特許第5711103号(P5711103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711103
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ゴルフボールバリ取り装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/00 20060101AFI20150409BHJP
   B24B 11/02 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B24B9/00 602A
   B24B11/02
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-271280(P2011-271280)
(22)【出願日】2011年12月12日
(65)【公開番号】特開2012-125916(P2012-125916A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2012年9月27日
(31)【優先権主張番号】12/968,033
(32)【優先日】2010年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314006455
【氏名又は名称】ナイキ イノヴェイト シーヴィー
(74)【代理人】
【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
(72)【発明者】
【氏名】オノ タカヒサ
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−333027(JP,A)
【文献】 米国特許第03561908(US,A)
【文献】 特開平06−170015(JP,A)
【文献】 特開昭49−126439(JP,A)
【文献】 特開昭60−232861(JP,A)
【文献】 特開2004−215962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/00
B24B 11/00−11/10
A63B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールのバリ取りを行うバリ取り構造体において、
ボールホルダと、
前記ボールホルダに対して動くことができる調節自在アームであって、該アームの長さ方向に沿って移動できるとともに、該アームの一端部を軸として回動できるように構成された調節自在なアームと、
前記アームに取り付けられており、前記アームに対して往復動できる、ボールを研磨するための研磨面を含む第1フィンガと、
前記アームの第1側に隣接して配置された第1カムと、前記アームの第1側の反対側に位置する第2側に隣接して配置された第2カムと、
を備え、
第1カムと第2カムの各々は、前記ボールホルダに対する前記アームの配向を変えるように前記アームと接触する位置まで動くことができ、
前記研磨面は、前記ボールホルダに対する前記アームの長さ方向に沿った方向の位置が有効長さ方向位置でかつ前記配向が有効配向であるときに、前記ボールホルダに配置されたボールに当接可能となる、バリ取り構造体。
【請求項2】
前記第1フィンガ及び電子式制御装置に操作可能に連結され、前記フィンガの往復動を制御できる空気圧縮器をさらに備える、請求項1に記載のバリ取り構造体。
【請求項3】
前記アームに取り付けられており、前記アームに対して往復動できる、第2研磨面を含む第2フィンガをさらに備え、
子式制御装置は、前記アームに対する第2フィンガの往復動位置を制御することができることを特徴とする請求項1に記載のバリ取り構造体。
【請求項4】
前記第1フィンガ及び前記第2フィンガの各々に操作可能に連結されており、各フィンガの往復動を互いに独立して制御できる液圧流体入力部をさらに備える、請求項3に記載のバリ取り構造体。
【請求項5】
第1カムが回転することにより前記ボールホルダに対する前記アームの有効配向が変化することを特徴とする請求項1に記載のバリ取り構造体。
【請求項6】
第1カムは第1カム面を有し、第1カムが回転することにより第1カム面が前記アームの第1側と接触するように、第1カムが回転可能になっていて、これにより前記アームの有効配向を変えることができることを特徴とする請求項5に記載のバリ取り構造体。
【請求項7】
第2カムが回転することにより前記ボールホルダに対する前記アームの有効配向を変えることができることを特徴とする請求項5に記載のバリ取り構造体。
【請求項8】
前記アームの第1側及び第2側の一方に配置され、前記ボールホルダに対する前記アームの有効長さ方向位置を変えるように前記アームを動かすことが可能な歯車をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバリ取り構造体。
【請求項9】
前記歯車は、第1カム及び第2カムの一方に対して回転的に及び摺動自在に動くことができる、請求項8に記載のバリ取り構造体。
【請求項10】
第1フィンガは、前記アームに対して直線的に往復動できることを特徴とする請求項1に記載のバリ取り構造体。
【請求項11】
ボールホルダと
前記ボールホルダに対して動くことができる調節自在なアームであって、該アームの長さ方向に沿って移動できるとともに、該アームの一端部を軸として回動できるように構成された調節自在なアームと、
前記アームに設けられた研磨器と、
前記アームの第1側に隣接して位置決めされており、前記アームを動かして前記アームの前記ボールホルダに対する配向を変えることができる第1カムと、
前記アームの第1側の反対側に位置する第2側に隣接して位置決めされており、前記アームを動かして前記アームの前記ボールホルダに対する配向を変えることができる第2カムと、
前記アームの第1側及び第2側の一方に配置された歯車であって、前記ボールホルダに対する前記アームの有効長さ方向位置を変えるように前記アームを動かすことが可能な歯車と、
を備え、
前記研磨器の研磨面は、前記ボールホルダに対する前記アームの長さ方向に沿った方向の位置が有効長さ方向位置でかつ前記配向が有効配向であるときに、前記ボールホルダに配置されたボールに当接可能となる、ボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項12】
前記アームの第2側に位置決めされている第2カムは、前記アームを動かして前記アームの前記ボールホルダに対する前記有効配向を変えることができる、請求項11に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項13】
第1カムが回転することにより前記アームの有効配向を変えることができることを特徴とする請求項11に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項14】
前記研磨器は、往復動自在に前記アームに取り付けられたフィンガであって、研磨面を含むフィンガを備える、請求項11に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項15】
前記研磨器は、往復動自在に前記アームに取り付けられた、研磨面を含む第1フィンガと、前記第1フィンガから間隔が隔てられた、独立して往復動するように前記アームに取り付けられた、第2研磨面を含む第2フィンガと、をさらに備える、請求項11に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項16】
前記カムに電気的に接続された電子式制御装置であって、前記ボールホルダに対する前記アームの有効配向を制御することができる電子式制御装置をさらに備える、請求項14に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項17】
前記アームの前記有効長さ及び前記有効配向を決定ならびに制御できる電子式電気制御装置をさらに備える、請求項11に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項18】
各アームがボールホルダに対して動くことができる複数の調節自在なアームであって、該アームの長さ方向に沿って移動できるとともに、該アームの一端部を軸として回動できるように構成された複数の調節自在なアームであって、該複数のアームの各アームは、第1側及び第1側の反対側に位置する第2側を有する、複数のアームと、
互いに離間して設けられた複数のボールホルダ凹所であって、これらのボールホルダ凹所の各々がボールを保持することができ、少なくとも一つのボールホルダ凹所の位置が前記複数のアームのうちの少なくとも一つのアームと対応する、ボールホルダ凹所と、
各研磨器が前記複数のアームのうちの対応する一つのアームに取り付けられた複数の研磨器であって、その対応するアームに対して往復動できる複数の研磨器と、
各アームの自由端が該カム構造を利用して前記ボールホルダに対して進退運動することを可能にする第1のカムと第2のカムを含むカム構造と、
を備え、
第1カムと第2カムはそれぞれ、前記ボールホルダに対する前記アームの配向を変えるように前記アームの第1側と第2側に接触する位置まで動くことができ、
前記研磨器の研磨面は、前記ボールホルダに対する前記アームの長さ方向に沿った方向の位置が有効長さ方向位置でかつ前記配向が有効配向であるときに、前記ボールホルダに配置されたボールに当接可能となる、ボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項19】
複数のボールホルダ凹所を形成するボールホルダプレートをさらに備え、
前記複数のアームの各アームが前記ボールホルダプレートに隣接した第1位置に配置されていて、前記ボールホルダプレートは、前記複数のアームに対して第1位置から第2位置まで前記複数のボールホルダ凹所の各々を進ませることができるように回転可能であることを特徴とする請求項18に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【請求項20】
電子式制御ユニットが前記複数のアームの各アームの動きを互いに独立して制御することを特徴とする請求項18に記載のボールのバリ取りを行う構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、ゴルフボールの外面のバリ取りに使用される構造体に関する。更に詳細には、本開示は、ゴルフボール上のバリを選択的に除去できる構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのゴルフボールは、多数の層で形成されている。これらのゴルフボールの多くは、射出成形技術を使用して製造されている。代表的なゴルフボール金型の内面の大部分は滑らかであるけれども、一般的な成形技術では、様々な不連続部分が製品の表面に形成される。
【0003】
多くの場合、ゴルフボールは射出成形を使用して型成形される。射出成形金型を使用する場合、様々な特徴が共通する。第1に、代表的には、注入ノズルを金型キャビティに挿入するための開口部が設けられている。次に、多くの場合、金型を樹脂又は他の材料で充填するときに空気を逃がすための一つ又はそれ以上のベント穴が設けられている。最後に、中間層を別の材料で取り囲む際に中間層を安定させるために挿入されるピン用の穴が設けられている。金型のこれらの開口部の各々は、金型の表面に不連続部分を形成する。各不連続領域は、成形されたボール上に不連続部分又はバリを形成してしまう。
【0004】
ボール上の不連続部分及びバリは、一般的には、望ましくない。ゴルファーにとって、代表的には、ボールの空力学的特性が重要である。不連続領域があると、ボールの空力学的特性が変わり、満足すべき弾道が得られない。従って、成形後にボールのバリ取りを行うシステム及び構造体が使用されてきた。
【0005】
幾つかの従来のシステムでは、成形されたボールは、恐らくは他のボールとともにビンに入れられ、サンドペーパー、軽石、等の研磨物によって取り囲まれる。次いでビンを震盪させ、ボールを取り出す。こうしたシステムでは、ボールに作用する研磨の程度を正確に制御できず、ボールの表面の研磨は一貫しておらず、別の不連続部分を形成する。
【0006】
他の従来のシステムでは、ボールをグラインダーに入れ、回転又は震盪させ、研磨面がボールの表面全体を均等に研磨する。このようなシステムは、研磨を加える必要がないボールの表面も研磨してしまう。従って、こうしたシステムはバリを除去するけれども、ボールの表面の他の領域に損傷を加えがちである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ボールの表面のバリが存在する領域を選択的に研磨するのに使用でき、バリがない領域には研磨を行わない構造体及び方法が望ましい。このようなシステムは、バリを効果的に除去し、ボールの他の領域への損傷を最少にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例では、ボールから少なくとも一つのバリを除去するためのバリ取り構造体を提供する。ボールホルダが提供される。調節自在のアームがボールホルダに対して移動できる。第1フィンガがアームに取り付けられており、アームに対して往復動できる。第1フィンガは、研磨面を含む。電子式制御装置を使用して様々な部品の互いに関する移動を制御できる。
【0009】
別の実施例では、ボールのバリ取りを行うための構造体が提供される。ボールホルダが設けられている。アームには、ボールホルダに対して所定の有効長さ及び所定の角度位置が設けられている。第1カムがアームの第1側に位置決めされている。第1カムは、アームを移動し、ボールホルダに対するその有効角度位置を変化できる。第2カムがアームの第2側に位置決めされていてもよい。第2カムもまた、アームを移動でき、ボールホルダに対するアームの有効角度位置を変化できる。ボールホルダに対するアームの有効長さを変えるため、アームの一方の側に歯車が設けられている。一つ又はそれ以上のフィンガがアームに往復動自在に位置決めされている。電子式制御装置を使用して様々な部品の互いに関する移動を制御できる。
【0010】
この他のシステム、方法、特徴、及び実施例の利点は、添付図面及び詳細な説明を検討することにより当業者に明らかになるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、この説明及びこの概要に含まれており、開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護される。
【0011】
本発明は、添付図面及び以下の説明を参照することにより更によく理解できる。添付図面における構成要素は、必ずしも等縮尺ではなく、その代わり、本発明の原理を例示するにあたり、強調がなされている。更に、添付図面では、様々な図に亘り、同様の参照番号が対応する部品に付してある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、射出成形金型の一実施例内で成形されているボールの断面図である。
図2図2は、図1の金型を使用して製造されたボールの概略側面図である。
図3図3は、ボールホルダに挿入した図2のボールの側面図である。
図4図4は、選択的バリ取り構造体の部分断面図である。
図5図5は、バリ取り構造体の一部を示す部分断面図である。
図6図6は、バリ取り構造体の一部の第1実施例の部分側面図である。
図7図7は、バリ取り構造体の一部の別の実施例の部分側面図である。
図8図8は、ボールホルダプレートの平面図である。
図9図9は、研磨器の部分断面平面図である。
図10図10は、バリ取り構造体の一部の別の実施例の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ゴルフボールのバリ取りに使用される構造体に関する。ゴルフボールの成形で代表的に使用される方法においては、ゴルフボールのバリ取りを行う必要がある。ゴルフボールの製造は、多くの場合、射出成形プロセスによって行われる。射出成形プロセスは、代表的には、様々な不連続部分を含む金型を使用する。各不連続部分により、ボールの外面にバリが形成されてしまう。
【0014】
図1は、ゴルフボールに最終層を付ける成形工程を示す。この最終成形工程は、カバー層即ちトップコートを追加する工程であってもよく、又は設計者が望むどのような最終成形工程であってもよい。最終的に成形された層の内側にあるボールの残りの層を、集合的に内部層と呼び、ここに参照番号102を付した。幾つかの実施例では、層102は単一の層即ちコアである。他の実施例では、層102には、コア、中間層、マントル層、他の中間層又は挿入体が、単独で又は他の層との組み合わせで含まれていてもよい。
【0015】
図1は、最外層を形成するための金型130の使用を示す。金型130は、その内部で成形される材料に応じて、様々な種類の金型のうちの一つであってもよい。図1では、金型130は、標準的な射出成形金型として示してある。金型130は、第1金型部分132及び第2金型部分134を含んでいてもよい。第1金型部分132及び第2金型部分134は、成形を行う前に金型130内に物品を配置するため、又は成形後に成形した材料を取り出すため、互いから分離できる。第1金型部分132及び第2金型部分134は、その内部にキャビティ136を形成する。注入ポート138は、例えば、成形キャビティ136の頂部に設けられていてもよい。注入ポート138は、材料101を収容した容器140と流体連通していてもよい。幾つかの実施例では、材料101は、SURLYN(登録商標)等の熱可塑性ウレタンであってもよい。材料101は、容器140から注入ポート138を介してキャビティ136に導入される。
【0016】
材料101を成形キャビティ136に注入するとき、成形キャビティ136から空気を抜かなければならない。従って、空気を逃がすことができるベント穴が金型130に組み込むまれていてもよい。図1の実施例では、四つのベント穴が示してある。詳細には、成形キャビティ136と金型130の外部との間の様々な場所で延びる、第1ベント穴122、第2ベント穴124、第3ベント穴126、及び第4ベント穴128が示してある。ベント穴の位置及び数は例示であって、当業者の所望のように変更してもよい。
【0017】
図1に示すように、成形キャビティ136内に内部層102を適正に位置決めするための一つの選択肢は、内部層102を複数のピンで支持することである。図1は、第1ピン146、第2ピン148、第3ピン150、及び第4ピン152の使用を示す。第1ピン146、第2ピン148、第3ピン150、及び第4ピン152は、成形キャビティ136内で格納できるように設計されている。材料101を成形キャビティ136に注入すると、この材料が成形キャビティ136を充填する。材料が硬化を開始したとき、材料は成形キャビティ136内で内部層102を支持できるようになる。材料101が硬化を開始したとき、第1ピン146及び第4ピン152を引っ込めることができる。材料101が成形キャビティ136の更なる充填を開始したとき、第2ピン148及び第3ピン150を引っ込めることができる。このように材料101の一部が硬化した後にピンを引っ込めることにより、内部層102を成形キャビティ136内の中央に置いたまま、材料101で成形キャビティ136を均等に充填できる。ここに特定的に図示も説明もなされていないけれども、ボール内部層102の成形に同様の方法を使用できる。
【0018】
四本のピン146、148、150、152が示してあり、これらのピンが成形キャビティ136の側部からしか突出していないけれども、これらの特徴は、限定であると考えられるべきではない。幾つかの実施例では、成形キャビティ136にこれ以上多くの又はこれよりも少数のピンを配置してもよい。他の実施例では、ピンは、成形キャビティ136に亘り更に均等に間隔が隔てられていてもよい。最後に、ピンを成形キャビティ136の頂側又は底側に配置してもよい。当業者は、選択された材料及び所望の設計特性に基づき、適当な成形環境を提供するように金型の設計を変えることができる。
【0019】
図1では、ピンは、後退して成形キャビティ136の内壁と実質的に面一になっているのでなく、内部層102と接触した状態で示してある。これらのピンは、それらの前進した位置がわかるようにするため、図1にそのように位置決めされているのである。商業的実施例では、材料101が成形キャビティ136をこの程度まで完全に充填したとき、キャビティ136を材料101で完全に充填できるようにするため、ピンの一部または全部が格納されているはずである。
【0020】
金型130は、注入されて最外層を形成する材料に応じて、加熱されてもよいし、室温であってもよい。金型130が加熱された場合には、金型を冷却させる。金型130が室温に達した後、又は層を適切な時間に亘って硬化させた後、例えば第1金型部分132を第2金型部分134から分離することによって、形成されたボールを金型130から取り出してもよい。
【0021】
金型内壁145の構造は、ボールの外面を型成形するように設計されていてもよい。従って、内壁145には、ボールのカバーに成形されるべきディンプル及びランド、及び他の所望のマークを提供するようにパターンが付けてあってもよい。ボール外面の正確な形体は、ボールの所望の特性で決まる。当業者は、所望の特性を持つ内壁145を、ボールの所望の特性に従って、過度の実験を行うことなく、容易に設計できる。ボールの外側に付けたディンプルのパターンは、ボールの内壁の特性とは別個に設計されてもよい。本開示では、選択されたディンプルパターンは開示の構造体にそれ程大きな影響は及ぼさない。従って、添付図面に示す内壁145は、パターンの詳細を示すのではなく、平滑であるように示してある。
【0022】
図2は、図1に示すプロセスで製造した例示のボール200を示す。図2は、ボール200の外面220に9個のバリがあることを示す。添付図面の多くにおいて、外面220は平滑な表面として簡単な形態で示してある。商業的実施例では、ボール200は、様々なディンプル及びこれらのディンプルを取り囲むランドを含む。正確なディンプルパターンは、本実施例の機能にとって重要ではなく、従って、本明細書中に記載した実施例を更によく理解するため、添付図面ではディンプルパターンはなくしてある。
【0023】
図2に示す9個のバリの各々は、図1を参照して説明した金型130のエレメントと位置がほぼ一致する。第1バリ246、第2バリ248、第3バリ250、及び第4バリ252は、第1ピン146、第2ピン148、第3ピン150、及び第4ピン152の各々と位置が一致する。基本的許容差の積み重ね、内部層102及び成形キャビティの壁145の形状の相違、及びその他の考慮すべき事項のため、夫々のピンが成形キャビティの壁145出会う場所の各々の位置で、ボール200の外面220に対応するバリが形成され易い。
【0024】
第5バリ222、第6バリ224、第7バリ226、及び第8バリ228は、第1ベント穴122、第2ベント穴124、第3ベント穴126、及び第4ベント穴128の各々と位置がほぼ一致する。これらのベント穴は、成形キャビティ136から空気を逃がすことができる開口部として設けられている。しかしながら、これらのベント穴では、材料が成形プロセス中に各ベント穴に或る程度侵入してしまう。こうした侵入及び他の要因により、各ベント穴と隣接した場所で、ボール200の外面220にバリが形成され易い。
【0025】
第9バリ238は、注入ノズル即ち注入ポート138と位置がほぼ一致する。金型内壁145がノズル138の領域で不連続であるため、及び場合によっては、ノズル138から完全には分離しなかった材料101の特性のため第9バリ238は、ボール200の外面220のこの領域に形成され易い。
【0026】
添付図面及び本説明において、様々な成形エレメント及び対応するバリの位置を簡単に示した。商業的実施例では、全てのピン、ベント穴、及び注入ポートが金型130の単一の平面に沿って整列する必要はなく、望ましくないかもしれない。当業者は、ピン、ベント穴、及びポートが金型130に亘って互いから間隔が隔てられた金型を設計しがちである。しかしながら、これらのエレメントの各々の特定の位置に関わらず、バリは、金型の各不連続領域で形成され易い。金型のこの他のエレメントもまた不連続領域を形成するが、これらはここには示してない。これらのエレメント及び対応するバリが単一の平面上で整列しているように示してあるが、これは単なる例示であって、本実施例は、バリがそのように整列した場合に限定されると考えられるべきではないということは理解されよう。
【0027】
図3は、ボールホルダ310に位置決めされたボール200を示す。ボールホルダ310は、ボールを特定の位置に配置できるどのような種類のホルダであってもよい。望ましくは、ボールホルダ310の第1面314には凹所312が形成されている。凹所312は、そこに配置される任意のボール200と形状及び大きさがほぼ一致するように設計されていてもよい。USGAの規則によれば、規則に適ったボールは、現在の規則によれば、直径が1.68インチ(約42mm)よりも小さくてはならず、球形であり且つ球形対称でなければならない。特定の成形構造体及び方法でボールの表面上に形成されたバリの位置に応じて、当業者は、所望の成形構造体及び方法で形成されたボール200を受け入れるのに必要な凹所312の直径及び深さを決定できる。この好ましい実施例と関連して様々な直径のボールを使用できる場合には、ボールの各直径について特定的に設計されたいずれのボールホルダを選択してもよく、又はキャビティ312が様々な直径を持つことができるように調節できるようにボールホルダ310の中央領域316を変更してもよい。凹所312は、図3に示すように、ボール200の外面220に近い表面313を持つように設計されていてもよいが、キャビティ312の表面313は、ボール200を支持しない場合には、ボール200の外面220に近い必要はない。
【0028】
凹所312には、ボールグリップ318が設けられていてもよい。ボールグリップ318は、以下に更に詳細に説明するように、特にボール200に圧力が加えられた場合にボール200がボールホルダ310に対して移動しないようにするのに役立つ様々な材料のうちの任意の材料で形成されていてもよい。多くの実施例において、グリップ318は、滑り止め靴底に共通したゴム引き材料等の、スリップを最少にする最適な粘着性を持つゴム引きストリップであってもよい。他の場合には、グリップ318は、ボール200を凹所312内に保持するのに適しており、バリ取りプロセスの完了後にボール200を取り外すことができる接着剤であってもよい。別の実施例では、グリップ318は、ボール200と噛み合い、移動を阻止する機械式クランプであってもよい。多くの実施例において、ボール200とホルダ310との間の唯一の接触は、グリップ318を通してなされる。
【0029】
幾つかの実施例では、ボールホルダ310が回転するのが望ましい。従って、回転器304がボールホルダ310の部品として組み込まれていてもよい。回転器304は、ボールホルダ表面314を回転させることができる様々な構造体のうちの任意の構造体であってもよい。多くの実施例において、回転器304は、モータ306及びシャフト308を含む。モータ306は、望ましくは、標準的なAC電気モータであってもよい。シャフト308は、モータ306の出力シャフトに直接的に取り付けられていてもよいし、トランスミッションを介して取り付けられていてもよい。この他の形態を使用してもよい。回転器304は、その最も簡単な形態において、出力シャフトがボールホルダ表面314に取り付けられた簡単な手回しクランクであってもよい。他の実施例では、AC電気モータの代わりに、エンジン、DCモータ、又は他の直接駆動システム又は間接駆動システムを使用してもよい。幾つかの実施例では、回転器304は、その近くに又は遠方に配置された電気制御装置307の指令を受け、この指令に従って作動できるように構成された回転器であるのが望ましい。電気制御装置307は、例えば、モータ306がオンであろうとオフであろうと、及びシャフト308及びボールホルダ表面314の回転速度に関わらず、遠隔制御可能であってもよい。シャフト308のいずれかの端部でトランスミッションを使用する場合には、電気制御装置307は、多数の歯車が設けられている場合、使用される歯車減速比を制御できる。
【0030】
次に、図4を参照すると、この図には、ボール200のバリ取りで使用される様々なエレメントの全体形体が示してある。基本的なエレメントは、ホルダ310及びアーム460である。これらの二つのエレメントは、ボール200と相互作用し、ボール200の外面220からバリ201を除去する。
【0031】
アーム460は調節自在であり、ボール200及びホルダ310に対するアーム460の相対的な位置は、ポジショナ462の作用によって決定される。ポジショナ462に様々な構造体を組み込むことができる。図4に示す実施例では、ポジショナ462は、第1カム464、第2カム466、及び歯車468を含む。
【0032】
第1カム464は、アーム460の第1側470と隣接して位置決めされている。第2カム466は、アーム460の第2側472と隣接して位置決めされている。第1カム464は回転自在であり、第1中央区分474及び第1カム面476を含んでいてもよい。第1カム464が回転すると、第1カム面476が調節自在のアーム460の第1側470と接触する。第1カム面476と調節自在のアーム460との間の接触により、調節自在のアーム460の角度位置をホルダ310及びボール200に対して変化させる。第2カム466もまた回転自在であり、第2中央部分478及び第2カム面480を含んでいてもよい。第2カム466が回転すると、第2カム面480が調節自在のアーム460の第2側472と接触する。第2カム面480と調節自在のアーム460との間の接触により、調節自在のアーム460の角度位置をホルダ310及びボール200に対して変化させる。第1カム464及び第2カム466は互いに独立して使用でき、又は調節自在のアーム460を所望の角度位置で更に安定させるために協働して使用してもよい。第1カム464及び第2カム466は、手動で位置決めしてもよいし、電気的に位置決めしてもよい。幾つかの実施例では、第1カム464及び第2カム466は、電子制御ユニット307によって電子的に制御されてもよい。
【0033】
歯車468を使用してホルダ310及びボール200に対するアーム460の有効長さを変化させてもよい。歯車468を図5に更に詳細に示す。歯車468は、歯車歯578を含む。アーム460は、アーム460の第2側472に位置決めされた状態で示してある噛み合い歯車歯580を含む。歯車468及びその関連した部品がアーム460の第2側472に設けられているように示してあるが、歯車468及びその関連した部品及び噛み合い歯車歯580は、アーム460の第1側470に位置決めされていてもよい。歯車歯578及び噛み合い歯車歯580は、アーム460の有効長さを変化させるように機能する。図4及び図5に示す構成では、歯車468が時計回り方向に回転すると、歯車歯578及び噛み合い歯車歯580は、よく理解された態様で、アーム460を図4及び図5で左方に動かし、これによってアーム460がホルダ310に対して延びて、アーム460の有効長さが大きくなる。同様に、歯車468が反時計回り方向に回転すると、歯車歯578及び噛み合い歯車歯580は、周知の様式で動くことによって、アーム460を図4及び図5で右方に動かし、これによってアーム460がホルダ310に対して引っ込み、アーム460の有効長さが小さくなる。歯車468をノブ又はクランク(図示せず)によって手動で回転してもよい。変形例では、歯車468の回転を電気モータ579等によって電気的に制御してもよい。電気モータ579は、歯車468及びアーム460の位置を制御するため、電子制御装置307に接続されていてもよい。
【0034】
多くの実施例において、歯車468は、第1カム464と第2カム466との組み合わせで支点として機能する。このような実施例では、ホルダ310に対するアーム460の移動範囲を大きくできるように、歯車468を上下に移動できるのが望ましい。ピン582が歯車468に取り付けられていてもよい。このピン582は、アーム460の歯車468とは反対側470に延びていてもよい。ピン582を歯車468に取り付ける取り付け構造体584は、アーム460と歯車468との間の公差の蓄積を補正するように、又は交換のためにアーム460を取り外すことができるように調節自在であってもよい。取り付け構造体584を図4及び図5に固定アームとして示す。しかしながら、幾つかの実施例では、取り付け構造体584はばね又は他の構造であってもよい。多くの実施例において、歯車歯578及び噛み合い歯車歯580が互いにぴったりと接触するようにしっかりと押圧するように、取り付け構造体584を設計するのが望ましい。
【0035】
上述のように、幾つかの実施例では、アーム460の移動範囲を大きくできるように、歯車468の垂直方向位置が調節自在であるのが望ましい。一実施例では、歯車468は、スロット586に設置できるように形成されていてもよい。スロット586は、所望の移動範囲を提供する任意の適当な長さであってもよい。歯車468は、手動でスライドさせて係止すること(図示せず)によって手動で調節できてもよい。変形例では、スロット586内での歯車468の高さを、例えば電気モータ又は電子式制御ユニット307に接続された他の電子制御装置によって制御してもよい。
【0036】
歯車468と関連して多部品システムを開示したが、幾つかの実施例では、添付図面に示す程度の複雑さを提供するのは不要である。幾つかの実施例では、ピン582及び歯車468を所定の場所に固定し、アーム460をこれらの間で案内してもよい。ピン582は、図のように円形のピンであってもよいし、別の態様では、平らな表面を備えていてもよい。ピン及び歯車の精密な構成は、歯車−ピンシステムが支点として機能できるのに十分な安定性を歯車−ピンシステムに提供する、当業者に周知の様々な方法で変更してもよい。
【0037】
次に、図4及び図6を参照すると、追加の自由度が提供される。アーム460には研磨工具690が設けられている。研磨工具690は、図4には簡単な形態で示してあり、図6に更に詳細に示す。研磨工具690は、図4及び図6において、アーム460の自由端692の近くに位置決めされた状態で示してある。しかしながら、研磨工具690は必ずしもそのように位置決めされていなくてもよい。研磨工具690は、アーム460に沿った任意の所望の位置に位置決めされていてもよい。アーム460は、幾つかの実施例では自由端を備えていなくてもよいが、ボール200の周囲で閉じた曲線をなして延びていてもよい。
【0038】
研磨工具690は様々なエレメントを含む。研磨工具690は、ケーシング694を含み、このケーシングは、ディバイダ696と、往復動フィンガ698と、プランジャー602と、液圧流体入力部604と、流体伝達デバイス606とを含む。研磨工具690は他の液圧システムと同様に機能する。多くの実施例において、液圧流体入力部604は、空気圧縮器であってもよい。プランジャー602をディバイダ696に向かって下方に動かそうとするとき、入力部即ち圧縮器604を作動する。空気等の流体がチューブ即ち流体伝達デバイス606を通してプランジャー602と隣接したキャビティ608に送られる。空気又は他の液圧流体がキャビティ608に導入されることにより、プランジャー602をディバイダ696に向かって動き、往復動フィンガ698がケーシング694の開放端610から外方に動く。
【0039】
往復動フィンガ698は、研磨面612等の少なくとも一つの研磨面を含む。研磨面612は、様々な材料で形成されていてもよいが、ボール200の一つ又はそれ以上のバリ201を形成する材料と関連して選択されてもよい。例えば、研磨面612の所望の硬度は、バリを形成する材料に応じて異なっていてもよい。研磨面612は、支持体に被せたサンドペーパーで研磨面612が形成されている場合等では、薄くてもよい。別の態様では、研磨面612は、例えば軽石を研磨面612として使用しようとする場合等では、フィンガ698と同延であってもよい。即ち、フィンガ698全体が研磨材で形成されていてもよい。研磨面612がフィンガ698と同延である一実施例では、ボール200に向かうフィンガ698の突出の程度を、磨耗するフィンガ698の量に基づいて計算してもよい。研磨面612が薄い実施例では、研磨面612の交換頻度が比較的高く、研磨面612の劣化程度の計算、推算、又はセンサの読みは余り重要ではない。
【0040】
フィンガ698を引っ込めるのが所望である場合には、圧縮器即ち入力部604を、流れの方向を逆にして再び作動する。このような場合には、空気又は他の流体をキャビティ608からチューブ606を通して運び去るように圧送し、これによってキャビティ608内に真空を発生する。このような真空により、プランジャー602をディバイダ696から遠ざかる方向に移動し、これによってフィンガ698をケーシング694内に引っ込める。
【0041】
液圧入力部604の作動を手動で、例えば使用者がボタンを押すことによって、又はスイッチ(図示せず)を作動することによって行ってもよい。別の態様では、液圧入力部604の作動を電子的に、例えば電子式制御ユニット307によって行ってもよい。作動が電子的に行われる場合には、フィンガ698及び研磨面612をホルダ310、ボール200、及びバリ201に対して適正に位置決めするため、電子式制御ユニット307が液圧入力部604を更に正確に制御できるように、研磨面612の劣化の程度を検出するセンサが設けられていてもよい。
【0042】
一つの変形例を図7に示す。図7は、同じアーム460で第1研磨工具790及び第2研磨工具890を使用することを示す。図7に示すように、同じアーム460で多数の研磨工具を使用してもよく、これらの研磨工具を独立して制御してもよい。
【0043】
図7は、液圧流体を、第1チューブ即ち伝達デバイス706を介して、及び第2チューブ即ち伝達デバイス806を介して、独立して送出できる単一の液圧入力部704を示す。このような独立性は、例えば、当業者が一般的に理解するように、独立したバルブ装置(図示せず)を設けることによって行ってもよい。入力部を形成するバルブ装置は、例えばレバー(図示せず)を用いて手動式に制御されてもよく、又は例えば電子式制御ユニット307を使用して電子式に制御されてもよい。
【0044】
第1プランジャー702又は第2プランジャー802を第1ディバイダ796又は第2ディバイダ896に向かって下方に動かそうとする場合には、入力部即ち圧縮器704を作動させる。空気等の流体が第1チューブ即ち流体伝達デバイス706を通って第1プランジャー702と隣接した第1キャビティ708内に送出される。更に、空気等の流体が第2チューブ即ち流体伝達デバイス806を通って第2プランジャー802と隣接した第2キャビティ808内に送出される。空気又は他の液圧流体を第1キャビティ708に導入することにより、第1プランジャー702が第1ディバイダ796に向かって動き、第1往復動フィンガ798が第1ケーシング794の第1開放端710から外方に動く。空気又は他の液圧流体を第2キャビティ808に導入することにより、第2プランジャー802が第2ディバイダ896に向かって動き、第2往復動フィンガ898が第2ケーシング894の第2開放端810から外方に動く。同様に、図6と関連して図示し且つ説明した構造体と関連して上文中に説明したのと同じ方法で、プランジャーを逆方向に移動できる。図7でわかるように、望ましい又は有用な場合には、多数のプランジャーが多数の位置に配置されていてもよい
【0045】
第1往復動フィンガ798は、第1研磨面712を含み、第2往復動フィンガ898は、第2研磨面812を含む。図7に示すように、幾つかの実施例では、第1研磨面712及び第2研磨面812の形状及び大きさを変えるのが望ましい。幾つかの実施例では、第1研磨面712及び第2研磨面812を異なる材料で形成するのが望ましい。また、第1研磨面712及び第2研磨面812の特性は、研磨面612と関連して説明したのと同じであってもよい。
【0046】
システムの様々な構成要素を説明したが、システム全体が理解されるであろう。幾つかの実施例では、説明したエレメントの各々は、単一のケーシングに固定されていてもよい。説明した全てのエレメントを包囲するのに単一のケーシングを使用するのが望ましい。これは、バリ取りプロセスにより粒状物が形成され、これがボールの領域から強制的に投げ出されるためである。しかしながら、各エレメントに直接的に又は間接的に取り付けられた単一のケーシングを使用する必要はなく、これらのエレメントは、互いに対して所定の位置に配置されているだけであってもよい。このような実施例では、投げ出された粒状物を逸らす保護スクリーンが、使用者とここに説明した構造体との間に位置決めされていてもよい。
【0047】
構造体の全体としての機能は、図4を参照することにより最もよく理解されるであろう。更に、本明細書中に説明した構造体は、本願と同時に出願された「ボールバリを取る方法」という表題の米国特許出願第______号(代理人事件番号第72−1145号)である、米国特許第______号に記載された方法及びシステムと関連して使用してもよい。出典を明示することにより、上記特許出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0048】
図4に戻ると、バリ取り構造体の全体が理解されよう。ボール200をホルダ310に配置する。ボール200は、望ましくは、ボールのバリ201を本プロセスで除去するように位置決めされてもよい。幾つかの実施例では、バリ201が予想された位置に現れるように使用者又は機械がボール200をホルダ310にかなり正確に位置決めできるように、ボールに印が付けてあってもよい。上文中に記載したように、バリ201は、ボール200の外面220に、全体として予想可能なパターンで形成される。これは、バリ201が、一般的には、金型130の周知の設計された不連続部分によって形成されるためである(図1参照)。幾つかの場合では、バリ201が予想された位置にある図4に示す状態でボール200をホルダ310に位置決めできるようにボール200に印を付けることができる。他の実施例では、ボールに形成されたバリの位置をマッピングし、バリ取りを行う領域を表示するため、一つ又はそれ以上のセンサ(図示せず)をシステムに組み込んでもよい。
【0049】
次いでアーム460を適正な位置に配置する。歯車468を時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかに回転させことによってアーム460の有効長さを調節してもよい。第1カム464、第2カム466、又はこれらの両方を回転することによってアーム460の有効角度位置を調節してもよい。更に、図6に示すように、研磨面612が一つ又はそれ以上のバリの近くの作動位置にあるように往復動フィンガ698を移動することによって、研磨面を有効位置に配置する。次いで、ホルダ310を回転する。ホルダ310を回転することによりボール200を回転させる。ボール200の回転により、研磨面612をバリ201及びボール200の外面220とボール200の周囲でリング状をなして接触させる。この接触及び相対的な移動により、研磨面612で、この研磨面612が接触するバリ201を擦り取り、これによってボール200から少なくとも一つのバリ201を除去する。ボール200を有効回数又は有効時間に亘って回転した後、アーム460を再位置決めし、別の少なくとも一つのバリ201を除去する。
【0050】
望ましいと考えられる数のバリを除去するため、上文中に概括的に説明したプロセスを所望の回数だけ繰り返してもよい。幾つかの実施例では、一回の研磨経路でできるだけ多くのバリを除去できるように金型130を設計してもよい。これによって必要な研磨パスの回数を最少にし、ボール200の最外カバー即ち表面層を傷つけることを少なくする。
【0051】
変形例を図8図9、及び図10に示す。幾つかの場合には、ボール上の一連のバリと隣接して順次位置決めされる単一の移動自在のアームを使用する代わりに、各々がボール上の一つ又はそれ以上のバリを除去するように配置された複数のアームを使用するのが望ましい。こうした構造体を図8図9、及び図10に示す。
【0052】
図8は、ボールホルダプレート900を示す。ボールホルダプレート900は、更に、軸線920を含んでいてもよい。ボールホルダプレート900は、軸線920を中心として回転できるように形成されていてもよい。ボールホルダプレート900は、固定軸線920を含んでいてもよく、駆動回転器が軸線920の外側に配置されており、又は軸線920のところに配置された回転器により回転運動させてもよい。
【0053】
ボールホルダプレート900は、複数のボールホルダ凹所を含んでいてもよい。これらの凹所には、第1ボールホルダ凹所902、第2ボールホルダ凹所904、第3ボールホルダ凹所906、第4ボールホルダ凹所908、第5ボールホルダ凹所910、第6ボールホルダ凹所912、第7ボールホルダ凹所914、第8ボールホルダ凹所916、第9ボールホルダ凹所918が含まれてもよい。幾つかの実施例では、ボール(図示せず)を従来の装置(図示せず)で第1ボールホルダ凹所902に配置してもよい。ボール200がボールホルダ310に配置されたのと同じ図示の相対的位置に位置決めされるように、ボールを第1ボールホルダ凹所902に配置してもよい。センサ901(図10参照)を使用し、第1ボールホルダ凹所902に配置されたボールの配向を確認し、ボールの各バリが露呈されており、除去できることを確かめてもよい。ボールの挿入に使用された機構は、様々な従来のボール配置装置のうちの任意の装置であってもよく、これに参照番号950が付してある。第1ボールホルダ凹所902内への例示のボールの挿入を矢印で示す。
【0054】
ボールホルダプレート900が軸線920を中心として回転するため、各ボールホルダ凹所は、様々な位置をとることができる。図示の実施例では、9個の凹所が設けられているため、9個の対応する位置がある。正確な形体は単なる例示である。凹所902が挿入器950と隣接した位置903にあるとき、第1ボールホルダ凹所902にボールを配置してもよい。次いで、プレート920上に時計回り方向であるように位置決めされた矢印で示すようにプレート920を回転させてもよい。時計回り方向を使用することは例示であり、所望であれば、反時計回り方向を使用してもよい。凹所902は、挿入位置903から、第1研磨器960と隣接した第1研磨位置905まで回転させてもよい。第1研磨器960の構造体及び機能を以下に更に詳細に説明する。第1研磨器960は、ボールに第1研磨工程を実施してもよい。第1研磨器960による第1研磨工程の完了後、凹所902内のボールを、第1研磨位置905から、第2研磨器962と隣接した第2研磨位置907まで回転させ、第2研磨工程を加える。第1研磨器960による第1研磨工程の完了後、凹所902を、第1研磨位置905から、第2研磨器962と隣接した第2研磨位置907まで回転させ、ボールに第2研磨工程を加える。第2研磨器962による第2研磨工程の完了後、凹所902を、第2研磨位置907から、第3研磨器964と隣接した第3研磨位置909まで回転させ、ボールに第3研磨工程を加える。ボールを第4研磨器966と隣接した第4研磨位置911、第5研磨器968と隣接した第5研磨位置913、及び第6研磨器970と隣接した第6研磨位置915まで更に回転してもよい。対応する位置の各々でボールに対応する数の研磨工程を加えてもよい。各研磨器は、同じ形体を備えていてもよい。従って、構造体を研磨器960と呼ぶ場合、このような研磨器は、ボールホルダプレート920の周囲の任意の位置をとることができるということは理解されよう。
【0055】
ボールに全ての研磨工程を加えた後、ボール及び凹所902は、取り出し凹所位置917に達する。取り出し凹所位置917は、任意の従来のボール取り出し装置と隣接していてもよい。このボール取り出し装置の全体に参照番号980が付してある。取り出し凹所位置917でのボールホルダプレート900からのボールの取り出しの全体を矢印で示す。ボールが取り出された後、ボールホルダ凹所902は、休止位置919まで動かされ得る。挿入器950と取り出し器970との間の干渉を阻止する上で望ましいと考えられる場合には、他のボール輸送機器を受け入れるため、又はその他の何らかの理由により、随意であるが、取り出し位置917と挿入位置903との間の休止位置919を使用してもよい。
【0056】
9個のボールホルダ凹所を使用したが、この一連の位置を変更してもよい。例えば、所望であれば、挿入凹所位置903と第1研磨位置905との間に整合凹所位置を組み込んでもよい。凹所内でのボールの位置を確認する整合機能を挿入位置に組み込むのでなく、凹所内でのボールの位置を確認するのにこのような整合凹所位置を使用してもよい。所望であれば、前の凹所位置での処理中にボールが動かなかったことを確認するため、二つの隣接した処理位置間に整合凹所位置を組み込んでもよい。
【0057】
ボールホルダプレート900の凹所の特定の大きさ及び数の選択は、処理されるべきボールの製造で決まる。上述したように、任意のボールのバリの数は、ボールが製造される金型に組み込まれたランナー及びゲートの数で決まる。使用されたゲートの数及び大きさはボールによって異なり、ボールカバーを形成するのに使用された材料、カバーの厚さ、ボールの成形温度、及びこの他の多くの要因で決まる。使用された装置は、モジュール式であるように形成されていてもよい。例えば、研磨位置が二つしか必要でない場合には、凹所が四つしか設けられておらず、対応する位置が挿入位置903、二つの研磨位置905及び907、及び取り出し凹所917しかない別のボールホルダプレートを形成してもよい。
【0058】
更に、同じボールホルダプレートに沿って多数の挿入位置及び多数の取り出し位置を設けるのが望ましい場合がある。このような形体では、第1ボール挿入装置950が挿入位置903と隣接して位置決めされてもよい。ボールは、挿入位置903のところで挿入され、例えば第1処理位置905及び第2処理位置907等の二つの処理位置を通過する。ボール取り出し装置980が位置909と隣接して位置決めされていてもよい。この位置909は取り出し位置となる。第2ボール挿入装置950がボールホルダ位置911と隣接して位置決めされていてもよい。その結果、ボールホルダ位置911が挿入位置となる。ボールホルダ位置911のところで挿入されたボールは、第1処理位置913及び第2処理位置915等の二つの処理位置を通過し、ボールは、ボール取り出し位置917のところでボール取り出し装置980によって取り出されてもよい。かくして、夫々のボールが夫々の挿入位置903及び911の各々のところで同時に挿入されてもよい。各ボールは、夫々、二つのボールホルダ凹所位置、即ち位置905及び907及び位置913及び915の夫々で同時に処理される。次いで、各々のボールは、取り出し位置909及び917の各々のところで同時に取り出されてもよい。このような構成では、二つのボールを同時に処理できる。
【0059】
別の態様では、ボールが、プレートが受け入れることができるよりも少数の処理しか必要とせず、構造体の全体の構成を変えるのが望ましくない場合には、ボールを挿入位置903のところでボールホルダプレート900に挿入し、取り出し位置917のところで取り出し、プレート900に沿った対応する数の位置で指定された数の処理を受けてもよい。残りの凹所では、ボールは、何の作用も受けずに凹所に停まるだけであってもよい。例えば、4回の研磨処理しか必要でない場合には、ボールホルダプレート900の周囲の四つの対応するボール位置と隣接した4個の研磨器しか使用しなくてもよい。他のボール位置と隣接して機器は設けられておらず、ボールは、これらの位置では何の処理も受けない。
【0060】
上文中に開示したのと同様の構造体を研磨ボール位置の各々に研磨器960として組み込んでもよい。このような構造体では、アーム460は、ボールホルダプレート900の各研磨位置及び処理位置の各々の指定された位置に位置決めされる。上述のように各アーム460を、指定された位置まで手動で移動してもよく、又は各アーム460の位置を電子式制御ユニット307によって制御してもよい。このような構成では、ボール200を処理位置905等の処理位置まで回転してもよい。次いで、第1処理アーム460及び第1研磨器690を第1有効位置まで動かし、上文中に更に詳細に説明したように一つ又はそれ以上のバリ201を効果的に除去してもよい。このような処理を行った後、第1処理アーム460及び第1研磨器690を第2有効位置まで移動するのでなく、第1処理アーム460及び第1研磨器690を第1処理位置903にある例示のボール200から遠ざかる方向に動かしてもよい。次いで、ボールホルダプレート900を回転した後、例示のボール200を第2処理位置即ち研磨位置905に位置決めしてもよい。第2研磨位置905には、別の第1処理アーム460及び別の第1研磨器690が設けられていてもよい。次いで、この別の第1処理アーム460及びこの別の第1研磨器690を第2有効位置まで動かし、別のバリ201をボール200から効果的に除去してもよい。ボール200がボールホルダプレート900上の各処理位置を通って回転するため、ボール200は、各処理位置で、各第1処理アーム460及び各第1研磨器690から所望の一連の処理を受けることができる。当業者は、このような構成では、多数の研磨器及び様々な作動エレメントを含む実施例等の上述の実施例のうちの任意の実施例を、過度の実験を行うことなく、容易に採用できる。
【0061】
図9は、第1研磨器1000を示す。第1研磨器1000は、多数の構成要素を含んでいてもよい。第1研磨器1000は、第1研磨面1002を含んでいてもよい。第1研磨面1002は、幾つかの実施例では、シート状研磨材で形成されていてもよい。幾つかの実施例では、第1研磨面1002は、サンドペーパーのシートであってもよい。第1研磨面1002は、研磨材の連続ループ1004であってもよい。連続ループ1004は、一連の回転自在のプーリの周囲に渡すのに十分な長さを備えていてもよい。図9に示す実施例では、回転自在のプーリは、回転自在の第1プーリ1006、回転自在の第2プーリ1008、回転自在の第3プーリ1010、及び回転自在の第4プーリ1012を含む。4個の回転自在のプーリを示すが、当業者が回転自在のプーリの数を変えるのが望ましいと考える場合もある。図9及び図10において4個の回転自在のプーリを使用するのは単なる例示である。幾つかの実施例では、これらの回転自在のプーリの一つが駆動プーリであってもよく、残りのプーリは単に軸線を中心として回転するだけであってもよい。他の実施例では、各プーリが駆動プーリであってもよい。
【0062】
図9に示す実施例では、回転自在の第1プーリ1006は駆動プーリであってもよい。回転自在の第1プーリ1006は、全体が回転自在の第1プーリ1006に連結された状態で示してある駆動モータ1014によって駆動されてもよい。幾つかの実施例では、駆動モータ1014は、回転自在の第1プーリ1006の軸線1016を回転することによって回転自在の第1プーリ1006を駆動してもよい。他の実施例では、回転自在の第1プーリ1006は、その軸線によって回転されるのでなく、一組の歯車歯(図示せず)、磁気駆動装置、又は当業者が望ましいと考える任意の他の駆動システム等によって回転されてもよい。駆動モータ1014は手動で作動されてもよく、又は駆動モータ1014の制御を電子式制御ユニット307によって制御してもよい。
【0063】
図9に示す実施例等の幾つかの実施例では、連続ループ1004及び回転自在のプーリ1006、1008、1010、及び1012は、作動時にループ1004が各プーリにぴったりと嵌まるように設計されてもよい。この特徴は、様々な構造体で実現されてもよい。一実施例では、ループ1004は、ある程度の弾性を持つ材料から形成されていてもよい。こうしたループ1004を第1プーリ1006、第2プーリ1008、第3プーリ1010、及び第4プーリ1012の周囲に配置したとき、幾つかの実施例では、ループ1004には僅かに緩みがあってもよい。ループは、使用時に変形し、これを以下に更に詳細に説明する。他の実施例では、ループは十分な弾性を備えていてもよく、第1プーリ1006、第2プーリ1008、第3プーリ1010、及び第4プーリ1012の周囲にぴったりと嵌まるような形状及び大きさを備えている。他の実施例では、ループ1004は、長さが固定されており、弾性が小さくてもよい。このような実施例では、ループ1004は、不使用時には、第1プーリ1006、第2プーリ1008、第3プーリ1010、及び第4プーリ1012の周囲で僅かに緩みがあり、使用時には、以下に更に詳細に説明するように更にぴったりと嵌まってもよい。幾つかの実施例では、ループ1004が滑ったりしてプーリシステムから外れる危険を低減するため、ロック又はガイドを少なくとも一つのプーリに組み込んでもよく、又はこれと隣接して設けてもよい。
【0064】
図9に示す実施例では、ループ1004は使用されていない時の位置で示してある。ケース1018がプーリ−ループ構造体の大部分を取り囲んでいてもよい。しかしながら、この他の形状を使用してもよい。幾つかの実施例では、ケース1018は、少なくとも一部が樹脂又はプラスチックで形成されていてもよい。他の実施例では、ケース1018は金属製であってもよい。多くの実施例において、実質的に閉鎖した構造体を使用するのが望ましい。他の実施例では、実質的に開放した構造体を使用するのが望ましい。多くの実施例では、休止位置でループ1004がケース1018内に配置されるのが望ましい。幾つかの実施例では、ケース1018は、任意の内部部品の保守又は交換を行うことができるようにするため、取り外し自在の頂部を備えていてもよい。多くの実施例では、ケース1018は、少なくとも一つの側部に沿って少なくとも一つの穴1020が設けられていてもよい。
【0065】
穴1020の目的は、ループ1004をケース1018の外に突出できるようにすることである。図9に示すように、往復動フィンガ1024がケース1018内に往復動するように位置決めされていてもよい。往復動フィンガ1024は、往復動駆動装置1026に連結されていてもよい。往復動駆動装置1026は、穴1020を通して往復動フィンガ1024をケース1018に出入りさせる任意のシステムであってもよい。幾つかの実施例では、往復動駆動装置1026は、往復動フィンガ1024を、往復動フィンガ698について上述したのと同様に動く液圧ポンプであってもよい。ここでは、空気圧縮器又は他の流体入力部等によるこの説明を繰り返さない。上文中に説明したように、往復動駆動装置1026は、手動式であってもよいし、電子式制御ユニット307に接続されており、この制御ユニットによってその作動が制御されてもよい。
【0066】
往復動フィンガ1024は、ケース1018の外方に(図9で下方に)動くと、 ループ1004と係合する。往復動フィンガ1024が外方に動くことにより、ループ1004を第1プーリ1006、第2プーリ1008、第3プーリ1010、及び第4プーリ1012の周囲に締め付ける。第1駆動プーリ1006が係合したとき、ループ1004は、第1プーリ1006、第2プーリ1008、第3プーリ1010、及び第4プーリ1012の周囲で回転し、往復動フィンガ1024の係合面1028に押し付けられる。係合面1028は任意の所望の大きさ及び形状であってもよく、図9に示す係合面1028の大きさ及び形状は単なる例示である。更に、図9に示すように、往復動フィンガ1024は、第1ガイド1030及び第2ガイド1032を含んでいてもよい。第1ガイド1030及び第2ガイド1032は、ループ1004の回転中、ループ1004用のガイドとして役立つ。幾つかの実施例では、第1ガイド1030及び第2ガイド1032等のガイドを使用するのが望ましく、他の実施例では、これらのガイドをなくしてもよい。
【0067】
ボールのバリ取りを行うため、図9に示す構造体を図8に示す構造体と隣接して配置してもよい。研磨器960の一つの可能な実施例を図10に示す。ボール200等のボールをボールホルダ凹所904等のボールホルダ凹所に配置する。ケーシング1018を所望の位置に移動する。図10に示す実施例では、ケーシング1018は、C字形状突出部又はチャンネル1100に摺動自在に取り付けられている。このような摺動自在の取り付けを行うため、任意の所望の構造体を使用してもよい。例えば、ケーシング1018は、チャンネル内に又は突出部1100の周囲に突出した一つ又はそれ以上のフィンガ(図示せず)を含んでいてもよい。突出部及びチャンネルのいずれのエレメントが示されているのかに関わらず、対応する突出部及びチャンネルを使用することにより、ケーシング1018及び突出部1100にカム機能を提供する。これにより、ケーシング1018を突出部1100に対して回転する。ケーシング1018と突出部又はチャンネル1100との相対位置は、任意の所望のシステムによって制御されてもよい。図10に示す実施例では、液圧アーム1102を使用してもよい。下側アーム1104が図10に示す外方位置まで突出している場合には、フィンガ及びチャンネル1100の相互作用は、ケーシングを全体に水平方向位置に動かすように機能する。液圧アーム1104が更に内方に移動すると、ケーシング1018はチャンネル1100に沿って移動するように押圧され、別の角度位置をとる。このように、ケーシング1018をボール200に対して様々な角度位置に位置決めできる。アーム1102からの下アーム1104の突出量は、液圧ポンプ1106によって制御されてもよい。液圧ポンプ1106は、手動で制御されてもよいし、電子式制御ユニット307に接続されていてもよい。液圧アーム及びポンプを使用することは単なる例示である。当業者に周知のこの他の機構を使用してケーシング1018を様々な位置決めに移動してもよい。このような機構は、手動で制御されてもよいし、電子式制御ユニットによって制御されてもよい。
【0068】
ボール200をボールホルダ凹所904に配置した後、選択的なセンサ901を使用し、ボール200が適正に位置決めされていることを確かめてもよい。別の態様では、ボール200上の任意のバリ201の位置を検出するようにセンサ901を設計してもよい。 ボール200又はバリ201の位置についての情報は、電子式制御ユニット307に伝達されてもよいし、インターフェースを介して使用者に直接伝達されてもよい。ボール200又はバリ201が適正に位置決めされた後、バリ取りを行ってもよい。上述のように、センサ901を使用することは選択的であり、検出工程は各位置で行われてもよく、一度だけ行われてもよいし全く行われなくてもよい。選択的な検出工程を行った後、バリ取り工程を行ってもよい。
【0069】
他の実施例と関連して説明したプロセスで述べたように、ケーシング1018をチャンネル又は突出部1100に沿って適当な位置まで動かしてもよい。次いで、往復動駆動装置1026を作動させ、バリ201のところに位置決めされた穴1020を通してフィンガ1024及び研磨器1000を突出する。次いで、回転器304を作動してボール200を回転させ、駆動モータ1014を作動させてループ1004を回転させる。これによって研磨器1000を対応するバリ201と所定時間に亘って接触させてもよい。所定時間が経過した後、回転器304及び駆動モータ1014を消勢させる。次いで、ボールホルダプレート900を回転させ、当該技術分野で周知のステーションで同様のバリ201を除去するため、別のボール200を位置904に入れる。
【0070】
ボール200がその指定された位置を通って回転するため、各ステーションで、一つ又はそれ以上のバリ201をボール200から除去してもよい。各ステーションは、ボール凹所位置と対応し、図10に示すケーシング−チャンネルシステムを含んでいてもよい。各ステーションは、ボール200から異なるバリ201を除去するため、ケーシング1018をチャンネル1100に沿った異なる角度位置に位置決めしてもよい。このような方法では、各ステーションは、上述の実施例の場合と同様に、フィンガ1024が移動される一つの可能な位置を提供する。
【0071】
幾つかの実施例では、上述の実施例で説明したアーム460と同様にケーシング1018が複数の位置をとるのが望ましい。このような実施例では、ケーシング1018を所望の位置まで動かし、フィンガ1024を前進させるように作動させ、バリ201と隣接して位置決めし、ボール200を指定された期間に亘って回転させてもよい。次いで、フィンガ1024を後退させ、ケーシング1018をチャンネルとフィンガとの間のカム作用によって別の位置まで動かしてもよい。次いで、同じ構造体及び方法を使用し、ボールから別のバリ又はバリの組を除去できる。
【0072】
従って、ケーシング1018は、アーム460と同じであると考えてもよい。ケーシング1018は、図10に示すボールホルダ凹所904等のボールホルダ凹所に対して動くことができる調節自在のアームであると考えてもよい。フィンガ1024は、アーム1018に同様に取り付けられており、このアームに対して往復動できると考えられてもよい。アーム1018は、所望の位置まで動かされたとき、チャンネル又はフィンガ1100に対し、及びボールホルダ凹所904に対し、所定の有効長さ及び角度位置を持つと考えてもよい。各ケーシングは、別体のアームであると考えてもよい。
【0073】
本発明の様々な実施例を説明したが、以上の説明は例示であって限定を意図したものではなく、本開示の範疇のこの他の多くの実施例及び実施態様が可能であるということは、当業者には明らかであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の記載を除き、限定されない。更に、添付の特許請求の範囲の範囲内で様々な変形及び変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0074】
101 材料
102 内部層
130 金型
132 第1金型部分
134 第2金型部分
136 成形キャビティ
138 注入ポート
140 容器
122、124、126、128 ベント穴
145 金型内壁
146、148、150、152 ピン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10