選択される少なくとも1種以上の元素を示す。a、b、c、d、e及びnは、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1、0≦e≦1の範囲にあり、nは原子価のバランスを満たす値である。)
で示される金属酸化物を含み、平均細孔直径が60〜120nm、且つ、全細孔容積が0.15cm/g以上、且つ、比表面積が5〜25m/g、且つ、X線回折による(001)ピークの半価幅から求められる結晶子サイズが40〜250nmである。
【0010】
本実施形態のシリカ担持触媒は、触媒中に含まれる金属酸化物の金属組成比が最適化されているため、良好な触媒性能を有する。本実施形態のシリカ担持触媒の製造方法としては、特に限定されないが、以下の(I)〜(IV)の工程を含む方法により製造することが好ましい。
(I)Mo、V、Nb、X、T、及びZを含有し、Mo1原子に対するVの原子比a、Nbの原子比b、Xの原子比c、Tの原子比d、Zの原子比eが、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1、0≦e≦1である原料調合液を調製する工程、
(II)前記原料調合液を乾燥し、乾燥粉体を得る工程、
(III)前記乾燥粉体を200〜400℃で前段焼成し、前段焼成体を得る工程、
(IV)前記前段焼成体を600〜750℃で本焼成し、焼成体を得る工程、
を有し、前記原料調合液が、シリカ原料の全質量に対して0〜30質量%の平均一次粒子直径が3nm以上20nm未満であるシリカゾル(i)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が20nm以上100nm以下であるシリカゾル(ii)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が50nm以下の粉体シリカを含有し、シリカゾル(i)、シリカゾル(ii)及び粉体シリカの合計がシリカ基準で100質量%であるシリカ担持触媒の製造方法。
【0011】
(工程(I)原料調合工程)
工程(I)は、Mo、V、Nb、X、T、及びZを含有し、Mo1原子に対するVの原子比a、Nbの原子比b、Xの原子比c、Tの原子比d、Zの原子比eが、それぞれ、0.05≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.001≦c≦0.5、0≦d≦1、0≦e≦1である原料調合液を調製する工程である。
原料調合工程においては、溶媒及び/又は分散媒に、シリカ担持触媒の構成元素を特定の割合で溶解又は分散させ、原料調合液を得る。原料調合液の溶媒として通常は水を用いることができる。原料調合液はMo、V、Nb、X、T、及びZ(Xは、Sb及びTeから選択される少なくとも1種以上の元素であり、Tは、Ti、W、Mn及びBiから選択される少なくとも1種以上の元素であり、Zは、La、Ce、Yb、Yから選択される少なくとも1種以上の元素である。)を含有する。原料調合液の原料としては、シリカ担持触媒の構成元素を含む塩又は化合物を使用できる。
【0012】
Moの原料としては、例えば、ヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO]、三酸化モリブデン〔MoO〕、リンモリブデン酸〔HPMo1240〕、ケイモリブデン酸〔HSiMo1240〕、五塩化モリブデン〔MoCl〕等を用いることができ、特にヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO〕が好ましい。
【0013】
Vの原料としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム〔NHVO]、五酸化バナジウム〔V〕、塩化バナジウム〔VCl、VCl〕等を用いることができ、特にメタバナジン酸アンモニウム〔NHVO]が好ましい。
【0014】
Nbの原料としては、例えば、ニオブ酸、ニオブの無機酸塩及びニオブの有機酸塩を用いることができ、特にニオブ酸が好ましい。ニオブ酸はNb・nHOで表され、ニオブ水酸化物又は酸化ニオブ水和物とも称される。更にジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4のNb原料液として用いることが好ましく、このときのジカルボン酸としてはシュウ酸が好ましい。
【0015】
X(Sb、Te)の原料としては、これらの元素を含む物質であれば特に制限はなく、これらの元素を含む化合物や、これらの元素の金属を適当な試薬で可溶化したものを使用することができる。これらの元素を含む化合物としては、通常、これらの元素のアンモニウム塩、硝酸塩、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ペルオキソカルボン酸塩、ペルオキソカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化物、アセチルアセトナート、アルコキシド等を使用することができ、好ましくは硝酸塩、カルボン酸塩等の水溶性原料が使用される。
【0016】
T(Ti、W、Mn、Bi)の原料としては、これらの元素を含む物質であれば特に制限はなく、これらの元素を含む化合物や、これらの元素の金属を適当な試薬で可溶化したものを使用することができる。これらの元素を含む化合物としては、通常、これらの元素のアンモニウム塩、硝酸塩、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ペルオキソカルボン酸塩、ペルオキソカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化物、アセチルアセトナート、アルコキシド等を使用することができ、好ましくは硝酸塩、カルボン酸塩等の水溶性原料が使用される。
【0017】
Z(La、Ce、Yb、Y)の原料としては、これらの元素を含む物質であれば特に制限はなく、これらの元素を含む化合物や、これらの元素の金属を適当な試薬で可溶化したものを使用することができる。これらの元素を含む化合物としては、通常、これらの元素のアンモニウム塩、硝酸塩、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ペルオキソカルボン酸塩、ペルオキソカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化物、アセチルアセトナート、アルコキシド等を使用することができ、好ましくは硝酸塩、カルボン酸塩等の水溶性原料が使用される。
【0018】
原料の調合において、触媒構成元素の原料の溶解手順、混合手順又は分散手順は特に限定されない。原料を同じ水性媒体中で溶解、混合又は分散させてもよく、或いは原料を個別に水性媒体中に溶解、混合又は分散させた後に水性媒体を混合させてもよい。また、必要に応じて加熱及び/又は攪拌してもよい。
【0019】
シリカ担持触媒において、重要な点の一つは、成分Zが触媒粒子内で均一に分布していることである。ここで、均一とは、触媒粒子中で成分Zの分布に偏りがないことを言う。好ましくは、成分Zを含有する酸化物粒子の80%以上(質量比率)が、1μm以下の粒径を有する微粒子として触媒粒子内に存在することを言う。より好適に「均一」を定義すれば、均一とは、触媒粒子の断面を組成分析した時に、成分ZとSiとの信号強度比の分散値(標準偏差を平均値で除した値)が0〜0.5の範囲にあることを言う。ここで、該分散値は「Dx」で示される。
【0020】
上記の組成分析には、一般的な組成分析方法、例えば、SEM-EDX、XPS、SIMS、EPMA等を用いることができる。好ましくはEPMAを用いることができる。ここで、EPMAとは、Electron Probe X-ray Microanalyzer(但し、このX-rayを省略して呼ばれることもある。)の通称であり、この分析装置は、加速された電子線を物質に照射することによって得られる特性X線を観測することにより、電子線を当てた微小領域(スポット)の組成分析を行うことができる装置である。このEPMAによって、一般に、触媒粒子や担体粒子等の固体粒子の断面について、特定元素の濃度分布や組成変化の情報を得ることができる。
【0021】
なお、上記EPMAによる成分ZとSiの強度比の分散値(Dx)は、測定の対象となる粒子の断面について、通常の触媒分野で行われる粒子断面のEPMAによる面分析の手法に従って、次のようにして測定・算出されるものである。即ち、まず、その触媒粒子断面の任意の位置(x,y)に対するSiのX線ピーク強度(カウント数ISi)の分布の測定を、触媒粒子断面の全領域をカバーするように行う。次いで、同様に、成分Zについても触媒粒子断面の全領域をカバーするようにX線ピーク強度(カウント数IX)の分布を測定する。得られたSi及び成分Zに関する一連のデータ(x,y,ISi、IX)を基に、同一の位置(x、y)での成分Z及びSiのピーク強度比IR(IR=IX/ISi)を求め、IRの単純平均(IR)av及び標準偏差Sを求める。その標準偏差Sを単純平均(IR)avで除した値を前記の分散値(Dx)とする。この時、単純平均及び標準偏差は通常の方法で求めればよい。本明細書中、「シリカ担持触媒(単に「触媒」とも言う。)」は、本焼成後の焼成体から粒子表面に生成した突起体を除去したものを包含するが、分散値の測定は断面の観察に依ることから表面の状態には影響されないので、本焼成後、突起体の除去工程前に測定しても同じ値を示す。
【0022】
上記測定における粒子断面のエッジ効果によるデータの不確定さを避けるべく、触媒粒子断面における断面積の10%の領域であって、粒子外周部分に相当する領域を除外し、触媒粒子断面における中心から90%の領域のデータを有効領域として算出することが好ましい。もちろん、始めから、粒子外周部の10%分の領域を除した触媒粒子断面の内部のみについて、EPMAによる上記の面分析を行い、そのデータから、分散値Dxを求めてもよい。
【0023】
本実施形態における触媒は、シリカに担持されたシリカ担持触媒であるので、原料調合液がシリカ原料を含有するように調製する。シリカゾルにより触媒の平均細孔直径を60〜120nmに制御する観点から、原料調合液が、シリカ原料の全質量に対して0〜30質量%の平均一次粒子直径が3nm以上20nm未満であるシリカゾル(i)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が20nm以上100nm以下であるシリカゾル(ii)、シリカ原料の全質量に対して30〜70質量%の平均一次粒子直径が50nm以下の粉体シリカを含有し、シリカゾル(i)、シリカゾル(ii)及び粉体シリカの合計がシリカ基準で100質量%であることが好ましい。より好ましくは、シリカゾル(i)を5〜20質量%、シリカゾル(ii)を30〜60質量%、粉体シリカを30〜50質量%含有する。これらのシリカ原料を原料調合液に加える順番は、特に限定されず、原料調合液に加える前に混合してもよい。理由は定かではないが、シリカゾル(i)、シリカゾル(ii)、粉体シリカを特定の含有量で使用すると、平均細孔直径が大きく、耐摩耗性強度の高い触媒が製造できることが、本発明者らの実験により分かった。
シリカゾル(i)とシリカゾル(ii)を使用すると、大粒子径のシリカ粒子間に小粒子径のシリカ粒子が入り、触媒の微細孔を減らす効果があると考えられる。さらに粉体シリカを加えることで、シリカゾルが凝集するのを防ぎ、大きい細孔を増やす効果があると考えられる。本実施態様の触媒は、従来の触媒よりも平均細孔直径が大きいため、原料アンモニア及び目的物が触媒粒子中を拡散する速度の上昇及び/又は触媒粒子中の熱の拡散による反応温度の均一化が起こっていると推定され、原料アンモニアの燃焼及び目的物の分解を抑制することができる。
【0024】
シリカ原料中に不純物として含まれる金属が、調製されるシリカ担持触媒の性能に影響を及ぼす場合がある。シリカ原料の不純物の一例としてナトリウムが挙げられる。ナトリウムの量は、珪素100原子あたり0.02原子以下であることが好ましく、0.01原子以下であることがより好ましい。珪素100原子あたり0.02原子超のナトリウムが含まれていると、得られるシリカ担持触媒をアンモ酸化反応に使用したときに、原料及び/又は目的生成物の分解反応が発生し易い場合がある。
【0025】
アルカンを気相接触アンモ酸化して不飽和ニトリルを製造する場合、アルカンの低い反応性のために酸化力の強い触媒の存在下で反応する及び/又は高い温度で反応するため、原料アンモニアの燃焼及び不飽和ニトリルの分解が起こりやすい。原料アンモニアの燃焼が起これば、不飽和ニトリルの製造に使われるアンモニアが不足し、アルカンに対して多量のアンモニアを供給する必要があるため、生産性が低くなる。本実施形態においては、原料アンモニアの燃焼を抑制することで、効率的に不飽和ニトリルを製造することができる。また、当然ではあるが、目的物である不飽和ニトリルの分解を抑制することで、収率が向上する。
【0026】
触媒の平均細孔直径が60nm未満である場合、原料アンモニアの燃焼及び目的物の分解が起こりやすくなる。一方、平均細孔直径が120nmを超える場合、耐摩耗性強度が小さくなるため、流動床反応に不適な触媒となる。上記観点から、本実施形態における触媒の平均細孔直径は60〜120nmの範囲に調整されており、好ましくは65〜100nmの範囲に調整される。
【0027】
従来の、プロピレン又はイソブチレン等のオレフィンのアンモ酸化反応に用いられる触媒について本発明者らが追試実験を行ったところ、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%以上であった。アルカンのアンモ酸化反応の場合、触媒の酸化力が強いため、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%以上であると、原料アンモニアの燃焼及び/又は目的物の分解が起こりやすいと考えられる。従って、アルカンのアンモ酸化反応の場合は、比較的大きな細孔で、細孔の大きさが均一な触媒が好ましい。一方、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満であることで、耐摩耗性強度が大きく、流動床反応に好適に使用し易い傾向にある。上記観点から、本実施形態におけるシリカ担持触媒は、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満であり、且つ、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積が全細孔容積に対して30%未満であることが好ましい。
【0028】
このような触媒を製造するためには、異なる粒子径を有するシリカゾルを使用し、600〜750℃で焼成してシリカのシンタリングを制御することが好ましい。600℃以上で焼成するとシリカのシンタリングが十分に進行し、細孔直径60nm以上の細孔の細孔容積が増えるため好ましい。
【0029】
触媒に含まれる担体シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して、触媒の強度を向上させる観点から20質量%以上であることが好ましく、十分な活性を付与する観点から70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは全質量に対して40〜65質量%である。
【0030】
シリカ担体の原料は、シリカゾルのみでもよいが、一部を粉体シリカに代替することも可能である。シリカ担体の原料として粉体シリカを用いることにより、触媒活性及び/又は目的物の収率向上等の効果を期待できる一方、シリカゾルを使用しないで粉体シリカのみで触媒を調製すると触媒の耐摩耗性が著しく低くなる。本実施形態において用語「粉体シリカ」とは、固体のSiOの微粒子を示す。シリカの一次粒径が大きすぎると、得られる触媒が脆くなる傾向にあるので、ナノメートルサイズの粉体シリカが好ましい。また、粉体シリカは、高熱法で製造されたものが好ましい。
【0031】
原料調合液への添加及び混合を容易にする観点で、粉体シリカは予め水に分散させておくことが好ましい。粉体シリカを水に分散させておく方法としては特に制限はなく、一般的なホモジナイザー、ホモミキサー又は超音波振動器等を単独若しくは組み合わせて分散させることができる。この時の粉体シリカの一次形状は、球体でもよいし、非球体でもよい。
【0032】
担体原料であるシリカゾル及び粉体シリカの平均一次粒子直径は、BET法(BET吸着等温式)で求めることができる。一般的に入手可能なシリカは、平均一次粒子直径を中心にある程度の分布幅を持つと考えられる。アンモニア燃焼抑制効果を十分に発揮するためには、各シリカの粒径分布における標準偏差は、小さいほど好ましく、具体的には、標準偏差が平均一次粒子直径の30%以下であることが好ましい。
【0033】
触媒の平均細孔直径を制御するには、シリカゾルの平均一次粒子直径を変化させることが有効である。一般的に、シリカゾルの平均一次粒子直径を大きくすると、得られる触媒の強度が下がる傾向にある。一方、工業的な流動床触媒は高い強度を有することが望ましいため、従来は、一般的にシリカ原料として平均一次粒子直径が十数nmのシリカゾルが使用されていた。このようなシリカゾルを用いて、従来の方法で触媒を製造すると、平均細孔直径は20〜50nm程度であり、本実施形態において規定する平均細孔直径が60〜120nmの範囲を満たさず、収率も十分でない。焼成条件を変えることで、平均細孔直径を制御することもでき、焼成温度を高く及び/又は焼成時間を長くすると平均細孔直径は大きくなる傾向にある。しかしながら、焼成条件を変えることで、平均細孔直径を制御すると、比表面積及び/又は結晶子サイズも変化してしまうため、焼成条件だけで平均細孔直径、比表面積及び結晶子サイズを制御することは困難である。上述したとおり、背景技術の文献に記載された触媒の製造方法では、平均細孔直径、比表面積及び/又は結晶子サイズを満足する触媒を得るのは実質的に不可能である。平均一次粒子直径の異なるシリカゾルを使用する方法で平均細孔直径を制御すれば、比表面積及び/又は結晶子サイズを焼成条件によって制御することができるので好ましい。比表面積と結晶子サイズは、比表面積に大きな影響を与えるシリカのシンタリングが進行する温度領域と結晶が成長する温度領域が異なるため、焼成条件を調節することで制御することが可能である。
【0034】
本実施態様の触媒の平均細孔直径を適正な範囲に制御するための手段は特に限定されるものではなく、平均細孔直径を適正な範囲に制御できればどのような手段も用いることができる。触媒の平均細孔直径を制御する方法としては、前述したシリカ原料であるシリカゾルの平均一次粒子直径を変化させる方法、シリカ原料の一部として粉体シリカを使用する方法、触媒中のシリカ担体と金属酸化物の比率を変える方法等の手段が挙げられる。
【0035】
原料調合液が、シリカ原料の一部として、平均一次粒子直径が50nm以下の粉体シリカをシリカ基準で30〜70質量%の量で含有するのが好ましい。なお、本実施形態において「シリカ基準」とは「シリカゾルと粉体シリカの合計量に対する割合を示す。粉体シリカの一次粒子平均直径は10〜20nmであることがより好ましい。また、粉体シリカの量は、シリカ基準で30〜50質量%であることがより好ましい。粉体シリカを用いると触媒の比表面積が大きくなる。比表面積及び結晶子サイズを適正な範囲に制御するためには、本焼成で焼成温度を640〜750℃、焼成時間を1〜20時間で行い、本焼成終了後の平均降温速度を0.05〜20℃/minで行うことが好ましい。
【0036】
触媒中のシリカ担持量と金属酸化物量の比率を変えて平均細孔直径を制御する場合、シリカの担持量を、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して20〜70質量%にすることが好ましく、40〜60質量%にすることがより好ましい。一般的に、シリカ担持量を減らすと大孔径側にシフトし、比表面積が小さくなる。比表面積及び結晶子サイズを適正な範囲に制御するためには、本焼成の焼成温度を600〜700℃、焼成時間を0.1〜5時間で行い、本焼成終了後の平均降温速度を0.5〜50℃/minで行うことが好ましい。
【0037】
触媒の細孔分布の測定方法としては、ガス吸着法や水銀圧入法等が知られているが、測定法によって値が異なる。本実施形態における触媒の細孔分布の値は、水銀圧入法(QUANTACHROME INSTRUMENTS社製 Pore Master GTを使用)により求めたものである。ここで水銀圧入法とは、触媒粒子内部に水銀を圧入させて、その時の圧力と浸入量の関係から細孔径の分布を測定するものであり、これは一次データとして、細孔の形状が円筒形であると仮定して計算された細孔直径に対する細孔容積の積算カーブを与える。この細孔容積の積算カーブを細孔直径で一次微分した値を対応する細孔直径に対してプロットしたものが、通常、細孔分布と呼ばれるものである。詳しくは、ディラトメーター(膨張計)に試料(触媒)0.4〜0.6gを入れ、真空ポンプで6.67Pa以下に脱気した後、水銀を注入し、次いでディラトメーターをオートクレーブに装填し、常圧から徐々に413MPaまで圧力をかけて水銀液面の低下を追跡し、圧力と水銀液面の変化(触媒細孔への水銀の圧入量)から細孔分布を測定するものである。
【0038】
触媒の場合、水銀圧入法を用いると触媒粒子間の間隙を数万Åから数十万Åの細孔として測定することになるため、200nm以下の細孔を積算容積に加える。また、細孔直径の測定下限値は、6nmであるため、6nm以上の細孔を積算容積に加える。従って、本実施形態においては、細孔直径6nm以上、200nm以下の細孔の積算容積を全細孔容積とする。
【0039】
本実施形態における触媒の全細孔容積は、流動床反応における流動性の観点から、0.15cm/g以上である。全細孔容積が0.15cm/g未満である場合、流動性が低くなり、反応温度に斑ができることで収率が低下する。全細孔容積は、平均細孔直径が大きいほど及び/又は比表面積が大きいほど大きくなる傾向にある。全細孔容積を調整する手段としては、異なる粒子径のシリカゾルを用いて平均細孔直径を大きくする方法及び又は焼成工程において焼成温度を低く及び/又は焼成時間を短くして比表面積を大きくする方法等が挙げられる。
【0040】
触媒の平均細孔直径の計算は、細孔が円筒形であると仮定して、式(i)を用いて行う。
D=4V/S (i)
ここで、D:平均細孔直径(m)、V:全細孔容積(m/g)、S:比表面積(m/g)である。
【0041】
以下、原料調合工程を、溶媒及び/又は分散媒を水とし、Mo化合物、V化合物、Nb化合物、X化合物、T化合物及びZ化合物を含有するシリカ担持触媒の原料調合液を調製する場合を例にとって説明する。
Mo化合物、V化合物、X化合物、成分Z化合物を水に添加し、加熱して原料調合液(A)を調製する。原料調合液(A)調製時の加熱温度及び加熱時間は原料化合物が十分に溶解しうる状態になるよう調整することが好ましく、加熱温度は好ましくは70℃〜100℃であり、加熱時間は好ましくは30分〜5時間である。加熱時の攪拌の回転数は、同様に原料が溶解しやすい適度な回転数に調整する。原料が金属塩である場合、それを十分に溶解させる観点から、攪拌状態を保つことが好ましい。この時、容器内は空気雰囲気でもよいが、得られる複合酸化物触媒の酸化数を調整する観点から、窒素雰囲気にすることもできる。原料調合液(A)の加熱が終了した後の状態を原料調合液(A’)とする。原料調合液(A’)の温度は20℃以上80℃以下で保持することが好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下である。原料調合液(A’)の温度が20℃未満である場合には、原料調合液(A’)に溶解している金属種の析出が起こる可能性がある。原料調合液(A)の加熱が終了した後に、担体の原料としてシリカゾルを加える。平均一次粒子直径の異なる2種以上のシリカゾルを加える場合、それらのシリカゾルを加える順番は特に限定されず、原料調合液に加える前にこれらを混合しても構わない。シリカゾルを添加するときの原料調合液(A’)の温度は、80℃以下が好ましい。80℃を超える温度でシリカゾルを添加した場合には、シリカゾルの安定性が弱くなり原料調合液がゲル化するおそれがある。シリカゾルを添加するタイミングは、後述する熟成開始時でも、熟成途中でも、原料調合液を乾燥する直前でもかまわないが、原料調合液(A’)の状態の時に加えるのが好ましい。さらに、得られる金属酸化物の酸化数を調整する観点から、適量の過酸化水素水を原料調合液(A’)に、必要に応じて添加することが好ましい。過酸化水素水を添加するタイミングとしては、原料調合液(A’)に添加しても、原料調合液(A’)を調合する途中に添加してもよく、シリカゾル添加前でも添加後でも問題ない。この時、得られる酸化物触媒の酸化数を適正な範囲に調整する観点から、過酸化水素水の添加量は、H/Sb(モル比)として0.01〜5が好ましく、より好ましくは0.5〜3、更に好ましくは1〜2.5である。
【0042】
原料調合液(A’)に過酸化水素水を添加した後の加熱温度及び加熱時間は、過酸化水素水による液相酸化反応が十分に進行しうる状態になるよう調整することが好ましく、加熱温度は好ましくは30℃〜70℃であり、加熱時間は好ましくは5分〜4時間である。加熱時の攪拌の回転数は、同様に過酸化水素水による液相酸化反応が進行しやすい適度な回転数に調整する。過酸化水素水による液相酸化反応を十分に進行させる観点から、加熱の間、攪拌状態を保つことが好ましい。こうして調製された原料調合液を(A’’)とする。
【0043】
次に、Nb化合物とジカルボン酸を水中で加熱撹拌して混合液(B)を調製する。ジカルボン酸の例としては、シュウ酸〔(COOH)〕が挙げられる。混合液(B)に、過酸化水素水を添加し、原料調合液(C)を調製することが好ましい。この時、H/Nb(モル比)は、Nb化合物と錯体を形成させて溶解状態で安定化させること、触媒構成元素の酸化還元状態を適正に調節すること、得られる触媒の触媒性能を適正にすること等の観点から、0.5〜20とすることが好ましく、1〜10とすることがより好ましい。
【0044】
目的とする組成に合わせて、原料調合液(A’’)、原料調合液(C)、T化合物、粉体シリカを好適に混合して、原料調合液(D)を得る。得られた原料調合液(D)を熟成処理し、原料調合液を得る。ここで用いる粉体シリカはそのまま添加することも可能であるが、より好ましくは粉体シリカを水に分散させた水溶液として添加することが好ましい。この時の水に対する粉体シリカ濃度は、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは3〜20質量%である。粉体シリカ濃度が1質量%未満の場合には、スラリーの粘度が低すぎるために、得られる粒子の形状が歪になる、また、触媒粒子にくぼみが発生しやすくなる、等のおそれがある。一方で、粉体シリカ濃度が30質量%を超える場合には、原料調合液の粘性が大きくなりすぎ、原料調合液がゲル化し、配管内でつまりを生じて乾燥粉末を得ることが困難になる、触媒性能が低下する、等のおそれがある。
【0045】
原料調合液(D)の熟成とは、原料調合液(D)を所定時間静置するか撹拌することを言う。工業的にシリカ担持触媒を製造する場合、噴霧乾燥機の処理スピードが律速となり、一部の原料調合液(D)が噴霧乾燥された後、全ての混合液の噴霧乾燥が終了するまでに時間を要する場合がある。この間、噴霧乾燥処理されていない混合液の熟成は継続することができる。つまり、熟成時間には、噴霧乾燥前の熟成時間だけでなく、噴霧乾燥開始後から終了までの時間も含まれる。
【0046】
シリカで担持された触媒は、触媒構成元素を含む化合物を十分に溶解及び/又は分散する観点、触媒構成元素の酸化還元状態を適正に調整する観点、得られる触媒粒子形状及び/又は強度を好ましい状態にする観点、得られる複合酸化物の触媒性能を向上させる観点等から好ましい。シリカゾルは適宜添加することができる。またシリカゾルの一部を粉体シリカの水分散液とすることもでき、粉体シリカの水分散液も、適宜添加することができる。
以上の原料調合工程は、生産量に応じて繰り返し実施することができる。
【0047】
本実施形態における原料調合工程は、好ましくは以下の(a)〜(d)の工程を含む。
(a)Mo、V、X及び成分Zを含有する原料調合液を調製する工程
(b)(a)工程で得られた原料調合液にシリカゾル及び過酸化水素水を添加する工程
(c)(b)工程で得られた溶液に、Nb、ジカルボン酸及び過酸化水素水を含有する水溶液と、T化合物を混合する工程
(d)(c)工程で得られた溶液に粉体シリカ含有懸濁液を加えて、熟成する工程。
【0048】
(工程(II)乾燥工程)
工程(II)は、前記原料調合液を乾燥し、乾燥粉体を得る工程である。
原料調合工程を経て得られたスラリー状の原料調合液を乾燥することによって、乾燥粉体が得られる。乾燥は公知の方法で行うことができ、例えば、噴霧乾燥又は蒸発乾固によって行うこともできる。気相接触アンモ酸化反応で流動床反応方式を採用する場合、反応器内での流動性を好ましい状態にする等の観点から、微小球状の乾燥粉体を得ることが好ましいので、噴霧乾燥を採用するのが好ましい。噴霧乾燥法における噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式のいずれであってもよい。乾燥熱源としては、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることができる。噴霧乾燥装置の乾燥機の入口温度は、得られる触媒粒子形状及び/又は強度を好ましい状態にする観点、得られる複合酸化物の触媒性能を向上させる観点等から、150〜300℃が好ましい。また、乾燥機の出口温度は100〜160℃が好ましい。
【0049】
噴霧速度、原料調合液の送液の速度、遠心方式の場合のアトマイザーの回転数等は、得られる乾燥粉体の大きさが好適になるように調整することが好ましい。乾燥粉体の平均粒子径は、好ましくは5μm〜200μmであり、より好ましくは10〜150μmである。
【0050】
乾燥粉体の平均粒子径は、JIS R 1629−1997「ファインセラミックス原料のレーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して粒子径分布を測定し、体積基準で平均して求めることができる。より詳細には、乾燥粉体の一部を空気中400℃で1時間焼成し、得られた粒子を対象として、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置BECKMAN COULTER製LS230を用いて測定される。
【0051】
平均粒子径を、乾燥粉体の一部を「空気中400℃で1時間焼成」した後で測定するのは、乾燥粉体が水に溶けるのを防ぐためである。つまり、「空気中400℃で1時間焼成」は専ら測定のためであって、後述の焼成工程とは関係しない。この焼成の前後で、粒子径はほぼ変化しないと考えてよい。
【0052】
より具体的には、乾燥粉体の平均粒子径の測定は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(BECKMAN COULTER製、商品名「LS230」)に添付のマニュアルに準じ、次のように行う。まず、バックグラウンド測定(RunSpeed60)を行った後、粒子0.2gを適当な大きさのスクリュー管に秤量し、水10ccを加える。スクリュー管に蓋をして(密閉して)十分に振とうし、粒子を水に分散させる。装置により300Wの超音波を印加し、再度スクリュー管を十分に振とうする。その後、超音波の印加を続けながら、水に分散させた粒子を適切な濃度(濃度10、PIDS60)になるよう装置本体にスポイトを用いて注入する。濃度表示が安定したら、超音波の印加を停止し、10秒間静置した後、測定を開始する(測定時間90秒)。測定結果の中位径の値を平均粒子径とする。
【0053】
((III)前段焼成工程及び(IV)本焼成工程)
工程(III)は、乾燥粉体を200〜400℃で前段焼成し、前段焼成体を得る工程である。
工程(IV)は、前段焼成体を600〜750℃で本焼成し、焼成体を得る工程である。
本明細書においては、工程(III)と工程(IV)をまとめて「焼成工程」とも言う。
工程(III)及び(IV)においては、乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成する。焼成温度、時間、雰囲気等の条件は、乾燥粉体に含まれる有機成分の除去や複合酸化物の結晶成長の観点等で適宜決めればよく、特に限定されない。本実施形態の製造方法においては、後述のとおり温度等の条件を変更して、前段焼成、本焼成とした多段階の焼成を行う。
【0054】
本明細書において「突起体」とは、後述する本焼成により得られた焼成体の表面に滲出及び/又は付着した物を示し、焼成体の表面から突出又は付着した物をいう。ここで、突起体の多くは突出した酸化物の結晶やその他の不純物である。特に、複数の金属を含む焼成体の場合、焼成体の大部分を形成する結晶とは組成の異なる酸化物が、焼成体本体部から滲出したような形状で形成されることがある。この場合、突起体は、球体様の焼成体(例えば、直径30〜150μm)の表面に複数の突起のような形(例えば、高さ0.1μm〜20μm)で形成されることが多い。突起体の除去については、後で詳述する。
【0055】
(乾燥粉体の焼成方法)
乾燥粉体を焼成するための焼成装置としては、例えば、回転炉(ロータリーキルン)を用いることができる。焼成器の形状は特に限定されないが、連続的な焼成を実施することができる観点から、管状(焼成管)であることが好ましく、円筒状であるのが特に好ましい。加熱方式は、焼成温度を好ましい昇温パターンになるよう調整しやすい等の観点から外熱式が好ましく、電気炉を好適に使用できる。焼成管の大きさ及び材質等は焼成条件や製造量に応じて適当なものを選択することができる。焼成管の内径は、触媒層内の焼成温度分布にムラがないようにする、焼成時間及び製造量を適正な値に調整する等の観点から、好ましくは70〜2000mm、より好ましくは100〜1200mmである。また、焼成管の長さは、焼成管内の乾燥粉体及び触媒前駆体粒子の滞留時間、即ち、焼成時間の分布を極力狭くする観点、焼成管の歪みを防止する観点、焼成時間及び製造量を適正な値に調整する観点等から、好ましくは200〜10000mm、より好ましくは800〜8000mmである。焼成管に衝撃を与える場合、その肉厚は衝撃により破損しない程度の十分な厚みを持つという観点から、2mm以上が好ましく、より好ましくは4mm以上である。また、衝撃が焼成管内部まで十分に伝わるという観点から、その肉厚は、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。焼成器の材質は、好ましくは耐熱性があり衝撃により破損しない程度の強度を持つものであれば特に限定されず、例えばSUSを好適に使用できる。
なお、本明細書において「触媒前駆体」とは、焼成工程の途中段階で生成する化合物のことを言う。
【0056】
本焼成工程において、触媒の結晶子サイズを制御することができる。適正な範囲の結晶子サイズに制御するためには、本焼成を600〜750℃で0.1〜20時間で実施することが好ましく、650℃〜720℃で0.5〜5時間で実施することがより好ましい。結晶子サイズは、本焼成温度及び/又は時間に大きく影響を受ける。焼成温度を高くする及び/又は焼成時間を長くするほど結晶子サイズは大きくなる。シリカ担持触媒の結晶は、円柱形であり、(001)方向に結晶が成長すると全結晶面に対する側面の割合が増大する。アンモ酸化反応が進行するのは、上下の面であり、側面は分解面であることが知られている。本実施形態において測定する結晶子サイズは(001)方向の長さであり、結晶子サイズが250nmを超えると全結晶面に対する分解面の割合が増大すると考えられ、原料アンモニアの燃焼及び目的物の分解が起こりやすくなる。逆に、焼成温度を低く及び/又は焼成時間を短くすると、結晶子サイズは小さくなる。結晶子サイズが40nm未満であると、活性点の構築が不十分になり、原料アンモニアの燃焼及び目的物の分解が起こりやすくなる。従って、触媒の結晶子サイズは、40〜250nmであり、40〜180nmであることが好ましい。適正な範囲の結晶子サイズを有する触媒は、結晶の完成度が高く、全結晶面に対する分解面の割合が小さいため、原料アンモニアの燃焼を抑制することができ、高い収率で目的物を製造することができる。
【0057】
触媒の結晶子サイズは、X線回折を測定することにより求めることができ、反応に関与する(001)ピークに、反応に関与しない不純物ピークが重なるため、事前処理を行う。事前処理は、触媒5〜20g、水200mL、硝酸2mLを耐圧容器に入れ、150〜200℃、密閉下で24時間以上放置して、不純物を溶解させる。24時間以上経過したら、耐圧容器を室温まで降温し、ろ紙によりろ過する。ろ過により得られた固形物を30〜100℃に設定した高温槽で24時間以上乾燥させ、乾燥した粉体のX線回折測定を行うことで、反応に関与する結晶のみの(001)ピークを得ることができる。
【0058】
結晶子サイズの測定方法は、事前処理後に、X線回折により得られるピークの半価幅からシェラーの式により求めることができる。具体的なX線の測定条件は、装置:RIGAKU RINT2500HF/PC、光源:CuのKα線、出力:40kV―20mA、測定範囲(2θ):5〜50°、スキャンスピード:1deg/min、積算回数:4回で測定を行う。正確な半価幅を得るために、試料の測定前に、標準参照物質(LaB6)を用いて、装置固有の半価幅の拡がりを補正するのが好ましい。
【0059】
結晶子サイズは、X線回折による(001)ピーク(面間隔d=4.02)の半価幅から以下のシェラーの式(ii)によって計算する。(001)ピーク(面間隔d=4.02)は、反応に関与する結晶由来のピークである。
L=0.9λ/βcosθ (ii)
ここで、L:結晶子サイズ(Å)、λ:波長(Å)、β:回折線幅(rad)θ:回折角(rad)である。
【0060】
焼成雰囲気は、空気雰囲気下でも空気流通下でもよいが、好ましい酸化還元状態に調整する観点から、焼成の少なくとも一部を、窒素等の実質的に酸素を含まない不活性ガスを流通させながら実施することが好ましい。焼成をバッチ式で行う場合は、好ましい酸化還元状態に調整する観点から、不活性ガスの供給量は乾燥粉体1kg当たり、50Nリットル/Hr以上であり、好ましくは50〜5000Nリットル/Hr、より好ましくは50〜3000Nリットル/Hrである(Nリットルは、標準温度・圧力条件、即ち0℃、1気圧で測定したリットルを意味する)。
【0061】
焼成を連続式で行う場合は、好ましい酸化還元状態に調整する観点から、不活性ガスの供給量は乾燥粉体1kg当たり、50Nリットル以上であり、好ましくは50〜5000Nリットル、より好ましくは50〜3000Nリットルである。この時、不活性ガスと乾燥粉体は向流でも並流でも問題ないが、乾燥粉体から発生するガス成分や、乾燥粉体とともに微量混入する空気を考慮すると、向流接触が好ましい。
【0062】
乾燥粉体は、通常、水分の他、アンモニウム根、有機酸、無機酸等を含んでいる。実質的に酸素を含まない不活性ガスを流通させながら焼成する場合、これらが蒸発、分解等する際、触媒構成元素は還元される。乾燥粉体中の触媒構成元素がほぼ最高酸化数である場合、触媒の還元率を所望の範囲にするには、焼成工程において還元のみを実施すればよいので、工業的には簡便である。
【0063】
一方、後述するように、前段焼成体の還元率が所望の範囲になるように、焼成雰囲気中に酸化性成分又は還元性成分を添加してもよい。本実施形態の製造方法においては、得られる前段焼成体の還元率が8〜12%、触媒の比表面積が5〜25m/gとなるように焼成が実施されるのが好ましい。触媒の比表面積が5〜25m/gであることにより、更に十分な活性が得られ、原料アンモニアの燃焼も抑制され、収率も一層高くなるという効果が奏される傾向にある。比表面積が25m/gを超えるとシリカ表面の分解点が増大し、原料アンモニアの燃焼及び目的物の分解が起こりやすくなる傾向にある。比表面積が5m/g未満であると十分な活性点が生成せず、収率が低下する傾向にある。また、アンモ酸化反応中の収率維持のためのモリブデン化合物の添加効果に関して、その効果がより十分に発揮され、急峻な劣化を示すこともないため、モリブデン化合物の添加量及び添加頻度を低減することができる傾向にある。この理由については明らかではないが、触媒の比表面積が5m/g未満であると、反応に関与する活性種の活性面が小さく、モリブデン化合物の添加効果が発揮され難いためと推定される。触媒の比表面積が25m/gを超えると、活性種の活性面が大きくなる一方で、活性面からのモリブデンの逃散も速くなるものと推定される。従って、触媒の比表面積は、5〜25m/gであり、8〜18m/gであることが好ましい。ここで、比表面積は、MICROMETRICS社製Gemini2360を用いて、BET1点法により求められる。
【0064】
前段焼成体の還元率は、下記式(2)
還元率(%)=((n−n)/n)×100・・・(2)
(式中:nは前段焼成体における酸素以外の構成元素の原子価を満足する酸素原子の数であり、nは前段焼成体の酸素以外の構成元素がそれぞれの最高酸化数を有する時に必要な酸素原子の数である。)
により表される。
【0065】
具体的には、乾燥粉体を焼成し、その際、乾燥粉体の加熱温度を、400℃より低い温度から昇温を始めて、600〜750℃の範囲内にある温度まで連続的に又は断続的に昇温する焼成条件で行い、その際、加熱温度が400℃に達した時の焼成中の前段焼成体の還元率が8〜12%となるように焼成条件を調節する。
【0066】
触媒が最終的に焼成(加熱)される温度や時間、シリカ含有量が触媒の比表面積に影響するが、加熱温度が400℃に達した時の還元率、本焼成温度及び/又は時間、本焼成後の降温速度が特に大きな影響を及ぼす。加熱温度が400℃に達した時の還元率が低いと、触媒の比表面積は小さくなり、加熱温度が400℃に達した時の還元率が高いと触媒の比表面積は高まる傾向にある。また、本焼成温度は、600℃〜750℃、0.1時間〜20時間で実施される。本焼成温度が高いほど、また時間が長いほど触媒の比表面積は小さくなる傾向にある。明確な理由は定かではないが、二段階に分けて焼成する場合において、本焼成の温度を一定にした場合には、前段焼成の最高温度が高いほうが、比表面積は大きくなり、前段焼成の最高温度が低い場合には、比表面積は小さくなる。また、本焼成後の降温速度は、0.05〜50℃/minが好ましく、0.05〜20℃/minがより好ましい。本焼成後の降温速度を小さくすると比表面積は小さくなる傾向にある。
【0067】
触媒の比表面積及び結晶子サイズは、焼成条件を調製することで別々に制御することができる。結晶成長が進行する温度は、本焼成の領域であるため、本焼成温度及び/又は本焼成時間で結晶子サイズを制御する。比表面積に大きな影響を与えるシリカのシンタリングが進行する温度領域は、結晶成長が進行する温度領域より広いため、本焼成終了後の降温速度で比表面積を制御することが好ましい。また、比表面積は、酸化還元度に大きく影響されるため、還元率を指標に制御することも好ましい。
【0068】
ロータリーキルンで焼成する場合、焼成時に乾燥粉体のフィード量を調整することにより触媒の比表面積を調整することが可能である。フィード量を少なくすることで、乾燥粉体の系内における滞留時間が長くなるため、焼成管内で乾燥粉体が加熱されることで発生するアンモニア等の還元性ガスによる乾燥粉体の還元が進行し、還元率が高まり、本焼成後に得られる触媒の比表面積は大きくなる。逆にフィード量を多くすると、還元率が低くなり、触媒の比表面積は小さくなる。また、前段焼成時の窒素量によっても比表面積を調整することが可能である。窒素量を増やすことで、焼成時の前段焼成粉を還元させる成分ガスが系外にすばやく排出されるため、前段焼成体は還元を受けにくくなり、その結果比表面積は小さくなると考えられる。逆に、窒素量を減らせば、還元率は高まり、触媒の比表面積は大きくなる
【0069】
触媒の比表面積を5〜25m/gとするためには、加熱温度が400℃に達した時の還元率を8〜12%の範囲内とし、且つ、最終的な焼成温度を600℃〜750℃とするのが好ましい。
【0070】
焼成工程は、前段焼成と本焼成からなり、該前段焼成を200〜400℃の温度範囲で行い、該本焼成を600〜750℃の温度範囲で行うことが好ましい。前段焼成と本焼成を連続して実施してもよいし、前段焼成を一旦完了してから、あらためて本焼成を実施してもよい。また、前段焼成及び本焼成のそれぞれが数段に分かれていてもよい。
【0071】
焼成中の前段焼成体の還元率を測定する場合は、試料をその温度で焼成装置から取り出してもよいが、高温で空気に接触することで酸化され、還元率が変化する場合があるので、室温に冷却した後、焼成装置から取り出したものを代表試料とするのが好ましい。加熱温度が400℃に達した時の還元率を所望の範囲に制御する方法としては、具体的には、前段焼成温度を変更する方法、焼成時の雰囲気中に酸素等の酸化性成分を添加する方法、又は、焼成時の雰囲気中に還元性成分を添加する方法等が挙げられる。また、これらを組み合わせてもよい。
【0072】
前段焼成温度を変更する方法とは、前段焼成温度を変更することで、加熱温度が400℃に達した時の還元率を変える手法である。通常、前段焼成温度を下げると還元率は下がり、前段焼成温度を上げると還元率は上がる傾向を示すので、前段焼成温度を変化させて還元率を制御できる。また、供給する窒素量を増減させること、供給する乾燥粉体の量を増減させること、ロータリーキルンを用いた焼成においては、回転数を増減させることによっても還元率を制御することが可能である。供給する窒素を増加させると、炉の加熱によって乾燥粉体から気化した被酸化成分が焼成炉内に存在する金属酸化物によって酸化させられる(金属酸化物は還元する)ことなく、系外に排出される割合が高くなるため、焼成体の還元が進行しにくい、と考えられる。また、供給する乾燥粉体が少なくなると、ロータリーキルンでは触媒の滞留時間が延びることにより還元が進む、と考えられる。また、ロータリーキルンの場合において、回転数を減少させると、触媒のキルン内移動速度が低下するため、より多くの被酸化性分と接触する時間が長くなるため還元が進行する、と考えることができる。
【0073】
焼成終了前の前段焼成体の還元率については以下のようにして測定する。
ビーカーに前段焼成体約200mgを精秤する。更に濃度が既知のKMnO水溶液を過剰量添加する。更に70℃の純水150mL、1:1硫酸(即ち、濃硫酸と水を容量比1/1で混合して得られる硫酸水溶液)2mLを添加した後、ビーカーに時計皿で蓋をし、70℃±2℃の湯浴中で1Hr攪拌し、試料を酸化させる。この時、KMnOは過剰に存在させており、液中には未反応のKMnOが存在するため、液色は紫色である事を確認する。酸化終了後、ろ紙にてろ過を行い、ろ液全量を回収する。濃度が既知のシュウ酸ナトリウム水溶液を、ろ液中に存在するKMnOに対し、過剰量添加し、液温が70℃となるように加熱攪拌する。液が無色透明になることを確認し、1:1硫酸2mLを添加する。液温を70℃±2℃に保ちながら攪拌を続け、濃度が既知のKMnO水溶液で滴定する。液色がKMnOによりかすかな淡桃色が約30秒続くところを終点とする。
全KMnO量、全Na量から、試料の酸化に消費されたKMnO量を求める。この値から、(n−n)を算出し、これに基づき還元率を求める。
【0074】
本焼成終了後の焼成体の還元率は以下のようにして測定することができる。
ビーカーに、瑪瑙(めのう)製乳鉢で擂り潰した焼成体約200mgを精秤する。95℃の純水150mL、1:1硫酸(即ち、濃硫酸と水を容量比1/1で混合して得られる硫酸水溶液)4mLを添加する。液温を95℃±2℃に保ちながら攪拌を続け、濃度が既知のKMnO水溶液で滴定する。この時、液色がKMnO滴下により一時的に紫色となるが、紫色が30秒以上続かないように、ゆっくりと少量ずつKMnOを滴下する。また、水の蒸発により液量が少なくなるので、液量が一定になるように95℃の純水を追加する。液色がKMnOによりかすかな淡桃色が約30秒続くところを終点とする。
こうして、試料の酸化に消費されたKMnO量を求める。この値から、(n−n)を算出し、これに基づき還元率を求める。
【0075】
上記の測定方法の他に、本焼成終了前の前段焼成体と本焼成終了後の焼成体のいずれの還元率についても、以下のようにして測定することもできる。
試料の構成元素が揮発、逃散しない条件で、前段焼成体又は焼成体が焼成された焼成温度よりも高い温度まで加熱し、酸素による完全酸化を行い、増加した質量(結合した酸素の量)を求め、これから(n−n)の値を求め、これに基づき還元率を求める。
【0076】
焼成雰囲気を不活性ガス又は好ましい酸化/還元雰囲気中で行うため、焼成装置としては適切なシール構造をもち、外気との接触を十分に遮断できるものを用いることが好ましい。
【0077】
前段焼成は、得られる触媒を好ましい酸化還元状態に調整しやすいこと、触媒性能を向上できること等の観点から、好ましくは不活性ガス流通下、前段焼成温度が好ましくは200℃〜400℃、より好ましくは300℃〜400℃の範囲で行われる。前段焼成温度は200℃〜400℃の温度範囲内の一定温度で保持することが好ましいが、200℃〜400℃の範囲内で温度が変動したり、緩やかに昇温又は降温されたりしてもよい。加熱温度の保持時間は、得られる触媒を好ましい酸化還元状態に調整しやすいこと、触媒性能を向上できること等の観点から、好ましくは30分間以上、より好ましくは3〜12時間である。前段焼成温度に達するまでの温度パターンは、直線的な昇温パターンであってもよく、上又は下に凸なる弧を描くような昇温パターンであってもよい。また、昇温中に降温する時間があってもよく、昇温及び降温を繰り返してもよい。さらには、昇温過程で乾燥粉体及び/又は触媒前駆体の中に含まれる成分によって吸熱反応が起こり、一時的に降温してもよい。
【0078】
前段焼成温度に達するまでの昇温時の平均昇温速度には特に限定はないが、得られる触媒を好ましい酸化還元状態に調整しやすいこと、触媒性能を向上できること等の観点から、通常0.1〜15℃/分程度であり、好ましくは0.5〜5℃/分、より好ましくは1〜2℃/分である。
【0079】
本焼成は、得られる触媒を好ましい比表面積に調整しやすいこと、反応に活性な結晶構造を十分に形成すること、触媒性能を向上できること等の観点から、好ましくは不活性ガス流通下、好ましくは600〜750℃、より好ましくは650〜720℃で実施することができる。本焼成温度は650〜720℃の温度範囲内の一定温度で保持することが好ましいが、650〜720℃の範囲内で温度が変動、又は、緩やかに昇温、降温しても構わない。また、昇温の中に降温する時間が入ってもよいし、昇温・降温を繰り返してもよい。昇温過程で乾燥粉体の中に含まれる成分によって吸熱反応が起こり、降温するパターンが成り行きで決まってもよい。
【0080】
触媒の比表面積は焼成温度によって調整することができる。特定の比表面積を有する触媒を得るには、前段焼成の温度によっても比表面積を増減することは可能であるが、比表面積により影響し易い本焼成の焼成温度を調整することは、目的の比表面積を有する触媒を得るために好ましい態様である。
【0081】
本焼成の時間は好ましくは0.1〜20時間、より好ましくは0.5〜5時間である。焼成管を堰板で区切る場合、前段焼成体及び/又は焼成体は少なくとも2つ、乾燥粉体等の適した焼成管内の滞留時間を確保する等の観点から、好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜15の区域を連続して通過する。温度の制御は1つ以上の制御器を用いて行うことができるが、前記所望の焼成パターンを得るために、これら堰で区切られた区域ごとにヒーターと制御器を設置し、制御することが好ましい。例えば堰板を焼成管の加熱炉内に入る部分の長さを8等分するように7枚設置し、8つの区域に仕切った焼成管を用いる場合、部分焼成粉体及び/又は焼成粉体の温度が前記所望の焼成温度パターンとなるよう8つの区域を各々の区域について設置したヒーターと制御器により設定温度を制御することが好ましい。例えば、堰板を焼成器の加熱炉内に入る部分の長さを8等分するように7枚設置し、8つの区域に仕切った焼成器を用いる場合、前記所望の焼成パターンを得るため、以下のように調整することができる。前段焼成では焼成器内を滞留している前段焼成体の区域内中心部に挿入した熱電対の温度がそれぞれ、前段焼成体の供給側から数えて、区域1:120〜280℃、区域2:180〜330℃、区域3:250〜350℃、区域4:270〜380℃、区域5:300〜380℃、区域6:300〜390℃、区域7:320〜390℃、区域8:260〜380℃となるように調整するのが好ましい。本焼成では同様に、区域1:360〜560℃、区域2:450〜650℃、区域3:600〜700℃、区域4:650〜750℃、区域5:600〜700℃、区域6:500〜690℃、区域7:480〜630℃、区域8:400〜580℃となるように調整するのが好ましい。
【0082】
前段焼成体の比表面積も本焼成ほどではないが、前段焼成の条件によってある程度調整することが可能である。明確な理由は定かではないが、還元率と比表面積は比例の関係にあることから、上記と同じ管理を行うことで、比表面積の範囲を適正化しやすくする。しかし、触媒の比表面積の調整は本焼成の焼成方法に大きく依存している。
【0083】
また、650℃という焼成温度は、構成金属の酸化物の融点を大きく超えているので、焼成管の壁面への酸化物が多く固着するため、ハンマー等を用いた本焼成管への打撃回数を増やすことを行うか、又は、回転数を増やすこと等によって前段焼成体の滞留する時間を延ばすことが好ましい。これらの増加率については、本焼成管にフィードした前段焼成粉量と本焼成管から排出される触媒量のマスバランスから任意に設定することが可能である。なお、不活性ガス流通下の焼成雰囲気には、所望により、酸化性成分(例えば酸素)又は還元性成分(例えばアンモニア)を添加してもかまわない。
【0084】
本焼成温度に達するまでの昇温パターンは直線的に上げてもよいし、上又は下に凸なる弧を描いて昇温してもよい。また、昇温中に降温する時間が入ってもよいし、昇温・降温を繰り返してもよい。昇温過程で前段焼成体の中に残っている成分によって吸熱反応が起こり、降温するパターンが成り行きで入ってしまってもよい。
【0085】
本焼成温度に達するまでの昇温時の平均昇温速度としては特に限定はないが、好ましくは0.5〜8℃/minである。本焼成終了後の平均降温速度は、比表面積を制御すること、反応に活性な結晶構造を十分に形成しやすいこと、触媒性能が向上すること等の観点から、好ましくは0.05〜50℃/min、より好ましくは0.05〜20℃/minである。また、反応に活性な結晶構造を十分に形成しやすいこと、触媒性能を向上すること等の観点から、本焼成温度より低い温度で一旦保持してアニーリングすることも好ましい。保持する温度は、本焼成温度より5℃、好ましくは10℃、より好ましくは50℃低い温度である。保持する時間は、上記と同様の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは3時間以上、特に好ましくは10時間以上である。
【0086】
前段焼成を一旦完了してからあらためて本焼成を実施する場合は、本焼成で低温処理を行うこともできる。低温処理に要する時間、即ち、前段焼成体及び/又は焼成体の温度を低下させた後、昇温して焼成温度にするまでに要する時間は、焼成器の大きさ、肉厚、材質、触媒生産量、連続的に前段焼成体及び/又は焼成体を焼成する一連の期間、固着速度・固着量等により適宜調整することが可能である。焼成管壁面に固着した前段焼成粉体及び/又は焼成体を十分に剥離すること、安定して酸化物層温度を維持すること、得られる触媒の性能が向上すること等の観点から、連続的に焼成体を焼成する一連の期間中に、好ましくは30日以内、より好ましくは15日以内、更に好ましくは3日以内、特に好ましくは2日以内である。なお、酸化物層温度とは、焼成器内に堆積している前段焼成粉体及び/又は本焼成粉体に挿入した熱電対によって測定する温度をいう。また、例えば、内径500mm、長さ4500mm、肉厚20mmのSUS製の焼成管を有する回転炉により6rpmで回転しながら35kg/hrの速度で前段焼成粉体を供給し、本焼成温度が645℃である場合、温度を400℃まで低下させた後、昇温して645℃にする工程を1日程度で行うことができる。1年間連続的に焼成する場合、このような低温処理を1ヶ月に1回の頻度で実施することで、安定して酸化物層温度を維持しながら焼成することができる。
【0087】
焼成工程において焼成器に衝撃を加えると、固着した塊に亀裂を生じさせる効果が高まる傾向にあり、また、低温処理を実施する場合においても焼成器に衝撃を加えると、亀裂を生じた塊が焼成器から容易に剥離する傾向にあるため好ましい。
【0088】
本焼成工程を経た焼成体の粒子表面には突起体が生成する。本実施形態における焼成体は、従来の焼成体と比較して組成が適正であることから、突起体の量が少なく、従来触媒より突起体の影響が小さいものの、気相接触アンモ酸化反応において反応器中に存在すると、副反応を起こし易い及び/又は突起体が剥がれて流動性が悪くなるため、反応前に除去することが好ましい。
【0089】
突起体を除去することにより、突起体の量を焼成体の全質量に対して好ましくは2質量%以下にすることが好ましい。突起体の除去方法としては、いくつかの方法が考えられるが、これらのうち、ガス流通下、触媒同士の接触等により除去する方法が好ましい。例えば、焼成体を貯蔵するホッパー等にガスを流通する方法、流動床反応器に焼成体を入れてそこにガスを流通させる方法が挙げられる。流動床反応器を用いる方法は、突起体を除去するための特別な装置が不要である点で好ましい態様であるが、もともと触媒同士の接触を意図して設計された装置ではないためか、少ない量の触媒を投入して時間をかけて流動させる等の対策をしない限り、触媒の投入量、流通させる時間やガス量等、条件によっては突起体を十分に除去できない場合がある。本発明者らの検討によると、十分な流速の気流を、突起体を有する焼成体に接触させることで効率的に突起体を除去することができる。適切な流速を焼成体に接触させられる構造の装置を設ければ、大きなスケールでも、突起体を効率的に除去することができる。
例えば、焼成体を収容する本体と、本体の上部に設けられた焼成体の回収手段と、回収手段に接続された前記焼成体の戻し手段とを有し、前記戻し手段は、下端が気流に接触するように設けられており、本体内で気流に接触した焼成体の一部が回収手段によって回収され、戻し手段によって本体内に戻される装置は、大きなスケールでも効率よく突起体を除去しうる。
【0090】
焼成体を充填した流動床反応器等の装置にガスを流通させると、焼成体は接触しあって、突起状の突起体が除去される。焼成体から剥離した突起体は焼成体より遥かに小さいので、流通させているガスと共に流動床反応器の外へ流出する。この時の焼成体の密度は、300〜1300kg/mになるように装置内に焼成体を充填するのが好ましい。用いる装置の胴体部分の断面積は、好ましくは0.1〜100m、より好ましくは、0.2〜85mである。
【0091】
流通させるガスは、窒素等のイナートガスや、空気が好ましい。ホッパー、流動床反応器等の焼成体を充填した装置の胴体部分に流通させるガス線速度は0.03m/s〜5m/sとするのが好ましく、より好ましくは0.05〜1m/sである。また、ガスの流通時間は1〜168時間が好ましい。具体的には、本実施形態の突起体除去装置は、本体を備え、前記本体に収容した焼成体に気流を接触させる若しくは気流によって流動した粒子同士が接触することによって、焼成体の表面にある突起体を焼成体から除去する装置であって、気流が流れる方向における気流長さが10mm以上であり、かつ、気流の平均流速が、摂氏15℃、1気圧における線速に換算した場合に80m/s以上500m/s以下であるのが好ましい。
【0092】
突起体の除去をグラムスケールで行う場合には、底部に1つ以上の穴のある穴あき板を備え、上部にペーパーフィルターを設けた垂直チューブに焼成体を投入し、下部から空気を流通させることで、それぞれの穴から気流が流れることで焼成体同士の接触を促し、突起体の除去が行われる装置を用いることが可能である。
【0093】
[気相接触アンモ酸化反応]
本実施形態の気相接触アンモ酸化反応は、プロパン又はイソブタンを気相接触アンモ酸化反応させて対応する不飽和ニトリルを製造する方法において、上記シリカ担持触媒を用いる不飽和ニトリルの製造方法である。
【0094】
プロパン、イソブタン及びアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。供給酸素源としては、空気、純酸素又は純酸素で富化した空気を用いることができる。さらに、希釈ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素等を供給してもよい。
【0095】
プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応は、以下の条件で行うことができる。
反応に供給する酸素のプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.1〜6、好ましくは0.5〜4である。反応に供給するアンモニアのプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.7〜1.2である。反応温度は350〜500℃、好ましくは380〜470℃である。反応圧力は5×10〜5×10Pa、好ましくは1×10〜3×10Paである。接触時間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜5(sec・g/cc)である。
【0096】
本実施の形態において、接触時間は次式で定義される。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)
ここで、W、F及びTは次のように定義される。
W=充填触媒両(g)
F=標準状態(0℃、1.013×10Pa)での原料混合ガス流量(Ncc/sec)
T=反応温度(℃)
【0097】
気相接触アンモ酸化反応における反応方式は、固定床、流動床、移動床等従来の方式を採用できるが、反応熱の除去が容易な流動床反応器が好ましい。また、気相接触アンモ酸化反応は、単流式であってもリサイクル式であってもよい。
【実施例】
【0098】
以下に本実施形態を、実施例と比較例によって更に詳細に説明するが、本実施形態の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例と比較例においては、プロパン転化率、アクリロニトリル収率、及びアンモニア燃焼率は、それぞれ次の定義に従う。
プロパン転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル(AN)収率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アンモニア燃焼率(%)=(生成した窒素のモル数)×2/(供給したアンモニアのモル数)×100
ここで、生成アクリロニトリル及び窒素のモル数は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
【0099】
(実施例1)
(ニオブ原料液の調製)
以下の方法でニオブ原料液を調製した。水500kgにNbとして80.2質量%を含有するニオブ酸76.33kgとシュウ酸二水和物〔H・2HO〕290.2kgを混合した。仕込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニオブ濃度は0.532(mol−Nb/kg−液)であった。
この液を95℃で1時間加熱撹拌することによって、ニオブ化合物が溶解した水溶液を得た。この水溶液を静置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニオブ化合物水溶液を得た。同じような操作を数回繰り返して、得られたニオブ化合物水溶液を一つにし、ニオブ原料液とした。このニオブ原料液のシュウ酸/ニオブのモル比は下記の分析により2.40であった。
るつぼに、このニオブ原料液10gを精秤し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、Nb0.8323gを得た。この結果から、ニオブ濃度は0.626(mol−Nb/kg−液)であった。
300mLのガラスビーカーにこのニオブ原料液3gを精秤し、約80℃の熱水200mLを加え、続いて1:1硫酸10mLを加えた。得られた溶液をホットスターラー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定KMnOを用いて滴定した。KMnOによるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.50(mol−シュウ酸/kg)であった。
2KMnO+3HSO+5H→KSO+2MnSO+10CO+8H
得られたニオブ原料液を、以下の酸化物触媒の製造においてニオブ原料液として用いた。
【0100】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.9kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル34.2kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル3.60kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0101】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0102】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0103】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0104】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下690℃まで2℃/minで昇温し、690℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0105】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0106】
(比表面積の測定)
比表面積の測定は、比表面積はMICROMETRICS社製Gemini2360を用いて、BET1点法により測定した。
比表面積は、10.8m/gであった。
【0107】
(突起体の除去)
底部に直径1/64インチの3つの穴のある穴あき円盤を備え、上部にペーパーフィルターを設けた垂直チューブ(内径41.6mm、長さ70cm)に酸化物触媒を50g投入した。この時の気流が流れる方向における気流長さは52mm、気流の平均線速は310m/sであった。24時間後に得られた酸化物触媒をSEMにより確認したところ、酸化物触媒表面には突起体が存在しなかった。
【0108】
(全細孔容積)
全細孔容積は、水銀ポロシメーターにより求めた。
全細孔容積は、0.297cm/gであった。
【0109】
(細孔分布)
細孔分布は、水銀ポロシメーターにより求めた。
細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は3.9%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は1.0%であった。
【0110】
(平均細孔直径の計算)
平均細孔直径の計算は、細孔が円筒形であると仮定して、式(i)を用いて行った。
D=4V/S (i)
ここで、D:平均細孔直径(m)、V:全細孔容積(m/g)、S:比表面積(m/g)である。
計算した平均細孔直径は、110nmであった。
【0111】
(結晶子サイズの測定)
X線の測定条件は、事前処理後に、装置:RIGAKU RINT2500HF/PC、光源:CuのKα線、出力:40kV―20mA、測定範囲(2θ):5〜50°、スキャンスピード:1deg/min、積算回数:4回で測定を行った。正確な半価幅を得るために、試料の測定前に、標準参照物質(LaB6)を用いて、装置固有の半価幅の拡がりを補正した。
結晶子サイズは、X線回折により得られた(001)ピーク(面間隔d=4.02)の半価幅からシェラーの式(ii)によって計算した。
L=0.9λ/βcosθ (ii)
ここで、L:結晶子サイズ(Å)、λ:波長(Å)、β:回折線幅(rad)θ:回折角(rad)である。
計算した結晶子サイズは、106nmであった。
【0112】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は89.8%、アクリロニトリル収率は54.8%、アンモニア燃焼率18.8%であった。
【0113】
(実施例2)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0114】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0115】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0116】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0117】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0118】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下685℃まで2℃/minで昇温し、685℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0119】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0120】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、12.8m/gであった。
【0121】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0122】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.288cm/gであった。
【0123】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は6.8%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.6%であった。
【0124】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、90nmであった。
【0125】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、98nmであった。
【0126】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は90.1%、アクリロニトリル収率は54.9%、アンモニア燃焼率18.6%であった。
【0127】
(実施例3)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0128】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径25nmのシリカゾル25.3kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径10nmのシリカゾル12.5kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)を添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0129】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0130】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0131】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0132】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0133】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0134】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、13.6m/gであった。
【0135】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0136】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.221cm/gであった。
【0137】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は18.7%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.2%であった。
【0138】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、65nmであった。
【0139】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、102nmであった。
【0140】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.5%、アクリロニトリル収率は54.7%であった。3ヵ月間反応を行い、アクリロニトリル収率は54.7%、アンモニア燃焼率19.4%であった。
【0141】
(実施例4)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0142】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化テルル〔TeO3〕を1.96kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径45nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径15nmのシリカゾル7.70kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0143】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0144】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0145】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0146】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下690℃まで2℃/minで昇温し、690℃で3時間焼成し、0.5℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0147】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Te0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0148】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、10.2m/gであった。
【0149】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0150】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.235cm/gであった。
【0151】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は7.1%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.7%であった。
【0152】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、92nmであった。
【0153】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、185nmであった。
【0154】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.8%、アンモニア燃焼率19.0%であった。
【0155】
(実施例5)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0156】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を258g(純度50%)と酸化チタン〔TiO2〕18.2g添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0157】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0158】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0159】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0160】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0161】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.005Ti0.002Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0162】
(比表面積の測定)
実施例と同様の方法により測定した結果、比表面積は、12.8m/gであった。
【0163】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0164】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.288cm/gであった。
【0165】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は6.6%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.5%であった。
【0166】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、90nmであった。
【0167】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、98nmであった。
【0168】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.6%、アンモニア燃焼率19.5%であった。
【0169】
(実施例6)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0170】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル31.0kgとSiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を258g(純度50%)と酸化マンガン〔MnO2〕29.6g添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0171】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0172】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0173】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0174】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0175】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.005Mn0.003Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0176】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、13.2m/gであった。
【0177】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0178】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.304cm/gであった。
【0179】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は6.9%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.6%であった。
【0180】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、92nmであった。
【0181】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、101nmであった。
【0182】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.7%、アンモニア燃焼率19.3%であった。
【0183】
(実施例7)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0184】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を155g(純度50%)と硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕220g添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0185】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0186】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0187】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0188】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0189】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.003Bi0.004Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0190】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、13.3m/gであった。
【0191】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0192】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.313cm/gであった。
【0193】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は7.3%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.8%であった。
【0194】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、94nmであった。
【0195】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、103nmであった。
【0196】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.6%、アンモニア燃焼率19.2%であった。
【0197】
(実施例8)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0198】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕347gと硝酸ランタン〔La(NO33・6H2O〕147gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル7.70kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液516g(純度50%)を添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0199】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0200】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0201】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0202】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0203】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.007La0.003であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0204】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、14.2m/gであった。
【0205】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0206】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.320cm/gであった。
【0207】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は6.7%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.4%であった。
【0208】
(細孔分布の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、90nmであった。
【0209】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、95nmであった。
【0210】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.6%、アンモニア燃焼率18.8%であった。
【0211】
(実施例9)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0212】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕397gと硝酸ランタン〔Y(NO33・6H2O〕87gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル7.70kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)を添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0213】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0214】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0215】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0216】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0217】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.0080.002であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0218】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、14.5m/gであった。
【0219】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0220】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.330cm/gであった。
【0221】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は7.2%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.5%であった。
【0222】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、91nmであった。
【0223】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、102nmであった。
【0224】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.7%、アンモニア燃焼率18.9%であった。
【0225】
(実施例10)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0226】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕297gと硝酸ランタン〔Yb(NO33・4H2O〕146gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径50nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径18nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80gを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液516g(純度50%)を添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0227】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0228】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0229】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0230】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0231】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.006Yb0.003であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0232】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、15.2m/gであった。
【0233】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0234】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.334cm/gであった。
【0235】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は8.2%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.4%であった。
【0236】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、88nmであった。
【0237】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、98nmであった。
【0238】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.8%、アクリロニトリル収率は54.6%、アンモニア燃焼率19.0%であった。
【0239】
(実施例11)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0240】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0241】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0242】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0243】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0244】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下680℃まで2℃/minで昇温し、680℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0245】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0246】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、14.6m/gであった。
【0247】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0248】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.350cm/gであった。
【0249】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は5.8%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.9%であった。
【0250】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、96nmであった。
【0251】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、61nmであった。
【0252】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は88.9%、アクリロニトリル収率は54.4%、アンモニア燃焼率19.1%であった。
【0253】
(実施例12)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0254】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0255】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0256】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0257】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0258】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下685℃まで2℃/minで昇温し、685℃で2.5時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0259】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0260】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、15.1m/gであった。
【0261】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0262】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.306cm/gであった。
【0263】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は9.3%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.3%であった。
【0264】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、81nmであった。
【0265】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、181nmであった。
【0266】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は89.1%、アクリロニトリル収率は54.3%、アンモニア燃焼率19.4%であった。
【0267】
(実施例13)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0268】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径55nmのシリカゾル34.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル3.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0269】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0270】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報を参考とした場合、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0271】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0272】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下695℃まで2℃/minで昇温し、695℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0273】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0274】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、8.0m/gであった。
【0275】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0276】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.168cm/gであった。
【0277】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は8.8%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.4%であった。
【0278】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、84nmであった。
【0279】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、156nmであった。
【0280】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は89.2%、アクリロニトリル収率は54.0%、アンモニア燃焼率19.2%であった。
【0281】
(実施例14)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0282】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0283】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0284】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0285】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0286】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下670℃まで2℃/minで昇温し、670℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0287】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0288】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、16.7m/gであった。
【0289】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0290】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.342cm/gであった。
【0291】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は9.0%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.3%であった。
【0292】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、82nmであった。
【0293】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、52nmであった。
【0294】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は89.1%、アクリロニトリル収率は54.0%、アンモニア燃焼率19.5%であった。
【0295】
(実施例15)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0296】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径25nmのシリカゾル30.7kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径12nmのシリカゾル7.1kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0297】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0298】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0299】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0300】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下695℃まで2℃/minで昇温し、695℃で1時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0301】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0302】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、9.2m/gであった。
【0303】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0304】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.170cm/gであった。
【0305】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は10.6%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.3%であった。
【0306】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、74nmであった。
【0307】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、55nmであった。
【0308】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は89.1%、アクリロニトリル収率は54.1%、アンモニア燃焼率19.3%であった。
【0309】
(実施例16)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0310】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル56.4kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.90kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。その後、50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0311】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0312】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0313】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0314】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下685℃まで2℃/minで昇温し、685℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0315】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0316】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、10.2m/gであった。
【0317】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0318】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.184cm/gであった。
【0319】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は9.6%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.2%であった。
【0320】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、72nmであった。
【0321】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、98nmであった。
【0322】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は90.1%、アクリロニトリル収率は54.1%、アンモニア燃焼率19.6%であった。
【0323】
(実施例17)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0324】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0325】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0326】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0327】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0328】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下550℃まで2℃/minで昇温し、550℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0329】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0330】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、17.4m/gであった。
【0331】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0332】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.270cm/gであった。
【0333】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は31.2%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.1%であった。
【0334】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、62nmであった。
【0335】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、44nmであった。
【0336】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は90.1%、アクリロニトリル収率は53.8%、アンモニア燃焼率19.8%であった。
【0337】
(比較例1)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0338】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を21.0kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.91kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.46kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕524gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液937gに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水134gを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径26nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径16nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水4.02kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を523g(純度50%)を添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0339】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0340】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0341】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0342】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0343】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.005Sb0.300.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0344】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、14.6m/gであった。
【0345】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0346】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.329cm/gであった。
【0347】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は8.9%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0.4%であった。
【0348】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、90nmであった。
【0349】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、120nmであった。
【0350】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は87.5%、アクリロニトリル収率は51.5%、アンモニア燃焼率21.1%であった。
【0351】
(比較例2)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0352】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径108nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径16nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0353】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0354】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0355】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0356】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0357】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0358】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、14.0m/gであった。
【0359】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0360】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.543cm/gであった。
【0361】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は1.3%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は3.2%であった。
【0362】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、155nmであった。
【0363】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、105nmであった。
【0364】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は86.9%、アクリロニトリル収率は52.6%、アンモニア燃焼率19.3%であった。
【0365】
(比較例3)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0366】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径12nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径5nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0367】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0368】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0369】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0370】
(分級品の焼成)
実施例2と同様に行った。
【0371】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0372】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、13.8m/gであった。
【0373】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0374】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.086cm/gであった。
【0375】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は88.2%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0%であった。
【0376】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、25nmであった。
【0377】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、104nmであった。
【0378】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は87.1%、アクリロニトリル収率は53.1%、アンモニア燃焼率22.6%であった。
【0379】
(比較例4)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0380】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径110nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径16nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0381】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0382】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0383】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0384】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下695℃まで2℃/minで昇温し、695℃で4時間焼成し、0.5℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0385】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0386】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、8.1m/gであった。
【0387】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0388】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.324cm/gであった。
【0389】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は1.1%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は3.8%であった。
【0390】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、160nmであった。
【0391】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、390nmであった。
【0392】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は85.9%、アクリロニトリル収率は52.2%、アンモニア燃焼率20.1%であった。
【0393】
(比較例5)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0394】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径108nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径16nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0395】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0396】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0397】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0398】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下670℃まで2℃/minで昇温し、670℃で1時間焼成し、2℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0399】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0400】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、16.2m/gであった。
【0401】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0402】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.559cm/gであった。
【0403】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は2.3%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は3.2%であった。
【0404】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、138nmであった。
【0405】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、20nmであった。
【0406】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は86.5%、アクリロニトリル収率は52.1%、アンモニア燃焼率19.3%であった。
【0407】
(比較例6)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0408】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径12nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径8nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0409】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0410】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0411】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0412】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下695℃まで2℃/minで昇温し、695℃で4時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0413】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0414】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、9.2m/gであった。
【0415】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0416】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.097cm/gであった。
【0417】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は68.4%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0%であった。
【0418】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、42nmであった。
【0419】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、375nmであった。
【0420】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は87.0%、アクリロニトリル収率は52.3%、アンモニア燃焼率23.1%であった。
【0421】
(比較例7)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0422】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径10nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径13nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0423】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0424】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0425】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0426】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下670℃まで2℃/minで昇温し、670℃で1時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0427】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0428】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、20.3m/gであった。
【0429】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0430】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.112cm/gであった。
【0431】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は91.4%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0%であった。
【0432】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、22nmであった。
【0433】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、24nmであった。
【0434】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は86.3.1%、アクリロニトリル収率は52.1%、アンモニア燃焼率21.1%であった。
【0435】
(比較例8)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0436】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径15nmのシリカゾル31.0kgと、SiO2として30.0質量%を含有する平均一次粒子直径5nmのシリカゾル6.80kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80gを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0437】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0438】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0439】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0440】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下700℃まで2℃/minで昇温し、700℃で2時間焼成し、0.2℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0441】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成比はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0442】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、4.2m/gであった。
【0443】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0444】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.055cm/gであった。
【0445】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は54.6%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0%であった。
【0446】
(平均細孔直径の計算)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、52nmであった。
【0447】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、204nmであった。
【0448】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は86.2%、アクリロニトリル収率は50.6%、アンモニア燃焼率22.8%であった。
【0449】
(比較例9)
(ニオブ原料液の調液)
実施例1と同様に行った。
【0450】
(調合槽における原料調合液の調合)
水100kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を19.9kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を2.75kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を3.28kg、さらに硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕495gを水2kgに溶解させた硝酸セリウム水溶液を加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して原料調合液(I)を得た。
上記ニオブ原料液15.95kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水2.28kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、原料調合液(II)を得た。
得られた原料調合液(I)を70℃に冷却した後に、SiO2として30.2質量%を含有する平均一次粒子直径23nmのシリカゾル34.7kgを添加した。次いで、H22として30質量%を含有する過酸化水素水3.80kgを添加し、55℃で30分間撹拌混合した後、原料調合液(II)とメタタングステン酸アンモニウム水溶液を516g(純度50%)添加した。さらに、粉体シリカ8.60kgを77.4kgの水に分散させ、そのまま50℃で1時間熟成をして原料調合液(III)を得た。
【0451】
(調合槽で得られた原料調合液の噴霧乾燥)
原料調合液(III)の調合完了前までに、210℃に加熱された空気と80kg/Hrの供給量に調整した50℃の温水を遠心式噴霧乾燥機に供給し、予め乾燥機入口温度210℃、出口温度120℃とした。
噴霧乾燥機出口温度が変動しないように噴霧乾燥機に供給する原料調合液の供給量を調整したところ、供給量は100kg/Hrになった。その間、出口温度は120±5℃で大きな変動はなかった。
【0452】
(紫外可視反射スペクトルの測定)
得られた乾燥品を1日ごとにサンプリングし、得られた10個のサンプリング品のうち0.5gを、日本分光社製JASCO UV/VISスペクトロメーターV−650を用いて、200−800nmの範囲を拡散反射法で測定した。ベースライン用標準物質としてLabspere社製スペクトラロンを使用した。吸光度最大値は1.02であった。600nmにおける吸光度は0.31〜0.36であり、特開2009−148749号公報の記載を参照し、高性能が予想できる吸光度であったため、得られた噴霧乾燥品は選別せずに全量分級操作に使用した。
【0453】
(分級操作)
得られた乾燥品を目開き25μmの篩を用いて分級し、分級品を得た。得られた分級品の25μm以下の粒子含有率は0.8質量%であり、平均粒子径は55μmであった。
【0454】
(分級品の焼成)
得られた分級品を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を4回転/分で回転させながら、370℃まで約4時間かけて昇温し、370℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成品を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を4回転/分で回転させながら、前段焼成品を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下685℃まで2℃/minで昇温し、685℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。
【0455】
(酸化物触媒の組成)
酸化物触媒の組成分析を行った結果、金属酸化物の組成はMoV0.21Nb0.09Sb0.200.01Ce0.01であった。また、シリカの担持量は、金属酸化物とシリカから成る触媒の全質量に対して47質量%であった。
【0456】
(比表面積の測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、比表面積は、15.1m/gであった。
【0457】
(突起体の除去)
実施例1と同様に行った。
【0458】
(全細孔容積)
実施例1と同様の方法により測定した結果、全細孔容積は、0.174cm/gであった。
【0459】
(細孔分布)
実施例1と同様の方法により測定した結果、細孔直径60nm未満の細孔の細孔容積の割合は63.8%で、細孔直径120nm超の細孔の細孔容積の割合は0%であった。
【0460】
(平均細孔直径)
実施例1と同様の方法により測定した結果、平均細孔直径は、46nmであった。
【0461】
(結晶子サイズの測定)
実施例1と同様の方法により測定した結果、結晶子サイズは、98nmであった。
【0462】
(プロパンのアンモ酸化反応)
上記で得られた酸化物触媒を用いて、以下の方法により、プロパンを気相アンモ酸化反応に供した。内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に酸化物触媒を35g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.8(sec・g/cc)で供給した。反応後のプロパン転化率は90.1%、アクリロニトリル収率は53.1%、アンモニア燃焼率22.3%であった。
以下の表1に、各実施例及び比較例における触媒の組成及び物性と、アクリロニトリル収率、アンモニア燃焼率を示した。
【0463】
【表1】
【0464】
本出願は、2011年4月21日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2011−095422)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0465】
本発明のシリカ担持触媒は、プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応により対応する不飽和ニトリルを製造する際に用いられる触媒としての産業上利用可能性を有する。