(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態の構成について、
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態を模式的に示す図であり、
図1(a)は側面図であり、
図1(b)は正面図である。この明細書では、X、YおよびZ座標方向をそれぞれ
図1(a)に示すように定義する。
図1に示す活物質層の形成装置1aは、集電体上に活物質層が形成された電極、例えばリチウムイオン二次電池用電極を製造する際に用いられる装置である。活物質層の形成装置1aは、その表面に複数の凹部22を有する型部材20と、型部材20の少なくとも凹部22内に活物質材料を供給する供給機構30と、型部材20に供給された活物質材料に対して、集電体を押圧させる押圧機構40とを主に備える。
【0023】
型部材20は基台9の上面に対して固定され、型部材20には
図2にも示すように、X方向に延びる直方体形状の内部空間を有する複数の凹部22がY方向に沿って互いに平行に形成されている。なお、凹部22を形成する側壁を凸部23とする。
図2に示すように型部材20は、凹部22の周囲を覆うように内蔵されたヒーター24を備える。ヒーター24は型部材20に供給された活物質材料を加熱するための加熱源である。
【0024】
供給機構30は、
図1に示すようにノズル31を備える。ノズル31はX方向に延びるとともに、その下部は先細り形状となっている。ノズル31の下部先端には図示しない吐出口が形成され、この吐出口はX方向に延びるスリット状の吐出口である。ノズル31には活物質材料をノズル31に送り、吐出口から吐出させるためのポンプ39(
図4)、配管等の送液・吐出機構(図示せず)が接続されている。
【0025】
ノズル31の上面はビーム(梁部材)33の下面に固定され、ビーム33の両端は一対のフレーム32により支持されている。一対のフレーム32の下方端にはスライド部34がそれぞれ設けられている。また、基台9の上面にはY方向に延びる一対のレール35が型部材20を挟むように設けられている。この一対のレール35に対して上記一対のスライド部34が滑動自在に連結されている。一対のフレーム32の一方側(−X方向側)にはリニアモータ36の移動子37が固定されている。また、基台9の上面には移動子37と対向するとともにY方向に延びるリニアモータ36の固定子38が設けられている。
【0026】
上述のように構成された供給機構30は、リニアモータ36を駆動して、一対のフレーム32、ビーム33およびノズル31を一体的にY方向に移動させて、型部材20の上方においてノズル31を移動させる。なお、リニアモータ36により一対のフレーム32の一方側のみを駆動したが、他方側にもリニアモータを設けて両側を同期させて駆動しても良い。
【0027】
押圧機構40は、集電体2を裏面側(図示上面側)から支持する支持板41を型部材20に対して昇降させる機構である。支持板41は集電体2を真空吸着力や機械的なチャック機構によって保持する。集電体2は矩形状の負極集電体または正極集電体であり、例えば銅箔またはアルミニウム箔などの金属箔である。薄い金属箔の場合は搬送や取り扱いが難しいので、例えば片面をガラス板等のキャリアに貼り付ける等により搬送性を高めておくことが好ましい。支持板41は上方から一対のアーム42により支持されている。
図3に示すように一対のアーム42のX方向側端部は、フレーム43に固定された鉛直方向(Z方向)に延びる一対のレール49に対して滑動自在に連結されている。なお、
図3は押圧機構40を説明するための側面図(a)および正面図(b)であり、型部材20および供給機構30の図示は省略している。
【0028】
図3に示すように、一対のアーム42は連結部材44により互いに固定されている。連結部材44のY方向における中央付近にはナット部(図示せず)が設けられ、このナット部にZ方向に延びるねじ軸45が螺合されている。ねじ軸45の上方端は軸受け部材461に、下方端は軸受け部材462にその軸周りに回転自在に支持されている。ねじ軸45の下部には従動プーリ471が固定されている。この従動プーリ471は、基台9上に設けられたモータ48の回転軸に固定された駆動プーリ472とベルト473を介して連結されている。
【0029】
上述のように構成された押圧機構40は、モータ48を正逆駆動して、型部材20の上方において、一対のアーム42、連結部材44および支持板41を一体的に昇降させて、支持板41に支持された集電体2を型部材20に接近する方向または型部材20から離間する方向に移動させ、集電体2の位置を変位させる。
【0030】
活物質層の形成装置1aは
図4に示す制御部7を備え、制御部7はCPU、ROMおよびRAMなどを有するコンピュータを有する。制御部7は、上述の供給機構30および押圧機構40などの動作などを統括的に制御する。制御部7には上述したヒーター24、ポンプ39、リニアモータ36およびモータ48などが電気的に接続されている。
【0031】
活物質材料は例えばリチウムイオン二次電池に用いられるペースト状の負極活物質材料または正極活物質材料である。活物質材料が負極活物質材料である場合、例えば、負極活物質としての粒子状のチタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)に、導電助剤としてのアセチレンブラックまたはケッチェンブラック、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを混合したものを用いることができる。負極活物質材料の粘度としては、例えばせん断速度1s
-1(1/秒)で1mPa・s(パスカル秒)ないし100Pa・s程度が望ましい。なお、負極活物質として上記チタン酸リチウムの他に例えば黒鉛、金属リチウム、SnO
2、合金系などを用いることが可能である。
【0032】
活物質材料が正極活物質材料である場合、この正極活物質材料は、例えば、正極活物質材料としての粒子状のコバルト酸リチウム(LiCoO
2)に、導電助剤としてのアセチレンブラック、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを混合したものを用いることができる。なお、正極活物質材料としては、LiCoO
2の他に、LiNiO
2またはLiFePO
4、LiMnPO
4、LiMn
2O
4、またLiMeO
2(Me=MxMyMz;Me、Mは遷移金属、x+y+z=1)で代表的に示される化合物、例えばLiNi
1/3Mn
1/3Co
1/3O
2、LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2などを用いることができる。また、正極活物質材料44の粘度としては、負極活物質材料と同じく、例えばせん断速度1s
-1で1mPa・sないし100Pa・s程度が望ましい。
【0033】
次に、第1実施形態の動作について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は第1実施形態の動作の流れを示すフロー図であり、
図6は
図5に示す各ステップにおける動作の状態を模式的に示す図である。
【0034】
図5のステップS10において、供給機構30によりノズル31を型部材20上においてY方向に移動させつつ、ノズル31の吐出口からペースト状の活物質材料を型部材20の上面に向けて連続吐出する。このステップS10により、
図6(a)に示すように型部材20の上面に形成された複数の凹部22を含む領域に向けて連続して活物質材料5が供給される。この結果、複数の凹部22内に活物質材料5が充填されるとともに複数の凸部23上にも活物質材料5が連続して供給され、型部材20の上面上の領域に活物質材料5の層が形成される(塗布工程)。このとき、支持板41はオペレータまたは搬送ロボットにより供給された集電体2を保持した状態で、型部材20から上方に離間した位置である離間位置に待機している。
【0035】
図5のステップS20において、押圧機構40により支持板41を型部材20に向けて下降させる。
図6(b)に示すように、下降する支持板41に保持された集電体2は、型部材20上の活物質材料5に当接した後、活物質材料5を例えば5MPaの圧力で押圧する。この結果、凹部22内に充填された活物質材料5および凸部23上にある活物質材料5は圧縮される(押圧工程)。このとき、凸部23上に供給された活物質材料5の量が多い場合は凸部23上の活物質材料5が型部材20上から型部材20外に流出する。このように集電体2によって活物質材料5を押圧している状態における集電体2の位置を押圧位置とする。
【0036】
図5のステップS30において、押圧機構40により集電体2によって押圧されている活物質材料5を、型部材20に内蔵されたヒーター24により加熱する。ヒーター24により型部材20を加熱し、型部材20に当接している活物質材料5を例えば80°C(摂氏80度)に加熱する。このように活物質材料5が加熱されると、活物質材料5内の溶剤成分が気化して活物質材料5の外に抜ける。この結果、
図6(c)に示すように、活物質材料5がその内部に向かう方向に向けて収縮して、凹部22に充填された活物質材料5は凹部22の表面から離れる。この状態で活物質材料5は乾燥、固化して、集電体2上に複数の凸部4を有する凹凸形状の活物質層3が形成される(乾燥工程)。
【0037】
図5のステップS40において、押圧機構40により支持板41を押圧位置から離間位置に向けて上昇させる。
図6(d)に示すように複数の凸部4を有する活物質層3が転写された集電体2が離間位置まで上昇して停止する(離間工程)。その後、オペレータまたは搬送ロボットにより集電体2が支持板41から取り外される。
【0038】
ここで、上述の動作における活物質材料5の収縮割合につ
いて説明する。まず、
図5のステップS20(押圧工程)、すなわち
図6(b)の状態における活物質材料5の寸法について
図7を用いて説明する。なお、
図7は、
図6における上下関係を反転させて図示している。
図7(a)に示すように、ステップS20において活物質材料5は型部材20の凹部22に充填された状態で押圧されているので、その凸部の幅寸法w1は凹部22のY方向における幅寸法と等しく、例えば100μmである。また、その凸部の高さ寸法h1は凹部22の深さ寸法と等しく、例えば50μmである。活物質材料5のY方向における凸部間の寸法s1は例えば100μmである。また、型部材20の凸部23上面と集電体2との間で押圧されている活物質材料5の厚み寸法t1は例えば50μmである。
【0039】
次に
図5のステップS30(乾燥工程)後における、すなわち
図6(c)の状態における活物質材料5の寸法について
図7(b)を用いて説明する。なお、
図7(b)に示す活物質層3の凸部4の幅寸法w2および高さ寸法h2は、乾燥工程により活物質材料5が収縮した結果、
図7(a)に示す活物質材料5の幅寸法w1および高さ寸法h1よりもそれぞれ小さくなっている。活物質層3の凸部4の幅寸法および高さ寸法の収縮割合は例えば1割から5割の範囲内であり、収縮割合が5割であれば、活物質層3の幅寸法w2は例えば50μmであり、高さ寸法h2は例えば25μmである。また、活物質層3の凸部4間の寸法s2は例えば150μmであり、活物質層3の凹部における厚み寸法t2は例えば25μmである。
【0040】
上述のように、凹部22の幅寸法w1(例えば100μm)に対する深さ寸法h1(例えば50μm)の比が2分の1であり、この比率を保って活物質材料5が乾燥に伴って収縮するので、活物質層3に形成された凸部4の幅寸法w2に対する高さ寸法h2の比も2分の1となり高アスペクト比の凸部4を形成することができる。また、凹部22の幅寸法w1に対する深さ寸法h1の比を2分の1以上、例えば1から2の範囲内に高めることにより、活物質層3の凸部4のアスペクト比も2分の1以上、例えばアスペクト比を1から2の範囲内に高めることができる。
【0041】
また、乾燥工程により活物質材料5の凸部4の幅寸法w1および高さ寸法h1がそれぞれ例えば1割から5割の範囲内に収縮する、換言すれば、凸部4の幅寸法w1および高さ寸法h1が収縮前のそれぞれ例えば9割から5割の範囲内の寸法となる。この結果、離間工程において型部材20から活物質層3が離間する際に、活物質層3の凸部4が破壊されることなく、型部材20から活物質層3を容易に離間させることができる。
【0042】
<第1実施形態の変形例>
次に第1実施形態の変形例について説明する。この変形例における活物質層の形成装置の構成は上述の第1実施形態と同様であり、
図5に示すステップS10(塗布工程)における塗布動作が上述の第1実施形態と異なる。上述の第1実施形態では、供給機構30によりノズル31を型部材20上においてY方向に移動させつつ、ノズル31の吐出口からペースト状の活物質材料を型部材20の上面に向けて連続吐出して、型部材20の上面上に活物質材料5の層が形成される。これに対して、この変形例では、型部材20の複数の凹部22のそれぞれに向けてノズル31から間欠的に活物質材料5が供給される。
【0043】
図8(a)に示すように供給機構30によりノズル31を型部材20上においてY方向に移動させつつ、ノズル31の吐出口からペースト状の活物質材料5を、型部材20の複数の凹部22のそれぞれに向けて間欠的に供給する(塗布工程)。このときの活物質材料5の供給量は凹部22内の体積量よりも若干、大きくなるように設定されている。この間欠供給動作は制御部7によりノズル31の移動と同期させてポンプ39を間欠駆動することにより実現される。この結果、複数の凹部22内に活物質材料5が充填される。充填された活物質材料5の上端高さ位置は型部材23の凸部23上面の高さ位置よりも若干、高くなっている。
【0044】
次に
図8(b)に示すように、押圧機構40により支持板41を型部材20に向けて下降させて、押圧位置において支持板41に保持された集電体2により活物質材料5を例えば5MPaの圧力で押圧する。この結果、凹部22内に充填された活物質材料5は圧縮される(押圧工程)。
【0045】
次に
図8(c)に示すように、押圧機構40により集電体2により押圧されている活物質材料5を、型部材20に内蔵されたヒーター24により加熱して、型部材20に当接している活物質材料5を例えば80°C(摂氏80度)に加熱する。この結果、活物質材料5内の溶剤成分が気化して活物質材料5の外に抜けて、活物質材料5がその内部に向かう方向に向けて収縮し、凹部22に充填された活物質材料5は凹部22の表面から離れる。この状態で活物質材料5は乾燥、固化して、集電体2上に複数の凸部4bを有する活物質層3bが形成される(乾燥工程)。
【0046】
次に
図8(d)に示すように、押圧機構40により支持板41を押圧位置から離間位置に向けて上昇させることにより、活物質層3bを有する集電体2が離間位置まで上昇して停止する(離間工程)。その後、オペレータまたは搬送ロボットにより集電体2が支持板41から取り外される。
【0047】
この変形例により集電体2上に形成された活物質層3bは第1実施形態により形成された活物質層3とは異なり、互いに独立した複数の凸部4bを有する。また、第1実施形態による活物質層3では複数の凸部4間においても集電体2の表面は活物質層3により覆われているが、この変形例では複数の凸部4b間において集電体2の表面が露出している。
【0048】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の構成について、
図9を参照して説明する。
図9は本発明の第2実施形態を説明するための図であり、
図9(a)は第2実施形態に係る活物質層の形成装置1bを模式的に示す側面図であり、
図9(b)は動作状態を示す図である。
【0049】
上述の第1実施形態ではシート状の集電体2に対して活物質層3を形成したが、この第2実施形態では長尺帯状(ウエブ状)の集電体2bに対して活物質層3cを形成する。
図9(a)に示すように活物質層の形成装置1bは、集電体搬送機構60、コンベア機構80、型搬送機構50、供給機構30b、ヒーター24bおよび制御部7bを主に備える。
【0050】
集電体搬送機構60は、ロール状に巻かれた長尺帯状(ウエブ状)の集電体2bを回転自在に支持する従動ローラ62と、従動ローラ62から繰り出された集電体2bをロール状に巻き取る駆動ローラ61とを備える。この駆動ローラ61が図示時計回りに回転駆動することにより、従動ローラ62から繰り出された集電体2bは図示右方向(+Y方向)に向かって搬送される。
【0051】
コンベア機構80は、集電体搬送機構60の駆動ローラ61と従動ローラ62との間に配置され、駆動ローラ81、従動ローラ82および無端ベルト83を備える。無端ベルト83は駆動ローラ81と従動ローラ83とに架け渡されているとともに、集電体搬送機構60によって搬送される集電体2をその裏面から支持する位置に設けられる。コンベア機構80の駆動ローラ81は、制御部7bにより、集電体搬送機構60により搬送される集電体2と等速度で無端ベルト83が移動するように集電体搬送機構60の駆動ローラ61と同期して駆動される。
【0052】
型搬送機構50は、その外周表面に亘って複数の凹部22b(
図9(b))を有する円環状(無端ベルト状)の型部材20bと、この型部材20bが架け渡される駆動ローラ51および従動ローラ52を備える。駆動ローラ51が図示反時計回りに回転駆動すると、これと連動して、従動ローラ52および型部材20bも反時計回りに回転する。型搬送機構50の駆動ローラ51は、制御部7bにより、集電体搬送機構60により搬送される集電体2と等速度で型部材20bが移動するように集電体搬送機構60の駆動ローラ61と同期して駆動される。また、型部材20bの高さ位置は、集電体搬送機構60によって搬送される集電体2bと対向する位置において、型部材20bが、コンベア機構80の無端ベルト83により裏面を支持された集電体2bの表面(上面)を活物質材料5を介して押圧する位置に設定されている。なお、型部材20bの凹部22bの幅寸法に対する深さ寸法の比は第1実施形態と同様に2分の1以上である。
【0053】
供給機構30bはノズル31bを備える。このノズル31bは型部材20bが集電体2の表面に対向している位置よりも、型部材20bの回転方向の上流側において型部材20bの外周表面と対向する位置に配置されている。ノズル31bはX方向に延びるとともに、その下部は先細り形状となっている。ノズル31bの先端(図示右側端)には図示しない吐出口が形成され、この吐出口はX方向に延びるスリット状の吐出口である。ノズル31bには活物質材料をノズル31bに送り、吐出口から吐出させるための図示しないポンプおよび配管等の送液・吐出機構が接続されている。
【0054】
ヒーター24bは、型部材20bが集電体2に対向している位置において、型部材20bの裏面に対向する位置に配置され、この位置において型部材20bを加熱する。
【0055】
この第2実施形態において、集電体2および活物質材料5は上記第1実施形態と同様に、例えばリチウムイオン二次電池に用いられる負極集電体または正極集電体、および、ペースト状の負極活物質材料または正極活物質材料である。
【0056】
次に第2実施形態の動作について説明する。まず、制御部7bは集電体搬送機構60の駆動ローラ61、コンベア機構80の駆動ローラ81および型搬送機構50の駆動ローラ51をそれぞれ同期して駆動する。また、制御部7bは供給機構30bのノズル31bから活物質材料5を移動する型部材20bの外周表面に向けて吐出する。
【0057】
ノズル31bの吐出口からペースト状の活物質材料5を型部材20bの外周表面に向けて連続吐出することにより、複数の凹部22b内に活物質材料5が充填されるとともに複数の凸部23b上にも活物質材料5が連続して供給され、型部材20の外周表面上の領域に活物質材料5の層が形成される(塗布工程)。
【0058】
型部材20b上に供給された活物質材料5は、型部材20bの回転に伴って、
図9(b)の左側に示すように、無端ベルト83に支持された集電体2bと、型部材20bとの間に挟まれて、押圧される(押圧工程)。
【0059】
押圧されて積層状態にある集電体2b、活物質材料5および型部材20bは、集電体2および型部材20bの移動に伴って、ヒーター24bの下方を通過する。ヒーター24bの下方を通過する型部材20bはヒーター24によって加熱され、この結果、型部材20bに当接している活物質材料5も加熱される。このように活物質材料5が加熱されると、活物質材料5内の溶剤成分が気化して活物質材料5の外に抜ける。この結果、
図9(b)の右側に示すように、活物質材料5がその内部に向かう方向に向けて収縮して、凹部22に充填された活物質材料5は凹部22の表面から離れる。この状態で活物質材料5は乾燥、固化して、集電体2上に複数の凸部4cを有する凹凸形状の活物質層3cが形成される(乾燥工程)。なお、乾燥工程における活物質材料5の収縮割合は第1実施形態と同様に1割から5割の範囲内であり、乾燥工程後の活物質層3cおいて凸部4cの幅寸法に対する高さ寸法の比は第1実施形態と同様に2分の1以上である。
【0060】
ヒーター24bの下方を通過した型部材20bは、その回転に伴って上方に移動する。この結果、ヒーター24bの下方を通過した集電体20上に形成された活物質層3cに対して型部材20bが離間する(離間工程)。
【0061】
上記第2実施形態の塗布工程において、上述の第1実施形態の変形例のように、ノズル31bから複数の凹部20bに向けて間欠的に活物質材料をそれぞれ吐出しても良い。この変形例の場合、上記押圧工程、乾燥工程および離間工程後には、互いに独立した複数の凸部を有する活物質層が集電体2b上に形成される。
【0062】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上述の第1実施形態の型部材20、第2実施形態の型部材20bには直方体形状を有する凹部22、22bが形成されているが、凹部の形状は、例えば立方体形状、円柱状または半球状、半円筒状などであっても良い。
【0063】
上記第1実施形態およびその変形例において、固定配置された型部材20に対してノズル31を水平移動させる構成であったが、固定配置されたノズルに対して型部材を水平移動させる構成でも良い。また、固定配置された型部材20に対して集電体2を昇降させる構成であったが、固定配置された集電体に対して型部材を昇降させる構成でも良い。
【0064】
加熱源としてのヒーターに替えて、型部材内に加熱された液体や気体などの媒体を流す構成でも良い。また、型部材を加熱して押圧されている活物質材料を加熱するのではなく、押圧されている活物質材料を直接、加熱する構成でも良い。
【0065】
また、上記実施形態で例示した集電体、活物質材料はその一例を示したものであってこれに限定されず、リチウムイオン二次電池用電極の構成材料として用いられる他の材料を使用してリチウムイオン電池用電極を製造する場合においても、本発明の形成装置および方法を好適に適用することが可能である。また、リチウムイオン二次電池に限らず、他の材料を用いた化学電池用電極の製造に本発明を適用することが可能である。