(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711180
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】エッチングリードフレームを備えるカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20150409BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20150409BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20150409BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20150409BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20150409BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 N
H01L21/56 E
H01L23/30 R
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-94121(P2012-94121)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2012-235099(P2012-235099A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2012年6月29日
(31)【優先権主張番号】61/482,314
(32)【優先日】2011年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/364,219
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597161115
【氏名又は名称】インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】チェアー チュアン
(72)【発明者】
【氏名】パーク デ ケウン
【審査官】
中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0189291(US,A1)
【文献】
特開2008−198735(JP,A)
【文献】
特開平11−097570(JP,A)
【文献】
実開平06−002687(JP,U)
【文献】
特開2000−223815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00−25/18
H01L 23/28−23/31
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート、ソースおよびドレインを有するIII族窒化物トランジスタと、
アノードおよびカソードを有するダイオードであって、該カソードが前記ソース上に存在して前記ソースに機械的かつ電気的に結合するように、前記III族窒化物トランジスタの上にスタックされたダイオードと、
前記III族窒化物トランジスタの前記ゲートおよび前記ダイオードの前記アノードを支持、接続する第1のリードフレームパドル部分であって、前記ダイオードは前記第1のリードフレームパドル部分に配置されて前記カソード及び前記第1のリードフレームパドル部分は実質的に同一平面上にある、第1のリードフレームパドル部分と、前記III族窒化物トランジスタの前記ドレインを支持、接続する第2のリードフレームパドル部分とを含むエッチングリードフレームとを備え、
前記第1および第2のリードフレームパドル部分が高電圧半導体パッケージを表面実装するのを可能にすることを特徴とするワイヤーボンディングの無い表面実装性の高電圧半導体パッケージ。
【請求項2】
前記第1および第2のリードフレームパドル部分が実質的に同一平面上にある請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項3】
前記III族窒化物トランジスタと、前記ダイオードと、前記第1および第2のリードフレームパドル部分とを含む前記高電圧半導体パッケージを封入するモールド化合物をさらに備える請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項4】
前記III族窒化物トランジスタの背面を露出しながら前記高電圧半導体パッケージを封入するモールド化合物をさらに備える請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項5】
前記III族窒化物トランジスタの背面と前記第1のリードフレームパドル部分に接続した熱クリップをさらに備える請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項6】
前記III族窒化物トランジスタの背面と前記第2のリードフレームパドル部分に接続した熱クリップをさらに備える請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項7】
前記第1のリードフレームパドル部分を台座によって前記III族窒化物トランジスタの前記ゲートに接続する請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項8】
前記III族窒化物トランジスタの前記背面に取り付けたヒートシンクをさらに備える請求項4に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項9】
前記ダイオードがショットキーダイオードである請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項10】
前記III族窒化物トランジスタがGaN FETである請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項11】
前記III族窒化物トランジスタがGaN HEMTである請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項12】
エッチングリードフレーム上にカソードおよびアノードを有するダイオードを搭載する工程と、
前記リードフレームおよび前記ダイオードの上にゲート、ソースおよびドレインを有するIII族窒化物トランジスタを置き、該III族窒化物トランジスタの前記ソースを前記ダイオードの前記カソードに結合し、前記カソードを前記ソース上に存在させる工程と、
モールド化合物を塗布して前記III族窒化物トランジスタ、前記ダイオードおよび前記リードフレームを封入する工程と、
前記III族窒化物トランジスタの前記ゲートおよび前記ダイオードの前記アノードを支持、接続する第1のリードフレームパドル部分と、前記III族窒化物トランジスタの前記ドレインを支持、接続する第2のリードフレームパドル部分とを形成する工程とを備え、該第1および第2のリードフレームパドル部分が高電圧半導体パッケージを表面実装するのを可能にし、前記ダイオードは前記第1のリードフレームパドル部分に配置されて前記カソード及び前記第1のリードフレームパドル部分は実質的に同一平面上にある、ことを特徴とするワイヤーボンディングの無い表面実装性の高電圧半導体パッケージを製造する方法。
【請求項13】
前記第1および第2のリードフレームパドル部分が実質的に同一平面上にある請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モールド化合物の塗布工程が、前記III族窒化物トランジスタの背面を露出する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記III族窒化物トランジスタの背面および前記リードフレームの前記第1のリードフレームパドル部分に熱クリップを接続する工程をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチングリードフレームが、前記第1のリードフレームパドル部分を前記III族窒化物トランジスタの前記ゲートに接続する台座を含む請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記III族窒化物トランジスタの前記背面にヒートシンクを貼り付ける工程をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ダイオードがショットキーダイオードである請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記III族窒化物トランジスタがGaN FETである請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記III族窒化物トランジスタがGaN HEMTである請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年5月4日に出願した「カスコード接続された高電圧GaN整流器のリードレスパッケージ」の米国仮特許出願第61/482,314号の優先権の利益を主張する。この仮出願における開示を本出願に参照して完全に援用する。
【0002】
本発明は、一般に半導体素子に関する。さらに具体的には、本発明は半導体素子のパッケージングに関する。
【背景技術】
【0003】
高出力及び高性能な回路用途には、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)のようなIII族窒化物トランジスタが高効率及び高電圧動作のため多くの場合望ましい。特に、かかるIII族窒化物トランジスタをシリコンダイオードのような他の素子に結合して、カスコード接続された整流器のような高性能な整流器を生成することがしばしば好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不幸にも、III族窒化物トランジスタをシリコンダイオードに結合する従来のパッケージ集積技術は、かかるIII族窒化物トランジスタによって付与される利益を多くの場合なくしていた。例えば、従来のパッケージ設計では、端子接続に対しワイヤーボンディングが要求され、不所望に増大するパッケージ形状因子、製造コスト、寄生インダクタンス、抵抗及びパッケージの熱散逸要求をもたらす。ワイヤーボンディングの代わりに導電性のクリップを使用して高電圧用途に適した高性能のパッケージ端子を提供することが知られている一方、導電性のクリップを別々に形成、配置する要求は、多重パッケージをシングルパスで処理する可能性を排除し、これはストリームライン型組立、集積の増大および製造コストの減少に著しく望ましい。
【0005】
それゆえ、カスコード接続されたIII族窒化物高電圧整流器を一体化するパッケージの効率的な製造を支持するためにユニークなコスト効率の良い解決方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面の少なくとも一つに示すか、および/またはそれに関連して説明され、より完全には請求の範囲に記載したようなエッチングリードフレームを備えるカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】IV族ダイオードに結合したIII族窒化物トランジスタの回路図である。
【
図2C】III族窒化物トランジスタの正面図である。
【
図2D】III族窒化物トランジスタの背面図である。
【
図2E】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の上面図である。
【
図2F】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【
図2G】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の上面図である。
【
図2H】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【
図2I】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【
図2J】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の上面図である。
【
図2K】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【
図2L】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の底面図である。
【
図2M】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージの断面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態に係るカスコード接続されたIII族窒化物整流器パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明はエッチングリードフレームを備えるカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージに指向するものである。以下の説明は、本発明の実施態様に関与する特定の情報を含む。当業者は、本発明が本出願に具体的に論述したものと異なる方法で実施し得ることを認識するであろう。さらに、本発明を曖昧にしないように、いくつかの本発明の具体的な詳細は議論されていない。本出願に記載されない具体的な詳細は、当業者の通常の知識の範囲内である。
【0009】
本出願にかかる図面と、それに伴う詳細な説明は、単に本発明の例示的な実施形態に指向する。簡潔さを維持するために、本発明の他の実施形態は、本発明にかかる原理を使用するものの、本出願には具体的に記載されておらず、図面によっても具体的に示されない。
【0010】
ここで用いる語句「III族窒化物またはIII−N」は、窒素と、Al、Ga、InおよびBを含む少なくとも一つのIII族元素とを含む化合物半導体を指し、限定しないがそのあらゆる合金、例えば窒化アルミニウムガリウム(Al
xGa
(1-x)N)、窒化インジウムガリウム(In
yGa
(1-x-y)N)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(Al
xIn
yGa
(1-x-y)N)、ヒ化リン化窒化ガリウム(GaAs
aP
bN
(1-a-b))、ヒ化リン化窒化アルミニウムインジウムガリウム(Al
xIn
yGa
(1-x-y)As
aP
bN
(1-a-b))などを含む。一般に、III族窒化物材料はまた、限定しないが、Ga極性、N極性、半極性または無極性の結晶方位を含むあらゆる極性も言及する。III族窒化物材料はまた、ウルツ鉱型、ジンクブレンデ型あるいは混成の結晶多形を含んでもよく、また単結晶、単結晶質、多結晶質または非結晶質構造を含んでもよい。
【0011】
また、ここで用いる語句「IV族」は、Siと、GeおよびCを含む少なくとも一つのIV族元素を含む半導体を指し、SiGeおよびSiCなどの化合物半導体を含む。IV族はまた、第IV族元素の層からなる半導体材料または歪みシリコンや歪みIV族元素を生産するための第IV族元素のドーピングを指し、SOI、SIMOXおよびSOS(サファイア上シリコン)などを含むIV族系の複合サブストレートを含む。
【0012】
開示内容を本出願に完全に参照して援用した2011年3月22日付け出願の「パッケージ内のダイオードにスタックされたIII族窒化物トランジスタ」米国特許出願第第13/053,646号は、ダイオードのカソードがIII族窒化物トランジスタのソースに存在し、電気的に結合するようにIII族窒化物トランジスタの上面に重ねられたシリコンダイオードのようなダイオードを含む2端子スタックダイパッケージを教示する。パッケージの第1端子をIII族窒化物トランジスタのドレインに結合し、パッケージの第2端子をダイオードのアノードに結合する。
【0013】
本出願は、高電圧(200V〜1200Vまたはそれ以上)用途に使用する2端子スタックダイパッケージを形成するのに必要な改良に対応し、開示する。さらに、本出願は、機械的支持用で表面実装を可能にするエッチングリードフレームの使用を説明することによりかかるパッケージの構造に対応し、開示するもので、高密度組み立て(HDA)パッケージとしても既知である。
【0014】
本出願は、スタックダイのワイヤーボンディングの無い表面実装性高電圧パッケージの物理配列を説明する。特に、IV族ダイオードをクワッドフラットのリード無し(QFN)パッケージ内のIII―N材料トランジスタの上にスタックする。素子のアノードとカソードとの間の高い電圧場差(200V超)を調整するのに必要な改良は、アノードおよびカソード間の物理的離間隔を、例えば2.7500mmまたはそれ以上に拡張することを含む。
【0015】
図1は、シリコンダイオードのようなIV族ダイオードに結合したIII族窒化物トランジスタの回路図を示す。本出願では、「シリコンダイオード」への言及は、簡潔さと便利さのためだけになされる。しかしながら、本発明のスタックダイパッケージの文脈における「IV族またはシリコンダイオード」は、非シリコン型のダイオード、すなわち一般にあらゆるダイオードに置き換わり得る。
図1は、端子112aおよび112bと、ノード114および116と、ダイオード120と、III族窒化物トランジスタ130とを含む。III族窒化物トランジスタ130は、例えば、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)、またはGaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含んでもよく、より具体的には空乏モードGaNトランジスタを含んでも良い。ダイオード120はPN接合ダイオードまたはショットキーダイオードのいずれかとすることができる。
【0016】
図1に示した例では、ダイオード120のカソード121をノード114でIII族窒化物トランジスタ130のソース133に結合する。さらに、完全なカスコード接続されたスイッチが、III族窒化物トランジスタ130のゲート131をノード116でダイオード120のアノード122に結合することにより形成される。こうして、
図1の回路は高性能のカスコード接続された整流器を実現する。しかしながら、別の実施形態では、回路が異なる構造のダイオード120をIII族窒化物トランジスタ130と共に含んでも良い。
【0017】
III族窒化物トランジスタまたはIII族窒化物HEMTを下記の文献で論述されたように形成するのが好ましく、これら文献すべてを完全に本出願に参照して援用する。
「ゲートとドレインとの間に低減した電界を有するエンハンスメントモードのIII族窒化物半導体素子」のタイトルで2010年6月29日に発行された米国特許第7,745,849号、
「III族窒化物エンハンスメントモード素子」のタイトルで2010年7月20日に発行された米国特許第7,759,699号、
「エンハンスメントモードのIII族窒化物FET」のタイトルで2008年6月3日に発行された米国特許第7,382,001号、
「上部トランジスタの超格子変性」のタイトルで2006年9月26日に発行された米国特許第7,112,830号、
「上部トランジスタの超格子変性」のタイトルで2008年11月25日に発行された米国特許第7,456,442号、
「窒化ガリウム材料と関連する製造方法」のタイトルで2008年3月4日に発行された米国特許第7,339,205号、
「障壁/スペーサ層を有するIII族窒化物系高電子移動度トランジスタ(HEMT)」のタイトルで2005年2月1日に発行された米国特許第6,849,882号、
「窒化ガリウム材料と方法」のタイトルで2003年9月9日に発行された米国特許第6,617,060号、
「窒化ガリウム材料と方法」のタイトルで2003年11月18日に発行された米国特許第6,649,287号、
「GaN/Al
XGa
1-XNヘテロ接合高電子移動度トランジスタ」のタイトルで1993年3月9日に発行された米国特許第5,192,987号、
「張力緩和中間層を備えたIII−V族半導体素子」のタイトルで2009年10月14日に出願された米国特許出願第12/587,964号、
「応力変調III−V族半導体素子と関連製法」のタイトルで2010年12月21日に出願された米国特許出願第12/928,946号、
「寄生電流路を防ぐ交互高低温層を用いた超格子の製造方法」のタイトルで2006年9月13日に出願された米国特許出願第11/531,508号、
「アルミニウムドープされたゲートを備えるプログラマブルIII族窒化物トランジスタ」のタイトルで2011年2月4日に出願された米国特許出願第13/021,437号、
「単一ゲート誘電構造を備えるエンハンスメントモードのIII族窒化物トランジスタ」のタイトルで2011年1月31日に出願された米国特許出願第13/017,970号、
「ゲートAlGaN/GaNヘテロ接合ショットキー素子」のタイトルで2009年12月7日に出願された米国特許出願第12/653,097号、
「フローティングゲートを備えたエンハンスメントモードのIII族窒化物素子と、その製造方法」のタイトルで2008年8月21日に出願された米国特許出願第12/195,801号、
「ゲートとドレインとの間に低減した電界を備えるIII族窒化物半導体素子と、その製造方法」のタイトルで2008年9月16日に出願された米国特許出願第12/211,120号、
「プログラマブルゲートを有するIII族窒化物パワー半導体素子」のタイトルで2007年9月8日に出願された米国特許出願第11/857,113号、
「III族窒化物ヘテロ接合素子、HEMT、関連する素子構造」のタイトルで2011年2月28日に出願された米国特許仮出願第61/447,479号、
「ゲートAlGaN/GaNヘテロ接合ショットキー素子」のタイトルで2011年3月3日に出願された米国特許仮出願第61/449,046号。
また、III族窒化物FETが高電圧III−N FETであるのが望ましい。III−N FET 130は、200V〜5000VのV
drainでの動作に最適化することができるか、またはFET 130は500V〜700Vの間、若しくは200V〜5000Vの間の任意他の下位範囲での動作に最適化してもよい。
【0018】
図2A〜
図2Dに移ると、
図2AはIV族ダイオードの正面図を示し、
図2BはIV族ダイオードの背面図を示し、
図2CはIII族窒化物トランジスタの正面図を示し、
図2DはIII族窒化物トランジスタの背面図を示す。
図2A〜
図2Dに関して、ダイオード220は
図1のダイオード120に対応し、III族窒化物トランジスタ230は
図1のIII族窒化物トランジスタ130に対応する。ある実施形態では、ダイオード220に対して約1mm×1mmのダイサイズを好適とすることができる。別のある実施形態では、ダイオード220のダイサイズは、より大きいか、またはより小さくてもよい。
図2Aおよび2Bに示すように、シリコンダイオード220は上面にアノード222を、また反対側の底面にカソード212を備える。
図2Cおよび2Dに示すように、III族窒化物トランジスタ230はゲート231と、ドレイン232と、ソース233を備える一方、底面または背面は不活性である。ある実施形態では、III族窒化物トランジスタ230に対して約3.2mm×2.795mmのダイサイズを好適とすることができる。別のある実施形態では、III族窒化物トランジスタ230のダイサイズは、より大きいか、より小さくてもよい。
【0019】
次に、
図2E、2Gおよび2Jは、本発明の一実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立体の上面図である。
図2F,2H,2I,2Kおよび2Mは、対応する本発明の一実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立体の上面図である。
図2Lはまた、本発明の一実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立体の完成品の底面図である。
【0020】
図2Eから始めると、リードフレーム212の部分をフロントエッチングして、ダイオード220を受けるための空間を付与することができる。リードフレーム212は、例えば、銅または銅合金のリードフレームからなり、約0.4000mmの厚さを有することができる。フロントエッチングはまた、
図2Iに関連して後述するように、III族窒化物トランジスタ230のゲート231へのさらなる接続用の台座213を残すことができる。ダイオード220のアノード222をリードフレーム212上にダイオード220のカソード221がその上面に到達できるように搭載することができる。かかる搭載に先立ち、はんだペーストまたははんだプリフォームのようなはんだをリードフレーム212に塗布しても良い。或いはまた、導電性接着剤や導電性テープのような他の材料をはんだの代替にすることができる。
図2Fは、
図2Eにおける線2F−2Fに対応する断面図で、ダイオード220およびリードフレーム212の上面が実質的に同一平面上にあることを示す。
【0021】
簡単のために、これら図面は単一パッケージの組立体のみを示す。しかしながら、リードフレーム212は、図示した単一パッケージの部位を越えて延在しても良いことが分る。したがって、リードフレーム212は、多重パッケージを例えばストリップまたはグリッドで同時に組み立ておよび処理するのに提供することができる。
【0022】
図2Eから
図2Gでは、III族窒化物トランジスタ230をリードフレーム212の上面およびダイオード220の上面に配置する。従って、III族窒化物トランジスタ230の背面240は、
図2Gの上面図から見える。
図2Gにおける線2H−2Hに対応する断面図を図示する
図2Hに示されるように、III族窒化物トランジスタ230は直接リードフレーム212およびダイオード220にあり、これにより機械的に支持される。より具体的には、III族窒化物トランジスタ230のドレイン232をリードフレーム232に結合し、III族窒化物トランジスタ230のソース233をダイオード220のカソード221に電気的かつ機械的に結合する。垂直に裏返した方位で
図2Hを観察すると、ダイオード220のカソード221がIII族窒化物トランジスタ230のソース233の上面に直接スタックされることも説明できる。
【0023】
図2Iは、
図2Gにおける線2I−2Iに対応する断面図である。
図2Iに示すように、III族窒化物トランジスタ230のゲート231を台座213によりリードフレーム212に接続しても良い。台座213は、熱散逸または電気的遮蔽への適用要求に応じてゲート231よりも小さいまたは大きいサイズとすることができる。例えば、より小さな台座213は大きな電気的遮蔽用の囲まれたはんだレジストパターンを提供することができる一方、より大きな台座213ははんだレジストパターンの欠乏による小さな電気的遮蔽に伴う大きな熱散逸を提供することができる。
【0024】
III族窒化物トランジスタ230の配置に先立って、はんだまたは他の導電性材料をリードフレーム212と、III族窒化物トランジスタ230のゲート231、ソース233およびドレイン232への被着用ダイオード220とに塗布してもよい。III族窒化物トランジスタ230の配置後、リードフレームの全組立体を、例えばリフロー炉やコンベア炉で加熱して、あらかじめ堆積させたはんだをリフローすることができる。
【0025】
図2Gから
図2Jでは、モールド化合物250を塗布して、パッケージ全体を封入し、その上面を覆うことができる。
図2Kは、
図2Jにおける線2K−2Kに対応する断面図である。別の実施形態では、モールド化合物250は、
図3に関連して後述するように、III族窒化物トランジスタ230の背面240を露出することができる。モールド化合物250は、例えばプラスチックエポキシ成形化合物からなり、空気腔設計またはプラスチック成形設計などを用いて塗布するこができる。
【0026】
モールド化合物250の塗布後、リードフレーム212をバックエッチングし、リードフレーム212のエッチングされた部分はモールド化合物250に類似の材料からなる絶縁体252を充填することにより置き換えても良い。こうして、III族窒化物トランジスタ230、ダイオード220およびリードフレームパドル部分212aおよび212bを含むパッケージ210の全ての構成材をモールド化合物250および絶縁体252によって封入したままとすることができる。
図2Lにおける線2M−2Mに対応する断面図を図示する
図2Mに示されるように、第1のリードフレームパドル部分212bおよび第2のリードフレームパドル部分212aを含む2つの分離したリードフレームパドル部分をリードフレーム212から作ることができる。さらに、
図2Lの底面図に示すように、リードフレームパドル部分212aおよび212bは、表面実装を可能にするように表面を露出しても良く、また600Vの高電圧動作を可能にするように少なくとも2.7500mmの距離だけ離してもよい。リードフレームパドル部分212aおよび212bはまた、表面実装を容易にするために実質的に同一平面としてもよい。
【0027】
リードフレーム212をリードフレームパドル部分212aおよび212bにエッチングした結果、リードフレームパドル部分212bはIII族窒化物トランジスタ230のゲート231およびダイオード220のアノード222を機械的に支持し、これらに結合され、またリードフレームパドル部分212aはIII族窒化物トランジスタ230のドレイン232を機械的に支持し、これに結合し得る。かくして、
図1の回路図に示したカスコード接続された整流器は、
図1の端子112aに対応するリードフレームパドル部分212aおよび
図1の端子112bに対応するリードフレームパドル部分212bを備える。
【0028】
次いで、
図2Mのパッケージ210を公知の従来技術を用いてリードフレーム212から単体化することができる。こうして、
図2Lに示すように、パッケージ210は、リードフレームパドル部分212aおよび212bにより露出された表面を介してプリント回路基板やサブストレートのような支持体表面への表面実装の状態にある。
【0029】
図3に移ると、
図3は本発明の別の実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージの断面図である。
図3のパッケージ310と
図2Mのパッケージ210とを比較すると、III族窒化物トランジスタ230の背面240がモールド化合物250を介して露出されるようにモールド化合物250を塗布することが観察できる。任意選択で、熱散逸を改善するために、ヒートシンクを裏面240に取り付けても良い。
【0030】
図4に移ると、
図4は本発明のさらに別の実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージの断面図である。
図4のパッケージ410と
図3のパッケージ310とを比較すると、熱クリップ255をIII族窒化物トランジスタ230の背面240に結合し、またリードフレームパドル部分212bに接続することが観察できる。別の実施形態では、熱クリップ255をリードフレームパドル部分212bの代わりにリードフレームパドル部分212aに接続しても良い。熱クリップ255は、あらゆる高導電性材料、例えば銅からなり、モールド化合物250の塗布に先んじてはんだまたは別の材料を用いて取り付けてもよい。このようにして、モールド化合物250で囲まれたIII族窒化物トランジスタ230を封入、保護しながら、改善された熱散逸をIII族窒化物トランジスタ230に付与することができる。
図4に示すように、熱クリップ255の任意の追加は、若干大型のパッケージフットプリントを要求する場合がある。
【0031】
こうして、エッチングリードフレームを備えるカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージと、かかるパッケージの製造方法が説明された。開示されたパッケージは、ワイヤーボンディング無しのリードレス設計を用いて小型パッケージ内にカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器を提供する。その結果、従来のワイヤーボンディングパッケージに比べて、パッケージフットプリントの縮減、サージ電流特性の改善およびより高性能を達成することができる。さらに、多重パッケージを一度に組み立てることができるため、個別パッケージ処理と外部供給部品とを要求する従来方法と比較すると、高集積度とコスト削減とを達成することができる。
【0032】
上記の記述から、本発明の概念を実現するために、その範囲を逸脱することなく様々な技術を用い得ることは明らかである。さらに、本発明を特定の実施形態を特に参照して説明しているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形式上も詳細にも変更がなされることを認識するだろう。また、記述した実施形態はすべて、例として考慮するもので、限定的ではない。本発明はここで説明した特定の実施形態に制限されるのではなく、多くの変形、改良および置換が、本発明の範囲を逸脱することなく可能であると理解すべきである。