特許第5711259号(P5711259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5711259動的空気圧弁駆動装置のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711259
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】動的空気圧弁駆動装置のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   A61F9/007 130F
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-543127(P2012-543127)
(86)(22)【出願日】2010年11月11日
(65)【公表番号】特表2013-513426(P2013-513426A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】US2010056305
(87)【国際公開番号】WO2011071655
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年10月11日
(31)【優先権主張番号】61/285,243
(32)【優先日】2009年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エックス.ガオ
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー.ホプキンス
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0149197(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/079526(WO,A2)
【文献】 特開平09−042210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用コンソールであって、
空気圧弁と、
前記弁に結合されている少なくとも第1及び第2のポートであって、前記弁は前記第1及び第2のポートの各々に対して加圧気体を交互に供給するように構成されている、少なくとも第1及び第2のポートと、
前記第1及び第2のポートのうちの少なくとも一方に結合されている少なくとも1つの圧力センサと、
前記弁と前記圧力センサとに結合されている制御装置であって、弁デューティサイクルにしたがって前記第1及び第2のポートに対して加圧気体を交互に供給するように前記弁を制御するように動作可能である制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の測定された差圧を求めることに使用すべく前記少なくとも1つの圧力センサから圧力データを受け取って、前記測定された差圧と所望の平均差圧との間の差に基づいて前記弁デューティサイクルを変更するように構成されている、手術用コンソール。
【請求項2】
前記空気圧弁は、前記第1及び第2のポートに対して加圧気体を交互に供給するように共に制御される2つ以上の弁を備え、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の差圧を求めるべく、前記第1のポートと前記第2のポートとに結合されている差圧センサを備える、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の測定された平均差圧を求め、且つ、前記弁の連続的な動作間隔中に少なくとも2回前記弁デューティサイクルを変更すべく前記測定された平均差圧を使用する、請求項に記載の手術用コンソール。
【請求項5】
所望のポートデューティサイクルが、当該手術用コンソールのユーザインタフェースを通してユーザから受け取られて、オフセット変換器の回路を通して平均差圧に変換される、請求項に記載の手術用コンソール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記第1のポートに結合されている第1の圧力センサと、前記第2のポートに結合されている第2の圧力センサとを含み、前記制御装置は、前記弁デューティサイクルを変更すべく前記第1の圧力センサからの圧力情報と前記第2の圧力センサからの圧力情報とを比較するように構成されている、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項7】
前記測定された差圧は、測定された平均差圧を含む、請求項に記載の手術用コンソール。
【請求項8】
前記弁は空気圧器具を駆動するように構成されており、当該手術用コンソールは、当該手術用コンソールに結合されている空気圧器具を更に含み、前記空気圧器具は硝子体茎切除術用カッターである、請求項に記載の手術用コンソール。
【請求項9】
前記制御装置は、空気消費を減少させるためのより低い圧力と、より早いカットレートと使用可能なカットレートの動的範囲を増大させることとのためのより高い圧力との間でバランスをとるように、前記弁に印加される圧力を調整する、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項10】
外科用空気圧システム弁を調整する方法であって、
制御装置が、第1の位置と第2の位置との間で循環するように構成されている空気圧弁を備える空気圧システムを動作させるステップであって、加圧気体が、前記弁が前記第1の位置にあると第1のポートに向けられ、且つ、前記弁が前記第2の位置にあると第2のポートに向けられる、ステップと、
前記制御装置が、前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの少なくとも1つに結合されている少なくとも1つの圧力センサから圧力情報を受け取るステップと、
前記制御装置が、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の差圧を求めるために、前記受け取られた圧力情報を使用するステップと、
前記制御装置が、前記求められた差圧と所望の平均差圧との間の差を減少させるために、変更された弁デューティサイクルを求めるステップと、
前記制御装置が、前記変更された弁デューティサイクルにしたがって前記弁を前記第1の位置と前記第2の位置との間で循環させるステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記空気圧弁は、前記第1のポートと前記第2のポートとに交互に加圧気体を供給するように共に制御される2つ以上の弁を備え、前記第1の位置は、前記2つ以上の弁のうちの第1の弁を開くことを含み、前記第2の位置は、前記2つ以上の弁のうちの第2の弁を開くことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の差圧を求めるべく、前記第1のポートと前記第2のポートとに結合されている差圧センサを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記制御装置が、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の差圧を求めるステップと、前記制御装置が、前記弁の連続的な動作間隔中に少なくとも2回前記弁デューティサイクルを変更すべく前記差圧を使用するステップとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記制御装置が、ユーザから前記所望の平均差圧を受け取るステップと、
前記制御装置が、手術用コンソールのユーザインタフェースを通して前記ユーザから所望のポートデューティサイクルを受け取るステップと、
前記制御装置が、オフセット変換器を通して前記ポートデューティサイクルを平均差圧に変換するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの圧力センサから圧力情報を受け取ることが、前記第1のポートに結合されている第1の圧力センサから圧力情報を受け取ることと、前記第2のポートに結合されている第2の圧力センサから圧力情報を受け取ることとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記求められた差圧は、求められた平均差圧であり、前記差圧を求めることは、所定の時間にわたって前記第1のポートと前記第2のポートとの間の前記平均差圧を求めることを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、本明細書に詳細且つ完全に説明されているその全体において引例として本明細書に援用されている、発明者がShawn.X.Gao及びMark.A.Hopkinsである、2009年12月10日付けで出願された標題「動的空気圧弁駆動装置のためのシステム及び方法」の米国仮特許出願第61/285,243号明細書の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般的に、空気圧式手術用システムに関する。本発明は、限定されるものではないが、特に手術用システムの空気圧生成に関する。
【背景技術】
【0003】
硝子体網膜処置は、視力を回復し保全し強化するために行われる様々な外科的処置を含む。硝子体網膜処置は、眼球の後部の様々な重篤な病状を治療するのに適する。硝子体網膜処置は、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症及び糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜、CMV網膜炎、及び他の様々な眼科的病状のような病状を治療することができる。
【0004】
硝子体は、眼球の中央部を満たす通常は透明であるゲル状の物質である。硝子体は、眼球の体積の約2/3を占め、且つ、誕生前に眼球に形態と形状を与えるだろう。眼球の後部に悪影響を与える幾つかの問題が、硝子体茎切除術、すなわち、硝子体の外科的除去を必要としうる。
【0005】
硝子体茎切除術は、眼球から血液と破片とを取り除き、瘢痕組織を取り除き、又は網膜上の牽引を緩和するために行われるだろう。血液、炎症性細胞、破片、及び瘢痕組織は、光が眼球を通って網膜に到達することを妨害し、その結果として不鮮明な視覚を生じさせる。硝子体が網膜をその正常な位置から引っ張っている場合に硝子体を取り除くこともある。硝子体茎切除術を必要とする最も一般的な眼球の病状の幾つかが、網膜剥離又は網膜出血のような糖尿病性網膜症からの合併症、黄斑円孔、網膜剥離、網膜前線維症、眼球の内側の出血(硝子体出血)、負傷又は感染症、及び、以前の眼球の手術に関係した特定の問題を含む。
【0006】
網膜外科医は、眼球の後部の鮮明な画像を提供するように設計されている顕微鏡と特殊レンズとを使用して硝子体茎切除術を行うことができる。長さ数ミリメートルの幾つかの小さな切開部が強膜上に作られる。網膜外科医は、この切開部の中を通して、眼球の内側を照明するための光ファイバ光源と、手術中に眼球の形状を維持するための注入導管と、硝子体を切除して取り除くための器具のような顕微外科器具を挿入する。
【0007】
硝子体茎切除術では、外科医は、3つの別々の器具のために、眼球に3つの小さい切開部を形成する。これらの切開部は、虹彩の直ぐ後ろに且つ網膜の前方に位置している眼球の毛様体扁平部内に配置されるだろう。これらの切開部の中を通過する器具は、ライトパイプ(light pipe)、注入ポート、及び硝子体茎切除術用切断装置を含む。ライトパイプは、眼球の内側で使用するための微小な高輝度フラッシュライトの同等品である。注入ポートは、眼球の中の流体を置き換えて眼球の中で適正な圧力を維持するために使用されうる。硝子体切除装置(vitrector)すなわち切断装置は、制御された形で硝子体ゲルを除去するための振動微小カッターと共に、小さなギロチンのように機能する。このことは、硝子体液の除去中に網膜上での大きな牽引を防止することができる。
【0008】
眼球の後部上で硝子体茎切除術又は他の手術を行うために使用される手術機械は非常に複雑である。典型的には、こうした眼科手術機械は、多数の様々な器具が取り付けられている主コンソールを含む。この主コンソールは、その取り付けられている器具に対して電力を供給し且つその動作を制御することができる。
【0009】
これらの取り付けられている器具は、典型的には、プローブ、ハサミ、鉗子、照明器、硝子体切除装置、及び、注入導管を含む。これらの器具の各々は、典型的には、主手術用コンソールに取り付けられている。主手術用コンソール内のコンピュータが、これらの器具の動作を監視し且つ制御することができる。これら器具は、主手術用コンソールからその器具の動力を受ける。これら器具の幾つかは電気的に動力供給され、その他は空気圧によって動力供給されうる。
【0010】
様々な器具に空気圧動力を供給するために、主手術用コンソールは空気圧モジュールすなわち空気配送モジュールを含むことができる。この空気圧モジュールは、器具に動力供給すべく圧縮空気又は圧縮気体を調整して供給する。この空気圧モジュールは、圧縮気体を収容するシリンダに結合される。この空気圧モジュールは、取り付けられている器具を適正に動作させるために適正な気体圧力を供給することができる。
【発明の概要】
【0011】
様々な実施態様では、手術用コンソールのための空気圧システム弁が、弁の出口における差圧(例えば、平均差圧)と所望の差圧(例えば、所望の平均差圧)との間の差を減少させるために弁デューティサイクル(VDC)(このVDCはその弁を作動させるために使用される)を調整するように構成されている制御装置によって制御されうる。特定の実施態様では、平均差圧が、その弁の1つ又は複数のポートに結合されている圧力センサから検出されて、その圧力センサから(例えば、PID制御装置(比例積分微分制御装置)アルゴリズムを実施する)制御装置に中継される。この制御装置は、測定された平均差圧を、(例えば、ユーザから受け取られ、又はユーザから受け取られた情報に基づいて決定された)所望の平均差圧と比較することができる。次いで、この制御装置は、所望の平均差圧と測定された平均差圧との間の差を減少させるために、変更VDCを決定する。特定の実施態様では、測定された平均差圧と所望の平均差圧との間の差を減少させるために、複数回の反復が行われうる。
【0012】
本発明のさらに完全な理解を得るために、添付図面に関連して行われる以下の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態による手術用コンソールである。
図2a図2aは、一実施形態による、差圧センサを有する空気圧システムの説明図である。
図2b図2bは、一実施形態による、各ポートに別々の圧力センサを有する空気圧システムの説明図である。
図3図3は、一実施形態による、硝子体茎切除術用カッターを示す。
図4図4は、一実施形態による、空気圧弁を制御するための方法のフローチャートを示す。
図5図5は、一実施形態による、ポートデューティサイクルを平均差圧と相関させるためのルックアップテーブルの具体例を示す。
図6図6は、2つ以上の弁を含む空気圧弁を有する一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の概略的な説明と以下の詳細な説明の両方は、単に例示的且つ説明的なものであるにすぎず、且つ、特許請求されている本発明のさらに詳細な説明を提供することが意図されている。
【0015】
2006年12月21日付けで出願された、Denis Turner、Robert Palino、Argelio Olivera、及び、Mark Hopkinsによる、標題「硝子体茎切除術装置のための空気圧システム」の米国特許出願公開第20080149197号明細書、シリアル番号11/614,678が、あたかも本明細書で詳細且つ完全に説明されたかのように、参照によって本明細書の一部を構成する。
【0016】
図1は、空気圧によって動力供給される眼科手術機械のための手術用コンソール101の実施形態を示す。この手術用コンソール101は1つ又は複数の空気圧器具103を駆動するように構成されている。これら器具103は、例えば、ハサミ、硝子体茎切除術装置、鉗子、注入又は抜き取りモジュールを含む。他の器具103も使用可能である。手術の間、この空気圧によって動力供給される図1の眼科手術機械は、硝子体茎切除術のような様々な眼科外科的処置を行う際に外科医を補助するように作動することができる。窒素のような圧縮気体が、器具103に動力供給すべく手術用コンソール101を通して動力を供給する。手術用コンソール101は、ユーザに情報を表示するための表示装置109を含んでもよい(この表示装置は、さらに、ユーザの入力を受け取るためのタッチスクリーンを含むことがある)。手術用コンソール101は、さらに、(例えば、潅注/吸引機能を提供するための)流体工学モジュール105と、器具103との結合(例えば、器具103に取り付けられている空気圧導管を通しての結合)のための1つ又は複数のポートコネクタ107とを含むことができる。
【0017】
図2は、一実施形態による、空気圧によって動力供給される眼科手術機械のための空気圧システムの略図である。図2に見てとれるように、この空気圧システムは、出口ポートA213と出口ポートB215とに圧力源209(例えば、空気シリンダ又は壁出口空気供給源(wall outlet air supply)のような調整圧力源)を結合させる1つ又は複数の空気圧弁217を含む(出口ポートA213及び出口ポートB215は、1つ又は複数のポートコネクタ107を通して器具103に結合されることもある)。特定の実施形態では、空気圧弁217が制御装置205によって制御されうる。特定の実施形態では、圧力源209の圧力も制御装置205又は(例えば、手術用コンソール101の内部の)別個の制御装置によって制御されうる。制御装置205は、(例えば、空気消費を減少させるためのより低い圧力と、より早いカットレート(cut rate)のためのより高い圧力との間でバランスをとるべく、且つ/又は使用可能なカットレートの動的範囲を増大させるために)圧力を調整することができる。特定の実施形態では、空気圧システムの構成要素が(例えば、アルミニウムのような金属から機械加工された)マニホールドの形で組み込まれることがある。このマニホールドは気密性であり、様々な継手と結合器とを含み、且つ、比較的高い気体圧力に耐えることが可能である。このマニホールドは個々の部品として製造され又は単一の部品として製造されてもよい。様々な実施形態では、この空気圧システムの(例えばマニホールド内の)構成要素は、手術用コンソール101の内側に組み込まれうる。
【0018】
特定の実施形態では、空気圧弁217は4方弁である.他の弁の形状構成も想定される。弁217は、制御装置205からの制御信号によって指示される通りに2つの位置(例えば図2a、図2bを参照されたい)の一方に弁217を動かすように動作するソレノイドを含む。第1の位置では、空気圧弁217は、加圧気体を出口ポートA213からマフラー227を通して排出すると同時に、プローブカッター225に対して空気圧動力を供給すべく加圧気体が空気圧弁217を通って出口ポートB215に流れることを可能にする。第2の位置では、弁217は加圧気体を出口ポートA213に供給し且つ加圧気体を出口ポートB215から排出することができる。この位置では、加圧気体は、出口ポートA213を通過し、器具103(例えば、プローブカッター225)に空気圧動力を供給することができる。したがって、空気圧弁217が第1の位置にある時には、デュアルチャンバ223の第1のチャンバ229が充填されると同時に、第2のチャンバ231は排出させられる。空気圧弁217が第2の位置にある時には、第2のチャンバ231が充填されると同時に、第1のチャンバ229は排出させられる。
【0019】
図3に示されているように、プローブカッター225は切断装置として作用することができる。このプローブカッター225は、カッターポート301を有する外側チューブ303の内側を往復移動するだろう(例えば、プローブカッター225はダイアフラム221によって動かされ、一方、このダイアフラム221は、加圧された気体が出口ポートA、Bに(及び、デュアルチャンバ223のそれぞれのチャンバの中に)交互に向けられるのに応じて振動する)。特定の実施形態では、プローブカッター225はチューブ219を介して出口ポートA、Bに取り付けられているだろう(各ポートに対して別々のチューブが使用されることもある)。プローブカッター225は、前進後退するのに応じて、そのプローブカッター225の鋭利な尖端によってカッターポート301を交互に開閉するだろう。外側チューブ303の中を通るプローブカッター225の各サイクルによって、プローブカッター225が閉じるので、カッターポート301内の硝子体のような材料が切断されることができる。ポートデュティサイクル(PDC)が、カッターポート301が開いている時間の量及び閉じられている時間の量を表示する。例えば、49%のPDCが、カッターポート301がサイクル時間のうち49%開いていることを示す(サイクル時間の51%は閉じており、サイクル時間は例えばカッターポート301の各々の連続した開放の間の時間の量である)。
【0020】
特定の実施形態では、弁デューティサイクル(VDC)は、空気弁217が第1及び第2の位置にある時間の量を示す。特定の実施形態では、プローブカッター225のカットレートは弁217を通して制御装置205によって制御される。例えば、毎分2500カットのプローブレートを実現するために、制御装置205は、サイクル当たり約24ミリ秒のレートでポートA(第2の流路)とポートB(第1の流路)とに加圧空気を交互に供給するように空気圧弁217に指示することができる。毎分2500カットのカットレートを得るために、この2つの空気圧流路は、24ミリ秒毎に開/閉を繰り返し(2500カット/分又は1分/2500カット×60秒/1分=0.024秒/カット=24ミリ秒/カット)、各々の流路毎に12ミリ秒間にわたって開く。特定の実施形態では、これら流路を実際に開き且つ閉じるための遷移時間は、サイクル時間の一部を使用するだろう。例えば、24ミリ秒のサイクル当たり6ミリ秒の全遷移時間について、空気圧第2流路(すなわち、空気圧弁217のポートA213を経由)は、開く(一方、空気圧第1流路は閉じている)のに4ミリ秒を要し、且つ、閉じる(一方、空気圧第1流路は開いている)のに2ミリ秒を要する。他の遷移時間も想定される。遷移時間のせいで、弁は、実際には、第1の流路に対して閉じられると共に第2の流路に対して8ミリ秒(12ミリ秒−4ミリ秒)だけ開かれ、且つ、第1の流路に対して開かれると共に第2の流路に対して10ミリ秒(12ミリ秒−2ミリ秒)の間閉じられる。第2の流路と第1の流路とに対して加圧空気を供給する際のこの8ミリ秒対10ミリ秒の弁タイミング差が、その2つの流路における不均衡な差圧を結果的に生じさせうる。特定の実施形態では、その2つの流路の開放持続時間が概ね同一であることが望ましい(例えば、2500カット/分の場合には、実際には約(24ミリ秒−6ミリ秒)/2=9ミリ秒間にわたって開かれる)。
【0021】
開放/閉鎖遷移時間がすべての空気圧弁217に関して一定不変であれば、制御装置205は、標準的な空気圧弁217に基づいて両方の流路について実質的に等しい実際の開放持続時間を実現するために、固定された弁デューティサイクルによって予めプログラムされることが可能である。例えば、公称開放時間が第2の流路に関して13ミリ秒に設定され且つ第1の流路に関して11ミリ秒に設定される。したがって、この例の場合には、遷移時間を除いて、第2の流路の実際の開放時間は13ミリ秒−4ミリ秒=9ミリ秒であり、第1の流路の実際開放時間は11ミリ秒−2ミリ秒=9ミリ秒である(第2の流路と同様である)。しかし、遷移時間は(例えば、空気圧弁217の製造上の変動、流れの制限、温度、老化等のために)様々な空気圧弁217の間で変化するだろうし、固定された弁デューティサイクルは適切に不均衡を打ち消すことがないだろう。例えば、異なる弁が、第2の流路を開く(一方、空気圧第1流路は閉じている)ために(4ミリ秒でなく)3ミリ秒を要し、且つ、第2の流路を閉じる(一方、空気圧第1流路は開いている)ために2ミリ秒を要することがある。同一の弁デューティサイクル(例えば、第2の流路に関する13ミリ秒の公称開放時間及び第1の流路に関する11ミリ秒の公称開放時間)がこの第2の弁の例に適用される場合には、第2の弁の空気圧第2流路に関する実際の開放時間は13ミリ秒−3ミリ秒=10ミリ秒であり、及び、第1の流路に関する実際の開放時間は11ミリ秒−2ミリ秒=9ミリ秒だろう。したがって、上記の弁の例に関して有効だった弁デューティサイクルは、第2の具体例の弁の場合の空気圧第1流路よりも1ミリ秒すなわち11%長く実際に開いたままの状態である空気圧第2流路を結果的に生じさせる。この差異は、この2つの空気圧流路の間の不均一な動力バランスを結果的に生じさせ、このことは、より劣る性能を結果的にもたらすだろう。同様に、固定的な弁デューティサイクルは、コンソール毎のその2つの流路における流れ制限/抵抗の変動を原因とする不均衡を適切に打ち消すことはないだろう。
【0022】
特定の実施形態では、弁の変動の影響が、弁217の出口における圧力波形(例えば、圧力センサ211(図2a)によって弁のランタイム(run time)全体にわたって検出されるか、又は、圧力センサ212a、b(図2b)からの圧力情報を使用して制御装置によって計算される平均差圧207を監視することによって動的に補償されうる。圧力情報は、例えば、圧力センサ212a、bにおいて検出された圧力波形、又は圧力センサ212a、bからの平均圧力読み取り値を含む(他の圧力情報も可能である)。圧力センサ211、212a、bは圧力変換器を含むことができ、圧力変換器は、圧縮気体の圧力を読み取ることが可能であり、且つ、圧縮気体の圧力に関する情報を含む電気信号を制御装置205に送ることが可能である。(実際のVDCを表示する)圧力波形は、ランタイム中に監視されうる(例えば、周期的又は連続的に監視される)。平均差圧207が、実際の差圧と所望の差圧との間の差異を減少させるために弁のVDCを変更することによってその弁の変動を補償すべく制御装置205によって使用されうる。したがって、特定の実施形態では、閉ループのアプローチが、空気圧弁217の出口における差圧(ポートA213とポートB215との間の差圧)の平均を監視することと、VDCの制御に使用するための弁固有情報を求めるために平均差圧207を使用することとを含む。特定の実施形態では、サイクル期間(1/カットレート)全体にわたっての平均差圧207は直接的にVDCに関係付けられ、且つ、空気圧弁217に送られる制御信号のVDCを動的に調整すべく制御装置205によって使用されうる。特定の実施形態では、実際の差圧が計算されないが、この代わりに、制御装置は、VDCを動的に調整すべく圧力センサ212a、bからの圧力情報を比較してもよい。例えば、ポートA及びポートBからの圧力波形(又は平均圧力)の比較は、VDCを調整することによって打ち消されることが可能な差を示す。他のVDC調整も可能である。
【0023】
最初に、所望の(ポートAとポートBとの間の)差圧が、ユーザの入力(例えば、手術用コンソールのユーザインタフェースを通して受け取られる入力)、又は弁動作の前に手術用コンソール上の記憶装置内に記憶されたシステムのデフォルト値に基づいて求められうる。弁動作の間、制御装置205は、検出/計算された実際の差圧に基づいて弁217の弁デューティサイクルを変更することができる。例えば、圧力センサ211が、ポートA213とポートB215との間の圧力差を検出して、この圧力差を表す信号を制御装置205に送ることができる。特定の実施形態では、圧力センサ211は、検出された差圧波形に基づいて平均差圧207を計算し、又は検出された差圧波形を制御装置205に中継し、制御装置205は平均差圧207を測定する。特定の実施形態では、平均差圧207は、制御装置205が圧力を得るために解釈しうる(又は、例えば、圧力に関係した他の値を得るために使用する)信号として制御装置205に送られうる。1つの圧力センサ211が図2aに示されているが、特定の実施形態では、(例えば、図2bに見てとれるように)ポートA213及びポートB215の各々は、制御装置205と通信することがある別個の圧力センサ(圧力センサ212a、b)を有する。特定の実施形態では、制御装置は、圧力センサ212a、bから圧力情報を受け取り、この2つのポートの間の差波形を計算し、次いで、この差波形から平均差圧を求めることができる。別の例としては、制御装置は、弁217の弁デューティサイクルの制御のために使用される各々の圧力センサ出力波形のオフセットを求めてもよい(例えば、制御装置は、2つのポート圧力の間の平均差を求めるために圧力センサ212a、bからの圧力情報を比較する)。これら差圧/平均圧力差は、VDCを動的に調整する仕方を決定するために使用されうる。
【0024】
特定の実施形態では、制御装置205は、ポートAとポートBとの間の所望の平均差圧を得るために、信号弁217が第1及び第2の位置に位置する(変更された弁デューティサイクルに相当する)時間間隔を決定することができる。調整された弁デューティサイクルを空気圧流路についてのサイクル時間に適用することによって、空気圧流路は、全サイクル時間の間、特定の実際の開放時間作動されうる。上述したように、50%の弁デューティサイクルは、信号が印加されない(すなわち、弁を第2の位置に作動させない)時間と概ね同じ量の時間の間信号を印加する(すなわち、弁を第1の位置に作動させる)ことに相当する。1%の調整によって51%の弁デューティサイクルがもたらされ、51%のデューティサイクルは、合計サイクル時間のうち約51%の間弁に信号を印加する(すなわち、弁を第1の位置に作動させる)(合計時間のうち49%の間信号が印加されない)ことに相当する。したがって、より長い51%の弁デューティサイクルは、例えば、その弁が第2の位置に動くことよりも第1の位置に動くことに時間を要する弁、及び、弁の第1の位置に結合する流路内により高い流れ制限/抵抗を有するコンソールを補償することができる。特定の実施形態では、弁デューティサイクルは、さらに、(例えば、様々な弁の異なる遷移時間、及び様々なコンソールの流れ制限/抵抗の変動を補償するために)様々なコンソール特性に関して調整されうる。
【0025】
様々な実施形態では、制御装置205は、電子インタフェース(例えば、ワイヤ、バス、トレース等のような電気導体)を介して圧力センサ211(又は圧力センサ212a、b)から信号を受け取るように構成されうる。制御装置205は、さらに、電子インタフェースを通して空気圧弁217に出力信号を送るように構成されうる。これら出力信号は、制御装置205が空気圧弁217の動作を制御することを可能にする。制御装置205は、論理機能を行うことが可能な集積回路を含むことができる。このようにして、制御装置205は、電力ピン、入力ピン、及び出力ピンを有する標準的な集積回路パッケージの形状である。様々な実施形態では、制御装置205は弁制御装置又は目標装置制御装置(targeted device controller)を含む。特定の実施形態では、制御装置205は、弁のような特定の装置を対象とした特定の制御機能を果たす。特定の実施形態では、制御装置205はマイクロプロセッサである。このような場合には、制御装置205は、弁とコンソール101の他の構成要素とを制御する働きができるようにプログラム可能である。特定の実施形態では、制御装置205は、プログラム可能なマイクロプロセッサではないが、その代わりに、様々な機能を果たす様々な弁を制御するように構成された特殊用途向けの制御装置である。
【0026】
図4は、空気圧弁217を動的に制御するための方法の実施形態のフローチャートを示す。このフローチャートに示されている要素は単なる例示である。様々な示された要素は省略可能であり、追加の要素が加えられてもよく、且つ/又は、様々な要素が、後述する順序とは異なる順序で行われてもよい。
【0027】
401では、ユーザが(例えば、外科的な要求に基づいて)所望のカットレート及び/又はPDCを選択することができる。例えば、ユーザは、50%のPDCにおける毎分2500カットのカットレートを入力することができる。
【0028】
403では、所望のPDCが所望の平均差圧(又は、ポートAとポートBとの間の差圧に関連付けられた他の圧力差/圧力指標(pressure metric))に変換されうる。特定の実施形態では、所望のPDCは、予め設定されたルックアップテーブル(例えば、図5を参照されたい)、方程式等に基づいて所望の平均差圧に変換されうる。特定の実施形態では、ユーザは、表示装置103上のインタフェースにおいて所望の平均差圧を入力することができる。特定の実施形態では、PDCと所望の平均差圧とがデフォルト値(例えば、50%のPDC、0Pa(0psi(ポンド/平方インチ))の所望平均差圧)として与えられうる。この平均差圧は、(ポートAとポートBとの間の差圧の時間経過に応じた平均値として得られた)ポートAとポートBとの間の差圧、又は、ポートAの平均圧力とポートBの平均圧力との間の差を意味する。例えば、PDC及びこれに対応する平均差圧は、弁に関して、試行錯誤等によって、実験によって求められるだろう。特定の実施形態では、他の特徴(例えば、取り付けられている器具のタイプ等)が、所望の平均差圧を求めるために使用されうる。
【0029】
405では、空気圧弁217が、器具103を動作させるために制御装置205によって制御されうる。特定の実施形態では、制御装置205は、最初に、デフォルト値の弁デューティサイクル(例えば50%)を使用して弁217を制御する。特定の実施形態では、制御装置205は、オフセット変換器(offset translator)203(例えば、所望のPDC201を表す受け取った電子信号を、内部ルックアップテーブル(例えば、図5を参照されたい)に基づいて、対応する所望の平均差圧に変換するように構成されている電子回路)から所望の平均差圧を受け取ることができる。特定の実施形態では、制御装置205は、所望の平均差圧に加えて又はその代わりに他の所望の性能特性を受け取ることができる(例えば、制御装置は、ポートA及びポートBからの平均圧力波形の間の所望の差を受け取り、又はポートA及びポートBについての所望の平均圧力からポートAの圧力とポートBの圧力との所望のオフセットを受け取ることができる)。
【0030】
407において、平均差圧207が、圧力センサ211から制御装置205に中継されうる(又は圧力センサ212a、bからの圧力情報を使用して制御装置205によって計算されうる)。例えば、平均差圧207は、100ミリ秒毎に圧力センサ211によって中継される(又は、圧力情報(例えば、圧力オフセット)が圧力センサ212a、bによって中継され、平均差圧207が制御装置205によって計算されうる)。他の時間間隔も想定されている(例えば、5秒毎)。特定の実施形態では、圧力センサ211が、検出された差圧波形に基づいて平均差圧を計算し、又は(ポートAとポートBの間の1つ又は複数の差圧を含むことがある)検出された差圧波形を制御装置205に中継し、制御装置205が平均差圧207を求める。特定の実施形態では、ポートAとポートBとに結合されている圧力センサ212a、bが、検出された圧力情報(例えば、圧力オフセット、圧力波形等)を制御装置205に中継し、制御装置205がそのポートに関する平均差圧を求める(又は、平均差圧を実際に計算することなしに圧力波形を比較する)。
【0031】
409では、制御装置205が、(例えば、圧力センサから受け取られた、又は圧力センサからの情報を使用して計算された)測定された平均差圧207を(例えば、ユーザから受け取った情報又はデフォルト設定から計算/確定された)所望の平均差圧と比較して、変更されたVDCを求めるだろう。制御装置205は、所望の平均差圧と測定された平均差圧との間の差を減少させるべく変更VDCを求めることができる。例えば、ポートAにおける圧力が正の圧力として得られ、且つ、ポートBにおける圧力が負の圧力として得られる場合には、理想値の場合に、測定された平均差圧は0Pa(0psi)だろう。この例では、この代わりに、測定された平均差圧が正であり(例えば+13790Pa(+2psi))である場合には、測定された平均差圧は、特定のサイクル中にポートAが実際にポートBよりも長く開いている状態のままである(この結果として、ポートAの圧力は、そのポートAが開いている時に、ポートBが開いている時のポートBの圧力よりも高い圧力に充填される)ということを示す。所望の平均差圧が0Pa(0psi)に設定された場合には、(制御装置205がポートAに排気するように信号を送る時間のパーセンテージを示すVDC)は、制御装置205によって(例えば、50%から51%に)増大させられうる。特定の実施形態では、制御装置205は、デフォルト値又はユーザが提供する比率にしたがってVDCを増減させる。特定の実施形態では、所望の平均差圧と測定された平均差圧との間の差に応じてVDCを調整する量が、弁217について実験によって決定されうる。例えば、測定された平均差圧と所望の平均差圧との間の+8274Pa(+1.2psi)の差毎にVDCを1%増大させることが実験的に決定されうる(他の比率も想定できる)。この情報は、制御装置205に対してアクセス可能である方程式又はテーブルの形で記憶されうる。別の例としては、制御装置205は、平均差圧が正である場合には、ユーザが設定した増分(例えば0.5%)だけVDCを増加させ、平均差圧が負である場合には、ユーザが設定した増分だけVDCを減少させる。特定の実施形態では、測定された平均差圧がデフォルト値の範囲内又はユーザが設定した範囲内にある場合には、制御装置205はVDCを調整しない(例えば、平均差圧が所望の平均差圧の6895Pa(1psi)の範囲内である場合には調整が行われない)。特定の実施形態では、ユーザは、制御装置が使用するための様々な入力データを入力する(例えば、表示装置109のタッチスクリーンへの入力)。例えば、ユーザは、測定された平均差圧と所望の平均差圧との間の+8274Pa(+1.2psi)の差毎に−1%のVDCの比率を入力する。特定の実施形態では、制御装置は、差圧を実際に計算せず、その代わりに、VDCをどのように調整するかを決定すべく、ポートA及びポートBからの圧力波形を互いに対して又は所望の波形と比較する。例えば、ポートAに関する圧力波形が(例えばシステム上に記憶されている)所望の圧力波形よりも平均的に13790Pa(2psi)大きい場合には、VDCは、差圧を実際に計算する必要なしに調整されうる。他のVDCの調整方法も想定される。
【0032】
411において、制御装置205が、空気圧弁217を作動させることにおいて(例えば、第1の位置と第2の位置との間の切り換えの時間を調整すべく)変更されたVDCを使用することができる。
【0033】
413において、制御装置205が、測定された平均差圧207を所望の平均差圧(又は関連付けられた差圧変数/差圧指標)と比較することと、測定された平均差圧207と所望の平均差圧との間の差を最小化すべく変更された新たなVDCを求めることとを繰り返す。例えば、制御装置205は、(例えば、ユーザによって設定された範囲内に)平均差圧と所望差圧との間の差が減少させられるまで、弁デューティサイクルを上方又は下方に調整し、検出された新たな平均差圧を受け取り(又は、平均差圧の計算に使用するための新たな圧力情報を受け取り)、これに対応して、以前の平均差圧と比較された新たな平均差圧の方向に基づいて、上方又は下方に弁デューティサイクルを調整し、変更された弁デューティサイクルに対応して新たな平均差圧を受け取り/計算する等のために、PID制御装置アルゴリズム(比例積分微分)を実行する。
【0034】
特定の実施形態では、空気圧管理システムは1つ又は複数のプロセッサを含む。プロセッサは単一の処理装置又は複数の処理装置を含む。こうした処理装置は、マイクロプロセッサ、コントローラ(例えば、制御装置205)(マイクロコントローラであってもよい)、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理回路、ステートマシーン、論理回路、制御回路、アナログ回路、及び/又は、演算命令に基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する任意のデバイスである。プロセッサに結合され且つ/又は組み込まれている記憶装置は単一の記憶装置又は複数の記憶装置である。こうした記憶装置は、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又は、デジタル情報を記憶する任意のデバイスである。プロセッサがステートマシーン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は、論理回路を介してその機能の1つ又は複数を実行する時、対応する演算命令を記憶する記憶装置は、ステートマシーン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は、論理回路を備える回路の内部に組み込まれ、又はその外部に組み込まれる。記憶装置は、図示され且つ図面に関連して説明されている要素の少なくとも幾つかに対応する演算命令を記憶し、プロセッサはこの演算命令を実行する。
【0035】
図6に示されているように、幾つかの実施形態が4方空気圧弁に関して本明細書で説明されているが、これら実施形態が、器具103に加圧気体を供給するために協調的に制御される2つ以上の弁にも適用可能である。例えば、4方空気圧弁に関して説明されている「第1のポート」及び「第2のポート」が、その代わりに、2つ以上の別々の弁に結合される(すなわち、「第1のポート」が第1の弁に結合され、「第2のポート」が第2の弁に結合される)。第1の弁と第2の弁とは、第1のポートと第2のポートとに対して交互に加圧空気を供給するように共に制御される。特定の実施形態では、圧力センサは、差圧を測定するために第1のポート及び第2のポートの両方に結合されうる(又は、各ポートは別々の圧力センサに結合され、平均圧力を測定する際に別々の圧力が使用されてもよい)。この場合、弁デューティサイクルは、(弁デューティサイクルによって示された開放/閉鎖時間にしたがって別々の弁を制御することによって)2つ以上の弁のそれぞれのポートの流路開放時間と流路閉鎖時間とを調整すべくその2つ以上の弁に対して使用されうる。
【0036】
当業者によって様々な変更が上述の実施形態に加えられるだろう。本発明の他の実施形態が、本発明の考察と本明細書に説明されている本発明の実施例とから当業者にとって明らかになるだろう。本明細書と具体例とが単なる例示と見なされ、及び、本発明の真の範囲と思想とが、後述の特許請求の範囲とその均等物とによって示されることが意図されている。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6