特許第5711283号(P5711283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711283
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】画像処理装置およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20150409BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20150409BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20150409BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20150409BHJP
   B41J 29/26 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 574
   B41J29/46 Z
   B41J29/42 F
   G03G21/00 500
   B41J29/26 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-19314(P2013-19314)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-148139(P2014-148139A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2013年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】正海 武治
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−023209(JP,A)
【文献】 特開2012−078808(JP,A)
【文献】 特開昭64−044972(JP,A)
【文献】 特開2003−140515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 2/32
B41J 2/475
B41J 29/26
B41J 29/42
B41J 29/46
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体上の画像を非可視化する非可視化手段と、
前記搬送される記録媒体がジャムした場合に前記非可視化手段の動作を中断し、中断した動作を前記ジャムの解除に伴い再開する第1制御手段と、
前記搬送される記録媒体の数を前記ジャムの数を含めて計数し、その計数値が設定数に達するまで前記非可視化手段の動作を継続する第2制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記搬送される記録媒体の数を前記ジャムの数を含めずに計数し、その計数値が前記設定数に達するまで前記非可視化手段の動作を継続する第3制御手段、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジャムした記録媒体の数を前記計数に含めるか否かを指定させるための案内画面を表示する第4制御手段と、
前記第2制御手段の制御および前記第3制御手段の制御のいずれかを前記案内画面での指定に応じて選択する第5制御手段と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記案内画面により前記ジャムした記録媒体の数を前記計数に含める旨の指定がなされたとき、前記第5制御手段は、前記ジャムの位置が所定領域であることを条件に前記第2の制御手段を選択し、前記ジャムの位置が前記所定領域でないことを条件に前記第3の制御手段を選択する、
ことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
所定値未満の温度で可視状態となり所定値以上の温度で非可視状態となる現像剤により現像を行う現像手段と、
前記現像手段が現像した像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段で像の転写を受けて搬送される記録媒体を前記所定値未満の温度で加熱することによりその記録媒体上の像を同記録媒体上に可視状態で定着させる定着手段と、
前記定着手段による定着を受けて搬送される記録媒体を前記所定値以上の温度で加熱することによりその記録媒体上の画像を非可視化する非可視化手段と、
前記搬送される記録媒体がジャムした場合に前記定着手段または前記非可視化手段の動作を中断し、中断した動作を前記ジャムした記録媒体が取り除かれた場合に再開する第1制御手段と、
前記非可視化手段の動作時、前記搬送される記録媒体の数を前記ジャムの数を含めて計数し、その計数値が前記設定数に達するまで前記非可視化手段の動作を継続する第2制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
搬送される記録媒体上の画像を非可視化する非可視化手段、およびコンピュータを備えた画像処理装置において、
前記コンピュータを、
前記搬送される記録媒体がジャムした場合に前記非可視化手段の動作を中断し、中断した動作を前記ジャムの解除に伴い再開する第1制御手段と、
前記搬送される記録媒体の数を前記ジャムの数を含めて計数し、その計数値が前記設定数に達するまで前記非可視化手段の動作を継続する第2制御手段、
として機能させることを特徴とする画像処理装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体上に形成した画像を非可視化する画像処理装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
消色による非可視化が可能な現像剤を用いて記録媒体たとえば用紙上に画像を形成する画像処理装置(いわゆる画像形成装置)が知られている。この画像処理装置で使用する現像剤は、所定値未満の温度で発色して可視状態となり、所定値以上の温度で消色して非可視状態となる。
【0003】
また、この画像処理装置による画像形成が済んだ用紙を上記所定値以上の温度で加熱し、この加熱により用紙上の画像を消色して非可視化する消色専用の画像処理装置(いわゆる画像消去装置)が知られている。消色して非可視状態となった用紙は、画像形成用の用紙として再利用することができる。
【0004】
非可視化の機能を画像形成の機能と併せ持つハイブリッド型の画像処理装置も知られている。
【0005】
このような画像処理装置で設定枚数たとえば10枚の画像形成済み用紙をまとめて消色(非可視化)したい場合、ユーザは、10枚の画像形成済み用紙を装置の給紙カセットや手差しトレイにセットする。そして、ユーザは、画像処理装置のコントロールパネルで消色モードおよび消色枚数“10”を設定し、そのコントロールパネル中のスタートキーを押圧操作して装置による消色処理を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012―78808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
用紙を搬送しながら画像処理を行う画像処理装置では、搬送中の用紙が詰まって動かなくなるジャムがしばしば発生する。ジャムの発生時、画像処理装置は、処理を中断する。そして、画像処理装置は、ジャムした用紙がユーザによって取り除かれた場合に、処理を再開する。取り除かれた用紙は、ユーザによって廃棄されることが多い。
【0008】
画像処理装置は、ジャム用紙の取り除きに伴う処理の再開時、取り除かれた用紙の枚数を計数に入れず、ジャムが発生する直前の状態から処理を継続する。例えば、設定枚数が “10”で、3枚まで消色の処理が進み、4枚目がジャムして取り除かれた場合、その4枚目を計数に入れることなく、残り7枚の用紙を給紙してその処理を行う。
【0009】
この場合、消色の処理が済んで排出される用紙の枚数は設定枚数と同じ10枚となるが、給紙カセットや手差しトレイから給紙される用紙の枚数は設定枚数より多い11枚となる。
【0010】
設定枚数より多い枚数の用紙が給紙されるということは、初めにセットされた10枚の画像形成済み用紙とは別の用紙が給紙カセットや手差しトレイにもともと存在していることになる。
【0011】
消色する必要のない画像形成用の用紙つまり白紙が給紙カセットや手差しトレイにもともと存在する場合には、その用紙に対する消色は無駄な処理となり、電力を無駄に消費してしまう。
【0012】
給紙カセットや手差しトレイにもともと存在する用紙が画像形成済み用紙であっても、ユーザによっては、設定枚数より多い枚数の用紙が給紙されることを望まない場合もある。
【0013】
実施形態の目的は、記録媒体のジャムが解除された後の無駄な給紙を回避することができる画像処理装置およびそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の画像処理装置は、搬送される記録媒体上の画像を非可視化する非可視化手段と、前記記録媒体がジャムした場合に前記非可視化手段の動作を中断し、中断した動作を前記ジャムの解除に伴い再開する第1制御手段と、前記搬送される記録媒体の数を前記ジャムの数を含めて計数し、その計数値が前記設定数に達するまで前記非可視化手段の動作を継続する第2制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】各実施形態の全体的な構成を断面して示す図。
図2図1における感光体ドラムとその周辺部の構成を示す図。
図3】各実施形態の制御回路を示すブロック図。
図4】各実施形態のコントロールパネルおよび第1案内画面を示す図。
図5】第1実施形態の制御を説明するためのフローチャート。
図6】各実施形態の第2案内画面を示す図。
図7】各実施形態の第3案内画面を示す図。
図8】各実施形態の第4案内画面を示す図。
図9】第2実施形態の制御を説明するためのフローチャート。
図10】第2実施形態の第5案内画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1]以下、この発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本体1の上部に原稿載置用の透明の原稿台(ガラス板)2を配置し、その原稿台2の上にカバー3を開閉自在に配置する。原稿台2の下面側にキャリッジ4を配置し、そのキャリッジ4に露光ランプ5を配置する。
【0017】
キャリッジ4は、原稿台2の下面に沿って往復動する。露光ランプ5は、キャリッジ4の往動に伴い、原稿台2上の原稿を露光する。この露光により生じる反射光像を、反射ミラー6,7,8および変倍用レンズブロック9を介してCCD(Charge Coupled Device)10が受ける。CCD10は、原稿からの反射光像に対応するレベルの画像信号を出力する。
【0018】
原稿台2の近傍に、動作条件設定用のコントロールパネル11を配置する。コントロールパネル11は、タッチパネル式の液晶表示部12を有する。
【0019】
CCD10が出力する画像信号を、露光ユニット20が受ける。露光ユニット20は、黄色の画像信号に応じたレーザ光B1、マゼンタ色の画像信号に応じたレーザ光B2、シアン色の画像信号に応じたレーザ光B3、ブラック色の画像信号に応じたレーザ光B4を、黄色用の像担持体である感光体ドラム21、マゼンタ色用の像担持体である感光体ドラム22、シアン色用の像担持体である感光体ドラム23、黒色用の像担持体である感光体ドラム24に向けてそれぞれ発する。
【0020】
感光体ドラム21,22,23,24は、一定間隔でほぼ水平方向に並ぶ。これら感光体ドラム21,22,23,24の上方に像担持体である転写ベルト30を配置する。この転写ベルト30をドライブローラ31および従動ローラ32に掛け渡す。転写ベルト30は、ドライブローラ31から動力を受けて、半時計方向に回転する。
【0021】
感光体ドラム21,22,23,24と対向する位置に、1次転写ローラ41,42,43,44を上下動自在にそれぞれ配置する。1次転写ローラ41,42,43,44は、転写ベルト30を感光体ドラム21,22,23,24の周面に押し当てながら回転することにより、感光体ドラム21,22,23,24上の像を転写ベルト30に転写する。
【0022】
感光体ドラム21とその周辺部の構成を図2に示す。
感光体ドラム21の周囲に、現像手段として、クリーナ21a、除電ランプ21b、帯電ユニット21c、現像ユニット21dを順に配置する。クリーナ21aは、感光体ドラム21の表面に残留する現像剤を除去する。除電ランプ21bは、感光体ドラム21の表面に残留する電荷を除去する。帯電ユニット21cは、感光体ドラム21の表面に静電荷を帯電させる。
【0023】
帯電ユニット21cによる帯電が済んだ感光体ドラム21の表面は、露光ユニット20が発するレーザ光B1を受ける。レーザ光B1は、感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。現像ユニット21dは、感光体ドラム21の表面に黄色の現像剤Dを供給することにより、感光体ドラム21の表面の静電潜像を現像する。
【0024】
他の感光体ドラム22,23,24の周辺部も、同様の構成である。よって、その説明は省略する。感光体ドラム22,23,24には、マゼンタ色・シアン色・黒色の現像剤Dをそれぞれ供給する。
【0025】
各色の現像剤Dは、所定値未満の温度で発色して可視状態となり、所定値以上の温度で消色して非可視状態となるもので、消色可能なトナーと磁性キャリアとの混合物である。消色可能なトナーは、色素および発色剤を含む。この色素および発色剤は、環境温度が所定値たとえば120℃より低い場合に、互いに結び付く。この結び付きにより、上記色素の色が可視状態となる。また、上記色素および上記発色剤は、環境温度が上記所定値以上の場合に、互いの結び付きを解消する。この結び付きの解消により、上記色素の色が非可視状態となる。
【0026】
露光ユニット20の下方に、複数の給紙カセット50を配置する。これら給紙カセット50は、互いに異なるサイズの記録媒体である用紙Pを多数枚収容する。これら給紙カセット50のうち、例えば最上段の給紙カセット50は、後述する非可視化モードの設定時に非可視化対象の用紙Pxをセットするための消色用の給紙カセットとしても兼用する。
【0027】
これら給紙カセット50と対応する位置に、ピックアップローラ51および給紙ローラ52を配置する。各ピックアップローラ51は、各給紙カセット50内の用紙P,Pxを1枚ずつ取り出す。各給紙ローラ52は、各ピックアップローラ51が取り出した用紙P,Pxを搬送路53に供給する。搬送路53は、レジストローラ54、上記従動ローラ32、定着ユニット60、および排紙ローラ55を経由して、上方の排紙口56に延びる。排紙口56は、排紙トレイ57に臨む。
【0028】
転写ベルト30および搬送路53を挟んで上記従動ローラ32と対向する位置に、2次転写ローラ33を配置する。2次転写ローラ33は、転写ベルト30に転写されている像を、レジストローラ54から送り込まれる用紙Pに転写する。すなわち、2次転写ローラ33は、上記転写ベルト30、ドライブローラ31、従動ローラ32、1次転写ローラ41,42,43,44と共に、転写手段を構成する。
【0029】
搬送路53の終端からレジストローラ54の上流側位置にかけて、用紙P,Pxの表裏を反転して搬送路53に戻す搬送路70を配置する。この搬送路70は、給紙ローラ71,72,73を有する。
【0030】
本体1の側壁に、手差しトレイ74を着脱自在に配置する。この手差しトレイ74から搬送路53におけるレジストローラ54の上流側位置にかけて、搬送路75を配置する。この搬送路75と対応する位置に、ピックアップローラ76および給紙ローラ77を配置する。ピックアップローラ76は、手差しトレイ74上の用紙を1枚ずつ取り出す。給紙ローラ77は、ピックアップローラ76が取り出した用紙をレジストローラ54に供給する。
【0031】
上記定着ユニット60は、ヒートローラ61および加圧ローラ62を有する。この定着ユニット60は、搬送される用紙Pをヒートローラ61により所定値(=120℃)未満の第1温度たとえば100℃で加熱することにより、用紙Pに転写されている像を用紙Pに可視状態で定着させる定着手段として機能する。また、定着ユニット60は、搬送される非可視化対象の用紙Pxをヒートローラ61により所定値以上の第2温度たとえば130℃で加熱することにより、用紙Px上の画像を非可視化する非可視化手段(消色手段ともいう)としても機能する。
【0032】
本体1の制御回路を図3に示す。
コンピュータのCPU80に、コントロールパネル11、ROM81、RAM82、ハードディスクドライブ(HDD)83、スキャニングユニット84、画像処理ユニット85、およびプロセスユニット86を接続する。
【0033】
コントロールパネル11は、図4に示すように、タッチパネル式の液晶表示部12のほかに、テンキー13、スタートキー14、画像形成モード設定用のコピーキー15、画像読取モード設定用のスキャンキー16、非可視化モード設定用(消色モード設定用)の消色キー17などを有する。
【0034】
ROM81は、制御用の各種プログラムを記憶している。RAM82は、各種データの記憶用である。ハードディスクドライブ83は、画像データの記憶用である。スキャニングユニット84は、上記キャリッジ4、露光ランプ5、反射ミラー6,7,8、変倍用レンズブロック9、CCD10を含み、原稿台2上の原稿の画像を光学的に走査して読取る。画像処理ユニット85は、スキャニングユニット84の読取り画像を適宜に処理する。
【0035】
プロセスユニット86は、露光ユニット20、感光体ドラム21,22,23,24、各感光体ドラム周りの図2の構成、転写ベルト30、ドライブローラ31、従動ローラ32、1次転写ローラ41,42,43,44、2次転写ローラ33、搬送路53、定着ユニット60、搬送路70などを有し、画像処理ユニット85が処理した画像を用紙P上に形成する。
【0036】
CPU80は、ROM81内のプログラムに基づく主要な機能として、次の(1)〜(8)の手段を有する。
(1)上記定着手段が動作する画像形成モードを、コントロールパネル11のコピーキー15の押圧操作に応じて設定する設定手段。
【0037】
(2)上記非可視化手段が動作する非可視化モード(以下、消色モードという)を、コントロールパネル11の消色キー17の押圧操作に応じて設定する設定手段。
【0038】
(3)搬送中の用紙P,Pxがジャムした場合、ジャムの発生を報知するとともにジャムの解除に必要となる処置を報知するための第1案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示するジャム報知手段。
【0039】
(4)搬送中の用紙P,Pxがジャムした場合、定着手段および非可視化手段の動作を中断し、中断した動作をジャムの解除に伴い再開する第1制御手段。
【0040】
(5)消色モード時、給紙した用紙Pxの枚数をジャムの枚数を含めて計数し、その計数値がコントロールパネル11での設定枚数(設定数)に達するまで上記非可視化手段の動作を継続する第2制御手段。
【0041】
(6)消色モード時、給紙した用紙Pxの枚数をジャムの枚数を含めずに計数し、その計数値がコントロールパネル11での設定枚数に達するまで上記非可視化手段の動作を継続する第3制御手段。
【0042】
(7)消色モード時のジャム解除に伴い、ジャムした用紙Pxの枚数を上記計数に含めるか否かをユーザに指定させるための第2案内画面を表示する第4制御手段。
【0043】
(8)上記第2制御手段の制御および上記第3制御手段の制御のいずれかを上記第2案内画面での指定に応じて選択する第5制御手段。
【0044】
つぎに、CPU80が実行する制御を図5のフローチャートを参照しながら説明する。
ユーザは、画像形成済み(コピー済みともいう)の例えば10枚の用紙Pxを消色したい場合、その10枚の用紙Pxを最上段の給紙カセット50にセットする。続いて、ユーザは、コントロールパネル11の消色キー17を押圧操作して消色モードを設定するとともに、上記セットした用紙Pxの枚数に対応する設定枚数“10”をコントロールパネル11のテンキー13により設定する。
【0045】
消色モード時、CPU80は、コントロールパネル11のスタートキー14が押圧操作にされたとき(ステップ101のYES)、最上段の給紙カセット50にセットされている1枚の用紙Pxを搬送路53に供給する(ステップ102)。
【0046】
CPU80は、搬送路53,70,75における用紙P,Pxの搬送位置およびジャムを、搬送路53,70,75に配置している多数の用紙センサを介して監視する。
【0047】
CPU80は、用紙Pxのジャムを検知したとき(ステップ103のYES)、図4に示す第1案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示する(ステップ104)。
【0048】
第1案内画面は、ジャムの発生を報知するための『ジャム発生』という案内文字12a、同じくジャムの発生を報知するための『紙詰まりが発生しました』という案内文字12b、ジャムの解除に必要となる処置を報知するための『ガイダンスに従って用紙を取り除いてください』という案内文字12c、ジャムの発生位置がどこかをマークMで報知する画像パターン12dを含む。
【0049】
ユーザは、この第1案内画面を見ることにより、消色対象の用紙Pxがジャムしたこと、そのジャムの解除方法、そのジャムの位置などを知ることができる。この場合、ユーザによって取り除かれる用紙Pxは、よっぽどきれいなものでない限り、ユーザによって廃棄されることが多い。
【0050】
用紙Pxのジャムがユーザの処置によって解除されたとき(ステップ105のYES)、CPU80は、図6に示す第2案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示する(ステップ106)。
【0051】
第2案内画面は、ジャムの解除を報知するための『ジャム解除』という案内文字12e、ユーザが取り除いた用紙Pxを計数に含めるか否かを問い合わせる『取り除いた用紙を設定枚数の計数に含めますか?』という案内文字12f、『含める』キー12g、『含めない』キー12hを含む。
【0052】
ユーザは、ジャムした用紙Pxを計数に含めたい場合、『含める』キー12gにタッチ操作する。また、ユーザは、ジャムした用紙Pxを計数に含めたくない場合、『含めない』キー12hにタッチ操作する。
【0053】
『含める』キー12gがタッチ操作された場合(ステップ107のYES)、CPU80は、図7に示す第3案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示する(ステップ108)。
【0054】
第3案内画面は、ジャムの解除を報知するための『ジャム解除』という案内文字12e、消色モードの動作である消色ジョブをこのまま継続するか否かを問い合わせる『消色ジョブ継続しますか?』という案内文字12i、継続を指定するための『YES』キー12j、継続しないを指定するための『NO』キー12kを含む。
【0055】
ユーザは、消色ジョブを継続したい場合、『YES』キー12jにタッチ操作する。また、ユーザは、消色ジョブを継続したくない場合、『NO』キー12kに手指でタッチ操作する。
【0056】
『YES』キー12jがタッチ操作された場合(ステップ109のYES)、CPU80は、ジャムした用紙Pxの枚数“1”を計数に含める(ステップ110)。続いて、CPU80は、計数値が設定枚数“10”に達しているか否かを判定する(ステップ111)。
【0057】
計数値が設定枚数に達していない場合(ステップ111のNO)、CPU80は、次の用紙Pxの給紙を再開する(ステップ102)。
【0058】
計数値が設定枚数“10”に達している場合(ステップ111のYES)、CPU80は、図8に示す第4案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示し(ステップ112)、消色ジョブを終了する。
【0059】
第4案内画面は、消色ジョブ終了を報知するための『消色ジョブ終了』という案内文字12m、設定枚数の表示欄12n、ジャムによる削除枚数の表示欄12o、消色完了枚数の表示欄12pを含む。ジャムによる削除枚数とは、ジャムして取り除かれた用紙Pxの枚数のことである。消色完了枚数とは、消色されて非可視化状態となった用紙Pxの枚数のことである。
【0060】
ユーザは、この第4画面を見ることにより、設定枚数、ジャムによる削除枚数、消色完了枚数を知ることができる。
【0061】
このように、ジャムした用紙Pxの枚数を消色処理枚数の計数に含ませることにより、最上段の給紙カセット50にセットされた10枚の用紙Pxのみ給紙することができる。つまり、用紙Pxの下に存在する例えば画像形成用の用紙Pを不要に消色処理することがない。用紙Pxの下に存在する画像形成用の用紙Pは、そもそも消色する必要のない白紙である。
【0062】
こうして、ジャムが解除された後の無駄な給紙を回避できることにより、電力を無駄に消費しない。
【0063】
ところで、第3案内画面による消色ジョブ継続の問合せに際し、その第3案内画面の『NO』キー12kがタッチ操作された場合(ステップ109のNO)、CPU80は、それまでの計数値にかかわらず、直ちに消色ジョブを終了する(ステップ114)。続いて、CPU80は、図8の第4案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示し(ステップ112)、消色ジョブを終了する。
【0064】
また、第2案内画面による問合せに際し、その第2案内画面の『含めない』キー12hがタッチ操作された場合(ステップ107のNO)、CPU80は、ジャムした用紙Pxの枚数“1”を計数に含めない(ステップ116)。続いて、CPU80は、計数値が設定枚数“10”に達しているか否かを判定する(ステップ111)。計数値が設定枚数に達していない場合(ステップ111のNO)、CPU80は、次の用紙Pxの給紙を再開する(ステップ102)。
【0065】
このように、ジャムした用紙Pxの枚数を消色処理枚数の計数に含めないことにより、消色済み用紙の枚数が設定枚数と同じになる。
【0066】
なお、ユーザは、最上段の給紙カセット50内の全ての用紙を消色処理したい場合、その給紙カセット50内の全ての用紙を消色ジョブ対象としてコントロールパネル11で指定する。この場合、CPU80は、最上段の給紙カセット50内の全ての用紙に対する消色ジョブを実行する。
【0067】
[2]第2実施形態について説明する。
CPU80は、第1実施形態の(5)(6)に代えて次の(11)(12)の手段を有する。
(11)消色モード時、用紙Pxのジャムの位置が所定領域であることを条件に、給紙する用紙Pxの枚数をそのジャムの枚数を含めて計数し、その計数値がコントロールパネル11での設定枚数に達するまで上記非可視化手段の動作を継続する第2制御手段。
【0068】
(12)消色モード時、用紙Pxのジャムの位置が上記所定領域でないことを条件に、給紙する用紙Pxの枚数をジャムの枚数を除いて計数し、その計数値がコントロールパネル11での設定枚数に達するまで上記非可視化手段の動作を継続する第3制御手段。
他の構成は第1実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0069】
CPU80が実行する制御を図9のフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、第1実施形態と異なる制御およびその関連部分について説明する。
CPU80は、『含める』キー12gがタッチ操作された場合(ステップ107のYES)、ジャムした用紙Pxの位置が所定領域であるか否かを判定する(ステップ201)。
【0070】
所定領域とは、例えば、搬送路53におけるレジストローラ54から排紙口56までの領域、および反転用の搬送路70の全領域である。これらの領域は、屈曲路が多かったり多数のローラを有するので、ジャムした用紙が比較的大きな損傷を受け易い領域である。
【0071】
用紙Pxのジャムの位置が所定領域である場合(ステップ201のYES)、CPU80は、図7の第3案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示する(ステップ108)。
【0072】
第3案内画面の『YES』キー12jがタッチ操作された場合(ステップ109のYES)、CPU80は、ジャムした用紙Pxの枚数“1”を計数に含める(ステップ110)。続いて、CPU80は、計数値が設定枚数“10”に達しているか否かを判定する(ステップ111)。計数値が設定枚数に達していない場合(ステップ111のNO)、CPU80は、次の用紙Pxの給紙を再開する(ステップ102)。
【0073】
用紙Pxのジャムの位置が所定領域でない場合(ステップ201のNO)、CPU80は、図10に示す第5案内画面をコントロールパネル11の液晶表示部12で表示するとともに(ステップ202)、ジャムした用紙Pxの枚数“1”を計数に含めない(ステップ203)。
【0074】
第5案内画面は、ジャムの解除を報知するための『ジャム解除』という案内文字12e、取り除いた用紙に再使用の可能性がある旨を報知するための『取り除いた用紙は再セットして使用できます』という案内文字12qを含む。
【0075】
ユーザは、第5案内画面を見ることにより、取り除いた用紙Pxに再使用の可能性があることを知り、取り除いた用紙Pxを確認して大きな損傷がなければ、その用紙Pxを最上段の給紙カセット50に再セットする。この再セット後、ユーザは、コントロールパネル11のスタートキー14を押圧操作する。
【0076】
スタートキー14が押圧操作にされたとき(ステップ204のYES)、CPU80は、計数値が設定枚数“10”に達しているか否かを判定する(ステップ111)。計数値が設定枚数に達していない場合(ステップ111のNO)、CPU80は、次の用紙Pxの給紙を再開する(ステップ102)。
【0077】
このように、ジャムした用紙Pxの損傷が大きいかどうかをジャムの位置から判断し、損傷がそれほど大きくない状況では、ジャムした用紙Pxを計数に含めることなく、しかも再セットさせることで、まだまだ再使用できる用紙Pxを有効に活用することができる。この再使用の促進は、省資源化に大きく貢献できる。
【0078】
[3]変形例
画像形成済みの用紙Pxを最上段の給紙カセット50にセットして給紙する場合を例に説明したが、そのセット位置および給紙位置については、最上段の給紙カセット50に限らず、下段の給紙カセット50や手差しトレイ74でもよい。
【0079】
ジャムした用紙Pxを計数に含めるか否かをジャム解除後の第2案内画面においてユーザに指定させる構成としたが、ジャムした用紙Pxを計数に含めるモードと含めないモードのいずれかを本体1に初期設定しておくことも可能である。
【0080】
コントロールパネル11の液晶表示部12で表示する案内文字や画像パターンの内容については、案内文字12a,12b…や画像パターン12dに限らず、種々変形が可能である。本体1を設置する地域の文化や言語などに応じて、案内文字や画像パターンの内容を適宜に選定すればよい。
【0081】
その他、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…本体、2…原稿台、10…CCD、11…露光ユニット、21,22,23,24…感光体ドラム、21d…現像ユニット、30…転写ベルト、41,42,43,44…1次転写ローラ、50…給紙カセット、54…レジストローラ、55…排紙ローラ、60…定着ユニット、61…ヒートローラ、80…CPU、84…スキャニングユニット、85…画像処理ユニット、86…プロセスユニット
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
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図10