【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、請求項1の特徴によるデバイスによって達成される。本発明によるデバイスの有益な構造およびこのデバイスの上位構造ユニットへの組み込みが、従属形式で表された請求項に特定される。請求項に提示された個々の特徴は、任意の技術的手段の形態で、互いに組み合わされてもよく、本発明のさらなる構造を示すことは留意されるべきである。特に図面と併せた記載により、本発明をさらに説明し、本発明の補足的な例示の実施形態を述べる。
【0008】
本発明による熱電デバイスは、少なくとも以下:
第1のキャリア層および第2のキャリア層を有する少なくとも1つのモジュールと、
第1のキャリア層と第2のキャリア層との間の空間と、
空間に対する、第1のキャリア層および第2のキャリア層上の電気絶縁層と、
絶縁層の間の空間に交互に配置され、互いに交互に電気的に接続される、複数のpドープおよびnドープ半導体素子と、
を備える。
【0009】
ここで提案される熱電デバイスは、特に複数の(同一の)モジュールにおいて特に層構造または層状形態で構築されて、熱電発電機を形成する。特に、複数の相互接続されたモジュールが熱電デバイスを形成する。この場合、熱電デバイスは、特に、複数の熱電デバイスがまた、熱電発電機を生成するための構造ユニットとして一緒に配置され得るハウジング内に配置される。モジュールに加えて、熱電デバイスは、特に、外側に対して空間を塞ぐ密封手段と、また、モジュールにおいて生成された電流を自動車の貯蔵部または負荷部に伝導することができる電気回路を生成するための接続手段とを有する。
【0010】
半導体素子は、特に熱電デバイスの外側境界を形成する2つのキャリア層の間に特に互いに平行して配置される。この場合、外側キャリア層は主に、熱電デバイスから熱電デバイスの周囲を流れる流体への熱伝導を可能にする伝熱層を形成する。この場合、第1/第2のキャリア層は、特に流体が高温を有する、いわゆる高温側に熱伝導的に接続され、他方(第2/第1の)キャリア層は、特に流体が低温を有する、低温側に熱伝導的に接続される。結果として、キャリア層の間の熱ポテンシャルが熱電デバイスによって形成され、ゼーベック効果のために、そのポテンシャルが、互いに交互に接続される半導体素子を介して電流を生成する。キャリア層は、特にスチールおよび/またはアルミニウムから少なくとも部分的に構築される。
【0011】
キャリア層の間に空間が設けられ、半導体素子は、その空間に配置される。従って、空間は、特に半導体素子の高さおよび数、また半導体素子の構成のみによって実質的に規定された範囲のみを有する。
【0012】
pドープおよびnドープ半導体素子を流れる目的とする電流を実現するために、キャリア層は少なくとも部分的に電気絶縁層を有し、その層の上に半導体素子が固定され、互いに電気的に接続される。特に、酸化アルミニウム層が絶縁層として適切である。電気絶縁層に関して、半導体素子に対してキャリア層の外側から熱伝導を過度に妨げないことを確保するようにケアが考慮されなければならない。これはまた、実際に、半導体素子とキャリア層との接触面積の領域のみに設けられる、特に電気絶縁層によっても達成され得る。全ての事象において、かかる電気絶縁層は、半導体素子を電気的に相互接続するための手段に透過性でないように、かつ、電気絶縁層が、キャリア層および/または隣接する電流経路に対する導電性接続を確実に防ぐように、不透過形態で具現化されなければならない。特に、異なる電気絶縁層は、第1および第2のキャリア層の場合に可能である。
【0013】
例として、亜テルル酸ビスマス(Bi
2Te
3)が、pドープおよびnドープ半導体素子のための導体材料として使用できる。さらに、以下の材料が[以下の最大温度(℃)までで]使用できる:
【0014】
【表1】
【0015】
従って、この熱電デバイスの場合、2つのキャリア層は、空間を画定するため、および半導体素子に対する熱伝導のために利用される。この場合、半導体素子は、例えば、異なる電気伝導性を有する材料からなる、小さい平行6面体および/または小さい細長いロッドの形態で提供され得る。2つの異なる半導体素子(pドープおよびnドープ)はそれぞれ、それらが一緒に直列回路を生成するように互いに電気的に接続される。2つのキャリア層のうちの1つは流入する熱流量(高温側)を吸収し、もう1つのキャリア層は流出する熱流量(低温側)を放出する。個々の半導体素子の構成および/または相互接続の設計に関して、半導体素子の種類および/または形状および/または配置は、構造的空間、熱流量、電気電導などに適合でき、特に、それらはまた、この場合に異なっていてもよい。特に、熱電デバイスは、互いに直列して接続された半導体素子の1つ以上の群を有し、各場合において、その群は、相互に独立した電気回路を有するか、または電気並列回路により互いに接続される。
【0016】
熱電デバイスの1つの開発によれば、少なくとも1つのキャリア層のための材料はプラスチックを含む。ここで、特に、熱伝導を改良するための金属介在物も有するプラスチックを使用することも可能である。特に、200〜390℃の温度範囲に適切であり、高疲労強度を有するプラスチックを本明細書で述べる。好ましくは、プラスチックは、それらの外面(空間から外方向に向く)上に、特にキャリア層を流れる腐食媒体に耐性がある、具現化されるコーティングを有してもよい。ここで、プラスチックの使用は、特にプラスチックはコスト効率がよく、柔軟性があるように製造でき、柔軟性を異なる条件に適合でき、様々な製造方法によって加工できるため、利点がある。特に、ポリエーテルケトン(例えば、PEKK)が、ここで、キャリア層に使用するためのプラスチックとして提案される。なぜなら、それらは、高温に耐性があり、300℃以上の融点を有し、同時に、多くの有機化学物質および無機化学物質に耐性があるからである。したがって、それらは、特にさらなるコーティングをせずにキャリア層として使用され得る。
【0017】
熱電デバイスのさらなる有益な構造によれば、半導体素子の少なくとも一部は環状で構成され、各々が外側円周領域および内側円周領域によって電気絶縁層に接続される。従って、用語「環状」とは、半導体素子が少なくとも一部の環を形成することを意味する。このような形状の半導体素子は、特に少なくとも部分的に管状の熱電デバイスに提案される。この場合、キャリア層は管の外側円周領域および内側円周領域を形成し、二重管壁が形成され、その空間内に半導体素子が配置される。このように構築された熱電デバイスにおいて、1つの流体が管の内側円周領域によって形成されるチャネルを流れ、別の流体が外側円周領域上の上記デバイスを流れ、それにより、熱ポテンシャルが二重管壁にわたって生成され得る。半導体素子は二重管壁内に配置され、特に環状の形態で円周方向に閉じた形で具現化される。特に、半導体素子はまた、環部分の形状を有してもよい。ここで、また、半導体素子は、互いに平行して、または管の軸方向に沿って1つが別の後方に配置される。半導体素子の環状または環部分の形状の構造が好ましい。なぜなら、湾曲した領域に互いに平行して配置される円筒または平行6面体の半導体素子の間、半導体素子の間の間隙は、半径方向に拡張するように生成され、これにより、空間の容積のより小さな利用を生じる。この場合、環形状は特に円形に対応するが、長円形の実施形態も可能である。相互接続に関して、ここで、例えば、半導体素子が180℃の環形状を有することも可能であり、次いでオフセット/交互形態で互いに電気的に接続される。
【0018】
熱電デバイスの1つの有益な開発によれば、pドープおよびnドープ半導体素子は、電気絶縁層上のはんだ材料によって互いに電気的に接続され、少なくとも1つの以下の条件を満たす:
a)pドープおよびnドープ半導体素子の各々は、同じサイズの電流伝導領域を有し、
b)はんだ材料ははんだ厚さを有し、半導体素子の高さ対はんだ厚さの比は5:1より大きく、
c)はんだ材料は、活性はんだ、銀ろうの群からの要素である。
【0019】
ここで、好ましくは、半導体素子を固定するのに役立つはんだ付け点またははんだ付け領域は、半導体素子と絶縁層との接触面積を超えない。はんだ材料は、好ましくは、後でキャリア層と、それらの所定の接着位置に接着する粉末はんだ材料とを接触するために、所望の位置において電気絶縁層上にプリントされる接着材によって適用される。この場合、はんだ材料の粉状は、利用可能なはんだ材料の量が、形成されるはんだ材料によって形成される所望の接触面積に正確に十分であるように選択されるべきである。この場合、半導体素子は、それらの接触面積の各々に、はんだ材料が与えられる半導体素子の接触面積のそれらの領域によって画定される同一のサイズの電流伝導領域を有する。可能な限り、半導体素子と導体トラックとして機能するはんだ材料との間の同一の接触抵抗が結果として達成される。特に、環状または環部分形状で構成される半導体素子の場合、また、異なるサイズの接触面積を有する半導体素子の場合、同一のサイズの電流伝導面積を与えるための設定がなされる。この場合、半導体素子の外側円周領域は、通常、内側円周領域より大きい。従って、外側電流伝導領域は、半導体素子の内側円周領域に配置される電流伝導領域より狭くなり得る。これは、特に、熱電デバイスを生成するためのプロセスに関して、半導体素子の交互の電気接続が達成され、それによって、直列回路が熱電デバイスによって生成され得るように、1つのキャリア層上の導体トラックの配置が他のキャリア層上の導体トラックと適合する場合に利点がある。従って、電流伝導領域の幅の可能な減少により、はんだ材料を適用することによる導体トラックの製造、および個々の構成要素の取付けにおける製造許容範囲を拡大することが可能である。従って、提案される熱電デバイスの製造における製造欠陥および製造コストを著しく減少させることが可能である。
【0020】
使用される半導体素子は、好ましくは、1〜5mmの高さを有する。これは特に、熱電デバイスのコンパクトな構造を生じ、空間にわたるキャリア層の間の十分な温度差も確保する。半導体素子の全ては、通常、同じ高さを有する。この場合、半導体素子の高さ対はんだ厚さの比は、特に10対1以上、好ましくは20対1以上、および特に好ましくは50対1以上である。同様にはんだ厚さの制限は熱電デバイスのコンパクトな設計を助長する。
【0021】
好ましくは、はんだ材料は、活性はんだ、銀ろうの群から、特に欧州規格EN1044:1999:AG301、AG302、AG303、AG304、AG305、AG306、AG307、AG308、AG309、AG351、AG401、AG402、AG403、AG501、AG502、AG503、AG101、AG102、AG103、AG104、AG105、AG106、AG107、AG108、AG201、AG202、AG203、AG204、AG205、AG206、AG207、AG208に従うはんだ材料から選択されるべきである。適切な場合、用途を考慮して、もちろん、半導体材料と適合する他の高温耐性はんだを使用することも可能である。
【0022】
熱電デバイスの1つの有益な開発によれば、電気絶縁層を介する、第1のキャリア層と半導体素子との間の第1の接触面積および第2のキャリア層と半導体素子との間の第2の接触面積はサイズが異なり、1:3までの第1の接触面積対第2の接触面積の比を有する。この場合、第1の接触面積および第2の接触面積は、各々の場合、それぞれ電気絶縁層またははんだ材料を介して、第1および第2のキャリア層に接続される半導体素子の面積として定義される。同様に第1および第2の接触面積の異なる実施形態は、熱電デバイスの製造において高生産性を可能にする。はんだ材料による接触を生成するために与えられる半導体素子の領域は、結果として増加するので、製造許容範囲はより十分になり得、従って、信頼性があり、欠陥のない半導体素子の製造を確保する。特に、この場合、モジュールの管状構造に関して、半導体素子はより大きな外側接触面積を有する。従って、半導体素子は、このような異なる接触面積を確保する外側に拡張する形状(特にコニシティ)を有する。さらに、このような条件は、半導体素子の環状または環状部分の形状の実施形態によって満たされ得る。特に、より大きな接触面積は、通常、ガス流が流れるキャリア層に配置される。自動車に熱電デバイスを配置する場合、第1のキャリア層は高温側に接続されるので、排気ガス流はそこを流れ、第2のキャリア層が低温側に接続されるので、冷却液体はそこを流れ、第1の接触面積は、第2の接触面積より大きいように具現化されるべきである。これは、第1のキャリア層におけるより高い熱伝導耐性により具現化され、その上をガス流が流れる。冷却液体が流れる第2のキャリア層は、熱を十分に伝導することができるので、ここで、より小さい第2の接触面積が提供され得る。
【0023】
さらなる有益な構造によれば、モジュールの有用な容積は、モジュールの封入された容積に対するモジュールにおける半導体素子の容積の合計の割合として定義され、その有用な容積は90%より大きい。特に、モジュールの封入された容積は、外側キャリア層、および適切な場合、モジュールの熱電デバイスのさらなる壁により定義される。従って、好ましくは、キャリア層の間の空間は、半導体素子により可能な限り完全に満たされるべきである。従って、特に、有用な容積は95%より大きく、好ましくは98%より大きい。これは、特に、円周方向において分離した面を有さない環状の半導体素子によって達成されるので、半導体素子またはモジュールの非常に有用な容積を可能にする。
【0024】
熱電デバイスのさらなる有用な開発によれば、半導体素子は、互いに対向する側部領域に電気絶縁を有し、その電気絶縁は、特に、雲母またはセラミックからなる層によって形成される。雲母という用語は、フィロケイ酸塩の群を示す。この場合、半導体素子の間の空隙は、充填材料の形態またはコーティングの形態で雲母またはセラミックにより満たされる。好ましくは、この絶縁は、熱電デバイスの組み立てプロセスの前に、半導体素子に既に適用されていてもよく、それによって、半導体素子は、キャリア層または電気絶縁層に高パッキング密度で配置され得、互いに対して支持される。半導体素子の間の空隙は、従来技術から公知であり、生産技術の観点でのみ確立するのが困難であるので、ここでは必要としない。従って、互いの間の半導体素子の絶縁は、ここで、分離層により達成され、それによって、半導体素子は、はんだ材料を介して直列回路のみの形態で互いに電気的に接続される。この場合、半導体素子の側部領域の間の絶縁は、50μm未満、好ましくは20μm未満、特に好ましくは5μ未満の絶縁幅を有することが特に有益である。この寸法はまた、熱電デバイスのコンパクトな設計、同様に生産の簡略化をもたらす。
【0025】
熱電デバイスのさらなる有用な構造によれば、モジュールの利用領域の程度は、半導体素子で被覆可能な第1および第2のキャリア層の全領域に対する半導体素子で被覆された第1および第2のキャリア層の領域の割合として定義され、モジュールの利用領域の程度は85%より大きい。このパラメータは、特に、熱電デバイスまたはモジュールの可能な最もコンパクトな設計を定義することを意図する。この場合、第1および第2のキャリア層の被覆可能な全領域は、外側端部に配置される半導体素子により制限され、それによって、半導体素子の間に存在する電気的に絶縁する間隙を考慮に入れる。モジュールの利用領域の程度は、特に95%より大きく、特に98%より大きいように具現化されるべきである。
【0026】
熱電デバイスのさらなる有益な開発によれば、キャリア層の少なくとも1つと半導体素子との間の電気絶縁層は70μm未満の絶縁層厚さを有する。特に、この絶縁層厚さは、50μm未満、特に好ましくは20μm未満として具現化されるべきである。
【0027】
熱電デバイスのさらに有益な構造によれば、半導体素子の高さ対電気絶縁層の絶縁層厚さの比は、8:1より大きく、好ましくは80:1より大きく、特に好ましくは100:1より大きい。このパラメータはまた、半導体素子を配置するための熱電デバイスの存在する容積の高い有用性を明らかにするので、可能の限り効率の高い熱電デバイスを提供する。
【0028】
熱電デバイスのさらに有益な構造によれば、第1のキャリア層は、20μm〜500μm、好ましくは40μm〜250μmの第1の厚さを有する。この場合、第1のキャリア層は、特に、熱電デバイスの稼動の間、高温側に配置される。
【0029】
特に、第1のキャリア層のみが、軸方向におけるモジュールの熱膨張を補償する少なくとも1つの軸補償要素を有する。軸補償要素は、例えばベローズ形態で、または波状突起部によって具現化され得るので、この領域および第1のキャリア層(高温側)と第2のキャリア層(低温側)との間の異なる熱膨張において補償または膨張が可能であり、温度差のために周囲にもたらされるその異なる熱膨張が、このように補償される。
【0030】
特に、第2のキャリア層は、200μm〜1.5mm、特に400μm〜1.2mmの第2の厚さを有するように提供される。この第2の厚さは、第1の厚さより有意に厚く作製され、熱電デバイスまたはモジュールの寸法安定性を確保する。
【0031】
第1のキャリア層および第2のキャリア層を有する少なくとも1つのモジュールと、第1のキャリア層と第2のキャリア層との間の空間と、空間に対する、第1のキャリア層および第2のキャリア層上の電気絶縁層と、絶縁層の間の空間に交互に配置され、互いに交互に電気的に接続される、複数のpドープおよびnドープ半導体素子と、を少なくとも備える熱電デバイスであって、上述の特徴の少なくとも1つが以下で存在する熱電デバイスを与えることが特に好ましい:
1.モジュールの封入された容積に対するモジュールにおける半導体素子の容積の合計の割合は、90%より大きい有用な容積を生じる。
2.電気絶縁は、雲母またはセラミックからなる層またはコーティングによって形成される。
3.半導体素子の間の間隙は50μm未満である。
4.半導体素子の高さ対絶縁層厚さの比は8:1より大きい。
5.はんだ材料は、はんだ厚さを有し、半導体素子の高さ対はんだ厚さの比は5:1より大きい。
【0032】
また、上述の特徴のうちの少なくとも3つ、またはさらに全てが互いに組み合わされて具現化されることが特に好ましい。上述の順序は、公知のデバイスを改良するための特徴の関連性を示すものと現在みなされる。
【0033】
有利には、第2のキャリア層は、第1のキャリア層より高い熱伝導率を有する材料を含み、それにも関わらず、第2のキャリア層は、より大きい第2の厚さにも関わらず、同程度の熱放散を示す。
【0034】
熱電デバイスのさらに有益な開発によれば、複数の軸補償要素が、各々の場合において、軸方向において多くても10mmの距離で提供される。
【0035】
さらなる有益な構造によれば、少なくとも1つのモジュールは、軸方向において斜めに配置される少なくとも複数の半導体素子によって形成される少なくとも1つの軸補償要素を有するので、軸方向におけるモジュールの熱膨張は、少なくとも部分的に半径方向における熱膨張に変換される。軸方向に斜めに配置される半導体素子の結果として、第2のキャリア層と比較して第1のキャリア層の異なる熱膨張のために、これらのキャリア層の相対的移動が、半導体素子の傾斜した位置の変化により補償されることが可能となる。結果として、半径方向の膨張が、一方の側でのモジュールの長さの変化の代わりにもたらされる。この場合、少なくとも複数の半導体素子は、半導体素子が稼動してない間に、少なくとも軸方向において斜めに配置される。稼動の間、半導体素子が、特に、キャリア層または軸方向に垂直に配置されるように、半導体素子は軸方向の熱膨張のために直立する。この半径方向の熱膨張は、外側キャリア層に隣接し、流体が流れる断面の制限を導くことができ、同様にキャリア層に沿う流量の制御が結果として可能となる。従って、流体は、複数の熱電デバイスを有する熱電発電機中を流れ、流体が流れる複数のチャネルまたは流体が流れるキャリア層は、特に自己調節形態で制御され得るので、熱電デバイスの全ての利用可能な面を流れる流体の利用可能な熱電源の均一な分散が確保されるか、または助長される。
【0036】
さらなる有益な開発によれば、熱膨張の補償は、異なる熱膨張係数を有するキャリア層のための材料によってもたらされる。高温側のキャリア層は、対応して低い熱膨張係数を有し、低温側のキャリア層は、対応する高い熱膨張係数を有する。
【0037】
さらに熱電デバイスの特に好ましい構造は、少なくとも複数のモジュールが、軸方向において互いに接続され得るように提供される。これは、熱電デバイスが以前に定義された電力条件に適合することを可能にする。これは、特に、異なる用途についての熱電デバイスの製造および提供に有用である。この場合、モジュールは、特に、はんだ付け接続によって互いに少なくとも相互接続され、特に、相互に絶縁された導電体トラックが、個々のモジュールの半導体素子の電気的に直列接続を可能にするように提供される。特に、この場合、個々のモジュールの流体密封の相互接続もまた、生成され、それによって、特に、腐食作用、例えば排気ガスを有する周囲媒体が、2つのモジュール間の領域に侵入できない。特に、モジュールの管状構造が、少なくとも複数のモジュールのこの接続に好ましい。
【0038】
有利には、モジュールは、周囲媒体または流体、特に冷却回路または排気ガスに対してキャリア層の間の空間を密封する充填材を有してもよい。特に、キャリア層はまた、互いに(直接)接続を形成する第1のキャリア層および第2のキャリア層によって空間を密封できる。しかしながら、1つの後方に別の複数のモジュールを配置する場合、好ましくは、第1のキャリア層は第1のキャリア層に接続され、および/または第2のキャリア層は第2のキャリア層に接続され、それによって、各々の個々のモジュール内の導電体トラックは、導体トラックによって貫通されるキャリア層を有さず、隣接するモジュールの導体トラックに接続され得る。
【0039】
さらなる有益な構造によれば、熱電発電装置は本発明による複数の熱電デバイスを有し、第1のキャリア層は高温側に接続され、第2のキャリア層は低温側に接続される。
【0040】
特に好ましくは、内燃エンジン、排気ガスシステム、冷却回路および本発明による複数の熱電デバイスを備える自動車が本明細書に提供され、その自動車において、第1のキャリア層は高温側に接続され、第2のキャリア層は低温側に接続され、排気ガスシステムは高温側に接続され、冷却回路は低温側に接続される。
【0041】
本発明および技術分野を、図面を参照して以下により詳細に説明する。図面は、本発明の特に好ましい実施形態の変形例を示すが、その変形例はそれらに限定されないことに留意されるべきである。