【実施例】
【0016】
以下、上記形態をより具体化した実施例について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「前」とは、軸筒10の先端方向(
図1によれば左方向)を意味し、「後」とは前記「前」に対する逆方向を意味する。また、「求心方向」とは、軸筒10の径方向に沿う方向であって、かつ軸筒10の軸心(中心)へ向かう方向を意味する。また、「遠心方向」とは、前記求心方向に対する逆方向を意味する。また、「軸筒軸方向」とは、軸筒10の軸心(中心)に沿う方向を意味する。
【0017】
図1は、本発明に係るシャープペンシルの一例を示す構造図である。
このシャープペンシル1は、軸筒10と、軸筒10内に該軸筒10と一体的に設けられた前側固定カム部材11及び後側固定カム部材12と、同軸筒10内に回転可能かつ進退可能に設けられた回転子20と、該回転子20に接続されたスライダー21、芯挿通管22及び受け部材24等と、受け部材24を後方へ付勢する第1の付勢部材30と、回転子20と一体的に回転するように設けられた筆記芯繰出し機構40とを備え、軸筒10の周壁に部分的に設けられた押圧部10a1が押圧された際に、筆記芯繰出し機構40に把持された筆記芯xを、繰出すことなく回転させる。
【0018】
軸筒10は、長尺筒状の本体部10aと、該本体部10aの先端側に、ねじ止めや嵌合等の接続手段によって固定された先口部10bとを具備する。
本体部10aは、その周壁の前端側に、周方向に所定間隔を置いて複数(図示例によれば三つ)の押圧部10a1を有する。また、本体部10aの後端側の外周面には、クリップ10cが設けられ、同本体部10aの最後端部には、環状の尾栓10dが接続される。
なお、軸筒10の他例としては、単一の筒状部材からなる態様や、図示例以外の複数の筒状部材を接続してなる態様とすることが可能である。
【0019】
押圧部10a1は、軸筒10の周壁を平面視凹状(もしくはU字状)に切欠することで、その凹状部分の内側に形成される片持ち梁状の部分であり、その自由端側の部分を前方へ向けている。この押圧部10a1は、図示例によれば、軸筒10の周方向に等間隔を置いて三つ設けられる(
図2参照)。この配置によれば、三つの押圧部10a1が、それぞれ、筆記姿勢にある人差し指、中指、親指に接触するため、押圧部10a1に対する押圧操作を、比較的軽い把持力でもって良好に行うことができる。
【0020】
この押圧部10a1の前端側の表面には、把持する指が滑らないように、凹凸状の滑り止め部10a11が設けられる。この滑り止め部10a11は、図示例によれば、軸筒10に直交する方向の凸条と凹溝とを、軸筒軸方向にわたって交互に配置することで構成される。
【0021】
また、押圧部10a1の内側(軸筒内側)には、軸筒10の本体部10a内周面から軸筒求心方向へ向かって突出するように、突部10a12が設けられる。この突部10a12の前端側(
図1によれば左端側)には、回転子20に摺接させるための傾斜面が形成される。
【0022】
また、先口部10bは、先細筒状に形成され、その内周面の前端寄りには、前進した際のスライダー21を当接させるための被当接部10b1が形成される。この被当接部10b1は、図示例によれば、先細円錐状の傾斜面である。
【0023】
また、前側固定カム部材11は、軸筒10内の前端寄りに、進退不能かつ回転不能に固定された略筒状の部材である。
この前側固定カム部材11の周壁には、複数の押圧部10a1をそれぞれ挿通させる複数(図示例によれば三つ)の挿通孔11a(
図4参照)が設けられる。また、前側固定カム部材11内周面における挿通孔11aよりも前側には、前方へ移動した際の回転子20の第1の回転カム部20a1に係合して回転子20を回転させる第1の固定カム部11bが形成される。
【0024】
第1の固定カム部11bは、前側固定カム部材11の内周面の一部を後方へ拡径することで形成された段部に配置され、軸筒周方向の全周にわたって等間隔に配設された後方向きの凹凸部であり、
図6の展開図に例示するように、断面鋸刃状に形成される。
【0025】
また、後側固定カム部材12は、前側固定カム部材11の内周面の後端側に挿入されて重ね合わせられるとともに、進退不能かつ回転不能に固定された略筒状の部材である。
この後側固定カム部材12の前端面には、後方へ移動した際の回転子20の第2の回転カム部20b1(
図3及び
図4参照)に係合して回転子20を回転させる第2の固定カム部12a(
図4参照)が形成される。
【0026】
第2の固定カム部12aは、軸筒周方向の全周にわたって等間隔に設けられた前方向きの凹凸部であり、この各凹凸部は、
図6の展開図に例示するように、第1の固定カム部11bを構成する各凹凸部と線対称となる断面鋸刃状に形成される。
この第2の固定カム部12aは、
図6(a)に示すように、第1の固定カム部11bに対し、周方向に所定のピッチpずらすようにして設けられる。
【0027】
また、後側固定カム部材12の前端側の内周面には、回転子20の外周面に摺接又は近接するように、環状突部12b(
図4及び
図5参照)が形成される。
この環状突部12bは、回転子20外周面との接触面積を局部的に狭くすることで、後側固定カム部材12内周面と回転子20外周面とを安定的に接触させ、回転子20の回転運動及び進退運動をスムーズにする。
【0028】
また、後側固定カム部材12の内周面の後端側には、その前端側に対し階段状に拡径された大径部12cが設けられる(
図4及び
図5参照)。この大径部12cは、第1の付勢部材30を挿入する空間であるとともに、該空間の前端の段部12dにより第1の付勢部材30の前端部を受けている。
【0029】
第1の付勢部材30は、圧縮コイルスプリングである。この第1の付勢部材30は、後側固定カム部材12の段部12dと受け部材24の段部24aとの間に挟まれるようにして配置される。
そして、この第1の付勢部材30は、後述する受け部材24、及び該受け部材24と一体的な回転子20、スライダー21、芯挿通管22等を後方へ付勢している。
【0030】
また、回転子20は、軸筒10内に回転可能且つ前後移動可能に設けられ、内部に該回転子20と一体的に回転するように筆記芯繰出し機構40を有するとともに、外部に第1の回転カム部20a1を形成した前側環状突起20a、及び第2の回転カム部20b1を形成した後側環状突起20bを有し、押圧部10a1に摺接されて前方へ移動し第1の付勢部材30の付勢力によって逆方向へ移動するように設けられる。
【0031】
より詳細に説明すれば、この回転子20は、
図3に示すように、筒状の部材であり、その外周面における前後方向の中央寄りに、前側環状突起20aと後側環状突起20bを有する。
前側環状突起20aは、その前端部に第1の回転カム部20a1を有するとともに、その後端側の角部分に傾斜面21a2を有する。
【0032】
第1の回転カム部20a1は、軸筒周方向の全周にわたって等間隔に設けられた前方向きの凹凸部であり、
図6の展開図に例示するように、第1の固定カム部11bに対し嵌り合う、断面鋸刃状に形成される。
【0033】
また、傾斜面21a2は、複数の押圧部10a1における各突部10a12に摺接するように設けられたC面取り状の傾斜面である。
なお、図示例によれば、押圧部10a1の突部10a12と、回転子20における前側環状突起20aとの双方に傾斜面を設け、これら傾斜面を摺接させるようにしているが、他例としては、何れか一方の傾斜面を角部に置換し、該角部を他方の傾斜面に摺接させる構成とすることも可能である。
【0034】
また、後側環状突起20bは、その後端面に、第2の回転カム部20b1を有する(
図3参照)。
第2の回転カム部20b1は、軸筒周方向の全周にわたって等間隔に設けられた後方向きの凹凸部であり、
図6の展開図に例示するように、第2の固定カム部12aに対し嵌り合う断面鋸刃状に形成される。この第2の回転カム部20b1は、図示例によれば、第1の回転カム部20a1と線対称に形成される。
【0035】
また、回転子20内周面の前端側には、前方へ向かって階段状に拡径されたチャックリング装着部20c(
図3参照)が設けられる。このチャックリング装着部20cは、段付環状のチャックリング44(
図4及び
図5参照)に遊嵌して、該チャックリング44の前後方向へのスライドを可能にするとともに、後方へスライドした際のチャックリング44に当接して、該チャックリング44の後方へのスライドを規制する。
【0036】
また、回転子20内周面には、チャックリング装着部20cの後側に間隔を置いて、後方へ向かって階段状に拡径されたスプリング装着部20d(
図3参照)が設けられる。このスプリング装着部20dは、筆記芯繰出し機構40を構成する第2の付勢部材42を挿入するとともに、該第2の付勢部材の前端を受ける。
【0037】
そして、上記構成の回転子20の前端側には、スライダー21が接続される。
スライダー21は、前方へ向かって階段状に縮径された段付円筒状の部材であり、その外周面に、前方へスライドした際に先口部10b内の被当接部10b1(傾斜面)に当接する当接部21aを有する(
図4及び
図5参照)。この当接部21aは、スライダー21の外周面に形成される傾斜状段部の角部分である。
また、スライダー21の内周面には、後方へ向かって階段状に拡径することで形成された段部21bが設けられる。この段部21bは、前方へスライドした際のチャックリング44を受けて、該チャックリング44の前方へのスライドを規制する。
【0038】
そして、前記スライダー21の前端側には、芯挿通管22が接続され、該芯挿通管22よりも後側の内部には、後述するブレーカ45が嵌合される。
芯挿通管22は、スライダー21から前方へ突出して、筆記芯xを繰出し可能に挿通する管体であり、スライダー21に対し進退不能かつ回転不能に固定される。
【0039】
また、上記構成の回転子20の後端側には、受け部材24が接続される。
この受け部材24は、筆記芯繰出し機構40を構成する芯タンクを遊挿する略円筒状の部材であり、後端側に段部24aを有する。この段部24aは、受け部材24の外周面を後方へ向かって階段状に拡径することで形成され、第1の付勢部材30の後端部を受ける。
【0040】
また、筆記芯繰出し機構40は、回転子20及び受け部材24の内部で進退するように設けられた芯タンク41と、芯タンク41を回転子20に対し後方へ付勢する第2の付勢部材42と、該芯タンク41の前端側に接続されるとともに筆記芯xを把持可能なチャック43と、該チャック43の前端側に環状に装着されるチャックリング44と、チャック43の前方側に間隔を置いて固定されたブレーカ45と、芯タンク41の後端側に接続されたスペーサ46、栓部材47、消しゴム48及びノック体49とを備え、ノック体49に対するノック操作により芯タンク41及びチャック43を回転子20に対し進退させて筆記芯xを繰出す機構である(
図1及び
図5参照)。
【0041】
芯タンク41は、長尺筒状の部材であり、回転子20及び受け部材24内に進退可能に挿通され、第2の付勢部材42によって、回転子20に対し後方へ付勢されている。この芯タンク41の後端部は、円筒状のスペーサ46及び栓部材47を介して、消しゴム48が着脱可能に接続される。さらに、栓部材47の後端側には、消しゴム48を覆って軸筒10方向へ突出するように、ノック体49が着脱可能に接続されている。
【0042】
また、チャック43は、弾性的に撓むことが可能な合成樹脂材料又は金属材料から形成され、筆記芯xの周囲に位置するように同芯状に配置された複数(例えば2〜4程度)の爪部を備え、これら爪部を軸筒求心方向へ撓ませることで筆記芯xを回転不能且つ後退不能に把持し、これら爪部を弾性的に復元することで筆記芯xを解放する。
このチャック43は、その基端側部分(図示の右端部分)が、芯タンク41の前端側内周面に固定されている。
【0043】
また、チャックリング44は、段付筒状の部材であり、回転子20の先端側に所定量進退するように設けられる。このチャックリング44は、チャック43の外周に嵌り合って、チャック43が筆記芯xを回転不能且つ後退不能に把持した状態を維持し(
図5(a)(b)参照)、チャック43と共に前進した際には、スライダー21内面(段部21b)に当接して、チャック43から後方へ外される(
図5(c)参照)。
回転子20の後退位置(
図5(a)及び
図6(a)参照)において、チャックリング44とスライダー21内面(段部21b)との寸法s1(
図5(a)参照)は、第1の回転カム部20a1と第1の固定カム部11bとの間の隙間s2(
図6(a)参照)よりも大きくなるように設定される。この構成によれば、後に詳述するように、芯タンク41が前進した際、先ず筆記芯xが回転し、その後に同筆記芯xが繰出されることになる。
【0044】
ブレーカ45は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性体からなる円筒状部材であり、スライダー21内に進退不能に嵌合される。そして、このブレーカ45は、挿通される筆記芯xを弾性的に把持する。
【0045】
また、第2の付勢部材42は、図示例によれば圧縮コイルスプリングであり、回転子20に対し、芯タンク41及びチャック43等を後方へ付勢している。
この第2の付勢部材42の付勢力は、ノック体49のノック操作性等に応じて適宜に設定され、例えば、第1の付勢部材30の付勢力より強くすることも弱くすることも可能である。
【0046】
また、
図1及び
図2中の符号50は、軸筒10周壁の押圧部10a1を外側から覆う弾性被覆部であり、必要に応じて設けられる。
この弾性被覆部50は、エラストマー樹脂等の弾性を有する合成樹脂材料の被膜であり、軸筒10の本体部10aを成形する際に同時成形(二色成形)される。
図示例の弾性被覆部50は、押圧部10a1を含む軸筒10前側の把持部位を、全周にわたって略筒状に覆うように設けられる。
この構成によれば、押圧部10a1を押圧する際の把持感触及び操作感を向上することができるのは勿論のこと、軸筒10を少しだけ回して押圧部10a1を押圧しない場合(意識的に筆記芯xを自動回転させない場合)の把持感触も向上することができる。さらに、押圧部10a1の隙間から軸筒10内部へ異物等が侵入するのを防ぐこともできる。
【0047】
次に、上記構成のシャープペンシル1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図4及び
図5は、弾性被覆部50を省略した状態のシャープペンシル1の要部を示す。
【0048】
先ず、
図4(a)に示すように、シャープペンシル1に対し外力が加えられていない状態では、回転子20は、第1の付勢部材30により後方へ付勢されるとともに、前側環状突起20aを、押圧部10a1の突部10a12に当接又は近接させて静止している。また、回転子20内の筆記芯繰出し機構40は、チャック43によって筆記芯xを回転不能且つ後退不能に把持した状態で静止している。
この静止状態では、
図6(a)に示すように、第2の回転カム部20b1と第2の固定カム部12aとが噛み合った状態であるため、回転子20及び筆記芯xが回転することはない。
【0049】
図4(b)に示すように、押圧部10a1が軸筒鉛芯方向側から軸筒求心方向側へ押圧されて撓むと、該押圧部10a1内側の突部10a12が、回転子20における前側環状突起20aの傾斜面21a2(
図3参照)に摺接し、回転子20を前方へ移動させる。
すると、前方へ移動した回転子20は、第1の回転カム部20a1を第1の固定カム部11bに噛み合わせることで、軸筒10周方向の一方へ所定量だけ回転する(
図6(b)(c)参照)。
【0050】
次に、押圧部10a1に対する押圧力が解除されると、撓んでいた押圧部10a1が弾性的に復元するとともに、回転子20が第1の付勢部材30の付勢力によって後方へ移動する。
すると、回転子20は、
図6(d)に示すように、第1の回転カム部20a1を第1の固定カム部11bから離間し、第2の回転カム部20b1を第2の固定カム部12aに噛み合わせることで、さらに前記一方へ所定量だけ回転する。
【0051】
したがって、前記のような回転子20の回転に伴い、回転子20内の筆記芯繰出し機構40、及び該筆記芯繰出し機構40に把持された筆記芯xも所定量だけ回転する。より詳細に説明すれば、回転子20が回転すると、その回転力がチャックリング44及びチャック43を介して筆記芯xに伝達され、筆記芯xが軸筒中心部を軸心にして回転する。
よって、筆記芯x先端の偏減りを防止することができる。
【0052】
上記のようにして、筆記芯xを回転させる操作は、手の3本の指でシャープペンシル1を把持した通常の筆記姿勢において、軸筒10を握った指に力をいれた際や、軸筒10を握り筆圧をかけた際等に自然に行われるため、筆記者が意識して操作を行わなくても筆記芯xを容易に回転させることができる。
しかも、前記動作は、軸筒求心方向の力により回転子20を前進させて筆記芯xを回転させるものであるため、筆圧をかけた際に筆記芯xが後退する従来技術等と比較し、筆記中における筆記芯xの軸筒軸方向のガタつきを感じ難く、筆記中であっても筆記感触を損ねることがない。
また、意識的に筆記芯xを回転させようとする場合でも、軸筒10の外周面を求心方向へ押圧する操作であるため、その操作を、指を内側に曲げるという自然な動作により行うことができ、操作感が良好である。
また、意識して描線を太くしたい場合等、使い勝手や筆記者の好みに応じて、筆記芯xを自動的に回転させたくない場合には、軸筒10を少しだけ回転させて、軸筒10外周における押圧部10a1のない箇所に指を当てて当該シャープペンシル1を握ればよく、この場合の操作も容易である。
【0053】
また、筆記芯xを繰出す操作を行う場合には、軸筒10後端のノック体49に対するノック操作により芯タンク41、チャック43及びチャックリング44を前進させれば、チャックリング44の外周に嵌合している回転子20も、前進するチャックリング44に引っ張られるようにして前進し、その前進した回転子20における第1の回転カム部20a1が、第1の固定カム部11bに噛み合い(
図5(b)及び
図6(b)(c)参照)、回転子20が軸筒周方向の一方へ所定量回転する。
なお、チャックリング44と回転子20との嵌合力は、前記のようにして、チャックリング44の前進に回転子20が追従するように、適宜に設定されている。
【0054】
そして、この状態から更に芯タンク41を前進させれば、
図5(c)に示すように、スライダー21が先口部10b内面(被当接部10b1)に当接して前進不能になるため、第2の付勢部材42が収縮しながら、チャック43、チャックリング44及び筆記芯xが回転子20に相対して前進し、チャックリング44がスライダー21内の段部21bに当接して前進不能になり、チャック43は、筆記芯xと共に更に前進した後、チャックリング44から抜け出て拡開する。
前記過程において前進した筆記芯xは、ブレーカ45により弾性的に把持されることで後退不能に保持される。
そして、ノック体49への押圧力が解除されると、チャック43及び芯タンク41が第2の付勢部材42の付勢力により後退し、チャック43は、チャックリング44内に嵌って、再度、筆記芯xを把持した状態に戻る。
【0055】
すなわち、軸筒10後端のノック体49に対するノック操作を行えば、筆記芯xを周方向へ回転させながら繰出すことができる。
【0056】
なお、上記シャープペンシル1によれば、特に好ましい態様として弾性被覆部50を軸筒10の全周に設けるようにしたが(
図2参照)、他例としては、前記弾性被覆部50を、
図7に示す複数の弾性被覆部50’に置換してもよい。この弾性被覆部50’は、各押圧部10a1を覆うようにして、軸筒10の外周面に部分的に設けられる。
また、さらに他例としては、押圧部10a1を含むようにして、軸筒10の略全長にわたる筒状の弾性被覆部を設けた態様や、軸筒10とは別体に製造された弾性被覆部を後工程で軸筒10に装着した態様、弾性被覆部を省いた態様等とすることも可能である。
【0057】
また、上記シャープペンシル1によれば、押圧部10a1を軸筒10の周壁に片持ち梁状に構成したが、他例としては、軸筒の周壁の一部を弾性材料(例えば、エラストマー樹脂や、ゴム材料等)からなる押圧部とし、この押圧部が軸筒10内へ変形して回転子20に摺接し該回転子20を前進させる構造とすることも可能である。
【0058】
また、上記シャープペンシル1によれば、軸筒10とは別体の前側固定カム部材11及び後側固定カム部材12を設け、これら前側固定カム部材11及び後側固定カム部材12に、それぞれ第1の固定カム部11b及び第2の固定カム部12aを設けるようにしたが、他例としては、軸筒10に対し、直接的に第1の固定カム部及び第2の固定カム部の一方又は双方を加工した構造とすることも可能である。
【0059】
また、上記シャープペンシル1によれば、軸筒求心方向へ移動する押圧部10a1により回転子20を前進させる構成としたが、他例としては、軸筒求心方向へ移動する押圧部10a1を回転子(図示せず)に摺接して該回転子を後退させ、その後退した際の回転子の回転カム部を、軸筒側の固定カム部に係合して該回転子を回転させる構造とすることも可能である。
より具体的に説明すれば、この構成の場合、押圧部10a1の突部10a12を、回転子20の前側環状突起20aよりも前側に配置し、軸筒求心方向へ移動する際の突部10a12を前側環状突起20aに摺接させて、回転子20を後退させる構造とすればよい。また、この構成の場合、第1の付勢部材30は、軸筒10に相対し回転子20を前方へ付勢するように設ければよい。
【0060】
また、上記シャープペンシル1によれば、回転子20が前進した時に回転し、さらに後退した時にも回転するようにしたが、他例としては、回転子20が前進した時のみ回転する態様や、回転子20が後退した時のみ回転する態様等とすることも可能である。すなわち、この場合には、第1の回転カム部20a1及び第1の固定カム部11bと、第2の回転カム部20b1及び第2の固定カム部12aとのうち、その一方を省いた構成とすればよい。
【0061】
また、上記シャープペンシル1では、第1の付勢部材30を第2の付勢部材42よりも弱くすることで、筆記芯xを繰出す後端ノック操作に伴い筆記芯xが回転する構成としたが、他例としては、第1の付勢部材30を第2の付勢部材42よりも強くすることで、筆記芯xを繰出す後端ノック操作の際には筆記芯xが回転しない構成とすることも可能である。
【0062】
また、上記シャープペンシル1では、押圧部10a1に対する押圧操作と、ノック体49に対する筆記芯x繰出しのための押圧操作との双方の操作によって、筆記芯xが回転するようにしたが、他例としては、押圧部10a1を省き、ノック体49に対する筆記芯x繰出しのための押圧操作のみによって筆記芯xを回転させる構成とすることも可能である。
【0063】
また、上記シャープペンシル1では、軸筒後端部に対するノック操作により筆記芯xを繰出す筆記芯繰出し機構40を具備したが、他例としては、前記筆記芯繰出し機構40に置換して、軸筒後端部に対する回転操作により筆記芯xを繰出す筆記芯繰出し機構(図示せず)、軸筒を軸方向へ振る操作により筆記芯xを繰出す筆記芯繰出し機構(図示せず)、又は軸筒を径方向へ振る操作により筆記芯xを繰出す筆記芯繰出し機構(図示せず)を具備した構成とすることも可能である。