(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドメイン境界領域が前記正常輝度領域に隣接した前記ドメイン境界領域の一側から前記ドメイン境界領域の他側に伸張されるほど、前記ドメイン境界領域の中の少なくとも1つの液晶分子のプレチルト角が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
前記正常輝度領域の液晶分子のプレチルト角は、前記ドメイン境界領域の液晶分子のプレチルト角より0.2°以上小さいことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
前記第2の配向膜は、それぞれ反対方向に向かう第1の配向ベクトルと第2の配向ベクトルとを有し、前記第1の配向膜は、前記第1の配向ベクトル及び前記第2の配向ベクトルに垂直であり、それぞれ反対方向に向かう第3の配向ベクトルと第4の配向ベクトルとを有し、
前記単位画素は、前記第1乃至第4の配向ベクトルから決定された異なる4つの正常輝度領域配向ベクトルを有することを特徴とする請求項7に記載の液晶表示パネル。
前記液晶表示パネルは、前記正常輝度領域配向ベクトルと45°の角で交差する第1の偏光軸及び第2の偏光軸をそれぞれ有する第1の偏光板及び第2の偏光板をさらに備え、
前記ドメイン境界領域は、前記第1の偏光軸又は前記第2の偏光軸に平行に配列される液晶分子を有するドメイン境界テクスチャ(DBT)領域と前記第1の偏光軸又は前記第2の偏光軸と交差する液晶分子を有する輝度改善領域とを有することを特徴とする請求項7又は8に記載の液晶表示パネル。
前記画素電極は、実質的に長方形であり、前記画素電極の一辺は、前記突起部及び前記突起部と連続して形成される凹部を有することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示パネル。
前記配線パターンは、前記画素電極のエッジと部分的に重なるストレージ電極を含み、前記突起部は、前記ストレージ電極と重なることを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶表示パネル。
前記配線パターンは、前記画素電極から離隔したデータラインを含み、前記突起部は、前記データラインと重なることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の液晶表示パネル。
前記単位画素の前記配線パターンは、前記画素電極の突起部と部分的に重なるストレージ電極と前記画素電極のエッジから離隔したデータラインとを含み、前記画素電極は、その一辺上の前記突起部及び前記突起部に連続して形成される凹部を有し、
前記単位画素の前記データライン及び前記ストレージ電極は、前記画素電極の前記突起部と前記凹部とが接触する領域の付近で相互に交差することを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の液晶表示パネル。
前記第2の基板は、前記第2の基板の背面から入射する光を遮断するブラックマトリックスをさらに有し、前記ブラックマトリックスは、前記第1の基板上の画素電極の突起部、前記ストレージ電極、及び前記データラインを覆うように配置されることを特徴とする請求項14に記載の液晶表示パネル。
前記第2の照射部の前記第3の遮光領域は、前記正常輝度領域パターンに平行である遮光長さを有し、前記遮光長さは、前記第3の遮光領域が前記正常輝度領域パターンから遠くなるほど短くなることを特徴とする請求項17に記載のマスク。
前記マスクは、前記単位マスキングパターンが反復して配置される方向に垂直である方向に移動し、前記ドメイン境界領域パターンの第3の遮光領域は、前記マスクが移動する方向に平行である方向の遮光長さを有し、前記遮光長さは、前記第3の遮光領域が前記正常輝度領域パターンに近くなるほど長くなり、前記第3の遮光領域が前記第1の照射部に近くなるほど短くなることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載のマスク。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面を参照した下記の説明は、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるような本発明の実施形態の包括的な理解を助けるために提供するものであり、この理解を助けるための様々な特定の詳細を含むが、単に例示に過ぎず、本発明の趣旨を限定するものであると解釈されてはならない。
【0035】
添付の図面及び下記の説明において、同一の図面参照符号は、同一な素子、特性、及び/又は構造を意味することが分かる。本発明の実施形態のさらなる理解を助けるために、従来技術の液晶表示パネルの簡単な説明は、
図1乃至
図3を参照してなされる。
図1は、偏光板及び配向膜を有する基板と液晶層との組合せを示す液晶表示パネルの部分断面を示す斜視図である。
図1を参照すると、液晶表示パネル10は、第1の基板100と、第2の基板200と、これらの間に介在した液晶層300とを有する。
【0036】
第1の基板100は、順に積層された第1の偏光板120、第1の基本基板(すなわち、下部基板)110、及び第1の配向膜130を有する。第1の基本基板110は、透明な材質でなされ、バックライトアセンブリ(図示せず)から照射された光を通過させることができる。第1の偏光板120は、様々な偏光成分を有するバックライトアセンブリからの光を受信し、一部の偏光成分だけを液晶層300に通過させる。
図1に示すように、第1の偏光板120は、薄いフィルム形態で製造され、第1の基本基板110のバックライトアセンブリに対して外面に取り付けられる。別の方法では、第1の偏光板120は、液晶層300に対して第1の基本基板110の内側面に塗布されることもある。
【0037】
第1の配向膜130は、高分子材料でなされ、その表面は、液晶分子と物理的に結合される。この物理的な結合は、液晶分子のプレチルトを調整するのに使用される。具体的に、このプレチルトは、配向膜付近の液晶分子が配向膜の表面において特定の方向に傾くことを意味する。プレチルト角は、プレチルトが配向膜の表面又は表面に垂直である方向に対して傾いた角度であり得る。プレチルト及びプレチルト角は、液晶表示パネルの単位画素に加えられる画素電圧に関係なく一定であり、隣接する他の液晶分子が画素電圧に従って特定の方向に配列されるように誘導する。プレチルト及びプレチルト角が配向膜近傍の液晶分子の特徴として説明されたが、これらが配向膜の物質及び構造に基づいて決定されるので、単位画素の配向膜の特徴となるということは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【0038】
プレチルトは、液晶層の液晶分子の特性に従って決定される。例えば、液晶分子が垂直配向(vertical alignment:VA)モード液晶表示用である場合に、プレチルトは、配向膜が伸張された方向に垂直である特定の方向になされる。別の方法では、液晶分子がPLS(Plane to Line Switching)モード液晶表示用である場合に、プレチルトは、配向膜の表面に平行である特定の方向になされる。なお、PLSモード液晶表示装置では、1つの基板に共通電極及び画素電極が絶縁膜を介して配置されており、共通電極と画素電極と間の水平及び垂直の電界を形成して上/下板の間に満たされた液晶分子を各画素領域毎に動作させる。もう1つの方法では、液晶分子がツイステッドネマチック(twisted nematic:TN)モード液晶表示用である場合に、プレチルトは、配向膜の表面に対して特定の角度でなされる。
【0039】
プレチルトは、光配向工程技術により作られることができる。光配向工程は、配向膜材料を基本基板に塗布した後、特定偏光の紫外線(UV)のような光エネルギーを斜めの角度で配向膜材料に照射することにより光重合反応を誘導し、配向膜がプレチルト及びプレチルト角を有するようにする。
【0040】
第2の基板200は、順に積層された第2の偏光板220と、第2の基本基板210と、第2の配向膜230とを有する。第2の基板200の主要要素の基本的な特性は、第1の基板100に関連して説明したものと一般的に類似している。しかしながら、後述する点で差があり得るが、本発明の実施形態は、これに限定されない。
【0041】
第1の基板100は、複数のゲートライン、複数のデータライン、及び複数の画素電極のような導電性材料で作られた様々なパターンを有し得る。他方、第2の基板200は、共通電極及び複数のカラーフィルターを有し得る。特に、カラーフィルターの各々は、基本色の各々を表現し、第1の基板100上の画素電極と組み合わせられることにより単位画素を構成する。基本色は、赤色(Red)、緑色(Green)、及び青色(Blue)の三原色、又は青緑色(cyan)、黄色(yellow)、及び赤紫色(magenta)又は白色(white)であり得る。単位画素は、単位色相の様々な階調を表現できる基本単位であり、このような作用のために、カラーフィルターは、第2の基本基板210でない第1の基本基板110上に画素電極とともに位置してもよい。
【0042】
本実施形態において、共通電極(図示せず)は、垂直配向モードである液晶表示パネル10の第2の基板200に配置されることができる。共通電極は、第1の基板100上の画素電極(図示せず)と共に画素電位を形成することにより、単位画素が様々な階調を表現できるようにする。上記では、第2の基板200と第1の基板100との間の差について説明したが、液晶モードのPLSモードへの変更及び液晶表示パネル10の透過型でない反射型への変更により様々な他の適用例が存在し得ることは、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に分かるはずである。
【0043】
第2の基板200上の第2の偏光板220の偏光軸の方向は、第1の偏光板120の偏光軸及び液晶分子のモードに基づいて決定される。例えば、液晶分子が垂直配向モードを有する場合に、ノーマリーブラック(normally black)がコントラスト比(Contrast ratio)を増加させるのに使用されるので、第1の偏光板120及び第2の偏光板220の偏光軸は、相互に直交する。用語‘ノーマリーブラック’は、電位が液晶表示パネル10に加えられない際に、バックライトアセンブリからの光が液晶表示パネル10により完全に遮断される状況を意味する。
【0044】
偏光板120及び220の偏光軸のそれぞれは、基板100及び200の辺に実質的に平行であるように基本基板110及び210に取り付けられる。バックライトアセンブリから照射された光は、第1の偏光板120を直線偏光形態で通過する。直線偏光は、液晶分子を通過しつつ液晶分子の配列に従って円偏光又は楕円偏光に変換されるか又は直線偏光を維持する。例えば、液晶分子が基板100及び200に垂直であるように配列されると、第1の偏光板120を通過した直線偏光は、偏光成分をそのまま保持し、第1の偏光板120に垂直である偏光軸を有する第2の偏光板220を通過することができない。
【0045】
他方、液晶分子が基板100及び200に傾くように配列される場合に、偏光成分は、液晶分子の光学的異方性のために円偏光成分又は楕円偏光成分に変わる。したがって、第1の偏光板120の偏光軸を通過した直線偏光は、第2の偏光板220の偏光軸に沿って通過できる。しかしながら、通過する光の量は、液晶分子の配列に従って異なる。特に、液晶分子が第1の偏光板120の偏光軸と45°の角で交差するように配列される場合、光は、第1の偏光板120の偏光軸を通過しつつ直線偏光され、液晶分子を通過しつつ円偏光され、第2の偏光板220の偏光軸を通過しつつさらに直線偏光される。したがって、バックライトアセンブリからの光の最高の透過効率を保証する。しかしながら、液晶分子と偏光軸間の角度が45°から外れるほど光の透過効率は低くなる。
【0046】
第1の基板100及び第2の基板200は、第1のプレチルト角及び第2のプレチルト角をそれぞれ有する。プレチルト角に基づいて、第1の配向膜130及び第2の配向膜230に隣接した液晶分子の方向及び傾斜が決定される。液晶層300の中間に位置した液晶分子が、配向膜130及び230に隣接した液晶分子の傾斜及び方向の影響を受けるので、液晶分子の配列は、第1のプレチルト角と第2のプレチルト角との組合せにより決定されることができる。
【0047】
プレチルト角は、方向及び大きさを有するベクトルとして表示することができる。したがって、第1のプレチルト角と第2のプレチルト角との組合せで液晶分子の配列を制御することは、プレチルト角のベクトル和として表示される。他方、液晶分子が45°の角で偏光板の偏光軸と交差する際に液晶表示パネルの光透過率が最も高いので、プレチルト角のベクトル和は、液晶分子が偏光軸と実質的に45°の角で交差するように決定される。
【0048】
1つの基本色を表示する単位画素は、複数のドメインを有し、各ドメインは、異なるプレチルト角のベクトル和を有する。したがって、単位画素の液晶分子は、様々な方向に配列されることができ、これにより、液晶表示パネル10の様々な方向に光が均一に放射されるようにする。
【0049】
図2は、
図1の液晶表示パネル10に含まれる単位画素の中の1つの単位画素が複数のドメインを有する単位画素の第1の基板の平面図である。
図2を参照すると、単位画素400は、第1の基本基板上にゲートライン410、データライン420、薄膜トランジスタ430、及びストレージ電極440を有し、特定の画素電圧が画素電極500に印加されるように設定される。画素電極500の電圧は、第2の基板200上の共通電極(図示せず)とともに画素電位を形成し、単位画素400の液晶分子は、画素電位に従って配列が変化する。
【0050】
図2の単位画素400は、4つのドメインを有し、これらは、第1乃至第4のドメイン配向ベクトル612、622、632、642をそれぞれ有する。ドメイン配向ベクトル612、622、632、及び642の各々は、y軸上の負及び正の方向に向かう第1の配向ベクトル132及び第2の配向ベクトル134を有する第1の基板100の配向ベクトルと、x軸上の負及び正の方向に向かう第3の配向ベクトル232及び第4の配向ベクトル234を有する第2の基板200の配向ベクトルとの和である。このように、ドメイン配向ベクトル612、622、632、及び642が相互に異なるので、単位画素400内の液晶分子は、様々な方向に向かう。
【0051】
単位画素400は、特定の開口率を有する。開口率は、単位画素400の全体面積に対するバックライトアセンブリからの光が通過する単位画素400の面積の比率である。
図2において、開口率は、単位画素400の全体面積から、不透明材質で作られた配線410、420、430、及び440の面積を除外することにより計算されることができる。しかしながら、電位が単位画素400に印加される場合に、光が通過する面積が液晶分子の配列により減少されることにより、単位画素400の開口率も減少される。
【0052】
図3は、
図2の単位画素400において、輝度が液晶分子の配列により減少されるテクスチャを示す画素電極の平面図である。
図3を参照すると、画素電極500は、所定の正常輝度が現れる正常輝度領域510と輝度が所定の輝度より低い異常輝度領域520とを有する。正常輝度領域510内の液晶分子は、実質的に45°の角で第1の基板100及び第2の基板200上に形成された偏光板120及び220の偏光軸と交差するように配列される。他方、異常輝度領域520内の液晶分子は、45°の角で偏光板120及び220の偏光軸と交差しないように配列される。その結果、異常輝度領域520において、光の一部は、偏光板120及び220の偏光軸を通過しないために輝度が減少する。異常輝度領域520は、単位画素で視覚的に確認され、テクスチャと呼ばれる。
【0053】
異常輝度領域520は、発生原因に従って2種類、すなわち、ドメイン境界テクスチャ(Domain Boundary Texture;以下、“DBT”と称する。)及びフリンジフィールドテクスチャ(Fringe Field Texture;以下、“FFT”と称する。)に分類される。
【0054】
1番目に、異常輝度領域520は、隣接したドメイン間の境界領域で発生するDBT522である。DBT522は、ドメイン配向ベクトルが隣接するドメイン間で異なるので、液晶分子が45°の角で偏光軸と交差するように配列されないため輝度が減少する現象である。また、DBT522は、輝度が減少する領域の名称である。
【0055】
例えば、
図3において、第1のドメイン610の正常輝度領域614の配向ベクトル612は、実質的に45°の角で画素電極500の外側に表示された液晶表示パネルの第1の偏光軸122及び第2の偏光軸222と交差する。同様に、隣接する第2のドメイン620内の正常輝度領域624の配向ベクトル622も、実質的に45°の角で第1の偏光軸122及び第2の偏光軸222と交差する。しかしながら、2つのドメイン610及び620間の境界領域での液晶分子が、第1のドメイン610及び第2のドメイン620の配向ベクトル612及び622に対して中間の配向を有するので、これらは、偏光軸122及び222にほとんど平行となっている。したがって、輝度が減少し、その結果、テクスチャの発生につながる。
【0056】
上述したDBT522は、画素電極500の垂直方向で発生するドメイン縦境界テクスチャ523である。同様の理由で、DBT522は、水平方向で発生することもあり、これは、
図3に示すドメイン横境界テクスチャ524である。DBT523及び524は、相互に異なる配向ベクトルを有するドメイン間で発生する輝度減少現象である。その面積のサイズの減少は、単位画素400の開口率を増加させることができる。
【0057】
上述した説明において、ドメイン610、620、630、及び640は、相互に異なる配向ベクトル612、622、632、及び642を有することにより識別されるが、ドメイン610、620、630、及び640は、DBT522により区分されることもある。すなわち、隣接するすべてのドメインは、相互に異なる配向ベクトル612、622、632、及び642を有し、DBT522も隣接するドメイン間で発生するので、このドメインは、相互に異なる配向ベクトルを有する領域及びDBTにより識別される領域としてすべて説明することができる。したがって、
図3に示す特定のドメインは、ドメイン縦境界テクスチャ523と、ドメイン横境界テクスチャ524と、テクスチャ523と524との間の正常輝度領域510とを有する。
【0058】
2番目に、異常輝度領域520は、画素電極500のエッジで発生するFFT526(フリンジフィールドテクスチャFFTが発生するFFT領域526)である。第2の基板200上の共通電極は、第2の基板200の全面上に形成される。他方、第1の基板100上の画素電極500は、単位画素400ごとに形成されることにより隣接する画素電極と分離される。その結果、フリンジフィールドは、単位画素400の画素電極500のエッジで形成され、フリンジフィールドは、画素電位に関係なく画素電極500の内側に一様に傾く液晶分子を有する。したがって、フリンジフィールドが形成される部分での輝度は、画素電極500の内部での輝度より低く、その結果、FFT526の発生につながる。
【0059】
DBT522及びFFT526の面積の減少は、単位画素の開口率及び光透過率を改善させることができる。具体的に、テクスチャ522及び526の面積は、配向膜のプレチルト角を調節するか、又は配線及び/又は画素電極の形状を変更することにより減少することができる。
【0060】
以下、本発明の実施形態の詳細な説明は、
図4乃至
図19Cを参照してなされる。
図4は、相互に異なるプレチルト角を有する2つの単位画素の輝度を
図3のラインIV−IV’に沿って測定した輝度グラフである。
図4を参照すると、より大きいプレチルト角を有する単位画素のDBTの面積がさらに小さいことがわかる。
【0061】
具体的に、
図4の横軸は、原点からラインIV−IV’に沿って遠ざかっている距離を示し、その単位は、ミリメートル(mm)であり、その原点は、
図3の画素電極500の左側FFT IVである。縦軸は、輝度を示し、その単位は、cd/m
2である。正常輝度領域510の輝度が高いほどDBT522を容易に識別することができるので、
図4のグラフのデータは、最大輝度が現れる階調値を単位画素に印加することにより測定した輝度を示す。レイジアントイメージング社(Radiant Imaging,Inc.)で製造したプロマトリックスイメージングフォトメートル及び比色計(ProMetric Imaging Photometer and Colorimeter)(モデル番号:PM1433F−1)を用いて0.48μm間隔で測定したのである。
図4の単位画素がノーマリーブラックモード及びVAモードを有し、本発明の詳細な説明にわたって実験条件として使用されることに留意すべきである。
【0062】
図4のグラフは、‘a’及び‘b’の2つの曲線を有する。曲線‘a’は、
図3の単位画素の第1の配向膜130及び第2の配向膜230のプレチルト角が1°である単位画素の輝度データであり、曲線‘b’は、2つの配向膜130及び230のプレチルト角が3°である単位画素の輝度データである。
【0063】
曲線‘a’は、輝度の変化に従って区間‘i’乃至‘iii’に区分される。区間‘i’は、原点からDBTが現れ始める点までの区間であり、単位画素で光が通過する領域であり、正常輝度領域に対応する。区間‘ii’は、単位画素で光が通過しない区間であり、DBTに対応する。区間‘iii’は、区間‘i’と同様に、光が正常に通過する領域であり、正常輝度領域に対応する。
【0064】
また、曲線‘b’は、曲線‘a’のようなパターンを示すが、区間の幅は、曲線‘a’とは異なる。特に、 曲線‘a’の区間‘ii’DBT(a)は、曲線‘b’の区間‘ii’DBT(b)より広い。具体的に、区間‘ii’の幅は、相互に隣接するドメインの最大輝度と最小輝度間の差を半分に割った値だけを最大輝度から引いた値を有する輝度でのくさび形の輝度曲線の幅である。例えば、
図4の曲線‘a’の最大輝度は、横軸0.091mmで852.6cd/cm
2であり、その最小輝度は、横軸0.067mmで456.9cd/cm
2である。最大輝度から最小輝度を引いた値の半分は、197.8cd/cm
2であるので、区間‘ii’の幅は、197.8cd/cm
2を456.9cd/cm
2に加算した値である654.7cd/cm
2の輝度での横軸の距離である。曲線‘a’の区間‘ii’の幅は、DBT(a)で示され、約0.011mmである。他方、曲線‘b’の区間‘ii’の幅は、DBT(b)で示され、712.0cd/m
2で約0.009mmであり、曲線‘a’の幅より狭い。
【0065】
上述したように、曲線‘a’は、単位画素のプレチルト角が1°であり、曲線‘b’は、単位画素のプレチルト角が3°である。曲線‘b’が相対的に狭いDBTを有するので、大きいプレチルト角を有する単位画素の配向膜は、狭いDBT面積を有し、開口率を改善させることができることがわかる。しかしながら、大きいプレチルト角は、単位画素及び液晶表示パネルの表示品質を低下させ得る。
【0066】
図5A乃至
図5Dは、様々なパターン映像が光配向工程技術を適用した液晶表示パネルに提供される際に液晶表示パネルにより表示される映像の例を示す。プレチルト角が大きい液晶表示パネルは、
図5A乃至
図5Dからブラック映像が正確に表示されない問題点がわかる。液晶表示パネルがすべての階調を正常に表示するか否かを確認するために、後述する特定の輝度値が特定の形態で与えられるパターン信号が液晶表示パネルに提供される。特定の時間の間にパターン信号を提供した後に液晶表示パネルに提供される階調値を変化させることにより、液晶表示パネルが正常に動作するか否かを判定することができる。
【0067】
図5Aは、テストパターン映像が液晶表示パネルに印加されず、高階調が印加された後に、液晶表示パネルに最大輝度が現れた無パターン映像910を示す。
図5Bは、液晶表示パネルに印加されるテストパターン映像を示す。テストパターン映像は、最大階調及び最小階調が液晶表示パネル上の空間的な区別により同時に印加されるものであり、ブラック画像920とホワイト画像930とが交互に現れる。テストパターンは、所定の時間、例えば、30時間の間に保持された後に他のテストパターンに変更される。
図5Cは、
図5Bの階調値から変更された後に最小階調値を液晶表示パネルの全体に印加した後の正常のブラック映像940である。
【0068】
しかしながら、液晶表示パネル上の液晶分子が適切に配列されないために、液晶表示パネルに正常の輝度が現れない場合がある。
図5Dは、
図5Bの階調値から変更される最小階調値が液晶表示パネルの全体に印加された後の異常の映像である。
図5Dにおいて、ブラック残像現象は、最小階調値が印加されても、
図5Bで最大階調値がすでに印加された部分に対応する部分にブラック残像映像950が発生する。
【0069】
図5A乃至
図5Dの映像を示すために使用された液晶表示パネルは、ノーマリーブラックであるVAモードの液晶分子を有している。ブラック残像映像950は、液晶分子が液晶表示パネルの基板上に垂直に配列される代わりに傾いて配置されるために発生した現象によるものと判定された。また、液晶分子が傾くことは、配向膜付近の液晶分子の配向が液晶層の中間の液晶分子の配列に影響を与えるために、プレチルト角が大きい液晶表示パネルで上記ブラック残像現象が現れると本発明者により判定された。
【0070】
図4及び
図5A乃至
図5Dの説明から分かるように単位画素400でDBT522を減少させるために、配向膜は、大きいプレチルト角を有することができる。しかしながら、正常輝度領域510内の液晶分子の配向を適切に調節することによりブラック残像現象を減少させるためには、配向膜が小さいプレチルト角を有することが有利であり得る。したがって、単位画素400のドメイン間の境界領域が正常輝度領域より大きいプレチルト角を有するように液晶表示パネルを製作することがよい。具体的に、ドメイン境界領域のプレチルト角は、約1.8°より大きく、正常輝度領域のプレチルト角は、ドメイン境界領域のプレチルト角より約0.2°以上小さいことが好ましい。なお、境界領域は、前述の通り2つのドメインとドメインとの間の領域である。
【0071】
以下、
図6A乃至
図6Bを参照して、ドメイン境界領域及び正常輝度領域でのプレチルト角について説明する。
図6Aは、本発明の実施形態に従って単位画素のドメイン境界領域及び正常輝度領域内の液晶分子の配向を示す、第1のドメイン、第2のドメイン、及び第1のドメインと第2のドメインとの間のドメイン境界領域の部分垂直断面図である。プレチルト角を除外しては
図6Aのドメインが
図3のそれと類似していることに留意すべきである。例えば、
図3において、ドメイン境界領域のプレチルト角が正常輝度領域のプレチルト角と同一であるが、本発明の実施形態による
図6Aにおいて、ドメイン境界領域のプレチルト角は、正常輝度領域のプレチルト角とは異なる。
【0072】
中間階調値の画素電位は、
図6Aの単位画素に印加される。したがって、基板100及び200付近の液晶分子ULC及びLLCが基板100及び200に実質的に垂直であるように配向されるが、液晶層の中間に位置した液晶分子MLCは、基板100及び200付近の液晶分子ULC及びLLCより基板100及び200に垂直であるラインに対してさらに傾斜するように配列される。
【0073】
図6Aを参照すると、第2の配向膜230は、第1のドメイン610及び第2のドメイン620のすべてに第3の配向ベクトル232を有する。他方、第1の配向膜130は、第1の配向ベクトル132と第2の配向ベクトル134とを有する。第3の配向ベクトル232は、
図6Aにおいて右方から左方に向かい、第2の配向膜230近傍の液晶分子ULCは、液晶分子ULCの下部が第2の配向膜230に近接する上部に対して、右方に傾くようになる。
【0074】
第1の配向ベクトル132は、紙面から出てくる方向を有し、これにより、第1の配向膜130近傍の液晶分子LLCは、液晶分子LLCの上部が第1の配向膜130に近接する下部に対して、紙面に進入する方向に傾斜する。言い換えれば、第1の配向膜130に近接する液晶分子LLCの下部が上部に対して、第1の配向ベクトル132の方向(紙面から出てくる方向)に傾斜するようになる。他方、第2の配向ベクトル134は、第1の配向ベクトル132と反対方向を有し、第1の配向膜130近傍の液晶分子LLCは、液晶分子LLCの上部が第1の配向膜130に近接する下部に対して、紙面から出てくる方向に傾斜するようにする。
図6Aにおいて、第1の配向ベクトル132と第2の配向ベクトル134との区分のために、第1の配向ベクトル132を有する液晶分子の長さを第2の配向ベクトル134を有する液晶分子の長さより短く示す。
【0075】
第1のドメイン610のドメイン配向ベクトル612は、第3の配向ベクトル232と第2の配向ベクトル134との和であり、第1のドメイン610の液晶分子は、液晶分子の上部が下部に対して左側に傾斜し、かつ、紙面から出てくるように傾斜する。第2のドメイン620のドメイン配向ベクトル622は、第3の配向ベクトル232と第1の配向ベクトル132との和であり、第2のドメイン620内の液晶分子は、液晶分子の上部が下部に対して左側に傾斜し、かつ、紙面に進入するように傾斜する。
【0076】
本発明の実施形態による単位画素の2つの配向膜130及び230は、正常輝度領域614及び624とドメイン境界領域616及び626とで異なるプレチルト角を有する。ここで、プレチルト角は、基板100及び200に垂直である方向を0°として定義し、液晶分子が垂直方向に対して傾斜した角をプレチルト角として示す。
【0077】
図6Aを参照すると、第1の配向膜130の第1のドメイン境界領域616のプレチルト角は、第1の正常輝度領域614のプレチルト角より大きい。第2の配向膜230のプレチルト角は、ドメイン境界領域616及び正常輝度領域614の各々で同一である。したがって、ドメイン境界領域616の配向ベクトルは、正常輝度領域614の配向ベクトルより大きい。第1のドメイン610と同様に、第2のドメイン620内のドメイン境界領域626のプレチルト角は、正常輝度領域624のプレチルト角より大きく、第2の配向膜230のプレチルト角は、2つの領域624及び626で一定である。したがって、ドメイン境界領域626の配向ベクトルは、正常輝度領域624の配向ベクトルより大きい。
【0078】
上述したように、ドメイン境界領域616及び626の配向ベクトルが正常輝度領域614及び624の配向ベクトルより大きい場合に、さらに多くの液晶分子は、ドメイン境界領域616及び626で偏光板の偏光軸と交差することができる。その結果、液晶層を通過した光のさらに多い量が第2の偏光板220を通過することができるので、DBTの幅及び面積を減少させることができ、単位画素の開口率を増加させることができる。第1のドメイン610と第2のドメイン620間の縦境界領域のプレチルト角及び配向ベクトルについて説明したが、第1のドメイン610と第4のドメイン640間の横境界領域でのプレチルト角及び配向ベクトルのサイズを隣接した正常輝度領域のそれより大きくすることにより、単位画素の開口率及び光透過率を増加させることができることを当該技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解するのであろう。
【0079】
図6Bは、
図6Aの液晶層の中間に位置した液晶分子の配列を示すもので、
図6AのラインVI(b)−VI(b’)に沿って第1の基板100及び第2の基板200に平行であるように切断した平面図である。言い換えれば、
図6Bは、ドメイン境界領域616及び626と正常輝度領域614及び624とに位置した液晶分子の配列を示す平面図である。
図6Bにおいて、棒は、個々の液晶分子を示し、第1の基板100及び第2の基板200にさらに水平であるほど長く表示される。
図6Bを参照すると、ドメイン境界領域616及び626のプレチルト角が正常輝度領域614及び624のプレチルト角より大きいので、ドメイン境界領域616及び626内の液晶分子の配列が、正常輝度領域614及び624内の液晶分子の配列により類似するように配置されており、これにより、DBTの面積及び幅を減少させる。
【0080】
正常輝度領域614及び624内の第1の配向膜130及び第2の配向膜230のプレチルト角が相互に直交するが、サイズが同一であるので、配向ベクトル612及び622は、実質的に45°の角で偏光軸122及び222と交差し、単位画素に提供された画素電位に対応する量の光が単位画素を通過するようにする。しかしながら、第1のドメイン610及び第2のドメイン620が相互に接触する境界領域では、第3の配向ベクトル232、第1の配向ベクトル132、及び第2の配向ベクトル134が共存し、液晶分子が第1の偏光軸122と交差するよりは相互に実質的に平行に配列されることにより、バックライトアセンブリからの光が遮断され、DBTが現れる。しかしながら、境界領域616及び626の液晶分子が正常輝度領域614及び624の配向ベクトルと同様であるように配列される場合に、DBTの面積を減少させることができる。
【0081】
したがって、
図6Aに関連して説明したように、ドメイン境界領域616及び626のプレチルト角は、正常輝度領域614及び624のプレチルト角より大きくなるように設定される。その後に、
図6Bに示すように、ドメイン境界領域616及び626のエッジに配置された液晶分子IALCが正常輝度領域614及び624の液晶分子と同様であるように配置されることにより、ドメイン境界領域616及び626の輝度が改善する。ここで、ドメイン境界領域616及び626のエッジとは、ドメイン境界領域616及び626のうち正常輝度領域614及び624に隣接する輝度改善領域619及び629を言う。
【0082】
言い換えれば、ドメイン境界領域616及び626は、テクスチャ領域(DBT)617及び627と輝度改善領域619及び629とを有する。すなわち、第1のドメイン610のドメイン境界領域616のプレチルト角は、正常輝度領域614のそれより大きい。したがって、ドメイン境界領域616のエッジでの液晶分子が正常輝度領域614の配向ベクトルと同様であるように配列されることにより、バックライトアセンブリからの光が第2の偏光板220を通過することができるので、輝度が改善する輝度改善領域619を形成する。しかしながら、ドメイン境界領域616のエッジを除いた部分の液晶分子は、偏光軸122及び222に実質的に平行であるように配列されることにより、バックライトアセンブリからの光が第2の偏光板220を通過することができないテクスチャ領域(DBT)617及び627を形成する。
【0083】
したがって、大きいプレチルト角を有するドメイン境界領域616及び626の幅は、測定されるDBT617及び627の幅より広い。
図6Bを参照すると、第1のドメイン610及び第2のドメイン620内のドメイン境界領域616及び626の幅の和は、第1のドメイン610と第2のドメイン620間で測定されるDBTの幅より大きい。ここで、測定されるドメイン610及び620間のDBTのの幅は、各ドメイン610及び620内のDBT617及び627の幅の和であり、
図4に関連して上述したように、この測定された幅は、最大輝度の階調電圧が単位画素に印加される際に単位画素で測定される最大輝度と最小輝度間の中間輝度に対応する幅である。
【0084】
図6A及び
図6Bのドメイン境界領域616及び626と正常輝度領域614及び624内の液晶分子の配向及び光透過の原理を参照して
図3の形態と類似した単位画素の構造を説明する。単位画素は、DBTによるドメインに区分され、各ドメインは、複数の配向ベクトルを有する。例えば、第1のドメイン610は、正常輝度領域614の配向ベクトル612及びドメイン縦境界領域616(
図3のドメイン縦境界テクスチャ523に対応する)の配向ベクトル612’を有する。正常輝度領域614の配向ベクトル612は、特定のドメインの大部分の領域に対応し、第1のドメイン610の主要配向ベクトルである。ドメイン縦境界領域616の配向ベクトル612’は、特定のドメインの微小領域に対応し、第1のドメイン610の追加の配向ベクトルである。また、第1のドメイン610は、ドメイン横境界領域616’(
図3のドメイン横境界テクスチャ524に対応する)の配向ベクトルを他の追加の配向ベクトルとしてさらに有することができる。
【0085】
縦及び横境界領域616及び616’の追加の配向ベクトルは、正常輝度領域614の主要配向ベクトル612と異なる。具体的に、境界領域616及び616’の追加の配向ベクトルに基づく第1の基板100のプレチルト角又は第2の基板200のプレチルト角は、正常輝度領域614内の基板100及び200のプレチルト角より大きい。したがって、DBTの幅が狭くなり、単位画素の光透過率及び開口率が増加する。
【0086】
大きいプレチルト角は、DBTの面積を減少させることができるが、正常輝度領域のプレチルト角が大きくなると、低階調でブラック残像現象のような表示品質の低下を引き起こし得る。また、正常輝度領域のプレチルト角が大きくなると、フリンジフィールド領域の幅が増加することができる。したがって、正常輝度領域のプレチルト角及びドメイン境界領域のプレチルト角を適切に調節することができる。
【0087】
図7Aは、本発明の実施形態によるFFTが画素電極のエッジで発生することを示す複数のドメインを有する単位画素の平面図である。
図7Bは、
図7AのラインVII(b)−VII(b)’に沿って切断した単位画素のフリンジフィールド及びFFTの液晶分子の配置を示す断面図である。
【0088】
図7Aを参照すると、単位画素400の第2のドメイン620には、フリンジフィールドにより正常輝度領域624内の液晶分子NLLCと反対方向に配置されたフリンジフィールド液晶分子FFLCが存在する。第2のドメイン620には、正常輝度領域624の液晶分子NLLCとフリンジフィールドの液晶分子FFLC間に配置され、偏光軸122及び222に平行であるか又は垂直であるFFT液晶分子FFTXがさらに存在する。FFT液晶分子FFTXは、単位画素で光を遮断し、輝度を低下させる。
【0089】
図7Bは、
図7AのFFT526の発生を説明する単位画素400の断面図である。
図7Bを参照すると、第2の基板200は、第2の基板200の全体にわたって配置され、液晶表示パネルの外部から一定の電圧の提供を受ける共通電極240及び第2の配向膜230を有する。第1の基板100は、単位画素ごとに形成され、エッジ領域530を有する画素電極500及び第1の配向膜130を有する。エッジ領域530は、画素電極500の電圧が及ぼす画素電極500の最後の部分であり、共通電極240とともにフリンジフィールド450を形成する。フリンジフィールド450の影響下で出てくる液晶分子FFLCは、フリンジフィールド450と実質的に垂直に交差するように傾斜する。すなわち、フリンジフィールド液晶分子FFLCは、画素電極500の正常輝度領域510の液晶分子NLLCが傾斜した方向に反対の方向に傾斜する。
【0090】
したがって、フリンジフィールド450の液晶分子FFLCと正常輝度領域510の液晶分子NLLCとが接触する部分の液晶分子は、
図7Bに示すように、基板100及び200に垂直に配置され、輝度が減少するFFT526を形成する。フリンジフィールド液晶分子FFLCが基板100及び200について斜めに傾斜するので、バックライトアセンブリからの光が通過することにより、
図7AのFFT526の外角で明るい部分が現れることができるようにする。
【0091】
FFT526の面積を減少させるためには、画素電極500のエッジ領域530のプレチルト角を大きくすることができる。逆に、エッジ領域530の付近でのプレチルト角が小さい場合に、FFT526の面積が増加する。それ故に、例えば、エッジ領域530の配向膜130又は230のプレチルト角が大きい場合に、FFT526に位置した液晶分子がさらに傾斜し、画素電極500のエッジ領域530を通過する光の量が増加することができる。したがって、FFT526の面積を減少させることができる。他方、画素電極500のエッジ領域530内の配向膜のプレチルト角が小さい場合に、FFT526に位置した液晶分子は、基板100及び200に垂直であり、画素電極500のエッジ領域530を通過する光の量が減少する。したがって、FFT526の面積は増加する。
【0092】
上述した説明からわかるように、ドメイン境界領域及びフリンジフィールド領域のプレチルト角が大きいほど単位画素の特性を向上させることができ、正常輝度領域のプレチルト角が小さいほど単位画素の特性を向上させることができる。したがって、単位画素でプレチルト角を領域別に異なるように適用できる工程及びこの工程に従う光学マスクが要求される。
【0093】
図8は、光配向物質で塗布された基板に偏光紫外線を照射することにより液晶表示パネルの単位画素にプレチルト角を形成する工程のための光学マスク及び基板を示す図である。
図8を参照すると、複数の光学マスク800は、プレチルト角が形成される光配向基板20の一辺の外側に配置される。光配向基板20には、偏光紫外線に反応することによりプレチルトをなす光配向物質層(図示せず)がスプレー、インクジェット、及びプリンティングのような工程で準備される。光配向基板20は、上述した第1の基板100及び第2の基板200の中の1つであり得る。
【0094】
光学マスク800は、複数の同一の形態で複数の単位画素毎にプレチルトを形成するための複数の単位マスキングパターン(図示せず)を有する。光学マスク800は、複数のラインを形成することにより光配向基板20の外側に配置され、光配向基板20上を移動しつつ偏光紫外線が光配向基板20に照射されるようにする。例えば、
図8の光学マスク800は、一例として2本の交互に配置されたラインで整列される。
【0095】
光学マスク800の各々は、偏光紫外線がこれら光学マスク800のエッジを通過することができるように、これらのエッジに形成されたパターンを有する微細重畳領域MOLを有する。特定の光学マスクが光配向基板20上を移動する際に、その微細重畳領域MOLは、他のラインに配置された隣接する他の光学マスクの微細重畳領域と、光学マスクが移動する方向に沿って重なる。したがって、偏光紫外線は、光配向基板20の全面に照射されることができる。
【0096】
しかしながら、微細重畳領域MOLが広い場合に、液晶表示パネル上でステッチ現象を観察すされる。ステッチ現象は、液晶表示パネル上に局部的に染みが見える現象を意味し、この染みは、光配向工程技術で過度な光エネルギーが特定の領域に集中することにより生じる。したがって、微細重畳領域MOLの幅は、単位画素のピッチ、すなわち、単位画素の一辺の長さ又は幅より非常に狭く設定される。例えば、微細重畳領域MOLの幅は、10μmより狭く設定される。普通の単位画素の幅が150μm乃至450μmであるので、10μmの重畳は、単位画素のステッチに非常に小さい影響しか及ぼさない。別の方法では、微細重畳領域MOLが単位画素の配線の位置に対応することができる。また、
図8の左側に示した拡大部分では、光学マスク800のエッジである微細重畳領域MOLは、‘コサイン’曲線の形態を呈しつつ先端が狭まるように形成されており、実際の重複領域の幅を減少させることができるので、ステッチの影響をさらに減少させる。
【0097】
光配向基板20にプレチルトを形成する工程は、3つのステップに区分されることができる。第1のステップは、光配向基板20の一辺の外側に配置された光学マスク802を前進方向FWに沿って光配向基板20の反対側辺の外側に移動させるのである。このステップにおいて、偏光紫外線が光学マスク802に対して特定の角度で各単位画素の最初の半分の面積に斜めに照射される。
【0098】
第2のステップは、光配向基板20を完全に通過することで配向基板20の反対側辺の外側に移動した光学マスク802を、単位画素のピッチpの半分だけ下方に移動させて光学マスク804とした後に、後進方向RWに沿って移動させる。このような過程で、偏光紫外線は、第1のステップの反対方向で光配向基板20に照射され、各単位画素の2番目の半分の面積もプレチルト形成のために準備される。第3のステップは、偏光紫外線が照射された光配向物質層に熱を加えるのである。このような過程で、光配向物質を基板20に安定してコーティングするために光配向物質と共に混合されている溶媒は気化し、光配向物質はプレチルトを有する。
【0099】
別の方法では、光配向基板20にプレチルトを形成する工程は、光学マスク800の位置を固定させ、光配向基板20を光学マスク800に対して相対的に移動させる工程を含むことができる。また、もう1つの方法では、光配向基板20にプレチルトを形成する工程は、光配向基板20の向かい合う2つの対向する外側に光学マスク800の2つのセットをそれぞれ配置し、前進方向FW及び後進方向RWに光学マスク800の各セットを移動させる工程を含むこともできる。
【0100】
本発明の実施形態は、1つのドメインでのドメイン境界領域及び正常輝度領域のプレチルト角を異なって形成するように提供される。上述したプレチルト形成工程を通して、ドメイン境界領域のプレチルト及び正常輝度領域のプレチルトが一方向の走査により各単位画素の半分の面積において形成され、さらに、ドメイン境界領域の異なるプレチルト及び正常輝度領域の異なるプレチルトが、反対方向への走査によって、残りの半分の面積において形成される。本発明の実施形態によるプレチルト形成工程は、ドメイン境界領域及び正常輝度領域のプレチルトを順次に形成せず同時に形成することにより、工程を簡素化し、工程時間を短縮することが可能である。
【0101】
液晶表示パネルが2枚の基板を組み立てることにより製造されるので、4つのドメインを有する液晶表示パネルは、上記の工程でプレチルトが形成された2枚の光配向基板をそれらの偏光紫外線の照射方向が相互に直交するように組み立てることにより製造されることができる。
【0102】
別の方法で、プレチルトは、液晶表示パネルの1つの基板だけに形成されることができる。具体的に、偏光紫外線は、一方向への走査によって1つの光配向基板の反対側に照射されることにより、光配向基板が2つのドメイン境界領域のプレチルトと2つの正常輝度領域のプレチルトとを有するようにする。同一の工程が同一の光配向基板に対して、前記の走査方向とは90°異なる方向に対して行われると、1つの光配向基板は、4つのドメインを有する。この後に、プレチルトがない他の基板を液晶層を介在しつつ光配向基板と組み立てることにより、個々の単位画素が4つの異なる配向ベクトルを有する液晶表示パネルが製造される。
【0103】
上述した工程のための光学マスク800の各々は、反復して形成された複数の単位マスキングパターンを有する。
図9Aは、本発明の実施形態による光学マスクに配置され、ドメイン境界領域が正常輝度領域とは異なるプレチルト角を有するようにパターンが形成されている単位マスキングパターンの平面図である。
図9Aを参照すると、単位マスキングパターン810は、非照射部パターン820、正常輝度領域パターン830、及びドメイン境界領域パターン840を有する。単位マスキングパターン810を有する光学マスク800は、透明な石英又はガラス基板で製造される。各単位マスキングパターン810は、光学マスク800の透明基板上に形成された遮光膜を有することができる。遮光膜は、クロム金属のように光を効果的に遮断できる材質で製造されることができ、様々な形態で製造されることにより単位マスキングパターン810を通過する光エネルギーの量を調節することができる。
【0104】
具体的に、非照射部パターン820は、偏光紫外線が照射されてはいけない単位画素の領域に対応するパターンであり、第1の遮光領域を有し、自身に照射される光をすべて遮断する。したがって、非照射部パターン820により単位画素の一側の半分の面積にはプレチルトが形成されない。正常輝度領域パターン830は、単位画素で正常輝度領域510に対応するパターンであり、自身に照射される光の一部を遮断するために第2の遮光領域832と第1の透光領域834とに分けられる。正常輝度領域パターン830の全体面積に対する遮光領域832の面積の比率は、正常輝度領域510の遮光比である。単位マスキングパターン810が光配向工程の間に一方向(FW)に移動するので、遮光領域832が正常輝度領域パターン830の特定の部位だけに存在しても、第2の遮光領域832及び第1の透光領域834を通過及び非通過の光量の合算によって、単位画素には連続的であり均一の光エネルギーが照射される。
【0105】
ドメイン境界領域パターン840は、非照射部パターン820と正常輝度領域パターン830の間に配置される。ドメイン境界領域が大きいプレチルト角を有するために正常輝度領域より多い光エネルギーを受けなければならない。そのため、ドメイン境界領域パターン840の遮光比は、正常輝度領域パターン830の遮光比より低い。例えば、
図9Aのドメイン境界領域パターン840が遮光領域を有していないので、その遮光比は、0%であるが、正常輝度領域パターン830の遮光比は0%より大きい。本発明の実施形態によると、正常輝度領域パターン830の遮光比は、非照射部パターン820及びドメイン境界領域パターン840の遮光比の間にあることに留意すべきである。
【0106】
単位マスキングパターン810の領域820、830、及び840が相互に異なる遮光比を有するので、単位画素に照射される光のエネルギーは、単位画素と重なる領域820、830、及び840に従って異なる。
図9Bは、単位マスキングパターン810の領域820、830、及び840について
図9Aの単位マスキングパターン810を通過した後に、光配向基板に照射される光のエネルギーを示すグラフである。
図9Bを参照すると、光が非照射部パターン820を通過することができないので、光配向基板に照射された光のエネルギーE(BLK)は、0mJ/cm
2である。また、ドメイン境界領域パターン840を通過した光のエネルギーE(DBT)は、最も大きく、正常輝度領域パターン830を通過した光のエネルギーE(NL)は、他の2つの値間の値を有する。このように、異なる光エネルギーは、単位画素の異なる領域に異なるプレチルト角が作られるようにする。
【0107】
図9Aのドメイン境界領域パターン840が遮光領域を有しないが、正常輝度領域パターン830は、広い遮光領域832を有する。したがって、単位画素の正常輝度領域及びドメイン境界領域が受信する光のエネルギーは、それらの隣接領域で急激な変化を経験し、その隣接領域に位置した液晶分子を容易に制御することができないので、単位画素の表示品質の低下を引き起こすことがある。したがって、ドメイン境界領域パターン840は、正常輝度領域パターン830に隣接したところに、遮光比が正常輝度領域パターン830及びドメイン境界領域パターン840の遮光比の間の値である追加パターンを有することができる。
【0108】
図10Aは、本発明の実施形態に従って複数の照射パターンに分けられたドメイン境界領域パターンを有する単位マスキングパターンの平面図である。ドメイン境界領域パターン840が複数の照射パターンを有するという点で、
図10Aの単位マスキングパターン810が
図9Aの単位マスキングパターン810と異なることに留意すべきである。具体的に、ドメイン境界領域パターン(すなわち、DBT領域)840は、遮光領域がない第1の照射パターン842及び第3の遮光領域844を有する第2の照射パターン848を含む。したがって、単位マスキングパターン810が偏光紫外線の照射を受ける間に特定の方向(例えばFW)に移動する際に、第2の照射パターン848を通過した光エネルギーが第1の照射パターン842を通過した光エネルギーよりさらに少なくなる。
【0109】
図10Aの第2の照射パターン848は、三角形状の第3の遮光領域844を有する。第3の遮光領域844は、下辺が正常輝度領域に接する二等辺三角形であり、その遮光長さLBLは徐々に変わる。ここで、遮光長さLBLは、単位マスキングパターン810又は単位マスキングパターン810が移動する際に光が照射される前進方向FWに平行である遮光領域の長さである。具体的に、遮光長さLBLは、正常輝度領域パターン830に近くなるほど長くなり、第1の照射パターン842に近くなるほど短くなる。したがって、第2の照射パターン848を通過する光のエネルギーは、遮光長さLBLに反比例して徐々に減少する。
【0110】
図10Bは、単位マスキングパターン810の領域820、830、及び840について
図10Aの単位マスキングパターン810を通過した偏光紫外線のエネルギーを示すグラフである。
図10Bを参照すると、ドメイン境界領域パターン840を通過した光のエネルギーは、2つのタイプに区分される。具体的に、第1の照射パターン842を通過した光の第1のタイプエネルギーE(DBT1)は、単位マスキングパターン810を通過した光のエネルギーの中で最も大きく一定である。他方、第2の照射パターン848を通過した光の第2のタイプエネルギーE(DBT2)は、第1の照射パターン842を通過した光のエネルギーE(DBT1)から正常輝度領域パターン830を通過した光のエネルギーE(NL)まで徐々に減少する。光が非照射部パターン820を通過することができないので、そのエネルギーは、0mJ/cm
2であり、正常輝度領域パターン830を通過した光のエネルギーE(NL)は、第2の照射パターン848を通過した光のエネルギーE(DBT2)より低い。
【0111】
ドメイン境界領域パターン840の第2の照射パターン848は、ドメイン境界領域の一部に特定のプレチルト角を形成することができる様々な形状で作られることができる。例えば、
図10Aにおいて、第2の照射パターン848の第3の遮光領域844は、二等辺三角形であり、基板に照射される偏光紫外線の量をその位置に従って徐々に変化させることができる。第3の遮光領域844は、様々な他の形状で形成されることができる。
【0112】
図11A乃至
図11Eは、本発明の実施形態に従ってそれぞれ異なる形態を有する非照射部パターン、正常輝度領域パターン、及びドメイン境界領域パターンを示す単位マスキングパターンの平面図である。本発明の実施形態に従って、単位マスキングパターンを通過した後の光配向基板に照射される光のエネルギーは、非照射部パターンを通過した光、正常輝度領域パターンを通過した光、及びドメイン境界領域パターンを通過した光の強度の順に増加する。
【0113】
図11Aは、ドメイン境界領域パターン840が第3の遮光領域844のサイズに従って相互に異なる3つの領域に区分される単位マスキングパターン810の平面図である。したがって、ドメイン境界領域のプレチルト角が遮光領域844の位置に従って変化することにより、液晶分子の配列の微調整を可能にする。
図11Aにおいて、DBT領域が3つのサブ領域に区分されるが、サブ領域の数がこれに限定されないことは、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解するのであろう。
【0114】
図11Bは、
図9A、
図10A、及び
図11Aとは異なり、正常輝度領域パターン830の遮光領域832が正常輝度領域パターン830の中央でない一側に配置された単位マスキングパターン810の平面図である。正常輝度領域パターン830の遮光領域832と同様に、ドメイン境界領域パターン840の第3の遮光領域844もドメイン境界領域パターン840の一側にシフトする。光配向工程の間に、単位マスキングパターン810が特定の方向に移動しつつ偏光紫外線の照射を受けるので、その遮光領域832及び844が一側にシフトする構成が許容される。
図11Bのドメイン境界領域パターン840の遮光パターン844が長方形を有するが、別の方式では、遮光パターン844は、ドメイン境界領域のプレチルト角が徐々に変化することができるように
図10Aにおけるように遮光長さLBLが徐々に変更される三角形で作られてもよい。
【0115】
図11Cは、ドメイン境界領域パターン840の第3の遮光領域844が
図10Aのそれに比べて拡張された単位マスキングパターン810の平面図である。
図11Cにおいて、ドメイン境界領域パターン840の第3の遮光領域844は、
図10Aと同様に、その遮光長さLBLが正常輝度領域パターン830から非照射部パターン820に行くほど徐々に減少する。したがって、ドメイン境界領域の場合、その一側に接する正常輝度領域に隣接する領域からその他側に接触する隣接ドメインに近い領域に行くほどプレチルト角が大きくなる。
【0116】
図11Dは、光透過率が相互に異なる遮光領域を有する単位マスキングパターン810の平面図である。光透過率の観点において、非照射部パターン820の遮光領域が最も低く、ドメイン境界領域パターン840の第3の遮光領域844が最も高い。したがって、正常輝度領域830の光透過率は、他の2つの領域の光透過率間の値を有する。
【0117】
図11Eは、正常輝度領域パターン830及びドメイン境界領域パターン840の遮光領域及び透光領域が反復される単位マスキングパターン810の平面図である。反復されるパターンにおいて、透光領域が数μmで形成されるので、光を回折させるスリットの機能をする。したがって、単位画素のプレチルト角を調節することができる。
【0118】
単位マスキングパターンは、
図9A、
図10A、及び
図11A乃至
図11Eに示すように様々な形態で作られることができる。単位マスキングパターンの各細部領域を通過する光のエネルギーは、ブラック残像を減少させることにより液晶表示の表示品質を向上させ、テクスチャが形成される異常輝度領域の面積を減少させることにより各単位画素の開口率を向上させるように調整される。
【0119】
図12は、単位画素のドメイン境界領域に照射された光エネルギーに対する正常輝度領域に照射された光エネルギーの比率と単位画素の光透過率間の関係を示すグラフである。
図12を参照すると、優秀な光透過率を得るためのドメイン傾斜領域及び正常輝度領域に照射される光エネルギーの強度及びプレチルト角がわかる。
【0120】
図12の横軸は、正常輝度領域に照射された光エネルギー及び単位画素のドメイン境界領域に照射された光エネルギーの比率を示す。その縦軸は、複数の単位画素を有する液晶表示パネルの実際の輝度を測定することにより得られた光透過率を示す。データは、ドメイン境界領域に照射される光のエネルギーが10mJ/cm
2、20mJ/cm
2、及び30mJ/cm
2である場合に対して光透過率を測定することにより得られた。
【0121】
測定のために、
図9Aの遮光領域がないドメイン境界領域パターン840を適用した単位マスキングパターン810が使用され、単位マスキングパターン810に照射された偏光紫外線の照度は、40mW/cm
2であった。ドメイン境界領域に照射された光のエネルギーがそれぞれ10mJ/cm
2、20mJ/cm
2、及び30mJ/cm
2であるためには、光配向基板は、それぞれ180mm/sec、120mm/sec、及び60mm/secの速度で移送された。
図12の測定のために使用された配向膜のプレチルト角は、照射された光のエネルギーに大体に比例した。すなわち、照射された光のエネルギーが9mJ/cm
2、10mJ/cm
2、20mJ/cm
2、及び30mJ/cm
2である時のプレチルト角は、それぞれ1.60°、1.61°、1.78°、及び1.80°であった。
【0122】
図12を参照すると、曲線ごとに、その最大光透過率は、正常輝度領域に照射された光エネルギーがドメイン境界領域に照射された光エネルギーの約30%である場合に現れた。上述した比率が30%より小さい場合に、正常輝度領域のプレチルト角が減少することにより、配向膜に隣接した液晶分子が正常輝度領域の配向膜にさらに垂直に配列され、光透過率が減少する。それとは逆に、上述した比率が30%より大きい場合に、ドメイン境界領域のプレチルト角と正常輝度領域のプレチルト角間の差が減少することにより、ドメイン境界領域の面積が増加し、光透過率が減少する。
【0123】
したがって、単位画素において、本発明の実施形態に従って、正常輝度領域に照射された光のエネルギーは、ドメイン境界領域に照射された光のエネルギーの約30%である。‘約30%’は、25%と35%間の範囲を意味する。
図12のグラフが
図9Aに示すような遮光領域がないドメイン境界領域パターン840を用いて得られたので、正常輝度領域パターン830の遮光領域832の面積は、正常輝度領域パターン830の面積の約30%である。
【0124】
一方、ドメイン境界領域に照射された光のエネルギーが30mJ/cm
2である時、光透過率が優秀であったことを
図12からわかる。また、正常輝度領域に照射された光のエネルギーがドメイン境界領域に照射された光のエネルギーの30%である時光透過率が最も優秀であるので、単位画素の光透過率を改善するために、ドメイン境界領域のプレチルト角は、照射された光のエネルギーが30mJ/cm
2である時のプレチルト角である1.80°より大きいことが適切であることがわかる。
【0125】
また、正常輝度領域に照射された光のエネルギーは、ドメイン境界領域に照射された光のエネルギーの30%である9mJ/cm
2であり、これに関連したプレチルト角は、1.60°である。したがって、ドメイン境界領域及び正常輝度領域のプレチルト角間の差が0.20°であるので、単位画素のドメイン境界領域及び正常輝度領域のプレチルト角間の差は、0.20°以上が適切であることがわかる。
【0126】
一方、光透過率を向上させるためにプレチルト角を増加させるのは、単位画素でブラック残像が現れ得る問題点を有する。したがって、光透過率及びブラック残像のすべてを改善することができるプレチルト角が決定されなければならない。以下、
図13A及び
図13Bを参照して、ブラック残像が改善した正常輝度領域のプレチルト角について説明する。
【0127】
図13Aは、一人の測定者の観察位置に関連したブラック残像指数を示すテーブルである。ブラック残像指数は、液晶表示パネルの正面及び側面で観察した輝度又はクロミナンス(chrominance:色信号)が正常値と異なる程度に従って5つのレベルに区分される。正面での観察は、映像から1メートル離れた所でなされ、側面での観察は、映像の正面に対して60°の角及び映像から1メートル離れた所でなされる。このような観察において、正面及び側面で観察された映像の品質は、‘良好(Good)’‘やや不良(Slightly Poor)’、及び‘多少不良(Little Poor)’に区分される。一人の測定者によりなされた観察に基づいて1つの液晶表示パネルに対するブラック残像指数は、
図13Aのテーブルから決定されることができる。
【0128】
液晶表示パネルのブラック残像値は、様々な観察者により測定されたブラック残像指数の平均として決定される。ブラック残像値が2である場合に、正面では、良好な画像が観察され、側面では、観察者のような熟練者だけ認識することができるやや不良の画像が観察される。したがって、1又は2のブラック残像値を有する液晶表示パネルは、正常液晶表示パネルとして一般に分類される。
【0129】
図13Bは、液晶表示パネルの製造後の時間に従う単位画素の正常輝度領域に照射される光のエネルギーと、観察されたブラック残像値と、の間の関係を示すグラフである。ブラック残像なしに優秀な表示品質を有する単位画素の正常輝度領域に照射される光のエネルギー及びプレチルト角は、
図13Bから決定されることができる。
図13Bのブラック残像値を得るために、
図12で用いられた配向膜が、テストされる液晶表示パネルに適用され、3mJ/cm
2及び10mJ/cm
2のエネルギーを有する光が、この配向膜に照射された。この製造された液晶表示パネルは、25°で保存された。
【0130】
図13Bを参照すると、10mJ/cm
2のエネルギーを有する光の照射を受けた正常輝度領域の場合に、液晶表示パネルが製造され、12時間が経過した後にブラック残像値が2を超過し、時間が経つにつれてブラック残像値が増加した。観察されたブラック残像値が優秀な表示品質を有する液晶表示パネルのブラック残像値である2を超過したので、10mJ/cm
2のエネルギーを有する光を正常輝度領域に照射することがよくないことがわかる。
【0131】
一方、3mJ/cm
2のエネルギー光の照射を受けた正常輝度領域のブラック残像値が製造後12時間経過した後に2であり、その後にも2に滞在しているので、3mJ/cm
2は、正常輝度領域に照射されることができる適切な光のエネルギーである。したがって、単位画素の正常輝度領域には、3mJ/cm
2以下のエネルギーを有する光を照射し、3mJ/cm
2に対応するプレチルト角が優秀な表示品質を有する液晶表示パネルの製造に寄与することがわかる。
【0132】
液晶表示パネルのブラック残像値及び光透過率を改善するためには、単位画素のドメイン境界領域の幅が適切に決定されることが要求される。
図14は、単位画素のドメイン境界領域及び正常輝度領域に様々なエネルギーを有する光が照射される場合に、単位画素のドメイン境界領域の幅と単位画素の光透過率との間の関係を示すグラフである。
図14を参照すると、改善した光透過率を有する単位画素のドメイン境界領域の幅がわかる。
【0133】
図14において、光エネルギーの単位mJ/cm
2は、単位画素の正常輝度領域に照射された光のエネルギー‘a’と単位画素のドメイン境界領域に照射された光のエネルギー‘b’との組合せ(a,b)から省略される。すなわち、(a,b)には、(10,33)、(4.5,15)、及び(10,10)の3種類がある。ここで、(10,10)が適用された単位画素は、ドメイン境界領域を有しない基準単位画素(すなわち、ドメイン境界領域がない比較対象)として使用された。
【0134】
各組合せは、異なる2つの単位画素に区分され、ドメイン境界領域の幅は、それぞれ10μm及び13μmである。
図10Aに示すように、各ドメイン境界領域は、透光領域だけで構成される第1の照射パターン842と、遮光領域が一部存在する第2の照射パターン848と、を有する単位マスキングパターン810を通して、光エネルギーが照射されたことで、単位マスキングパターン810のドメイン境界領域の2つの照射領域の幅が同一であるという条件下で実験がなされた。
【0135】
図14を参照すると、正常輝度領域に照射された光のエネルギーが減少すると、光透過率も減少した。すなわち、4.5mJ/cm
2のエネルギー光が正常輝度領域に照射され、ドメイン境界領域の幅が10μmである単位画素の場合に、その光透過率は、5.18%であり、基準単位画素の光透過率5.21%より低い。しかしながら、ドメイン境界領域の幅が増加すると、単位画素の光透過率も増加した。例えば、4.5mJ/cm
2のエネルギーが適用された単位画素のドメイン境界領域が10μmから13μmまで増加すると、単位画素の光透過率は、5.20%に増加し、基準単位画素の光透過率5.21%と類似している。同様に、(10,33)の場合に、ドメイン境界領域の幅の増加は、単位画素の光透過率の改善に寄与する。したがって、ドメイン境界領域の幅が10μmより大きい時に適切であることがわかる。
【0136】
適切なドメイン境界領域の幅は、様々なドメイン境界領域パターンの幅と単位画素の光透過率間の関係を用いて確認することができる。
図15Aは、本発明の実施形態による様々な幅を有するドメイン境界領域パターン840及び第2の照射パターン848を適用できる単位マスキングパターン810の平面図である。
図15Bは、
図15Aの単位マスキングパターン810のドメイン境界領域パターン840及び第2の照射パターン848の面積又は幅と単位画素の光透過率間の関係を示すグラフである。
【0137】
図15Aを参照すると、ドメイン境界領域パターン840の第2の照射パターン848は、第3の遮光領域844及び第2の透光領域846を有するが、第1の照射パターン842は、何の遮光領域なしに透光領域だけを有する。第1の照射パターン842及び第2の照射パターン848は、同一の幅及び面積を有し、したがって、ドメイン境界領域パターン840の幅w(DBT)は、第2の照射パターン848の幅w(DBTS)の2倍である。ここで、ドメイン境界領域パターン840の幅w(DBT)を調節することにより、単位画素の光透過率は、
図15Bに示すように変化することができる。
【0138】
図15Bの横軸は、ドメイン境界領域パターン840の幅w(DBT)と第2の照射パターン848の幅w(DBTS)との様々な組合せを括弧に入れて示す。ドメイン境界領域パターン840の幅は、7.0μmから13.0μm間の範囲にあり、基準単位マスキングパターン(すなわち、比較対象)は、第2の照射パターン848がないドメイン境界領域パターン840の幅が10μmで形成された単位マスキングパターンである。
【0139】
図15Bの縦軸は、33mJ/cm
2のエネルギー光が横軸のドメイン境界領域パターン840の幅と第2の照射パターン848の幅との組合せを有する単位マスキングパターン810に照射された場合の測定された単位画素の光透過率を示す。
図15Bを参照すると、単位画素の光透過率は、ドメイン境界領域パターン840及び第2の照射パターン848の幅に大体に比例する。すなわち、第2の照射パターン848の幅が3.5μmである際に、光透過率は、5.24%であるが、幅が5.0μm、6.5μmに増加するほど、光透過率は、5.28%及び5.30%に増加する。したがって、単位マスキングパターン810のドメイン境界領域パターン840の第2の照射パターン848の幅が広いことがよい。
【0140】
しかしながら、第2の照射パターン848の幅が6.5μmである場合の光透過率は、第2の照射パターン848が存在しないが、ドメイン境界領域パターン840の幅が10.0μmである基準単位マスキングパターンのそれと同一の5.30%であった。また、第2の照射パターン848の幅が5.0μmである場合の光透過率は、5.28%であり、基準単位マスキングパターンの5.30%と類似の値を有する。したがって、ドメイン境界領域パターン840の第2の照射パターン848の幅を6.5μmに設定することがよい。また、優秀な光透過率を示す第2の照射パターン848の幅が5.0μmである場合を考慮する時、第2の照射パターン848の幅は6.5±1.5μmに設定することがよい。したがって、ドメイン境界領域パターン840の第1の照射パターン842及び第2の照射パターン848は、それらの幅が相互に同一である場合に関するものであることを考慮する時、ドメイン境界領域パターン840の幅は、13.0±3.0μmに設定することがよい。
【0141】
上述した単位画素は、DBTに加えて単位画素のエッジの一部にFFTを有する。FFTを減少させるために、単位マスキングパターンの遮光領域の形態を用いて単位画素のエッジでのプレチルト角を増加させることができる。
【0142】
図16Aは、本発明の実施形態による単位画素のエッジでのプレチルト角を増加させるためのフリンジフィールド領域パターンが適用された単位マスキングパターンの平面図である。
図16Aを参照すると、フリンジフィールド領域パターン850は、単位マスキングパターン810のエッジで形成される。フリンジフィールド領域パターン850は、遮光領域852と透光領域854とに区分され、単位画素のエッジでのプレチルト角は、2つの領域の面積の比率を調整することにより大きくなるようにし、これにより、単位画素のフリンジフィールド領域を減少させることができる。しかしながら、
図16Aの単位マスキングパターン810を適用する場合に、ドメインの配向ベクトルによりフリンジフィールド領域パターン850が適用された単位画素の一辺の一部では、光透過率が増加するが、その辺の他の部分では、光透過率が減少する。
【0143】
図16B乃至
図16Dは、
図16Aの単位マスキングパターン810が単位画素の第1の基板100及び第2の基板200に適用される場合の単位画素の配向ベクトル及びそれらによる単位画素の局部的な光透過率の変化を示す図である。
図16B乃至
図16Dによると、単位画素の一辺の一部では、光透過率が増加するが、その辺の他の部分では、光透過率が減少する。
【0144】
図16Bは、第1の基板100の配向膜に作られるプレチルト角を示す図である。第1の基板100は、配向膜(図示せず)で塗布され、配向膜には、
図16Aの単位マスキングパターン810を通過した偏光紫外線がy軸に平行である2つの異なる方向に照射される。単位マスキングパターン810が
図16Aの形状を有するが、説明の便宜のために、基板上の特定の部分に照射される光のエネルギーが強いほど明るい灰色で明暗を調整することにより表現したことを当該分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解することができる。このような単位マスキングパターン810を介して、第1の基板100の単位画素の正常輝度領域510には、弱いエネルギーの光が照射され、DBT522及びFFT526には、強いエネルギーの光が照射される。
【0145】
図16Cは、第2の基板200の配向膜上に形成されるプレチルト角を示す図である。第2の基板200のプレチルト角が
図16Bで使用したものと同一の工程及び単位マスキングパターンにより得られるが、光は、x軸に平行である2つの異なる方向に照射される。
【0146】
図16Dは、
図16B及び
図16Cの工程に従って形成された配向ベクトル、DBT、及びFFTを示す単位画素400の平面図である。
図16Dを参照すると、各ドメインの配向ベクトルは、これらの特定の位置に従って異なり、長さが短いほどベクトル値が小さい。具体的に、各ドメイン内の正常輝度領域510の配向ベクトルは、同一のドメイン内の他の位置より小さいベクトル値を有し、これにより、小さいプレチルト角を形成し、ブラック残像を減少させることができる。
【0147】
他方、DBT522は、大きいベクトル値を有することにより、その光透過率を増加させることができる。しかしながら、FFT領域において、プレチルト角が増加しても光透過率は増加しない。具体的に、ドメインのエッジでのプレチルト角が増加すると、さらに多くの液晶分子がプレチルト角に依存するようになり、同様に、フリンジフィールドの影響を受ける液晶分子の数も増加する。その結果、FFTの面積が増加し、光透過率が減少する面積456が生じる。他方、各ドメインのエッジでフリンジフィールドが形成されない部分では、液晶分子のプレチルト角の増加により光透過率が増加する領域454が生じる。
【0148】
要約すると、
図16Aの単位マスキングパターン810を用いる工程により、単位画素400のエッジの一部は、光透過率が減少し、エッジの他の部分は、光透過率が増加する。したがって、光透過率が減少する部分に対する単位画素400の構造を変更することが要求される。
【0149】
図17Aは、本発明の実施形態による画素電極のエッジで突出領域が形成され、その突出領域上にFFTが生じる単位画素の第1の基板の平面図である。
図17Aを参照すると、単位画素の画素電極及び不透明配線は、FFTと重なることにより単位画素の開口率及び光透過率を向上させる。
図17Aの単位画素400は、不透明材質で作られたゲートライン410と、データライン420と、透明材質で作られた画素電極500とを有する。特に、画素電極500には、複数のドメイン610、620、630、及び640とFFT526とが形成される。
【0150】
FFT526は、画素電極500の1つのエッジで部分的に形成される。すなわち、画素電極500の1つのエッジは、FFT形成領域528とFFT未形成領域529とに区分される。FFT形成領域528は、配向膜のプレチルト角に比例する。例えば、
図16Aの単位マスキングパターン810の使用は、FFT形成領域528のサイズを増加させ、単位画素400の光透過率を減少させることができる。しかしながら、FFT526が小さいプレチルト角の配向膜で形成されることもできるので、本発明の実施形態が
図16Aに示すようなフリンジフィールド領域パターン850を有する単位マスキングパターン810を用いて製造される単位画素に限定されないことに留意すべきである。
【0151】
図17Aの画素電極500は、FFT形成領域528で単位画素400のエッジでの突起部532を有する。具体的に、本発明の実施形態に従って、突起部532は、長方形状の画素電極500を構成する4個のドメインの周辺部から交互に突出することができる。言い換えれば、画素電極500の一辺は、突起部532を有する部分と突起部がない部分とに区分される。
図17Aの画素電極500の左辺は、その上部が下部に比較して突出するように形成されており、画素電極500の右辺は、その下部が上部に比較して突出するように形成されており、画素電極500の上辺は、その右側が左側に比較して突出するように形成されており、画素電極500の下辺は、その左側が右側に比較して突出するように形成されている。画素電極500が突起部532を有するので、単位画素400は、画素電極500のエッジに位置するFFT526が突起部532上に位置するように設計される。また、単位画素400の薄膜トランジスタ430は、突起部532に位置してもよい。
【0152】
FFT526の全体面積は、突起部532内に含まれてもよい。FFT526の幅は、通常、DBT幅の60%として測定されるので、突起部532は、FFT未形成領域529のエッジからDBT幅の60%以上突出することができる。例えば、DBTの幅が10μmである場合に、突起部532の幅は、約6μm以上である。
【0153】
画素電極500の突起部532は、単位画素400の不透明電極と重なるように伸張されることができる。例えば、
図17Aに示すように、複数の突起部532は、ゲートライン410及びデータライン420と重なることができる。別の方法では、画素電極500の突起部532は、ゲートライン410及びデータライン420の中のいずれか1つと選択的に重なることができる。ゲートライン410及びデータライン420が不透明な金属で形成されるので、FFT526は、単位画素400の光透過率を減少させない。このように、単位画素400に形成された突起部532が不透明な膜と重なるように設定される場合に、単位画素400の配向ベクトルが様々な方向に形成されても、光透過率が減少する現象を緩和することができる。
【0154】
図17Bは、画素電極500の突起部532がFFT526及びデータライン420と重なる例を示す
図17AのラインXVII(b)−XVII(b)'に沿って切断された単位画素400の断面図である。
図17Bを参照すると、第1の基板100には、第1の基本基板110、ゲート絶縁層412、伝導性が高く不透明材質で作られたデータライン420、データ絶縁層422、データライン420と重なる突起部532を有する画素電極500、及び第1の配向膜130が順に積層される。
【0155】
図17Bの第2の基板200は、第2の基本基板210、単位画素の基本色を発する材質で作られたカラーフィルター250、ブラックマトリックス260、共通電極240、及び第2の配向膜230を有する。カラーフィルター250の基本色は、三原色である赤色、緑色、及び青色の中のいずれか1つ又は青緑色(cyan)、赤紫色(magenta)、及び黄色(yellow)の中のいずれか1つであり得る。別の方法では、カラーフィルターを空いている空間で作り、空いている空間を通過するバックライトアセンブリの色を基本色として設定してもよい。
【0156】
カラーフィルター250の間には、ブラックマトリックス260が配置され、カラーフィルター250及びブラックマトリックス260上には、第2の基板200の全面を塗布する共通電極240が配置される。第2の基板200は、共通電極240で完全に塗布され、共通電極240上には、所定のプレチルト角を有する第2の配向膜230が形成される。
【0157】
図17Bには、液晶層300の中間にある第1の配向膜130及び第2の配向膜230のプレチルト角及びフリンジフィールド450に基づく液晶分子の配列が図示される。
図17BのXVII(b)’側での正常輝度領域510の液晶分子NLLCが第2の配向膜230のプレチルト角の影響を受けるが、画素電極500のエッジでの液晶分子FFLCは、フリンジフィールド450の影響を受け、正常輝度領域510の液晶分子NLLCと反対に傾斜する。したがって、FFT液晶分子FFTXは、液晶表示パネルの偏光軸に水平であるか又は垂直であるように配向され、輝度が低いテクスチャ領域が生じる。
【0158】
FFT526は、第1の基板100のデータライン420と重なる画素電極500の突起部532上に位置する。データライン420が不透明金属で作られるので、FFT526は、単位画素400で観察されない。データライン420は、単位画素400の正常輝度領域510の外側に配置されることにより、単位画素400の開口率及び光透過率を向上させることができる。
【0159】
別の方法では、FFT526は、第2の基板200のブラックマトリックス260と重なるように配置されることができる。ブラックマトリックス260は、有機化合物又は金属酸化物のような不透明材質で作られ、カラーフィルター250間に配置されることにより光を遮断する。したがって、ブラックマトリックス260が単位画素400の正常輝度領域510の外側に配置され、画素電極500がブラックマトリックス260及びFFT526と重なる突起部532を有するので、単位画素400の開口率及び光透過率を向上させる。
【0160】
他方、
図17Aに示すように、1本のデータライン420又は1つのブラックマトリックス260は、隣接する単位画素500及び500’の複数の突起部532及び532’が共通に配置されることができる。言い換えれば、
図17AのラインXVII(b)−XVII(b)’上に示した突起部532と重なるデータライン420は、
図17AのラインXVII(c)−XVII(c)’上に示した隣接画素電極500’の突起部532’及びその上に位置するFFT526’と重なる。
【0161】
図17Cは、単位画素500の突起部532’及びFFT526’が第1の基板100上のデータライン420及び第2の基板200上のブラックマトリックス250と重なる例を示す
図17AのラインXVII(c)−XVII(c)’に沿って切断した単位画素400の断面図である。
図17Cの第2の配向膜230のプレチルトが
図17Bのそれと反対方向であるから、液晶分子もすべて反対方向に配列される。しかしながら、
図17Cは、FFT526’がデータライン420及びブラックマトリックス260と重なる形態という観点で
図17Bと同一である。
【0162】
図17B及び
図17Cのデータライン420及びブラックマトリックス260は、画素電極500及び500’のエッジに沿って直線に伸張される。したがって、隣接する2つの画素電極500及び500’の突起部532及び532’は、データライン420に沿って交互に配置される。データライン420及びブラックマトリックス260が直線に伸張されることは、液晶表示パネルの簡素な設計が可能であるという長所を有する。
【0163】
上述した説明において、FFT526は、画素電極500の突起部532を用いてデータライン420及び/又はブラックマトリックス260と重なる。しかしながら、本発明の実施形態に従って、突起部532は、データライン420とは異なる方向に伸張されるゲートライン410又は画素電極500と一部重なる部分を有するストレージ電極440とも重なることができる。
図17A乃至
図17Cに示すものとは異なり、データライン420及び/又はゲートライン410は、画素電極500の全体形状に従って変形されることも可能である。また、単位画素400の不透明電極又はブラックマトリックスと重なる画素電極500の突起部532が画素電極500の一辺にわたって形成されることも可能であることは、当該分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解するのであろう。
【0164】
図18は、本発明の実施形態に従って画素電極のエッジに沿って走る単位画素のデータラインとストレージ電極及び直線に伸張されたブラックマトリックスを示す単位画素の一部平面図である。
図18を参照すると、直線に伸張されるブラックマトリックスは、単位画素の突起部及びデータラインのような曲げられた他の配線及びFFTのすべてを覆うことにより、単位画素の開口率及び光透過率を向上させつつ設計を簡素化することができる。
【0165】
図18の単位画素400には、第1の基板100上のストレージ電極440及び第2の基板200上のブラックマトリックス260が表示された。
図18を参照すると、ストレージ電極440は、その一部が画素電極500のエッジと重なるように形成される。ストレージ電極440の場合に、その画素電位は、1つのフレームの間に保持される。ストレージ電極440と画素電極500間の過度な重畳が単位画素400の開口率及び光透過率を減少させることになるので、ストレージ電極440が画素電極500のエッジと部分的に重なることを当該分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解するのであろう。
【0166】
データライン420は、隣接する2つの画素電極間に介在するので、画素電極のエッジ形態と類似の屈曲を有する。したがって、
図18の単位画素400のデータライン420は、画素電極500及びストレージ電極440と類似の形態の屈曲を有する。
【0167】
図18の単位画素400は、第2の基板200上に直線に伸張されたブラックマトリックス260を有する。ブラックマトリックス260は、光を遮断する領域であり、第1の基板100上の配線、例えば、ゲートライン410、データライン420、又はストレージ電極440及び画素電極500の突起部532に移動したFFTと重なることができる。したがって、単位画素400は、FFTの影響を少ししか受けず、これにより、単位画素400の開口率及び光透過率を増加させ、単位画素400の設計を簡素化することができる。
【0168】
FFTと重なる画素電極500の突起部532は、複数の画素電極を有する単位画素400にも適用されることができる。
図19Aは、突起部を有する複数の画素電極を含む単位画素の部分平面図である。
図19Aを参照すると、本発明の実施形態に従って、単位画素400のデータライン420及びストレージ電極440は、画素電極500の突起部532と凹部534とが接触する領域の付近で相互に交差する。ここで、凹部534は、画素電極500の一辺で突起部532に連続して形成される部分であり得る。また、凹部534は、画素電極500の一辺上で突起部でない部分であり得る。
【0169】
図19Aの単位画素400において、2つの画素電極502及び504は、2つの薄膜トランジスタ430及び430’により1本のゲートライン410に接続される。薄膜トランジスタ430及び430’は、異なるデータライン420及び420’に接続されるので、相互に異なる電圧を画素電極502及び504に提供する。したがって、画素電極502及び504に位置した液晶分子の配列は、相互に異なり、これにより、液晶表示パネルを様々な方向から見てもイメージの変形が生じない高品質の画像が表示される。
【0170】
別の方法では、単位画素400は、2つのドレーン電極を有するトランジスタ及び追加の電圧降下用キャパシタを有することができる。1つのドレーン電極が第1の画素電極502に直接接続されるが、他のドレーン電極は、電圧降下用キャパシタを経由して第2の画素電極504に接続される。したがって、2つの画素電極502及び504が若干異なる画素電位を形成することにより、液晶表示パネルの表示品質を向上させることができることを当該分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解することができる。
【0171】
上述したように、画素電極500は、相対的に高い電圧を受信する第1の画素電極502と相対的に低い電圧を受信する第2の画素電極504とに区分される。第1の画素電極502及び第2の画素電極504は、それぞれ異なる配向ベクトルのドメインを有し、各ドメインは、FFTと重なる突起部532を有する。突起部532は、ストレージ電極440とも重なることにより、FFTにより画素電極500の開口率及び光透過率の低下を防止することができる。
【0172】
ストレージ電極440は、画素電極500のエッジと重なることにより画素電極500の電位を保持する。しかしながら、ストレージ電極440が画素電極500のエッジ全体と重なることは、画素電極500の正常輝度領域510との重畳につながり、これにより、単位画素400の開口率及び光透過率が低下する可能性がある。したがって、ストレージ電極440は、画素電極500の突起部532と重なるが、突出しない部分534とは重ならない。
【0173】
データライン420及び420’は、画素電極500のエッジに沿って配置されることにより、単位画素400の全体にわたって画素電極500から一定の距離を保持する。他方、ストレージ電極440は、画素電極500と重なる部分と画素電極500から離隔した部分とを有する。具体的に、本発明の実施形態に従って、ストレージ電極440は、画素電極500の突起部532と凹部534とが相互に接触する領域でデータライン420及び420’と交差しつつ凹部534から離隔する。
【0174】
データライン420は、凹部534とストレージ電極440とが相互に離隔した空間に配置されることができる。すなわち、凹部534の付近では、画素電極500、データライン420、及びストレージ電極440が順に配置される。他方、突起部532がストレージ電極440と部分的に重なるので、データライン420は、ストレージ電極440の外側に配置される。言い換えれば、突起部532の付近では、画素電極500、ストレージ電極440、及びデータライン420が順に配置される。
【0175】
上記の構造によると、ストレージ電極440の突起部442及び凹部444は、データライン420の凹部424及び突起部422と交互に交差する。ストレージ電極440の突起部442は、画素電極500の突起部532又はその一部分と重なる。ストレージ電極440の凹部444は、画素電極500の突起部532に隣接して延在された凹部534から離隔して形成されている。データライン420の凹部424と突起部422は、画素電極500の突起部532及び凹部534と全体的に一定又は所定の距離を保持する。したがって、単位画素400のサイズの増加を防止する。
【0176】
上述した単位画素400の第1の基板100は、光が通過する画素領域と光が通過しない非透過領域とに区分される。光が通過しない非透過領域には、微細な金属配線が形成され、金属配線による光の回折又は反射のために液晶表示パネルの表示品質が低下することがあるので、第2の基板200には、第1の基板100の非透過領域を覆うブラックマトリックス260が形成される。
【0177】
図19Bは、第1の基板の単位画素の非透過領域を覆うブラックマトリックス及び単位画素の基本色を表現するカラーフィルターが形成された単位画素の第2の基板の平面図である。
図19Cは、
図19Aの第1の基板と
図19Bの第2の基板とを結合することにより得られた単位画素の平面図である。
図19Bを参照すると、ブラックマトリックス260は、第1の基板100上に形成された配線410、420、430、及び440とFFT526とを覆い、カラーフィルター250を取り囲む。
図19Cを参照すると、単位画素400は、第1の基板100上の第1の画素電極502及び第2の画素電極504を通過した光が第2の基板200上のカラーフィルター250を通過しつつ特定の基本色を表示する。第2の基板200上のブラックマトリックス260は、単位画素400のFFTを覆うことにより、液晶表示パネルの表示品質を向上させ、光透過率を増加させることができる。
【0178】
本発明の実施形態による光配向工程技術を適用した単位画素において、ドメイン境界領域のプレチルト角は、正常輝度領域のプレチルト角より大きく設定されることによりブラック残像を減少させ、これにより、単位画素を使用する液晶表示パネルの表示品質を改善することができる。このようなプレチルト角の構成により、単位画素の開口率及び光透過率が増加し、結果として、輝度が増加し消費電力が減少する。また、単位画素のストレージ電極とデータラインとが相互に交差するように配置されることにより、複数の画素電極を有する単位画素のサイズ及び光透過率が改善する。
【0179】
以上まとめると、本発明の実施形態による単位画素の各ドメインのドメイン境界領域のプレチルト角は、正常輝度領域のプレチルト角より大きく設定されるので、ドメイン境界領域内の液晶分子が偏光軸と大きく外れるようにすることができる。その結果、ドメイン境界テクスチャの幅及び面積を減少させ、単位画素の開口率及び光透過率を増加させることができる。
【0180】
正常輝度領域のプレチルト角は、ドメイン境界領域のプレチルト角より小さい。したがって、正常輝度領域内の液晶分子は、画素電極に提供される画素電位に基づくので、ブラック残像現象を減少させる。その結果、液晶表示パネルは、より改善された表示品質を有することができる。
【0181】
また、単位画素の画素電極の突起部は、画素電極周辺部の配線又はブラックマトリックスと重なり、突起部に形成されたフリンジフィールドテクスチャは、単位画素から隠されていることができ、これにより、単位画素の開口率及び光透過率を改善させることができる。
【0182】
さらに、隣接する画素電極の突起部に共通して重なる配線及び/又はブラックマトリックスの形状は、画素電極の外角形状と一致しないことにより、単位画素の設計を簡素化することができ、単位画素のサイズの増加を防止することができる。
【0183】
単位画素を形成するための単位マスキングパターンは、ドメイン境界領域の光透過率が正常輝度領域のそれより高いので、ドメイン境界領域のプレチルト角が正常輝度領域のそれより大きい。したがって、ドメイン境界テクスチャの面積及び幅を減少させ、単位画素の開口率及び光透過率を改善させることができる。
【0184】
単位マスキングパターンは、非照射部パターン、正常輝度領域パターン、及びドメイン境界領域パターンの3種類の特定のパターンを含む。したがって、1回の工程で複数のプレチルト角を有する単位画素を製造することができるので、光配向工程を簡素化し、製造コスト及び時間を節約することができる。
【0185】
単位マスキングパターンのドメイン境界領域パターンの第1の照射部が遮光領域を有しないので、ドメイン境界領域のプレチルト角が大きく設定される。また、第2の照射部は、幅が徐々に減少される三角形形状の遮光領域を有するので、正常輝度領域に近接したドメイン境界領域のプレチルト角が徐々に増加し、これにより、液晶分子の配向を安定して制御することができる。
【0186】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更が可能であるということは、当業者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきである。