(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710904
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】X線検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20150409BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20150409BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20150409BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
H01L27/14 C
G01T1/20 E
G01T1/20 G
H01L27/14 K
G01T1/24
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-163256(P2010-163256)
(22)【出願日】2010年7月20日
(65)【公開番号】特開2011-129868(P2011-129868A)
(43)【公開日】2011年6月30日
【審査請求日】2013年6月26日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0127307
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 寛旭
(72)【発明者】
【氏名】金 東赫
【審査官】
溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−295908(JP,A)
【文献】
特開2009−267326(JP,A)
【文献】
特開2005−116543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G01T 1/20
G01T 1/24
H01L 27/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板;
前記第1基板上に形成されるゲート電極;
前記ゲート電極を覆うように前記ゲート電極及び前記第1基板上に形成されるゲート絶縁膜;
前記ゲート絶縁膜の一部分に積層されて形成される半導体層;
前記半導体層の第1部分を覆うソース電極を含むデータ線;
前記ソース電極に対向するドレイン電極を含み、前記半導体層の前記第1部分と異なる第2部分及び前記ゲート絶縁膜の上部に前記ドレイン電極から延びて形成される第1下部電極;
前記ドレイン電極の上部に前記ドレイン電極に隣接して形成される保護層;
前記保護層及び前記保護層が形成されない前記第1下部電極の上部に形成される第2下部電極;
前記第2下部電極の上部に形成されるダイオード用半導体層;及び
前記ダイオード用半導体層の上部に形成される上部電極を含み、
前記保護層は、前記第2下部電極の下部に前記第2下部電極に隣接して形成され、
前記第2下部電極は、前記ゲート電極と重畳しないように形成されるX線検出器。
【請求項2】
前記保護層は、
前記ドレイン電極、及び前記ドレイン電極と接続する第1下部電極の一部分の上部に形成される、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記上部電極の上部に形成される保護膜をさらに含む、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項4】
外部から入射するX線を可視光線に変換するシンチレータ層をさらに含む、請求項3に記載のX線検出器。
【請求項5】
第1基板;
前記第1基板上に形成されるゲート電極;
前記ゲート電極を覆うように前記ゲート電極及び前記第1基板上に形成されるゲート絶縁膜;
前記ゲート絶縁膜の一部分に積層されて形成される半導体層;
前記半導体層の第1部分を覆うソース電極を含むデータ線;
前記ソース電極に対向するドレイン電極を含み、前記半導体層の前記第1部分と異なる第2部分及び前記ゲート絶縁膜の上部に前記ドレイン電極から延びて形成される第1下部電極;
前記ドレイン電極の上部に前記ドレイン電極に隣接して形成される保護層;
前記保護層及び前記保護層が形成されない前記第1下部電極の上部に形成される第2下部電極;
前記第2下部電極の上部に形成されるダイオード用半導体層;及び
前記ダイオード用半導体層の上部に形成される上部電極を含み、
前記保護層は、前記第2下部電極の下部に前記第2下部電極に隣接して形成され、
前記第2下部電極は前記ゲート電極と重畳して形成される、X線検出器。
【請求項6】
第1下部電極及び前記ダイオード用半導体層は前記ゲート電極と重畳して形成される、請求項5に記載のX線検出器。
【請求項7】
前記保護層は、
前記ドレイン電極、及び前記ドレイン電極と接続する第1下部電極の一部分の上部に形成される、請求項5に記載のX線検出器。
【請求項8】
前記上部電極の上部に形成される保護膜をさらに含む、請求項5に記載のX線検出器。
【請求項9】
外部から入射するX線を可視光線に変換するシンチレータ層をさらに含む、請求項5に記載のX線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検出器に関し、より詳しくは、薄膜トランジスタ及びピン(PIN)ダイオードを含むX線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、高付加価値産業として大きく注目されている医療産業用の放射線透過写真装置が脚光を浴びている。
【0003】
X線検出器の動作を見れば、まず、X線ソース(source)でX線(X-ray)を放出させる。放出されるX線が被写体を通過すると、X線検出器の内部に備わるシンチレータ(scintillator)は、被写体の密度により通過したX線光を可視光線に変換させる。そして、内部的に備わる光センサ(photo sensor)は、変換された可視光線の伝送を受け、それによって発生する電荷量を感知する。感知された電荷量はデジタル信号に変換されてデジタルイメージに表現される。
【0004】
X線検出器の性能を表わす主な指標は、量子検出効率(DQE:Detective Quantum Efficiency)といえる。同一の撮影条件下でどれくらい量子検出を細密に行うことができるかによってX線検出器の性能を判断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
量子検出効率(DQE)は、X線検出器のモデルまたは仕様によって変わり、特にX線検出器のパネル上に備わる光センサの性能に依存する。
【0006】
X線検出器の性能向上のためには量子検出効率を上げなければならず、量子検出の効率を上げるためには光センサの性能を向上させなければならない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、高い量子検出効率を有することが可能な、新規かつ改良されたX線検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1基板と、前記第1基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように前記ゲート及び前記第1基板上に形成されるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の一部分に積層されて形成される半導体層と、前記半導体層の第1部分を覆うソース電極を含むデータ線と、前記ソース電極に対向するドレイン電極を含み、前記半導体層の前記第1部分と異なる第2部分及び前記ゲート絶縁膜の上部に前記ドレイン電極から延びて形成される第1下部電極と、前記第1下部電極の一部分の上部に形成される保護層と、前記保護層及び前記保護層が形成されない前記第1下部電極の上部に形成される第2下部電極と、前記第2下部電極が上部に形成されるダイオード用半導体層と、及び前記ダイオード用半導体層の上部に形成される上部電極を含み、前記第2下部電極は、前記ゲート電極と重畳しないように形成されるX線検出器が提供される。
【0009】
また、前記保護層は、前記ドレイン電極及び前記ドレイン電極と接続する第1下部電極の一部分の上部に形成されてもよい。
【0010】
また、前記保護層は、前記ゲート電極と積層されるように、前記第2下部電極の上部に形成されてもよい。
【0011】
また、前記上部電極の上部に形成される保護膜をさらに含んでもよい。
【0012】
また、前記X線検出器は、外部から入射するX線を可視光線に変換するシンチレータ層をさらに含んでもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1基板と、前記第1基板上に形成されるゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように前記ゲート及び前記第1基板上に形成されるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の一部分に積層されて形成される半導体層と、前記半導体層の第1部分を覆うソース電極を含むデータ線と、前記ソース電極に対向するドレイン電極を含み、前記半導体層の前記第1部分と異なる第2部分及び前記ゲート絶縁膜の上部に前記ドレイン電極から延びて形成される第1下部電極と、前記第1下部電極の一部分の上部に形成される保護層と、前記保護層及び前記保護層が形成されない前記第1下部電極の上部に形成される第2下部電極と、前記第2下部電極が上部に形成されるダイオード用半導体層と、及び前記ダイオード用半導体層の上部に形成される上部電極を含み、前記第2下部電極は前記ゲート電極と重畳して形成されるX線検出器が提供される。
【0014】
また、第1下部電極及び前記ダイオード用半導体層は、前記ゲート電極と重畳して形成されてもよい。
【0015】
また、前記保護層は、前記ドレイン電極及び前記ドレイン電極と接続する第1下部電極の一部分の上部に形成されてもよい。
【0016】
また、前記保護層は、前記ゲート電極と重畳して積層されるように、前記第2下部電極の上部に形成されてもよい。
【0017】
また、前記X線検出器は、前記上部電極の上部に形成される保護膜をさらに含んでもよい。
【0018】
また、前記X線検出器は、外部から入射するX線を可視光線に変換するシンチレータ層をさらに含む。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、X線検出器は、X線検出器の量子検出効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態によるX線検出器の構造を示すブロックダイアグラムである。
【
図2】
図1の検出単位素子31の等価回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態による
図3の310領域の配置構造を詳細に示す図面である。
【
図6】本発明の他の実施形態による
図3の310領域の配置構造を詳細に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、種々の相異な形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限られない。
【0022】
また、種々の実施形態において、同一の構成を有する構成要素に対しては同一の符号を付けて代表的に第1実施形態で説明し、その他の実施形態では第1実施形態とは異なる構成についてのみ説明する。
【0023】
本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付ける。
【0024】
明細書の全体において、ある部分が他の部分と“接続”されているという時、これは“直接的に接続”されている場合だけでなく、その中間に他の素子を介在して“電気的に接続”されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態によるX線検出器の構造を示すブロックダイアグラムである。
【0026】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態によるX線検出器100は、X線検出パネル30、ゲート駆動部40、受信信号検出部50、及びバイアス電源供給部60を含む。
【0027】
X線検出パネル30は、複数の信号線G1〜Gn、D1〜Dm、B1〜Bmと、これに接続され、ほぼ行列状に配列された複数の検出単位素子(例えば、31)とを含む。
【0028】
各検出単位素子31は、一つの薄膜トランジスタ及び一つの光センサを含む。ここで、光センサとしては、ピンダイオード(PIN diode)が用いられることができる。以下、光センサとしてピンダイオードが用いられることを例に挙げて説明する。検出単位素子31は、以下で
図2〜
図7を参照して詳細に説明する。
【0029】
信号線G1〜Gn、D1〜Dm、B1〜Bmは、ゲート信号(“走査信号”とも言う)を伝達する複数のゲート線G1〜Gn、ピンダイオードで検出した信号を受信信号検出部50に伝達する複数のデータ線D1〜Dm、及びそれぞれのピンダイオードにバイアス電圧を印加するバイアス線B1〜Bmを含む。ゲート線G1〜Gnはほぼ行方向に延び、互いにほぼ平行し、データ線D1〜Dm及びバイアス線B1〜Bmはほぼ列方向に延び、互いにほぼ平行する。
【0030】
ゲート駆動部40は、X線検出パネル30のゲート線G1〜Gnと接続される。そして、検出単位素子31の内部に備わる薄膜トランジスタのゲートにゲート信号を印加する。ゲート信号は、上記薄膜トランジスタのターンオンまたはターンオフを制御するための信号であって、ゲート線G1〜Gnを通じて伝送される。ゲート信号としては、薄膜トランジスタをターンオンさせるためのゲートオン電圧Von信号と、薄膜トランジスタをターンオフさせるためのゲートオフ電圧Voff信号とがある。ゲート駆動部40は、複数のゲート線G1〜Gnのそれぞれにゲートオン電圧Von信号を順次に印加し、ゲートオン電圧Vonが印加されない時間にはゲートオフ電圧Voff信号を印加する。
【0031】
受信信号検出部50は、X線検出パネル30のデータ線D1〜Dmに接続されており、ピンダイオードで検出された信号を受信する役割を果たす。受信信号検出部50は、OPアンプ(図示せず)と接続して、ゲートオン時間にピンダイオードで検出された信号が保存されるキャパシタ(図示せず)を含む。そして、これをシフトレジスタ(図示せず)に伝送して少なくとも一つのゲートオン時間の間に保存し、ADコンバータ(図示せず)に伝送する。ADコンバータ(図示せず)に伝送された信号はデジタル信号に変更されて出力される。最終的に出力されたデジタル信号は、デジタル化面にディスプレイされる。
【0032】
バイアス電源供給部60は、X線検出パネル30のバイアス線B1〜Bmに接続されており、ピンダイオードにバイアス電圧を印加する役割を果たす。バイアス電圧が印加されるピンダイオードは、照射されたX線に対応する、つまり、X線がシンチレータを通じて変換された可視光線を感知し、感知された可視光線に対応する電流を発生させることができる。そして、バイアス電圧が印加されない場合には、ピンダイオードは可視光線が入射しても電流を発生させないため、光センサとしての役割を果たさない。
【0033】
このような駆動装置40、50、60それぞれは、少なくとも一つの集積回路チップの形態でX線検出パネル30の上に集積装着することができる。または、フレキシブル印刷回路膜(flexible printed circuit film)(図示せず)の上に装着して、TCP(tape carrier package)の形態でX線検出パネル30に付着するか、または別途の印刷回路基板(printed circuit board)(図示せず)の上に装着することもできる。
【0034】
これとは異なって、これらゲート駆動部40、受信信号検出部50、及びバイアス電源供給部60が、信号線G1〜Gn、D1〜Dm、B1〜Bm及び薄膜トランジスタQと共にX線検出パネル30に集積されることも可能である。また、駆動装置40、50、60は単一チップで集積でき、この場合、これらの少なくとも一つまたはこれらを構成する少なくとも一つの回路素子が単一チップの外側にあることもできる。
【0035】
図2は、
図1の検出単位素子31の等価回路図である。
【0036】
図2を参照すれば、検出単位素子31は、一つの薄膜トランジスタQs及び一つの光センサ201を含む。
図2では、光センサ201としてピンダイオードDsが用いられることを例に挙げて示した。
【0037】
ピンダイオードDsは光を感知する光センサの役割を果たす。薄膜トランジスタQs及びピンダイオードDsの上部にはシンチレータ(後述する
図5の230)が位置している。シンチレータ230は、放射線と衝突して発光する物質からなり、X線が入射する場合、これを可視光線領域の光に変換して放出する。放出した可視光線は、光センサのピンダイオードDsを通じて感知される。
【0038】
薄膜トランジスタQsは、ゲート信号Giに応答して、ピンダイオードDsで感知されて出力される光信号をデータ線Djを通じて受信信号検出部50に伝送する。
【0039】
図3は、
図2の検出単位素子31の配置図である。
【0040】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態によるX線検出器の内に備わる一つの検出単位素子31は、データ線171、バイアス線198、及びゲート線121と接続されている。
【0041】
データ線171はデータ信号Djを伝達し、一方向(以下、Y軸方向)に延びている。
【0042】
バイアス線198はバイアス電圧Bjを伝達し、Y軸方向に延びている。バイアス線198にはコンタクトホール181が形成されており、コンタクトホール181によってバイアス線198とピンダイオードDsとが接続する。
【0043】
ゲート線121はゲート信号Giを伝達し、データ線171またはバイアス線198に対して垂直方向(以下、X軸方向)に延びている。ゲート線121はコンタクトホール(図示せず)によってゲート電極124と接触する。
【0044】
以下、
図4〜
図7を参照して、
図3の領域310の配置構造及び断面構造を詳細に説明する。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態による
図3の領域310の配置構造を詳細に示す図面である。
【0046】
図5は、
図4のA−B線に沿った断面図である。
【0047】
図4及び
図5を参照すれば、透明なガラスまたはプラスチックなどからなる下部基板110の上部にゲート線121が形成され、ゲート線121はゲート電極124と接続される。
【0048】
ゲート絶縁膜140は、ゲート線121及びゲート電極124の上部に形成される。ゲート絶縁膜140は、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの絶縁性物質からなる。
【0049】
ゲート絶縁膜140は、ゲート線121の上に窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの物質で形成される。
【0050】
半導体層154は、ゲート絶縁膜140の上に水素化非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon)または多結晶シリコン(poly silicon)などの物質で形成される。半導体層154は、ゲート電極124の上、ゲート絶縁膜140の一部領域の上に、図示のように形成される。半導体層154は、ゲート電極124の両端を覆う大きさで形成することが好ましい。
【0051】
オーミックコンタクト部材163は半導体層154の上に形成される。オーミックコンタクト部材163は、リン(P)などのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質、またはシリサイド(silicide)で作ることができる。オーミックコンタクト部材163は、その下の半導体層154と、その上のドレイン電極175との間に存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。
【0052】
ソース電極173は、
図5で左側に形成されたオーミックコンタクト部材163及びゲート絶縁膜140の上に形成される。ソース電極173はデータ線171と接続されている。
【0053】
ドレイン電極175は、データ線171と分離されており、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向して配置される。ドレイン電極175は、右側に形成されたオーミックコンタクト部材163及びゲート絶縁膜140の上部に形成される。
【0054】
そして、ドレイン電極175を含み、ドレイン電極175に延びて第1下部電極177が形成される。ドレイン電極175を含む第1下部電極177は、薄膜トランジスタQsを形成する半導体層154の一部領域、ピンダイオードが配置される領域510にかけて形成される。つまり、ドレイン電極175を延長してピンダイオードDsの第1下部電極177を形成することである。
【0055】
保護層(passivasion layer)179は、ドレイン電極175を含む第1下部電極177の一部分の上部に形成される。つまり、
図5に示したように、保護層179はドレイン電極175を含み、第1下部電極177の一部分を覆うように形成される。
【0056】
第2下部電極182は、保護層179、及び保護層179が形成されていない第1下部電極177の上部に形成される。
【0057】
第1下部電極177及び第2下部電極182は、全てピンダイオードDsの下部電極(正確には、カソード電極)を形成する。
【0058】
一つのゲート電極124、一つのソース電極173、及び一つのドレイン電極175は、半導体層154と共に一つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)Qsを構成し、薄膜トランジスタのチャネルは、ソース電極173とドレイン電極175との間の半導体層154に形成される。
【0059】
ダイオード用半導体層250は、ピンダイオードの第2下部電極182の上部に形成される。ダイオード用半導体層250は、N型半導体251、真性半導体252、及びP型半導体253が順次に積層されて形成される。
【0060】
ピンダイオードDsの上部電極191は、ダイオード用半導体層250の上部に形成され、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質で形成される。上部電極191は、第1下部電極177、第2下部電極182、及びダイオード用半導体層250に対応する領域に形成されている。
【0061】
保護膜180は、データ線171と接続するドレイン電極175、露出した半導体層154、及びピンダイオードの上部電極191の上に形成される。保護膜180は、窒化ケイ素や酸化ケイ素などの無機絶縁物や有機絶縁物で形成することができ、無機絶縁物または有機絶縁物それぞれが積層されて作られた二重膜構造を有することも可能である。保護膜180の上には上部電極191をそれぞれ露出するコンタクトホール181が形成される。また、保護膜180の上部にはバイアス線198(
図3参照)が形成される。
【0062】
シンチレータ230は保護膜180の上部に形成される。シンチレータ230は放射線と衝突して発光する物質で形成され、X線が入射する場合、これを可視光線領域(特に緑色波長)の光に変えて放出する。放出した光はピンダイオードDsに入射して電流を発生させる。
【0063】
上部基板210はシンチレータ230の上部に形成される。上部基板210はシンチレータ230の下部構造を保護するために形成される。
【0064】
従来に公開されたX線検出器の構造では、ピンダイオードの境界領域(例えば、501部分)上に電子トラップ(electron trap)現象が生じて、ノイズ(noise)が発生し、ピンダイオードの光感知効率は低下した。これによって、量子検出効率(DQE)が減少した。
【0065】
本発明の一実施形態によるX線検出器は、上述のように保護層179を具備することによって、電子トラップ現状の発生を除去することができる。これによって、ピンダイオードの光感知効率が上がり、さらにX線検出器の量子検出効率(DQE)も上げることができる。
【0066】
また、本発明の一実施形態によるX線検出器では、第2下部電極182がゲート電極124に近接して形成される。ゲート電極124と第2下部電極182とは重畳せず、X線検出器内でピンダイオードが配置される面積を最大化させる形状に形成される。したがって、高いフィルファクタ(fill−factor)を実現することができる。フィルファクタが大きいほど、ピンダイオードの光感知効率が上がるので、X線検出器の量子検出効率(DQE)を上げることができる。
【0067】
本発明の他の実施形態は、上述した実施形態とは異なる形状として、ゲート電極と第2下部電極とが一部重畳するX線検出器である。
【0068】
図6は、本発明の他の実施形態による
図3の310領域の配置構造を詳細に示す図面である。
【0069】
図7は、
図6のA−B線に沿った断面図である。
【0070】
図6を参照すれば、第2下部電極681、ダイオード用半導体層650、及び上部電極691が、
図4に比べて601領域ほど拡張されて形成される。
【0071】
また、
図7を参照すれば、第2下部電極681、ダイオード用半導体層650、及び上部電極691が、
図5に比べて斜線領域701ほど拡張されて形成される。
【0072】
つまり、ゲート電極124と第2下部電極681、ダイオード用半導体層650と上部電極691が重畳して形成される。
【0073】
このように、本発明の実施形態によるX線検出器は、X線検出器内で光センサとして利用されるピンダイオードの配置面積を最大化することができる。そして、ピンダイオードの形成において、保護層を形成し、その上部に第2下部電極を形成することにより、ピンダイオードの漏洩電流量を減少させることができる。これによって、X線検出器の量子検出効率を上げることができる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0075】
30 X線検出パネル
40 ゲート駆動部
50 受信信号検出部
60 バイアス電源供給部
100 X線検出器
121 ゲート線
124 ゲート電極
140 ゲート絶縁膜
171 データ線
173 ソース電極
175 ドレイン電極
177 第1下部電極
179 保護層
180 保護膜
182 第2下部電極
230 シンチレータ
250 ダイオード用半導体層
251 N型半導体
252 真性半導体
253 P型半導体