(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
それを覆って折重され、かつ平坦になるように折重された遠位端を伴って形成される、編組ボール装置は、Beckingらに説明される構造体のうちの1つである。これらの構造体は、脳動脈瘤を治療するために最も好適なもののうちの1つである。遠位マーカアプローチは、そのような装置に特に好適であると説明されている。加えて、近位端仕上げアプローチは、Beckingらに説明される装置のこれらおよび残りに好適であると説明されている。Beckingら(米国特許出願第12/465,475号および第PCT/US2009/041313号)に提示される特徴および技術はすべて、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
遠位マーカアプローチに関して、1つの改良点として、移植片内に含まれる遠位マーカに対する/そのためのテザーを備える。具体的には、移植片の遠位端に隣接して添着されたマーカの場合(組み込まれた出願における、平坦になるように折重された実施形態のように)、テザー/繋ぎ材の長さは、移植片の近位ハブまで延在する。これは、移植片が収縮されると、マーカが、移植片および/またはカテーテルと整列するように引っ張られるように設定された長さを有する。
【0004】
縫合糸が、テザーのために採用される場合、最小干渉によって、遠位折重の内部の周囲に結ぶことができる。しかしながら、他の理由から、ワイヤリボン(例えば、Ptまたはニチノール)を使用することが有利であり得る。
【0005】
すなわち、テザーリボン(特に、「V」形状に予形成される時)は、間隙/孔を通して、かつ編組からわずか1本のワイヤの周囲に通すことができる。そのように配置されることによって、移植片の遠位端の収縮との干渉がない。さらに、リボンテザーのバネ作用(2つのフィラメントを備えるか、または少なくとも1つのマーカを圧着、糊着、溶接、または別様に添着後、1つに裁断されるかに関わらず)は、展開されると、移植片の最上部に対して/それを横切って、マーカを位置付けるのを支援することができる。そのようなリボンはまた、マーカ放射線不透過性に寄与し得、それによって、より小さいマーカサイズを可能にする。
【0006】
別の選択肢は、テザーと併せて、繊維および/または他の血栓促進材料を含むことである。どの材料選択肢が選択されても、および/または付加的特徴が提供されても、テザーの近位端は、有利には、編組の層間または編組と随意の内側または外側帯のうちの1つ間に捕捉される。これは、糊着される、溶接によって添着される、または別様であり得る。
【0007】
さらに別の一連の改良点は、移植片が仕上げされる様式を考慮する。「仕上げされる」とは、移植片の近位側が、ハブおよび/または送達システム分離インターフェースを規定するように管理される様式を意味する。
【0008】
内側帯の使用が、分離システム構成要素(参照出願に説明されるもの等)とのインターフェースのために所望される、一有利なアプローチでは、処理は、編組内の細長いハイポチューブセットによって行われる。ハイポチューブ(例えば、約2−5cm長)は、移植片予形成構造を保持および操作するための手段としての役割を果たす。加えて、管が裁断されると(または、最終または略最終移植片が、保持されている管に対して裁断されると)、移植片内のハイポチューブの残りの部分(現時点では、「内側帯」)は、分離インターフェース管腔を規定する。同様に、特に、Pt/IrまたはCoCr等のより放射線不透過性の材料が、管のために使用される場合、同一構造は、移植片の近位端において必要な放射線不透過性を改善および/またはもたらすであろう。
【0009】
全体として、アプローチ(随意に、「犠牲ハイポチューブ長」アプローチとして特徴付けられる)は、糊着のために有用であるが、また、溶接技法において適用され得る。実際、移植片内の内側帯を規定するように、管を裁断することによって、露出される近位開口/ポートのための溶接スラグおよび変形からの遮蔽を提供することによって、後者の状況において、特に有用であり得る。すなわち、溶接後、クリーン切断を行い(例えば、前述のように、ダイヤモンドソー、レーザ切断、EDM等によって)、次いで、任意のバリ取り(機械的作用、エッチング、EPまたは別様によって)を、所望に応じて、新しく露出された面に行うことができる。
【0010】
糊着のための犠牲ハイポチューブ長アプローチ、または参照出願に説明されるオリジナルの糊着アプローチと併せて、別の有利な選択肢が、異なる事後処理ステップによってもたらされる。すなわち、外側帯が、移植片の近位端において使用され、接着剤/糊(例えば、Loctite 4014)のための外側キャスト境界を規定した後、次いで、下層糊キャストを定位置に残して除去され得る。外側帯除去は、移植片の近位特徴の高さ、直径、およびサイズの外観のすべてを減少させる潜在性をもたらす。故に、0.021インチカテーテルの横断断面を伴う、システムを展開する補助をし得る。
【0011】
除去を促進するために、帯は、有利には、は、NiTi合金(必然的に、保護層を形成する)を備えてもよく、あるいはコーティングまたは別様に鍍着され得る。窒化チタンコーティングは、望ましいであろう。スプレー離型剤(例えば、3M)または離型剤中への浸漬コーティングが、代替として、採用され、接着剤塗布および硬化後、帯を滑脱させる補助をし得る。別様に、帯は、糊キャストから切断することができる。
【0012】
必要放射線不透過性を維持しながら、最小移植片ハブ直径を達成するための別のアプローチは、内側NiTi帯の最上部に白金帯を添着するステップを伴う(すなわち、線形配置において)。近位/下方NiTi区分は、ボール(そのように構築される時)内において、NiTi編組に容易に溶接することができ、Pt(Pt/Irおよび他の合金を含む)は、直列放射線不透過性マーカを提供する。分離システム制御および係留ワイヤは、両方の帯を通して受け取られる。帯は、分離システムワイヤが除去されるまで、相互に取り付けられる(例えば、溶接、糊着、またはハンダ付けによって)、または単に、関連付けられ得る。いずれの場合も、締まり嵌め、パズルピースまたは他の溝、あるいは実矧ぎ継ぎを含み、本体間の接続を行う、もしくはその補助をし得る。
【0013】
別の一連の改良点は、「平坦になるように折重された」型の移植片の遠位端の成形を考慮する。これは、平坦にされた最上部が提供され得る。平坦にされた最上部は、その上に編組が成形される、円い工具において形成される平面から導出される。平面は、その形態から約0.010インチ圧延することによって生成することができる。この深度の切断は、所望の成形のための十分な「テーブル」をもたらし、知覚される形態にほとんど影響を及ぼすことなく、直径約5mmから12mmに定寸された移植片の範囲にわたって、一貫して適用することができる。そのような形態によって成形される、移植片ワイヤ内の結果として生じる襞は、移植片展開に直接的利点をもたらす。平面が、装置の遠位端に非常に近接して定置される場合、平坦にされた最上部の周囲の屈曲/襞の形状回復は、覆いが取り払われる時、移植片の早期開放をもたらす(平面の周囲に形成された襞が、さらに離れて設定される、または提供されない状況と比較して)。
【0014】
本明細書に説明される、さらに別の一連の移植片の改良点は、ボールの密度を増大させることである。換言すると、編組材料の付加的層がもたらされ、編組マトリクスの多孔性をさらに減少させ、可能性として、装置の横断断面の増加/送達(マイクロ)カテーテル互換性の任意の増加を伴うことなく、そのようにもたらされる。
【0015】
これらの改良点は、好ましくは、平坦になるように折重された基部移植片構造体内に既に存在する、2つの層に追加される、編組の第3の層を伴う。一変形例では、編組の第3の層は、2つの層間に捕捉され、ハブ領域内に捕捉されるが、遠位のそれを覆って折重され/平坦になるように折重された区分の近位で裁断される。別の変形例では、内側層は、前述の2つの層の外被内に設定される。有利には、提供される任意の外側マーカ帯に対して(上方/遠位に)、内側マーカ帯の遠位端に取り付けられる。したがって、編組の取着は、ハブ断面を増加させないであろう。移植片の遠位端における任意の断面増加を回避するために、内側層は、典型的には、その収縮長が、収縮されると、移植片の遠位端においてそれを覆って折重された編組に対して、近位に位置するように、裁断されるであろう。その非拘束形態では、内側層は、単に、カップ形状を規定し得る。代替として、二次的ボール形状を規定し得る。そのようなボール形状は、略球形または卵形であり得る。一有利な構成はさらに、編組に対して非終端遠位端を含む。内側ボールを規定する編組の端部は、帯内に固着されるか、またはともに溶接され得る。そのように構成されることによって、ボール内に別の放射線不透過性マーカ特徴をもたらすことができる。しかしながら、内側層(カップ、ボール形態において、または別様に)の編組端部は、非終端であることが好ましいであろう。したがって、移植片の本体内にでの血栓形成を改善し得る。
【0016】
最後に、送達システムの改良点が説明される。説明される特徴は、文脈上の意味において、前述に記載される特徴のように、「改良点」である。例えば、送達システム構造体のうちのいくつかは、その他のように、空間効率的ではなくてもよい。しかしながら、そのようなより大きいシステムは、製造上の複雑性および/またはコストの削減の理由から、望ましいであろう。
【0017】
本主題の移植片および送達装置、それらが含まれるキット、使用および製造の方法はすべて、本説明の範囲内に含まれる。そのような製造のいくつかの側面は、前述で議論されている。より詳細な議論は、以下の図面と併せて提示される。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
近位側および遠位側を有する本体を備えている塞栓装置であって、
前記塞栓装置は、放射線不透過性マーカを有し、前記放射線不透過性マーカは、前記本体内に位置付けられ、少なくとも1つのフィラメントによって前記遠位側に隣接して保持されており、
改良点として、前記少なくとも1つのフィラメントが、前記マーカから前記近位側に延在し、前記本体が収縮構成にある場合、前記マーカを前記本体と整列させる長さを有していることを含む、
塞栓装置。
(項目2)
前記少なくとも1つのフィラメントは、縫合糸材料を備え、前記縫合糸材料は、前記マーカの近位側を固着すれるように結節されている、項目1に記載の塞栓装置。
(項目3)
前記少なくとも1つのフィラメントは、前記本体の近位側での固着のために、前記本体に溶接可能な材料の金属リボンを備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目4)
近位側および遠位側を有するマルチフィラメント本体を備えている塞栓装置であって、
改良点として、平面が、前記本体の遠位側を横切って形成され、前記フィラメントに円形の襞を提供することを含む、装置。
(項目5)
編組を備えている塞栓装置であって、
前記編組は、前記装置の内側層および外側層を形成し、
前記層は、開放体積を規定し、カテーテルを通して送達するために収縮し、非拘束の場合に拡張するように適合されており、前記内側および外側層は、前記装置の一端で閉鎖された折重区分と、前記装置の他端で少なくとも前記外側編組層を閉鎖し、保持するハブとにおいて出会い、
改良点として、前記内側と外側層との間に位置付けられている編組の中間層を含む、
装置。
(項目6)
前記中間層は、前記装置の近位側または遠位側のいずれにも取り付けられず、前記中間層は、前記収縮状態と拡張状態との間に位置付けられている、項目5に記載の装置。
(項目7)
前記中間層の近位側は、前記装置のハブの中に組み込まれている、項目5に記載の装置。
(項目8)
前記中間層の遠位側は、前記折重区分に隣接して位置付けられている、項目7に記載の装置。
(項目9)
前記装置の内側層および外側層を形成する編組を備えている塞栓装置であって、
前記層は、開放体積を規定し、カテーテルを通して送達するために収縮し、非拘束の場合に拡張するように適合されており、前記内側および外側層は、前記装置の一端で閉鎖された折重区分と、前記装置の他端で少なくとも前記外側編組層を閉鎖し、保持するハブとにおいて出会い、
改良点として、前記ハブ内の細長い帯と、前記ハブの遠位で前記帯に接続されている付加的編組層とを含む、
装置。
(項目10)
前記付加的層は、前記装置が拡張された場合に、カップ形状である、項目9に記載の装置。
(項目11)
前記付加的層は、前記装置が拡張された場合に、ボール形状である、項目9に記載の装置。
(項目12)
分離可能移植片プッシャシステムであって、
近位ポート区分を含む移植片と、細長いプッシャ外筒と、前記外筒の管腔内に受け取られる複数の細長い部材とを備え、
前記外筒は、前記複数の細長い部材のうちの少なくとも1つが、前記外筒内に引き込まれるまで、前記ポート区分の遠位表面との干渉を通して前記移植片に係止され、
改良点として、前記複数の細長い部材の全部が、前記プッシャ外筒の近位端および遠位端において出るわけではなく、前記移植片ポートを通して受け取られるわけでもないことを含む、
システム。
(項目13)
分離可能移植片プッシャシステムであって、
近位ポート区分を含む移植片と、
細長いプッシャ外筒と、
前記外筒の管腔内に受け取られ、前記外筒の近位端および遠位端から出る細長い部材と
を備え、
前記細長い部材および前記外筒の遠位端は、前記移植片ポート区分を通して受け取られ、前記外筒は、前記細長い部材が変位されるまで、前記ポート区分の遠位表面との干渉を通して前記移植片に係止するように適合されている、
システム。
(項目14)
分離可能移植片プッシャシステムであって、
近位ポート区分を含む移植片と、
細長いプッシャ外筒と、
前記外筒の管腔内に受け取られ、近位端および遠位端から出、前記移植片ポートを通して受け取られる少なくとも1つの細長い部材と
を備え、
前記外筒は、前記少なくとも1つの細長い部材が、前記外筒内に引き込まれるまで、前記ポート区分の遠位表面との干渉を通して前記移植片に係止するように適合されており、
改良点として、前記近位ポートが、ソケットとして構成されていることを含む、
システム。
(項目15)
編組を備えている塞栓装置であって、
前記編組は、前記装置の内側層および外側層を形成し、
前記層は、開放体積を規定し、カテーテルを通して送達するために収縮し、拘束から解放されると拡張するように適合されており、前記内側および外側層は、前記装置の一端で閉鎖された折重区分と、前記装置の他端で少なくとも前記外側編組層を閉鎖し、保持するハブとにおいて出会い、
改良点として、前記ハブ内に溶接された細長い帯と、前記細長い帯と整列された別の隣接する帯とを含み、前記隣接する帯は、前記細長い帯より比較的より放射線不透過性である材料を備えている、
塞栓装置。
(項目16)
塞栓装置を作製する方法であって、
ハイポチューブの上に移植片の本体を形成することと、
編組を前記ハイポチューブに添着することと、
前記ハイポチューブを裁断し、前記移植片内に帯を残すことと
を含む、方法。
(項目17)
塞栓装置を作製する方法であって、
前記装置の多フィラメント本体を形成することと、
前記装置のハブ領域のための帯を設定することと、
接着剤を塗布し、前記ハブ領域内にフィラメント端を固着することと、
前記ハブ領域の中に固着された前記フィラメントを伴う前記ハブ領域から、前記帯を除去することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願に提供される図面は、必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、いくつかの構成要素および特徴は、明確にするために誇張されている。描かれる実施形態からの変形例も、想定されるものとする。故に、図面における実施形態の側面および要素の描写は、本説明を制限することを意図しない。
【0019】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、拡張および収縮されたマーカテザーを伴う、移植片を示す。
【
図2】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、別の繋留されたマーカ実施形態の遠位端および側面図を示す。
【
図3】
図3は、マーカ/テザーサブアセンブリの詳細図である。
【
図4】
図4は、を移植片内に設定される
図3のアセンブリ図式的に例証する。
【
図5】
図5は、近位端仕上げのために調製される、移植片予成形物を示す。
【
図7】
図7は、別のアプローチによる、近位端仕上げのために調製される、移植片予成形物を示す。
【
図8】
図8は、切断および溶接された近位端を示す。
【
図9】
図9Aおよび9Bは、代替近位端仕上げアプローチを採用する移植片を示し、
図9Bは、低プロファイル実施形態の詳細図である。
【
図10】
図10Aおよび10Bは、種々の端部仕上げアプローチによって採用され得る、付加的近位端放射線不透過性特徴を示す。
【
図11】
図11は、遠位の平坦にされた最上部とともに形成される、移植片を示す。
【
図12】
図12は、所与のサイズ範囲のいくつかの異なる移植片にわたって、
図11に示されるような移植片形状を付与するための移植片形態を示す。
【
図13】
図13Aおよび13Bは、それぞれ、そうでないものと比較して、
図11/12に従って成形される移植片の動作を例証する。
【
図14】
図14−17は、
図4に提示される構造体と比較して、改良された密度の移植片を図式的に例証する。
【
図15】
図14−17は、
図4に提示される構造体と比較して、改良された密度の移植片を図式的に例証する。
【
図16】
図14−17は、
図4に提示される構造体と比較して、改良された密度の移植片を図式的に例証する。
【
図17】
図14−17は、
図4に提示される構造体と比較して、改良された密度の移植片を図式的に例証する。
【
図18】
図18は、本発明と併せて採用され得る、移植片/分離システムインターフェースの概要を示す。
【
図19】
図19A−19Eおよび20A−20Eは、
図18に示されるシステムの動作の段階を例証する(それぞれ、ハンドル側および移植片側)
【
図20】
図19A−19Eおよび20A−20Eは、
図18に示されるシステムの動作の段階を例証する(それぞれ、ハンドル側および移植片側)
【
図21】
図21は、同一システムの構造体に対する随意の改良点を示す。
【
図22】
図22Aおよび22Bは、それぞれ、係合および係脱された代替送達システムインターフェースを示す。
【
図24】
図24Aおよび24Bは、同一システム内のプッシャシャフトの構成の代替末端図を例証する。
【
図25】
図25Aおよび25Bは、
図24Bのプッシャシャフト構成に基づく、代替送達システムインターフェース選択肢(それぞれ、係合および係脱)を示す。
【
図26】
図26は、
図25Aおよび25Bに提示される送達システムとの代替移植片側インターフェースを示す。
【
図27】
図27は、代替プッシャ側構造体を伴う、
図26に提示されるもの等の移植片側インターフェースを示す。
【
図28】
図28Aおよび28Bは、
図22Aおよび22Bに示されるもの等のシステムのための代替係合/係脱インターフェースを示す。
【
図29】
図29および30は、それぞれ、編組型移植片および塞栓コイルのそれぞれのためのさらに別の係合/係脱構造体を示す。
【
図30】
図29および30は、それぞれ、編組型移植片および塞栓コイルのそれぞれのためのさらに別の係合/係脱構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
種々の例示的実施形態が、以下に説明される。これらの実施例は、非限定的意味において参照されるが、装置、システム、および方法のより広範に適用可能な側面を例証するために提供されることに留意されたい。本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に種々の変更が行われてもよく、かつ均等物で代用され得る。加えて、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、目的へのプロセス作用またはステップ、本発明の精神および範囲に適合するように、多くの修正が行われ得る。すべてのそのような修正は、本願の請求項の範囲内であることを意図している。
【0021】
任意の寸法が、発明の開示または発明を実施するための形態に記載される範囲内において、そのようなものは、単に実施例であることを意図し、請求項に明示的に詳述されない限り、本発明の主題を限定するものではない。
【0022】
さらに、本明細書に説明される実施形態の種々の特徴は、相互に相補的であることが意図され、そうであることが記載されない限り、単に代替であることを意図しない。言い換えると、一実施形態からの特徴は、それらの特徴が、代替でのみ使用されることが記載されない限り、当業者が容易に認識するように、別の実施形態の特徴と自由に組み合わせられ得る。したがって、出願人は、そのようなものが、発明の開示、発明を実施するための形態、および請求項から未だ明白ではない場合、異なる実施形態から得られた特徴を詳述する、任意の現在または将来の請求項に対する記述による支持を提供するものとして本段落を意図する。
【0023】
図を参照すると、
図1Aおよび1Bは、移植片10を示す。
図1Aでは、移植片10のハブ(不可視)のみ、シースまたはカテーテル2内に受け取られる。移植片10の約40%が、
図1Bのシース2内に受け取られる。放射線不透過性マーカ20(例えば、Pt帯)は、両図に可視である。Beckingらにおけるように、さらに
図4を参照すると、移植片10は、開口18(また、本明細書では、編組内の孔または間隙と称される)を規定する、編組内の遠位折重16に隣接して、編組層12と14との間に位置付けられている、繋ぎ材22を含む。マーカ20は、繋ぎ材22によって保持される。繋ぎ材22はまた、閉鎖または開口18が開放し得るサイズの制限を補助し得る。
【0024】
Beckingらでは、繋ぎ材22は、マーカ20に隣接して終端するが、本説明では、移植片10の近位ハブ30まで延在する。そのように提供された延長「テザー」部分または部材24は、移植片10が、カテーテル/シース内に捕捉されると(特に、再捕捉されると)、マーカ20の軸方向整列を保証するように動作する。
【0025】
したがって、テザー部材24の長さは、移植片が拡張されると(
図1Aに示されるように)、緩みが存在し、移植片が、完全に収縮されるか、またはその傾向となると(
図1Bに示されるように)緩みが除去されるように設定される。
【0026】
図1Aおよび
図1Bに示される、繋ぎ材および/またはテザー部材は、典型的には、縫合糸材料から成るが、ステンレス鋼、チタン、ニチノール(可能性として、一般に「筋肉ワイヤ」と称される、体温でマルテンサイト(martinistic)であるワイヤ)等を含む、任意の他の生体適合性材料から成り得る。縫合糸材料が採用される場合、最小干渉内で、遠位折重16の内部の周囲で結べ、点26(
図1A参照)において結節され、マーカ20の位置を容易に固着することができる。同一アプローチは、微細ワイヤ(例えば、0.001インチ丸ワイヤ)によって達成され得る。
【0027】
代わりに、他の理由から、ワイヤリボン(例えば、Ptまたはニチノールを使用することが有利であり得る。次の図に詳述される構造は、約0.001インチ×約0.003インチに設定された寸法を伴う、超弾性NiTiリボンを使用して作製された。
【0028】
緊密ループまたは「V」形状にヒートセットされたテザーリボン22は、
図4に示されるように、間隙20を通して、移植片10の遠位端における編組からわずか1本のワイヤの周囲に通されている。そのように配置されることによって、テザーリボン22は、実質的に、移植片の遠位端の収縮に干渉しない。さらに、テザーリボンのバネ作用(
図3に示されるように、マーカ20を圧着、糊着、溶接、または別様に添着後、2つのフィラメントを備えるか、または1つのみのフィラメントに裁断される(破線によって示されるように)かどうかに関わらず)は、
図2Aおよび2Bに示されるように、展開されると、移植片10の最上部に対して(または、それをわたって)、マーカ20を位置付けるのを支援することができる。マーカを添着する場合のように、相互に積層された、対合されたリボン区分が、マーカの形状を大幅に改変することなく、その上にマーカ20を圧着するために、良好なインターフェースを提供することは、注目に値する。
【0029】
また、テザーの長さは、随意に、非拘束時(例えば、
図4に示されるテザーのように)、移植片の湾曲に一致する(または、略一致する)ように、一般的「疑問符」形状に設定され得る。1つ以上の移植片サイズに「一致」(または、略一致)するように、テザーを予成形することは、異なる移植片サイズおよび収縮の範囲にわたって、移植片の予測可能および類似した性能を保証するのを支援することができる。
【0030】
前述のように、本主題の移植片への別の改良点は、近位端仕上げの様式に関する。
図5は、近位端仕上げのために調製された移植片予成形物60を示す。ここでは、Beckingらにおいて調製されたような移植片予成形物60が調製され、近位マーカ帯32を越えて延在する、付加的張り出し区分50を残す。多くの観点において、仕組みは、Beckingらの
図13Aに示されるものに類似し、移植片予成形物60は、内側NiTi管34とマンドレル52上に設定されるアセンブリとを含む。示されるように、構成要素の位置を維持するために、糊(例えば、Loctite 4014)が塗布される。その場合でも、また、
図6を参照すると、ハブ領域30は、溶接ビード54によって、効果的に溶接され、張り出し編組50、内側管34を組み込み、少なくとも外側Pt帯32をタック溶接することができる。糊安定化編組を通して(または、その中へ)のそのような近最適溶接結果の達成が、驚くべき結果であったことは、注目に値する。言い換えると、溶接(レーザ、他)の当業者によって、予測も、予期も不能であった。いずれの場合も、溶接点54内に組み込まれた編組張り出しの長さは、移植片直径、ワイヤ直径、編組密度等を含む、いくつかの要因に応じて、可変であり得る。示されるように、張り出しは、約0.005から約0.010インチの長さである。
【0031】
別の近位端仕上げアプローチが、
図7に関連して説明される。具体的には、予成形物62は、
図5に示されるように、溶接のために裁断および安定化されない。むしろ、予成形物62は、細長いハイポチューブ54上で調製される。ハイポチューブ本体は、構造を保持し、その上に編組層12および/または層14のその細長い「尾部」区分56を安定化する(例えば、ラップ58によって)ための手段を提供する。
【0032】
規定された狭小窓(例えば、好ましくは、露出された編組の約0.010から約0.025インチによって)によって、レーザエネルギーが、より大きな面積によって示されるように、印加される。エネルギーは、編組をハイポチューブに溶接するために十分である。しかしながら溶接プロセスは、ハイポチューブを随意の下層マンドレル52に溶接しない。
【0033】
そのような溶接後、ハイポチューブ54の長さの大部分は、「犠牲」となる。それは、
図8に示されるように、移植片の内側帯34を規定するように裁断される。本内側帯は、ハブ領域30において必要とされる放射線不透過性の一部または全部を提供し得る。しかしながら、外側帯(特に、Ptを備える場合)が、
図7の矢印Zによって示されるように、編組にタック溶接されることができる。
【0034】
外側マーカ帯が含まれるかどうかに関わらず、
図8は、仕上げアプローチの利点、すなわち、本体の端部における表面張力と関連付けられる、溶接ビードのフローアーチファクト(
図6に見られるように)の回避を例証する。むしろ、溶接点64は、整然と縁取り(faced)され、残りの帯34の内側管腔は、バリ取りされ、および/または拡孔される。故に、実際および外観の両方において、ハブのサイズを最小限にすることができる。
【0035】
図9Aおよび9Bは、近位ハブサイズを最小限にするための別の有利な近位端仕上げアプローチを例証する。
図9Aは、概して、糊または溶接によって添着されたように見える外側マーカ帯32を伴う、移植片を示す。そのような帯が、糊によって添着される事例では、糊キャストが、その中に形成されると、帯は、除去することができる。次いで、移植片10'は、直径が縮小し(帯厚に応じて、約0.004インチ程度)、また、コントラストをより少なくすることによって、あまり目立たない、近位ハブ30'を含むであろう。体外で(例えば、パッケージング内において)、医師は、高コントラストマーカ32の代わりに、編組が埋入される、キャスト72として、接着剤/糊70の艶または光沢を認めるであろう。
【0036】
機能には重要ではないと思われるが、本視覚的側面は、実際に、関連し得る。近位特徴のバルクに関する医師の印象は、医師が製品を採用するかどうかに影響を及ぼし得る。従来の移植片は、移植片の内側体積内に完全に差し込まれた近位ハブを考慮して設計されていた。これは、医師への移植片の外観をより魅力的にするために行われる。しかしながら、移植片は、その結果、性能が低下する(例えば、再捕捉がより困難となる移植片、移植片に差込形状を回復させるために高くなり、望ましくない移植片寸法の増加につながる移植片のワイヤサイズおよび強度に関する要件、および他の性能不備)。本発明の本側面では、知覚されるハブサイズは、縮小されるが、性能を妥協することなく、視覚的魅力を増加させる。
【0037】
図10Aおよび10Bは、外側帯を排除する一方、比較的に増加した放射線不透過性を提供する、さらなる実施形態を例証する。具体的には、最小移植片ハブサイズは、放射線不透過性帯特徴を内側帯34と直列配置に移すことによって達成される。単純Pt帯74は、
図10Aに示されるように、内側帯34の上に設定することができる。これらの部材は、従来の技法(すなわち、糊着、ハンダ付け、溶接等)を使用して、継合されるか、または
図18等に示されるように、送達システムインターフェース部材を利用することによって、一時的に相互に関連して保持され得る。
図10Bの実施形態は、ロック76およびキー78の特徴の使用を通して、部材34および74を相互係止する。
【0038】
別の移植片特徴は、
図11および12と関連して例証される。移植片は、随意に、遠位開口18に隣接する、平坦にされた最上部80を含む。平坦にされた最上部は、移植片のバルク形状を規定するために使用される成形要素88にテーブル表面82を提供することによって生成される。異なるサイズ88、88'、および88'における、成形要素または「形態」が、
図12に示される。それらは、縁84によって囲まれる平面82を規定するために、球状形態から圧延される。縁は、編組ワイヤに襞86を生成する。平面80および襞86は、
図2Aおよび2Bに示されることに留意されたい。
【0039】
移植片予成形物のヒートセットの際、平坦区分が、移植片内の遠位折重16の質を改善し、均一性を最大限にし、ワイヤの屈曲半径を最小限にするのを支援することが分かっている。したがって、カテーテル内の蛇行性生体構造を通しての装置の追跡可能性もまた、改善される。移植片に設定された平坦にされた面積の縁における襞もまた、展開時の送達性能を支援する。具体的には、
図13Aに例証されるように、襞86は、移植片編組マトリクスを形成するワイヤ内の複数の屈曲を表す。マイクロカテーテルから出ると、
図13Bに示されるように、屈曲は、回復し、移植片遠位端を襞等を伴わない移植片より開放させる(また、
図1Bの移植片も参照)。本体がより開放するのに伴って、動脈瘤のドーム等の任意の脆弱組織に接触する場合、移植片は、より弛緩した編組角度を伴い、より軟化する。
【0040】
移植片に適用され得る、他の構造変化または添加物が、
図14−17に示される。各アプローチは、
図4に例証される親構造体と比較して、図式的に改良された密度の潜在性をもたらす。
【0041】
具体的には、移植片90は、外側層12と内側層14との間に設定される、中間編組層92を含む。層92は、近位取着部94における他の層のように、ハブ30内に捕捉される。遠位延長96は、いくつかの位置に設定することができる。有利には、装置の中間点または赤道の周囲に延在する。このように、層は、口径の大きい動脈瘤の場合でも、移植片密度に寄与する(または、換言すると、多孔性を減少させる)であろう。
【0042】
図14に示されるように、編組の遠位延長96は、移植片の折り重ねられた区分16に隣接する。ここでは、密度は、最高となり、したがって、内側層ワイヤは、層12と14との間に捕捉されて、最も良好に留まる傾向となるであろう。しかしながら、端部96は、折重16(これは、移植片の最も高いプロファイル外観であり得る)に干渉しないので、横断プロファイルに殆どまたは全く増加をもたらす必要がない。
【0043】
生産の際、移植片の内側層92は、単に、遠位折重において、予成形物(予成形物62等)を単に切断することによって生成することができる。これは、単一形成手順から、2つの異なる装置で使用することができる、一連の2つの内側層区分を生成する。しかしながら、生成される場合、内側層は、構造上の定義から、他の層に依存し得るため、他の層より微細なワイヤおよび/または少ない編組数で作製され得る。例えば、内側層は、72端の0.0008インチワイヤ編組を備え得る一方、外側層は、96端の0.0008インチワイヤ編組を備える。しかしながら、逆も該当する場合があり、その場合、内側層がより強健である。いずれの場合も、編組に含まれるワイヤ端の数を一致させないことによって(直前の実施例におけるように)、ワイヤの一致を回避するのを支援し、それによって、多孔性を最小限にすることが有利であり得る。
【0044】
図15に示される移植片100は、装置横断プロファイルを増加させることなく、流動途絶効果を改善する、別の有利なアプローチを例証する。装置90におけるように、中間編組層90が採用される。しかしながら、その近位端は、ハブ内に固着されず、それによって、その領域内の空間拘束を容易にする。
【0045】
代わりに、編組マトリクス完全性は、ポリマー(例えば、Lubrizol,Inc.製TICOPHILICコーティング)あるいは他のコーティングまたは処理によって、編組層をコーティングすることによって、維持される。ヒドロゲルコーティングもまた、Wonらの米国特許第6,905,700号に説明されるような、治療薬を封入することができるヒドロゲルベースの高分子網目等、魅力的な選択肢をもたらす。同様に、移植片要素は、有利には、ニチノール編組(典型的には、超弾性NiTi)を備えるが、層の任意のものに使用される編組は、代わりに、ポリマー、特に、形状にヒートセットされる(例えば、摂氏110度で1時間)、MX−2(MAX−Prene)、合成吸収性モノフィラメント(90/10グリコリド/L−ラクチド)および/またはG−2(Glycoprene)、合成吸収性モノフィラメント(グリコリド(PGA)、ε−カプロラクトン(PCL)、トリメチレンカーボネート(TMC)コポリマー)等の高強度生分解性ポリマーといったポリマーを備える、および/または説明されるように、編組を安定化するために、それらによってコーティングされ得る。
【0046】
図16に示される移植片110は、横断プロファイルに殆どまたは全く影響を及ぼすことなく、改良された塞栓形成(または、流動途絶)効果のための別のさらに別のアプローチをもたらす。そのような効果は、その近位端114において、最内/第3の編組層112を内側帯34に添着することによって達成される。これは、そこに溶接、糊着、ハンダ付け、または別様に添着され得る。編組116の遠位端は、示されるように、または別様に、裁断され形成され得る。例えば、そのように形成されたカップは、その赤道まで、またはそれを越えて、装置の内側周辺を近接してたどり得る。
【0047】
前図における変形例の場合のように、移植片に組み込まれる第3の層は、単に、移植片の残りと連動して、展開および再捕捉する。しかしながら、
図16の構造体に独特であるように、編組の近位端114は、安定して固着されるが、寸法上の積み上げを伴うことなく、ハブ内(例えば、外側マーカ帯32内)に空間を要求しないように固着される。
【0048】
関連移植片構成は、
図17に示される。ここでは、移植片120において、同一近位端114取着アプローチが採用される。しかしながら、カップ形状内に編組の内側層を形成する(例えば、ヒートセットによって)代わりに、内側ボール118が形成される。ボールの近位側は、全体的近位側移植片密度を改善し、また、移植片内に別個の流動停滞ゾーンAおよびBを規定し、移植片内の血栓形成をさらに補助する。
【0049】
内側ボール本体118は、形態にわたって設定される形状であり得る。代替として、かつより有利には、形状は、ヒートセットのために、編組を結束し、マンドレル上に結ぶことによって、外部または内部形態のいずれかを伴わずに、形成することができる。そのような「自由形成」アプローチは、最終本体内の編組角度(故に、密度)を最大限にするため、機能上、有利である。しかしながら、形状内の任意の結果として生じる不整合性は、編組層12および14によって規定される移植片の外側本体のみ、動脈瘤と接触することを前提とするならば管理可能である。
【0050】
どのように形成されるか(および、特定の編組構成選択)にかかわらず、構造体内の内側ボール118は、装置が、送達または再捕捉のために収縮されると、移植片本体の遠位端/シェルおよび/またはマーカおよびテザーに干渉しないように構成されるであろう。
【0051】
より一般的には、
図18は、治療システム200の移植片側の概要を提供する。システムは、移植片10(90、100、110、120)と、最終的には、ハンドル220に取り付けられる(例えば、
図19A−19−Eに示されるように)プッシャ/カテーテルシャフト210とを含む。これらのうちのいずれも、本願および/または参照することによって組み込まれる教示に従って、構築され得る。
【0052】
ハンドル構造の1つは、単一プランジャを含む。プランジャは、ワイヤに接続されるソケットを漸次的に係合し、引っ張るカラーを引っ張る。すなわち、最初に、各制御ワイヤ212が(1度に1つ)、次いで、アンカワイヤ214が引っ張られる。そのような作用は、
図19A−19Eおよび20A−20Eに例証される。
図19Aおよび20Aは、パッケージングから除去される装置構成要素を示す。
図19Bは、ハンドル本体224に対する120度の回転によるハンドルプランジャ222の係止解除を例証する。そのような作用は、
図20Bに示される、分離インターフェース216に影響を及ぼさない。しかしながら、
図19C−19Eにおけるプランジャの漸次的引っ張りは、システム
図20C−20Eに示されるように、システムの解放に影響する。
【0053】
図21は、システム200の構造体への随意の改良点を示す。ここでは、システム200'は、移植片10のハブまたは内側帯30/34内に受け取られる、1つのみの「真の」制御ワイヤ212を有する。その場合でも、移植片は、アンカボール216(例えば、レーザによって形成されるように、または別様に構成される)との制御ワイヤ相互作用によって、カテーテルシャフトに固着して/安定して取り付けられたままである。
【0054】
移植片の解放は、
図19Cおよび20Cから19Eおよび20Eへのステップの進行のようにもたらされる。しかしながら、第3の(自由または作動)「ダミー」ワイヤ218が、依然として、プッシャシャフト210の管腔内に装填されている。本ワイヤの使用は、シャフト210内側のワイヤの密集した配置を維持し、蛇行性環境内のワイヤ位置を判定するのに重要であり得る。しかしながら、移植片内のワイヤが、それらの間により空間を有し、空間適応を可能にするため、解放角度は増加され、プランジャ引っ張り力は低減され得る。
【0055】
ワイヤ218が、プッシャシャフト内に差し込まれる長さ「L」は、目的に応じて、可変であり得ることに留意されたい。差し込みがなくてもよい(すなわち、本質的に、移植片近位端に接触する)。蛇行性環境内の任意の前方運動が、移植片との接触をもたらなさないように、約1mmだけ差し込まれてもよい。または、より大きな程度(例えば、約1cmから5cm)差し込まれ、送達プッシャシャフト210の遠位先端可撓性を改善し得る。
【0056】
図22Aおよび22Bは、それぞれ、係合および係脱状態にある、代替送達システムインターフェースを示す。ここでは、システム230は、典型的トルカ234の補助によって作動される、カテーテル/プッシャシャフト232を備える。トルカ234は、移植片10送達のためのアンカボールを含む、中心ワイヤ236の位置を係止する。バンパまたはショルダ240は、カテーテル(随意に、マーカとしても役割を果たす、Pt帯)に添着され、押動のために、移植片のハブ30に接触し得る。
【0057】
係合は、アンカボール238が、
図22Aに示されるように、後退位置にある場合に、移植片の内側帯34と干渉関係にオフセットされる、延長242によって、移植片とプッシャシャフトとの間で達成される。ワイヤ236(および、その終端ボール特徴238)が、
図22Bに示されるように、前進されると、延長区分242は、自由に移動し(例えば、弾性作用によって、カテーテルシャフトの引き抜きに応じて、その元の位置に戻る)、移植片から摺動する。
【0058】
図23は、
図22Bに描写されるような送達システムインターフェースの末端図である。示されるように、ワイヤ236が前進されると、ボール238および/または延長間の干渉は持続しない。
図24Aは、定位置にワイヤを伴わない、類似図を表現する。それは、延長242およびカテーテル本体232を示す。一つの態様において形成されるように例証されるが(すなわち、90度の縮小を伴う)、延長が、代わりに、角度切断または別様に形成され得ることを理解されたい。実際、
図24Bは、延長区分が、片側上でカテーテル壁にわたって押し、他方と出会い、随意に、構成要素部品242および242'を一緒にヒートセットし、融合し、または糊着することによって形成されるアプローチを示す。
【0059】
図25Aおよび25Bは、
図24Bにおけるプッシャシャフト延長構成に基づく、代替送達システムインターフェース250選択肢(それぞれ、係合および係脱)を示す。二重壁層によってもたらされた壁厚の増加によって、システムは、
図22Aおよび22Bに示されるものと同様に作用することができるが、遠位干渉特徴(すなわち、アンカボール/帯)の必要性がない。したがって、ワイヤ236の引き抜きは、移植片10から引き抜きのために、干渉を緩和し、プッシャシャフト232(具体的には、関連付けられた延在部)を係止解除する。
【0060】
図26は、
図25Aおよび25Bに提示されるような送達システムとの代替移植片側インターフェースを示す。ここでは、移植片ソケット260が提供される。ソケット260は、溶接によって、または別様に、1つ以上の移植片編組層(12/14)に取り付けられたカップ262と、カップの近位端に螺着、圧着、または別様に添着される、レデューサー管264と、によって規定され得る。そのような配置によって、移植片押動は、ショルダまたは他の近位インターフェースを伴わずに、達成することができることに留意されたい。代わりに、押動力および引っ張り力(引き抜きのため)両方の印加は、ソケットチャンバ内で生じ得る。そのようなソケットは、典型的には、示される前述のインターフェースより大きくなるであろうが、AGA Medical,Inc.およびその他によって販売されている、多くの血管犠牲および閉鎖装置において採用される、ネジ型解放アプローチとして、かつその代替として、容易に改良または使用される。
【0061】
図27の送達システム構成は、代替プッシャ側係合/係脱(または、ラッチ)構造体270を伴う、同じ移植片側インターフェース260を示す。本構造体は、Beckingらの
図18に示されるものの簡略バージョンである。具体的には、プッシャシャフト272(例えば、金属ハイポチューブ)は、単一窓切り欠き274が提供される。窓(正方形切り欠き、丸い切り欠き、または単純切り口として構成される)は、それを通してコア部材276(例えば、NiTiリボン)を通過させ、プッシャシャフト遠位面276に対して干渉を提供し、コア部材が引き抜かれるまで、送達システムの分離を防止する。
【0062】
図28Aおよび28Bは、
図22Aおよび22Bに示されるようなシステムのための代替ラッチインターフェース280を示す。本システムでは、曲げ戻しされたワイヤフック282は、以前のシステムにおけるボールの機能を果たす。そのようなシステムは、非常に低コストの生産ならびに固着係留特徴の利点をもたらす。
図29は、
図21のものと最も関連するシステム290を示すが、複数の制御および/またはダミーワイヤが、単一リボン292と置換される。
【0063】
最後に、
図30は、分離システム300を示す。システム290におけるように、リボン292は、ボール形状アンカ216を伴う、丸いアンカワイヤ214と共に使用され得る。いずれのシステムにおいても使用され得る代替アプローチは、「アンカワイヤ」として、リボンを採用し、その中に結節を結ぶことによって(レーザ形成ボールの代用として)、その端部に干渉特徴を形成する。そのような結節は、その形状を安定化させるように、設定、糊着、または溶接された形状であり得る。これは、リボン上において、非常に小さいサイズにおいて、低コストで確実に生成することができる。ソケット型インターフェースは、カラー特徴302をその近位端内に嵌めることによって、コイル内に形成することができる。カラーは、螺入され得る(すなわち、ネジピッチのようなコイル内に)。代替アプローチは、コイル間にハンダを流し、可撤性マンドレルを使用して、その中に管腔を規定することを伴う。マンドレルは、
図9Bと関連して説明された改良点に関する可撤性ハブのために説明されたものを含む、その除去を促進するための任意の様式で調製され得る。
【0064】
種々の送達システム構造体では、カテーテル/プッシャシャフトは、単純押出(例えば、PTFE、FEP、PEEK等)を備えるか、または従来のカテーテル構造技術を使用して構築され、ライナー、編組支持部、および外部ジャケット(図示せず)を含み得る。例示的構造は、Braid Reinforced Polyimideとして、MicroLumen,Inc.から利用可能である。Polyimideの遠位区分は、研磨され、溶融Pebaxと置換され、より軟性または漸次的に可撓性の端部をカテーテルに提供し得る。装填シースは、典型的には、プッシャシャフトを覆い提供される。有利には、装填シースは、分割可能である。
【0065】
事前装填されない場合、無菌パッケージング(図示せず)から除去後、移植片は、装填シースに引き込まれる。装填シースは、移植片送達のために使用されるように、カテーテルのハブ内で受け取られ、移植片はカテーテルの中へ前進される。次いで、移植片は、治療部位へ前進され、展開され得る。または、別のサイズの移植片と交換で回収されるか、そうでなければ、組み込まれた特許出願の主題に例証されるように、最終分離に先立って、所望に応じて、再位置付けされ得る。
【0066】
本発明では、主題の方法は、移植片の位置付けおよび解放と関連付けられた医師の活動のそれぞれを含み得る。したがって、移植片装置の位置付けおよび展開の暗黙の方法論は、本発明の一部を形成する。そのような方法論は、閉塞または他の用途のために標的とされる脳の動脈瘤内あるいは親血管に、移植片を配置するステップを含み得る。方法の中には、動脈瘤または親血管への移植片の導入という種々の作用を考慮するものもある。
【0067】
より詳細には、本発明に従ういくつかの方法は、例えば、送達システムが治療部位に到達することにおいて動作する態様に関する。他の方法は、システムが移植片を送達する、例えば、編組ボールを送達システムに取り付けるために調整される態様に関する。本願のいずれの方法も、論理的に可能である、列挙された事象のうちのいずれの順序だけでなく、事象の列挙された順序、あるいはそれら事象または事象の順序をわずかに改変して実行され得る。
【0068】
説明された本発明の変形例のいずれの任意の特徴は、個々に、または本願に記載された特徴のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて、記載され主張され得ることが想定される。単独品目についての言及は、複数の同一品目が存在する可能性を含む。より具体的には、本願および添付の請求項で使用される通り、「a」、「an」、「said」、および「the」の単数形は、特に言及されていない限り、複数の指示対象を含む。言い換えると、冠詞の使用により、上の記述だけでなく以下の請求項において、対象品目の「少なくとも1つ」が認められる。なおさらに、請求項は、いずれの随意的な要素を除外するように起案され得る。したがって、本記載は、「単なる」「唯一の」等の排他的な用語およびその類義語を、列挙された請求項要素と関連づけながら使用することや「否定的な」制限を使用することについて、前もってその理由を提示するものとして意図されている。
【0069】
そのような排他的な用語を使用することなく、請求項における用語「備える」は、要素の所与の数字が請求項に列挙されているか、または特徴の追加が、請求項に記載の要素の本質を変形するとみなされ得るかにかかわらず、いずれのさらなる要素の包含を許容するものとする。本願で具体的に規定される以外は、全ての技術および科学用語は、請求項の効力を維持しつつ、通常理解される意味をできる限り広範に与えられるものとする。
【0070】
本発明の範囲は、提供される例および/または対象の明細書に限定するものではないが、請求項の言葉の範囲によってのみ限定される。本願での用語「発明」の使用は、いずれの様式においても請求項の範囲を制限することは意図していない。むしろ、「発明」は、本明細書を読むと当業者には明らかであろうそれらの変形を含み、本願に明示的または黙示的に記載される多くの変形を含むことは、理解されるべきである。さらに、本明細書のいずれのセクション(例えば、開示、詳細な説明、要約、背景技術)も、別の発明または請求項に関連して本発明を説明するのに、特別な意味を与えられることを意図していない。列挙された全ての参考文献は、参照することで全てが組み込まれる。前述の発明について、理解を明確にするために詳細を説明してきたが、一定の改変が添付の請求項の範囲内で実行され得ることは熟慮されるものとする。