(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合部分が、第1及び第2の延長部を含み、前記延長部のそれぞれが第1及び第2の位置決め中子を有し、各位置決め中子が前記第1及び第2の延長部のそれぞれを超えて突出して、前記拡張ハウジングを前記投与量インジケータ窓に固定する、請求項1に記載のシステム。
前記投与量センサが、前記長手方向軸に沿って摺動可能な長手方向部材を備え、前記長手方向部材が、前記第2のハウジング端部に近接して前記拡張ハウジングから延出する追従部分に接続され、前記追従部分が、前記薬物送達ペンの前記投与量セレクタに連結されて、前記ペンハウジングに対する前記投与量セレクタの回転に応じて長手方向に移動する、請求項3に記載のシステム。
前記薬物送達ペンの交換及び/又は正しい位置づけの決定を可能にするために前記拡張ハウジング内に配置されたマイクロスイッチを更に備える、請求項1に記載のシステム。
前記薬物カートリッジが、長期作用型インスリン、速効型インスリン、長期作用性及び速効性混合型インスリン、NPH、成長ホルモン、GLP−1類似体、シムリン、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される薬物を収容する、請求項1に記載のシステム。
前記投与量送達ボタンの作動に際し薬物送達イベントの時間を計る工程と、既定の時間をカウントダウンする工程と、薬物送達時間が不十分な場合に前記ユーザに警告する工程と、を更に含む、請求項16又は21に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、選択された実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明文は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0013】
第1の型式の拡張モジュール
図1は、薬物送達ペン224と、拡張医療通信モジュール202と、例えば血糖メータ300、携帯電話400、パーソナルコンピュータ500(モバイルコンピュータを含む)又はネットワークサーバ600のような、拡張モジュールとの直接的な又は本明細書に記載した代表的なデータ管理ユニット装置の組み合わせによる通信のためのデータ管理ユニットDMUと、を含む、糖尿病管理システムを図示する。拡張モジュール202は、薬品送達装置224の活動をモニタリングするように構成され得る。拡張通信モジュール202及び薬品送達装置224の両方を単一ユニットとしてともに係合するように構成してもよい。本明細書で使用するとき、「DMU」の参照は、疾病管理システムにおいて個々のユニット300、300、500若しくは600を別々に、又はデータ管理ユニット300〜600全てをまとめて表す。
【0014】
薬品送達装置224は薬品送達ペンと呼ばれる場合もあり、
図1Aに示すように第1の端部212から第2の端部213に延在する概ね管状のペンハウジングを有することができる。薬品送達装置224Aは初期状態で図示されており、薬品送達装置224Bは投与量設定が行われた後の状態で図示されている。ハウジングの第1の端部212は、例えばインスリン又は他の薬品のような薬品を収容するように構成されるカートリッジ222を包囲することができる。カートリッジ222の一端はピストン225によって密封され得、ピストン225の運動が薬品の分配を引き起こす。ペンハウジングの第2の端部213は、ピストン225に動作可能に連結される投与量セレクタ220を有することができる。ペンボタン216の押圧(及びそれに伴う投与量セレクタ220の運動)は、作動ユニット200を用いた流体の分配を開始することができる。投与量ディスプレイ218は、
図1に示されるように、分配された流体量を印刷表示又はLCDのような表示画面上に出力することができる。投与量セレクタ220は、ユーザが選択した薬品又は生体有効性流体の分配量を制御することができる。
【0015】
作動ユニット200は、カートリッジ222から制御された量の流体を分配する機構を含むことができる。
図2を参照すると、作動ユニット200は、ペンボタン216と、投与量セレクタ220と、内部シリンダ23と、主ネジ25と、プランジャ棒226と、プランジャ棒ホルダ27と、第1のネジ35と、を含むことができる。作動ユニット200は、制御された量の流体をカートリッジ222から分配する機構(簡潔さのために作動シャフト190、プランジャ棒226として示されている)を含む。投与量セレクタ220の時計回り又は反時計回りの方向への回転は、投与量セレクタ220を直線方向1又は2に出し入れすることができる(
図2及び4を参照)。投与量セレクタ220は、ペンハウジングの内部に沿って延在する管状部分を有することができる。管状部分の外面は、第1のネジ35と係合するネジ付き組立品を有することができ、これにより入れ子状に出入りする投与量セレクタ220の動きを引き起こす。第1のネジ35はペンハウジングの内部に取り付けることができる。内部シリンダ23は、投与量セレクタ220の内部に同心に組立てることができる。内部シリンダ23は、主ネジ25のネジ付き組立品と連結することができる。投与量を設定するときに内部シリンダ23も投与量セレクタ220とともに回転可能であることに注意されたい。ボタン216を第1の端部212の方へ押すと、投与量セレクタ220は内部シリンダ23から解除され主ネジ25を軸方向に移動させ、その結果、プランジャ棒226及びピストン225はインスリンを分配する。
【0016】
図1を参照すると、拡張通信モジュールと連通しているデータ管理ユニットは、本明細書に例示される装置の任意の形態であってよい。一実施形態では、データ管理ユニットDRは血糖メータ300の形態であり、
図1及び5に図示されるように、ハウジング311と、ユーザインターフェースボタン(316、318、及び320)と、ディスプレイ314と、ストリップポートコネクタ322と、データポート313と、を含むことができる。ユーザインターフェースボタン(316、318、及び320)は、データの入力、メニューのナビゲーション、及びコマンドの実行を可能とするように構成することができる。データには、検体濃度及び/又は患者の日常の生活習慣に関連した情報を表す値を挙げることができる。日常の生活習慣に関連した情報には、食物の摂取、薬の使用、健康診断の実施、並びに個々の一般的な健康状態及び運動レベルを挙げることができる。具体的には、ユーザインターフェースボタン(316、318、及び320)には、第1のユーザインターフェースボタン316、第2のユーザインターフェースボタン318、及び第3のユーザインターフェースボタン320が含まれる。
【0017】
メータ300の電子要素は、ハウジング311内部の回路基板302上に配置することができる。
図5及び6は、回路基板302の上面及び下面に配置された電子要素を示したものである。上面の電子要素には、ストリップポートコネクタ322、オペアンプ回路335、マイクロコントローラ338、ディスプレイコネクタ314a、不揮発性メモリ340、クロック342、及び第1の無線モジュール346が含まれる。下面の電子要素には、バッテリーコネクタ344a及びデータポート313が含まれる。マイクロコントローラ338は、ストリップポートコネクタ322、オペアンプ回路335、第1の無線モジュール346、ディスプレイ314、不揮発性メモリ340、クロック342、電源344、データポート313、及びユーザインターフェースボタン(316、318、及び320)に電気的に接続することができる。
【0018】
オペアンプ回路335は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を与えるように構成された2つ以上のオペアンプであってもよい。ポテンシオスタット機能とは、試験ストリップの少なくとも2つの電極間に試験電圧を加えることを指し得る。電流機能とは、加えられた試験電圧によって生じる試験電流を測定することを指し得る。電流測定は、電流電圧変換器によって行うことができる。マイクロコントローラ338は、例えばTexas Instrument MSP 480などの混合シグナルマイクロプロセッサ(MSP)の形態であってよい。MSP 480は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を行うようにも構成することができる。更に、MSP 480は揮発性及び不揮発性メモリも含み得る。別の実施形態では、電子要素の多くを特定用途向け集積回路(ASIC)の形態でマイクロコントローラに組み込むことができる。
【0019】
ストリップポートコネクタ322は、試験ストリップと電気的接続を形成するように構成することができる。ディスプレイコネクタ314aは、ディスプレイ314に取り付けるように構成することができる。ディスプレイ314は、測定された血糖値を報告し、生活習慣に関連した情報の入力を容易にするための、液晶ディスプレイの形態であってよい。データポート313は、接続リード線に取り付けられた適当なコネクタを受容することにより、血糖メータ300をパーソナルコンピュータなどの外部装置に接続することができるようになっている。データポート313は、例えば、シリアル、USB、又はパラレルポートなど、データ送信が可能ないずれのポートであってもよい。クロック342は、時間を測定するように構成することができ、振動結晶の形態であってよい。バッテリーコネクタ344aは、電源344に電気的に接続されるように構成することができる。
【0020】
一実施形態では、試験ストリップ324は、電気化学的血糖試験ストリップの形態であり得る。試験ストリップ324は、1つ以上の作用電極及び対電極を含んでよい。試験ストリップ324は、複数の電気的接触パッドを更に含んでよく、その場合、各電極は少なくとも1つの電気的接触パッドと電気的に連通している。ストリップポートコネクタ322は、電気的接触パッドと電気的にインターフェースし電極と電気的に連通しているように構成されてよい。試験ストリップ324は、少なくとも1つの電極上に配置された試薬層を含んでよい。試薬層は、酵素及び調節物質を含み得る。試薬層に使用するのに適した例示的な酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(ピロロキノリンキノン補因子「PQQ」を伴う)、及びグルコースデヒドロゲナーゼ(フラビンアデニンジヌクレオチド補因子「FAD」を伴う)が挙げられる。試薬層に使用するのに適した例示的な調節物質としては、フェリシアニドがあり、この場合では酸化型である。試薬層は、グルコースを酵素的副産物に物理的に変換させ、その過程でグルコース濃度に比例した所定量の還元型の調節物質(例、フェロシアニド)を生成するように構成することができる。この後、作用電極によって還元型調節物質の濃度を電流の形態で測定することができる。次いで、血糖メータ300が電流の大きさをグルコース濃度に変換することができる。
【0021】
拡張通信モジュール202は第1の端部232及び第2の端部280を有することができる。
図7〜9に図示されているように、拡張通信モジュール202は、第1のモジュールハウジング208及び第2のモジュールハウジング209を含むことができる。第1のモジュールハウジング及び第2のモジュールハウジングはともに、薬物送達装置に取り付けられる拡張モジュールハウジングを形成することができる。第2のモジュールハウジング209は、外面210及び中空穴248を有する概ね円筒形の構造を有することができる。
図7〜9に図示されているように、長手方向軸L2は、中空穴248の円形部分の中心点に沿って延在することができる。第1のモジュールハウジング208は、第2のモジュールハウジング209の外側部分の周囲を部分的に囲む、概ね三日月形の構造を有することができる。第1のモジュールハウジング208は、3つの壁面を含むケーシングの形状を取ることができ、それらがハウジング209の外面210とともに、特定の構成要素のエンクロージャを提供する。第1のモジュールハウジング208は、
図7及び11に図示されているように、ハウジング209の外面210の上に配置される回路基板270(
図11に図示)と、センサ214(センサ摺動体215を含む)と、電源276と、を包囲する。電源276へは、ケーシング208上に設けられる電源コンパートメントドアを通してアクセスすることができる。長手方向軸L2は、
図9に図示されているように、対称平面P1のほぼ中間点に沿って延在することができる。長手方向軸L1及びL2はほぼ平行であり得る。
【0022】
基板270上に配置された電気回路構成要素(図の構成要素の配置のために図示されていない)は、例えばマイクロプロセッサと、マイクロコントローラと、A−D変換器と、スピーカと、ディスプレイと、メモリと、ディスプレイドライバと、ユーザインターフェースドライバと、データ管理ユニットDMUの第1の無線モジュール346と通信する送信機及び受信機又は送受信機(例えば赤外光、無線周波数、又は光波を使用する無線トランシーバ)の形態の第2の無線モジュールと、慣性又は加速度センサと、アンテナとを含んで、例えば、無線信号を拡張モジュール202との間で送受信し、センサからの入力を処理し、装置をオン/オフにし、装置をスリープモードにし、装置のスリープモードを解除し、電池276からの電力を調節し、メモリとの間で情報の保存及び取り出しを行うことができる。
【0023】
投与量センサ214は好ましくはリニアポテンショメータであり、ユーザが注入したボーラスの量を決定するために、投与量セレクタ220の位置を測定するのに使用される。センサ214は、投与量セレクタ220及び投与量アクチュエータ216の位置に関するデータを提供するためにマイクロプロセッサ基板270に連結されるA−D変換器に電気的に連結される。代表的実施形態とともに使用可能な他のセンサとしては、回転ポテンショメータ、リニア又は回転エンコーダが含まれる。出願者らが構築した運転試作機では、リニアポテンショメータが好ましい。やはり好ましい別の代替品は、静電容量型センサであり得る。しかし、本明細書に記載した実施形態は、薬物送達ペンの投与量セレクタの変位を決定するための手段を利用することができ、それらの手段としては、追従部分、長手方向部材、及び投与量センサ(ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ式の変位センサ、又はこれらの組み合わせ及び同等物を含む)、並びに本明細書に記載したこれらの構成要素の同等物が含まれる。
【0024】
ケーシング208はハウジング209の外面210の上に配置されるので、ケーシング208は第2のモジュールハウジング209の長手方向軸L2に対して非対称に位置づけられる。ケーシング208のオフセットの輪郭を更に低減させるために、電源276はケーシング208内部でなくノブ278に近接して位置づけられ得る。電源は、ボタン251と似た形の円盤形であり得、ボタン251と近接して重ねて配置される。第1のモジュールハウジング及び第2のモジュールハウジングの場合と同じく、中空穴は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。一実施形態では、
図1に図示されるように、中空穴248は嵌め合わされているときに薬物送達ペンが連結されているか解放されているかを検出することが可能な近接検出器233を有することができる。近接検出器233の作動はマイクロプロセッサを用いて検出することができる。別の実施形態では、薬物送達ペンの連結又は解放は、モジュール202と一体化された検出器233のための光学式読取り器を使用することによって、それが嵌め合わされているときに検出することができる。更に、検出器233のための光学式読取り器は、モジュール202に連結されているインスリンのタイプを認識するように構成され得る。ペンから分離されると、拡張モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、インスリンを分配するためのプランジャ棒又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、中空穴の内面が周囲環境に露出されて、通常の観察者又はユーザに見えるようになる。
【0025】
図7及び8に図示されるように、ハウジング209は、第1の端部232から第2の端部280まで長手方向軸L2に沿って延在して、ハウジング209の連続面210から形成される中空穴248の少なくとも一部分を画定する。連続面210には、他の実施形態とは明確に区別されるスカラップ部分211が設けられる(
図7及び8)。ハウジング209は透明又は半透明の材料から形成することができるが、そのような材料は薬物送達ペン224上の印刷されたしるしの視覚的歪みを引き起こす場合がある。したがって、スカラップ開口部211は、ユニット204がペン224と連結されると、薬物送達装置224上の印刷された識別をユーザに見えるようにすることを可能にする。モジュール202は、スカラップ211を伴う穴248をペン224の投与量セレクタ220に最も近く挿入することによって薬物送達ペン224に連結される(
図1及び3)。モジュール202がペン224上に挿入されると、モジュール204上の溝210a(
図1及び3)はペン224上の隆起210bと整列されて、ペン224に対してモジュール202を回転方向に固定する。加えて、中子236を使用してペン224の凹部と係合させることができる。
【0026】
拡張モジュール202は、ユーザがダイヤルしたインスリンの量及びユーザがインスリンを注入した時間をモニタリングするように構成することができる。ユーザは投与量セレクタ220を時計回り又は反時計回りに回転して、投与量セレクタ220及びペンボタン216を外向き1に引き出す又は内向き2に嵌め込むことができる(
図4)。薬物送達ペン224aは、投与量セレクタ220の投与量がダイヤルされていない例を示す。これに対し、薬物送達ペン224bは、投与量セレクタが回転されて既定量のインスリンが設定されている例を示す。次いでユーザは、ペンボタン216を押圧して、投与量セレクタを内向きに動かし、プランジャによってインスリンを分配させることができる。一実施形態では、通信モジュール202は投与量セレクタ220の内向き及び外向きの運動の両方をモニタリングし、薬物送達ペンの動作をモニタリングすることができる。
【0027】
以下、投与量セレクタキャップの運動を通信モジュール202内に含まれる追従部分240と連結することによって薬物送達装置の活動をモニタリングするための代表的な機構を説明する。次いで、センサによって追従部分の直線的な動きを測定することができる。
図10は、投与量セレクタキャップ220の運動を連結するための機構の簡略化された分解斜視図を図示する。例示を目的として、薬物送達装置224の投与量セレクタキャップ220のみが
図10に図示されていることに注意されたい。
【0028】
図3、7及び8に図示するように、ハウジング209には追従部分240及び回転式ノブ278が連結される。追従部分240及びノブ278の両方は、好ましくは、穴248と整列する連続した貫通穴である(
図7、8及び10を参照)。穴248は、作動ペンボタン216がモジュール202のボタン251に隣接するまで薬物送達ペン224の作動ユニット200が穴248内に滑入することを可能にするように構成される(
図1、3及び7を参照)。
図7及び10の好ましい実施形態では、穴248は回転式ノブ278の穴及び概ね管状の部材を画定するハウジング209の連続面210と切れ目がなく連続する貫通穴である。既に述べたように、第2ハウジング209は実質的に透明又は半透明の材料で好ましくは形成され、ケーシング208は、使用する薬物を示すため又はモジュールを一個人用にするために任意の好適な色又は色の組み合わせで形成され得る。既に述べたように、第2のハウジング209は、好ましくはほぼ透明又は半透明の材料から形成されるが、ケーシング208は任意の好適な色又は色の組み合わせで形成されて、利用される薬物のタイプを示す、又はモジュールをパーソナル化することができる。色は、青色、赤色、黄色、緑色、黒色、ピンク色、及びこれらの色の色調又は組み合わせを含むことができる。本明細書で使用するとき、薬物送達ペンの作動ユニット200は、薬物カートリッジ222に取り付けるために、少なくとも投与量セレクタ、アクチュエータ、及び作動ボタンが提供されるペンの部分である。
【0029】
図10に示すように、追従部分240は、追従部材240上の溝244d及び捕捉リング244上の対応する隆起244cを有する保持システムを介して捕捉リング244に連結される。追従部分240及び捕捉リング244は、捕捉リング244が第2の長手方向軸L2の周囲を回転可能であり追従部分240は回転しないが第2の長手方向軸L2に対して平行に直線的に移動するように連結することができる。
【0030】
捕捉リング244は、捕捉リング244の直径の規模にフレキシビリティを提供するために、長手方向軸L2に沿って延在する長手方向のスリット244aを含むことができ、捕捉リング244の内側の波状面244bを(ペン224の)投与量セレクタ220の隆起リブ221と摩擦によって連結することを可能にする。内側の波状面244bは、リブ221が最初に波状形244bと係合するときにはほとんど又は全く干渉がなく、しかしモジュール204がペン224に完全に挿入されると確実に摩擦係合をもたらすように、軸L2に向かって先細になるようにテーパーすることが可能なように構成され得る。捕捉リング244には、連結リング245の内部スプライン又は歯245bと係合している外部スプライン又は歯245aが設けられてもよい。連結リング245は、回転式ノブ278と捕捉リング244とを連結させることができる。捕捉リング244、連結リング245、及び回転式ノブ278の機械的組立品は、投与量セレクタ220が摩擦によって係合されたときに回転式ノブ278の回転の結果として投与量セレクタ220の回転を引き起こす。
【0031】
作動ボタン251もまたノブ278に連結され、その結果、両方の構成要素がともに組立てられると、特定の構成の下でモジュール202のボタン251はペンボタン216と接触することができる。バネ246は、捕捉リング244の外面及びノブ278の内面に位置づけられ得る。バネ246は、歯245aが係合されたときにノブ278の回転が投与量セレクタ220の回転を引き起こすように、捕捉リング244に対して連結リング245を付勢するように構成され得る。注入中、ボタン251を押してバネ246を圧縮することができ、捕捉リング244からの連結リング245の解除を可能にすることができる。回転式ノブ278は実際の注入中に捕捉リング244から解除されるので、薬物の送達中、すなわち注入中にユーザの親指下でノブが回転することはないことに注意されたい。注入後、歯245aは歯245bと再び係合し、ユーザが新しい投与量にペンのダイヤルを合わせることを可能にする。しかし、注入後にそれらの歯が正しく整列されていない場合は、それらの歯が再び係合する前にわずかにノブ278を回転させる必要がある場合がある。
【0032】
追従部分240は、
図10に図示するように長手方向部材254を含むことができる。長手方向部材は、一端が追従部分240のリング部分と連結されている管状構造体を有することができる。管状構造体の中空部分294cが
図10に図示されている。長手方向部材のもう一方の端は、突出プレート294d及び2つの摺動指294a、294bを有することができる。
【0033】
図11を参照すると、長手方向部材254は、軸L2に沿って軸方向に摺動するように構成することができる。追従部分240は、ノブ278が軸L2の周囲のノブ278の回転によって軸方向に移動するにつれてノブ278とともに移動するように拘束される。ノブ278が回転するにつれて、捕捉リング244も回転するように拘束され、投与量セレクタ220に伝わる捕捉リング244の回転運動を引き起こす。セレクタ220のいかなる回転運動も、軸L2に沿った内向き又は外向きの軸運動を結果としてもたらすので、捕捉リング244、追従部分240及びノブ278は、投与量セレクタ220と同じように(追従部分240は軸方向、捕捉リング244及びノブ278は軸方向及び回転方向の両方に)移動するように拘束される。したがって、投与量セレクタ220の運動は、送達すなわち注入される投与量に比例して投与量センサにより決定される。好ましい実施形態では、投与量情報を提供する投与量センサはポテンショメータである。
図4の実施形態では、薬物送達ペンはSanofi Aventisにより製造されたLantus SoloStarであり得る。
【0034】
図11は、第1のモジュールハウジング208内に含まれる特定の構成要素の簡略化された背面図を図示し、いくつかの壁は取り除かれている。モジュール202の輪郭を小さくするために、出願者らは
図11に図示するような摺動式ポテンショメータ構成を利用した。モジュール202は、ポテンショメータトラック294上に摺動体215も使用し、摺動体215は摺動指294a及び294bの両方の間に連結される。導電性接触子(図示せず)を摺動体215の表面に配置して、電子回路によってポテンショメータトラック294上の摺動体の位置を決定することができる。トラック294は、導電性ポリマートラックでも、サーメット(ceremet)トラックでも、又は炭素、金、若しくはそれらの混合物で形成されたトラックでもよい。長手方向部材254の中空部分294c(
図10を参照)は、摺動体が拘束されて軸L1に沿って並進すること及びマイクロスイッチ268が切り替えられることを確保するために、作動シャフト297(
図12を参照)と連結するように構成することができる。
【0035】
図12を参照すると、長手方向部材254は、長手方向部材254内に配置された作動シャフト297を示すために取り除かれている。作動シャフト297は、マイクロスイッチ268の指269aと相互作用する隔離板部材255cと接続される。中空部分294c及び突出プレート294dは、ボタン251が押圧されたときに隔離板部材が軸L1に沿って移動するように、隔離板部材255cに対応するように適合させることができる。作動シャフト297は、マイクロスイッチ268の指269aに対して隔離板255cの位置を調節するために、バネ255a及び止めネジ255bと連結することができる。指269aは導電性トラック269bと通常は接触していないので、スイッチ268は、ボタン251が完全に押圧されていないときは(例えば投与量選択又は調節の間)通常いつも開いている。投与量注入中などにボタン251が完全に押圧されると、長手方向部材254、作動シャフト297、及び隔離板255cは拘束されて、止めネジ255bがリテーナ壁255dに当たって隣接するまで、長手方向軸L1に沿って移動する。止めネジ255bがリテーナ壁255dに近づくにつれて、隔離板255cはマイクロスイッチ268の指269aを導電性トラック269b上に下げて、閉回路を作り出す。投与量ボタン251の更なる移動は、中空長手方向部材254を軸方向に続行させて、作動シャフトの棒部分の一端と止めネジ255bとの間にもたらされるいかなる緩みをも取り去る。
【0036】
代表例として本明細書に記載される構成のために、出願者らは、投与量送達イベント及びそのような投与量送達又は注入イベントの持続時間のいずれか一方又は両方の差を決定するための手段を提供することが可能になった。具体的には、投与量を選択するためにユーザが単にノブ278を回転してノブ278を長手方向軸L2に沿っていずれかの方向に移動する場合、スイッチ268の指269aの接触はなく、したがって投与量イベントが起きているという決定はなされない。投与量の選択がなされたという決定を除き、プロセッサ基板270のメモリには投与量の送達に関する記録は一切なされない。ボタン251の完全な押圧によってのみ、指269aはトラック269bと接触し(
図11及び12)、投与量の送達が起きているという決定が引き起こされる。一実施形態では、ボタン251が押圧されるまでは「スリープ」モードになるように電子部品を構成することができ、これはモジュールの電力消費を低減させる。本明細書で使用するとき、「スリープ」モードは、モジュールのあらゆる機能が最低限又は実質的にゼロの電力消費にあるが、ペンがスリープモードから外されたときにシステムを起動する必要がないモードである。
【0037】
マイクロスイッチ268は注入の開始点及び注入の終了点の追跡も可能にし、したがって、ユーザが注入ボタンをゼロ投与量、すなわち初期投与量の位置まで完全に押し下げなくても注入の量を計算することが可能であることに注意されたい。投与量の送達がいつ行われたかを判断する能力は糖尿病を管理するユーザにとって貴重だが、出願者らは、そのような投与量の送達の持続時間(及び特に、作動ボタンが押し下げられた持続時間に依存する投与体積)を決定及び確認し、その後、遵守投薬計画(regiment)を用いた分析を行う能力こそが、糖尿病管理技術分野における前進であると考える。すなわち、医療施術者によって処方されたプロトコルにしたがって患者がインスリンを注入する場合、完全な処方投与量を送達するには典型的にはボタン251を4秒〜10秒間完全に押圧することが要求されるので、そのような患者は、完全な処方投与量を送達できなかった場合に完全に遵守できない可能性がある。投与量、時刻、及び持続時間をプロセッサ基板270のメモリに記録してモジュール自体、データ管理ユニットDMUに表示することによって、あるいは場合によっては医療施術者のコンピュータに転送することによって、医療施術者は、データを評価した後に、又は場合によっては実時間に対策を講じ、処方プロトコルが完全に遵守されていることを確認することができる。好ましい実施形態では、正しいペンの使用方法についての患者への警告又は通知を、一実施形態では血糖メータを含むデータ管理ユニット上のメッセージとして表示することができる。したがって、薬物送達ペンの投与量送達(注入日時及び体積)又は投与量送達持続時間の1つ以上を決定するための手段は、追従部分240、長手方向部材254、バネ255a、隔離板269a、スイッチ268、スイッチ268に連結されたプロセッサ(プロセッサは本明細書に記載されている方法で動作するようにプログラムされる)、及びこれらの構成要素の同等物を含む。
【0038】
第2の型式の医療拡張モジュール
異なる薬物送達装置(例えばインスリンペン)が代替的な連結手法を必要とし得ることを認識し、出願者らは、先行実施形態のように薬物送達装置の一端の上に挿入されるのでなく側部から取り付けられるように設計された代替品を提供した。
図13は、DMU 300とともに使用するための薬物送達ペン124及び拡張通信モジュール102を含むシステムを図示する。携帯電話(又は例えばApple iPhoneのような演算プラットフォーム)400、パソコン500、又はネットワーク600のような他のDMUも本明細書に記載されるモジュールと別個に又は全てのDMUなどとの組み合わせにおいて利用できることを理解されたい。
図13、14及び15に図示されるように、拡張モジュール102及び薬物送達ペン124をともに嵌め合わせることができる。
【0039】
薬物送達ペン124は、
図13に図示するように、第1の端部112及び第2の端部113を有することができる。制御されたインスリンの量をユーザが注入することを助けるという機能に関して、薬物送達ペン124及び224は同様であり得ることに注意されたい。第1の端部112に近接して、薬物送達ペンは、インスリンのような薬物を収容するように構成されたカートリッジ122を含むことができる。第2の端部113の近くに、薬物送達ペンは、作動ユニット100と、ペンボタン116と、投与量ディスプレイ118と、投与量セレクタ120とを含むことができる。
図13の実施形態では、薬物送達ペンは、Novo Nordisk製のNovoLog(登録商標)Flex−Penであり得る。
【0040】
拡張モジュール102は、第1の端部132及び第2の端部180を有することができる。
図16及び17に図示されているように、拡張モジュール102は、第1のモジュールハウジング108及び第2のモジュールハウジング109を含むことができる。第2のモジュールハウジング109は、外面110及び中空穴148を有する概ね円筒形の構造を有することができる(
図17)。第2のモジュールハウジング109は、第2の軸L2の周囲を囲んで中空穴148の少なくとも一部分を画定する第1の延長部130及び第2の延長部134を含むことができる。
図16及び17に図示されているように、長手方向軸L2は、中空穴148の円形部分の中心点に沿って延在することができる。一実施形態では、延長部130及び134のそれぞれは、軸L2の周囲に約30度で、概ね円形の経路に延在する。延長部とペンとの間のより固い係合が必要な場合は、延長部130及び134のそれぞれを増大して、軸L2の周囲にほぼ30度〜ほぼ250度まで(又は場合によっては、連続した穴をもたらすために360度)の任意の範囲を画定することができる。
【0041】
第1のモジュールハウジング208は、第2のモジュールハウジング109の外側部分の周囲を部分的に囲む、概ね腎臓の形をした断面の構造体(
図17)を有することができる。長手方向軸L2は、
図17に図示されているように、対称平面P2のほぼ中間点に沿って延在することができる。長手方向軸L1及びL2は、一般に平行である。
【0042】
第1のモジュールハウジング108はハウジング109の外面110の上に配置されるので、第1のモジュールハウジング108は第2のモジュールハウジング109の長手方向軸L2に対して非対称に位置づけられるのが好ましい。第1のモジュールハウジング及び第2のモジュールハウジングの場合と同じく、中空穴148は、1つの動作モードで薬物送達ペンと連結され、もう1つの動作モードでペンから分離されるように構成される。
図10に示されている一実施形態では、中空穴148は、拡張モジュール102がペン224に嵌められているときに薬物送達ペンの連結又は解放を検出することができる近接検出器133(例えばスイッチ、超音波、赤外光又は可視光の検出器)を有することができる。近接検出器133の作動は、拡張モジュール102のマイクロプロセッサを用いて検出することができる。別の実施形態では、薬物送達ペンの連結又は解放は、モジュール102と一体化されている検出器133のための光学式読取り器を使用することによって、それが嵌め合わされているときに検出することができる。更に、検出器133のための光学式読取り器は、モジュール102に連結されているインスリンのタイプを認識するように構成され得る。ペンから分離されると、拡張モジュールはペンの作動機構との連結が解除され、実際、インスリンを分配するためのプランジャ又は押し棒などのような作動機構が欠如することになり、その結果、通常の観察者又はユーザに見えるように中空穴の内面が周囲環境に露出されることになる。
【0043】
図16は、位置決め中子136及び184(軸L2に沿って互いに対して長手方向にずれている)と、長手方向軸L1に沿って長手方向に往復し得る追従部分140を伴う位置決めフォーク152a及び152bと、を含む、第1のモジュールハウジング108を図示する。
図18及び19を参照すると、追従部分140は、センサ114に物理的に直接接続され、それ自体の軸の周囲を回転することができるように構成される。また、電源176が、好ましくは投与量センサ114から間隔を空けた位置に設けられる(
図18)。ここではコントローラ基板170として
図18に図示されているマイクロコントローラは、センサ114及び電源176の両方と連結されて、投与量セレクタ120の位置、移動又は場合によっては移動の方向の決定を可能にする(
図18及び19を参照)。
【0044】
図14は、通信モジュール102をペンの投与量表示窓118と整列させるための位置決めツメ136及び184を示す。位置決めツメ136及び184は、スナップ嵌めユニット102を薬物送達装置124と整列させ、ユニット102が回転し薬物送達装置124の投与量表示窓118を隠すことを防ぐ。モジュール102では、位置決め中子136及び184を有する延長部134及び182は、通信モジュール102がペン124上にスナップ嵌めすることを可能にする。薬物送達ペン124を挿入した後、位置決め中子136及び184は投与量表示窓118と係合し、拡張通信モジュール102を薬物送達ペン124に固定することができる。
図19に図示するように、投与量セレクタ120は追従部分140と係合して、投与量が調節されると投与量セレクタ120がその軸に沿って動くのを可能にする。延長部134及び182は、ユーザが投与量表示窓118及び薬物送達ペン124上のラベルを見ることができる開口部を残す。
図19に図示するように、追従部分140が投与量セレクタの軸方向の動き(それ自体は回転方向であり、投与量セレクタの軸方向の動きを可能にする)又は送達ボタン116(軸方向)を追跡するように、位置決めフォーク152a及び152bは投与量セレクタ120に連結される。
【0045】
図18は、内部の構成要素を露呈するために上のハウジングが取り除かれた通信モジュール102の分解斜視図を示す。
図19は、選択された投与量まで追従部分140が延ばされた状態の、注入前の長手方向部材154並びに位置決めフォーク152a及び152bの位置を示す。拡張通信モジュール102は、ハウジング108と、電池176と、マイクロプロセッサ回路板170と、投与量センサ114と、長手方向部材154とを含む。投与量センサ114は、注入された投与量を測定するために使用される。長手方向部材154は、ペンの長手方向軸L2に平行に移動して、投与量セレクタ120が薬物送達ペン124の作動シャフト190(
図19)とともに出入りする際に、投与量セレクタ120で追跡する。
【0046】
電気回路構成要素(図における構成要素の配置のために図示されていない)、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、A−D変換器、スピーカ、ディスプレイ、メモリ、ディスプレイドライバ、ユーザインターフェースドライバ、送信機及び受信機又は送受信機(例えば赤外光、無線周波数、又は光波を使用する無線トランシーバ)、並びにアンテナが、基板170上に配置されて、例えば、無線信号をメータとの間で送信及び受信し、センサからの入力を処理し、装置のオン/オフ切り替えを行い、装置をスリープモードにし、装置のスリープモードを解除し、電池176からの電力を調節し、メモリとの間で情報の保存及び取り出しを行う。
【0047】
図19に示すように、投与量センサ114は好ましくはリニアポテンショメータであり、ユーザが注入したボーラスのサイズを決定するために投与量セレクタ120の位置を測定するのに使用される。センサ114は、投与量セレクタ120及び投与量アクチュエータ116の位置に関するデータを提供するためにマイクロプロセッサ基板170に連結されるA−D変換器に電気的に連結される。マイクロスイッチ(
図11のマイクロスイッチ268と類似している)は、ハウジング端部132に近接した位置に設けられて、ボタン116が完全に押圧されてシャフト190をカートリッジ122の方へ押すと同時に薬物送達を表示する。代表的実施形態とともに使用可能な他のセンサとしては、回転ポテンショメータ、リニア又は回転エンコーダが含まれる。出願者らが構築した運転試作機では、リニアポテンショメータが好ましい。しかし、本明細書に記載する実施形態は、薬物送達ペンの投与量セレクタの変位を決定するための手段を利用することができ、それらの手段としては、追従部分、長手方向部材、及び投与量センサ(ロータリーポテンショメータ、リニアポテンショメータ、容量性変位センサ、光学的変位センサ、磁気変位センサ、エンコーダ型式の変位センサ、又はこれらの組み合わせ及び同等物を含む)、並びに本明細書に記載するこれらの構成要素の同等物が含まれる。本医療モジュールの追加的な実施形態は、本出願と同一出願日に出願された「Medical Module for Drug Delivery Pen」(代理人整理番号第LFS−5196USPSP号)と題する関係する出願、及び同一出願日に出願された「Drug Delivery System」(代理人整理番号第LFS−5196USPSP1号)と題する関係する出願に図示及び記載されており、これらの出願は付録の一部として本出願に添付されている複写とともに、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
代表的実施形態の操作
本明細書に記載されているシステムを使用して、糖尿病患者に臨床利益を提供することができる。一実施例において、医療提供者(「HCP」)は、パスワードを入力するか又はよりセキュリティを強めるために暗号化によるセキュリティキー(例えばUSBセキュリティPKIトークン)を使用してHCP選択メニューにログインすることにより、DMU 300に治療プロトコルを設定することができる。あるいは、信頼できる遠隔端末若しくは携帯電話400、コンピュータ500、又はネットワークサーバセンター600を介してログインプロセスを実行して、メニュー選択を遠隔操作で実行することができる。ログインが成功したら、HCPは、例えば「長期作用型」プロトコル、「混合」プロトコル又は頻回注射(Multiple Daily Injection)(「MDI」)プロトコル等の複数の治療プロトコルのうちの1つを選択することができる。
【0049】
選択されたプロトコルが長期作用型プロトコルの場合、HCPは、ユーザの体重範囲を選択し、開始投与量及び最大投与量が、空腹時の後に実行される好ましい血糖試験により的確であり、インスリンが就寝時間にユーザの身体に送達されていることを確認する。その後、次いでケーブル又は短距離若しくは長距離無線接続を介して、プロトコルがユーザのDMU 300に転送される。
【0050】
選択されたプロトコルが混合プロトコルの場合、HCPは、一定期間にわたるインスリン送達の頻度を選択する。ここで、HCPは、インスリン投与計画が、一定期間にわたり、選択された頻度であり、また1日の特定の時間にあることを確認する必要がある。その後、次いでケーブル又は短距離若しくは長距離無線接続を介して、プロトコルがユーザのDMU 300に転送される。
【0051】
選択されたプロトコルがMDIプロトコルの場合、HCPは、ユーザの1日のうちの最大の食事を選択し、毎日の特定の事象に必要な速効型の投与量、及び毎日の別の事象に必要な速効型の投与量を有する投与計画を確認する。その後、次いでケーブル又は短距離若しくは長距離無線接続を介して、プロトコルがユーザのDMU 300に転送される。
【0052】
DMU 300において、HCPが長期作用型プロトコルを選択したユーザは、一連の対話型スクリーンを見る。DMU 300のプロセッサは、HCPのコンピュータ500又はネットワークサーバセンター600からメモリに転送された、プロトコルに合った挨拶メッセージ及び通知を生成する。この時点で、ユーザは、試験ストリップ324を使用して血糖試験を実行する必要がある。分析の後、装置は、測定した血糖濃度のアウトプットをディスプレイスクリーン314上に提供する。その後、プロセッサは、ユーザの生理学的条件に必要な投与量を示すメッセージをディスプレイ314に生成する。この段階で、ユーザは、治療薬の必要な投与量を摂取する時間の通知を選択する選択肢が与えられる。ここで、デフォルト選択肢は、起動された通知のものが好ましい。ユーザが選択すると、様々なスクリーンが生成されて、血糖試験、傾向、治療タイプ、及び摂取される投与量の要約を提供することができる。一実施例において、特定の時間及び日付に摂取される治療薬及び治療薬のタイプの要約が表示される。
【0053】
DMU 300において、HCPが混合型プロトコルを選択したユーザは、一連の対話型表示メッセージを見る。1つのメッセージでは、プロセッサ1706は、HCPのコンピュータ500又はネットワークサーバセンター600からセンサ300のメモリに転送された、プロトコルに合った挨拶メッセージ及び通知を生成する。この時点で、ユーザは、試験ストリップ324を使用して血糖試験を実行する必要がある。分析の後、装置は、測定した血糖濃度のアウトプットをディスプレイ314上に提供する。その後、プロセッサは、ユーザの生理学的条件に必要な投与量を示すメッセージをディスプレイ314に生成する。ここで、ユーザは、治療薬の必要な投与量を摂取する時間の通知を選択する選択肢が与えられる。ここで、デフォルト選択肢は、起動された通知のものが好ましい。ユーザが選択すると、様々なスクリーンが生成されて、血糖試験、傾向、治療タイプ、及び摂取される投与量の要約を提供することができる。一実施例において、特定の時間及び日付に摂取される治療薬及び治療薬のタイプの要約が提供される。
【0054】
DMU 300において、HCPがMDIプロトコルを選択したユーザは、一連の対話型ディスプレイスクリーンを見る。1つのスクリーンでは、センサ300のプロセッサは、HCPのコンピュータ500又はネットワークサーバセンター600からセンサ300のメモリに転送された、プロトコルに合った挨拶メッセージ及び通知を生成する。この時点で、ユーザは、試験ストリップ324を使用して血糖試験を実行する必要がある。分析の後、装置は、測定した血糖濃度のアウトプットをディスプレイスクリーン314上に提供する。その後、プロセッサは、ユーザの生理学的条件に必要な投与量を示すメッセージを生成する。ここで、ユーザは、治療薬の必要な投与量を摂取する時間の通知を選択する選択肢が与えられる。ここで、デフォルト選択肢は、起動された通知のものが好ましい。ユーザが選択すると、様々なスクリーンが生成されて、血糖試験、傾向、治療タイプ、及び摂取される投与量の要約を提供することができる。一実施例において、特定の時間及び日付に摂取される治療薬及び治療薬のタイプの要約が提供される。
【0055】
ユーザが治療計画に従うことを確認するために、DMU 300を薬物送達ペン及び拡張通信モジュールと組み合わせて使用して、測定した食前血糖値に基づいた必要な治療薬投与量をユーザに通知するか、又は特定の時間にユーザに必要な投与量を送達するようユーザに促すことにより、治療計画の遵守を確実にすることができる。DMU 300は、拡張通信モジュールを介して薬物送達ペンの起動を検出するように構成することができる。拡張通信モジュールからDMU 300への無線信号の送信によって拡張通信モジュールを介した薬物送達ペンによる起動又は治療薬の実際の送達が検出されたら、メッセージをセンサ300(又は携帯電話400、コンピュータ500、及びネットワークサーバセンター600)に提供して、治療薬の投与量及び投与時間を示すことができる。
【0056】
薬物送達ペン及び通信モジュールを上述の方法において利用するために、ユーザは、
図1及び13に示されているように、拡張通信モジュール(102、202)を薬物送達ペン124(又は224)の作動端部100(又は200)の上に連結する(例えば、スナップ嵌め、滑り嵌め(slide on)、クラムシェルを閉じる)。拡張通信モジュール(102、202)を薬物送達ペン124(又は224)に連結したら、投与量セレクタ120(又は回転ノブ278)を回転して、ユーザは注入する投与量をダイヤルして選択することができる。選択された投与量はペン124又は224の投与量表示窓118(又は218)に表示される。投与量セレクタ120が回転するにつれて、
図19に図示するように薬物送達ペン124内部のシャフト190が延びて、長手方向部材154もまた延びる。同様に、ノブ278が回転するにつれて、
図11に図示するように第1のモジュールハウジング208内部の長手方向部材254が延びる。注入されるインスリンの量はペン124のシャフト190及び長手方向部材154の延長(
図19)に比例し、これは投与量センサ114によって測定される。同様に、注入されるインスリンの量はモジュール202の追従部分240及び長手方向部材254の延長に比例し、これは投与量センサ214によって測定される。投与量セレクタ120(又はノブ278)をいずれかの方向に回転して、選択される投与量を増す又は減らすことができる。
【0057】
好適な針(図示せず)をインスリンカートリッジ122又は222に取り付けることができる。注入の前に、ユーザは、針を皮下に差し込む前に少量の投与量(通常、2単位)を射出して薬物送達ペン124又は224をプライミングする。薬物送達ペン124又は224のプライミングは、気泡を除去する。プライミングの間、薬物送達ペン124又は224は針を上に向けて保持されなくてはならない。拡張通信モジュール102は、2つの代表的な手法、すなわち(1)注入中に薬物送達ペン124又は224が(地面に対して)針を上に向けて保持されているかどうかを拡張モジュールのハウジングに配置された慣性又は加速度センサを介して決定し得ること、及び(2)1つ以上の約2単位の少量の投薬の後により大きい投薬が行われるかどうかを決定するソフトウェアを使用することができることによって、プライミングと注入とを区別することができる。場合によっては、別個の血糖メータによって、投薬がプライミングか注入かを確認するよう、ユーザに尋ねることができる。一実施形態では、ユーザが装置を取り上げたときに装置がスリープモードの場合は、慣性センサを使用して装置を起動することもできる。血糖メータの投薬履歴メニュー(図示せず)で、ユーザはプライミングと注入のエントリをトグルすることができる。例えば、メータは記号「
*」(例)を表示することによって、プライミングを表示し、どの注入の前にプライミングが行われたかを表示することができる。出願者らは、これによって、プライミング投与量と注入投与量を全てまとめて1つのリストに表示することによってユーザを混乱させることなく、メータの1つの画面上にできるだけ多くの情報を表示することが可能になると考える。
【0058】
所望の投与量をダイヤル選択した後、針を皮膚に挿入し、ユーザがペン124(モジュール102の場合)の作動ボタン116又はペン224のボタン216又はボタン251(モジュール202の場合)を親指で完全に押圧することによって注入を行う。作動ボタンを完全に押圧したら、選択された投与量が完全に注入されるために既定の時間ボタンを下げたまま保持する必要がある。投与量注入イベント及びその持続時間を決定するための手段において提供されるように、拡張モジュールはそのようなイベント及びそのイベントの持続時間をそのメモリに記録する。ユーザは、カートリッジ222が空になるまでこの順序を行うことができる。
【0059】
インスリンカートリッジ222が空になった後、通信モジュールを使い捨て薬物送達ペン124(又は224)から取り外し、使い捨て薬物送達ペン124又は224(例えばインスリンペン)を捨て、通信モジュール102を新しい使い捨て薬物送達装置124又は224(例えばインスリンペン)に再び取り付ける。あるいは、ユーザが再使用可能なペンを使用している場合は、空の薬物カートリッジを捨て、再使用可能なペンの作動部分に取り付けられる新しいカートリッジと交換することができる。
【0060】
既に述べたように、単一の血糖メータで複数の拡張通信モジュールと通信することができる。例えば、血糖メータは、速効型インスリン薬物送達ペンに取り付けられた拡張通信モジュール(102、202)及び長期作用型のインスリン薬物送達ペンを有する別のユニット(102、202)と通信することができる。薬物送達ペン124又は224の色と一致するように拡張通信モジュール(102、202)をカラーコードして、含まれているインスリンのタイプを識別してもよい。この特徴は、誤ったタイプのインスリンをうっかり注入することを防ぐのを助ける。一実施形態では、このモジュールは、インスリンのタイプを識別するために特定のタイプのペンハウジングに取り付けるように構成することができる。この実施形態では、インスリンペン製造業者は、特定のインスリンのタイプのために異なるタイプのペンハウジングの形状を提供する。
【0061】
いくつかの特徴について説明してきたが、代表的実施形態の他のバリエーションを様々な組み合わせで利用することも可能である。例えば、拡張モジュールは、ポテンショメータの代わりにエンコーダを使用して、投与量セレクタの角度位置及び回転を測定することができる。スイッチをエンコーダと併用して、ユーザが例えばインスリンのような薬物を注入するために拡張モジュール(102、202)の投与量作動ボタンを押圧したときを検出し、投与量調節と注入との区別を可能にすることができる。そのようなスイッチはまた、既に説明したように、インスリンショットを注入した後にユーザがどれだけ長く投与量作動ボタンを押圧し続けるかを検出する。別の例では、スイッチが作動され、投与量セレクタダイヤルがゼロ位置に戻ったことをエンコーダが判断した後に、拡張モジュール(102、202)はこの情報をデータ管理ユニットに伝達して、ユーザがダイヤルを押圧し続けなくてはならない時間のカウントダウンをするメータのタイマーを開始することができる。ユーザがスイッチへの圧力を尚早に解放すると、データ管理ユニットに警告が発せられるか表示されてもよい。あるいは、又は加えて、スナップ嵌め式のペンモジュール(102、202)の小さいディスプレイ又はLEDを使用して、どれだけ長くダイヤルを押圧し続けるかをユーザに伝えてもよい。しかし、ディスプレイは絶対に必要なものではないことに注意されたい。装置は、ボタンが押圧されている時間を追跡し、ユーザがボタンを十分な時間に押し続けない場合にメータにメッセージ/警告を表示するだけでもよい。スイッチは、例えば
図11、12、18及び19に例として示されるリニアポテンショメータなど、エンコーダ以外のセンサとも機能するように構成されてもよい。拡張通信モジュール(102、202)は、薬物送達ペン124又は224を正しく使用するようユーザを案内する様々な特徴を含むことができる。例えば、拡張通信モジュール(102、202)は、ユーザが薬物送達ペン124又は224をプライミングしなかった場合に慣性センサを用いてユーザに警告すること、(混合インスリンに適用される)混合工程が行われなかった場合に慣性センサを用いてユーザに警告すること、注入が不完全である(すなわち、投与量送達ボタンが完全にゼロに達するまで押圧されていない)ことをユーザに警告すること、注入中に投与量送達ボタン116を数秒間押し続けるようユーザに通知するタイマーを提供すること、薬物送達ペン124又は224に残っているインスリンを追跡記録すること、注入時刻になったときにユーザに通知すること、注入をし損ねた又は重複した場合にユーザに警告すること、まもなくインスリンの有効期限が切れることをユーザに警告することができる。
【0062】
加えて、拡張通信モジュール(102、202)は、通信モジュールハウジング108内にマイクロスイッチを含むことによって、特定の機能を作動させることができるようにしてもよい。例えば、薬物送達ペン124又は224を拡張通信モジュール(102、202)に挿入するとマイクロスイッチが起動する。マイクロスイッチの起動は2つの目的を果たし、すなわち、第1には、新しい薬物送達ペン124又は224が挿入されたときに信号を送信することによって、拡張通信モジュール(102、202)が薬物送達ペン124又は224内の残りのインスリンの量を追跡することを可能にし、第2には、薬物送達ペン124又は224が正しく挿入され、拡張通信モジュールと正しく整列されることを確保する。
【0063】
通信モジュールに含めることができるもう1つの機能は、ユーザによるプライミング投薬とユーザに注入された投薬とを区別するための技術である。例えば、重力センサ又は慣性センサを使用して、ダイヤル3が押圧されたときに装置が上を向いているかどうか(気泡を除去するときに装置を逆さの位置に保持するので、プライミングショットであることを示す)を判断することができる。拡張モジュールは、プライミングショットと実際の薬物送達とを区別することができる。例えば、通常、プライミングショットは2単位以下であるので、より量の多い注入ショットと区別することが可能であり、また、通常、プライミングショットの後に注入ショットが行われるが、これは、ソフトウェアによって区別することが可能なパターンである。同様に、ユーザがダイヤルを後方及び/又は前方に回して特定の投与量にダイヤルを合わせて行う投与量調節と、ユーザが1回分を注入したときに生じるダイヤル位置の移動とを区別可能であることが有用である。ユーザへの注入であれば、終了時にダイヤルは初期の位置、すなわちホームポジションに戻るはずであるのに対し、投与量を変更するためのダイヤル調節は、通常はダイヤルをより多くの投与量に設定するときに生じ、ダイヤルの初期の位置、すなわちホームポジションでは終わらないので、これは投与量センサを介してマイクロコントローラによっても検出可能である。
【0064】
いくつかの機能を利用してインスリンペンの使用での不正確さを軽減することができる。これらには、注入のし損ね、注入の重複、及び不適切なプライミングが含まれる。不適切なプライミングは、投薬と投薬との間に針(図示せず)を付けたままにして薬物カートリッジ122に空気を進入させた場合に特に問題である。70/30プレミックスのようなインスリンは注入の前に混合する必要がある。注入の前に70/30プレミックスの混合をしないこと又は不適切に混合することは、不正確さの原因である。投与量の全てが体内に確実に入るようにするためには、注入中に約6秒間、投与量送達ボタン116を保持しなくてはならない。投与量送達ボタン116を十分に長く保持しないと、部分投薬が生じる。拡張通信モジュールは、これらの不正確さをユーザに警告するので、不正確さを軽減するのを助ける。
【0065】
既に述べたように、拡張通信モジュール(102、202)を使用して、インスリン投与量を測定し、その情報を、血糖メータ又は、携帯電話、モバイルコンピュータなどの好適なデータ通信ユニットであり得るデータ管理ユニットに転送することができる。拡張通信モジュールからデータ管理ユニットに転送される情報を使用して、薬物送達ペン124又は224を使いこなすのを助けることができる。薬物送達ペン124又は224の不正確な使用の主な潜在的原因は、投薬をし損ねること及び投薬の重複である。本明細書で具現化される拡張通信モジュールは、ユーザに投与履歴を通知することによってこれらのエラーの原因をなくすのを助けることができる。完全な投与履歴(投与量、及び投薬が行われた日時を含む)は、このオプションをデータ管理ユニットのメニューから選択することによって、ユーザに利用可能にできる。加えて、データ管理ユニットの電源を入れたときに最新の投与情報(時間及び量)をメータのディスプレイに示すことによって、ユーザは血糖値測定をする度に、注入を忘れたかどうかを直ちに見ることになる。血糖を試験する時をユーザに警告するためにデータ管理ユニットを使用するのと同じ方法で、データ管理ユニットは、いつインスリンを摂取するか、又はインスリン注入をし損ねたかどうかもユーザに警告することができる。この情報も、データ管理ユニットの電源を入れたときに表示することができる。
【0066】
薬物送達ペン124又は224を使用するときの不正確さのもう1つの原因は、不適切なプライミング手法(又はプライミングそのものをしないこと)である。プライミング(試験注射と呼ばれる場合もある)の目的は、注入量を減らすことになる気泡を薬物カートリッジ122及び針から取り除くことである。プライミング中は、気泡を薬物カートリッジ122の上(針に最も近い端)に上昇させ、プライミング投薬によって排出されることができるように、薬物送達ペン124又は224を縦に保持しなくてはならない。針の先端にインスリンの滴が現れるのをユーザが見れば、プライミングは成功である。インスリンの滴が見られない場合は、ユーザはプライミング工程を繰り返す。慣性センサをモジュールハウジングに配置するか、プロセッサ基板170又は270に位置づけて、プライミング中に薬物送達ペン124又は224が縦に保持されているかどうかを検出し、この情報をデータ管理ユニットに無線送信することができる。低コストのマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)慣性センサチップは広く入手可能であり、正確かつ低コストで、サイズが小さい。好ましい慣性センサとしては、Analog DevicesのモデルADXL322加速度計(http://www.analog.com/en/mems−and−sensors/imems−accelerometers/ADXL322/products/product.html#pricingで入手可能)が挙げられる。データ管理ユニットは、プライミングのときにユーザが薬物送達ペン124又は224を縦に保持していない場合に、縦に保持するようにユーザに通知することができる。加えて、ユーザがプライミング工程を完全に抜かした場合は、拡張通信モジュール102、202又は204が収集した情報からそのことが明らかになり、拡張モジュール又はデータ管理ユニットによって視覚的又は聴覚的な警告、通知、及び/又は指示をユーザに与えることができる。
【0067】
また、慣性センサは、薬物送達ペン124又は224の使用におけるもう1つのエラーの原因であるインスリン注入前の混合手法をユーザが正しく行っているかどうかを判断するのにも利用される。インスリンによっては、70/30プレミックスインスリンのように使用前に混合しなくてはならないものがある。通常、混合には、薬物送達ペン124又は224を上下に動かすことを10回繰り返すことを伴い、これは(取り付けられた拡張通信モジュール102、202又は204に位置づけられている)慣性センサによって容易に検出可能な動作である。使用前に混合することが必要なインスリンを使用している場合は、データ管理ユニットにメッセージを表示して、インスリンの混合の仕方を患者に通知することができる。
【0068】
プライミングに関係するもう1つのエラーの原因は、各注入後に針を取り外して廃棄することをしないことである。一実施形態では、メータは、毎回使用の度に針を取り外さなくてはならないことを述べた通知を生成するためにディスプレイを提供する。あるいは、拡張モジュールに装着されたスピーカを利用して、トーン、又は予め保存された、特定の地域のために構成されたフレーズ(例えば、ドイツで流通されたモジュールの場合はドイツ語、フランスで流通された場合はフランス語など)で、ユーザを促すことができる。加えて、所在が分からないペン及びモジュールをユーザが見つけるのを可能にするように、拡張モジュールのスピーカを構成してもよい。具体的には、ペン及びモジュールの所在がユーザに分からない場合に、拡張モジュールは、データ管理ユニット(又は、拡張モジュールと対になった任意の電子装置)からの問い合わせ信号に応答して拡張モジュールのスピーカがトーン又はブザー音を発することができる。また、この方法を使用して、特定の通信モジュールが血糖メータのような特定のデータ管理ユニットと対になっていることを確認することもできる。
【0069】
薬物送達ペン124又は224を用いてインスリンを注入するとき、確実に投与量が全て皮下に送達されるようにするために、針が挿入された状態で投与量送達ボタン116を約6秒間押し下げ続けることが重要である。最適な時間は、通常、薬物送達ペン124又は224のユーザマニュアルに記載されている。拡張モジュール又はデータ管理ユニットのいずれか又は両方にメッセージを表示して、ユーザが投与量送達ボタン116、216又は251を尚早に解放した場合に、正しい手法をユーザに通知することができる。データ管理ユニット又は拡張モジュールは、投与量送達ボタン116が最初に押圧されたときに開始するカウントダウンタイマーの表示又はカウントダウンのトーン若しくは信号の発信をして、投与量送達ボタン116を解放すべきときをユーザに知らせることができる。
【0070】
冷蔵庫から出した後にペンを使用することができる時間など、ペンの使用に関する他の通知をスマートペンモジュールに組み込み、ユーザへの助けとしてデータ管理ユニットに表示してもよい。特定のペンが使用されている時間を追跡するために、ユーザは新しいペンの開始をメータで指示する必要がある。そのような実施形態では、スマートペンモジュールの中空穴に、モジュールがペンに取り付けられたときに作動するスイッチが設けられて、新しいペンの開始を発信する。ボタンを押圧することによって、また場合によっては例えば新しいペンのインスリンの量など何らかの情報を入力することによって、新しいペンがいつ開始されたかをメータ上で確認するよう、ユーザが指示されてもよい。
【0071】
上記の実施例では、容易な参照又は顕著な表示のために、スマートペンモジュールが収集した情報を携帯電話又はコンピュータと送受信することを可能にするために、拡張モジュール(102、202)にはトランシーバが設けられる。
【0072】
説明及び図示されたこれらの特徴は、従来の使い捨てペンの他に、再使用可能なペンに組み込まれてもよい。
【0073】
最後の数回の注入量を表示する従来のデジタルインスリンペンを例外として、我々が知る限り、本明細書で出願者らが認識した問題に対処することを目的とした装置は他にない。
【0074】
これまでに、各投与量を測定し、その情報をメータに送信して表示するいくつかの試作機が構築されてきた。ユーザは、長期作用型のインスリンのために1つのペンを使い、別のペンを速効型インスリンに使うことが多いので、出願者らは、それらの試作機の評価中、複数のペンと通信する装置を有することが有用であろうと認識した。加えて、一部の患者は、同じタイプのインスリンに複数のペンを使用し、それらを異なる便利な場所(例えば自宅、職場、車内など)に置いておく。したがって、出願者らは、すべてのインスリン注入を確実に記録するために、複数の通信モジュールが、これらのペンのそれぞれのためのデータ管理ユニットと通信できることを理解した。また、出願者らは更に、通信モジュールをカラーコードして、それらの通信モジュールとともに作動するように設計された薬物送達ペンの色と一致するようにできることも理解した。インスリン会社は同じペンを使用して異なるインスリンを送達し、異なるペンをユーザが区別するのを助けるためにカラーコードを使用するので、この特徴は、ユーザにとって有用であると考えられる。これらの通信モジュールは、ユーザが注入するインスリンのタイプを拡張モジュール又はデータ管理ユニットのメッセージ、可視警告、又はアラームを介してユーザに警告して、ユーザが誤ったインスリンを注入している可能性のある潜在的なエラー(高血糖又は低血糖を引き起こし得るエラー)を捉えるのを助けることができる。
【0075】
本発明を特定の変形例及び説明図に関して述べたが、当業者には本発明が上述された変形例又は図に限定されないことが認識されよう。更に、上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、当業者には特定の工程の順序が変更可能であり、そうした変更は本発明の変形例に従うものである点が認識されよう。更に、こうした工程のうちのあるものは、上述のように順次行われるが、場合に応じて並行したプロセスで同時に行われてもよい。したがって、開示の趣旨及び本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。