特許第5710871号(P5710871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5710871カートリッジ搬送装置、ライブラリ装置、およびライブラリシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710871
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】カートリッジ搬送装置、ライブラリ装置、およびライブラリシステム
(51)【国際特許分類】
   G11B 15/68 20060101AFI20150409BHJP
   G11B 17/26 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   G11B15/68 J
   G11B17/26
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2009-225047(P2009-225047)
(22)【出願日】2009年9月29日
(65)【公開番号】特開2011-76653(P2011-76653A)
(43)【公開日】2011年4月14日
【審査請求日】2012年8月20日
【審判番号】不服2014-4296(P2014-4296/J1)
【審判請求日】2014年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】川崎 利光
(72)【発明者】
【氏名】和田 哲
【合議体】
【審判長】 丹治 彰
【審判官】 井上 信一
【審判官】 関谷 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−504139(JP,A)
【文献】 特開2006−127628(JP,A)
【文献】 特開2002−298476(JP,A)
【文献】 特開2003−85852(JP,A)
【文献】 特開2004−14045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 15/68
G11B 17/22-17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ内の記録媒体の読み書きを行うドライブの複数が着脱可能に設けられ、前記カートリッジを移動させるカートリッジ移動手段を備え、他のライブラリ装置との間で前記カートリッジを通過させるための通過穴が開設されたライブラリ装置が積層されて配置された複数のライブラリ装置に対して、
隣り合う2つのライブラリ装置それぞれにおける少なくとも1つの隣り合う前記ドライブが取り外されたスペースに配設されて用いられるカートリッジ搬送装置であって
前記カートリッジを、前記隣り合う2つのライブラリ装置における1つのライブラリ装置から他のライブラリ装置へと搬送する搬送手段を備え
前記搬送手段は、前記カートリッジを、前記通過穴を通して前記1つのライブラリ装置の前記カートリッジ移動手段により挿抜可能な位置から、前記他のライブラリ装置の前記カートリッジ移動手段により挿抜可能な位置へと搬送するよう構成され、
前記カートリッジ搬送装置は、前記ライブラリ装置における前記ドライブの収容スペースに収まる外形に形成され、前記ドライブが取り外されたスペースに前記隣り合う2つのライブラリ装置の積層方向と垂直な方向から収容され、その状態から前記隣り合う2つのライブラリ装置の積層方向に移動されて前記通過穴を少なくとも一部が通過することで、前記隣り合う2つのライブラリ装置の接続部分に装着されることにより、前記複数のライブラリ装置が積層された状態で該ライブラリ装置に着脱可能に構成されたことを特徴とするカートリッジ搬送装置。
【請求項2】
前記ライブラリ装置は、前記カートリッジを収容するマガジンをさらに備え、
前記カートリッジ移動手段は、前記マガジンおよび前記ドライブの間で前記カートリッジを移動させる請求項1記載のカートリッジ搬送装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記1つのライブラリ装置の前記カートリッジ移動手段により挿抜可能な位置に前記カートリッジが挿入された場合、該カートリッジ移動手段によるカートリッジ挿抜方向に該カートリッジを移動させてから、前記通過穴を通過させて該カートリッジを前記他のライブラリ装置に搬送し、前記他のライブラリ装置の前記カートリッジ移動手段により挿抜可能な位置へと該カートリッジを搬送するよう構成されたことを特徴とする請求項1記載のカートリッジ搬送装置。
【請求項4】
カートリッジ内の記録媒体の読み書きを行うドライブの複数を着脱可能に構成され、前記カートリッジを移動させるカートリッジ移動手段を備えたライブラリ装置であって、
前記ドライブは、複数を積層可能に実装可能であり、
前記ライブラリ装置は、前記ドライブが配置される位置の積層方向における上方の天面および/または下方の底面に、前記カートリッジが通過可能な通過穴が開設され、
前記ライブラリ装置は、積層されて配置され、前記ドライブが取り外されたスペースに請求項1から3の何れか1項に記載のカートリッジ搬送装置が配設されることを特徴とするライブラリ装置。
【請求項5】
複数の請求項4記載のライブラリ装置と、
請求項1から3の何れか1項に記載のカートリッジ搬送装置とを備え、
前記ライブラリ装置の複数が積層されて設けられ、
前記ライブラリ装置間の接続部それぞれに前記カートリッジ搬送装置が配設されたことを特徴とするライブラリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、あるいは光磁気ディスク等の記録媒体を収容するカートリッジを複数格納し、それらカートリッジの中から所望のカートリッジを選択的に取り出し、内部のドライブによってカートリッジ内の記録媒体に対するデータの読み取り/書き込みを行うライブラリ装置に用いられるカートリッジ搬送装置、ライブラリ装置、およびライブラリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ライブラリ装置では、記録媒体を収容するカートリッジが、ライブラリ装置内のマガジン(カートリッジ収納棚)に設けられた格納領域である複数のセル内に格納される。こうしたライブラリ装置内のマガジンに格納されたカートリッジの何れかに対してデータの読み取り/書き込みを行う場合には、その所望のカートリッジを選択的に取り出し、そのライブラリ装置内のドライブに移動させ、そのドライブによりデータの読み取り/書き込みを行う。
【0003】
このため、複数のライブラリ装置を用いる場合であっても、各ライブラリ装置内のカートリッジは、そのカートリッジが格納されるライブラリ装置内のドライブに移動されることにより、データの読み取り/書き込みが行われることとなる。
【0004】
また、1つのライブラリ装置に格納されるカートリッジを他のライブラリ装置に移動させる場合、人手によって1つのライブラリ装置から所望のカートリッジを抜き取り、他のライブラリ装置に再格納する必要があった。
【0005】
また、本出願人によるライブラリシステムとして、2つのライブラリ装置を上下に重ねる間にパススルーポート機構を配置することにより、複数のライブラリ装置の間でカートリッジを行き来させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ライブラリ装置の本体中央に穴を空けた構成とし、カートリッジを2つのライブラリ装置間で移動させる装置間移動用の台座をマガジン内の格納領域に格納し、カートリッジを移動させる移動機構が、ライブラリ装置内でのカートリッジ移動に加えて、装置間移動用の台座を他のライブラリ装置まで移動させる機構を備えることにより、カートリッジを2つのライブラリ装置間で移動させるようにしたものがある(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−127628号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】"StorageLibrary T40+動画"、[online]、タンベルグデータ株式会社、[平成21年9月15日検索]、インターネット<URL:http://www.tandberg.co.jp/product/a_library_t40plus_mov.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した一般的なライブラリ装置では、1つのライブラリ装置に格納されるカートリッジを他のライブラリ装置に移動させる場合、人手によってカートリッジの取り外し、再格納することとなるため、手間と時間がかかってしまっていた。さらに、こうした取り外しや再格納するための時間、ライブラリ装置の運用を停止する必要があるので、ライブラリ装置の稼働率が低下するといった問題があった。
【0010】
また、多数のカートリッジを格納するために複数のライブラリ装置を用いる場合であっても、各ライブラリ装置内のカートリッジは、そのカートリッジが格納されるライブラリ装置内のドライブでデータの読み取り/書き込みされるため、他のライブラリ装置でドライブが空いていてもその空きドライブを使用することができなかった。このため、ライブラリシステム全体としての稼働率が低くなる虞があった。
【0011】
また、上述した特許文献1のものは、複数のライブラリ装置を用いて、1つのライブラリ装置に格納されるカートリッジを他のライブラリ装置に自動的に移動できる構成とする場合、上下に重ねられたライブラリ装置の間にパススルーポート機構を挟むように配置していく必要があるため、上下に重ねていくライブラリ装置の間にその分だけスペースが余分に必要となってしまっていた。
【0012】
また、上述した非特許文献1のものは、複数のライブラリ装置を上下に重ねた使用状態で、カートリッジを2つのライブラリ装置間で移動させるようにしたものであり、ライブラリ装置1台を単体で使用する際には、装置間移動用の台座や、カートリッジを移動させる移動機構がその台座を他のライブラリ装置まで移動させるための機構が不要なデッドスペースとなっていた。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ライブラリ装置1台を単体で使用しても不要なデッドスペースがなく、それでいて、さらにライブラリ装置を追加した場合であっても、1つのライブラリ装置に格納されるカートリッジを他のライブラリ装置に自動的に移動させることが省スペースで実現でき、拡張の自由度が高いシステムを構成することができるカートリッジ搬送装置、ライブラリ装置、およびライブラリシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明に係るカートリッジ搬送装置は、カートリッジ内の記録媒体の読み書きを行うドライブの複数が着脱可能に設けられる複数のライブラリ装置に対して、隣り合う2つのライブラリ装置それぞれにおける少なくとも1つの隣り合うドライブが取り外されたスペースに配設されて用いられ、上記カートリッジを、上記隣り合う2つのライブラリ装置における1つのライブラリ装置から他のライブラリ装置へと搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るライブラリ装置は、カートリッジ内の記録媒体の読み書きを行うドライブの複数を着脱可能に構成されたライブラリ装置であって、上記ドライブは、複数を積層可能に実装可能であり、上記ドライブが配置される位置の積層方向における上方および/または下方に、上記カートリッジが通過可能な通過穴が開設されたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るライブラリシステムは、上述した本発明に係るライブラリ装置の複数が積層されて設けられ、上記ライブラリ装置間の接続部それぞれに上述した本発明に係るカートリッジ搬送装置が配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ライブラリ装置1台を単体で使用しても不要なデッドスペースがなく、それでいて、さらにライブラリ装置を追加した場合であっても、1つのライブラリ装置に格納されるカートリッジを他のライブラリ装置に自動的に移動させることが省スペースで実現でき、拡張の自由度が高いシステムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態としてのライブラリ装置のドライブスロット空き状態を示す斜視図である。
図2】該ライブラリ装置のドライブスロット全てにドライブが実装された状態を示す斜視図である。
図3】該ライブラリ装置のドライブスロットにPTPモジュール3だけを実装した状態を示す斜視図である。
図4】該ライブラリ装置のドライブスロットにPTPモジュール3およびドライブを実装した状態を示す斜視図である。
図5】該ライブラリ装置の縦断面を概略的に示す図である。
図6】該ライブラリ装置の筐体が取り外された状態を示す斜視図である。
図7】該ライブラリ装置の平面方向の内部構成を概略的に示す図である。
図8】PTPモジュール3におけるカートリッジ搬送動作1を示す図である。
図9】PTPモジュール3におけるカートリッジ搬送動作2を示す図である。
図10】PTPモジュール3におけるカートリッジ搬送動作3を示す図である。
図11】PTPモジュール3におけるカートリッジ搬送動作4を示す図である。
図12】PTPモジュール3の機構部分の構成を示す斜視図である。
図13】PTPモジュール3のフィード機構の構成を主に示す斜視図である。
図14】PTPモジュール3のフィード機構の構成を主に示す斜視図である。
図15】PTPモジュール3のフィード機構の構成を主に示す斜視図である。
図16】PTPモジュール3のUP/DOWN機構の構成を主に示す斜視図である。
図17】PTPモジュール3のUP/DOWN機構の構成を主に示す斜視図である。
図18】PTPモジュール3のUP/DOWN機構の構成を主に示す斜視図である。
図19】PTPモジュール3のUP/DOWN機構の構成を主に示す斜視図である。
図20】PTPモジュール3のUP/DOWN機構の構成を主に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係るカートリッジ搬送装置、ライブラリ装置、およびライブラリシステムを適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態の概略について説明する。
本実施形態のライブラリ装置は、磁気テープを収容する磁気テープカートリッジ(以下、カートリッジ)を、取り外し可能なカートリッジ収納棚(以下、マガジン)内に複数格納でき、磁気テープドライブ(以下、ドライブ)が着脱可能となっている。また、マガジン、ドライブの相互間でカートリッジを移動させるアクセッサ機構を備える。
そして、上方に隣接設置されたライブラリ装置との間で相互にカートリッジの移動を行い、一つの大型ライブラリ装置として動作せしめるPTP(パススルーポート)モジュールを、ドライブを装着するドライブスロットに設置できる構造を有している。
【0021】
このように、本実施形態では、複数のライブラリ装置を上下に重ねて使用する場合に、シャーシ間カートリッジ移動手段であるPTPモジュールをドライブ実装スペースに実装できるようになっている。このため、低価格で、連接された複数のライブラリ装置を1つの大きなライブラリ装置のように動作させることができる。
【0022】
次に、本実施形態の構成について説明する。
図1図4に、本実施形態のライブラリ装置100が2台、垂直に立てられたラック800に上下に積層されて取り付けられた状態の例を示す。
【0023】
図1は、本実施形態のライブラリ装置100のドライブスロットに何も装着されず、空いている状態を示す。この図1に示すように、ライブラリ装置100の筐体1は、ドライブスロットの上下(装置筐体、ドライブの積層方向)に、カートリッジを通過させるための通過穴11が開設される。
【0024】
図2は、ライブラリ装置100のドライブスロット全てにドライブ2を実装した状態を示す。この状態では、2つのライブラリ装置間で相互にカートリッジの移動を行うことはできず、カートリッジは、格納されているライブラリ装置内のドライブ2でデータの読み取り/書き込みされることとなる。
【0025】
図3は、ライブラリ装置100のドライブスロットにPTPモジュール3を実装し、ドライブ2を実装していない状態を示す。
このように、PTPモジュール3は、2つのライブラリ装置100それぞれにおけるドライブ2を1つずつ、すなわちドライブ2の2つ分のスペースで実装される。
【0026】
なお、ドライブには、例えば高さ約2.5インチのハーフハイトドライブとフルハイトドライブなど、高さの異なる各種のドライブを用いることができるが、図1図4の例では、全てハーフハイトドライブである場合について示す。フルハイトドライブを用いる場合、ハーフハイトドライブの倍の高さであるため、ハーフハイトドライブ2つ分の実装スペースを要することとなる。
【0027】
また、図3図4の例では、PTPモジュールの機構部分がライブラリ装置100に実装された後、外装板が取り付けられた状態を示す。この外装板は、PTPモジュールの機構部分が外から見えないようにし、ユーザの不要な接触などを防止する。PTPモジュールの機構部分は、図3図4に示される外装板の内側で、不図示の接続ケーブルなどによりライブラリ装置100に接続され、電源供給や動作制御ができるようになっている。
【0028】
図4は、図3の状態におけるドライブスロットの空きスペースにドライブ2を実装した状態を示す。
【0029】
図5(A)は、本実施形態のライブラリ装置100のドライブスロット全てにドライブ2が実装された状態を示す。図5(B)は、積層されて設けられた2つのライブラリ装置100の接続部にPTPモジュール3が実装され、他のドライブスロットにドライブ2が実装された状態を示す。
この図5(A)(B)では、ライブラリ装置100が、ハーフハイトドライブを4つ実装できる構成である場合を例として、縦断面の概略を示す。
【0030】
このように、本実施形態のライブラリ装置100は、ドライブやPTPモジュール3が着脱可能なドライブスロットを備える。このため、2台のライブラリ装置100をそれぞれ単独で用いる場合には、図2図5(A)に示すように、ドライブスロット全てにドライブ2を実装することができる。
【0031】
このように構成することで、2台のライブラリ装置100の両方をベースユニットとして機能させることができ、何れにも不要なデッドスペースを発生させてしまうことのない構成とすることができる。
また、カートリッジを2つのライブラリ装置間で移動させるための構成を備えておらず、低コストな構成とすることができる。
【0032】
一方、2台のライブラリ装置100について、装置間でカートリッジを相互に移動できるようにし、1つの大きなライブラリ装置のように動作させる場合には、図4図5(B)に示すように、ドライブスロットにおける2つのライブラリ装置の接続部、すなわち2台のライブラリ装置100それぞれにおける1つずつの隣り合うドライブが取り外されたスペースにPTPモジュール3を実装すると共に、他のドライブスロットにドライブ2を実装する構成とすることができる。
【0033】
以上のように、本実施形態では、ドライブスロット内のハーフハイトドライブ2台分のスペースにPTPモジュール3を実装するだけの省スペースで、装置間でのカートリッジ相互移動を実現することができる。
このため、ベースユニットのライブラリ装置に、拡張ユニットのライブラリ装置を安価に、簡単に拡張することができる。
【0034】
次に、本実施形態としてのライブラリ装置100の構成について、図6図7を参照して説明する。
【0035】
図6は、ライブラリ装置100から筐体1が取り外され、ドライブ実装スペースであるドライブスロット102の全てにドライブ2が実装され、マガジン実装スペースであるマガジンスペース103にマガジン4a、4bが実装された状態を示す。
【0036】
この図6図7に示すように、カートリッジを格納するマガジン4と、そのカーリッジに収納される磁気テープのデータ読み取り/書き込みを行うドライブ2とが、シャーシ7に固定されてライブラリ装置100に実装される。
そして、ライブラリ装置100は、マガジン4およびドライブ2の間でカートリッジを相互に移動させるアクセッサ(カートリッジ移動手段)6を備える。
【0037】
アクセッサ6は、アクセッサ走行路101を往復し、アクセッサ移動方向X、移動方向Yに移動することで、マガジン4から所望のカートリッジ5を抜き出し、指定されたドライブ2に挿入したり、ドライブ2からカートリッジ5を抜き出してマガジン4の所定位置に挿入したりする。
【0038】
この図6に示す構成例では、マガジン4におけるアクセッサ6の挿抜方向に、カートリッジ5が前後に2本収納され、アクセッサ6が回転動作などする必要なく、各カートリッジを挿抜できるようになっている。
このため、アクセッサ6が回転機構などの複雑な機構を備える必要がなく、アクセッサ6を小型化できるようになっている。このことにより、アクセッサ走行路101も省スペース化することができ、ライブラリ装置100内のスペースをさらに有効に活用できるようになっている。
【0039】
また、ライブラリ装置100は、アクセッサ6、ドライブ2、PTPモジュール3といった装置内の各部分に電源を供給する電源104と、それら各部分の動作制御を行う制御部105とを備える。
制御部105は、ライブラリ装置100に接続される不図示のPCなどに実装された制御プログラムの制御に連動して動作し、装置内の各部分の動作制御を行う。
【0040】
次に、本実施形態としてのライブラリ装置100に用いられるPTPモジュール3の構成、動作について、図8図20を参照して詳細に説明する。
【0041】
PTPモジュール3は、図8図11に示すように、アクセッサ6によりカートリッジ5が挿入されると、挿入された側のライブラリ装置から他のライブラリ装置へとカートリッジを搬送する。図8図11の例では、上側のライブラリ装置100bのアクセッサ6により挿入されたカートリッジ5を、下側のライブラリ装置100aに搬送する状態を示す。
【0042】
この搬送動作では、まず、図8に示すように、カートリッジ5の待機状態で、アクセッサ6によりカートリッジトレイ301にカートリッジ5が挿入されると、PTPモジュール3は、図9に示すように、カートリッジトレイ301を下側のライブラリ装置100aに通過穴11を通過させて移動させられるところまで、カートリッジトレイ301や天板305a、305bを含む構成を、アクセッサ6による挿抜方向(動作方向X)に、アクセッサ走行路101から離れる方へと移動させる。
【0043】
その後、PTPモジュール3は、図10に示すように、カートリッジトレイ301を垂直下方向に移動させ、挿入された側でない下側のライブラリ装置100a内へと、通過穴11を通過して移動させる。
【0044】
そして、PTPモジュール3は、図11に示すように、移動先である下側のライブラリ装置100aのアクセッサ6によりカートリッジ5を抜き取り可能な位置まで、カートリッジトレイ301を、アクセッサ6による挿抜方向(動作方向X)に、アクセッサ走行路101に近づく方へと移動させる。
【0045】
次に、PTPモジュール3の機構部分の構成について、図12図20を参照して詳細に説明する。
【0046】
PTPモジュール3の機構部分は、シャーシ304に対して他の部分をアクセッサ6による挿抜方向(動作方向X)に前後動させるフィード機構と、シャーシ304に対して他の部分を装置間移動方向(動作方向Y)に上下動させるUP/DOWN機構とを備える。
【0047】
図12に、機構部分の全体構成を示す。図13図15に、フィード機構の構成を主に示し、UP/DOWNモータ303などを取り外した状態を示す。図16図20に、UP/DOWN機構の構成を主に示し、フィードモータ302などを取り外した状態を示す。
図18は、フィードモータ302、UP/DOWNモータ303を共に取り外した状態として示す。
【0048】
フィード機構では、フィードモータ302の動力がフィード用ギアユニット309により伝達され、フィード用のピニオンギア309aとフィード用のラックギア308aが咬合することにより、天板305aが固定されるフィードプレート308が動作方向Xに前後動される。この時、天板305bが固定されるスライダーブラケット307も連動して前後動されることで、その内側に設けられたカートリッジトレイ301が連動して前後動されることとなる。
【0049】
UP/DOWN機構では、UP/DOWNモータ303の動力がUP/DOWN用ギアユニット311により伝達され、ドライブシャフト311aの両端に設けられたUP/DOWN用のピニオンギア311bと、UP/DOWN用のラックギア308bとが咬合する。こうしてUP/DOWNモータ303が回転する際、上述したフィード機構のフィードモータ302は動作していないため、フィードプレート308も動作方向Xに前後動せず、スライダーブラケット307がUP/DOWNモータ303やUP/DOWN用ギアユニット311と共に動作方向Xに前後動されることとなる。こうしてスライダーブラケット307が動作方向Xに前後動されることにより、その内側に設けられたカートリッジトレイ301は、フィードプレート308に設けられた上下溝315と、スライダーブラケット307に設けられた斜め溝314とにカートリッジトレイ301側面の突起部が挟まれることで、垂直に上下動することとなる。
【0050】
例えば上側のライブラリ装置100bから下側のライブラリ装置100aにカートリッジトレイ301を移動させる場合には、上述した図9の状態から図10の状態のように、上下溝315および斜め溝314に沿って垂直下方向に移動されることとなる。
その後、フィード機構によりフィードプレート308およびスライダーブラケット307が、動作方向Xにおけるアクセッサ走行路101に近づく方へと移動される。このことにより、スライダーブラケット307の内側のカートリッジトレイ301が、移動先である下側のライブラリ装置100aのアクセッサ6によりカートリッジ5を抜き取り可能な位置まで移動されることとなる。
【0051】
また、PTPモジュール3は、アクセッサ位置決めターゲット306を、上側のライブラリ装置100bおよび下側のライブラリ装置100aそれぞれのアクセッサ6に対応するように備える。
【0052】
PTPモジュール3が実装された状態で、上側および下側それぞれのライブラリ装置100の制御部105が起動された際に、アクセッサ6に設けられたカメラ(不図示)が、公知のアクセッサと同様に、上側装置および下側装置それぞれでアクセッサ位置決めターゲット306のパターンを認識し、カートリッジトレイ301のX/Y方向の位置(距離)を測定する。
このことにより、アクセッサ6は、カートリッジ5を挿入、抜き取りする位置を認識し、制御部105は初期設定として記憶する。
【0053】
次に、PTPモジュール3のライブラリ装置100への実装方法について説明する。
以下の説明では、図2に示すように、ドライブ実装スペースの全てにハーフハイトのドライブ2が実装された状態から、図4に示すように、2つのライブラリ装置それぞれにおける1つずつの隣り合うドライブ実装スペースにPTPモジュール3を実装する方法について説明する。
【0054】
まず、作業者は、上側装置のドライブスロット102における下側装置との接続部分にあるドライブ2を2つ取り外し、下側装置との接続部分にハーフハイトドライブ2つ分のスペースを空ける。すなわち、例えば実装されているのがフルハイトドライブであれば、そのフルハイトドライブを1つ取り外すことで、同様にハーフハイトドライブ2つ分のスペースを空けることができる。
【0055】
また、下側装置のドライブスロット102における上側装置との接続部分にあるドライブ2を1つ取り外し、上側装置との接続部分にハーフハイトドライブ1つ分のスペースを空ける。
【0056】
こうして空けられた上側装置のドライブスロット102におけるハーフハイトドライブ2つ分のスペースに、作業者は、装置背面側から水平方向(ドライブの積層方向と垂直な方向)に、図8図11に示すPTPモジュール3の機構部分を挿入する。
【0057】
その後、作業者は、PTPモジュール3の機構部分におけるシャーシ304より下部が通過穴11を通過するように、PTPモジュール3の機構部分を垂直方向(ドライブの積層方向)に移動させる。こうして、PTPモジュール3のシャーシ304がドライブスロット102の底板の位置まで来るように、PTPモジュール3の機構部分を下方向に降ろす。
【0058】
こうしてPTPモジュール3の機構部分が設置位置に装着されると、作業者は、PTPモジュール3のシャーシ304を、不図示のねじ穴によりライブラリ装置100の筐体1にネジ止めして固定する。
【0059】
また、作業者は、不図示の接続ケーブルなどによりPTPモジュール3の機構部分をライブラリ装置100に接続し、電源104による電源供給や、制御部105による動作制御ができるよう電気的に接続する。そして、外装板を取り付け、PTPモジュール3としてのライブラリ装置100への実装が完了する。
【0060】
その後、上側のライブラリ装置100bのドライブスロット102の空きスロットにドライブ2が実装されることで、図4に示す状態としてライブラリ装置100に実装されることとなる。
【0061】
以上のように、上述した実施形態によれば、ベースユニットとして用いられるライブラリ装置1台を単独で用いる場合には、カートリッジを装置間で移動させるための専用機構を何ら備えていない構成とすることができる。従ってそのためのデッドスペースが発生しない構成とすることができ、カートリッジの実装効率を下げることがないようにすることができる。また、カートリッジを装置間で移動させる機構を備えていない状態とできるため、不要なコスト増を発生させないようにすることができる。
【0062】
それでいて、例えば格納しようとするカートリッジの数が多くなった場合など、ベースユニットとして用いるライブラリ装置に、拡張ユニットとして用いるライブラリ装置をさらに追加する場合にも、ベースユニットのライブラリ装置と、拡張ユニットのライブラリ装置との間でカートリッジを相互に移動させる構成とすることができる。
【0063】
このことにより、各ライブラリ装置におけるドライブの空き状態などに応じて、1つのライブラリ装置に格納されるカートリッジを他のライブラリ装置に移動させることができるため、システムとしての稼働率を高めることができる。
このように、カートリッジの装置間移動を実現することで、拡張ユニットを加えた複数のライブラリ装置によるライブラリシステムを1つの大きなライブラリ装置のように動作させることができ、システムとしての稼働率を高めることができる。
【0064】
また、上述のように拡張ユニットのライブラリ装置を追加する場合にも、本実施形態によれば、ドライブスロット内のハーフハイトドライブ2台分のスペースでPTPモジュール3を実装するだけで、装置間でのカートリッジの相互移動を実現することができる。
このように、例えばアクセッサなど他の部分に、カートリッジの装置間移動を実現するための専用機構を設ける必要がなく、従って省スペースで、カートリッジの実装効率をほとんど下げることなく、拡張ユニットのライブラリ装置を追加することができる。
【0065】
このように、ベースユニットのライブラリ装置に、拡張ユニットのライブラリ装置を安価に、簡単に拡張することができる。このため、ユーザの使用状況やライブラリ装置に格納したいカートリッジの本数などに応じて、ベースユニットのライブラリ装置を単独で使用したり、拡張ユニットのライブラリ装置を追加したりといった、拡張の自由度の高い運用が可能となる。
【0066】
また、ドライブスロットにPTPモジュール3を実装することで、装置間でのカートリッジの相互移動を実現するため、上述した効果を低価格で実現することができる。
【0067】
また、上述のように拡張ユニットのライブラリ装置を追加する場合にも、本実施形態によれば、ベースユニットのライブラリ装置をラックに固定して用いている状態で、ラックから取り外す必要なく、拡張ユニットのライブラリ装置を追加することができる。
すなわち、ライブラリ装置100の背面側に設けられたドライブスロット102に、背面側からPTPモジュール3を実装できるため、ベースユニットのライブラリ装置および拡張ユニットのライブラリ装置がラック800に取り付けられた状態でPTPモジュール3の実装作業を行うことができる。
【0068】
このため、ベースユニットのライブラリ装置をラックに固定して単独で用いている状態からでも、拡張ユニットを簡単な手間で追加することができ、拡張の自由度の高い運用が可能となる。
【0069】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0070】
例えば、上述した実施形態における図8図12に示すPTPモジュール3の構成は一例であり、ドライブスロット102のハーフハイトドライブ2つ分の外寸法に収まり、かつ通過穴11を通して上述のようにライブラリ装置に実装することができる形状で、カートリッジトレイを装置間で移動させることができれば上述した構成に限定されず、他の構成であってもよい。
【0071】
このように、PTPモジュール3の構成は、例えばカートリッジトレイを装置間で上下移動させ、その上端位置および下端位置で、アクセッサ6がカートリッジ5を挿抜する構成であってもよい。すなわち、上述した実施形態では、フィード機構によりカートリッジトレイ301を前後させた後、通過穴11を通して他の装置側に移動し、再度フィード機構によりカートリッジトレイ301を前後させることとして説明したが、この構成に限定されず、例えばフィード機構を備えず、カートリッジトレイが通過穴11を通して装置間を移動するだけの構成であっても、本発明は同様に実現することができる。
【0072】
また、上述した実施形態では、PTPモジュール3がライブラリ装置100の電源104から電源供給を受けることによりモータを駆動させ、カートリッジトレイの装置間移動を行うこととして説明したが、カートリッジトレイを装置間で移動することができれば上述した構成に限定されず、PTPモジュール3が動力源を備えない構成であってもよい。例えば、PTPモジュール3が、アクセッサ6などにより所定の突起を押下されることで、カートリッジトレイを装置間で移動させるよう構成された場合であっても、本発明は同様に実現することができる。
【0073】
また、上述した実施形態では、記録媒体を収容するカートリッジが、磁気テープを収容する磁気テープカートリッジである場合について説明したが、カートリッジに収容される記録媒体はこのものに限定されず、ドライブが対応可能なものであれば、例えば磁気ディスク、光ディスク、あるいは光磁気ディスク等、任意の記録媒体であってよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、ライブラリ装置100の筐体1におけるドライブスロットの上下(装置筐体、ドライブの積層方向)に通過穴11が開設されることとして説明したが、この構成に限定されず、例えば2つのライブラリ装置を積層可能とする構成であれば、ベースユニットのライブラリ装置100の上側と、拡張ユニットのライブラリ装置100の下側とにだけ通過穴11が開設される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 ライブラリ装置
1 筐体
11 通過穴
2 ドライブ
3 PTPモジュール
4 マガジン
5 カートリッジ
6 アクセッサ
7 シャーシ
101 アクセッサ走行路
102 ドライブスロット
103 マガジンスペース
104 電源
105 制御部
301 カートリッジトレイ
302 フィードモータ
303 UP/DOWNモータ
304 シャーシ
305a、305b 天板
306 アクセッサ位置決めターゲット
307 スライダーブラケット
308 フィードプレート
308a フィード用のラックギア
308b UP/DOWN用のラックギア
309 フィード用ギアユニット
309a フィード用のピニオンギア
310 ガイドプレート
311 UP/DOWN用ギアユニット
311a ドライブシャフト
311b UP/DOWN用のピニオンギア
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