(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部電源から充電可能とされたバッテリを備える車両に設けられたスイッチの操作を契機として、電子キーとの間で行われる無線通信を利用して車載機器を作動させる車両用通信システムにおいて、
前記車両は、前記バッテリへの充電中に、前記スイッチが操作された旨検出されるとき、前記バッテリへの充電電流量を減少させる又は零にする制御手段を備え、
前記制御手段は、前記車載機器が作動した後、前記車両への充電電流量を回復させる車両用通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、通電状態にある導電線の周囲においては、磁界の乱れが生じることが知られている。各種無線信号がこの磁界の乱れの影響を受けると、同無線信号においてノイズが発生し、各種通信が好適に行えないおそれがある。しかも、電気自動車等における走行用のバッテリへの充電は、大電流で充電する場合が多い。従って、充電ケーブルの周囲に生じる磁界の乱れが大きく、またその範囲も広い。このため、携帯機と車両との間で行われる無線通信が磁界の乱れの影響を受けて好適に行われないおそれがある。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バッテリへの充電中であっても好適な無線通信を可能とする車両用通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部電源から充電可能とされたバッテリを備える車両に設けられたスイッチの操作を契機として、電子キーとの間で行われる無線通信を利用して車載機器を作動させる車両用通信システムにおいて、前記車両は、前記バッテリへの充電中に、前記スイッチが操作された旨検出されるとき、前記バッテリへの充電電流量を減少させる又は零にする制御手段を備えることを要旨とする。
【0008】
電流が流れる充電ケーブルの周りには、磁界の乱れが発生すること、及びこの磁界の乱れは、無線通信の妨げになることが周知されている。この点、同構成によれば、車両と電子キーとの間で無線通信が行われているとき、バッテリへの充電電流量を減少させることにより、無線通信の妨げとなる磁界の乱れが抑制される。従って、車両と電子キーとの間の無線通信は、好適に実行される。
【0009】
また、前記制御手段は、前記車載機器が作動した後、前記車両への充電電流量を回復させることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、ユーザが特別な操作をしなくとも、車両への充電電流量が回復される。すなわち、車両と電子キーとの間の無線通信が行われているときだけ、充電電流量が少なくなる。
【0011】
上記構成において、前記制御手段は、前記無線通信が成立しない場合には、前記電子キーとの同無線通信を再度試み、それでも同無線通信が成立しないときは、前記車両への充電電流量を回復させることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、ID照合が不成立する等して所定の回数、又は所定の時間が経過した場合、車両への充電電流量が回復される。従って、車載機器が作動しなくとも、無線通信に伴う充電時間のロスが少なくなる。
【0013】
上記構成において、前記スイッチは、前記車両のドアハンドルに設けられるものであって、前記車載機器は、前記車両のドアの施解錠を行うドアロック装置であることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、車両ドアの施解錠を行う際の車両と電子キーとの間の無線通信が好適に実行される。
上記構成において、前記バッテリは、前記車両と前記外部電源とが充電ケーブルによって接続されることにより充電されることを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、バッテリへ充電するとき、車両は、外部電源と直接接続される。このため、車両には、外部電源から安定した電位の電力が送られる。従って、車両は、バッテリへ送られる充電電流量を調整しやすい。
【0016】
上記構成において、駐車中の車両から送電を要求する旨示す送電要求信号を受信しているときに、前記外部電源からの電力を磁界に変換する送電コイルを有する送電ユニットと、前記車両に設けられ、前記送電コイルから放射される磁束を、前記バッテリの充電に供される電流に変換する受電コイルとを備え、前記制御手段は、駐車中には、前記送電要求信号を継続して送信し、前記スイッチが操作された旨検出されるとき、前記送電要求信号の送信を停止することを要旨とする。
【0017】
このような、いわゆる非接触充電を利用した車両では、車両の周辺に大きな磁界が発生する。このため、電子キーと車両との間の無線通信が阻害されやすい。この点、同構成によれば、電子キーと車両との間で無線通信を行うとき、車両は、充電を要求する旨示す信号を送信しない。これにより、送電コイルは、磁界の送信を停止するので、車両の周辺における磁界の発生が抑制される。従って、電子キーと車両との間の無線通信を好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、バッテリへの充電中であっても好適な無線通信を可能とする車両用通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を電気自動車の車両用通信システムに具体化した実施形態について説明する。
図1に示されるように、電気自動車である車両10は、駐車場等に備え付けられる充電装置30により充電可能とされている。また、車両10には、ユーザに携帯される電子キー20との間での通信を通じて車両ドアの施解錠を可能とする車両用通信システムが搭載されている。
【0021】
(車両10)
図1に示されるように、車両10は、バッテリユニット13と、同バッテリユニット13に蓄えられた電力を消費して駆動する車両機器としてのモータ14とを備える。モータ14の出力軸には、駆動輪が接続されている。バッテリユニット13には、交流電力を直流電力に変換する充電回路12が接続されている。充電回路12には、充電口10aが接続されている。充電口10aを介して充電装置30から車両10に供給される電力は、充電回路12を介してバッテリユニット13に充電される。この充電回路12は、バッテリユニット13とともに同じく車両10に搭載される制御手段としての車両側制御部11と接続されている。
【0022】
車両側制御部11は、充電回路12を通じてバッテリユニット13への充電電力に係る制御を行う。また、車両側制御部11は、バッテリユニット13を通じて、モータ14への電力供給を制御する。モータ14に電力が供給されることで、モータ14の出力軸を介して駆動輪が駆動される。これにより、車両10は走行可能となる。また、バッテリユニット13は電圧センサ13aを備え、同電圧センサ13aの検出結果は車両側制御部11に出力される。車両側制御部11は、電圧センサ13aの検出結果に基づきバッテリユニット13の蓄電量を認識する。
【0023】
また、車両10には、ユーザに携帯される電子キー20との間での通信を通じて車両ドアの施解錠が可能とされる車両用通信キーシステムが搭載されている。車両ドアには、施解錠を行うドアロック装置16と、外部から操作可能とされたドアハンドルスイッチ19とが設けられている。これらドアロック装置16及びドアハンドルスイッチ19は、車両側制御部11と接続されている。車両側制御部11は、不揮発性のメモリ11aを備える。同メモリ11aには、車両10に個別に設定されたキーIDコード、及びビークルIDコード等が記憶されている。車両側制御部11は、ドアハンドルスイッチ19の操作をトリガとして電子キー20との間でIDコードを含む無線通信を行い、IDコードの認証が成立すると、ドアロック装置16を通じて車両ドアの施解錠を行う。
【0024】
車両側制御部11には、受信回路17及び送信回路18が接続されている。受信回路17には電子キー20からの無線信号を受信する受信アンテナ17aが、送信回路18には電子キー20へ無線信号を送信する送信アンテナ18aがそれぞれ接続されている。
【0025】
車両側制御部11は、ドアハンドルスイッチ19が操作されると、電子キー20へのIDコードを要求する要求信号を生成し、同要求信号を送信回路18に入力する。送信回路18は、この要求信号を所定周波数の電波に変調する。本実施形態では所定周波数は、LF(Low Frequency)帯の周波数である。送信アンテナ18aは、送信回路18により変調された要求信号を車両周辺に送信する。受信アンテナ17aを介して電子キー20からIDコードを含む応答信号を受信した受信回路17は、この応答信号を復調して、これを車両側制御部11に入力する。車両側制御部11は、電子キー20からのIDコードと、自身のメモリ11aに記憶されたIDコードとの照合を行う。このID照合が成立すると車両側制御部11はドアロック装置16を通じて車両ドアの施解錠を行う。
【0026】
なお、車両側制御部11は、電子キー20へ送信する要求信号の送信回数Tをカウントするカウンタ11bを備えている。カウンタ11bは、ドアハンドルスイッチ19が操作される度にリセットされる。
【0027】
(電子キー20)
電子キー20は、キー側制御部21と、これに接続された受信回路27及び送信回路28とを備えている。受信回路27には車両10からの無線信号を受信する受信アンテナ27aが、送信回路28には車両10へ無線信号を送信する送信アンテナ28aがそれぞれ接続されている。キー側制御部21は、不揮発性のメモリ21aを備え、このメモリ21aには車両10のメモリ11aと同様にキーIDコード、ビークルIDコード等が記憶されている。
【0028】
受信アンテナ27aを介して、車両10からの要求信号を受信した受信回路27は、この要求信号を復調して、これをキー側制御部21に入力する。要求信号を受信したキー側制御部21は、自身のメモリ21aに記憶されたIDコードを含む応答信号を生成し、同応答信号を送信回路28に入力する。送信回路28は、この応答信号を所定周波数の電波に変調し同応答信号を、送信アンテナ18aを介して車両周辺に送信する。本実施形態では所定周波数は、UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数である。
【0029】
(充電装置30)
充電装置30は、商用電源である外部電源2と接続された充電ケーブル5を備えている。充電ケーブル5の端部には、給電プラグ36が設けられる。給電プラグ36は、充電口10aに挿入可能とされている。給電プラグ36には、外部から操作可能とされた切替スイッチ36aが設けられている。また、充電ケーブル5には、車両10への電力の供給と遮断とを切り替えるスイッチ素子39が設けられる。充電ケーブル5には、交流電力を伝送する電力線の他に、切替スイッチ36aとスイッチ素子39とを接続する信号線が設けられている。ユーザは、切替スイッチ36aの操作を通じて、スイッチ素子39のオンオフが可能とされている。なお、充電ケーブル5を構成する電力線及び信号線は、束ねられてその外周が非導電性材料からなる樹脂にて被覆されている。また、
図1では、電力線のみを充電ケーブル5として実線で示し、信号線の図示は省略する。
【0030】
次に、車両10への充電態様について説明する。
給電プラグ36が充電口10aに挿入されると、車両10と充電装置30とが導通状態となる。この導通状態のときに、切替スイッチ36aがオン操作されてスイッチ素子39がオンされると、充電装置30から車両10への充電が開始される。
【0031】
外部電源2からの交流電力は、充電ケーブル5を介して充電回路12に入力される。充電回路12は、入力された交流電力を直流電力に変換して、バッテリユニット13に供給する。こうして、バッテリユニット13への充電が行われる。なお、バッテリユニット13の蓄電量は、車両側制御部11によって常時監視されている。車両側制御部11は、バッテリユニット13の蓄電量に応じて、充電回路12における交流電力から直流電力への変換の制御を行う。従って、バッテリユニット13の蓄電容量いっぱいに充電されている場合、車両側制御部11は、バッテリユニット13への充電を停止させる。なお、充電の停止とは、バッテリユニット13への充電電流量が0(零)となることである。
【0032】
次に、車両10へ充電が行われている最中に、同車両10と電子キー20との間で無線通信が行われる場合について、
図2に示すフローチャートに従って説明する。
図2に示されるように、車両側制御部11は、車両10へ充電が行われている最中に、ドアハンドルスイッチ19が操作されたことを認識すると、バッテリユニット13への充電を停止させる(ステップS1)。このとき、カウンタ11bはリセットされる。そして、車両側制御部11は、要求信号を生成し、同要求信号を送信回路18を通じて電子キー20へ送信し(ステップS2)、送信回数Tを1だけ増加させる(ステップS3)。
【0033】
その後、車両側制御部11は、所定時間(例えば、1秒間)だけ、電子キー20からの応答信号の受信を試みる(ステップS4)。ステップS4でYES、すなわち電子キー20からの応答信号が受信できた場合には、同応答信号に含まれるIDコードと自身にメモリ11aに記憶されたIDコードとの照合が成立するか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5でYES、すなわち電子キー20のIDコードと自身(車両10)のメモリ11aのIDコードとの照合が成立した場合には、車両側制御部11は、ドアロック装置16を通じて車両ドアの施解錠操作を行う(ステップS6)。そして、車両側制御部11は、バッテリユニット13への充電を再開させて(ステップS7)、一連の制御処理を終了する。
【0034】
なお、ステップS4でNO、すなわち電子キー20からの応答信号が受信できない場合、及びステップS5でNO、すなわち電子キー20のIDコードと自身(車両10)のメモリ11aのIDコードとの照合が成立しない場合には、送信回数Tが所定回数の3以下であるか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8でYES、すなわち送信回数Tが3以下である場合には、再度ステップS2にその処理を移行する。ステップS8でNO、すなわち送信回数Tが3以下でない場合には、ステップS7にその処理を移行する。従って、この場合、ドアロック装置16を通じての車両ドアの施解錠は行われない。
【0035】
なお、電子キー20を把持したユーザがドアハンドルスイッチ19を操作した場合、通常、1回の要求信号の送信で、車両側制御部11は、応答信号を受信することができる。すなわち、要求信号を3回も送信して応答信号を受信できない場合、又はID照合が不正立となる場合は、第3者がいたずらにドアハンドルスイッチ19を操作している場合が想定される。本例では、このような第3者による車両ドアの不正解錠も抑制している。
【0036】
上記課題で記載したように、充電中の充電ケーブル5の周囲には、磁界の乱れが発生することが分かっている。磁界の乱れは、通信対象間における無線信号にも影響して、好適な通信を妨げていた。そこで、本例では、車両10と電子キー20との間で無線通信を行うとき、ドアハンドルスイッチ19の操作をトリガとして、車両10への充電を一時停止するようにした。これにより、充電に基づく磁界の乱れがなくなり、車両10と電子キー20との間の無線通信が好適に行われる。
【0037】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)車両側制御部11は、バッテリユニット13への充電中にドアハンドルスイッチ19が操作されたとき、同バッテリユニット13への充電を停止する。これにより、充電ケーブル5の周辺の磁界の乱れが抑制される。従って、車両10と電子キー20との間の無線通信が好適に実行される。
【0038】
(2)車両側制御部11は、ID照合が成立してドアロック装置16を介して車両ドアの施解錠を実行した後、バッテリユニット13への充電を再開させる。すなわち、ユーザが特別な操作をしなくとも、車両への充電が再開される。
【0039】
(3)車両側制御部11は、所定回数である3回の要求信号を送信してもID照合が成立しない場合、車両ドアの施解錠を実行せずに、バッテリユニット13への充電を再開させる。これにより、無線通信に伴う充電時間のロスが少なくすることができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、車両ドアの施解錠の実行後、バッテリユニット13への充電を再開させたが再開させなくてもよい。このようにしても、車両10と電子キー20との間の無線通信は、充電に基づく磁界の乱れを受けることなく好適に実行される。
【0041】
・上記実施形態において、車両10から送信する要求信号の送信回数は3回と設定したが、この回数は任意の回数に設定してもよい。なお、充電時間のロスを少なくするためには、この回数はより少ない方がよい。具体的には、1桁の回数が望ましい。また、要求信号を任意に設定される所定の時間だけ送信するようにしてもよい。この場合においても、充電時間のロスを少なくするためには、所定の時間は短い方がよい。具体的には1桁秒以内が望ましい。
【0042】
・上記実施形態において、車両側制御部11は、RSSI(受信信号強度)判定を行ってもよい。この場合、車両側制御部11に、受信信号強度判定部を設ける。
図2に示すフローチャートを用いて説明すると、例えば、ステップS4においてYES、すなわち、応答信号を受信した後に受信信号の強度が所定値以上であるか否かを判断する。ここで、受信信号強度が所定値以上である場合には、ステップS5にその処理を移行し、受信信号強度が所定値未満である場合には、ステップS8にその処理を移行する。このようにすれば、例えば、第3者が無線信号を中継して不正に車両ドアの施解錠を行うことを抑制することができる。
【0043】
・上記実施形態では、車両側制御部11は、車両ドアの施解錠を実行するときのID照合を実行するために、ドアハンドルスイッチ19が操作されたことをトリガとして、充電を停止させた。しかし、充電の停止は、車両ドアの施解錠に限らず、例えば、トランク等の施解錠を行う場合であってもよい。この場合、車両側制御部11は、ドアハンドルスイッチ19に限らず、トランクに設けられるスイッチの操作をトリガとして、充電を停止させてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、車両側制御部11は、電子キー20との無線通信を実行する際に、充電回路12を通じて外部電源2からの充電を停止させたが、充電電流量を少なくするようにしてもよい。こうすれば、充電に基づく磁界の乱れが発生する範囲、及び乱れの強さも小さくなるので、車両10と電子キー20との間の無線通信が好適に実行される。
【0045】
・上記実施形態のドアハンドルスイッチ19は、タッチセンサであってもよい。この場合、充電中であってもタッチセンサを常時起動させておく必要がある。このような構成であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
・上記実施形態では、ドアハンドルスイッチ19が操作されてから車両ドアの施解錠が実行される、又はID照合が不成立と判断される間中、車両側制御部11は、充電を停止させた。しかし、充電時に発生する磁界の乱れは、LF帯の電波への影響は大きいが、UHF帯の電波への影響は少ないので、車両側制御部11は、要求信号を送信するときのみ充電を停止させてもよい。すなわち、要求信号を送信したら車両10への充電を再開させてもよい。このようにしても、車両10と電子キー20との間の無線通信は好適に実行される。
【0047】
・上記実施形態では、車両用通信システムを電気自動車に適用した場合について説明したが、外部電源からバッテリに充電する態様の車両であれば適用可能である。例えば、プラグインハイブリッド自動車、電動バイク等などがある。
【0048】
・上記実施形態において、バッテリユニット13への充電は、車両10と外部電源2とを接続する充電ケーブル5を介して行われたが、充電ケーブル5を介しない、いわゆる非接触充電であってもよい。
【0049】
例えば、
図3に示すように、車両10の下部に充電回路12と接続された受電コイル41を設ける。受電コイル41は、磁界を電流に変換しこの電流を充電回路12へ送る。また、外部電源2と接続された送電ユニット50を設ける。送電ユニット50は、外部電源2からの電力を磁界に変えて送信する送電コイル51と、この送電コイル51への電力の供給を制御する充電制御部52とを備える。この充電制御部52には、受信した無線通信を復調する受信回路57が接続されている。受信回路57には車両10からの無線信号を受信する受信アンテナ57aが接続されている。
【0050】
車両側制御部11は、駐車中であって、電子キー20との間で無線通信していないとき、送電ユニット50へ磁界を放射する旨示す送電要求信号を生成し、この生成した信号を送信回路18に入力する。送信回路18は、この送電要求信号を所定周波数の電波に変調する。送信アンテナ18aは、送信回路18により変調された送電要求信号を車両周辺に送信する。
【0051】
受信アンテナ57aを介して車両10から送電要求信号を受信した受信回路57は、この送電要求信号を復調して、この復調した信号を充電制御部52に供給する。充電制御部52は、この信号を受信している間、送電コイル51へ外部電源2からの電力を供給する。送電コイル51は、外部電源2から供給される電力を磁界(交流磁界)に変換し、この磁界を放射する。
【0052】
送電コイル51からの磁界を受電コイル41が受信すると、受電コイル41は、受信した磁界を電流(交流電流)に変換する。そして、その交流電流を充電回路12へ送る。充電回路12は、交流電流を直流電流に変えてバッテリユニット13へ送る。
【0053】
さて、車両10と電子キー20とが無線通信を行う場合、車両10は、送電ユニット50への送電要求信号の送信を停止する。送電コイル51から磁界が送信されることがないので、車両10と電子キー20との間の無線通信を好適に行うことができる。
【0054】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の車両用通信システムにおいて、前記制御手段は、前記スイッチが操作されて前記無線通信が開始されると、前記バッテリへの充電を停止させる車両用通信システム。
【0055】
同構成によれば、充電に基づく磁界の乱れを受けることなく、車両と電子キーとの間の無線通信を実行することができる。