【実施例】
【0037】
[実施例1(
本発明の実施例ではない。)]
内容積5Lのテフロン製反応容器に、イオン交換水4200gと水酸化ストロンチウム・八水和物(カルシウム含有量:0.001質量%以下、バリウム含有量:0.001質量%以下、硫黄含有量:0.001質量%以下)450gを投入して、水酸化ストロンチウム濃度4.43質量%の水酸化ストロンチウム懸濁液を調製した。反応容器を温浴して、懸濁液の液温を40℃に調節した後、撹拌機にて懸濁液を撹拌しながら、空気と二酸化炭素ガスとの混合ガスを、空気5L/分、二酸化炭素ガス5L/分(懸濁液中の水酸化ストロンチウム1gに対して、空気約24mL/分、二酸化炭素ガス約24mL/分)となる流量にて導入して水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させた。炭酸化中は、懸濁液のpHの測定を行ない、懸濁液のpHが7を下回った時点で二酸化炭素ガスの導入を停止した。
【0038】
得られた炭酸ストロンチウム懸濁液の固形分濃度を13質量%に調整した後、該炭酸ストロンチウム懸濁液をメディアミル(型式:AMC12.5、有効容量:9.0L、アシザワ・ファインテック(株)製)に投入し、直径300μmの酸化ジルコニウム製ビーズを用いて、ビーズ充填量80体積%、周速7m/秒、滞留時間69分の条件にて、該懸濁液中の炭酸ストロンチウム粒子を粉砕した。粉砕開始後、滞留時間35分間経過後に、炭酸ストロンチウム懸濁液に、ポリカルボン酸アンモニウム塩としてSNディスパーサント5468(サンノプコ株式会社製)を固形分に対して6質量%となる量にて添加した。
【0039】
粉砕後の炭酸ストロンチウム懸濁液を、スプレードライヤを用いて乾燥して炭酸ストロンチウム微粉末を得た。得られた炭酸ストロンチウム粉末のBET比表面積は38.0m
2/gであった。得られた炭酸ストロンチウム微粉末の粒子形状を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)により観察したところ、微細な粒状であることが確認された。FE−SEM写真から画像解析ソフトウェア((株)マウンテック製、MacView ver3.5)を用いて、一次粒子の投影面積円相当径とアスペクト比を測定した結果、投影面積円相当径の平均は60nm、その投影面積円相当径の平均に対する変動係数25%、そしてアスペクト比の平均は1.30であった。
【0040】
得られた炭酸ストロンチウム微粉末の細孔分布を下記の方法により測定した。その結果、細孔径10nm未満の細孔の累積細孔容積は2.52×10
-2cm
3/g、細孔径10〜20nmの細孔の累積細孔容積は7.11×10
-2cm
3/gであった。
【0041】
得られた炭酸ストロンチウム微粉末のレーザー回折散乱法による体積基準の粒度分布を下記の方法により測定した。その結果、体積基準の平均粒子径は156nmであり、粒子径が1000nm以上の粒子は見られなかった。体積基準の平均粒子径(156nm)は、電子顕微鏡写真の画像解析によって求められた一次粒子の投影面積円相当径の平均(60nm)の約2.6倍であり、得られた炭酸ストロンチウム微粉末は高い分散性を示すことが確認された。
【0042】
[細孔径分布の測定方法]
Quantachrome(株)製、全自動ガス吸着量測定装置(Autosorb−3B)を用いて、窒素ガス吸着法により、脱離等温線を測定し、その脱離等温線のデータからBJH法により累積細孔容積の分布を求める。なお、等温吸着線の測定に際しては、測定対象粉末の量を0.2〜0.3gとし、前処理として真空ポンプで脱気しながら200℃で1時間乾燥する。
【0043】
[レーザー回折散乱法による体積基準の粒度分布の測定方法]
測定対象粉末0.5gと濃度0.2質量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液50mLとを、容量100mLのガラス製ビーカに投入し、出力55Wの超音波バス(アズワン(株)製、US−1A)を用いて、6分間分散処理を行なって炭酸ストロンチウム懸濁液を調製する。次いで該炭酸ストロンチウム懸濁液に含まれる炭酸ストロンチウム粒子の体積基準の粒度分布を、レーザー回折散乱法粒度分布計(Microtrac HRA、日機装(株)製)を用いて測定する。
【0044】
[実施例2(
本発明の実施例ではない。)]
内容積5Lのテフロン製反応容器に、イオン交換水4200gと水酸化ストロンチウム・八水和物(カルシウム含有量:0.001質量%以下、バリウム含有量0.001質量%以下、硫黄含有量:0.001質量%以下)500gを投入して、水酸化ストロンチウム濃度4.87質量%の水酸化ストロンチウム懸濁液を調製した。該水酸化ストロンチウム懸濁液にクエン酸・一水和物1.3gを添加して室温にて撹拌機で10分間撹拌して溶解した後、撹拌しながら二酸化炭素ガスを5L/分(懸濁液中の水酸化ストロンチウム1gに対して約22mL/分)となる流量にて導入して、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させた。炭酸化中は、懸濁液のpHの測定を行ない、懸濁液のpHが7を下回った時点で二酸化炭素ガスの導入を停止した。
【0045】
得られた炭酸ストロンチウム懸濁液の固形分濃度を11質量%に調整した後、該炭酸ストロンチウム懸濁液を実施例1と同じメディアミルに投入し、平均粒子径300μmの酸化ジルコニウム製ビーズを用いて、ビーズ充填量80体積%、周速7m/秒、滞留時間60分の条件にて、該懸濁液中の炭酸ストロンチウム粒子を粉砕した。粉砕開始後、滞留時間30分間経過後に、炭酸ストロンチウム懸濁液にマリアリムAKM−1511−60(日本油脂株式会社製)を固形分に対して8質量%となる量にて添加した。
【0046】
粉砕後の炭酸ストロンチウム懸濁液を、スプレードライヤを用いて乾燥して炭酸ストロンチウム微粉末を得た。得られた炭酸ストロンチウム微粉末のBET比表面積は15.6m
2/gであった。得られた炭酸ストロンチウム微粉末の粒子形状をFE−SEMにより観察したところ、微細な粒状であることが確認された。FE−SEM写真から画像解析ソフトウェアを用いて一次粒子の投影面積円相当径とアスペクト比を測定した結果、投影面積円相当径の平均は47nm、その投影面積円相当径の平均に対する変動係数は28%、そしてアスペクト比の平均は1.37であった。
【0047】
得られた炭酸ストロンチウム微粉末の細孔分布を実施例1と同様に測定した。その結果、細孔径10nm未満の細孔の累積細孔容積は2.75×10
-2cm
3/g、細孔径10〜20nmの細孔の累積細孔容積は9.15×10
-2cm
3/gであった。
【0048】
得られた炭酸ストロンチウム微粉末のレーザー回折散乱法による体積基準の粒度分布を実施例1と同様に測定した。その結果、体積基準の平均粒子径は144nmであり、粒子径が1000nm以上の粒子は見られなかった。体積基準の平均粒子径(144nm)は、電子顕微鏡写真の画像解析によって求められた一次粒子の投影面積円相当径の平均(47nm)の約3.1倍であり、得られた炭酸ストロンチウム微粉末は高い分散性を示すことが確認された。
【0049】
[参考例1]
内容積5Lのテフロン(ポリテトラフルオロエチレン)製反応容器に、イオン交換水4200gと水酸化ストロンチウム・八水和物(カルシウム含有量:0.001質量%以下、バリウム含有量:0.001質量%以下、硫黄含有量:0.001質量%以下)500gを投入して、水酸化ストロンチウム濃度4.87質量%の水酸化ストロンチウム懸濁液を調製した。反応容器を温浴して、懸濁液の液温を50℃に調節した後、撹拌機にて懸濁液を撹拌しながら、二酸化炭素ガスを5L/分(懸濁液中の水酸化ストロンチウム1gに対して約22mL/分)となる流量にて導入して、水酸化ストロンチウムを炭酸化させて炭酸ストロンチウム粒子を生成させた。炭酸化中は、懸濁液のpHの測定を行ない、懸濁液のpHが7を下回った時点で二酸化炭素ガスの導入を停止した。
【0050】
得られた炭酸ストロンチウム懸濁液の固形分濃度を7質量%に調整した後、該炭酸ストロンチウム懸濁液を実施例1と同じメディアミルに投入し、平均粒子径300μmの酸化ジルコニウム製ビーズを用いて、ビーズ充填量80体積%、周速7m/秒、滞留時間53分の条件にて、該懸濁液中の炭酸ストロンチウム粒子を粉砕した。粉砕開始後、滞留時間20分間経過後に、炭酸ストロンチウム懸濁液に、ポリカルボン酸アンモニウム塩としてポイズ2100(花王株式会社製)を固形分に対して8質量%となる量にて添加した。
【0051】
粉砕後の炭酸ストロンチウム懸濁液を、スプレードライヤを用いて乾燥して炭酸ストロンチウム微粉末を得た。得られた炭酸ストロンチウム微粉末のBET比表面積は40.2m
2/gであった。得られた炭酸ストロンチウム微粉末の粒子形状をFE−SEMにより観察したところ、微細な粒状であることが確認された。FE−SEM写真から画像解析ソフトウェアを用いて一次粒子の投影面積円相当径とアスペクト比を測定した結果、投影面積円相当径の平均は63nm、その投影面積円相当径の平均に対する変動係数32%、そしてアスペクト比の平均は1.28であった。
【0052】
得られた炭酸ストロンチウム微粉末の細孔分布を実施例1と同様に測定した。その結果、細孔径10nm未満の細孔の累積細孔容積は1.98×10
-2cm
3/g、細孔径10〜20nmの細孔の累積細孔容積は4.89×10
-2cm
3/gであった。
【0053】
得られた炭酸ストロンチウム微粉末のレーザー回折散乱法による体積基準の粒度分布を実施例1と同様に測定した。体積基準の粒度分布から求められた体積基準の平均粒子径は3337nmであり、電子顕微鏡写真の画像解析によって求められた一次粒子の投影面積円相当径の平均(63nm)の約53倍と、実施例1及び実施例2の炭酸ストロンチウム微粉末と比べて大きい値を示した。
【0054】
[実施例3]
内容積5Lのテフロン製反応容器に、イオン交換水3000gと水酸化バリウム・八水和物404.5gを投入して、水酸化バリウム濃度5.17質量%の水酸化バリウム懸濁液を調製した。水酸化バリウム懸濁液にクエン酸・一水和物4.2gを添加し、懸濁液を撹拌機にて撹拌しながら、反応容器を冷却し、懸濁液の液温を10℃に調節した後、二酸化炭素ガスを0.5L/分(懸濁液中の水酸化バリウム1gに対して約2.8mL/分)となる流量にて導入して、水酸化バリウムを炭酸化させて、炭酸バリウム粒子を生成させた。炭酸化中は、懸濁液のpHの測定を行ない、懸濁液のpHが7を下回った時点で、二酸化炭素ガスの導入と撹拌を停止した。
【0055】
合成した炭酸バリウム懸濁液の固形分濃度を9質量%に調整した。この炭酸バリウム懸濁液を、ビーズ(酸化ジルコニウム製、直径300μm)が容器の全容積に対して70体積%充填されているポリプロピレン容器に、該容器内の内容物量が容器の全容積に対して81.5体積%になるように投入し、該容器中に投入した懸濁液中の炭酸バリウム粒子を、ロッキングミルを用いて粉砕した。粉砕開始から30分経過後に、炭酸バリウム懸濁液にマリアリムAKM−1511−60(日本油脂株式会社製)を固形分に対して6質量%となる量にて添加し、さらに20分間ロッキングミルにて、該懸濁液中の炭酸バリウム粒子を粉砕した。
【0056】
粉砕後の炭酸バリウム懸濁液を、ドラムドライヤを用いて乾燥して炭酸バリウム微粉末を得た。得られた炭酸バリウム微粉末の粒子形状をFE−SEMにより観察したところ、微細な粒状であることが確認された。FE−SEM写真から画像解析ソフトウェアを用いて一次粒子の投影面積円相当径とアスペクト比を測定した結果、投影面積円相当径の平均は61nm、その投影面積円相当径の平均に対する変動係数は22%、そしてアスペクト比の平均は1.58であった。
【0057】
得られた炭酸バリウム微粉末の細孔分布を実施例1と同様に測定した。その結果、細孔径10nm未満の細孔の累積細孔容積は2.18×10
-2cm
3/g、細孔径10〜20nmの細孔の累積細孔容積は10.2×10
-2cm
3/gであった。
【0058】
得られた炭酸バリウム微粉末のレーザー回折散乱法による体積基準の粒度分布を実施例1と同様に測定した。その結果、体積基準の平均粒子径は252nmであり、粒子径が1000nm以上の粒子の含有率は4体積%であった。体積基準の平均粒子径(252nm)は、電子顕微鏡写真の画像解析によって求められた一次粒子の投影面積円相当径の平均(61nm)の約4.1倍であり、得られた炭酸バリウム微粉末は高い分散性を示すことが確認された。