特許第5710772号(P5710772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネッツシュ−ファインマールテヒニック ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許5710772-攪拌型ボールミル 図000002
  • 特許5710772-攪拌型ボールミル 図000003
  • 特許5710772-攪拌型ボールミル 図000004
  • 特許5710772-攪拌型ボールミル 図000005
  • 特許5710772-攪拌型ボールミル 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710772
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】攪拌型ボールミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20150409BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B02C17/16 B
   B02C17/18 Z
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-535278(P2013-535278)
(86)(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公表番号】特表2013-540584(P2013-540584A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】DE2011001864
(87)【国際公開番号】WO2012055388
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2013年6月25日
(31)【優先権主張番号】102010049827.0
(32)【優先日】2010年10月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508277243
【氏名又は名称】ネッツシュ−ファインマールテヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ウード エンデルレ
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−518525(JP,A)
【文献】 特開2007−190447(JP,A)
【文献】 特開平07−008823(JP,A)
【文献】 特表平03−503025(JP,A)
【文献】 特開平02−099152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/16
B02C 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥又は非乾燥物質を粉砕する攪拌型ボールミル(10)であって,
・粉砕補助体(30)が少なくとも一部に収められた粉砕容器(12)と,
・被粉砕原料(52)又は粉砕原料用の入口(14)及び出口(18)と,
・出口領域(20)に配置した、前記粉砕原料が通過するシーブ(24)と,
・粉砕容器(12)の中央部を延在する撹拌シャフト(26)と,
・撹拌シャフト(26)に配置された複数の粉砕要素(28)と,
を備える攪拌型ボールミルにおいて,
・入口領域(16)に前記撹拌シャフト(26)と共に回転する第1ケージ(38)が,また出口領域(20)には前記撹拌シャフト(26)と共に回転する第2ケージ(40)がそれぞれ設けられ,入口領域(16)には流体用の入口(15)が設けられ,更に,
・シーブ(24)の中央部には、前記シーブ(24)を浄化する浄化装置(31)が配置されている,
ことを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,浄化装置(31)は,シーブ(24)の中央部において回転可能であると共に,浄化媒体を放出するための少なくとも1つの手段を有していることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項3】
請求項2に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,浄化装置(31)に対する浄化媒体の供給は,撹拌シャフト(26)内を延在するチャネル(27)を介して行われることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項4】
請求項2に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,浄化媒体が流体であることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項5】
請求項4に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,前記流体が空気,不活性ガス又は蒸気であることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項6】
請求項2に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,浄化装置(31)に対する浄化媒体の供給及び/又は供給頻度は,制御可能であることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,前記シーブ(24)には,前記粉砕原料を攪拌型ボールミル(10)から搬出する導出手段(22)が後続的に連結されていることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項8】
請求項1に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,入口領域(16)及び出口領域(20)における粉砕要素(28a,28b)は,粉砕原料及び粉砕補助体(30)を粉砕容器(12)の中央部(34)に搬送するよう形成されていることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項9】
請求項8に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,入口領域(16)に設けられた少なくとも最前の粉砕要素(28a)は,前記粉砕原料及び粉砕補助体(30)を攪拌型ボールミル(10)の搬送方向(F)に搬送するよう形成されていることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項10】
請求項8に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,少なくとも出口領域(20)に設けられた最後の粉砕要素(28b)は,前記粉砕原料及び粉砕補助体(30)を攪拌型ボールミル(10)の搬送方向(F)とは逆方向に搬送するよう形成されていることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一項に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,入口領域(16)及び/又は出口領域(20)に設けられた粉砕要素(28a,28b)は,少なくとも1個の付加的要素(36)を有し,入口領域(16)における粉砕要素(28a)の付加的要素(36)は,攪拌型ボールミル(10)の搬送方向(F)に向けて傾斜し,また出口領域(20)における粉砕要素(28b)の付加的要素(36)は,攪拌型ボールミル(10)の搬送方向(F)とは逆方向に傾斜していることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項12】
請求項11に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,前記付加的要素(36)は,粉砕要素(28a,28b)に分離可能に連結されていることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項13】
請求項1に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,入口領域(16)に設けられた第1ケージ(38)と、出口領域(20)に設けられた第2ケージ(40)とはそれぞれ、前記第1ケージ(38)の外周と前記第2ケージ(40)の外周とに配置され、前記粉砕原料が通過する、ケージウェブ(42)を備え、前記第1ケージ(38)のケージウェブ(42)の数が、前記第2ケージ(40)のケージウェブ(42)の数よりも少ないことを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項14】
請求項13に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,第2ケージ(40)のケージウェブ(42)は,第1ケージ(38)のケージウェブ(42)よりも高い周速度で動くことを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,第1ケージ(38)は,入口(14)領域及び/又は流体用の入口(15)領域に設けられていることを特徴とする攪拌型ボールミル。
【請求項16】
請求項15に記載の攪拌型ボールミル(10)であって,第2ケージ(40)の直径(D2)は,第1ケージ(38)の直径(D1)よりも大きいことを特徴とする攪拌型ボールミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,乾燥又は非乾燥物質を効果的に粉砕するための攪拌型ボールミルに関するものである。
【0002】
本発明が適用される,乾燥又は非乾燥物質を粉砕するための攪拌型ボールミルには,粉砕容器が設けられている。この粉砕容器は,被粉砕原料用の入口と,流体用の入口と,原料用の出口とを有し,出口領域にシーブが設けられている。攪拌容器の中央部又はその近傍には,複数の粉砕要素を配置した撹拌シャフトが延在している。更に,攪拌容器の一部には粉砕補助体が収められる。攪拌型ボールミルの入口領域に第1ケージが,また出口領域には第2ケージが設けられている。
【背景技術】
【0003】
ドイツ特許第3642320号明細書(特許文献1)は,特に顔料を乾式粉砕する攪拌型ボールミルを開示しており,この攪拌型ボールミルは,粉砕体を有し,かつ被粉砕原料用の入口及び粉砕原料用の出口を設けた円筒状容器を備える。この場合,容器の軸線には駆動可能な攪拌器が配置され,容器内壁から攪拌器の有効面までの間隔は,粉砕体の直径よりも小さいものとされている。この従来既知の攪拌型ボールミルには少なくとも2つの有効面を設け,これら有効面が容器側面に沿い延在すると共に,容器を軸線方向への拡がりにおいて完全に攪拌可能としている。
【0004】
ドイツ特許出願公告第1288890号明細書(特許文献2)は,高速回転可能な攪拌型ボールミルにおいて,固体原料を乾式微粉砕する方法を開示している。この攪拌型ボールミルにおける垂直配置された粉砕容器では,一部に粉砕体を収め,気体が流通する構成としている。粉砕原料の流動だけでなく,ほぼ粉砕体・粉砕原料鉱物のみを恒久的かつ直接に通るよう導かれる気体流は,粉砕体間の空間が粉砕原料で10〜60%の割合に満たされるよう制御されるものである。この攪拌型ボールミルの攪拌器は,撹拌シャフトに同心円状に取り付けられ,かつ容器内全体に及ぶ平坦な円盤として構成される。
【0005】
ドイツ特許第1184611号明細書(特許文献3)は,水平面に旋回可能な円形シーブと,シーブをエアジェット法で浄化するためにシーブ面の下方に配置した回転可能な手段とで構成するシーブ装置を開示している。このエアジェット法に基づくシーブにおける浄化手段は,エアガイド管として構成されるものであり,かかるエアガイド管は,エア流出開口を設けた状態でシーブの下方において容易に回転可能に収容され,送風機からのエアが供給される中央部の分配チャンバに連結している。これらエア流出開口の少なくとも一部は,流出するエアの反動に起因して,エアガイド管がそのホルダと共に,シーブ面に対して平行な周運動に変換されるよう配置されている。
【0006】
ドイツ特許第2414686号明細書(特許文献4)は,空圧によって上方からシーブ面に搬送供給された微細な濾過原料混合物を,シーブ面を通過させることにより濾過する方法を開示している。この場合のシーブには,原料の搬送方向とは逆方向に作用する空圧式のシーブ浄化手段,即ちシーブ面の下部を全面に亘って周期的に浄化する圧縮空気送風機が設けられている。シーブを通るよう逆側から吹き出される浄化用エアジェットの頻度及び強さは,濾過原料の流動に対して十分であるため,微粒子厚以上の濾過原料の堆積が回避される。
【0007】
ドイツ実用新案登録第202008006745号明細書(特許文献5)は,環状体と,この環状体に分離可能に結合している複数のカムとを備える粉砕盤を開示している。これらのカムは,セラミック素材,好適にはイットリア安定化ジルコニアで構成すると共に,環状体の半径方向にネジ固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許第3642320号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公告第1288890号明細書
【特許文献3】ドイツ特許第1184611号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第2414686号明細書
【特許文献5】ドイツ実用新案出願登録第202008006745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は,乾燥又は非乾燥物質を経済的に,しかも高い信頼性をもって超微細な粉砕原料に粉砕する攪拌型ボールミルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は,請求項1の特徴を含む攪拌型ボールミルにより解決される。更なる有利な特徴は,従属請求項に記載したとおりである。
【0011】
乾燥又は非乾燥物質を粉砕する本発明の攪拌型ボールミルは,少なくとも一部に粉砕補助体が収められた粉砕容器を備える。この粉砕容器には,被粉砕原料又は粉砕原料用の入口及び出口と,流体用の入口とが設けられている。供給された空気は,攪拌型ボールミル内における原料又は粉砕原料を搬送するための搬送媒体として使用される。空気の代わりとして,より適した流体を粉砕用に使用できることは言うまでもない。例えば,爆発性物質の場合には不活性ガスが使用可能である。更に,攪拌型ボールミルの出口領域には,導出手段が後続的に連結されたシーブが配置されている。この導出手段により,シーブを通過した粉砕原料を確実に搬出することができる。粉砕容器の中央部には,複数の粉砕要素を配置した撹拌シャフトが延在している。
【0012】
攪拌型ボールミルの入口領域には第1ケージを,また出口領域には第2ケージを設ける構成としている。シーブの中央部には浄化装置が配置され,この浄化装置によりシーブの外側にある粉砕原料を除去することができる。入口領域及び出口領域に配置された粉砕要素は,粉砕原料及び粉砕補助体を粉砕容器の中央部に搬送するよう形成されている。これにより原料又は粉砕補助体が正確にガイドされるため,本発明に係る攪拌型ボールでは極めて高い効率性が実現可能である。
【0013】
浄化装置は,シーブの中央部において回転可能であると共に,浄化媒体を放出するための少なくとも1つの手段を有する。浄化装置への浄化媒体の供給は,撹拌シャフト内を延在するチャネルを介して行われる。
【0014】
浄化媒体としては,気体及び/又は蒸気状の液体を使用することができる。浄化媒体は,被粉砕原料の要求に応じて選択されるものである。乾式粉砕において蒸気を使用する場合,原則的には過熱蒸気のみとする。気体を使用する場合には,好適には空気又は不活性ガスとする。本発明に係る攪拌型ボールミルには,特に空気の使用が適している。なぜなら空気の取扱には,機械や操作者に対して特に要求が課せられないからである。
【0015】
浄化装置への浄化媒体の供給及び/又は供給頻度は,自由に制御可能である。シーブは,個別に配置され,又はシーブ用のカートリッジに組み込まれるものとする。
【0016】
入口領域に設けられた少なくとも最前の粉砕要素は,粉砕原料及び粉砕補助体を攪拌型ボールミルの搬送方向に搬送するよう形成されている。これに対して,出口領域に設けられた少なくとも最後の粉砕要素は,粉砕原料及び粉砕補助体を攪拌型ボールミルの搬送方向とは逆方向に搬送するよう形成されている。
【0017】
入口領域及び出口領域に設けられた粉砕要素は,少なくとも1個の付加的要素を有し,この付加的要素により粉砕原料及び粉砕補助体の搬送が保証されている。入口領域における粉砕要素の付加的要素は攪拌型ボールミルの搬送方向に向けて傾斜し,また出口領域における搬送要素の付加的要素は攪拌型ボールミルの搬送方向とは逆方向に傾斜している。
【0018】
これらの付加的要素は粉砕要素に分離可能に連結されているため,粉砕工程の要求に応じて,粉砕要素に対する付加的要素の傾斜角を適合させることが可能である。
【0019】
入口領域に設けられた第1ケージは,出口領域に設けられた第2ケージよりも少数のケージウェブを有する。また,第2ケージのケージウェブは,第1ケージのケージウェブよりも高い周速度で動くものとしている。更に,第1ケージは,入口領域及び/又は流体用の入口領域に設けられている。
【0020】
第2ケージは,第1ケージよりも大径とする。第1ケージは第2ケージよりも周速が低いため,被粉砕原料を気流内で均一に分散することができるだけでなく,粉砕補助体をシーブ面からほぼ完全に遠ざけておくことができる。これらの利点は,第1ケージ及び第2ケージの直径を異ならせること以外には,ケージの個別駆動でしか実現できないが,その場合の機械的及び制御技術的コストは大幅に増加する。
【0021】
本発明の課題を解決するには,攪拌型ボールミルが特に上述の特徴を備えることが望ましい。これらの特徴は,特に,互いに異なるよう形成したケージと,入口領域及び出口領域における付加的要素を設けた粉砕要素と,出口領域における浄化装置を設けたシーブとを含むものである。乾燥物質の精製には困難が伴うため,これらの部材による組み合わせ及び相互作用が必要とされるのである。
【0022】
以下,図面に基づく実施形態により本発明及びその利点を詳述する。図面における個別要素の寸法比は,必ずしも原寸比に対応するものではない。一部の形態は簡略化して示され,他の形態は明瞭性を高める見地から誇張して示されているからである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る攪拌型ボールミルの構造を示す説明図である。
図2】攪拌型ボールミルの入口領域の構造を示す説明図である。
図3】浄化装置が設けられた出口領域の構造を示す説明図である。
図4】付加的な粉砕要素の構造を示す線図的な側面図である。
図5】付加的な粉砕要素の好適例の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は,本発明に係る攪拌型ボールミル10の構造を概略的に示す。攪拌型ボールミル10は,主として,粉砕容器12と,互いに異なる粉砕要素28,28a,28bを配置した撹拌シャフト26とで構成されている。粉砕容器12は,被粉砕原料用の入口14,流体用の入口15及び出口18を設けた粉砕容器壁13で構成されている。粉砕原料を攪拌型ボールミル10で搬送するには,搬送媒体としての空気が流体用の入口15を介して導入される。入口領域16及び出口領域20の撹拌シャフト26上には,いわゆるケージ38,40を配置している。第1ケージ38は入口領域16に,また第2ケージ40は出口領域20に設けるものである。攪拌型ボールミル10の入口領域16における第1ケージ38により,被粉砕原料及び搬送空気が混合される。ケージ38,40が撹拌シャフト26と共に回転することにより,粉砕補助体30及び未粉砕原料が撹拌シャフト26から離れて,粉砕容器壁13方向に動かされる。ケージ38,40は,異なるケージウェブ42により形成する。更に,第1ケージ38は,第2ケージ40よりも少数のケージウェブ42を有するものとする。入口14の直後に設けられている最前の粉砕要素28aと,出口18の直前に設けられている最後の粉砕要素28bは,他の粉砕要素28とは異ならせている。第1粉砕要素28a及び第2粉砕要素28bには,粉砕原料及び粉砕補助体30の流動に作用するための付加的要素36が設けられている。これら付加的要素36は傾斜させているため,粉砕原料及び粉砕補助体30が攪拌型ボールミル10の中央部34に導かれる。即ち,粉砕原料及び粉砕補助体30は入口領域16から搬送方向Fに導かれ,また粉砕要素28bにより出口領域20から搬送方向Fとは逆方向に導かれるものである。
【0025】
攪拌型ボールミル10の出口領域20では,シーブ24が第2ケージ40内に配置されている。このシーブ24は,粉砕補助体30を出口18から隔離させておくために機能するものである。シーブ24の中央部には回転可能な浄化装置31を配置しており,シーブ24を浄化媒体によって内部から外部に向け浄化可能である。
【0026】
乾燥した粉砕原料を攪拌型ボールミル10から恒久的に搬出可能とするため,図示の攪拌型ボールミル10には螺旋状の導出手段22が設けられている。
【0027】
図2は,攪拌型ボールミルの入口領域16の概略構造を示す。被粉砕原料52は,一定量がロータリバルブ50を介して入口14に投入され,入口14から攪拌型ボールミル10内に供給されるものである。原料52は,更に導管51を介して撹拌シャフト26近傍に搬送される。撹拌シャフト26領域では,原料52が原料ガイド部54により第1ケージ38の中央部に導かれる構成とする。この中央部において,第1ケージ38から粉砕容器12への原料の流れMSは,流体用の入口15から粉砕容器12内に流入する気流LSと合流する。撹拌シャフト26が動かす第1粉砕要素28aにより,原料52及び空気56並びに原料52及び粉砕補助体30より成る混合物は,攪拌型ボールミルの領域のうち,粉砕補助体の密度が最大である中央ゾーン(図示せず)に搬送される。
【0028】
更に,図2には,流体用の入口15に隣接する加熱及び/又は冷却材用の入口62を示す。入口62により,加熱及び/又は冷却材を二重に形成された粉砕容器壁13内に導入し,粉砕容器12内の温度を粉砕工程にとって最適に調整することが可能とされている。
【0029】
図3は,シーブ24のための浄化装置31が設けられた出口領域20の概略構造を示す。浄化装置31は,撹拌シャフト26の延長線上におけるシーブ24の中央部に設けられている。浄化装置31のベース部32は円錐状に形成されており,直径が撹拌シャフト26から出口18方向に向けて縮小している。浄化装置31は,撹拌シャフト26と共に,該撹拌シャフト26の中心軸線25周りに回転可能である。撹拌シャフト26内を延在するチャネル27により,浄化媒体が浄化装置31に供給される。この浄化媒体は,回転する浄化装置31の放出チャネル33からシーブ24内に加圧下で吹き出されるものである。これにより,シーブ24に付着している粉砕材料が出口領域20に戻され,又は第2ケージ40内に搬送される。図示の実施形態において,浄化装置31の放出チャネル33は上向きとされているため,浄化媒体はシーブ24の半径方向を通るよう方向ABに吹き出される。放出チャネル33がシーブ24の一部分に集中していることにより,シーブ24の残部では粉砕原料が自由に通過することができる。従って,浄化を粉砕工程中に行うこともできる。
【0030】
図4は,粉砕要素28a,28bの構造を示す線図的な側面図である。各粉砕要素28a,28bには,複数の付加的要素36が設けられている。図示の実施形態における付加的要素36は傾斜させているため,この場合の粉砕原料は搬送方向Fに搬送される。粉砕要素28a,28bは回転対称的に形成され,撹拌シャフト(図示せず)によって回転軸線25周りに回転させることができる。
【0031】
図5は,粉砕要素28a,28bの好適例の概略構造を示す。この場合の粉砕要素28a,28bは,三角状の基体29を備える。基体29の中央部には,撹拌シャフト(図示せず)用の軸受部44が設けられている。付加的要素36は,ネジ48を使用して基体29の丸角部分に固定している。更に,基体29の三箇所には切欠46を形成しておく。これら切欠46は,回転対称性の観点から付加的要素36の近傍に設けるものである。
【0032】
付加的要素36はネジ48により基体29に固定されているため,交換可能及び/又は基体における任意の位置に固定可能である。図示の実施形態における付加的要素36は,粉砕要素28a,28bにおいて,粉砕容器壁(図示せず)に最近接する箇所に配置されている。このため,これら箇所における磨耗が最も大きい。付加的要素36がこれら箇所に交換可能に配置されていることにより,付加的要素36を耐磨耗材料で構成することもできる。
【符号の説明】
【0033】
10 攪拌型ボールミル
12 粉砕容器
13 粉砕容器壁
14 入口
15 流体用の入口
16 入口領域
18 出口
20 出口領域
22 導出手段
24 シーブ
25 撹拌シャフトの中心軸線
26 撹拌シャフト
27 浄化媒体用のチャネル
28 粉砕要素
28a 入口直後に配置する第1粉砕要素
28b 出口直前に配置する第2粉砕要素
29 基体
30 粉砕補助体
31 浄化装置
32 浄化装置のベース部
33 浄化媒体用の放出チャネル
34 粉砕容器の中央部
36 付加的要素
38 第1ケージ
40 第2ケージ
42 ケージウェブ
44 軸受部
46 切欠
48 ネジ
50 ロータリバルブ
51 導管
52 原料
54 原料ガイド部
56 空気
58 攪拌型ボールミルの上側
60 攪拌型ボールミルの下側
62 加熱及び/又は冷却材用の入口
AB 方向
F 搬送方向
D1 直径
D2 直径
MS 原料の流れ
LS 気流
図1
図2
図3
図4
図5