(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記(A)〜(D)の成分を含有する浴中で処理する精練漂白方法であって、処理浴中の(A)成分と(B)成分との質量比が80:20〜30:70であることを特徴とする精練漂白方法。
(A)下記一般式(1)で表されるアルドン酸、その塩、そのラクトン、及び下記一般式(2)で表される糖アルコールからなる群より選ばれる1種以上
CH2OH(CHOH)mCOOH (1)
(式(1)中、mは2〜6の整数を表す。)
CH2OH(CHOH)nCH2OH (2)
(式(2)中、nは2〜6の整数を表す。)
(B)カルボキシル基含有モノマーを必須モノマーとするポリマー及び/又はその塩
(C)有機ホスホン酸及び/又はその塩
(D)1価アルコール、グリコール、又はフェノール類のエチレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を65〜85質量%の量で有するもの、
1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を45〜70質量%の量で有するもの、及び、
1級又は2級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を55〜70質量%の量で有するもの
からなる群より選ばれる1種以上
【背景技術】
【0002】
繊維には、紡績等の段階で加えられた油剤や糊剤、機械油等の工程油剤、サビ、ほこり、又はロウ等が夾雑物として付着しており、それらはたびたび乾燥工程での発煙や染色、仕上げムラを引き起こす。そのため、それら夾雑物を繊維から除去するための精練処理や、過酸化水素やアルカリ剤等を用いて夾雑物や色素等を化学分解し繊維を白くする漂白処理が施される。このような精練及び漂白は、精練、漂白の順に別々に行われることもあれば、同時に同浴中で行われることもある。本明細書において、「精練、漂白又は精練と漂白を同時に行う精練・漂白」をまとめて「精練漂白」と記載し、また、「精練性、漂白性又は精練・漂白性」をまとめて「精練漂白性」と記載する。
【0003】
バッチ式の精練漂白方法には繊維の種類等に応じて様々な方法がある。例えば、円筒体に糸や生地などが巻かれている巻き物、いわゆるチーズやコーン等と呼ばれる繊維パッケージを固定し処理液を循環させて処理する方法や、処理液と共に糸や生地を流し、循環させて処理する方法等がある。前者の方法としては、例えば、チーズ染色機を用いたものがあり、糸の巻き物であるチーズが液体噴射及び吸収筒を有する錘に固定され、固定されたチーズの内側から外側及び/又は外側から内側にかけて処理液が循環し、精練漂白される。糸を精練漂白する場合は、このようなチーズ染色機を用いて行うのが一般的である。また、後者の方法としては、例えば、液流染色機を用いた方法があり、ジェットノズルからの強い処理液の流れにより糸や生地が搬送されながら精練漂白が成される。
【0004】
上記のような精練漂白方法や該処理に使われる処理剤としては、例えば、以下のようなものが開示されている。
【0005】
特開昭61−41367号公報(特許文献1)には、アミノアルキルリン酸誘導体等と糖アルコールやアルドン酸等を用いる漂白法が開示されており、特開昭62−32195号公報(特許文献2)には、特定のカルボン酸からなるポリカルボン酸系重合物と、糖アルコール及び/又はアルドン酸とを併用する漂白性向上剤が開示されており、特開平8−81696号公報(特許文献3)には、特定の非イオン界面活性剤、特定の非イオン界面活性剤とエチレン性不飽和スルホン酸又はカルボン酸又はその無水物との反応生成物、ヒドロトロピー剤等を特定の比率で用いる多機能繊維助剤組成物が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの精練漂白方法や処理剤では、チーズ染色機での糸の精練漂白において、精練漂白性のムラ、すなわち、チーズの内層や中層、外層等の異なる層間の糸における再湿潤性差や白度差を生じる場合があった。このような精練漂白性ムラのある糸では、後の加工工程における薬剤の調整が煩雑となったり、その糸から得られる製品の品質が一定とならなかったりする等の問題を生じる恐れがあった。また、このような精練漂白性ムラは、処理される糸が細いほど生じ易く、近年、細い糸での加工が増える中で、このような精練漂白性ムラが生じるという問題は顕著となっていた。
【0007】
そこで、精練漂白性が優れ、かつ、精練漂白性のムラが抑えられた精練漂白を達成する方法や処理剤が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する問題に鑑みてなされたものであり、精練漂白性が優れ、かつ、チーズやコーン等の繊維パッケージの精練漂白を行う場合には繊維パッケージの精練漂白性ムラが抑えられた、バッチ式の精練漂白を達成できる精練漂白助剤及び精練漂白方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を所定の比率で組み合わせて用いることにより、精練漂白性が優れ、かつ、チーズやコーン等の繊維パッケージの精練漂白を行う場合には繊維パッケージの精練漂白性ムラが抑えられた、バッチ式の精練漂白を達成できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、下記(A)〜(D)の成分を含有し、かつ、(A)成分と(B)成分との質量比が80:20〜30:70であることを特徴とする精練漂白助剤を提供するものである。
(A)下記一般式(1)で表されるアルドン酸、その塩、そのラクトン、及び下記一般式(2)で表される糖アルコールからなる群より選ばれる1種以上
CH
2OH(CHOH)
mCOOH (1)
(式(1)中、mは2〜6の整数を表す。)
CH
2OH(CHOH)
nCH
2OH (2)
(式(2)中、nは2〜6の整数を表す。)
(B)カルボキシル基含有モノマーを必須モノマーとするポリマー及び/又はその塩
(C)有機ホスホン酸及び/又はその塩
(D)1価アルコール、グリコール、又はフェノール類のエチレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を65〜85質量%の量で有するもの、
1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を45〜70質量%の量で有するもの、及び、
1級又は2級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を55〜70質量%の量で有するもの
からなる群より選ばれる1種以上
【0012】
本発明の精練漂白助剤は、バッチ式の精練漂白に用いることができる。本発明の精練漂白助剤が精練又は漂白に用いられた場合、精練性又は漂白性が優れ、かつ、精練対象がチーズやコーン等の繊維パッケージの場合には繊維パッケージの精練性ムラ又は漂白性ムラが抑えられた精練又は漂白を達成できる。また、本発明の精練漂白助剤が精練と漂白とを同時行う処理に用いられた場合、精練性及び漂白性が優れ、かつ、精練及び漂白対象がチーズやコーン等の繊維パッケージの場合には繊維パッケージの精練性及び漂白性ムラが抑えられた精練及び漂白を達成できる。
【0013】
本発明はまた、下記(A)〜(D)の成分を含有する浴中で処理する精練漂白方法であって、処理浴中の(A)成分と(B)成分との質量比が80:20〜30:70であることを特徴とする精練漂白方法を提供するものである。
(A)下記一般式(1)で表されるアルドン酸、その塩、そのラクトン、及び下記一般式(2)で表される糖アルコールからなる群より選ばれる1種以上
CH
2OH(CHOH)
mCOOH (1)
(式(1)中、mは2〜6の整数を表す。)
CH
2OH(CHOH)
nCH
2OH (2)
(式(2)中、nは2〜6の整数を表す。)
(B)カルボキシル基含有モノマーを必須モノマーとするポリマー及び/又はその塩
(C)有機ホスホン酸及び/又はその塩
(D)1価アルコール、グリコール、又はフェノール類のエチレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を65〜85質量%の量で有するもの、
1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を45〜70質量%の量で有するもの、及び、
1級又は2級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を55〜70質量%の量で有するもの
からなる群より選ばれる1種以上
【0014】
本発明の精練漂白方法は、バッチ式の精練漂白に適用することができる。本発明の精練漂白方法が精練又は漂白に適用された場合、精練性又は漂白性が優れ、かつ、精練対象がチーズやコーン等の繊維パッケージの場合には繊維パッケージの精練性ムラ又は漂白性ムラが抑えられた精練を達成できる。また、本発明の精練漂白方法が精練と漂白とを同時行う処理に適用された場合、精練性及び漂白性が優れ、かつ、精練及び漂白対象がチーズやコーン等の繊維パッケージの場合には繊維パッケージの精練性及び漂白性ムラが抑えられた精練及び漂白を達成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の精練漂白助剤又は精練漂白方法によれば、繊維のバッチ式の精練漂白、特に円筒体に糸や生地などの繊維が巻かれている巻き物、いわゆるチーズやコーン等の繊維パッケージの精練漂白に適用することにより、精練漂白性に優れ、チーズやコーン等の繊維パッケージの精練漂白性ムラの抑えられた精練漂白を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の精練漂白助剤は、下記(A)〜(D)の成分を含有することを特徴とするものである。
(A)下記一般式(1)で表されるアルドン酸、その塩、そのラクトン、及び下記一般式(2)で表される糖アルコールからなる群より選ばれる1種以上
CH
2OH(CHOH)
mCOOH (1)
(式(1)中、mは2〜6の整数を表す。)
CH
2OH(CHOH)
nCH
2OH (2)
(式(2)中、nは2〜6の整数を表す。)
(B)カルボキシル基含有モノマーを必須モノマーとするポリマー及び/又はその塩
(C)有機ホスホン酸及び/又はその塩
(D)1価アルコール、グリコール、又はフェノール類のエチレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を65〜85質量%の量で有するもの、
1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を45〜70質量%の量で有するもの、及び、
1級又は2級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を55〜70質量%の量で有するもの
からなる群より選ばれる1種以上
【0017】
(A)成分におけるアルドン酸は下記一般式(1)で表されるものである。
CH
2OH(CHOH)
mCOOH (1)
上記式(1)中、mは2〜6の整数を表す。
【0018】
上記式(1)で表されるアルドン酸としては、例えば、エリトロン酸、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸、タロン酸等が挙げられる。
【0019】
(A)成分はまた、上記アルドン酸がアルカリやアミン系化合物によって中和されて得られる塩であってもよい。このような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニア塩、及び、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアミン系化合物塩が挙げられる。
【0020】
(A)成分はさらに、上記アルドン酸が同一分子内のヒドロキシル基とカルボキシル基の脱水縮合により生成するラクトンであってもよい。
【0021】
(A)成分における糖アルコールは、下記一般式(2)で表されるものである。
CH
2OH(CHOH)
nCH
2OH (2)
式(2)中、nは2〜6の整数を表す。
【0022】
上記式(2)で表される糖アルコールとしては、例えば、エリトリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、イジトール、ガラクチトール、グルシトール、マンニトール、ソルビトール、ボレミトール、ペルセイトール等が挙げられる。
【0023】
(A)成分は、精練漂白性がより優れるという観点から、式(1)のmが2〜4であるアルドン酸、又はそのナトリウム塩、カリウム塩、若しくはマグネシウム塩、或いは式(2)のnが2〜4である糖アルコールが好ましい。
【0024】
(B)成分は、カルボキシル基含有モノマーを必須モノマーとして重合させて得られるポリマー及び/又はその塩である。
【0025】
カルボキシル基含有モノマーとは、カルボキシル基と不飽和結合とを有するモノマーのことであり、このようなモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−メチレングルタル酸、これらの塩、及びこれらの無水物等が挙げられる。これらのモノマーの中で、精練漂白性のムラがより抑えられるという観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、その塩、その無水物を用いることが好ましい。
【0026】
(B)成分のポリマーは、上記カルボキシル基含有モノマーの1種を単独で重合させて得られたポリマーであってもよく、上記カルボキシル基含有モノマーの2種以上から得られた共重合物であってもよい。
【0027】
(B)成分のポリマーはさらに、1種以上の上記カルボキシル基含有モノマーと、これと共重合可能な1種以上のモノマーとの共重合物であってもよい。このような共重合可能なモノマーとして特に制限はなく、エチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマー、アクリルアミド、アクリレート類、メタクリレート類などが挙げられる。用いるアクリレート類又はメタクリレート類にも特に制限はないが、炭素数1〜3の炭化水素基を有するものが好ましく、この炭化水素基はヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。このようなアクリレート類又はメタクリレート類としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレートなどが挙げられる。
【0028】
ポリマーの重量平均分子量は、1,000〜20,000が好ましく、3,000〜15,000がより好ましく、4,500〜8,000が特に好ましい。ポリマーの重量平均分子量が上記範囲内であれば、精練漂白性のムラが十分に抑えられる。ただし、重量平均分子量が20,000を超えると、場合によって精練漂白性のムラが十分に抑えられなかったり、粘度が高すぎて操作性に問題が生じたりするおそれがある。
【0029】
(B)成分のポリマーはまた、上記ポリマー中のカルボキシル基がアルカリやアミン系化合物との中和により得られる塩であってもよい。そのような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニア塩、及び、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアミン系化合物塩などが挙げられる。
【0030】
(B)成分のポリマーの製造方法としては、特に制限されず、例えば、従来公知のラジカル重合反応が挙げられる。また、(B)成分のポリマーは市販されているものを使用してもよい。
【0031】
ラジカル重合反応として特に制限はないが、例えば、カルボキシル基含有モノマー及び/又はその塩の水溶液にラジカル重合開始剤を添加して、30〜150℃で2〜5時間加熱反応させる方法などを挙げることができる。このとき、カルボキシル基含有モノマー及び/又はその塩の水溶液に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類やアセトンなどの水溶性溶剤を添加してもよい。また、用いるラジカル重合開始剤にも特に制限はないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過硫酸塩と重亜硫酸ナトリウムなどの組み合わせによるレドックス系重合開始剤、過酸化水素、水溶性アゾ系重合開始剤などが挙げられ、これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。さらに、ラジカル重合の際には、重合度を調整する目的で連鎖移動剤(例えば、チオグリコール酸オクチル)を添加してもよい。
【0032】
(C)成分は、有機ホスホン酸及び/又はその塩である。
【0033】
有機ホスホン酸としては、アミノポリ(アルキレンホスホン酸)、アルキレンジアミンポリ(アルキレンホスホン酸)、ジアルキレントリアミンポリ(アルキレンホスホン酸)、ヒドロキシアルキリデンジホスホン酸、ポリカルボキシアルカンホスホン酸等が挙げられる。
【0034】
アミノポリ(アルキレンホスホン酸)としては、分子中のアルキレンホスホン酸構造中のアルキレン基の炭素数が1〜3であるものが挙げられ、そのようなものとしては、例えば、アミノモノ、ジ又はトリ(メチレンホスホン酸)、アミノモノ、ジ又はトリ(エチレンホスホン酸)等が挙げられる。
【0035】
アルキレンジアミンポリ(アルキレンホスホン酸)としては、分子中のアルキレンジアミン構造中のアルキレン基の炭素数が2〜6であり、アルキレンホスホン酸構造中のアルキレン基の炭素数が1〜3であるものが挙げられ、そのようなものとしては、例えば、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(エチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)等が挙げられる。
【0036】
ジアルキレントリアミンポリ(アルキレンホスホン酸)としては、分子中のジアルキレントリアミン構造中のアルキレン基の炭素数が2〜6であり、アルキレンホスホン酸構造中のアルキレン基の炭素数が1〜3であるものが挙げられ、そのようなものとしては、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ジヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等が挙げられる。
【0037】
ヒドロキシアルキリデンジホスホン酸としては、炭素数が2〜5であるものが挙げられ、そのようなものとしては、例えば、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ヒドロキシプロピリデンジホスホン酸等が挙げられる。
【0038】
ポリカルボキシアルカンホスホン酸としては、直鎖炭化水素基の炭素数が2〜8であり、カルボキシル基数が2〜6であるものが挙げられ、そのようなものとしては、例えば、1,2,4−トリカルボキシブタン−2−ホスホン酸、1,2,4−トリカルボキシヘキサン−1−ホスホン酸等が挙げられる。
【0039】
また、有機ホスホン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミン塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0040】
有機ホスホン酸及びその塩の中でも、精練漂白性のムラがより抑えられるという観点から、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(エチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(エチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、及びそれらの塩を用いることが好ましく、さらに、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びその塩がより好ましい。
【0041】
(D)成分における1価アルコール、グリコール又はフェノール類のエチレンオキサイド付加物は、分子中にエチレンオキシ基を65〜85質量%の量で有する。分子中のエチレンオキシ基の量が65質量%未満であると、精練漂白性が不十分となったり精練漂白性ムラが十分に抑えられなかったりする恐れがある。一方、分子中のエチレンオキシ基の量が85質量%を超えると、夾雑物に十分に作用しないと同時に、精練漂白対象物である繊維に十分に浸透せず、精練漂白性が不十分となったり精練漂白性ムラが十分に抑えられなかったりする恐れがある。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、分子中のエチレンオキシ基の量は、65〜80質量%であることが好ましく、65〜70質量%であることがより好ましい。
【0042】
1価アルコール又はグリコールは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ベンジルアルコール等のように脂肪族炭化水素基にフェニル基が置換されているものであってもよい。入手がよりし易いという観点から、1価アルコール又はグリコールとしては、炭素数8〜22の脂肪族1価アルコール又は炭素数2〜12の脂肪族グリコールが好ましい。
前記炭素数8〜22の脂肪族1価アルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコサニルアルコール、ヘンエイコサニルアルコール、ドコサニルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、入手がよりし易いという観点から、炭素数10〜16の脂肪族1価アルコールがより好ましい。
また、上記炭素数2〜12の脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ドデカンジオール等が挙げられる。
【0043】
フェノール類は、水酸基としてフェノール性水酸基を1つ以上有するものであり、そのフェノール性水酸基を有する芳香族環に、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又は炭素数8〜30のアラルキル基等の炭化水素基が置換されていてもよい。入手がし易いという観点から、そのようなフェノール類としては、フェノール、アルキルフェノール、フェニルフェノール、アラルキルフェノールが好ましく、これらの中でも、フェノール、フェノールにスチレンを付加させたモノ又はポリスチレン化フェノールが好ましく、さらに、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノールがより好ましい。
【0044】
また、エチレンオキサイド付加物におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数は、分子中のエチレンオキシ基の量が目的のものとなるよう、1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の種類により適宜調節され得るが、製造がし易く、また、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から5〜50が好ましく、5〜35であることがより好ましい。
【0045】
(D)成分における1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物は、分子中にエチレンオキシ基を45〜70質量%の量で有する。分子中のエチレンオキシ基の量が45質量%未満であると、精練漂白性が不十分となったり精練漂白性ムラが十分に抑えられなかったりする恐れがある。一方、分子中のエチレンオキシ基の量が70質量%を超えると、夾雑物に十分に作用しないと同時に、精練漂白対象物である繊維に十分に浸透せず、精練漂白性が不十分となったり精練漂白性ムラが十分に抑えられなかったりする恐れがある。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、分子中のエチレンオキシ基の量は、50〜70質量%であることが好ましく、55〜65質量%であることがより好ましい。
【0046】
1価アルコール、グリコール、又はフェノール類は、上述と同様のものである。
【0047】
炭素数3又は4のアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、プロピレンオキサイドがより好ましい。
【0048】
アルキレンオキサイドの付加形態は、ブロック付加であってもよく、ランダム付加であってもよい。
【0049】
また、アルキレンオキサイドの総平均付加モル数は、分子中のエチレンオキシ基の量が目的のものとなるよう、1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の種類により適宜調節され得るが、製造がし易く、また、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、5〜40であることが好ましい。さらに、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合付加物の場合には、プロピレンオキサイドの平均付加モル数は1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
【0050】
(D)成分における1級又は2級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物は、分子中にエチレンオキシ基を55〜70質量%の量で有する。分子中のエチレンオキシ基の量が55質量%未満であると、精練漂白性が不十分となったり精練漂白性ムラが十分に抑えられなかったりする恐れがある。一方、分子中のエチレンオキシ基の量が70質量%を超えると、夾雑物に十分に作用しないと同時に、精練漂白対象物である繊維に十分に浸透せず、精練漂白性が不十分となったり精練漂白性ムラが十分に抑えられなかったりする恐れがある。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、分子中のエチレンオキシ基の量は、60〜65質量%であることが好ましい。
【0051】
1級又は2級アミンにおける炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい脂肪族炭化水素基である。入手がし易いという観点から、脂肪族炭化水素基の炭素数は、8〜22であることが好ましく、12〜20であることがより好ましい。さらに、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、1又は2級アミンの中でも、1級アミンが好ましく、そのような1級アミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン等が挙げられる。
【0052】
また、炭素数3又は4のアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの付加形態は、エチレンオキサイドの単独付加であってもよく、エチレンオキサイドと炭素数3のアルキレンオキサイド及び/又は炭素数4のアルキレンオキサイドとのブロック又はランダム付加であってもよい。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、付加形態は、エチレンオキサイドの単独付加、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム又はブロック付加であることが好ましく、エチレンオキサイドの単独付加であることがより好ましい。
【0053】
アルキレンオキサイドの総平均付加モル数は、分子中のエチレンオキシ基の量が目的のものとなるよう、1級又は2級アミンの種類により適宜調節され得るが、製造がし易く、また、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、4〜35であることが好ましく、7〜15であることがより好ましい。
【0054】
(D)成分としては、上述したものの中でも、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、1価アルコールのエチレンオキサイド付加物、1価アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物、又は1級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
【0055】
本発明の精練漂白助剤においては、(A)〜(D)成分が1剤中に含有されており、1剤から構成される精練漂白助剤であってもよく、(A)〜(D)成分が複数の剤に分かれて含有されており、それら複数の剤から構成される精練漂白助剤であってもよい。構成剤数は、設備などの処理工場の事情等に合わせて適宜調節され得る。(A)〜(D)の成分が複数の剤に分かれて含有される場合、組み合わせは任意に選ぶことができ、また、1成分が2剤以上に分かれて含有されていてもよい。
【0056】
本発明の漂白精練助剤における剤数としては、処理浴中の(A)〜(D)成分濃度を調節し易く、また、精練漂白助剤を製造し易く、さらに、精練漂白助剤の持ち運びがし易いという観点から、1〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
【0057】
剤数が複数である場合、剤の安定性がより高まるという観点から、(D)成分は、(A)〜(C)成分と共に含有されないか、又は、(A)〜(C)成分と共に含有される場合は、(A)〜(C)成分のいずれか1成分のみと含有されることが好ましい。
【0058】
本発明の精練漂白助剤における(A)成分と(B)成分の質量比は、80:20〜30:70である。(A)及び(B)成分の質量比が上記範囲外であると、十分な精練漂白性が得られず、また、十分に精練漂白性ムラを抑えられないおそれがある。
【0059】
本発明の精練漂白助剤における(A)及び(B)成分の総量と(C)成分、又は(D)成分との比は特に限定されないが、後述する処理浴中の好適な(A)〜(D)成分の比に調節し易いという観点から、剤中の(A)〜(D)成分総量に対する各成分の割合は、(A)及び(B)成分の総量が10〜60質量%、(C)成分が3〜10質量%、(D)成分が30〜80質量%であることが好ましい。さらに、処理浴中においてより好適な(A)〜(D)成分の比に調節し易いという観点から、剤中の(A)〜(D)成分総量に対する各成分の割合は、(A)及び(B)成分の総量が25〜50質量%、(C)成分が3〜8質量%、(D)成分が40〜70質量%であることが好ましい。
【0060】
各剤における(A)〜(D)成分の配合量は特に限定されず、剤が(A)〜(D)成分のみからなっていてもよく、精練漂白剤に従来使用されるその他の公知成分が剤に添加されていてもよい。
【0061】
そのような添加成分としては、例えば、水、上記(A)成分以外の1価アルコール、グリコール等の溶媒や分散媒、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、上記(D)以外の非イオン界面活性剤等の界面活性剤、消泡剤成分、浸透剤成分などが挙げられる。
【0062】
本発明の精練漂白助剤は、繊維のバッチ式の精練漂白に適用することができる。本発明の精練漂白助剤を精練漂白に用いる場合、通常、対象とする繊維の処理浴に本発明の精練漂白助剤を溶解又は分散させて使用する。
【0063】
本発明の精練漂白助剤は、処理浴に、(A)及び(B)成分の質量比が、80:20〜30:70となるよう添加される。(A)及び(B)成分の質量比が上記範囲外であると、十分な精練漂白性が得られず、また、十分に精練漂白性ムラを抑えられないおそれがある。
【0064】
また、処理浴中の(A)及び(B)成分の総量と(C)成分、又は(D)成分との比は特に限定されないが、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、(A)〜(D)成分総量に対して、(A)及び(B)成分の総量が10〜60質量%、(C)成分が3〜10質量%、(D)成分が30〜80質量%となるように、本発明の精練漂白助剤が浴に添加されることが好ましい。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、処理浴中の(A)〜(D)成分総量に対する各成分の割合は、(A)及び(B)成分の総量が25〜50質量%、(C)成分が3〜8質量%、(D)成分が40〜70質量%となっていることが好ましい。
【0065】
本発明の精練漂白助剤の処理浴への添加量は、処理浴中の(A)〜(D)成分総量の濃度が0.05〜15g/Lとなるような量が好ましい。処理浴中の(A)〜(D)成分総量の濃度が0.05g/L未満であると、精練漂白性が不十分となるおそれがあり、一方、15g/Lを超えて使用しても効果の更なる向上は起こらない可能性があり、コスト的に不利である。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられ、かつ、コスト的により有利となるという観点から、精練漂白助剤の処理浴への添加量は、処理浴中の(A)〜(D)成分総量の濃度が0.5〜5g/Lとなるような量が好ましい。
【0066】
本発明の精練漂白助剤は、天然繊維、化合繊繊維及びこれらの混紡交編織繊維のバッチ式の精練漂白に適用できる。天然繊維としては、木綿、麻、及び羊毛等が挙げられ、化合繊繊維としては、レーヨンやアセテート等の再生セルロース繊維、及びポリエステルやポリアミド繊維、アクリル、スパンデックス等の合成繊維が挙げられる。これらの混紡交編織繊維としては、木綿や麻と他の繊維(羊毛、ポリエステル、ポリアミド繊維及びアクリル等)、羊毛と他の繊維(ポリエステル、ポリアミド及びアクリル等)、ポリエステル繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、ポリアミド、アクリル及びスパンデックス等)、ポリアミド繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、アクリル及びスパンデックス等)との混紡交編織繊維が挙げられる。
【0067】
精練漂白温度は、精練漂白される繊維によって適宜調節され得るが、通常5〜140℃程度であり、好ましくは30〜130℃程度である。
【0068】
精練漂白に用いる機械としては、従来のバッチ式の精練漂白に用いられている機械を使用することができ、そのような機械としては、例えば、液流染色機やビーム染色機、チーズ染色機、オーバーマイヤー染色機、ウィンス染色機、ワッシャー染色機等が挙げられる。
【0069】
処理浴の浴比は特に限定されないが通常1:4〜1:40、好ましくは1:6〜1:20である。
【0070】
本発明の精練漂白方法は、下記(A)〜(D)成分を含有する浴中で処理することを特徴とするものである。
(A)下記一般式(1)で表されるアルドン酸、その塩、そのラクトン、及び下記一般式(2)で表される糖アルコールからなる群より選ばれる1種以上
CH
2OH(CHOH)
mCOOH (1)
(式(1)中、mは2〜6の整数を表す。)
CH
2OH(CHOH)
nCH
2OH (2)
(式(2)中、nは2〜6の整数を表す。)
(B)カルボキシル基含有モノマーを必須モノマーとするポリマー及び/又はその塩
(C)有機ホスホン酸及び/又はその塩
(D)1価アルコール、グリコール、又はフェノール類のエチレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を65〜85質量%の量で有するもの、
1価アルコール、グリコール、又はフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの共重合付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を45〜70質量%の量で有するもの、及び、
1級又は2級アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物であって、分子中にエチレンオキシ基を55〜70質量%の量で有するもの
からなる群より選ばれる1種以上
【0071】
本発明の精練漂白方法における(A)〜(D)成分は、上述したものである。
【0072】
本発明の精練漂白方法において、処理浴中の(A)及び(B)成分の質量比は、80:20〜30:70である。(A)及び(B)成分の質量比が上記範囲であれば、十分な精練漂白性が得られ、また、十分に精練漂白性ムラを抑えることができる。
【0073】
また、処理浴中の(A)及び(B)成分の総量と(C)成分、又は(D)成分との比は特に限定されないが、精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、(A)〜(D)成分総量に対して、(A)及び(B)成分の総量が10〜60質量%、(C)成分が3〜10質量%、(D)成分が30〜80質量%となるよう、処理浴に含有されていることが好ましい。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられるという観点から、処理浴中の(A)〜(D)成分総量に対する各成分の割合は、(A)及び(B)成分の総量が25〜50質量%、(C)成分が3〜8質量%、(D)成分が40〜70質量%となっていることが好ましい。
【0074】
本発明の精練漂白方法における処理浴中の(A)〜(D)成分総量の濃度は、0.05〜15g/Lであることが好ましい。処理浴中の(A)〜(D)成分総量の濃度が0.05g/L未満であると、精練漂白性が不十分となるおそれがあり、一方、15g/Lを超えて使用しても効果の更なる向上は起こらない可能性があり、コスト的に不利である。精練漂白性がより優れ、精練漂白性ムラがより抑えられ、かつ、コスト的により有利となるという観点から、処理浴中の(A)〜(D)成分総量の濃度は、0.5〜5g/Lであることが好ましい。
【0075】
本発明の精練漂白方法は、従来行われているバッチ式の精練漂白に適用することができ、例えば、上述した機械を用い、上述した繊維の精練漂白に適用することができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0077】
綿の70番単糸1kgのチーズ(巻き密度0.4g/cm
3)を、チーズ染色機((株)日阪製作所社製、LLC−1/25)を用いて、以下に示す組成の処理浴にて、浴比を1:10とし、処理液を流速40L/分でチーズの内側から外側の方向に循環させ、以下のような工程で精練漂白した後、100℃で30分間熱風乾燥した。
【0078】
処理浴組成:
NaOH 1.6g/L
H
2O
2(30質量%水溶液) 4g/L
精練漂白助剤 1g/L
(精練漂白助剤の組成を表1及び2に示す)
【0079】
工程:
処理浴温度を40℃にし、10分間、処理液を循環させた後、2℃/分で110℃まで昇温した。110℃で30分間、処理液を循環させた後、85℃まで冷却し、排水した。次に、80℃で湯洗を10分間行い、排水した。常温の水を添加し、過酸化水素中和剤(日華化学(株)社製、商品名:クロークスE)を0.2g/L加え、5分間循環させ、過酸化水素の中和を行い、酢酸の80質量%水溶液を1g/L加え、10分間循環させ、NaOHの中和を行った後、排水し、常温にて水洗した。
【0080】
精練漂白及び乾燥後、得られた処理済みチーズの上面において、中心から外周までの幅を半径方向に沿って5等分し、最外層、外層、中層、内層、最内層に分け、各層から処理済糸を採取した。採取した処理済糸を筒編機(釜径3.5インチ、針本数240本、英光産業(株)社製、NE450W)に仕掛けて1本給糸で40cmの筒編地を編成し、試料編地を得た。得られた筒編地を4つ折りし、8枚重なった状態の試料編地について、白度と再湿潤性を以下の方法で測定し、評価した。
【0081】
(再湿潤性と再湿潤性差)
各層の試料編地に水滴(0.05mL)を滴下し、水滴が浸透するまでの時間(浸透時間)を測定し、各層の試料編地の浸透時間を比較した。その結果を表1及び2に示す。浸透時間が短く、バラつきが少ない程、再湿潤性が良く、再湿潤性差が少ないこと、即ち精練漂白性が良好であり、精練漂白性ムラが抑えられていることを表す。
A:すべての層の試料編地の浸透時間が1秒未満である。
B:各層の試料編地の浸透時間が1〜180秒の範囲でバラついている。
C:すべての層の試料編地の浸透時間が180秒以上である。
【0082】
(白度と白度差)
各層の試料編地の白度を、ミノルタ測色機CM−3700dを用い、光源D65、視野10度の条件で測定した。各層の試料編地の白度のうち、最も高い白度及び最も低い白度を表1及び2に示す。白度が高い程、精練漂白性が優れていることを表す。また、最も高い白度から最も低い白度を差し引き、白度差とした。白度差が小さい程、チーズの精練漂白性ムラが抑えられていることを表す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1及び2に示されるように、実施例1〜9の本発明の精練漂白助剤を用いて精練漂白した場合は、比較例1〜11と比べて、精練漂白性に優れ、かつ、チーズの精練漂白性ムラが抑えられていることが分かる。