(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
極性有機液体と、少なくとも0.1重量パーセントのシリコン/ゲルマニウムナノ粒子とを含むシリコン/ゲルマニウムナノ粒子の分散物であって、前記シリコン/ゲルマニウムナノ粒子は、100nmを超えない平均一次粒子サイズと、その平均一次粒子サイズの3倍を超えない体積平均二次粒子サイズとを有し、前記分散物中の前記シリコン/ゲルマニウム粒子は、前記体積平均粒子サイズの50パーセントを超えない半値全幅を有する、体積基準のDLS粒子サイズ分布を有しており、そして混合せずに1時間経過しても沈降がない分散物。
前記シリコン/ゲルマニウムナノ粒子は、前記二次粒子の少なくとも95パーセントが前記平均直径の40パーセントより大きく、かつ前記平均粒子サイズの250パーセントより小さな粒子サイズを有するように二次粒子サイズの分布を有する、請求項1に記載の分散物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
シリコン及び/又はゲルマニウムナノ粒子の供給、又はこれに対応してシリカ及び/又はゲルマニアの供給のための汎用性のあるプロセスは、望ましい特性を有するシリコン/シリカナノ粒子を製造する能力とともに、高品質のナノ粒子の分散物を形成する能力にもとづくことができる。実施態様によっては、シリコン/シリカ粒子は、粒子のための所望の特性を提供する選ばれたドーパントを有する。本明細書に記載されるように、一般に、シリコン/シリカ粒子の分散物は、結果として得られる分散物が高い均一性を有する小さな二次粒子サイズを有するように、良好に分散されることができる高度に均一なシリコン/シリカ粒子を有する。高い粒子均一性ならびに選ばれたドーパント濃度を有するシリコン/シリカナノ粒子を効果的に形成することができる流れ系の方法が記載される。適切な特性を有する分散物が形成されることができるので、分散物は、インクジェット印刷法に適したインクを調合するために用いられることができる。インクジェット印刷法は、効率的かつ正確なインクの堆積を提供する。ドーピングされたシリコン/シリカ粒子に関する実施態様では、分散物及びインクは、ドーピングされたシリコン/シリカの堆積物を半導体基板に沿う選ばれた位置に配置するために用いられることができる。ドーピングされたシリコン粒子は、ドーピングされた層又はドメインを半導体材料に沿って形成するために用いられることができる。シリカ粒子からのドーパントが半導体材料の中に移動させられ、これに対応して、選ばれた位置で半導体をドーピングすることもできる。
【0016】
シリコンは、多様な用途のための重要な材料である。特に、シリコンは、電気回路の形成のために広く用いられている半導体材料である。シリコンは、シリコンの電気特性に影響するように選択的にドーピングされることもできる。同様に、ゲルマニウムは、電気回路形成から半導体として用いられることができる。用途によっては、シリコンとゲルマニウムとの混合物又はブレンドが有用なことがある。本発明の詳細な記載における考察を単純化するために、化学的前駆体の記載に関してなど、特に明記されるか又は状況によって明らかに限定されることがない限り、シリコン、ゲルマニウム、それらの組み合わせ、例えば合金、及びそれらの混合物を指すためにシリコンという用語が用いられる。請求項に関しては、シリコンはシリコンだけを指し、シリコン/ゲルマニウムはシリコン、ゲルマニウム、それらの組み合わせ/合金、及びそれらの混合物を指すものとする。
【0017】
シリカすなわち二酸化ケイ素又はSiO
2も多様な用途のための重要な材料である。例えば、シリカは、光の透過のために有用な透明光学材料を形成するために用いられることができる。さらに、シリカは、エレクトロニクスにおける用途のための有用な誘電体である。シリカは、誘電体としてシリコン系半導体とともに用いられることができる。これは、シリカ粒子は、汚染物質がシリコン系半導体の中に移動した場合に、シリコン系半導体の性能に悪影響を及ぼすことができる当該汚染物質を提供しないように製造されることができるからである。シリカも、シリカの特性に影響を及ぼすように選択的にドーピングされることができる。下記にさらに記載されるように、ドーピングされたシリカ粒子は、望ましくない汚染物質を提供することなくドーパントをシリコン系半導体に供給するために用いられることができる。ゲルマニアは、シリカがシリコン系半導体のために用いられるのと同様にゲルマニウム系半導体に対して用いられることができる。用途によっては、シリカとゲルマニウムとの混合物又はブレンドが有用なことがある。本発明の詳細な記載における考察を単純化するために、化学的前駆体の記載に関してなど、状況によって明記されるか又は明らかに限定されることがない限り、シリカ、ゲルマニア、それらの組み合わせ、例えば合金、及びそれらの混合物を指すためにシリカという用語が用いられる。さらに、詳細な記載においては、シリコン/シリカは、シリコン、ゲルマニウム、シリカ、ゲルマニア、ならびにそれらの適切な組み合わせ及び合金を指すものとする。請求項に関しては、シリカはシリカだけを指し、シリカ/ゲルマニアはシリカ、ゲルマニア、それらの組み合わせ/合金、及びそれらの混合物を指すものとする。
【0018】
特に興味深い分散物は、分散用液体と、任意選択の添加剤とともに液体内に分散されたシリコン/シリカ粒子とを含む。分散物は、妥当な期間、一般に少なくとも1時間にわたって、さらに混合することなく、沈降の回避に関して安定であることができる。分散物がインクとして用いられることができる。すなわち、分散物は印刷されることができる。インクの特性は、特定の印刷方法にもとづいて調節されることができる。例えば、実施態様によっては、インクの粘度は、インクジェット印刷などの特定の使用のために調節され、粒子濃度及び添加剤が粘度を調節するいくつかのパラメータを提供する。小さな二次粒子サイズを有する安定な分散物を形成する上での利用可能性は、特定のインクを形成する能力を提供する。適切な特性を有する多様なインクを調合するために他の添加剤が用いられることができる。
【0019】
良好な分散物を形成する能力は、粒子サイズ、均一性及び表面化学に関する適切な粒子特性を有する、ドーピングされたシリコン/シリカ粒子を含むシリコン/シリカ粒子を合成する能力に関連している。流れ系の合成方法がドーパントを有するか又はドーパントのない所望のシリコン/シリカ粒子を合成することに関して非常に汎用性があることが発見された。レーザー熱分解法及び火炎熱分解法など、流れ系の方法では、生成物粒子は粉体として回収される。これらの流れ系の手法は、ドーピングされたシリコン/シリカ粒子を形成することに関して特に汎用性がある。
【0020】
さらに、シリコン/シリカ粒子は粒子サイズ及び他の特性に関して均一であることが望ましい。詳しくは、これらの粒子は均一な一次粒子サイズを有することが望ましく、一次粒子は実質的に融合していないことが望ましい。次に、一般に、これらの粒子は分散されて分散物中ではより小さなより均一な二次粒子サイズを生じることができる。二次粒子サイズとは、分散物内の粒子サイズの測定値を指す。小さな二次粒子サイズを有する良好な分散物の形成は、分散用液体の特性と粒子の表面化学との整合によって促進されることができる。粒子の表面化学は、粒子の合成時ならびに粒子の回収の後に影響を受けることができる。例えば、極性溶媒による分散物の形成は、粒子が粒子表面上に極性基を有すれば促進される。
【0021】
一般に、分散物及び対応するインクのための望ましいシリコン/シリカ粒子は、サブミクロンである。言い換えると、粒子の集まりは、約1ミクロン、これは1000ナノメートル(nm)に等しい、を超えない平均一次粒子直径を有し、実施態様によっては、平均一次粒子直径は約100nmを超えない。実施態様によっては、粒子は、粒子サイズが非常に均一である。粒子は、インク及び他の使用のための良好な分散物を形成するために、適切な表面特性を有することもできる。例えば、火炎熱分解法又はレーザー熱分解法などの蒸気系の流れプロセスによって、適当なサブミクロン粒子が形成されることができる。レーザー熱分解法が粒子の形成のために望ましい手法である。これは、結果として得られる粒子が一般に高度に均一であり、良好に分散されることができるからである。この場合、下記にさらに記載される粒子の表面改質を含むことができる。さらに、レーザー熱分解法は、ドーパントを導入する広い範囲の能力など、生成物粒子組成に関するその柔軟性に関しても望ましい。
【0022】
本明細書に記載されるように、適当な手法が乾燥ナノ粒子粉体を分散させ、分散物の中の粒子の表面改質を実行し、堆積のためのインク及び類似物を形成することが見いだされた。本明細書中に記載される加工手法の1つ以上を用いて、インクジェット印刷法及び他の便利な印刷手法を用いて堆積されることができるインクが形成されることができる。従って、蒸気系の粒子合成法の利点が、高度に分散された粒子を有する望ましい溶液系の加工手法と組み合わされて、ドーピングされた粒子によって形成されることができる望ましい分散物及びインクを得ることができる。
【0023】
特に興味深いいくつかの実施態様では、粒子は、レーザー熱分解法によって合成される。この場合、強い光源からの光が反応を推進して粒子を形成させる。レーザー熱分解法は、組成及びサイズが高度に均一である粒子の形成において有用である。多様な前駆体組成を導入する能力は、選ばれたドーパントを有するシリコン/シリカ粒子の形成を促進し、ドーパントは、比較的高い濃度で導入されることができる。
【0024】
レーザー熱分解法は、例えば、複数の金属/メタロイド元素ならびにドーピングされた材料を有する組成物を含む広い範囲の複雑な無機粒子の合成のために好適に用いられてきた。例えば、高度に均一なシリカ粒子の合成は、参照によってともに本明細書に組み込まれる「酸化シリコン粒子(Silicon Oxide Particles)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,471,930号明細書、及び「酸化シリコン粒子(Silicon Oxide Particles)」という標題のクマー(Kumar)らの米国特許第6,726,990号明細書中に記載されている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「光学材料及び光学デバイス(Optical Materials and Optical Devices)」という標題のホーン(Horne)らの米国特許第6,849,334号明細書中に、シリカ粒子の中への導入のための広い範囲のドーパントが記載されている。
【0025】
レーザー熱分解プロセスでは、ドーパント元素(単数又は複数)は、元素が生成物粒子の中に組み込まれることができるように反応体の流れの中へ導入される。ドーパント元素は、適当な組成物として反応体の流れの中へ供給されることができる。反応体の流れは、蒸気前駆体及び/又はエーロゾル前駆体を含むことができる。半導体基板のドーピングの場合、望ましいドーパントは、例えばB、P、Al、Ga、As、Sb及びそれらの組み合わせを含む。
【0026】
シリコン/シリカ分散物に関して、分散物は、低い濃度から約30重量パーセントの濃度を有することができる。一般に、二次粒子サイズは、動的光散乱法(DLS)によって測定される累積平均、又はZ‐平均粒子サイズとして表されることができる。Z‐平均粒子サイズは、散乱された光の測定値にもとづく強度平均である。散乱強度による粒子サイズ分布は、体積分布に変換されることができ、体積分布は、体積平均サイズを評価するために用いられることができる。一般に、体積平均粒子サイズは約2ミクロンを超えず、実施態様によっては約250nmを超えない。さらに、実施態様によっては、二次粒子サイズ分布は狭いことが望ましい。
【0027】
一般に、粒子の表面化学は、分散物を形成するプロセスに影響する。密度、粒子表面電荷、溶媒分子構造及び類似物などの他のパラメータも分散性に直接影響するが、特に、分散用液体と粒子表面とが化学的に適合していれば、小さな二次粒子サイズを形成する粒子ほど分散させるのが容易である。実施態様によっては、液体は、印刷プロセスのためなど、分散物の特定の使用に適切であるように選ばれることがある。粒子の表面特性は、対応して、分散物のために調節されることができる。シラン類を用いて合成されたシリコンの場合、結果として得られたシリコンは、一般に、部分的に水素化される。すなわち、シリコンは、材料の中にある程度の少量の水素を含む。一般に、この水素又は水素の一部がSi‐H結合として表面にあるかは明らかでない。しかし、少量の水素の存在は、今のところ特に重要であるようには見えない。
【0028】
一般に、粒子の表面化学は、粒子の合成手法ならびにその後の取り扱いによって影響されることがある。表面は、その性質上、下にある粒子の固相構造の終結を表す。シリコン粒子の表面のこの終結は、シリコン格子の打ち切りを含むことができる。シリカ粒子の表面の終結は、Si‐O‐Hなどの単結合又はSi‐O‐Siなどの歪んだ結合の形成を含むことができ、これらの結合は、表面に沿う表面歪みを導入する。特定の粒子の終結は、粒子の表面化学に影響する。粒子合成時の反応体、反応条件及び副生物の性質は、流れ反応の間に粉体として回収される粒子の表面化学に影響する。実施態様によっては、シリコン粒子は、例えば空気への暴露によって表面酸化されることができる。これらの実施態様の場合、表面は、酸化プロセスの間にSi‐O‐Si構造の中の橋かけ酸素原子、又は水素が利用可能であればSi‐O‐H基を有することができる。OH結合の存在は、代替表面改質手法を提供する。
【0029】
粒子の表面改質によって、粒子のより高い濃度における粒子分散物の安定性が改善されることができる。一般に、粒子の表面特性は、粒子の分散に影響する。一般に、粒子の表面特性は、合成手法ならびに合成後の加工法に依存する。多くの界面活性剤などのある種の表面活性剤は、粒子表面との非結合性相互作用によって作用する。実施態様によっては、粒子表面に化学的に結合する表面改質剤の使用によって、望ましい特性が得られる。粒子の表面化学は、表面改質剤の選択に影響する。
【0030】
表面酸化されたシリコン粒子及びシリカ粒子の場合、適当な表面改質剤は、例えば、金属酸化物及びメタロイド酸化物粒子に化学的に結合するアルコキシシラン類を含む。詳しくは、アルコキシシラン類は、Si‐O‐Si結合によって結合する。特に、トリアルコキシシラン類は、酸化された粒子表面と3つの結合を形成することができる。このことは、粒子との結合を安定化させる。酸化された粒子表面と結合しないトリアルコキシシランの第4の側鎖基は、結果として得られる表面改質された粒子の、流体との相互作用に関連する特性に影響する。
【0031】
一般に、シリコンは、空気に暴露されると酸化されることができる。従って、酸化物で被覆された粒子は、さらに別の改質のための基礎を形成することができる。酸化物被覆物は、NH
4+F又はHFと反応してSi‐O‐H結合をSi‐H結合で置換することができる。Si‐H結合は、さらに反応させられることができる。特に、Si‐H基を有する水素化された表面は、シリコン表面の有機官能化を提供する。参照によって本明細書に組み込まれる「シリコン表面に共有結合的に結合された分子層(Molecular Layers Covalently Bonded to Silicon Surfaces)」という標題のリンフォード(Linford)らの米国特許第5,429,708号明細書中に、シリコン表面の官能化がさらに記載されている。
【0032】
酸化された表面のないシリコン粒子の場合、表面は、例えば、Si‐Cl結合を形成するCl
2などのハロゲンによって官能化されることができる。‐NH
2、‐OH、=NH、SH、‐SeH、TeH及びPH
2などの求核基を有する有機化合物が求核置換によってSi‐Cl基と反応させられシリコン原子との結合を形成することができる。これらの反応は、参照によって本明細書に組み込まれる「有機分子のシリコンへの付着の化学(Attachment Chemistry for Organic Molecules to Silicon)」という標題のズー(Zhu)らの米国特許第6,403,382号明細書にさらに記載されている。これらの反応は、ドーパントの存在下でも変化させられないはずである。
【0033】
乾いた、合成されたままの粉体を加工するとき、化学結合を含む表面改質の前に粒子の良好な分散物を形成することは表面改質プロセスを促進し、結果として表面改質の度合いの高くなった粒子を生じることが見いだされた。一般に、合成されたままの粒子の分散は、粒子の表面化学にもとづく、粒子と比較的適合する溶媒の選択を含む。分散物の形成を促進するために、せん断、超音波処理又は他の適切な混合条件が適用されることができる。粒子が後で化学的に結合された組成物によって表面改質されるなら、粒子は安定に分散されなくてもよいが、一般に、粒子は良好に分散されることが望ましい。
【0034】
表面改質を実行する前に粒子が分散されるなら、表面改質剤は、粒子分散物の分散用液体に可溶性又は相溶性である溶媒の中の分散物に加えられることができる。表面改質用組成物を分散された粒子と組み合わせるために、適切な混合法が利用されることができる。表面改質用化合物は、分散された粒子と化学的に結合して表面改質された粒子の分散物を形成することができる。
【0035】
シリコン/シリカインクは、選ばれた被覆プロセス、例えばスプレー被覆法、及び/又は印刷法などの任意の適当なプロセスを用いて基板上へ堆積されることができる。さまざまな印刷手法が効果的である場合があるが、実施態様によっては、実現されることができる分解能及び速度によって、インクジェット印刷法が望ましい。用途によっては、より適当な新しい設計が用いられることがあるが、適当なインクジェットヘッドが、市販されているか又は基礎的な技術を用いて簡単な形で構築されることができる。
【0036】
印刷プロセスは、非常に迅速かつ効率よく、大きな面積を効果的に被覆することができる。半導体用途の場合、本明細書に記載されている印刷技法の使用は、1つ以上のフォトリソグラフィー段階を省くことができる。回路形成の場合、基板は、シリコン、ゲルマニウム又はそれらの合金などの半導体材料、又は他の実施態様では、重合体基板を含むことができる。印刷プロセスは、インクを基板表面に沿う特定の位置に堆積させることができる。これは、回路形成又は他の用途の場合などに、基板に沿ってドーパントを有するか又は有しないシリコン/シリカ粒子の選択的な配置を可能にする。他のパターン形成手法が単独で又は印刷手法と組み合わされて用いられることができ、又は、特定の用途に適切であるとき、パターン形成が用いられないこともある。
【0037】
プリント回路用途の場合、ドーピングされたシリコンインクが選ばれた位置に堆積されたら、粒子は、基板の上の堆積された位置において焼結されるか又は他の方法で融合されて対応する構造又はドメインを形成することができる。これは、基板をオーブン中で750℃から1250℃などの比較的高い温度に加熱して、基板表面と密着している、粒子からの固体の塊りを得ることによって実行されることができる。ナノ粒子の使用がオーブンによる加熱を用いるプロセスを促進することができるように、ナノ粒子は、大きな粒子より低い温度で融解するか又は流動する。シリコン基板及び他の比較的高温の基板上で急速熱アニール法が用いられることができるように、これらの温度は、依然バルクシリコンの融点より低い。しかし、基板を全体的に加熱するか又は基板だけをより低い温度に加熱することなく、基板に沿う堆積された位置において粒子を融解するレーザー又はインコヒーレント光源からなどの光エネルギーの利用によって、改善されたプロセス制御ならびにエネルギー節約が得られることができる。このフォトニック硬化プロセスは、ある種の低温融解性基板に適することがある。
【0038】
半導体ドーピング用途の場合、ドーピングされたシリカインクが選ばれた位置に堆積されたら、ドーパントは基板の中に移動させられて基板の表面層をドーピングすることができる。これは、基板をオーブン中で750℃から1100℃などの比較的高い温度に加熱してドーパントに関する所望の拡散プロフィルを得ることによって実行されることができる。ナノ粒子の使用がオーブンによる加熱を用いるドーピングプロセスを促進することができるように、ナノ粒子は大きな粒子より低い温度で融解するか又は流動する。より高速なプロセスは、1000℃から1250℃という、より高い温度が約20秒から約120秒などの短い時間到達される急速熱アニールを含む。急速熱アニール法が依然固相拡散プロセスであるように、これらの温度は依然シリコンの融点より低い。しかし、基板を全体的に加熱するか又は基板をより低い温度にだけ加熱することなく、基板の表面だけを融解させるレーザー又はインコヒーレント光源を用いる、紫外線光源からなどの光エネルギーの利用によって、結果として得られるドーピングされた基板の改善された制御ならびにエネルギー節約が得られることができる。ドーパントが基板表面の中へ移動させられた後、残留する酸化物材料は、湿式エッチング又はプラズマエッチングを用いるなど、基板からエッチング除去されることができる。
【0039】
一般に、本明細書に記載されている堆積手法は、任意の適切な電気回路用途に利用されることができる。従って、本明細書に記載されているドーパント手法は、集積回路、及びマイクロエレクトロメカニカル(MEMS)デバイスなどの他の電気及び電気光学デバイスの形成において用いられることができる。特に、これらの加工手法は、光起電力デバイスすなわち太陽電池の形成において効果的に用いられることができる。本明細書のプロセスは、光起電力パネルなどの大面積半導体ならびにディスプレイ回路などの他の大面積用途に良好に適している。同様に、印刷プロセスによって、印刷されたエレクトロニクスが形成されることができるように、ドーパントドメインを基板表面の上のこれに対応して選ばれた位置に形成するために、ドーピングされたシリコン/シリカ粒子が用いられることができる。印刷されたエレクトロニクスは、フォトリソグラフィーより低いコストでの電気部品の適度な分解能を有する半導体デバイスの形成のための効果的な手法であることができる。
【0040】
太陽電池用途の場合、シリコン半導体の対応する区間をドーピングするドーピングされたシリカ粒子の使用は、しばらく前から知られている。参照によって本明細書に組み込まれる「スクリーン印刷法による太陽電池への半導体拡散剤の利用(Application of Semiconductor Diffusants to Solar Cells by Screen Printing)」という標題のエバンスジュニア(Evans,Jr.)らの米国特許第4,104,091号明細書中に、太陽電池のための半導体をドーピングするドーピングされたシリカのゾル‐ゲル溶液のスクリーン印刷法が記載されている。シリカが印刷されて所望の位置にシリカを配置したら、印刷された構造物は加熱されてドーパントをシリカから隣接する半導体の中に移動させる。
【0041】
参照によって本明細書に組み込まれる「光起電力電池構造物、ソーラーパネル及び対応する構造物(Photovoltaic Cell Structures,Solar Panels and Corresponding Structures)」という標題の2007年2月16日出願のヒーズルメア(Hieslmair)らの同時係属の米国特許仮出願第60/902,006号明細書中に、薄いシリコン箔上の望ましい太陽電池素子の形成がさらに記載されている。この仮出願は、浅いドーピングされた領域を形成することをいくつかの実施態様中に記載している。これらの浅いドーピングされた領域は、下記にさらに記載されるように、ドーピングされたシリコンを印刷し、レーザー又はフラッシュランプからなどの熱及び/又は光を用いてドーピングされたシリコンを対応するドーピングされた接点の中に融合させることによって、簡便に形成されることができる。これらの浅いドーピングされた領域は、下記にさらに記載されるように、ドーピングされたシリカを印刷し、レーザー光線を用いてドーパントを移動させて入れることによって、簡便に形成されることができる。他の実施態様では、より厚い接合部が望ましいことがある。
【0042】
特に興味深いプリント回路用途は、例えば、ディスプレイ回路を含む。この場合、ディスプレイ素子のための電気的接続は、比較的大きな面積を覆う一方、素子を区別する適度な分解能を含む。ディスプレイ回路は、印刷プロセスと、表示素子を制御するための回路を形成するその後の加工とによって形成されることができる。
【0043】
シリカ粒子の場合に特に興味深い光学用途は、例えば、ディスプレイを含む。この場合、ディスプレイ要素は、印刷プロセスと、ディスプレイ要素を形成するその後の加工とによって形成されることができる。例えば、蛍光体特性を安定化させるために、蛍光体粒子はシリカで被覆されることができる。結果として得られるシリカで被覆された粒子は、本明細書に記載されているように分散されて蛍光体粒子を堆積させることができる。堆積された蛍光体粒子は、加熱されて粒子を融合させ、ディスプレイ要素を形成する塊りにすることができる。シリカ粒子の流動温度を低下させるために、ホウ素、リン及び/又はゲルマニウムドーパントが用いられることができる。適切な活性化条件下で光を放出することができる活性材料を形成するために、希土類ドーパントも蛍光体の中に加えられることができる。従って、印刷プロセスは、構造物の中の選ばれた位置に所望の光学材料を有するディスプレイ構造物を形成するために効果的であることができる。構造物の中で、光学材料は特定のドーパントを組み込んで材料の光学特性及び/又は物理特性に影響する。
【0044】
他の用途では、シリカ粒子が堆積されて導波路及び類似物を形成することができる。導波路及び類似物は、光通信用途のために有用であることができる。シリカドーパントは、粒子の屈折率を調節するように選ばれることができる。粒子の融合後の、結果として得られる光学構造物の屈折率は、粒子の屈折率の調節によって変化させることができる。導波路の屈折率は、選ばれた光の波長の全内部反射を提供するように選ばれる。導波路は、選ばれた光路に従うように印刷されることができる。
【0045】
本明細書に記載されているように、シリコン/シリカの高品質分散物は、ドーパントの有無によらず、より高い分解能の構造物を形成するシリコン/シリカの効果的な印刷のための能力を提供する。インクの特性を制御する高められた能力によって、シリコン/シリカ粒子は、例えばインクジェット印刷又は他の所望の手法を用いて、高速に、かつ比較的高い分解能で印刷されることができる。選ばれたドーパントを広い範囲の組成物にわたって導入する能力は、シリコン粒子にもとづく対応する広い範囲のデバイスを形成する能力を提供する。ドーパントは、形成される粒子デバイス及び対応する素子のための所望の電気特性にもとづいて選ばれることができる。印刷プロセスを用いると、種々のドーパントを有するシリコン/シリカ粒子が基板表面に沿った種々の位置に選択的に配置されることができる。
【0046】
粒子合成及び特性
本明細書に記載されている望ましい分散物は、一部は、ドーパントの有無にかかわらず高度に均一なシリコン/シリカナノ粒子を形成する能力にもとづいている。レーザー熱分解法は、高度に均一なシリコン/シリカ粒子の合成のための特に適当な手法である。レーザー熱分解法は、所望のドーパントの選ばれた濃度での導入のための汎用性がある手法でもある。所望の分散物を形成するために合成の後に表面特性がさらに操作されることができるが、シリコン/シリカ粒子の表面特性はレーザー熱分解プロセスによって影響を受けることもできる。小さな、かつ均一なシリコン/シリカ粒子は、分散物/インクを形成することに関して加工法の利点を提供することができる。
【0047】
実施態様によっては、粒子は、約1ミクロンを超えない平均直径を有し、別の実施態様では所望の特性を導入するためにより小さな粒子サイズを有する粒子を有することが望ましい。例えば、十分小さな平均粒子サイズを有するナノ粒子は、バルク材料より低い温度で融解することが観測され、これは、状況によっては有利なことがある。小さな粒子サイズは望ましい特性を有するインクの形成も提供する。これは、より大きな粒子がある種のインクジェットヘッドを詰らせるので、インクジェット印刷の場合に特に有利なことがある。一般に、ドーパント及びドーパント濃度は、その後に融合される材料、又は移動させられたドーパントを受け取る材料の所望の電気特性にもとづいて選ばれる。例えば、光学材料の形成において、屈折率及び/又は発光などの、シリカ粒子の光学特性は、ドーパントの添加によって選ばれることができる。
【0048】
例えば、レーザー熱分解法、火炎合成法、燃焼手法、又はゾル‐ゲルプロセスなどの溶液系手法によって適当なサブミクロン及びナノスケール粒子が形成されることができる。レーザー熱分解法が粒子製造のための望ましい手法であるが、参照によって本明細書に組み込まれる「ナノスケールセラミック粒子を製造するための装置(Apparatus for Producing Nanoscale Ceramic Particles)」という標題のヘルブル(Helble)らの米国特許第5,447,708号明細書中に記載されている装置などの火炎製造装置を用いて、サブミクロン粒子が製造されることができる。さらに、参照によって本明細書に組み込まれるイノウエ(Inoue)らの米国特許第4,842,832号「金属酸化物の超微細球状粒子及びその製造のための方法(Ultrafine Spherical Particles of Metal Oxide and a Method for the Production Thereof)」明細書中に記載されている装置などの熱反応チャンバによってサブミクロン粒子が製造されることができる。
【0049】
特に、レーザー熱分解法は、組成、適切な場合には結晶化度、及びサイズが高度に均一である粒子の形成において有用である。レーザー熱分解法は、反応を推進して粒子を形成させる強い光源からの光を含む。選ばれた組成及び狭い平均粒子直径の分布を有する広い範囲のナノスケール粒子を効率的に製造するための優れた手法としてのレーザー熱分解法の汎用性によって、レーザー熱分解法は、広い範囲の選ばれたドーパント又はドーパントの組み合わせを有するドーピングされたシリコン/シリカ粒子を形成するために用いられることができる。便宜上、光系の熱分解法がレーザー熱分解法と呼ばれる。これは、この用語が放射源としてのレーザーの便宜性を反映し、当分野における通常の用語であるからである。本明細書において考察されるレーザー熱分解手法は、反応体の流れを組み込んでいる。反応体の流れは、所望の元素を流れの中に導入するために気体、蒸気、エーロゾル又はそれらの組み合わせを含むことができる。気体、蒸気及び/又はエーロゾル前駆体を有する反応体の流れを発生させる多面性は、広い範囲の潜在的な組成を有する粒子の発生を提供する。
【0050】
サブミクロン/ナノスケール粒子の集まりは、約500nm未満、実施態様によっては約2nmから約100nm、あるいは約2nmから約75nm、又は約2nmから約50nmの一次粒子に関する平均直径を有してよい。これらの特定の範囲内の他の範囲が本明細書の開示に包含されることは当業者には自明であろう。一次粒子直径は、透過型電子顕微鏡法によって評価される。
【0051】
本明細書中で用いられる用語「粒子」は、融合した一次粒子はすべて凝集体すなわち物理的粒子とみなされるように、融合していない物理的粒子を指す。レーザー熱分解法によって形成された粒子の場合、一般に、粒子は事実上一次粒子、すなわち材料内の一次構造要素と同じとすることができる。従って、粒子サイズに関しても、上記の平均一次粒子サイズの範囲が用いられることができる。いくつかの一次粒子の硬い融合があるなら、これらの硬く融合した一次粒子は、これに対応して大きくなった物理的粒子を形成する。一次粒子は、大体球状の全体的な外観を有することができ、又はそれらはロッド形、プレート形又は他の球でない形を有することができる。詳細に調べると、結晶粒子は、下にある結晶格子に対応するファセットを有することがある。一般に、非晶質の粒子は、球状の外見を有する。非対称形を有する粒子についての直径測定値は、粒子の主軸に沿った長さ測定値の平均にもとづく。
【0052】
粒子は、小さなサイズのため、近傍粒子間のファンデルワールス力及び他の電磁力によって緩やかな凝塊物を形成する傾向がある。粒子は緩やかな凝塊物を形成することがあっても、粒子のナノメートル規模は粒子の透過型電子顕微鏡像において明瞭に観測可能である。一般に、粒子は、顕微鏡像に観測されるように、ナノメートル規模の粒子に対応する表面積を有する。さらに、粒子は、小さなサイズ及び材料の重量あたりの大きな表面積によって独特の特性を顕すことができる。これらの緩やかな凝塊物は、液体の中に顕著な度合いに分散され、実施態様によってはほぼ完全に分散され、分散された一次粒子を形成することができる。
【0053】
粒子は、サイズの高度な均一性を有することができる。一般に、レーザー熱分解法は、結果として非常に狭い粒子直径の範囲を有する粒子を生じる。さらに、一般に、適当に温和な条件下の熱加工は、非常に狭い粒子直径の範囲を著しく変化させることはない。レーザー熱分解法のために反応体のエーロゾル供給を用いると、粒子直径の分布は、反応条件に特に敏感である。それでも、反応条件が適切に制御されれば、エーロゾル供給システムを用いて非常に狭い粒子直径の分布が得られることができる。透過型電子顕微鏡像の検討から判断すると、一般に、粒子は、粒子の少なくとも約95パーセント、実施態様によっては99パーセントが平均直径の約35パーセントより大きく、平均直径の約280パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有する。別の実施態様では、一般に、粒子は、粒子の少なくとも約95パーセント、いくつかの実施態様では99パーセントが平均直径の約40パーセントより大きく、平均直径の約250パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有する。さらに別の実施態様では、一般に、粒子は、粒子の少なくとも約95パーセント、いくつかの実施態様では99パーセントが平均直径の約60パーセントより大きく、平均直径の約200パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有する。これらの特定の範囲内の他の範囲の均一性が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0054】
さらに、実施態様によっては、基本的に、平均直径の約5倍、他の実施態様では平均直径の約4倍、別の実施態様では平均直径の3倍、また別の実施態様では平均直径の2倍より大きな平均直径を有する粒子はない。言い換えると、粒子サイズ分布は、実質的に、顕著に大きくなったサイズを有する少数の粒子を示すテールを有しない。これは、無機粒子を形成する小さな反応領域、及び対応する迅速な無機粒子の急冷の結果である。サイズ分布のテールにおける効果的なカットオフは、平均直径より大きな指定されたカットオフ値より大きな直径を有する粒子が10
6個に約1個より少ないことを示す。高い粒子均一性は、さまざまな用途において利用されることができる。
【0055】
さらに、サブミクロン粒子は、非常に高い純度レベルを有することがある。さらに、レーザー熱分解法によって製造されたものなどの結晶性ナノ粒子は、高い結晶化度を有することができる。同様に、レーザー熱分解法によって製造された結晶性ナノ粒子は、続いて熱加工されて結晶化度及び/又は特定の結晶構造を改善し、及び/又は改質することができる。粒子を加熱することによって、粒子の表面の上の不純物が除かれて高い結晶純度だけでなく全体として高い純度も実現することがある。
【0056】
分散された粒子のサイズは、二次粒子サイズと呼ばれることができる。一次粒子サイズは、もちろん、粒子の特定の集まりに関する二次粒子サイズの下限である。その結果、平均二次粒子サイズは、一次粒子が実質的に融合しておらず、及び粒子が事実上液体の中に完全に分散されていれば、近似的に平均一次粒子サイズであることがある。
【0057】
二次粒子サイズ又は凝塊した粒子サイズは、最初の形成の後の粒子のその後の加工、及び粒子の組成及び構造に依存することがある。特に、粒子表面化学、分散媒の特性、せん断力又は音響力などの撹乱力、及び類似力の利用は、粒子を完全に分散させる効率に影響することがある。分散物の記載に関して、平均二次粒子サイズの値の範囲が下記に示される。液体分散物内の二次粒子サイズは、動的光散乱法などの確立された手法によって測定されることができる。適当な粒子サイズ分析装置は、例えば、動的光散乱法によるハネウェル(Honeywell)からのマイクロトラック(Microtrac)UPA装置、日本の堀場製作所(Horiba,Japan)からの堀場粒子アナライザ(Horiba Particle Analyer)、及び光子相関分光法によるマルバーン(Malvern)からのゼータサイザーシリーズ(ZetaSizer Series)の装置を含む。液体の中の粒子サイズ測定のための動的光散乱法の原理は、十分に確立されている。
【0058】
望ましいシリコン/シリカ粒子の製造のためのレーザー熱分解法の好適な利用の基本的な特徴は、1つ以上のシリコン前駆体化合物、及び実施態様によっては放射吸収剤及び/又は二次反応体を含む反応体の流れの発生である。二次反応体は、生成物粒子のための原子の源とすることができ、及び/又は所望の生成物の形成を推進する酸化剤又は還元剤とすることができる。前駆体が強い光放射下で分解して所望の生成物となるなら、二次反応体が用いられないことがある。シリコン粒子の場合、このような状況になることがある。同様に、シリコン前駆体が適切な光放射を吸収して反応を推進するなら、別個の放射線吸収剤が用いられないことがある。シリコン/シリカ粒子の中への取り込みのためにドーパント前駆体が反応体の流れの中に導入されることができる。
【0059】
反応体流の反応は、光線、例えばレーザービームなどの強い放射ビームによって推進される。実施態様によっては、CO
2レーザーが効果的に用いられることができる。反応体の流れが放射ビームから離れると、無機粒子は、反応体の流れの続きである、結果として得られる生成物粒子流の中に存在する粒子によって迅速に急冷される。流れの概念は、1つの位置から生じ、別の位置で終わり、これらの2点間の質量の動きを有する流れという通常の意味を有し、混合構成中の動きとは区別される。
【0060】
レーザービームの経路に沿った方向に著しく伸長された反応体入口を用いて、レーザー熱分解法による商業的な量の粒子の製造に適するレーザー熱分解装置が開発された。この高能力、例えば毎時1キログラム以上のレーザー熱分解装置は、参照によって本明細書に組み込まれる「化学反応による粒子の効率的な製造法(Efficient Production Of Particles By Chemical Reaction)」という標題の米国特許第5,958,348号明細書中に記載されている。参照によって本明細書に組み込まれる「反応体供給装置(Reactant Delivery Apparatus)」という標題のガードナー(Gardner)らの同時係属及び共通出願人の米国特許第6,193,936号明細書中に、レーザー熱分解法による粒子の商業生産のためのエーロゾル前駆体の供給のための手法が記載されている。蒸気とエーロゾルとの組み合わされた供給手法に関して、シリコン前駆体が蒸気として供給されることができ、一方、1つ以上のドーパント前駆体がエーロゾルとして供給される。しかし、多くの望ましいドーパントの場合、適当なドーパント前駆体が蒸気として供給されることができる。
【0061】
一般に、レーザー熱分解法によって製造されたナノ粒子は、組成及び/又は結晶性などの粒子の性質を変化させるために、別の加工に付されることができる。例えば、ナノ粒子は、使用の前に気体雰囲気中で熱加工に付されることができる。適当に温和な条件下で、熱加工は、最初の粒子のナノスケールのサイズ又は狭い粒子サイズ分布を損なうことなく、炭素汚染物質の除去など、粒子の特性を改質するために効果的である。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「熱による酸化バナジウム粒子の加工(Processing Of Vanadium Oxide Particles With Heat)」という標題のビー(Bi)らの米国特許第5,989,514号明細書中に、サブミクロンの酸化バナジウム粒子の熱加工が記載されている。
【0062】
別の熱プロセス加工の有無にかかわらず、広い範囲の簡単な及び複雑なサブミクロン及び/又はナノスケールの粒子がレーザー熱分解法によって製造されている。詳しくは、無機粒子は、例えば、元素金属又は元素メタロイド、すなわち銀又はシリコンなどのイオン化されていない元素、金属/メタロイド酸化物、金属/メタロイド窒化物、金属/メタロイド炭化物、金属/メタロイド硫化物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。さらに、これらの高品質材料の均一性は実質的であるとすることができる。一般に、これらの粒子は、非常に狭い粒子サイズ分布を有することができる。特に、参照によって本明細書にともに組み込まれるキャノン(Cannon)らの「レーザー推進反応からの焼結可能なセラミック粉体 I プロセス記述及びモデル化(Sinterable Ceramic Powders from Laser‐Driven Reaction:I,Process Description and Modeling)」、ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・セラミック・ソサイエティー(J.Am.Ceramic Society)65巻7号324頁(1982)及びキャノン(Cannon)らの「レーザー推進反応からの焼結可能なセラミック粉体 II 粉体特性及びプロセス変数(Sinterable Ceramic Powders from Laser‐Driven Reaction:II,Powder Characteristics and Process Variables)」、ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・セラミック・ソサイエティー(J.Am.Ceramic Society)65巻7号330頁(1982)に、シリコン粒子の形成のためのレーザー熱分解法が記載されている。参照によって本明細書にともに組み込まれる「酸化シリコン粒子(Silicon Oxide Particles)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,471,903号明細書、及び「酸化シリコン粒子(Silicon Oxide Particles)」という標題のクマー(Kumar)らの米国特許第6,726,990号明細書中に、レーザー熱分解方法及びレーザー熱分解法によって形成された均一なシリカ粒子がさらに記載されている。参照によって本明細書に組み込まれる「光学材料及び光デバイス(Optical Materials and Optical Devices)」という標題のホーン(Horne)らの米国特許第6,849,334号明細書中にレーザー熱分解プロセスを用いて形成されるドーピングされたシリカ粒子が記載されている。レーザー熱分解による多様な粒子の製造は、参照によって本明細書に組み込まれる「ナノ粒子製造及び対応する構造物(Nanoparticle Production and Corresponding Structures)」という標題のビー(Bi)らの米国特許出願公開第2003/203205号明細書中にさらに記載されている。
【0063】
レーザー熱分解法及び他の流れ反応器システムを用いて、選ばれたドーパントを有するサブミクロン及びナノスケールの粒子が製造されることができる。反応体の流れの組成を変化させることによって、所望の濃度のドーパントが導入されることができる。反応体の流れの中の組成及び加工条件を適切に選ぶことによってドーパント元素又はドーパント元素の組み合わせがシリコンホスト材料の中に導入される。従って、例えば、ドーパント組成物の複雑なブレンドを含む選ばれたドーパントを組み込むサブミクロン粒子が形成されることができる。一般に、生成物ナノ粒子のための元素シリコン又は合金を製造するために、反応器の中の条件は十分に還元性であるべきである。ドーピングされた粒子は、ホスト材料の中に溶解されたドーパント組成物を有する非晶質の固相ブレンドのどちらかであることができる。しかし、一般に、シリコン粒子は結晶性であり、ドーパントはインターカレーション元素又は合金元素であることができる。一方、シリカ粒子は、非晶質であることができ、ドーパントは、固相ブレンドの形であることができる。実施態様によっては、シリコン原子に対して約1.0×10
−7から約15原子パーセント、別の実施態様では約1.0×10
−5から約5.0原子パーセント、さらに別の実施態様ではシリコン原子に対して約1×10
−4から約1.0原子パーセントの粒子中の濃度で1つ以上のドーパントが導入されることができる。これらの明示的なドーパントレベル範囲内のまた別の範囲が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0064】
結果として得られる粒子の特性を変化させるためにドーパントが導入されることができる。例えば、粒子の電気特性を変化させるためにドーパントが導入されることができる。特に、As、Sb及び/又はPドーパントがシリコン粒子中に導入されるとドーパントが伝導帯に存在する過剰な電子を提供するn‐型半導体材料を形成することができ、B、Al、Ga及び/又はInが導入されるとドーパントが正孔を供給するp‐型半導体材料を形成することができる。ドーパントは、屈折率などの粒子の光学特性を変化させるために導入されることもでき、又はドーパントは、粒子が蛍光体として機能することができるように、粒子に蛍光特性又はリン光特性を導入することができる。ドーパントは、軟化点を低下させることによってなど、材料のプロセス加工特性を変化させるために導入されることもできる。さらに、ドーパントは、材料内で相互作用することもできる。例えば、他のドーパントの溶解度を増加させるためにある種のドーパントが導入される。下記に記載されるように、ドーパントは、半導体基板などの隣接する材料へドーパントを移動させるために用いられることもできる。
【0065】
実施態様によっては、1つ又は複数のドーパントは、希土類金属又は1つ以上の他のドーパント元素を有する希土類金属である。希土類金属は、周期律表のIIIb族の遷移金属を含む。詳しくは、希土類金属は、Sc、Y及びランタニド系列を含む。他の適当なドーパントは、アクチニド系列の元素を含む。光学ガラスの場合、ドーパントとして特に興味深い希土類金属は、例えば、Ho、Eu、Ce、Tb、Dy、Er、Yb、Nd、La、Y、Pr及びTmを含む。一般に、興味深い希土類イオンは、+3のイオン化状態を有するが、Eu
+2及びCe
+4も興味深い。希土類ドーパントは、光増幅器及び他の光デバイスの製造のために当該材料の利用を可能にすることができる光吸収特性に影響することができる。さまざまな目的のための適当な非希土類ドーパントは、例えば、Bi、Sb、Zr、Pb、Li、Na、K、Ba、B、Si、Ge、W、Ca、Cr、Ga、Al、Mg、Sr、Zn、Ti、Ta、Nb、Mo、Th、Cd及びSnを含む。
【0066】
一般に、所望の特性を実現するために任意の妥当な元素がドーパントとして導入されることができる。元素シリコン粒子形成のための適当なシリコン前駆体は、例えばシラン(SiH
4)、ジシラン(Si
2H
6)、トリシラン(Si
3H
8)、四塩化ケイ素(SiCl
4)、トリクロロシラン(SiCl
3H)及びSiCl
2H
2を含む。シランSiH
4は、CO
2レーザーからの赤外光を吸収し、分解し、分解すると結晶シリコン粒子を形成するので、レーザー熱分解法のための便利な前駆体である。高次シランは、同様に分解して元素シリコンすなわち元素状態にあるシリコンSi
0を形成する。従って、シランを前駆体としていれば、二次反応体源が用いられなくてもよく、別個の赤外線吸収剤は必要でない。対応するゲルマン(GeH
4及びGe
2H
6)が前駆体として用いられることができる。反応を和らげるために不活性気体が用いられることができる。適当な不活性気体は、例えばAr、He N
2又はそれらの混合物を含む。
【0067】
‘334号特許に、B、Al、Ga、P、As、Sb及び他のドーパントのための適当な前駆体が明示的に記載されている。ガリウムのエーロゾル供給のための適当な前駆体は、例えば硝酸ガリウム(Ga(NO
3)
3)を含む。ヒ素の前駆体は、例えば、蒸気供給に適するAsCl
3、及び水溶液又はアルコール溶液中のエーロゾル前駆体供給に適するAs
2O
5を含む。適当なホウ素前駆体は、例えばジボラン(B
2H
6)、BH
3及び類似物、ならびにそれらの2つ以上の任意の適当な組み合わせを含む。適当なアルミニウム前駆体は、例えば水素化アルミニウム(AlH
3)、アルミニウムs‐ブトキシド(Al(OC
4H
9)
3)、トリメチルアルミニウム(Al(CH
3)
3、トリメチルアンモニアアルミニウムAl(CH
3)
3NH
3及び類似物、ならびにそれらの任意の2つ以上の適当な組み合わせを含む。蒸気供給のための適当なリン前駆体組成物は、例えばホスフィン(PH
3)、三塩化リン(PCl
3)、五塩化リン(PCl
5)、オキシ塩化リン(POCl
3)、P(OCH
3)
3及び類似物、ならびにそれらの任意の2つ以上の適当な組み合わせを含む。適当なアンチモン前駆体は、例えば、アルコール中に可溶性であるスチビン(SbH
3)及び三塩化アンチモン(SbCl
3)を含む。
【0068】
表面改質及び分散プロセス
一般に、サブミクロンのシリコン/シリカ粒子は、別の加工又は使用のために分散される。実施態様によっては、分散物は、シリコン/シリカ粒子を表面改質することによってさらに安定化されることができる。特に興味深い表面改質剤は、粒子表面と化学結合を形成することができる。分散用液体及び粒子表面特性の適切な選択によって、安定な分散物が妥当な濃度で形成されることができる。分散物は、適当な被覆手法によって供給されるか又はインクとして用いられる分散物で印刷されることができる。表面改質プロセスは、分散媒の切り替えを含むことができる。
【0069】
無機粒子、例えばシリコン/シリカ粒子の表面改質は、粒子分散物の安定性を改善し、より広い範囲の液体中、及び可能性としてはより高い濃度で、粒子の分散物を提供することができる。ある種の表面改質剤は表面を被覆することしかできないが、表面に化学的に結合される表面改質剤を用いると被覆された粒子の改善された安定性が実現されることがある。用語の便宜上、Si‐OH基又はSi‐Cl基の導入によるなどの、シリコン粒子の表面又は粒子の酸化シリコン表面被覆物を改質する組成物と区別するために、表面改質用化合物は、粒子表面に結合するとき少なくとも3つの原子を粒子表面に加える化合物を指す。一般に、ドーパントの存在は、表面改質プロセス又は化学を顕著に変化させないと予測される。一連の表面改質用化合物がシリコン粒子表面に化学的に結合するために用いられることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「重合体‐無機粒子複合体(Polymer‐Inorganic Particle Composites)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,599,631号明細書中に、種々の組成を有する無機粒子に結合するための適当な官能基が記載されている。
【0070】
特に、アルコキシシランは、シリコン粒子の表面においてシリコン酸化物と反応し、Si−O−Si−結合を形成して安定な表面被覆物を形成し、置換されたアルコキシシラン官能基から対応する化合物が放出される。ある種の表面改質剤との結合の場合、シリコン/シリカ粒子の表面の上の改善された‐OH官能基被覆率を有する改善された表面被覆物が実現されることができる。
【0071】
特に、トリアルコキシシランは、可能性として3つの結合点を有する酸化された粒子表面への非常に安定な結合を提供する。トリアルコキシシランの第4の側鎖は、表面改質された無機粒子の分散性及び他の表面特性に影響する能力を提供する。詳しくは、シランの第4の側鎖は、選ばれた溶媒の中の分散性を改善し、及び/又は別の加工のための反応性官能基を提供するように選ばれることができる。同様に、ポリジアルコキシシロキシシランは、粒子と2つの結合を形成する各単量体単位の能力によって安定な結合を提供する。シロキサン重合体は、結合プロセス時に粒子の周りに巻き付くことができる。アルコキシシランに加えて、他の官能基を有する化合物がシリコン粒子の酸化された表面と結合を形成することができる。詳しくは、クロロケイ酸塩基(‐SiCl)、ある種のアミン基、カルボン酸基及び水酸化物基を有する化合物も酸化されたシリコン粒子表面に結合することができる。同様に、これらの化合物の別の官能基が、結果として得られる表面改質された粒子のための望ましい特性を生じるように選ばれることができる。
【0072】
シランのアルコキシ側鎖に関して、メトキシ基及びエトキシ基が無機酸化物粒子表面と反応する際に効果的であることが見いだされ、これらの官能基を有する一連の化合物が市販されている。トリアルコキシシランのための適当な第4の官能基は、例えば、アルキル基、エポキシド基(‐(CH
2)
nCHCH
2O
橋架け)、メタクリルオキシアルキル(‐(CH
2)
nOOC=CH
2)、イソシアネート(‐(CH
2)
nNCO)、チオール(‐(CH
2)
nSH)、アセチル(‐(CH
2)
nOOCCH
3)、ヒドロキシベンゾフェニル(‐(CH
2)
nOC
6H
5(OH)COC
6H
5)、アリル(‐CH
2CH=CH
2)及びフェネチル(‐(CH
2)
nC
6H
5)を含む。一般に、表面改質用化合物は、単分子層未満から4単分子層以上ならびにその間の値で被覆されることができる。被覆率の量は、粒子の表面積と、粒子表面に沿って充填すると予測されることができる化合物の量とにもとづいて評価されることができる。
【0073】
シリコン粒子のための他の表面改質手法が上記に記載されている。特に、酸化されたシリコン粒子表面が反応させられて水素化された表面を形成することができ、結果として得られるSi‐H基が有機化合物によって官能化されることができる。他の実施態様では、酸化されていないシリコン粒子表面がCl
2と反応させられてSi‐Cl結合を形成することができる。Si‐Cl結合は、シリコン粒子表面の所望の官能化を提供する求核置換を受けやすい。
【0074】
表面改質を実行するために、少なくとも2つのプロセスのうちの1つが用いられることができる。1つの手法では、不安定な高濃度の分散物がシリコン/シリカ粒子によって形成されることができ、より高い濃度の分散物を安定化するために表面改質が実行される。しかし、一般に、最初に、比較的安定な表面改質のない粒子の希薄な分散物を形成し、次に表面改質を実行することによってより良好な粒子分散物が得られる。
【0075】
直接手法では、液体は、改質されていない粒子の分散、粒子に結合されていない表面改質用化合物の溶解度、及び表面改質の後の粒子の分散を均衡させるように選ばれる。一般に、液体は、改質されていない粒子のための特に良好な分散媒ではない。同様に、液体は、表面改質剤のための良好な溶媒でないことがある。しかし、表面改質剤が液体の中にいくらか可溶性であり、改質されていない粒子が混合によって分散されることができるなら、表面改質反応が実行されることができる。粒子が表面改質されるとき、反応が進むにつれて分散物は安定化されればよい。
【0076】
一般に、最初に、望ましくは小さな平均二次粒子サイズを有する表面改質剤のない無機粒子が安定に分散されるなら、より良好な分散結果が得られることができる。一般に、アルコール及び水/アルコールブレンドが、表面酸化を有するシリコン粒子ならびにある種の手法によって合成されたままの改質されていないシリカ粒子のための良好な分散媒である。表面改質用化合物は、ある程度の溶解度を有するなら、分散用液体の中に直接加えられることができ、又は表面改質化合物は、粒子分散物の液体と相溶性であるか又は可溶性である溶媒の中に溶解されることができる。表面改質が完了した後、粒子は、下記に記載されているように、異なる分散用液体に移されることができる。表面改質された粒子は、別の加工のために適する液体中に入れて貯蔵されるか又は出荷されることができる。
【0077】
一般に、分散用液体を変えるために、分散物の安定性が失われる液体混合物を形成させることによって粒子を沈降させることが効果的であることが見いだされた。粒子がもはや安定に分散されていなければ、粒子を液体から分離するために遠心分離又はろ過が効率的に用いられることができる。粒子が遠心分離されるなら、液体は、沈殿した粒子からデカンテーションされる。粒子は、元の液体の残留量を除去するために、選ばれた分散用液体で1回以上洗浄されることができる。次に、粒子は、選ばれた液体の中に再分散されることができる。こうすると、液体は、選ばれた液体の中の分散を促進する表面改質剤の選択によって、後の加工工程のために変えられることができる。
【0078】
表面改質の後、及び/又は分散プロセスの他の段階において、分散物は、汚染物質及び又は浮遊する異常に大きな粒子を除去するためにろ過されることができる。一般に、ろ過プロセスが妥当な方法で実行されることができるように、フィルターは、平均二次粒子サイズよりはるかに大きな粒子を排除するように選ばれる。一般に、ろ過プロセスは、分散物の品質の全体的な改善に適するには至っていない。適当な市販フィルターが入手可能であり、分散物の品質及び容積にもとづいて選ばれることができる。
【0079】
分散物及びインクの特性及び形成
分散物は、選ばれた用途のために調合されることができる。分散物は、組成ならびに分散物内の粒子のキャラクタリゼーションに関してキャラクタリゼーションされることができる。一般に、インクという用語は、続いて印刷技法を用いて堆積される分散物を記述するために用いられ、インクは、インク特性を改質する別の添加剤を含むこともあり、含まないこともある。
【0080】
分散物は、液体と、分散されたシリコン/シリカ粒子とを含み、シリコン/シリカ粒子は、表面改質されていることもあり、表面改質されていないこともある。より高い濃度の分散物は、一般に表面改質を用いてが形成されることができるが、レーザー熱分解法によって形成されたシリコン/シリカ粒子は、一般に表面改質なしで極性有機液体中に適度な濃度で良好に分散されることができる。適当なアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、それらの混合物及び類似物などの小さな脂肪族アルコールを含む。表面改質されると、シリコン粒子は、表面改質剤の化学特性と液体との整合によって、より広い範囲の溶媒及び溶媒ブレンドの中に分散されることができる。従って、表面改質の後、粒子は、乳酸エチル、n‐メチルピロリジノン、ガンマ‐ブチルラクトン及び類似物などの極性の低い広い範囲の溶媒の中に良好に分散されることができる。
【0081】
良好な分散物ほど安定であり、及び/又は小さな二次粒子サイズを有し、凝塊が少ないことを示す。本明細書で用いられるとき、安定な分散物とは、混合せずに1時間たっても沈降がない。実施態様によっては、分散物は、混合せずに1日たっても、別の実施態様では1週間たっても、また別の実施態様では1ヶ月たっても粒子の沈降を示さない。一般に、少なくとも最大30重量パーセント無機粒子の濃度で良好に分散された粒子を有する分散物が形成されることができる。一般に、実施態様によっては少なくとも約0.05重量パーセント、他の実施態様では少なくとも約0.25重量パーセント、別の実施態様では約0.5重量パーセントから約30重量パーセント、さらに別の実施態様では約1重量パーセントから約20重量パーセントの粒子濃度を有する分散物を有することが望ましい。上記の明示的な範囲内の別の範囲の安定性時間及び濃度が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0082】
分散物は、粒子分散物の特性を改質して特定の利用を促進するために、シリコン/シリカと分散用液体又は液体ブレンドとの他に、別の組成物を含むことができる。例えば、堆積プロセスを促進するために、特性改質剤が分散物に加えられることができる。分散物の特性に影響するために、界面活性剤が分散物に効果的に加えられることができる。
【0083】
一般に、陽イオン、陰イオン、双性イオン及び非イオン界面活性剤が特定の用途において有用とすることができる。用途によっては、界面活性剤は、粒子分散物をさらに安定化させる。これらの用途の場合、界面活性剤の選択は、特定の分散用液体ならびに粒子表面の特性によって影響を受けることができる。一般に、界面活性剤は当分野で知られている。さらに、界面活性剤は、分散物の堆積の後、基板表面への分散物/インクの濡れ又はビーズ化に影響するように選ばれることができる。用途によっては、分散物が表面を濡らすことが好ましいことがあるが、他の用途では分散物が表面の上でビーズ化することが望ましいことがある。特定の表面の上の表面張力は、界面活性剤によって影響される。界面活性剤のブレンドも、分散安定性を改善し、堆積の後の所望の濡れ特性を得るなど、種々の界面活性剤の所望の特徴を組み合わせるために有用とすることができる。実施態様によっては、分散物は、約0.01から約5重量パーセント、さらに別の実施態様では約0.02から約3重量パーセントの界面活性剤濃度を有することができる。上記の明示的な範囲内のまた別の範囲の界面活性剤濃度が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0084】
プリンタインク中の非イオン界面活性剤の使用は、参照によって本明細書に組み込まれる「インク組成物及び疎水性媒質上のインクジェット印刷方法(Ink Compositions and Methods of Ink‐Jet Printing on Hydrophobic Media)」という標題のチョイ(Choy)の米国特許第6,821,329号明細書中にさらに記載されている。この参考文献中に記載されている適当な非イオン活界面性剤は、例えば、クロンプトン社(Crompton Corp.)からのシルウェット(SILWET)(商標)界面活性剤などの有機シリコーン界面活性剤、いくつかが市販メーカーであるユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)、アイシーアイグループ(ICI Group)、ローヌプーラン社(Rhone‐Poulenc Co.)、ロームアンドハース社(Rhom & Haas Co.)、バスフグループ(BASF Group)及びエアプロダクツ社(Air Products Inc.)から商標名テルジトール(TERGITOL)(商標)、ブリジ(BRIJ)(商標)、トライトン(Triton)(商標)、プルロニック(PLURONIC)(商標)、プルラファク(PLURAFAC)(商標)、イゲパール(IGEPALE)(商標)及びスルフィノールSULFYNOL(商標)で売られているポリエチレンオキシド、アルキルポリエチレンオキシド、他のポリエチレンオキシド誘導体を含む。他の非イオン界面活性剤は、マッキンタイヤグループ(McIntyre Group)からのマッカム(MACKAM)(商標)オクチルアミンクロロ酢酸付加体及びスリーエム(3M)からのフルオラッド(FLUORAD)(商標)フルオロ界面活性剤を含む。印刷用インクのための陽イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤の使用は、参照によって本明細書に組み込まれる「インクジェット記録のためのインク及びカラーインクセット(Ink for Ink‐Jet Recording and Color Ink Set)」という標題のサトウ(Satoh)らの米国特許第6,793,724号明細書中に記載されている。この特許は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩及びポリオキシアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤の例及び第四アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤の例を記載している。
【0085】
分散物の粘度を変化させるために粘度調節剤が加えられることができる。適当な粘度調節剤は、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールなどの可溶性重合体を含む。他の可能な添加剤は、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤及び類似物を含む。一般に、これらの追加添加剤は、約5重量パーセントを超えない量存在する。本明細書中の明示的な範囲内のまた別の範囲の界面活性剤及び添加剤の濃度が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0086】
電子用途の場合、生成物材料が事実上炭素を含まないように、特定の加工工程の前あるいは間にインクに対する有機成分を除去することが好ましいことがある。一般に、有機液体は、蒸発させられて堆積された材料から除去することができる。しかし、界面活性剤、表面改質剤及び他の特性改質剤は、酸素雰囲気中で適度な温度で加熱して有機材料を燃焼させることによって除去されることができるが、蒸発によって除去可能でないことがある。
【0087】
金属酸化物粉体を形成させるための界面活性剤の使用及び除去は、参照によって本明細書に組み込まれる「ナノサイズの結晶粒を有する金属酸化物粒子の製造(Production of Metal Oxide Particles with Nano‐Sized Grains)」という標題のタルボット(Talbot)らの米国特許第6,752,979号明細書である。この‘979号特許は、適当な非イオン活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び双性イオン界面活性剤を教示する。界面活性剤の除去は、界面活性剤を燃焼させるべく、酸素雰囲気中で200℃などの適度な温度へ界面活性剤を加熱することを含む。一般に、他の有機添加剤は、界面活性剤と同様に、除去のために燃焼させられることができる。基板表面が燃焼プロセス時の酸化に敏感であるなら、表面をその元の状態に戻すために、燃焼後に還元工程が用いられることができる。
【0088】
一般に、適切に加工されれば、良好に分散された粒子を有する分散物の場合、平均二次粒子サイズは、平均一次粒子サイズの4倍を超えず、別の実施態様では平均一次粒子サイズの約3倍を超えず、また別の実施態様では平均一次粒子サイズの約2倍を超えない。実施態様によっては、体積平均粒子サイズは、約1ミクロンを超えず、別の実施態様では約250nmを超えず、また別の実施態様では約100nmを超えず、他の実施態様では約75nmを超えず、実施態様によっては約5nmから約50nmである。粒子サイズ分布に関しては、ある実施態様では、基本的にすべての二次粒子は、体積平均二次粒子サイズの5倍を超えない、別の実施態様では体積平均粒子サイズの約4倍を超えない、他の実施態様では平均粒子サイズの約3倍を超えないサイズを有することができる。さらに、体積によるDLS粒子サイズ分布は、実施態様によっては、体積平均粒子サイズの約50パーセントを超えない半値全幅を有することができる。二次粒子は、粒子の少なくとも約95パーセントが平均粒子サイズの約40パーセントより大きく、平均粒子サイズの約250パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有することもできる。別の実施態様では、二次粒子は、粒子の少なくとも約95パーセントが平均粒子サイズの約60パーセントより大きく、平均粒子サイズの約200パーセントより小さな粒子サイズを有するように粒子サイズの分布を有することができる。上記の明示的な範囲内のまた別の範囲の粒子サイズ及び分布が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0089】
Z‐平均粒子サイズは、動的光散乱方を用いて測定されることができる。Z‐平均粒子サイズは、粒子サイズの関数としての散乱強度加重分布にもとづいている。この分布の評価は、ISO国際規格13321の粒子サイズ分布の決定のための方法、第8部、光子相関分光法、1996に定められている。Z‐平均分布は、時間相関関数への単一の指数関数によるフィッティングにもとづいている。しかし、小さな粒子は、分散物に対する体積の寄与分と比べて少ない強度で光を散乱する。強度加重分布は、分散物の特性を評価するために概念的にはおそらくより適当な体積加重分布に変換されることができる。ナノスケール粒子の場合、体積基準の分布は、ミエ(Mie)理論を用いて強度分布から推定されることができる。体積平均粒子サイズは、体積基準の粒子サイズ分布から推定されることができる。二次粒子サイズ分布の操作の別の記載については、参照によって本明細書に組み込まれるマルバーンインスツルメンツ(Malvern Instruments)のDLS技法ノート(DLS Technical Note)MRK656‐01中に見いだされることができる。
【0090】
分散物/インクの粘度は、シリコン粒子濃度ならびに他の添加剤に依存する。従って、粘度の調節を提供するいくつかのパラメータがある。他の印刷及び被覆プロセスが所望の粘度範囲を有することはあるが、インクジェット印刷の場合の粘度は特に関連がある。実施態様によっては、粘度は0.1mPa・秒から約100mPa・秒、別の実施態様では約0.5mPa・秒から約25mPa・秒とすることができる。実施態様によっては、分散物/インクは、約2.0から約6.0N/m
2、別の実施態様では約2.2から約5.0N/m
2、また別の実施態様では約2.5から約4.5N/m
2の表面張力を有することができる。上記の明示的な範囲内のまた別の範囲の粘度及び表面張力が意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0091】
分散物/インクは、適切な混合条件の利用を用いて形成されることができる。例えば、分散物を混合するために、せん断を加えるミキサー/ブレンダーが用いられ、及び/又は超音波処理が用いられることができる。粒子分散物の安定性を維持するために、特定の添加剤が適切な順序で加えられることができる。一般に、適切に選ばれた界面活性剤及びある種の特性改質剤が粒子分散物を安定化させることができる。当業者は、本明細書中の教示にもとづいて添加剤及び混合条件を経験的に選ぶことができる。
【0092】
印刷及び他の堆積手法
分散物/インクは、基板の上の分散物の所望の分布を実現する選ばれた手法を用いるために堆積されることができる。例えば、インクを表面に塗布するために被覆技法及び印刷技法が用いられることができる。選ばれた印刷手法を用いて、高い分解能を有するパターンが形成されることができる。堆積の後、堆積された材料は、所望のデバイス又は状態にさらに加工されることができる。
【0093】
分散物の利用のための適当な被覆手法は、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ナイフエッジコーティング、押し出し又は類似技法を含む。マスク又は類似物がマスクの除去の後の堆積位置を限定するために用いられることができるが、一般に、基板を被覆するために被覆手法が用いられる。特に興味深い実施態様では被覆物厚さは約50nmから約500ミクロン、別の実施態様では約100nmから約250ミクロンの範囲であることができるが、一般に、任意の適当な被覆物厚さが利用されることができる。上記の特定の範囲内のまた別の範囲の厚さが意図され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0094】
同様に、分散物/インクを基板の上のパターンに印刷するために、一連の印刷技法が用いられることができる。適当な印刷技法は、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、リソグラフィー印刷法、グラビア印刷法及び類似技法を含む。適当な基板は、例えば、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、それらの組み合わせ及び類似物などの重合体、シリカガラスなどのセラミック基板、及びシリコン又はゲルマニウム基板などの半導体基板を含む。基板の組成は、分散物/インクの堆積の後の加工オプションの適切な範囲に影響する。
【0095】
さまざまな被覆手法及び印刷手法が適しているが、インクジェット印刷法は、速度、分解能、及び速度及び分解能を維持しながらの堆積パターン形成のリアルタイム選択に関して多面性の面で、望ましい特徴を提供する。無機粒子によるインクジェット印刷法を用いる実際の堆積は、高品質シリコン/シリカナノ粒子を形成する技法と、これらの粒子から高品質分散物を形成する改善された能力との両方を含む分散特性を必要とする。従って、改善された表面改質手法及び分散技法と組み合わされたレーザー熱分解法を用いて製造された粒子は、インクジェット堆積法に適性のあるインクの形成を提供する。
【0096】
一般に、堆積の後、液体は蒸発して粒子及び残るインクの任意の他の不揮発性成分から離れる。基板が適当な温度に耐え、添加剤が適切に選ばれていれば、添加剤は、上記で説明したように、適切な酸素雰囲気中の添加剤を除去する熱の添加によって除去されることができる。同様に、適当な基板であれば、シリコン/シリカ粒子は融解させられて選ばれた位置に堆積されたシリコン/シリカの凝集性の塊りを形成することができる。熱処理が妥当に条件を制御して実行されれば、堆積された塊りは、堆積された位置から顕著に泳動せず、融合した塊りは所望のデバイスにさらに加工されることができる。
【0097】
太陽電池及び他の半導体用途
太陽電池及び他の半導体用途の場合、特定のデバイスの一部を形成することができるドーピングされた接触を形成するために、シリコン粒子が用いられることができる。シリカ粒子の場合、粒子は、誘電体成分を形成するために、及び/又はドーパントを半導体基板に供給するために用いられることができる。
図1に、代表的な印刷された基板が示される。この実施態様では、基板100は、表面被覆物102と、被覆物102を貫通して基板表面の一部を露出させる窓104、106とを有する。シリコン/シリカインクが印刷されて基板表面の上に堆積物108、110を形成する。基板は、シリコン、ゲルマニウム、又はそれらの合金を含む。適当な基板は、例えば高純度シリコンウエハ及び類似物を含む。他の実施態様では、適当な基板は、参照によって本明細書に組み込まれる「薄いシリコン又はゲルマニウムのシート及び薄いシートから形成される光起電力装置(Thin Silicon or Germanium Sheets and Photovoltaics Formed From Thin Sheets)」という標題の2007年3月13日出願の係属中のヒーズルメア(Hieslmair)らの米国特許出願第11/717,605号明細書中に記載されているシリコン/ゲルマニウム箔を含む。上記に記載された被覆技法又は印刷技法を用いて、シリコン分散物/インクが表面の上に塗布されることができる。
【0098】
参照によって本明細書に組み込まれる「光起電力電池構造物、ソーラーパネル及び対応するプロセス(Photovoltaic Cell Structures,Solar Panels,and Corresponding Processes)」という標題の2007年2月16日出願のヒーズルメア(Hieslmair)の米国特許仮出願第60/902,006号明細書中に、薄い半導体箔を用いる光起電力電池及び背面接点加工法のいくつかの特定の実施態様がさらに記載されている。実施態様によっては、シリコン/シリカインクは、予め確立された窓を通して基板表面へ塗布される。ドーピングされたインクは、基板の窓の中に印刷される。特定の用途について、望まれるように他のパターン形成法が用いられてもよく、又は用いられなくてもよい。
【0099】
材料は、シリコン/シリカ粒子堆積物からデバイス部品を形成するために加熱される。例えば、構造物は、融合して塊りとなるように、粒子を軟化させるように設定された温度を有するオーブン又は類似物の中に配置されることができる。シリカ粒子実施態様の場合、時間及び温度は、所望の融合と、対応する融合された塊りの電気特性ならびにドーパント泳動とを生じるように調節されることができる。堆積物を有する基板の表面を加熱するために、代わりの手法が用いられることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「ナノ結晶前駆体を用いて低温で形成されたIV族半導体薄膜(Group IV Semiconductor Thin Films Formed at Low Temperature Using Nanocrystal Precursors)」という標題のゴールドスタイン(Goldstein)の米国特許第5,576,248号明細書中に、ほぼ10nmを超えない粒子サイズを有するシリコンナノ粒子の場合の低くなった融点を利用することによる熱プロセスが記載されている。この参考文献は、約20nmより厚くない膜を記載している。より厚い堆積物を実現するために、より高い温度又は光による融合が用いられることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「急速熱アニール及びレーザー熱プロセスによる高導電性接合物の形成(Formation of Highly Conductive Junctions by Rapid Thermal Anneal and Laser Thermal Process)」という標題のユー(Yu)の米国特許第6,287,925号明細書中に、半導体材料の中へのドーパントの一般の移入のための急速熱アニールがさらに記載されている。この材料は、ドーパント泳動を可能にするために1000℃下の温度に適切な時間加熱されることができる。
【0100】
しかし、基板を全体的に加熱することもなく、基板を低温に加熱するだけのこともなく、基板の表面だけを融解させてドーパント泳動を提供することもなく、シリコン粒子を融解させる光の使用によって、結果として得られるドーピングされた基板の改善された制御ならびにエネルギー節約が得られることができる。基板の表面層ならびに基板の上のシリコン粒子を融解させるために、1400℃のオーダーの局所的な高い温度が到達されることができる。エキシマーレーザー又は他のレーザーがこの目的のための便利な紫外光源であるが、一般に、粒子による吸収のために選ばれた任意の強い源が用いられることができる。20nmから1000nmなどの基板の薄層を短時間融解させるために、高フルエンスのエキシマーレーザーが10から300ナノ秒パルスされることができる。1ミクロン波長光源などのより長い波長の光源も用いられることができる。
【0101】
参照によって本明細書に組み込まれる「シリコン膜を形成させるための組成物及びシリコン膜を形成させるための方法(Composition for Forming Silicon Film and Method for Forming Silicon Film)」という標題のマツキ(Matsuki)らの米国特許出願公開第2005/0145163号明細書中に、シリコン粒子の熱及び光による融合がさらに記載されている。特に、この参考文献は、レーザー又はフラッシュランプによる照射の代替使用を記載している。適当なレーザーは、例えばYAGレーザー又はエキシマーレーザーを含む。希ガス系のフラッシュランプも記載されている。一般に、加熱は、非酸化性雰囲気中で実行されることができる。
【0102】
シリコン粒子の固体構造物への融合の後、結果として得られた構造をデバイスに組み込むために、また別の加工工程が実行されることができる。光起電力用途の場合、融合された堆積物はドーピングされたシリコン材料を含むことができ、ドーピングされたシリコン材料は、p‐ドーピングされた接触又はn‐ドーピングされた接触を形成する。次に、接触は、光起電力電池からの電力の取り込みを提供する適切な電流集電体に結合される。
【0103】
シリカ実施態様の場合、ドーパントの移入の後、シリカを除去することが望ましいこともあり、望ましくないこともある。光起電力用途の場合、一般に、導電性電気接触の利用のためにドーピングされた半導体を露出させるようにシリカを除去することが望ましい。シリカを除去するために、酸化物は、例えば、湿式(化学)エッチング又はプラズマエッチングを用いるなど、通常の手法を用いてエッチングされることができる。適当な化学エッチング用組成物は、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液又はHFを含む。酸化物が除去されたら、基板はさらに加工されることができる。シリカ粒子を固体誘電体の塊りに加工するために、これらの同じ加熱手法が用いられることができる。これらの実施態様の場合、粒子はドーピングされてもよく、されなくてもよい。
【0104】
集積回路用途
適切なシリコンインクを印刷する能力は、適度な分解能及び高い効率で、回路部品の形成を提供する。印刷プロセスは、大面積構造物を形成するために効果的に用いられることができる。粒子が適切に低い温度で融合されることができるなら、堆積物は、重合体基板の上に形成されることができる。これらの実施態様では、可撓性エレクトロニクスを形成するために、粉体が用いられることができる。
【0105】
特に、シリコンインクは、ディスプレイ内の1つ以上の構造体を形成するために用いられることができる。ディスプレイは、可撓性ディスプレイであることができ、小面積又は大面積を有することができる。例えば、エイブソ社(Aveso,Inc.)は、小さな印刷されたディスプレイを有するスマートクレジットカードを上市している。この技術は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「印刷された素子を有する層状構造物(Layered Structure With Printed Elements)」という標題のペナズ(Pennaz)らの国際特許出願公開第2006/0227523号明細書中にさらに記載されている。
【0106】
例えばアクティブマトリクス液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、及び有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)を含む新しいディスプレイ構造物をゲート動作させるために、薄膜トランジスタ(TFT)が用いられることができる。通常のフォトリソグラフィー手法を用いて、又は適度な分解能の場合にはインクジェット印刷法又は他の適当な印刷技法を用いて、トランジスタの適切な要素が印刷されることができる。基板は、インクのための加工温度と適合するように選ばれることができる。
【0107】
TFTは、ドーピングされた半導体要素と、それに対応する界面とを含む。一連のアクティブマトリックスディスプレイのための電子ゲートとして用いられる薄膜トランジスタは、参照によって本明細書に組み込まれる「ディスプレイ用途のための背面及びその中の使用のための部品(Backplanes for Display Applications, and Components for use Therein)」という標題のアムンドソン(Amundson)らの米国特許出願公開第2003/0222315号明細書中にさらに記載されている。参照によって本明細書に組み込まれる「有機LEDデバイス(Organic LED Device)」という標題のツジムラ(Tsujimura)らの米国特許第6,727,645号明細書中に、有機LED要素を有するアノード共通構造体を有するn‐型ドーピングされた多結晶又は非晶質シリコンTFTアクティブ素子がさらに記載されている。例えば参照によって本明細書に組み込まれる「脱湿構造物を有する上部発光型OLEDディスプレイデバイスを製造する方法(Method of Manufacturing a Top‐Emitting OLED Display Device With Desiccant Structures)」という標題のコク(Cok)らの米国特許出願公開第2003/0190763号明細書中に、OLEDディスプレイ構造物がさらに記載されている。参照によって本明細書に組み込まれる「トランジスタを製造する方法(Method of Manufacturing a Transistor)」という標題のパウエル(Powell)の米国特許第6,759,711号明細書中に、TFTの形成のための通常のフォトリソグラフィー技法がさらに記載されている。これらの通常のフォトリソグラフィー手法は、本明細書に記載されている印刷手法で置き換えられることができる。米国第6,759,711号は、TFTとアクティブマトリクス液晶ディスプレイとの集積化をさらに記載している。本明細書に記載されているシリコンナノ粒子インクは、選ばれたドーパントを有するTFTの要素を印刷するために効果的に用いられることができる。
【0108】
診断医学の目的のためのバイオチップの使用が伸びている。「単分子層及び捕集配位子を有する印刷された回路ボード(Printed Circuit Boards With Monolayers and Capture Ligands)」という標題のブラックバーン(Blackburn)らの米国特許第6,761,816号明細書が参照によって本明細書に組み込まれる。これらのバイオチップアレイは、自動評価が実行されることができるように、生物部品が集積化された電気回路を有する。本明細書に記載されている機能性インクは、これらのデバイスのための電気部品を形成するために用いられることができ、生物液体が他の部品のために堆積されるか又は他の方法で印刷されることができる。
【0109】
ラジオ周波数識別(RFID)タグ類が損失防止のための広範な使用を獲得しつつある。これらのデバイスは、目につきにくくするため及び低コストのために小さいことが望まれる。本明細書に記載されているシリコンインクは、RFID又はその部品を印刷するために効果的に用いられることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「RFIDタグ作製装置及びカートリッジ(RFID‐Tag Fabricating Apparatus and Cartridge)」という標題のタキ(Taki)らの米国特許出願公開第2006/0267776号明細書中に、ロールからロールへの構成でRFIDを印刷するためのシステムがさらに記載されている。
【0110】
被覆物堆積手法において、シリコンインク堆積及び粒子の融合は、高真空装置が必要ないので、より低いコスト及びより少ない資本支出で済む可能性のある、比較的に直接的なCVDプロセスの置き換えとして用いられることができる。液体被覆プロセス及び印刷プロセスも、CVD装置で取り扱うことが難しい大きな基板の上で実行されることができる。
【0111】
インクジェット印刷用途の場合、材料が必要なところだけの堆積によって、材料の使用は顕著に減らされる。既存の装置によるインクジェット印刷法は、多くの用途について現在必要とされている適度な分解能を実現することができる。インクジェット技術がさらに進歩すると、印刷プロセスの分解能はさらに改善されることができる。インクジェット印刷法は、非常に大きな基板のために効果的に用いられることができる。適切に低い温度の硬化を用いる加工手法の場合、この印刷法は、一連の可撓性基板上に実行されることができる。
【0112】
光学用途
一般に、光学用途の場合、堆積されたシリカは、粒子から固体の塊りを形成して粒子表面における散乱を減らすために、融解されるか又は焼結される。粒子に関して、軟化温度などの加工特性、あるいは屈折率又は光発生特性などの光学特性を変化させるために、ドーパントが導入されることができる。上記で半導体加工について記載された手法は、光学用途に適合させられることができる。一般に、光学用途の場合、シリカインクは、ディスプレイ要素又は導波路などの特定の光学構造物を形成するために堆積されることができる。
【0113】
例えば、実施態様によっては、インクは、ディスプレイの形成のために構造物に沿った特定の位置に印刷されることができる。次に、堆積物は、印刷された位置で硬化されることができる。ドーパントは、ディスプレイに沿った異なる位置における光学特性を変化させるために変えられることができる。実施態様によっては、粒子は、シリカで被覆された蛍光体材料を含むことができる。シリカによる蛍光体粒子の被覆は、ともに参照によって本明細書に組み込まれる「カプセル化されたエレクトロルミネセンス性蛍光体及び同を作るための方法(Encapsulated Electroluminescent Phosphor and Method for Making Same)」という標題のバッド(Budd)の米国特許第5,908,698号明細書及び「分散物(Dispersions)」という標題のカウイー(Cowie)の米国特許第5,599,529号明細書中にさらに記載されている。被覆された粒子は、本明細書に記載されている他のシリカ粒子の記載に従って分散され、堆積されることができる。コア蛍光体粒子は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「高ルミネセンス性蛍光体粒子及び関連粒子組成物(High Luminescent Phosphor Particles and Related Particle Compositions)」という標題のクマー(Kumar)の米国特許第6,692,660号明細書中に記載されているように形成されることができる。所望のディスプレイデバイスを形成するために、異なる蛍光体材料が異なる位置に堆積されることができる。当分野において多くのディスプレイ構造物が知られており、又は以後開発されることができ、ディスプレイ構造物の例が参照によって本明細書に組み込まれる「多色横方向電界放出デバイスならびに関連ディスプレイ及び作製の方法(Multi‐Chromic Lateral Field Emission Devices With Associated Displays and Methods of Fabrication)」という標題の米国特許第5,651,712号明細書に見いだされる。
【0114】
導波路は、例えば、遠距離通信信号との関連で光学信号を伝えるために用いられることができる。導波路は、光ファイバー、平面導波路又は類似物の形をとることができる。本明細書に記載されている印刷手法は、シリカ粒子分散物の堆積とその後の粒子の光学構造物への融合とによって光導波路を形成するために用いられることができる。本明細書に記載されている手法は、フォトリソグラフィーと組み合わされた化学蒸着法、及び参照によって本明細書に組み込まれる「反応性堆積法による被覆物形成法(Coating Formation by Reactive Deposition)」という標題のビー(Bi)らの国際特許出願公開第02/32588号明細書に記載されている光反応性堆積法(LRD(商標)への代替方法である。本明細書に記載されている堆積手法は、例えば化学気相堆積法又はLRD(商標)を用いて、より低い屈折率のクラッド用材料によって被覆されることができる導波路コアを形成するために用いられることができる。平面導波路形成への代替手法に関して、火炎加水分解法による平面導波路の形成が、参照によって本明細書に組み込まれる「平面光導波路を形成する方法(Method of Forming Planar Optical Waveguides)」という標題のケック(Keck)らの米国特許第3,934,061号明細書中に記載されている。
【実施例1】
【0115】
アルコール中のシリコン粒子の分散物
本実施例は、レーザー熱分解法を用いて発生させられたシリコン粒子がアルコール中に良好に分散されることができることを示す。
【0116】
シリコン粒子は、参照によって本明細書に組み込まれる「粉体工学のための飛行時粒子操作を有するレーザー熱分解法(Laser Pyrolysis with In‐Flight Particle Manipulation for Powder Engineering)」という標題の2007年7月20日出願のホランガ(Holunga)らの米国特許仮出願第60/961,429号明細書の
図8に基本的に示されている装置によるレーザー熱分解法を用いて合成された。生成物粒子を冷却するために、不活性な急冷用気体がシステムの中に導入された。粒子は、シランを前駆体、アルゴンを不活性な調節用気体として用いて合成された。シランは、強いレーザー光下で分解してシリコンを形成する。本実施例中で用いられた粉体は、69.9m
2/gのBET表面積を有していた。
【0117】
0.3部のシリコン粉体が60グラムのアルコールとブレンドされて0.5重量パーセント分散物を形成した。マルバーンゼータサイザー(Malvern ZetaSizer)(商標)装置を用いる動的光散乱法(DLS)によって粒子サイズ分布が得られた。
図2にメタノール分散用液体の場合の結果がプロットされ、
図3にプロピレングリコールの場合の結果がプロットされる。プロピレングリコール中の分散物の方が114.9nmに対して91.8nmと小さなZ‐平均粒子サイズ、及び狭い粒子サイズ分布を有していた。分散物は、少なくとも1ヵ月間安定であった。
【実施例2】
【0118】
表面改質されたシリコン粒子の分散物
本実施例は、表面改質されたシリコン粒子がより高い濃度で妥当な安定性を有して分散されることができ、液体間で移されることができることを示す。
【0119】
シリコン粒子は、実施例1に関して上記に記載されたレーザー熱分解法を用いて合成された。本実施例のためのこれらの粉体は、77m
2/gのBET表面積を有していた。最初に、500mgの改質されていない粒子が50gのガンマブチルロラクトン液体と混合され、この混合物は超音波プローブ型超音波照射装置を用いて1時間超音波処理された。
【0120】
次に、155mgのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Z6030、ダウコーニング)が分散物に加えられ、試料は超音波浴の中に4.5時間置かれた。結果として得られた1重量パーセント分散物のサイズ分布はDLSによって測定された。
図4に粒子サイズ分布のロットが示される。分布は72.0nmのZ‐平均粒子サイズを有し、17.9nmの小さな方のピークと108nmの大きな方のピークとの2つのピークを有していた。
【0121】
分散物を不安定させるために、30ml分のガンマブチルラクトン中の分散物が60mlのヘキサン及び60mlのアセトンと混合された。次に、試料は5000rpmで60分間遠心分離された。上澄みは廃棄され、沈殿物は超音波浴中の20分間を用いて乳酸エチルの中に再分散された。乳酸エチル分散物は、15、10及び5重量パーセントにおいて安定なようであった。分散物の暗さによって、これらの高い密度の分散物の特性は、詳細に評価されることがまったくできなかった。沈降はまったく観測されることができず、数週間後にも分散物に眼に見える変化がまったくなく、この分散物が少なくとも数週間安定であることを示唆した。これらの濃度は、高い光学濃度によって、DLS粒子サイズ分布測定に向いていなかった。
図5に、1重量パーセントでのDLS測定値が示される。粒子サイズ分布は、62.6nmのZ‐平均粒子サイズを有し、18.3nmに1つ、86.2nmに大きな方のピークの2つのピークも有していた。
【実施例3】
【0122】
酢酸エチル中のシリコン粒子の表面改質
本実施例では、粒子は、乳酸エチル中、2つの異なる濃度で直接表面改質される。
【0123】
500mg量のシリコン粒子(BETによって測定された表面積74m
2/g)が50gの乳酸エチルと混合され、浴型超音波処理装置中で2時間超音波処理され、1重量パーセント分散物を形成した。次に、143mgのメタクリルオキシプロピルトリメチルオキシシラン表面改質剤が加えられ、結果として得られた分散物はさらに2時間超音波処理された。
図6に、DLSによって得られた表面改質の前(A)と後(B)との両方の強度基準の粒子サイズ分布が示される。表面改質の後、強度平均粒子サイズ分布は、表面改質の前より小さい。
【0124】
1g量のシリコン粒子(BETによって測定された表面積69m
2/g)が20gの乳酸エチルと混合され、浴型超音波処理装置中で2時間超音波処理され、5重量パーセント分散物を形成した。次に、275mgのメタクリルオキシプロピルトリメチルオキシシラン表面改質剤が加えられ、結果として得られた分散物はさらに2時間超音波処理された。試料の高い光学密度は、そのような高濃度におけるDLSデータの取得を阻んだ。一夜静置した後の試料の目視は、表面改質された試料に関して、試料ビンの底に沈降する粒子が表面改質を含まなかった試料と比較して少ないことを明らかにした。DLS測定値を得るために、試料は1重量パーセントに希釈された。
図7に、表面改質のない場合(A)と表面改質のある場合(B)との両方の希釈された試料について、DLSによって得られた強度基準の粒子サイズ分布が示される。
【実施例4】
【0125】
メタノール中とガンマブチロラクトン中との表面改質の比較
本実施例は、ガンマブチロラクトンに対してメタノール中で表面改質された試料について、結果として得られる粒子サイズ分布を比較する。
【0126】
試料1では、150mgのシリコン粒子(BETによって測定された表面積68m
2/g)が30gのメタノールと混合されて0.5重量パーセント分散物を形成した。次に、試料は2時間浴型超音波処理された。40mg量のシラン表面改質剤メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが加えられ、試料はさらに4時間超音波処理された。
図8に、0.5重量%濃度でDLSによって測定された、表面改質の前(A)及び表面改質の後(B)の強度基準の粒子サイズ分布が示される。
【0127】
試料2では、1gのシリコン粒子(BETによって測定された表面積68m
2/g)が20gのメタノールと混合されて5重量パーセント分散物を形成した。次に、試料は、2時間浴型超音波照射された。275mg量のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが加えられ、試料はさらに4時間超音波処理された。100g量のヘキサンが加えられて分散物を不安定させ、試料は4000rpmで20分間遠心分離された。沈殿物は、20分間の浴型超音波処理によって200gのメタノールの中に再分散された。
図8(c)に、0.5%濃度においてDLSによって測定された強度基準の粒子サイズ分布も示される。
【0128】
別の試料では、500mg量のシリコン粒子(BETによって測定された表面積77m
2/g)が50gのガンマブチロラクトンと混合されて1重量パーセント分散物を形成し、超音波プローブ型超音波処理装置(ヒールシャー(Hielscher)、UP200S型)を用いて60%振幅及び0.5サイクルで1時間超音波処理された。次に、155mg量のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランシランがこの分散物に加えられ、試料は超音波浴の中に65℃で4.5時間置かれた。
図9に、DLSによって測定された強度基準の粒子サイズ分布が示される。30mL分のガンマブチロラクトン中の分散物が60mLのヘキサン及び60mLのアセトンと混合されて分散物を不安定化した。試料は、5000rpmで60分間遠心分離された。上澄みは廃棄され、沈殿物は超音波浴中の20分間の超音波処理によって乳酸エチル中に再分散された。15、10及び5重量%における分散物は1日を超えてほぼ安定なようであったが、試料の高い光学密度がそのような高い濃度におけるDSLデータの取得を阻んだ。
図10に、乳酸エチル中の1%濃度における強度基準のDLS粒子サイズ分布がプロットされている。
【実施例5】
【0129】
メチルエチルケトン(MEK)中のSiO
2分散物
本実施例は、レーザー熱分解法を用いて合成されたシリカ粒子の分散物及び表面改質を示す。
【0130】
SiO
2は、テトラエトキシルシラン(TEOS)をシリコン前駆体とするレーザー熱分解エーロゾル)によって製造された。シリコン前駆体は、エチレン、酸素及びキャリア気体として働く不活性ガスの混合物とともにエーロゾルとして供給された。装置は、参照によって本明細書に組み込まれる「光学材料及び光デバイス(Optical Materials and Optical Devices)」という標題のホーン(Horne)らの米国特許第6,849,334号明細書の
図6〜8中の装置と類似していた。SiO
2粒子は、10〜20nmの、透過型電子顕微鏡写真を用いて測定された一次粒子サイズを有していた。
図11及び12にレーザー熱分解法を用いてTEOSから作られた代表的なSiO
2ナノ粒子試料に関する2つの倍率における透過型電子顕微鏡像がそれぞれ示される。
【0131】
SiO
2粉体(13.6g、BET表面積>236.5m
2/g)がメチルエチルケトン(MEK)に加えられて5%重量の混合物を作った。混合物は、プローブ型超音波処理装置によって1〜4時間超音波処理された。次に、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Z6030、3.0g〜17.9g、ダウコーニング(Dow Corning))が分散物に加えられ、超音波処理が1〜3時間続けられた。結果として得られた二次粒子サイズは、マルバーンゼータサイザー(Malvern ZetaSizer)(商標)装置を用いる動的光散乱法(DLS)によって評価された。
図13に、DLS測定から明らかにされた粒子のサイズの分布が示される。二次粒子の約66%が362.6nmの直径を有し、粒子の34%が約28.1nmのピーク二次粒子サイズを有していた。従って、SiO
2粒子は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランによる改質の後、MEK中5%重量で良好な分散物を形成する。
【実施例6】
【0132】
イソプロパノール中のSiO
2分散物
本実施例は、代替分散用液体としてのイソプロパノール中のSiO
2ナノ粒子の分散物を示した。本実施例のためのSiO
2ナノ粒子は、実施例5におけるナノ粒子と同じ特性を有していた。
【0133】
SiO
2粉体(1.0g、BET表面積214.0m
2/g)がイソプロパノールに加えられて1%重量混合物を作った。混合物は、浴型超音波処理装置中で1〜4時間超音波処理された。次に、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(0.32g〜1.94g、ジェレスト社(Gelest,Inc.))が分散物に加えられ、超音波処理を25℃〜60℃の温度で1〜7時間続けた。結果として得られた二次粒子サイズは、マルバーンゼータサイザー(Malvern ZetaSizer)(商標)装置を用いる動的光散乱法(DLS)によって評価された。
図14に、DLS測定から明らかにされた粒子のサイズの分布が示される。粒子は、約99.7nmの平均二次粒子サイズを有していた。従って、SiO
2粒子は、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランによる改質の後、IPA中1%重量で良好な分散物を形成する。
【0134】
上記の実施態様は、例示的であり、限定的でないことが意図される。請求項中に追加の実施態様がある。さらに、特定の実施態様を参照して本発明は説明されてきたが、本発明の技術思想及び範囲から逸脱することなく形式及び細部において変化形が作られることができることは、当業者には自明である。上記の文書の参照による取り込みはすべて、本明細書中の明示的な開示に反するいかなる主題も組み込まれないように限定される。