(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同一方向へ光を出射する複数の発光ダイオードと、発光ダイオード毎に出射光を集光するように前記複数の発光ダイオードにそれぞれ対応する複数の第一の集光レンズと、これら複数の第一の集光レンズの出射光を集光する単数の第二の集光レンズと、第二の集光レンズの出射光の一部を通過させるとともに他の一部を遮るフレーミング機構と、前記フレーミング機構を通過した光を前方へ投射する投射レンズ部と、前記発光ダイオード、第一の集光レンズ及び第二の集光レンズを支持する光源側灯体と、前記フレーミング機構及び前記投射レンズ部を支持する出射側灯体と、光源側灯体に対し出射側灯体を同芯状に回転するように支持する回転支持機構とを具備し、
前記回転支持機構が、光源側灯体に接続される環状支持部材と、該環状支持部材の内周面によって回転可能に受けられるとともに出射側灯体に接続される環状軸部材とを具備してなる照明装置であって、
前記環状軸部材の外周部に摺接して前記環状軸部材の回転を制動する回転制動部材を備え、この回転制動部材は、前記環状軸部材との摩擦力を変化させるように、前記光源側灯体に対し径方向へ移動可能に設けられていることを特徴とする照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態の第一の特徴は、同一方向へ光を出射する複数の発光ダイオードと、発光ダイオード毎に出射光を集光するように前記複数の発光ダイオードにそれぞれ対応する複数の第一の集光レンズと、これら複数の第一の集光レンズの出射光を集光する単数の第二の集光レンズと、第二の集光レンズの出射光の一部を通過させるとともに他の一部を遮るフレーミング機構と、前記フレーミング機構を通過した光を前方へ投射する投射レンズ部と、前記発光ダイオード、第一の集光レンズ及び第二の集光レンズを支持する光源側灯体と、前記フレーミング機構及び前記投射レンズ部を支持する出射側灯体と、光源側灯体に対し出射側灯体を同芯状に回転するように支持する回転支持機構とを具備した。
この構成によれば、複数の第一の集光レンズから出射される光を単数の第二の集光レンズを介してフレーミング機構の開口部に集光できるため、発光ダイオードを傾斜して固定しなくても済む。しかも、フレーミング機構及び投射レンズ部を支持する出射側灯体が、光源側灯体に対し回転する構造であるため、例えば、フレーミング機構のみを回転させる構造と比較し、その構造が簡素である。よって、複数の発光ダイオードから放出される光を、照射対象物に対し効果的に照射することができる上、生産性も良好である。
【0010】
第二の特徴としては、前記回転支持機構は、光源側灯体に接続される環状支持部材と、該環状支持部材の内周面によって回転可能に受けられるとともに出射側灯体に接続される環状軸部材とを具備してなる。
この構成によれば、出射側灯体を回転可能に支持する構造を、より簡素で生産性の良好な構造にすることができる。
【0011】
第三の特徴としては、前記環状軸部材の外周部に摺接して前記環状軸部材の回転を制動する回転制動部材を備え、この回転制動部材は、前記環状軸部材との摩擦力を変化させるように、前記光源側灯体に対し径方向へ移動可能に設けられている。
この構成によれば、回転制動部材を光源側灯体の径方向へ移動させることにより、回転制動部材と環状軸部材との間の摩擦抵抗を変化させて、出射側灯体を回転可能にしたり回転不能に固定したりすることができる。
【0012】
第四の特徴としては、光源側灯体には、灯体中心方向へ移動不能であって且つ回転可能にネジ状部材が設けられ、前記回転制動部材は、前記ネジ状部材に螺合されることで支持され、前記ネジ状部材の回転により灯体径方向へ移動することを特徴とする。
この構成によれば、出射側灯体を回転可能にしたり回転不能に固定したりする手段を、生産性の良好な具体的構造とすることができる。
【0013】
第五の特徴としては、光源側灯体の外周輪郭と出射側灯体の外周輪郭とを、その一方に対し他方を所定角度回転した際に重なり合わない形状とし、この重なり合わない部分に、前記回転支持機構を光源側灯体又は出射側灯体に接続するための止着具を配置した。
この構成によれば、光源側灯体に対し出射側灯体を所定角度回転させれば、これら光源側灯体と出射側灯体とが重なり合わない部分に止着具が位置するため、この止着具に対する操作によって、回転支持機構と光源側灯体又は出射側灯体の間を接続したり外したりすることができる。また、灯体外周部に止着具等が露出するのを防ぐことができる。
【0014】
第六の特徴としては、前記フレーミング機構は、第二の集光レンズの出射光の一部を遮るとともに他の一部を開口部に通過させる光通過部材と、出射側灯体に対し上方側から差し入れられて所定形状の模様孔を前記開口部に重ね合わせた状態で保持される模様形成板とを備え、前記回転支持機構は、前記模様形成板が上半部側に位置するように、出射側灯体の回転角度を規制している。
この構成によれば、出射側灯体の回転角度を変化させて照射対象物を効果的に照射できる上、その回転角度の規制により、模様形成板の脱落を防止することができる。
【0015】
次に、上記形態を具体化した一例を図面に基づいて詳細に説明する。
照明装置1は、
図1及び
図2に示すように、光源を有する光源部10と、該本体部10の前端側に接続された回転支持機構20と、該回転支持機構20によって回転可能に接続された投射部30とを、これらの中心軸方向(
図1及び
図2によれば左右方向)に接続してなるスポットライトである。
【0016】
光源部10は、略筒状の光源側灯体11と、該光源側灯体11内の後端側に固定されたヒートシンク12と、該ヒートシンク12の前端部に光源として設けられたLED基板13と、LED基板13から放出される光を集光する複数の第一の集光レンズ14と、これら第一の集光レンズ14から出射される光を更に集光する単数の第二の集光レンズ15と、ヒートシンク12の周囲側に止着されて前方へ延設された支持ブラケット16とを具備している。
【0017】
光源側灯体11は、前後端部を開口した金属製の筒状部材であり、後述する投射部30が所定角度回転した際に、該投射部30を構成する出射側灯体31の外周輪郭に重なり合わない形状に形成される。本実施の形態の一例によれば、光源側灯体11と出射側灯体31は、それぞれ断面多角形状(図示例では断面正方形状)に形成される。
【0018】
この光源側灯体11の前端側には、貫通孔11aが設けられ、この貫通孔11aには、先端側にネジ部を有するとともに後端側に頭部を有するネジ状部材19(例えば、ネジ又はボルト)が挿通される。
ネジ状部材19は、灯体中心方向へ移動不能であって且つ回転可能に、光源側灯体11に対し係合している。このネジ状部材19は、図示例によれば、一般工具(ドライバー等)によりネジ込み可能なネジ又はボルトとしているが、他例としては、手でネジ込可能なチョウネジや、頭部の外周にローレット加工を施したネジ等としてもよい。
【0019】
ヒートシンク12は、LED基板13により発生した熱を放熱するように後端側(
図1の左端側)がひだ状に形成される。また、このヒートシンク12の前端面は、LED基板13の装着性が良好なように、略平坦状に加工される。
【0020】
LED基板13は、板状の基板本体13aと、該基板本体13aの前面に装着された複数(図示例によれば4つ)の発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4とを具備している。
【0021】
基板本体13aは、その中心部及び外周側の適宜箇所に止着孔を有し、この止着孔に挿通されるネジ等の止着具17b(四箇所)によってヒートシンク12に固定される。
【0022】
また、各発光ダイオード13b1,13b2,13b3又は13b4は、基板本体13aの平坦状の前面に略平行に固定される矩形平板状の基部pと、該基部pから前方へ突出する略半球状のレンズ部qとを有する。
基部pには、発光色が異なる(例えば、赤色、緑色、青色、白色の4色の)複数のLEDチップが、同一円周上に等間隔に位置するように設けられる。前記LEDチップには、それぞれ独立して電源が供給されるようになっている。レンズ部qは、前記LEDチップから発した光を略半球状の外表面から放出するように構成される。
【0023】
前記発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4によれば、複数の発光色のLEDチップを同時に発光した際に、各LEDチップの出力を適宜に調整することで、これら複数のLEDチップの光が合成されてなる様々な色の光を発することが可能である。また、白色光を発する場合に、その色温度を変えたり微妙な色味を加えたりすることも可能である。
【0024】
この発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4は、本実施の形態の一例によれば、「米国CREE INC.製、Xlamp(登録商標) MC−E LED Color Neutral White」を用いているが、同様の構造であれば、他メーカの発光ダイオードもしくはフルカラー発光ダイオード等を用いてもよい。また、当該照明装置1の使用目的等によっては、単色のLEDチップを具備した態様としてもよい。
【0025】
そして、LED基板13の前方側には、発光ダイオード毎に出射光を集光するように、複数の発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4にそれぞれ対応する複数の第一の集光レンズ14が設けられる。
【0026】
各第一の集光レンズ14は、各発光ダイオード13b1(13b2,13b3又は13b4)から発せられる光を混合するとともにその広がり角度を適宜に規制するように構成される。
詳細に説明すれば、第一の集光レンズ14は、
図1及び
図2に示すように、前方へ向かって徐々に拡径する略逆円錐状を呈し、その後端側(入射側)に円柱状の凹部14aを有するとともに、該凹部14a内の底部(
図1及び
図2によれば凹部14a内の右端部)を、後方へ若干突出する凸曲面状に形成している。そして、前記凹部14aには、発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4の各レンズ部qが挿入される。
第一の集光レンズ14の前端面には、光を拡散放射して混合するための細かい凹凸41cが多数形成されている。この凹凸41cには、各発光ダイオードのLEDチップから放出される多色光を適宜に混合して色の分離を防ぐ作用がある。
【0027】
複数の第一の集光レンズ14は、平板状のブラケット17a及び止着具17b(例えば、ネジやボルト、ナット、ネジ部を有する柱状部材等)を介して、基板本体13a及びヒートシンク12に対し不動に固定される。
【0028】
前記構成の第一の集光レンズ14によれば、各発光ダイオード13b1,13b2,13b3又は3b4から放出された光のうち、前記凹部14aの内周壁に入射した光は、該内周壁で屈折した後、傾斜する拡径状の外周面で反射し略前方へ進み、前面の多数の凹凸41cによって混合される。
また、凹部14a内の底面に入射した光は、凸曲状の前記底面で屈折した後、略前方へ進み、前面の多数の凹凸41cによって混合される。
そして、第一の集光レンズ14の前端面から出射される光は、適宜に規制された角度で徐々に拡がりながら前方へ進む(
図14〜
図16参照)。
【0029】
なお、第一の集光レンズ14は、同様の作用効果を得られるものであれば、図示例以外のレンズや複数のレンズを組み合わせたものとすることが可能である。
【0030】
そして、複数の第一の集光レンズ14の出射光は、ブラケット17aの貫通孔(図示せず)を通過して、単一の第二の集光レンズ15に入射される。
第二の集光レンズ15は、光源側を凸曲面に形成した平凸レンズであり、複数の第一の集光レンズ14の前方側に若干間隔を置いて配置され、平板状のブラケット18a及び止着具18b(例えば、ネジやボルト、ナット、ネジ部を有する柱状部材等)を介して、前記ブラケット17aに対し不動に固定される。この第二の集光レンズ15の直径は、複数の第一の集光レンズ14を全て含む大きさである。
この第二の集光レンズ15は、複数の第一の集光レンズ14を前方側を覆うようにして配置され、複数の第一の集光レンズ14の出射光を灯体中心側へ集光する単数のレンズであればよく、他例としては、光源側と投射側の両方に凸曲面を有する両凸レンズとしたり、フレネルレンズ形状の凸レンズとすることも可能である。特に、通常の凸レンズを用いた場合には発光ダイオードの数が多くなるのに伴いレンズの直径が大きくなって中心部が厚くなるが、フレネルレンズ形状の凸レンズを適用した場合には、このような不具合を解消するとともに軽量化を図ることができる。
【0031】
また、支持ブラケット16は、ヒートシンク12の前端面に重ね合わせられて止着具(例えばネジやボルト等)によって止着固定される固定面部16aと、固定面部16aの端部から前方へ延設されるとともに光源側灯体11の内側面に重ね合わせられた四方の側片部16b,16b,16b,16bと、上下の側辺部16b,16bの各々の前端側に設けられた被止着片部16c,16cとを一体に有する。
上下の側片部16b,16bのうち、上側の側片部16bには、光源側灯体11に挿通されたネジ状部材19を挿通するように、切欠部又は貫通孔が設けられる。
各被止着片部16cは、
図2に示すように、光源側灯体11の前端よりも光源側に若干引っ込んだ位置にあり、雌ネジ孔を有する。
【0032】
回転支持機構20は、光源側灯体11に固定される環状支持部材21と、該環状支持部材21の内周面によって回転可能に受けられた環状軸部材22と、環状軸部材22を出射側灯体31に止着するための出射側取付部材23と、環状軸部材22の外周部に摺接して環状軸部材22の回転を制動する回転制動部材24と、環状軸部材22が投射部30側へ抜けないように保持するとともに出射側灯体31の回転角度を規制する規制部材25とを具備している(
図7参照)。
【0033】
環状支持部材21は、
図9に示すように、矩形板状の金属製部材であり、その中心部に位置する受孔21aと、該受孔21aを間に置くようにして上下に複数(図示例によれば四つ)設けられた止孔21bと、受孔21aの上側に配置された逃がし孔21cとを有する。
受孔21aは、灯体中心部に位置するように設けられた大径円形状の貫通孔であり、その内周面によって、貫通状に挿通される環状軸部材22の外周面を回転可能に受ける。
止孔21bは、受孔21aの上側と下側にそれぞれ左右対称に設けられた貫通孔であり、挿通される止着具21b1(例えば、ネジやボルト等(
図2参照))によって、光源部10側における支持ブラケット16前端の被止着片部16cに固定される。この止孔21bは、
図4に示す平面視上において、回転制動部材24及び規制部材25に干渉しないように配置される。
逃がし孔21cは、後述する回転制動部材24の突起24a2の逆側の凸部(ネジ頭)を逃がすように設けられた貫通孔である。
【0034】
また、環状軸部材22は、
図10(a)(b)に示すように、小径部22aと大径部22bとを一体に具備してなる段付き円筒状の金属製部材である。この環状軸部材22には、その中心軸に対し平行に位置し且つ周方向において所定間隔置くように、複数(図示例によれば四つ)の止着孔22cが貫通状に設けられる。
小径部22aは、環状支持部材21及び回転制動部材24に挿通され、回転制動部材24の内周面に摺接して、ガタツキなく滑らか且つ自在に回転することが可能なように、その外径寸法が設定されている。
大径部22bは、環状支持部材21よりも出射側(投射部30側)に位置し、その端面に出射側取付部材23を固定する。
各止着孔22cには、止着具22c1(例えば、ネジやボルト等(
図2参照))が挿通される。止着具22c1は、光源側から、規制部材25及び環状軸部材22に挿通され、出射側取付部材23に螺合固定される(
図7参照)。
【0035】
出射側取付部材23は、環状支持部材21を投射部30に固定するための金属製部材である。
この出射側取付部材23は、
図11に示す一例によれば、略正方形状を呈し、その中央部に、環状軸部材22の内径よりも小さく且つ後述する開口部33a1よりも大きい内径の貫通孔23aを有する。さらに、この出射側取付部材23は、貫通孔23aの周囲に位置する複数(図示例によれば四つ)の係合突起23bと、角側に位置する複数(図示例によれば四つ)の止着孔23cと、上下縁部に位置する切欠部23dとを有する。
【0036】
係合突起23bは、内周面を雌ネジとした円筒状の突起であり、環状軸部材22に挿通されて該環状軸部材22を回転不能に保持するとともに、光源側から螺合される止着具22c1(例えばネジやボルト等(
図7参照))により、規制部材25に接続される。
【0037】
止着孔23c(
図11参照)は、止着具23c1(例えばネジやボルト等(
図7参照))を挿通する貫通孔である。この止着孔23cに挿通される止着具23c1は、投射部30の支持ブラケット32に螺合されることで、出射側取付部材23を投射部30に対し不動に固定する。
【0038】
切欠部23dは、光源部10に対し出射側取付部材23を所定角度(図示例によれば約45度)回転させた際に、回転支持機構20を光源部10に止着固定している止着具21b1を露出する(
図3参照)。すなわち、光源部10に対し出射側取付部材23を所定角度回転させれば、止着具21b1が出射側に露出するので、この露出した止着具21b1を工具(例えばドライバー等)で回して、光源部10に対し回転支持機構20を着脱することが可能である。
【0039】
回転制動部材24は、環状軸部材22の外周部に摺接して環状軸部材22の回転を制動する金属製部材であり、環状軸部材22との摩擦力を変化させるように、光源側灯体11に対し径方向へ移動可能に設けられている(
図1及び
図2参照)。
詳細に説明すれば、この回転制動部材24は、
図8に示すように、環状軸部材22の外周部に摺接可能な摺接環部24aと、該摺接環部24aの上端から交差方向へ突出するとともにネジ状部材19によって螺合される被螺合部24bとから一体に構成される。
【0040】
摺接環部24aは、多角形の環状に形成され、その中央に環状軸部材22を挿通して該環状軸部材22に摺接する円形状の摺接孔24a1を有し、上端側であって被螺合部24bよりも下側の部分に、規制部材25に係合して環状軸部材22の回転量を規制する突起24a2を有する。突起24a2は、図示例によれば、出射側から摺接環部24aに螺合されたネジであるが、他例としては、摺接環部24aに止着されたリベットや、摺接環部24aに対しプレス加工(あるいはダボ加工)により形成された突起等としてもよい。
この摺接環部24aの外周形状は、環状支持部材21に挿通される止着具21b1に干渉しない形状とされ、図示例によれば、略八角形状に形成される(
図4及び
図7参照)。
【0041】
被螺合部24bは、回転制動部材24の上端側を光源側へ曲げ加工してなる部位であり、光源側灯体11に挿通されたネジ状部材19の雄ネジ部を螺合するための雌ネジ部24b1を有する。雌ネジ部24b1は、図示の好ましい一例によれば、被螺合部24bに固定されたウェルドナットのネジ孔としているが、他例としては、被螺合部24bに直接タップ加工されたネジ孔とすることも可能である。
【0042】
規制部材25は、後述する模様形成板33c(
図13参照)が上半部側に位置するように投射部30の回転角度を規制するとともに、環状軸部材22が回転制動部材24から出射側へ抜けないように保持するための部材である(
図4、
図7及び
図13参照)。
詳細に説明すれば、この規制部材25は、環状軸部材22の内径よりも大きい内径を有するとともに回転制動部材24の摺接環部24a内径よりも大きい外径形状を有する略環状に形成される。この規制部材25の上半部側には、灯体中心を通る上下方向の中心線を境にし、周方向の両側に所定角度を置いて、規制凸部25a,25aが設けられる(
図4参照)。各規制凸部25aは、規制部材25が前記中心線側へ回動した際に突起24a2に当接して、回転制動部材24の回転角度を規制する。
図4に示す一例によれば、回転制動部材24の回転角度は、片側45度である。
【0043】
投射部30は、光源側灯体11に対し回転可能に支持された出射側灯体31と、該出射側灯体31の内面に固定された支持ブラケット32と、該支持ブラケット32の後端部に止着されたフレーミング機構33と、該フレーミング機構33よりも前側に固定された投射レンズ部34とを具備する(
図2参照)。
【0044】
出射側灯体31は、前後端部を開口した金属製の筒状部材であり、光源部10に相対し投射部30が所定角度回転した際に、光源側灯体11の外周輪郭に重なり合わない形状に形成される。なお、先に述べたように、本実施の形態の一例では、光源側灯体11と出射側灯体31の両方を、それぞれ、断面多角形状(図示例では断面正方形状)に形成している。
【0045】
支持ブラケット32は、出射側灯体31内の上端面と下端面とにそれぞれ固定されている。
各支持ブラケット32は、出射側灯体31内面に固定される固定片部32aと、該止着片部32aの後端側(光源側)で灯体中心側へ曲げられた被止着片部32bとからなる断面略L字状に形成される(
図2参照)。
各被止着片部32bには、出射側取付部材23に挿通された止着孔23cを螺合し固定するための雌ネジ部32b1が設けられる。この雌ネジ部32b1は、図示例によれば、被止着片部32bの前端に、内周に雌ネジ加工を施した筒状部材を固定してなるが、他例としては、被止着片部32bの前端にウェルドナットを固定した態様や、被止着片部32bにネジ孔を直接加工してなる態様等とすることも可能である。
【0046】
フレーミング機構33は、第二の集光レンズ15の出射光の一部を開口部33a1に通過させるとともに同出射光の他の一部を遮る光通過部材33a(
図12参照)と、開口部33a1に重なり合うように配置されるとともに灯体径方向へ移動可能に保持された複数(図示例によれば上下左右の四つ)の可動仕切板33bと、出射側灯体31に対し上方側から差し入れられて所定形状の模様孔33c3を前記開口部33a1に重ね合わせた状態で保持される模様形成板33c(
図13参照)とを備える。
【0047】
光通過部材33aは、中央部に開口部33a1(アパーチャと呼称される場合もある)を有する複数枚(図示例によれば2枚)の板状部材を、前後方向に所定間隔を置いて略平行に配設して固定してなり、前後の前記板状部材の間に、可動仕切板33bを介在する。
なお、図示例によれば、開口部33a1を円形に形成しているが、他例としては、この開口部33a1を四角形や八角形等、円形以外の形状とすることも可能である。
【0048】
各可動仕切板33bは、光通過部材33aの開口部33a1を部分的に塞ぐ平板部33b1と、該平板部33b1に接続されるとともに灯体外に露出される摘み部33b2とからなる(
図12参照)。この可動仕切板33bは、光通過部材33aを構成する前後の前記板状部材間に挟まれた状態で径方向(換言すれば、灯体中心に接近離隔する方向)へ移動可能であって、且つ所定角度回動するように保持される。
すなわち、可動仕切板33bを径方向へ移動させたり回動させたりすれば、複数の可動仕切板33bの先端縁により、正方形や、長方形、対向する辺同士が平行でない四角形等の開口部を形成することができる。
なお、各可動仕切板33bは、径外方向へ移動した場合に抜け落ちないように、光通過部材33aに係合している。
【0049】
模様形成板33cは、
図13に示すように、光通過部材33aの開口部33a1に重なり合う平板部33c1と、該平板部33c1に接続されるとともに灯体外に露出される摘み部33c2とからなり、平板部33c1には、単数もしくは複数の任意形状の模様孔33c3を有する。
この模様形成板33cは、可動仕切板33bの左右端側の表面に止着された略縦帯状の挟持ブラケット33dと光通過部材33aの間に上方から差し込まれて、上下方向へ移動可能に保持される。
図13中の符号33c4は、模様形成板33cが光通過部材33aに重ね合せられて所定位置となった際に、光通過部材33a側の突起に対し、凹凸状に嵌り合って係止される孔である。なお、この係止構造は、凹凸関係を逆にすることが可能である。また、前記「光通過部材33a側の突起」は、挟持ブラケット33dに配設することも可能であるが、突起又は孔を加工する際の変形を軽減する等、主に強度的な観点から、前記のように比較的肉厚の大きい光通過部材33a側に設けるのが好ましい。
【0050】
また、投射レンズ部34は、フレーミング機構33を通過した光束を前方へ投射するように構成され、詳細に説明すれば、
図1及び
図2に示すように、支持ブラケット32後端の被止着片部32bに固定された略円筒状の固定筒34aと、固定筒34aの前側で前後方向へスライドするように設けられたスライド筒34bと、該スライド筒34b内の前後に止着された二枚の可動レンズ34c,34dとを備え、スライド筒34b及び二枚の可動レンズ34c,34dの前後移動によってピント調整が行われるように構成される。
すなわち、可動レンズ34c,34dを前後移動させれば、照射対象物に映し出される光の輪郭を、ピント合わせしたりぼかしたりすることができる。
なお、図中、符号34a1は、固定筒34aの外周面に設けられた傾斜長孔である。また、符号34b1は、前記傾斜長孔34a1に嵌り合う突起である。これら傾斜長孔34a1及び突起34b1の嵌合によれば、スライド筒34bの回転操作により該スライド筒34bを進退させることができる。
【0051】
次に、上記構成の照明装置1の組立手順について説明する。
先ず、光源部10、回転支持機構20及び投射部30は、それぞれ独立して組み立てられる。
その後、
図2に示すように、光源側灯体11前端側に挿通されたネジ状部材19が、回転制動部材24上端側の被螺合部24bに螺合され、次に、光源部10の中心線上に回転支持機構20を保持した状態で、光源部10に対し回転支持機構20が止着される。詳細には、回転支持機構20の環状支持部材21に挿通された止着具21b1が、光源部10における支持ブラケット16前端の被止着片部16cに螺合され締め付けられる。この際、
図3に示すように、出射側取付部材23を所定角度回転すれば、止着具21b1が切欠部23dを介して前方へ露出するため、工具(例えばドライバー等)が出射側取付部材23に干渉するのを防ぐことができる。
【0052】
次に、光源部10に接続された回転支持機構20が、投射部30に接続される。
詳細に接続すれば、回転支持機構20の環状支持部材21及び回転制動部材24等に対し、出射側取付部材23を所定角度回転させれば、止着具23c1の頭部を、光源側に露出させることができるので(
図6参照)、この状態で、止着具23c1を投射部30側の支持ブラケット32に螺合し、止着具23c1を工具(例えばドライバー等)によって締め付ければ、当該照明装置1が完成する。
なお、出射側灯体31と光源側灯体11との隙間は、灯体内の光を外部へ漏らさないように、必要最小限に設定されている。
【0053】
メンテナンス等のために光源部10から回転支持機構20や投射部30を外す際には、前記と逆の手順を行えばよい。
【0054】
次に、照明装置1によって光を照射した際の作用効果について詳細に説明する。
先ず、
図14(a)に示すように、例えば、上側の第一の集光レンズ14の上端寄りから出射される光は、所定角度(図示例によれば、上側12°と下側12°の合計で24°)で広がる光束となる。この光束は、前方へ進み、第二の集光レンズ15で屈折することでフレーミング機構33の中心側へ向かい、さらに投射レンズ部34で屈折して前方へ放出される。
前記のようにして光束がフレーミング機構33を通過する際、該光束の一部分は、フレーミング機構33の開口部33a1を通過するが、該光束の上側の一部分は、フレーミング機構33によって遮られる。
また、フレーミング機構33を通過した後の光束が投射レンズ部34を通過する際、該光束の一部分は、投射レンズ部34を通過して前方へ出射されるが、該光束の下側の一部分は、スライド筒34bの前端に遮られる。
よって、第一の集光レンズ14の上端側から出射される光のうち、有効に利用される光束(以下、有効光束aと称する。)は、
図14中のハッチングの部分となり、該ハッチングと二点鎖線とので挟まれた白地部分は、有効に利用されない光束(以下、無効光束bと称する。)となる。
上記照明装置1による作用効果に対し、例えば、照明装置1から第二の集光レンズ15を省いた構成では、
図14(a’)に示すように、フレーミング機構33によって遮られる光束が著しく多くなるため、有効光束aが大幅に減少し、無効光束bは大幅に増加する。
【0055】
また、
図15(a)に示すように、例えば、上側の第一の集光レンズ14の中央寄りから出射される光は、所定角度(図示例によれば、上側12°と下側12°の合計で24°)で広がる光束となる。そして、その光束の下側の大部分は、フレーミング機構33の開口部33a1を通過するが、該光束の上側の一部分は、フレーミング機構33により遮られる。このため、第一の集光レンズ14の中央寄りから出射される光は、その大部分が有効光束aとなるが、上側の一部分に無効光束bを有することになる。
これに対し、例えば、照明装置1から第二の集光レンズ15を省いた構成では、
図15(a’)に示すように、フレーミング機構33によって遮られる光束が多くなるため、有効光束aが少なくなり無効光束bが多くなる。
【0056】
また、
図16(a)に示すように、例えば、上側の第一の集光レンズ14の下端寄りから出射される光は、所定角度(図示例によれば、上側12°と下側12°の合計で24°)で広がる光束となる。そして、その光束の略全ては、フレーミング機構33の開口部33a1を通過し、フレーミング機構33により遮られる部分がない。このため、第一の集光レンズ14の下端寄りから出射される光は、その略全てが有効光束aとなる。
これに対し、例えば、照明装置1から第二の集光レンズ15を省いた構成では、
図16(a’)に示すように、光束の上側の一部がフレーミング機構33によって遮られるため、有効光束aが少なくなる。
【0057】
よって、上記構成の照明装置1によれば、無効光束bを減らすとともに有効光束aを著しく増加させることができ、発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4から出射される光を、無駄なく有効に利用することができる。
【0058】
また、開口部33a1の面積を複数の可動仕切板33bにより減らして、照射範囲を適宜に変化させたり、模様形成板33cを用いて照射範囲の形状を、照射対象物に適した形状としたりすることができる(
図12参照)。その上、光源部10に対し投射部30を回転させれば、前記照射範囲を自在に回転させることができ、照射対象物をより効果的に照射することができる。
さらに、ネジ状部材19を締め付ければ、回転制動部材24の内周面が環状軸部材22の外周面に摺接するため、投射部30が回転する際の抵抗を変化させたり、投射部30を適宜な回転角度で回転不能に固定したりすることが可能である。
また、模様形成板33cを着脱できるため、該模様形成板33cを他の模様孔33c3を有するものと交換して、照射範囲の形状を容易に変更することができる。
【0059】
また、光源部10に相対し投射部30を所定角度回転した際に、灯体間の接続するための止着具23c1が露出する構造であるため、灯体の外周部にネジ等が露出するのを極力低減することができ、外観上の体裁も良好である。
なお、他例としては、止着具21b1の止着位置を環状支持部材21の四つの角の近くまで移動して、光源部10に相対する投射部30の回転により、止着具21b1を露出させる構造とすることも可能である。
【0060】
また、光源部10、回転支持機構20、投射部30の三つの部位がそれぞれ独立に組み立てられ、これらを接続して照明装置1を完成する構造であるため、例えば、異なる仕様の発光ダイオードを具備した光源部10と、焦点距離の異なる投射レンズ部34を具備した投射部30とを、それぞれ複数種類用意しておけば、現場状況や使用者の要望等に応じて、適切な仕様の照明装置1を速やかに組み立てることができる。
【0061】
なお、上記照明装置1によれば、特に好ましい態様として模様形成板33cを具備したが、他例としては、模様形成板33c及び挟持ブラケット33dを省いた態様とすることも可能である。
【0062】
また、上記照明装置1では、発光ダイオード13b1,13b2,13b3,13b4を複数の異なる発光色のLEDチップから構成したが、他例としては、発光ダイオードを複数の異なる色温度のLEDチップから構成した態様や、発光ダイオードを複数の同一の発光色(白色を含む)のLEDチップから構成した態様、発光ダイオードを単一のLEDチップから構成した態様等とすることも可能である。
【0063】
また、光源側灯体11と出射側灯体31は、図示例では、断面略正方形状としたが、この断面形状は、光源側灯体11に対し出射側灯体31を所定角度回転した際に重なり合わない形状とすればよく、例えば、四角形以外の多角形(三角形、五角形、六角形等を含む)や、その他の形状にすることも可能である。
【0064】
また、上記照明装置1によれば、模様形成板33cの脱落を効果的に防ぐために、投射部30の回転角度を左右45°としているが(
図4参照)、他例としては、灯体上半部側の左右90°の範囲内とすることも可能である。さらに、模様形成板33cと光通過部材33a及び挟持ブラケット33dとの間の係脱構造により、模様形成板33cが脱落しないようにすれば、投射部30を360°自在に回転する構造とすることも可能である。
【0065】
また、上記組立手順では、光源部10に対し回転支持機構20を接続した後、回転支持機構20に対し投射部30を接続しているが、他の組立手順としては、投射部30に対し回転支持機構20を接続した後、回転支持機構20に対し光源部10を接続することも可能である。