(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬質接続部は、前記子湾曲部と前記子可撓管部との間を接続し、基端の一部又は全部によって前記硬質接続部の前記基端縁を形成する接続部材を含む請求項4の内視鏡装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の内視鏡装置1を示す図である。
図1に示すように、内視鏡装置1は、親内視鏡(主内視鏡)10を備える。親内視鏡10は、長手方向に沿って延設される親挿入部(主挿入部)11と、親挿入部11より基端方向側に設けられる親操作部(主操作部)12と、を備える。親操作部12には、親ユニバーサルコード(主ユニバーサルコード)13の一端が接続されている。親ユニバーサルコード13の他端は、スコープコネクタ(図示しない)を介して、光源ユニット、画像処理ユニット等の周辺ユニット(図示しない)に接続されている。
【0015】
親挿入部11は、外径が10mm程度で、長手方向の寸法が1.2m程度に形成されている。親挿入部11は、親先端硬性部(主先端硬性部)15と、親先端硬性部15より基端方向側に設けられる親湾曲部(主湾曲部)16と、親湾曲部16より基端方向側に設けられる細長い親可撓管部(主可撓管部)17と、を備える。親湾曲部16は、親挿入部11の先端側部分に湾曲可能に設けられている。また、親操作部12には、親湾曲部16の湾曲操作を行う湾曲操作ノブ18が設けられている。
【0016】
親挿入部11の内部には、チャンネル21が長手方向に沿って延設されている。チャンネル21は、親挿入部11の先端部から親操作部12の内部の曲がり位置P1まで長手方向に沿って延設されている。そして、曲がり位置P1で、長手方向から外れる方向にチャンネル21は曲がる。親操作部12の外表面には、挿入口22が設けられている。チャンネル21は、曲がり位置P1から挿入口22まで親挿入部11の長手方向の延長線から外れる方向に沿って延設され、挿入口22で外部に対して開口している。
【0017】
図1に示すように、内視鏡装置1は、子内視鏡(従内視鏡)30を備える。子内視鏡30は、長手方向に沿って延設される子挿入部(従挿入部)31と、子挿入部31より基端方向側に設けられる子操作部(従操作部)32と、を備える。子操作部32には、子ユニバーサルコード(従ユニバーサルコード)33の一端が接続されている。子ユニバーサルコード33の他端は、スコープコネクタ(図示しない)を介して、光源ユニット、画像処理ユニット等の周辺ユニット(図示しない)に接続されている。
【0018】
子挿入部31は、外径が3〜4mm程度で、長手方向の寸法が2m程度に形成されている。子挿入部31は、子先端硬性部(従先端硬性部)35と、子先端硬性部35より基端方向側に設けられる子湾曲部(従湾曲部)36と、子湾曲部36より基端方向側に設けられる細長い子可撓管部(従可撓管部)37と、を備える。子湾曲部36は、子挿入部31の先端側部分に湾曲可能に設けられている。また、子操作部32には、子湾曲部36の湾曲操作を行う湾曲操作ノブ38が設けられている。子内視鏡30の子挿入部31は、親内視鏡10のチャンネル21に挿通される。子挿入部31は、挿入口22からチャンネル21に挿入される。
【0019】
図2は、子挿入部31が親内視鏡10のチャンネル21に挿通された状態の、内視鏡装置1の先端部の構成を示す図である。
図2に示すように、親湾曲部16は、湾曲管(親湾曲管)41と、湾曲管41の外側に被覆される湾曲部外皮(親湾曲部外皮)42と、を備える。湾曲管41は、金属製の複数の湾曲駒(親湾曲駒)43を隣設する湾曲駒43に対して回動可能に連結することにより、形成される。以上のように湾曲管41を形成することにより、親湾曲部16は長手方向に垂直なUp方向(
図2の矢印U1の方向)及びUp方向とは反対方向であるDown方向(
図2の矢印D1の方向)に湾曲可能となる。すなわち、親湾曲部16はUD方向に湾曲可能である。湾曲部外皮42は、フッ素ゴム等から形成されている。なお、親湾曲部16は、UD方向及びRL方向の4方向に湾曲可能でも構わない。
【0020】
親先端硬性部15は、硬性部本体45と、硬性部本体45の外周方向側に被覆される先端カバー46とを備える。硬性部本体45の一部は、電気絶縁性部材55で形成されている。このため、高周波処置具(図示しない)の電極が接触した際にも、硬性部本体45に高周波電流が流れない。硬性部本体45には、最も先端方向側に位置する湾曲駒43Aが連結されている。また、湾曲部外皮42は先端カバー46の基端側で、湾曲駒43Aに対して糸48を巻回した上から、接着剤49が被覆されている。
【0021】
親挿入部11(親湾曲部16)の内部には、チャンネル21の一部を構成するチャンネルチューブ51が長手方向に沿って延設されている。チャンネルチューブ51の先端は、接続パイプ52を介して、硬性部本体45に接続されている。また、硬性部本体45には、起上台収納部53が形成されている。チャンネルチューブ51が硬性部本体45に接続されることにより、チャンネル21の先端が起上台収納部53と連通する。起上台収納部53は、開口部56で親湾曲部16の湾曲のUp方向に向かって外部に開口している。Up方向に向かって外部に開口する開口部56が設けられるため、チャンネル21の先端部から起上台収納部53に渡る範囲は、親湾曲部16の湾曲のDown方向からUp方向に曲がっている。
【0022】
硬性部本体45には、軸部材57を介して起上台58が取付けられている。起上台58は、起上台収納部53に位置している。起上台58は、軸部材57を中心に回動可能である。起上台58には、起上ワイヤ61の一端が接続されている。起上ワイヤ61は、親挿入部11の内部を長手方向に沿って延設されている。
図1に示すように、親操作部12には、起上操作レバー62が設けられている。起上ワイヤ61の他端は、起上操作レバー62に接続されている。起上操作レバー62での起上操作により、起上ワイヤ61が長手方向に移動する。これにより、起上台58が軸部材57を中心に回動し、起上台58が起上又は倒置される。
【0023】
図2に示すように、子湾曲部36は、湾曲管(子湾曲管)71と、湾曲管71の外側に被覆される湾曲部外皮(子湾曲部外皮)72と、を備える。湾曲管71は、金属製の複数の湾曲駒(子湾曲駒)73を隣設する湾曲駒73に対して回動可能に連結することにより、形成される。最も先端方向側に位置する湾曲駒73Aには、複数の湾曲ワイヤ75の一端が接続されている。湾曲ワイヤ75は、子挿入部31の内部を通って、他端が湾曲操作ノブ38に接続されている。湾曲操作ノブ38での湾曲操作により、湾曲ワイヤ75が長手方向に沿って移動する。これにより、子湾曲部36は長手方向に垂直なUp方向(
図2の矢印U2の方向)及びUp方向とは反対方向であるDown方向(
図2の矢印D2の方向)に湾曲する。すなわち、子湾曲部36はUD方向に湾曲可能である。
【0024】
湾曲部外皮72は、ポリウレタン等の熱可塑性エラストマーから形成されている。湾曲部外皮72は、最も先端方向側に位置する湾曲駒73Aの外周部及び最も基端方向側に位置する湾曲駒73Bの外周部に、接着等により固定されている。
【0025】
子挿入部31は、子湾曲部36の湾曲のUp方向が親湾曲部16の湾曲のUp方向と一致し、かつ、子湾曲部36の湾曲のDown方向が親湾曲部16の湾曲のDown方向と一致する状態で、親内視鏡10のチャンネル21に挿通される。このため、親挿入部11の親先端硬性部15に設けられる起上台収納部53は、子湾曲部36の湾曲のUp方向(
図2の矢印U2の方向)に向かって外部に開口している。また、チャンネル21の先端部から起上台収納部53に渡る範囲は、子湾曲部36の湾曲のDown方向からUp方向に曲がっている。
【0026】
子挿入部31が親内視鏡10のチャンネル21に挿通された状態では、起上台58により、Down方向(
図2の矢印D2の方向)からUp方向(
図2の矢印U2の方向)に子湾曲部36が湾曲される。そして、起上台収納部53の開口部56から、子挿入部31の先端側部分が外部に突出する。子挿入部31の開口部56からの突出方向は、起上操作によって起上台58を起上又は倒置することにより調整される。
【0027】
内視鏡装置1の使用時には、例えば十二指腸63まで親挿入部11の先端側部分が挿入される。そして、チャンネル21に挿通される子挿入部31は、チャンネル21から起上台収納部53に案内される。そして、起上台58によって子湾曲部36がDown方向からUp方向に湾曲され、起上台収納部53の開口部56から子挿入部31の先端側部分が外部に突出する。この際、起上台58によって子挿入部31の突出方向を調整することにより、十二指腸63の乳頭65から胆管66又は膵管67に子挿入部31の先端側部分が選択的に挿入される。
【0028】
図3は、子挿入部31の構成を示す図である。
図4は、子湾曲部36と子可撓管部37との連結部の構成を示す図である。
図3及び
図4に示すように、子挿入部31の子可撓管部37は、金属製の螺旋管(子螺旋管)81と、螺旋管81の外側に設けられる金属製の網状管(子網状管)82と、網状管82の外側に設けられる可撓管部外皮(子可撓管部外皮)83と、を備える。可撓管部外皮83は、フッ素系樹脂等を熱収縮することにより、形成される。
【0029】
図3に示すように、子可撓管部37(子挿入部31)は、第1の肉厚部85と、第1の肉厚部85より肉厚が大きい第2の肉厚部86と、を備える。第2の肉厚部86は、第1の肉厚部85の基端から子可撓管部37の基端部(子挿入部31の基端部)まで延設されている。ここで、子挿入部31の先端から第1の肉厚部85と第2の肉厚部86との境界P2までを、第1の寸法L1とする。
【0030】
第2の肉厚部86では、網状管82と可撓管部外皮83との間にチューブ部材87が設けられている。チューブ部材87は、ポリアミド、ポリオレフィン、フッ素系樹脂等を熱収縮することにより形成される。チューブ部材87により、第2の肉厚部86の肉厚が第1の肉厚部85の肉厚より大きくなる。以上のようにして、子可撓管部37は第1の肉厚部85及び第2の肉厚部86が形成されている。
【0031】
図4に示すように、螺旋管81は、薄いステンレス製等の帯状部材89から形成されている。帯状部材89は、長手方向に沿って螺旋状に延設されている。帯状部材89は、側縁101A,101Bを備える。螺旋管81では側縁101Aと側縁101Bとの間に隙間102が形成されている。網状管82は、極細のステンレス製等の素線(図示しない)を編み込んで形成されている。網状管82は、螺旋管81に対して密着する状態で、螺旋管81に被覆されている。
【0032】
図3に示すように、チューブ部材87には、チューブ部材87を径方向に貫通する複数の孔91が形成されている。そして、熱収縮することにより、複数の孔91の各開口端が網状管82に喰い込むことで、チューブ部材87が網状管82に強固に固定される。また、少なくとも第2の肉厚部86では、長手方向について複数の固定位置で螺旋管81と網状管82との間がレーザー溶接、接着、半田付け等により固定されている。例えば、長手方向に互いに離れた固定位置Q1及び固定位置Q2で、螺旋管81と網状管82との間が固定されている。それぞれの固定位置(Q1,Q2)では、螺旋管81と網状管82との間が周方向に全周に渡って固定されてもよく、周方向に離間した複数の箇所で固定されてもよい。
【0033】
図4に示すように、子湾曲部36と子可撓管部37との間には、硬質接続部93が設けられている。硬質接続部93は、子湾曲部36と子可撓管部37との間を接続する接続部材である金属製の接続口金95を備える。接続口金95は、最も基端方向側に位置する湾曲駒73Bに、挿入される状態で連結されている。また、接続口金95には、螺旋管81及び網状管82が、挿入される状態で連結されている。接続口金95と螺旋管81及び網状管82との間は、エポシキ系接着剤、半田等の固定剤97により強固に固定されている。
【0034】
接続口金95の内周部には、複数のガイドコイル99の先端が固定されている。ガイドコイル99は、子可撓管部37の内部を長手方向に沿って延設され、基端が子操作部32の内部に固定されている。それぞれのガイドコイル99には対応する湾曲ワイヤ75が挿通され、それぞれのガイドコイル99は対応する湾曲ワイヤ75を案内している。また、接続口金95の外周部には、可撓管部外皮83が密着した状態で固定されている。
【0035】
以上のような構成にすることにより、子湾曲部36と子可撓管部37との間に、子湾曲部36及び子可撓管部37より可撓性が低く、外力が作用しても湾曲しない硬質接続部93が形成される。最も基端方向側に位置する湾曲駒73Bの隣接する湾曲駒73Cとの連結部に設けられる回動軸R1が、硬質接続部93の先端となる。また、前述のように、螺旋管81では、帯状部材89の側縁101Aと側縁101Bとの間に隙間102が形成されている。したがって、側縁101Aの一部によって、硬質接続部93の基端縁103が形成されている。
【0036】
硬質接続部93の基端縁103は、子湾曲部36の湾曲のUp方向(
図2の矢印U2の方向)からDown方向(
図2の矢印D2の方向)に向かうにつれて、基端方向側に斜めに形成されている(位置している)。これにより、子湾曲部36の湾曲のUp方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S1は、子湾曲部36の湾曲のDown方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S2より小さくなる。
【0037】
図5は、長手方向について親湾曲部16の基端の位置R2にチャンネル21に挿通された子挿入部31の先端が達した状態を示す図である。
図5に示すように、親操作部12には、挿入口22が形成された挿入口部材105が設けられている。さらに挿入口部材105には、分岐管106が連結されている。チャンネルチューブ51の基端は、接続部材107を介して、分岐管106に接続されている。チャンネル21は、親挿入部11の先端部に設けられる起上台収納部53から、チャンネルチューブ51の内部、分岐管106の内部を通って、挿入口22まで延設されている。すなわち、チャンネルチューブ51、分岐管106及び挿入口部材105が、チャンネル21を構成する構成部材となっている。さらに、親挿入部11の長手方向の中心軸Xに略平行なチャンネル中心軸xは、曲がり位置P1で長手方向から外れる方向に曲がる。
【0038】
また、分岐管106の内部には、チャンネル21から吸引通路111を分岐させる分岐部112が形成されている。分岐管106には、吸引チューブ113が接続されている。吸引通路111は、吸引チューブ113の内部を通って延設されている。
【0039】
ここで、親湾曲部16の基端からチャンネル21の曲がり位置P1までを、第2の寸法L2とする。また、親湾曲部16の基端からチャンネル21の挿入口22までを、第3の寸法L3とする。第1の寸法L1は、第2の寸法L2より大きく、第3の寸法L3より小さくなっている。なお、最も基端方向側に位置する湾曲駒43Bの隣接する湾曲駒43Cとの連結部に設けられる回動軸R2が、親湾曲部16の基端となる。
【0040】
次に、本実施形態の内視鏡装置1の作用について説明する。子内視鏡30の子挿入部31は、親内視鏡10の挿入口22からチャンネル21に挿入される。前述のように、内視鏡装置1では、第1の寸法L1は、第2の寸法L2より大きく、第3の寸法L3より小さくなっている。このため、
図5に示すように子挿入部31の先端が親湾曲部16の基端R2と一致する位置まで挿入された際には、第1の肉厚部85と第2の肉厚部86との境界P2は、チャンネル21の曲がり位置P1と挿入口22との間に位置している。したがって、子挿入部31を基端R2よりさらに先端側に位置する親湾曲部16の内部を押し進める際には、挿入口22より延出する第2の肉厚部86を把持して押し込んだり、捩じる。
【0041】
親湾曲部16は小さな曲率半径で湾曲可能であるため、子挿入部31が湾曲のかかった親湾曲部16の内部を通過する際には、子挿入部31に作用する操作力量(押込み力量)が最も大きくなる。しかし、本実施形態の子可撓管部37(子挿入部31)の第2の肉厚部86には、網状管82と可撓管部外皮83との間にチューブ部材87が設けられおり、肉厚が厚く、補強されているため、子挿入部31が親湾曲部16の内部を通過する際に大きな操作力量で押し込まれても挿入口22の手前で、子挿入部31が座屈することが有効に防止される。
【0042】
また、第2の肉厚部86は子可撓管部37の全長に渡って設けられているわけではなく、子挿入部31の座屈を防止するために有効な必要最小限の長さとしているため、チャンネル21と子挿入部31との間の摩擦力が過度に大きくならない。したがって、子挿入部31の親内視鏡10のチャンネル21への挿通性も良い。
【0043】
また、第2の肉厚部86では網状管82と可撓管部外皮83との間に設けられたチューブ部材87には、複数の孔91が形成されている。そして、孔91のエッジが収縮により網状管82に喰い込んでおり、チューブ部材87が網状管82に強固に固定されているため、第2の肉厚部86に大きい操作力量(押込み力量)が作用した際でも、チューブ部材87が網状管82に対して滑らない。これにより、子挿入部31の座屈がさらに有効に防止されるとともに、可撓管部外皮83及びチューブ部材87でのシワの発生も有効に防止される。また、チューブ部材87が網状管82に強固に固定されることにより、術者によって印加される操作力量(押込み力量)が子挿入部31へ適切に伝達されるため、子挿入部31の親内視鏡10のチャンネル21への挿通性も良い。
【0044】
また、少なくとも第2の肉厚部86では、長手方向において複数の箇所で螺旋管81と網状管82とが固定されている。このため、第2の肉厚部86に大きい操作力量(押込み力量)が作用した際でも、螺旋管81の隙間102が拡大し難くなっており、子挿入部31の座屈がさらに有効に防止される。
【0045】
そして、さらに子挿入部31を押し込むと、起上台収納部53の開口部56から、子挿入部31の先端側部分が外部に突出する。子挿入部31の開口部56からの突出方向は、起上操作によって起上台58を起上又は倒置することにより調整される。
【0046】
前記特許文献1及び前記特許文献2の内視鏡装置では、親先端硬性部の外周部に開口部が設けられているため、チャンネルの先端部から起上台収納部に渡る範囲は開口部に向かって曲がっている。子内視鏡では、子湾曲部と子可撓管部との間に硬質接続部が設けられている。硬質接続部は、外力が作用しても湾曲しない。このため、特に起上台が起上した状態では、開口部に向かって曲がっているチャンネルの先端部から起上台収納部に渡る範囲を、硬質接続部は通過し難く、子内視鏡の子挿入部は親内視鏡の先端硬性部(先端部)の内部でも挿通性が悪かった。
【0047】
そこで、本実施形態の内視鏡装置1では、硬質接続部93の基端縁103は、子湾曲部36の湾曲のUp方向(
図2の矢印U2の方向)からDown方向(
図2の矢印D2の方向)に向かうにつれて、基端方向側に斜めに形成されている。これにより、子湾曲部36の湾曲のUp方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S1は、子湾曲部36の湾曲のDown方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S2より小さくなるため、子湾曲部36の湾曲のDown方向からUp方向に曲がっているチャンネル21の先端部から起上台収納部53に渡る範囲を、硬質接続部93が通過し易く、したがって、子内視鏡30の子挿入部31は親内視鏡10の親先端硬性部(先端部)15の内部でも挿通性が良い。
【0048】
そこで、前記構成の内視鏡装置1では、以下の効果を奏する。すなわち、内視鏡装置1では、第1の寸法L1は、第2の寸法L2より大きく、第3の寸法L3より小さくなっている。このため、子挿入部31の先端が親湾曲部16の基端と一致する位置まで挿入された際には、第1の肉厚部85と第2の肉厚部86との境界P2は、チャンネル21の曲がり位置P1と挿入口22との間に位置している。つまり、子挿入部31が基端R2より先端側の湾曲のかかった親湾曲部16の内部を通過する際には、挿入口22の手前には第2の肉厚部86が位置し、第2の肉厚部86の挿入口22の手前の部分を把持して押し込む。第2の肉厚部86には、網状管82と可撓管部外皮83との間にチューブ部材87が設けられ、補強されているため、子挿入部31の座屈を有効に防止することができる。
【0049】
また、第2の肉厚部86は子可撓管部37の全長に渡って設けられているわけではなく、子挿入部31の座屈を防止するために有効な必要最小限の長さである。このため、子挿入部31を親内視鏡10のチャンネル21に挿通する際に、チャンネル21と子挿入部31との間の摩擦力が過度に大きくならない。したがって、子挿入部31の親内視鏡10のチャンネル21への挿通不良を、改善することができる。
【0050】
また、内視鏡装置1では、硬質接続部93の基端縁103は、子湾曲部36の湾曲のUp方向(
図2の矢印U2の方向)からDown方向(
図2の矢印D2の方向)に向かうにつれて、基端方向側に斜めに形成されている(位置している)。これにより、子湾曲部36の湾曲のUp方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S1は、子湾曲部36の湾曲のDown方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S2より小さくなるため、子湾曲部36の湾曲のDown方向からUp方向に曲がっているチャンネル21の先端部から起上台収納部53に渡る範囲を、硬質接続部93が通過し易く、したがって、子内視鏡30の子挿入部31は親内視鏡10の親先端硬性部(先端部)15の内部でも、挿通性が良い。
【0051】
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態では、螺旋管81の帯状部材89の側縁101Aの一部によって、硬質接続部93の基端縁103が形成されているが、これに限るものではない。例えば、変形例として
図6に示すように、接続口金95の基端の一部又は全部によって、硬質接続部93の基端縁103が形成されてもよい。本変形例では、接続口金95の基端の全周によって硬質接続部93の基端縁103が形成されているが、接続口金95の基端の半周によって硬質接続部93の基端縁103が形成されてもよい。
【0052】
本変形例でも、硬質接続部93の基端縁103は、子湾曲部36の湾曲のUp方向(
図2の矢印U2の方向)からDown方向(
図2の矢印D2の方向)に向かうにつれて、基端方向側に斜めに形成されている(位置している)。これにより、子湾曲部36の湾曲のUp方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S1は、子湾曲部36の湾曲のDown方向側の部位の硬質接続部93の硬質長S2より小さくなる。
【0053】
また、本変形例では、前述のように、接続口金95の基端の基端縁103を形成する部分は、子湾曲部36の湾曲のUp方向からDown方向に向かうにつれて基端方向側に斜めに形成されている。このため、接続口金95の螺旋管81及び網状管82との接触面積が、広くでき、接続口金95は、螺旋管81及び網状管82にさらに強固に固定される。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、
図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の部分及び同一の機能を有する部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0055】
図7は、本実施形態の子内視鏡30の子挿入部31の構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、チューブ部材87が設けられていない。本実施形態では、第2の肉厚部86での可撓管部外皮83の肉厚は、第1の肉厚部85での可撓管部外皮83の肉厚より、厚くなっているため、チューブ部材87が無い代わりに、第2の肉厚部86は補強されている。
【0056】
網状管82に可撓管部外皮83を被覆する際に、第2の肉厚部86のみ加熱する。これにより、第2の肉厚部86での可撓管部外皮83の肉厚が第1の肉厚部85での可撓管部外皮83の肉厚より大きくなる。また、網状管82に可撓管部外皮83を被覆する際に、第2の肉厚部86での加熱量を第1の肉厚部85での加熱量より大きくしてもよい。この場合も、第2の肉厚部86での可撓管部外皮83の肉厚が、第1の肉厚部85での可撓管部外皮83の肉厚より大きくなる。
【0057】
(参照例)
図8は、第1の参照例の内視鏡装置1の使用状態を示す図である。
図8に示すように、チャンネル21に挿通された子内視鏡30の子挿入部31は、起上台収納部53の開口部56から外部に突出する。そして、十二指腸63の乳頭65から胆管66に、子挿入部31が挿入される。子挿入部31が胆管66に挿入された状態では、子挿入部31の先端側部分にループ121が形成される。つまり、子挿入部31は実際の使用状態では、先端側部分にループ121を形成した状態で、子湾曲部36が湾曲操作される。
【0058】
一般に、子内視鏡(30)の製造時において、湾曲ワイヤ(75)の湾曲操作ノブ(38)への連結及び子湾曲部(36)の湾曲角度の調整は、子挿入部(31)が真直ぐな状態で行われる。しかし、実際の使用時には、子挿入部(31)の先端側部分にループ(121)が形成されるため、子挿入部(31)が真直ぐな状態よりも湾曲操作ワイヤ(75)は緊張した状態となる。このため、胆管(66)内で子湾曲部(36)を湾曲させる際に、湾曲操作によって弛緩される(先端方向に移動する)湾曲ワイヤ(75)が十分に弛緩されない。このため、所望の湾曲角度で子湾曲部(36)が湾曲しない。
【0059】
そこで、本参照例では、
図9に示すように、治具122を用いて湾曲ワイヤ75の湾曲操作ノブ38への連結及び子湾曲部36の湾曲角度の調整が行われる。治具122には、子挿入部31が挿通される溝部123が形成されている。治具122の溝部123に子挿入部31が挿通されることにより、子挿入部31は胆管66に先端部が挿入された際の形状と略同一の形状になる。すなわち、子挿入部31の先端部にループ121が形成される。そして、ループ121が形成された状態で、湾曲ワイヤ75の湾曲操作ノブ38への連結及び子湾曲部36の湾曲角度の調整が行われる。これにより、ループ121が形成された状態でも、湾曲ワイヤ75は緊張した状態にならない。したがって、胆管66内で子湾曲部36を湾曲させる際に、所望の湾曲角度で子湾曲部36を湾曲させることが可能となる。
【0060】
また、第2の参照例として
図10に示すように、治具122を用いることなく、湾曲ワイヤ75の湾曲操作ノブ38への連結及び子湾曲部36の湾曲角度の調整を行ってもよい。本変形例では、子挿入部31の先端側部分にループ125が形成された状態で、湾曲ワイヤ75の湾曲操作ノブ38への連結及び子湾曲部36の湾曲角度の調整が行われる。ループ125の直径φは、50mm以下に調整される。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。
【0062】
以下、本発明の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1)
長手方向に沿って延設される親挿入部と、
前記親挿入部の先端側部分に設けられる湾曲可能な親湾曲部と、
前記親挿入部の前記先端部から前記親操作部の挿入口まで延設されるチャンネルと、
を備える親内視鏡と、
前記親内視鏡の前記チャンネルに挿通される子挿入部を備える子内視鏡と、
を具備し、
前記子挿入部は、
先端側部分に設けられ、UD方向に湾曲可能な子湾曲部と、
前記子湾曲部より基端方向側に設けられる子可撓管部と、
前記子湾曲部と前記子可撓管部との間に設けられる硬質接続部と、
を備え、
前記親挿入部は、
前記チャンネルの先端と連通し、前記親湾曲部の湾曲のUp方向に向かって外部に開口する起上台収納部と、
前記起上台収納部に設けられ、前記湾曲のDown方向から前記Up方向に前記子湾曲部を湾曲させることにより、前記起上台収納部から前記子挿入部を外部に突出させる起上台と、
を備え、
前記硬質接続部は、前記湾曲の前記Up方向から前記Down方向に向かうにつれて前記基端方向側に斜めに形成された基端縁を備える内視鏡装置。
【0063】
(付記項2)
前記子可撓管部は、螺旋管を備え、
前記螺旋管は、前記長手方向に沿って螺旋状に延設され、側縁の一部によって前記硬質接続部の前記基端縁を形成する帯状部材を含む付記項1の内視鏡装置。
【0064】
(付記項3)
前記硬質接続部は、前記子湾曲部と前記子可撓管部との間を接続し、基端によって前記硬質接続部の前記基端縁を形成する接続部材を含む付記項1の内視鏡装置。