(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記演算結果からCRCエラーが所定の確率未満で発生している場合に、最後にCRC値が一致した特定のデータに含まれるラベル情報に基づき、前記表示手段に対してラベル情報の表示を更新するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタルオーディオ放送受信装置。
前記制御手段は、前記演算結果から複数回連続してCRC値が一致していない場合に、前記表示手段に対して表示中のラベル情報の表示を維持するよう制御することを特徴とする請求項3に記載のデジタルオーディオ放送受信装置。
複数の放送番組が多重化されて送信されてくるデジタル放送の電波から、指示に応じて選択された放送波信号に含まれる複数の特定のデータについてCRC演算を行い、該演算結果と当該特定のデータに含まれるCRCデータとの比較に基づき、表示手段に対して受信中の番組に係るラベル情報の表示を制御する機能を備えたデジタルオーディオ放送受信装置において実施されるラベル情報表示方法であって、
前記選択された放送波信号の受信状態を検出するステップと、
前記受信状態が所定レベル未満になったときに、複数の特定のデータを読み込んでそれぞれCRC演算を行うステップと、
前記演算結果から所定の確率以上でCRCエラーが発生している場合に、前記表示手段において表示中のラベル情報の表示を維持するステップとを含むことを特徴とするデジタルオーディオ放送受信装置のラベル情報表示方法。
さらに、前記演算結果からCRCエラーが所定の確率未満で発生している場合に、最後にCRC値が一致した特定のデータに含まれるラベル情報に基づき、前記表示手段においてラベル情報の表示を更新するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のデジタルオーディオ放送受信装置のラベル情報表示方法。
複数の放送番組が多重化されて送信されてくるデジタル放送の電波から、指示に応じて選択された放送波信号に含まれる複数の特定のデータについてCRC演算を行い、該演算結果と当該特定のデータに含まれるCRCデータとの比較に基づき、表示手段に対して受信中の番組に係るラベル情報の表示を制御する機能を備えたデジタルオーディオ放送受信装置において実施されるラベル情報表示方法であって、
前記選択された放送波信号の受信状態を検出するステップと、
前記受信状態が所定レベル未満になったときに、特定のデータを順次読み込んでそれぞれCRC演算を行うステップと、
前記演算結果から複数回連続してCRC値が一致している場合に、その連続している最後の特定のデータに含まれるラベル情報に基づき、前記表示手段においてラベル情報の表示を更新するステップとを含むことを特徴とするデジタルオーディオ放送受信装置のラベル情報表示方法。
さらに、前記演算結果から複数回連続してCRC値が一致していない場合に、前記表示手段において表示中のラベル情報の表示を維持するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載のデジタルオーディオ放送受信装置のラベル情報表示方法。
【背景技術】
【0002】
近年、放送はアナログ放送から、高画質・高音質の出力が可能で各種データの多重等が可能なデジタル放送に移行してきている。既に、欧州ではデジタルオーディオ放送(DAB:Digital Audio Broadcasting)が実用化されている。
【0003】
図2はDABのサービス構造の一例を示したものであり、基本的に3層のツリー状階層構造となっている。上位階層にあるアンサンブル(Ensemble)は、キャリアの中心周波数が同一の電波で伝送されるサービスの単位である。1つのアンサンブルには、中位階層として複数のサービス(Services)が属しており、さらに各サービスには、下位階層として複数のサービスコンポ−ネント(Service components)が属している。
【0004】
このようなDABシステムでは、後で詳述するように、各種サービス用のデータに多重化して、各サービスに付された名称(ラベル)を表示する機能を実現するためのラベルデータが放送局より送信されている。受信側(DAB受信装置)では、そのラベルを用いることによって、受信中のサービス名称を示す文字データを表示手段に表示している。ユーザは、この表示を見ることによって受信中のサービスの内容を認識し、それが所望のサービスであるかどうかを判断することができる。
【0005】
これに関連する技術として、受信中のアンサンブルのFIG(Fast Information Group)からサービスラベルを取得して表示するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1、
図8)。
【0006】
また、DABシステムでは、送信側から受信側に放送信号データが誤りなく伝送されたかどうかを検出するために、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)と呼ばれる誤り検出用の符号を放送信号データに付加し、パケットデータとして所定の周期で送信している。受信側では、そのパケットデータを「データ本体」と「CRC値」に分割し、受信した「データ本体」から当該データのCRCを計算し、その計算したCRC値と受信した「CRC値」とを比較している。ここでいう「データ本体」及び「CRC値」は、それぞれ
図4に示すFIBの構造における「FIBデータ領域(FIB data field)」及び「CRC」に相当する。
【0007】
受信側(DAB受信装置)では、受信した「データ本体」と「CRC値」の両方にエラー(誤り)が無い場合、CRCの比較結果は一致するため、受信したデータにエラーが無かったものとして、受信した「データ本体」を取り込み、所要の処理を行う。例えば、FIBデータに含まれるFIGからサービスラベル情報を取得して、当該番組に係るサービス名を表示手段の画面に表示する。
【0008】
一方、受信した「データ本体」と「CRC値」のいずれか一方にエラーが有る場合、CRCの比較結果は不一致となるため、受信したデータにエラーが有ったものとして、受信した「データ本体」を破棄する。このとき、表示中のサービス名の表示はそのまま維持される。
【0009】
また、受信した「データ本体」と「CRC値」の両方にエラーが有る場合には、通常はCRCの比較結果が不一致となるが、偶然一致する可能性もあった。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本実施形態では、デジタルオーディオ放送受信装置としてDAB受信機を例にとって説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルオーディオ放送(DAB)受信装置20の構成をブロック図の形態で示したものである。
図1に示すように、DAB受信装置20は、アンテナ1と、チューナ2と、A/D変換器3と、ベースバンドデコーダ4と、制御部5と、記憶部6と、操作部7と、表示部8とを備えている。アンテナ1は、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式のデジタル放送の電波を受信する。
【0026】
チューナ2は、アンテナ1を介して受信したDAB(Digital Audio Broadcasting)やDMB(Digital Multimedia Broadcasting) 等のデジタル放送の電波から所望のチャネルに合致した受信周波数の放送波信号を選択的に抽出して、ベースバンドにダウンコンバートして出力する。A/D変換器3は、そのダウンコンバートされたアナログベースバンド信号をデジタル信号に変換する。
【0027】
ベースバンドデコーダ4は、FFT11と、デマルチプレクサ12と、チャネルデコーダ13と、オーディオデコーダ14と、PADデコーダ15と、パケットモードデコーダ16とを有している。FFT11は、A/D変換器3を通してデジタル変換されたベースバンド信号について高速フーリエ変換を行い、受信シンボルを得る。デマルチプレクサ12は、多重化されているデジタル信号を分離する(OFDM復調)。
【0028】
チャネルデコーダ13は、そのOFDM復調で得られた受信シンボルで構成されるDAB伝送フレームから任意の1つの音楽チャネル及び任意のデータチャネルを抽出する。また、チャネルデコーダ13では、その伝送フレームを高速情報チャネル(FIC)と、複数の音楽チャネル及び複数のデータチャネルを有するメインサービスチャネル(MSC)とに分離する。また、MSCからユーザにより選択されたチャネルについて、デインタリーブ、ビタビ復号、エネルギー拡散デスクランブル等の処理を行う。FICについても同様に、ビタビ復号、エネルギー拡散デスクランブル等の処理を行う。
【0029】
チャネルデコーダ13においてデコードされたデジタル信号のうち、MSCに含まれるオーディオデータはオーディオデコーダ14へ送られ、FICに含まれるオーディオデータ以外のプログラムタイプ等のFIGデータ(後述)は制御部5へ送られる。
【0030】
オーディオデコーダ14は、チャネルデコーダ13から出力されるオーディオデータのうち、制御部5から指示されるサブチャネルのオーディオデータをデコードする。デコードされた信号(オーディオデータ)は、図示しないD/A変換器、増幅器及びスピーカを介して音声出力される。PADデコーダ15は、チャネルデコーダ13で抽出された、サービスに付加されたプログラム関連データ(PAD:Programme Associated Data )やMOT(Multimedia Object Transfer)データをデコードして、データを再構成する。パケットモードデコーダ16は、チャネルデコーダ13で抽出された、サービスを構成するパケットをデコードして、データを再構成する。
【0031】
制御部5はマイクロコンピュータにより構成され、他の機能ブロック(チューナ2、ベースバンドデコーダ4、記憶部6、操作部7、表示部8)と協働して、デジタルオーディオ放送の受信に係る各種処理を制御する。
【0032】
先ず、ユーザによる操作部7からの操作によりチャネル設定の制御信号が入力されたときに、チューナ2が受信するチャネルを決定し、このチャネルに合致する受信周波数をチューナ2に設定する。より具体的には、制御部5は、複数のアンサンブル(各アンサンブルはDQPSK−OFDMで変調されているラジオ放送電波で伝送され、1個のアンサンブルは、帯域幅が約1.5MHzである)の中から1個のアンサンブルを指定し、指定情報としてチューナ2へ送る。これを受けてチューナ2は、指定されたアンサンブルの信号(選択された放送波信号)を抽出し、ベースバンドにダウンコンバートして出力する。
【0033】
また、制御部5は、PADデコーダ15と協働して、MOTオブジェクトを再構成したり、チャネルデコーダ13で分離されたFICに含まれる高速情報ブロック(FIB)の一部を構成するFIG(高速情報グループ)を解析して、同一の内容を放送している放送局があるか否か等の判断を行ったり、後述するようにラベル情報(サービスの名称)の表示を制御する。
【0034】
記憶部6は、例えば、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。この記憶部6には、制御部5を介して、受信中の放送の番組情報や、FIC中のFIG等の制御情報が一時的に格納される。
【0035】
操作部7は、ユーザによるDAB受信装置20の操作に必要な各種操作キーやボタン等を備えている。この操作部7は、制御部5を介してチューナ2に対し、所望の放送局を選択するための入力指示を与える。また、この操作部7は、制御部5を介して表示部8に対し、ラベル情報(サービスの名称)を表示させるための入力指示を与える。
【0036】
表示部8は、例えば液晶表示装置(LCD)により構成され、PADデコーダ15又はパケットモードデコーダ16でデコードされて取得したデータを表示する。また、ユーザによる種々の指示を入力するためのメニュー画面を表示する。さらに、本発明に関連する情報として、受信中の選択された番組(サービス)の名称を示す文字データ(ラベル)を表示する。なお、表示部8にタッチパネルを設けた場合には、この表示部8は操作部7として機能する。
【0037】
このように構成されたデジタルオーディオ放送(DAB)受信装置20において、ユーザが選局した放送局の番組(サービス)を受信中に受信状態が悪化したときに、制御部5がこれに接続される他の機能ブロック(チャネルデコーダ13、記憶部6、表示部8等)と協働して、ラベル情報(サービスの名称)の表示を制御するようにする。
【0038】
以下、本実施形態のデジタルオーディオ放送(DAB)受信装置20において行うラベル情報(サービスの名称)の表示に係る処理について、
図2〜
図11を参照しながら説明する。
【0039】
図2はDABのサービス構造の一例を示したもので、DABの規格書(EN300401)から抜粋したものである。DABのサービス構造は、
図2に例示するように、基本的に3層のツリー状階層構造となっている。上位階層にあるアンサンブル(Ensemble)は、キャリアの中心周波数が同一の電波で伝送されるサービスの単位である。1つのアンサンブルには、中位階層として複数のサービス(Services)が属し、各サービスには、下位階層として複数のサービスコンポ−ネント(Service components)が属している。
【0040】
アンサンブルラベル(アンサンブル名)がDABアンサンブル1(DAB ENSEMBLE ONE)であるアンサンブルは、サービスラベルがアルファ1ラジオ(ALPHA 1 RADIO) 、ベータラジオ(BETA RADIO)、アルファ2ラジオ(ALPHA 2 RADIO) 等の複数(例えば6個)のサービスを含んでいる。ユーザは、これらサービスのうちから選択したサービスをDAB受信装置で受信することになる。
【0041】
アルファ1ラジオは、プライマリ(primary) のサービスコンポ−ネントを1個、セカンダリ(secondary) のサービスコンポ−ネントを2個有している。プライマリのサービスコンポ−ネントはオーディオ(Audio) であり、セカンダリのサービスコンポ−ネントは交通メッセージチャネル(Traffic Message Channel) とサービス情報(Service Information) である。オーディオ成分とサービス情報はMSC(Main Service Channel)内の別々のサブチャネル(SubCh) で伝送され、TMCはFIC(Fast Information Channel)内のFIDC(Fast Information Data Channel) で伝送される。ベータラジオはサービスコンポ−ネントを2個有し、いずれもオーディオであり、MSCのサブチャネルで伝送される。アルファ2ラジオは、アルファ1ラジオと同一のTMC及びSIを有し、スイッチの切替によってはオーディオもアルファ1ラジオと同じになることがある。
【0042】
図3はDABの伝送フレームの構造を示したものである。
図3に示すように伝送フレーム(Transmission frame)は、前から順に同期チャネル(Synchronization Channel) 、高速情報チャネル(FIC)、及びメインサービスチャネル (MSC)を有している。同期チャネルはフレームを識別するものであり、伝送フレーム同期化、自動周波数制御、チャネル状態推定、送信機識別のような基本的復調器のために用いられる。
【0043】
FICは、受信機が迅速に必要な情報にアクセスできるようにするためのチャネルであり、番組(サービス)を選択するのに必要な各種制御情報などが含まれる。FICは、
図3に示すように複数個のFIB(Fast Information Block)からなる。一方、MSCは、ビデオ、オーディオ、データサービスコンポ−ネントを搬送するために用いられるチャネルであり、
図3に示すように複数個のCIF(Common Interleaved Frame)からなる。各CIFは、複数の音楽用のサブチャネル、複数の一般データ用のサブチャネルが多重化されており、1つのサブチャネルは1つの番組に相当する。また、DABシステムではモード1から4まで仕様が決められており、モード毎に1伝送フレームの時間と1伝送フレーム内のFIB及びCIFの個数が異なっている。例えば、モード1では、1伝送フレームの時間は96ms、1伝送フレーム内のFIB及びCIFの個数はそれぞれ12個及び4個である。
【0044】
図4はDABにおけるFIBの構造を示したものである。1個のFIBは、全体で256ビットからなり、30バイトのFIBデータ領域(FIB data field)とこれに続く16ビットのCRC(Cyclic Redundancy Check word)からなる。FIBデータ領域は、前から順に複数個のFIG(Fast Information Group)、1個のエンドマーカ(End marker)、及び1個のパッディング(Padding) を有している。このパッディングは、FIBデータ領域をバイトに合わせるために残ったビットに0を入れるための領域である。FIGの部分は、有用データ領域(useful data field) を構成する。各FIGは、前から順にFIGタイプ、長さ(後続のFIGデータ領域のビット長さを表す)、及びFIGデータ領域(FIG data field)を有している。FIGタイプと長さはFIGヘッダ(FIG header)を構成する。
【0045】
図5は、
図4のFIBにおいてFIGタイプが1(3ビット2進表示では「001」)の場合のFIGデータ領域の構造を示したものである。このFIGデータ領域は、前から順にCharset(Character set) 、OE(Other Ensemble)、拡張(Extension) 、及びタイプ1領域(Type 1 field)を有している。Charsetの4ビットコードは、FIGタイプ1に含まれる文字情報を限定するためにCharsetを識別し、OEは当該情報が当該アンサンブルについてのものか、他のアンサンブルについてのものかを識別し、拡張は、タイプ1の中の拡張番号を表している。タイプ1領域には、後述するようにラベル情報(サービスに付された名称を示すデータ)等が含まれている。
【0046】
例えば、拡張番号0のFIGタイプ1(Fig Type 1 field for extension 0)(「FIG1/0」のようにも記す。)には、アンサンブルを識別するId(Ensemble Id) とそのラベル(アンサンブルラベル)を対応付けしたデータがあり、FIG1/1には、サービスを識別するId(Service Id)とそのラベル(サービスラベル)を対応付けしたデータがあり、FIG1/4には、サービスコンポ−ネントを識別するId(Service component Id)とそのラベル(サービスコンポ−ネントラベル)を対応付けしたデータがある。また、DAB信号では現在放送が行われている各アンサンブル毎に、当該アンサンブルに属する全サービス及び全サービスコンポ−ネントの一覧情報がFIG0/2で伝送される。
【0047】
上記のFIGタイプ以外にも各種のFIGタイプ(全部で、FIGタイプが0〜7の8種類)があるが、その詳細はDABの規格書(EN300401)を参照されたい。
【0048】
以下、DAB受信装置20(
図1)において行うサービス名(ラベル情報)の表示に係る処理について、各実施形態毎に説明する。
【0049】
(第1の実施形態)
図6はDAB受信装置20において行う、第1の実施形態としてのサービス名表示に係る処理の一例を示すフローチャートであり、
図7はその処理内容を補足説明するための図である。
【0050】
先ず、初期状態として、ユーザによって選局された放送局から番組(サービス)を受信中であり、その受信状態は良好な状態にあるものとする。このとき、制御部5により、その受信信号から抽出されたFIG0/2の情報を参照して、選択されたサービスコンポ−ネントのIdとそのラベル、該サービスコンポ−ネントが属するサービスのIdとそのラベル、該サービスが属するアンサンブルのIdとそのラベルのデータが記憶部6に格納される。また、ユーザ指示に基づき操作部7を介して、ラベルの表示階層として中位階層である「サービス」が選択されているものとする。
【0051】
このような状態で、最初のステップS11(
図6)では、制御部5により、FIB(
図7の例ではFIB1)を読み込み、CRCをチェックする。CRCのチェックは、その読み込んだFIBデータをデータ本体とCRC値(
図4の「FIBデータ領域」及び「CRC」に相当)に分割し、受信したデータ本体から当該データのCRC演算を行い、その演算結果(CRC値)と受信したCRC値とを比較することによって行う。
【0052】
次のステップS12では、制御部5において、そのCRCのチェック結果に基づいて両CRC値は一致する(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS13に進み、判定結果がNOの場合にはステップS14に進む。
【0053】
ステップS14では、そのCRC値の不一致により、受信したデータにエラーが有ったものと判断して、当該FIB(データ本体の部分)を破棄する。
【0054】
さらにステップS15では、その破棄したFIBに続く次のFIB(
図7の例ではFIB2)がある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS11に戻って上記の処理を繰り返し、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0055】
一方、ステップS13では、そのCRC値の一致により、受信したデータにエラーが無かったものと判断して、当該FIB中のFIGからラベル情報(サービス名を指示するデータ)を取得する そして、表示部8の画面にサービス名を表示する。
図7の例では、サービス名として「ALPHA1」が表示されている。
【0056】
次のステップS16では、制御部5において、現在受信中の放送波信号の受信状態が悪化した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS17に進み、判定結果がNOの場合にはステップS11に戻って上記の処理を繰り返す。
【0057】
受信状態は、例えば、チャネルデコーダ13から受信信号の電界強度やBER(ビットエラーレート)等の情報を取得することによって検出することができる。この受信状態の検出により、受信強度が所定のしきい値レベル未満に低下したとき、あるいはBER(もしくはエラー訂正数)が所定のしきい値未満に低下したときに、受信状態が悪化したものと判断する。
【0058】
ステップS17では、受信状態が悪化したと判断したその時に読み込んだFIB(
図7の例ではFIB3)についてCRCのチェック(CRC演算等)を停止する。また、当該FIB中のFIGからのラベル情報の取得を停止する。
【0059】
次のステップS18では、制御部5により、表示部8に対して、表示中のサービス名の表示(
図7の例では「ALPHA1」)を維持するとともに、表示部を「グレーアウト」するよう制御する。
【0060】
さらにステップS19では、制御部5において、ステップS16で行った受信状態の検出方法を利用して、受信状態が所定のしきい値レベル(もしくは所定のしきい値)以上に回復した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS11に戻って上記の処理を繰り返し、判定結果がNOの場合にはステップS18に戻って表示部の「グレーアウト」表示を維持する。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態に係る、DAB受信装置20において行うサービス名表示に係る処理によれば、ユーザが選局した放送局の番組(サービス)を受信中に、選択された放送波信号に含まれる複数のFIB(
図4)についてCRC演算を行い、該演算結果と当該FIBに含まれるCRCデータとの比較に基づき、表示部8に対して当該番組に係るサービス名を表示している状態(
図7)で、受信状態が悪化したときに、その時に読み込んだFIBについてCRC演算を停止(当該FIBに含まれるFIGからのラベル情報の取得も停止)している。また、表示中のサービス名の表示(
図7の「ALPHA1」)を維持するとともに、その表示部を「グレーアウト」している。
【0062】
このように第1の実施形態によれば、現状技術のようにCRCの演算結果だけから伝送データの正誤判定を行うのではなく、受信状態も参考にしているので、受信状態が悪化した場合(特に弱電界時)でもCRC誤検知に有効に対応することができる。これにより、誤ったサービス名が表示されることを低減することが可能となる。
【0063】
(第2の実施形態)
図8はDAB受信装置20において行う、第2の実施形態としてのサービス名表示に係る処理の一例を示すフローチャートであり、
図9はその処理内容を補足説明するための図である。
【0064】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態(
図6)の場合と同じ初期状態にあるものとする。また、この初期状態の下で、ステップS11〜S15の処理と同様の処理が行われているものとする。
【0065】
このような状況の下に、最初のステップS21(
図8)では、ステップS16で行った処理と同様にして、制御部5において、受信中の放送波信号の受信状態が悪化した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS22に進み、判定結果がNOの場合にはステップS11(
図6)に戻って上記の処理を繰り返す。
【0066】
次のステップS22では(受信状態が悪化した場合)、制御部5において、複数個のFIB(
図9の例ではFIB3〜FIB6の4個のFIB)を読み込み、それぞれのCRCをチェックする。CRCのチェック方法については、ステップS11で行った方法と同様である。
【0067】
ここで、各FIBを読み込むタイミングは、放送局から送られてくる放送波信号の送信周期の倍数に設定している。送信周期の詳細については、ヨーロッパテレコミュニケーション標準協会発行のガイドライン及び規則 (DAB: Guidelines and rules for implementation and operation; Part 1: System outline) を参照されたい。
【0068】
読み込むタイミングの設定の態様としては、当該FIBに含まれる全てのFIGについて一律同一に設定してもよいし、各FIG毎に個別に設定してもよい。あるいは、送信周期(各FIG毎にFIGタイプに応じて当該FIGデータの重要度(迅速にアクセスする必要性)は異なっている)に従って複数のFIGをグループ化して設定してもよい。
【0069】
次のステップS23では、制御部5において、そのチェックした複数個のCRCについて所定の確率以上でCRCエラーが発生している(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS24に進み、判定結果がNOの場合にはステップS26に進む。
図9の例では、4個のFIBのうち3個のFIB(FIB3、FIB5、FIB6)のデータについてCRCエラー(×印)が発生している。つまり、75%の確率でCRC値の不一致が生じている。
【0070】
ステップS24では、制御部5により、その所定の確率以上のCRCエラーから、受信データにエラーが発生しているものと判断し、ステップS18(
図6)で行った処理と同様にして、表示部8に対し、表示中のサービス名の表示(
図9の例では「ALPHA1」)を維持するとともに、表示部を「グレーアウト」するよう制御する。
【0071】
次のステップS25では、ステップS19(
図6)で行った処理と同様にして、制御部5により、受信状態が回復した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS11(
図6)に戻って上記の処理を繰り返し、判定結果がNOの場合にはステップS22に戻って上記の処理を繰り返す。
【0072】
一方、ステップS26では、制御部5において、その所定の確率未満のCRCエラーから、受信データにエラーが発生していないものと判断し、最後にCRCチェックOKとなったFIB中のFIGからラベル情報(サービス名を指示するデータ)を取得する。そして、表示部8の画面にサービス名を表示する。例えば、
図9に示すCRC結果の例では、FIB3〜FIB6のうち最後にCRCチェックがOK(○印)となったFIB4中のFIGから取得したラベル情報に基づいて、サービス名の表示を更新する。
【0073】
さらにステップS27では、ステップS25で行った処理と同様にして、制御部5により、受信状態が回復した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS11(
図6)に戻って上記の処理を繰り返し、判定結果がNOの場合にはステップS22に戻って上記の処理を繰り返す。
【0074】
以上説明したように、第2の実施形態に係る、DAB受信装置20において行うサービス名表示に係る処理によれば、上述した第1の実施形態の場合と同様に、受信状態も加味してCRC演算を行っているので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上述した第1の実施形態では、受信状態も考慮してより誤判定を低減するようにしているが、誤判定と見なしてデータの破棄が増える分、見かけ上の動作速度の低下が想定される。これに対し、第2の実施形態では、CRC演算の停止(ラベル情報の取得の停止)を行っていないので、第1の実施形態の場合と比べて動作速度の低下を抑制することができる。
【0076】
さらに、この第2の実施形態では、受信状態が悪化した時以降に読み込んだ複数個のFIBについてCRCエラーが所定の確率未満で発生している場合に(
図8のステップS26)、受信データにエラーが発生していないものと判断し、最後にCRCチェックOKとなったFIB中のFIGから取得したラベル情報に基づいて、表示データの更新を行っている。これにより、現状技術において見られたような不都合(誤ったサービス名が表示された場合、次にCRC結果が一致するまで表示データは更新されないため、その間、誤ったサービス名を表示し続けてしまうといった問題)を解消することができる。
【0077】
(第3の実施形態)
図10はDAB受信装置20において行う、第3の実施形態としてのサービス名表示に係る処理の一例を示すフローチャートであり、
図11はその処理内容を補足説明するための図である。
【0078】
この第3の実施形態においても、第1の実施形態(
図6)の場合と同じ初期状態にあるものとする。また、この初期状態の下で、ステップS11〜S15の処理と同様の処理が行われているものとする。
【0079】
このような状況の下に、最初のステップS31(
図10)では、ステップS16で行った処理と同様にして、制御部5において、受信中の放送波信号の受信状態が悪化した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS32に進み、判定結果がNOの場合にはステップS11(
図6)に戻って上記の処理を繰り返す。
【0080】
次のステップS32では(受信状態が悪化した場合)、制御部5において、FIB(
図11の例ではFIB3、FIB4、FIB5、……)を順次読み込み、それぞれのCRCをチェックする。CRCのチェック方法については、ステップS11で行った方法と同様である。また、FIBを読み込むタイミングの設定についても、ステップS22(
図8)で行った方法と同様である。
【0081】
次のステップS33では、制御部5において、そのCRCをチェックしていく過程で最初のFIBから連続してN回CRC値が一致した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS34に進み、判定結果がNOの場合にはステップS36に進む。
図11の例では、連続する3個のFIB(FIB3〜FIB5)のデータについてCRC値が一致(○印)している。
【0082】
ステップS34では、制御部5により、そのN回連続しているCRC値の一致から、受信データにエラーが発生していないものと判断し、N個目のFIB(そのCRC値が一致した最後のFIB)中のFIGからラベル情報(サービス名を指示するデータ)を取得する。そして、表示部8の画面にサービス名を表示する。
図11の例では、N回連続してCRC値が一致した最後のFIB5中のFIGから取得したラベル情報に基づいて、表示データが更新され、サービス名として「ALPHA2」が表示されている。
【0083】
次のステップS35では、ステップS19(
図6)で行った処理と同様にして、制御部5により、受信状態が回復した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS11(
図6)に戻って上記の処理を繰り返し、判定結果がNOの場合にはステップS32に戻って上記の処理を繰り返す。
【0084】
一方、ステップS36では、制御部5により、そのCRC値の一致がN回連続していないことから、受信データにエラーが発生しているものと判断し、ステップS18(
図6)で行った処理と同様にして、表示部8に対し、表示中のサービス名の表示(
図11の例では、受信状態が悪化する前に表示されていた「ALPHA1」)を維持するとともに、表示部を「グレーアウト」するよう制御する。
【0085】
さらにステップS37では、ステップS35で行った処理と同様にして、制御部5により、受信状態が回復した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS11(
図6)に戻って上記の処理を繰り返し、判定結果がNOの場合にはステップS32に戻って上記の処理を繰り返す。
【0086】
以上説明したように、第3の実施形態に係る、DAB受信装置20において行うサービス名表示に係る処理によれば、上述した第1、第2の実施形態の場合と同様に、受信状態も加味してCRC演算を行っているので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0087】
さらに、この第3の実施形態では、受信状態が悪化した時以降に順次読み込んだFIBについて複数回連続してCRC値が一致した場合に(
図11)、受信データにエラーが発生していないものと判断し、その連続している最後のFIB中のFIGから取得したラベル情報に基づいて、表示データの更新を行っている。これにより、現状技術において見られたような不都合(誤ったサービス名が表示された場合、次にCRC結果が一致するまで表示データは更新されないため、その間、誤ったサービス名を表示し続けてしまうといった問題)を解消することができる。