(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のデータパケットは、マルチキャスト伝送で前記第1のデータパケットを送信することにより、前記第2のモバイルステーションに転送される、請求項1又は2に記載のモバイルステーション。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明を使用可能な一般的なネットワークアーキテクチャの概略図である。参考文献1,2(出願人が本願と共通する特許出願であるが、本出願の出願日に未公開であるため、参考文献1,2の内容の重要な部分はここで繰り返している)は、モバイルステーションMSが、アドホックな無線LANネットワークWNを確立し、1または2以上のクライアント端末CTとインターネットホストHOとの間の信号伝達経路を提供するための単一のゲートウェイとして動作する技術を開示している。伝達経路は、アクセスネットワークAN1およびデータネットワークDNを介して、ホストHOまでのびている。それぞれが個別のインターネットホストと通信する1または2以上のクライアント端末CT間でスケーラブルゲートウェイを確立する動作が可能なモバイルステーションMSを提供することが本発明の目的である。
【0009】
ここで、ゲートウェイとは、一方の1または2以上の無線LANクライアント端末と、他方の1または2以上のモバイルアクセスネットワークとの間のインターフェースポイントを意味する。スケーラブルゲートウェイとは、クライアント端末とホストとの間の同一のインターネット接続に属するデータパケットが多重化(結合)され、同時並行伝達経路の終端で逆多重化(分離)されるよう、1または2以上のモバイルアクセスネットワーク上の、ダイナミックに変化する数の同時並行伝達経路を提供可能なゲートウェイ配置を意味する。
【0010】
本発明によると、スケーラブルゲートウェイは、マスタモバイルステーションMS1により確立され、管理される。マスタモバイルステーションMS1により確立されたスケーラブルゲートウェイは、その後、0またはそれ以上のスレーブモバイルステーションMS2により結合され、サポートされ得る。モバイルステーションMS2が存在するとき、モバイルステーションMS2はマスタモバイルステーションMS1により確立された無線LANネットワークWNを結合し、複数の無線インターフェース経路を提供することによりその動作をサポートし得る。これにより、バンド幅が向上する。スレーブモバイルステーションMS2は、対応するバンド幅の減少以外のいかなる不都合を引き起こすことなく、ゲートウェイから分離し得る。「0またはそれ以上のスレーブモバイルステーション」という表現は、マスタモバイルステーションMS1はそれ自身でもゲートウェイ動作を提供できるが、1または2以上のスレーブモバイルステーションMS2により向上したバンド幅が提供され得ることを意味する。
【0011】
マスタおよびスレーブモバイルステーションM1,M2は、ハードウェアおよびソフトウェアとしては同一でもよく、本発明に係るスケーラブルゲートウェイアプリケーションが実行される任意のモバイルステーションは、まず、アドホック無線LANネットワークが既に別のモバイルステーションにより確立されているかどうか、確認する。例えば、本発明に係るゲートウェイ機能を提供する無線LANネットワークは、無線LAN SSID識別子に基づいて検出され得る。モバイルステーションが既に確立された無線LANネットワークを検出すると、そのモバイルステーションはスレーブモバイルステーションの役割を担う。既に確立されたアドホック無線LANネットワークが検出されないと、本発明に係るモバイルステーションは、自ら無線LANネットワークを確立し、その無線LANネットワークのためのマスタモバイルステーションの役割を担う。明確化のために、
図1は1つのスレーブモバイルステーションMS2のみを示しているが、本発明はいかなるモバイルステーションの数にも限定されない。
【0012】
マスタモバイルステーションMS1およびスレーブモバイルステーションMS2が、異なる基地局BS1,BS2・・・と結合されるよう、本発明が実現されるのが理想的である。複数の異なる基地局を介した動作により、モバイルステーションと基地局との間の携帯無線インターフェースがボトルネックを構成しないことを保証するのに役立つ。例えば、このような異なる基地局との結合は、種々のモバイルステーションMS1,MS2を異なるアクセスネットワークオペレータのSIM(加入者識別モジュール)カードに提供することにより保証できる。アクセスネットワークAN1,AN2は、典型的には、インターネットのようなデータネットワークDNと接続するためのゲートウェイGPRSサポートノードGGSN1,GGSN2を有する。
【0013】
クライアント端末CTとホストHOとの間で伝送される異なるパケットは、複数の基地局BS1,BS2およびアクセスネットワークAN1,AN2を介して伝播し得るため、パケットルーティングの規則および方式を定義する必要がある。例えば、複数の基地局およびアクセスネットワークを介して伝送されるパケットは、クライアント端末CTに送信されるか、モバイルステーションMS1,MS2に送信されるか、を決定しなければならない。現在、無線LANクライアントソフトウェアが提供される市販のモバイルステーションがあり、パケットルーティングを実現する1つの方法は、伝送するクライアント端末が、パケットを1番目に使用可能なモバイルステーションに送信し、次のパケットを次に使用可能なモバイルステーションに送信し、というように、クライアント端末CT内でルーティングを行うことである。このルーティング方式の利点は、モバイルステーション間でのパケット転送をなくすことができることである。一方、クライアント端末内でパケットルーティングを実現するためには、クライアント端末内のプロトコルスタックを修正する必要がある。そのため、本発明は、複数のモバイルステーションMS1,MS2を介するパケットルーティングをモバイルステーション内で行う、という考えに基づいている。モバイルステーション内でパケットルーティングを行うことにより、スケーラブルゲートウェイはクライアント端末からはほぼ完全に見えず(transparent)、クライアント端末から見ると、本発明による唯一の変化はバンド幅向上である、という利点が提供される。
【0014】
しかしながら、パケットルーティングをモバイルステーション内で行うことは、決してささいなことではないことは、言及に値する。このことは、モバイルステーションは個々のパケットを互いに送信しなければならないか、送信すべきであることを意味する。しかしながら、現在使用可能なスマートテレフォンの大部分は、Symbian60または80プラットフォームに基づいており、現在のSymbian60または80プラットフォームの実現はそれをサポートしていない。言い換えると、Symbian60または80プラットフォームに基づくモバイルステーションは、無線LANネットワーク上で、個々のパケットを互いに送信することができない。この制限は、クライアント端末CT内でパケットルーティングを実行することにより克服され得るが、上述したように、この要求はプロトコルスタックの修正を必要とする。しかしながら、本発明者は、必ずしもパケットを次から次へと(point to point)伝送する必要はなく、マルチキャスト伝送でパケットを送信することによりSymbian60または80の制限を克服できることを見出した。この点は
図7および
図8に関連して、より詳細に説明する。
【0015】
図1は大部分の要素のただ1つの例が示された場面における、簡略化されたネットワークアーキテクチャを示している。実際には、それぞれが1つのマスタモバイルステーションMS1と数が変化するスレーブモバイル端末MS2とを有する、いくつかのアドホック無線LANネットワークWNがある。それぞれのアドホック無線LANネットワークWNは数が変化するクライアント端末CTをサポートし、クライアント端末CTのそれぞれは種々のインターネットホストHOとの複数のインターネット接続を有し得る。このことは、いくつかのネットワーク要素の中で、多対多のマッピングがあることを意味する。本発明は、その動作が接続端、つまり、クライアント端末およびホストからは見えず、いかなる多重化および逆多重化動作(拡張性により必要とされる)は、マスタモバイルステーションMS1およびシェアマシンコンピュータSMと呼ばれる多重化/逆多重化コンピュータにより実行されるよう、実現される。スーパヘッドコンピュータの主要なタスクは、使用可能なシェアマシンコンピュータSMの経路を保持することである。
【0016】
データセキュリティおよびシステム全体のロバスト性を向上するために、種々の測定が行われ得る。例えば、仮想プライベート接続(virtual private network:VPN)技術は、クライアント端末CTとインターネットホストHOとの間を接続するいくつかの脚(legs)として役立ち得る。一実施形態では、VPNは、モバイルステーションMS1,MS2とシェアマシンコンピュータSMとの間で接続セクションごとに、確立される。この実施形態では、クライアント端末CTおよびインターネットホストHOはVPNを確立する必要がなく、向上したバンド幅を除き、本発明はこれらからは見えない。システムのロバスト性は、シェアマシンSMおよびスーパヘッドコンピュータSHを分散して実装することにより、向上し得る。この点は
図9と関連して、より詳細に説明する。
【0017】
図2は、スケーラブル無線LANゲートウェイに使用するために構成されるモバイルステーションを示す。モバイルステーションの説明は、どのようにして、モバイルステーションが単一の(スケーラブルでない)ゲートウェイとして動作できるかを説明することから始まる。そのようなゲートウェイ動作は参考文献1,2に説明されている(出願人が本出願と共通する未公開特許出願)。
【0018】
単一の(スケーラブルでない)ゲートウェイとして動作するために、モバイルステーションMSは中央演算ユニットCP205およびメモリ210を有する。さらに、モバイルステーションMSは、モバイルステーションのユーザインターフェースを構成する外部の入出力回路215を備えるか利用し、かつ入力回路120および出力回路125を備えている。入力回路220は、モバイルステーションのマイクと、キーボードおよび/またはタッチスクリーンのようなユーザ入力装置とを有する。出力回路225は、モバイルステーションのディスプレイと、イヤフォンまたは拡声器とを有する。モバイルステーションMSは、さらに、送信回路235、受信回路240およびアンテナ245を有する受信/送信回路230を備えている。加入者識別モジュールSIM(Subscription Identity Module)250は認証機能部260により使用され、モバイルステーションユーザを認証し、アクセスネットワークに対するユーザの加入を識別する。モバイルステーションは無線LAN(Wireless Local Area Network)回路255も備えている。無線LAN回路255の通常使用モードは無線LAN基地局(不図示)に対する無線LANクライアントとして動作することである。
【0019】
インストール可能なプログラムモジュールをサポートするために、モバイルステーションのメモリMEM210は、インストール可能なプログラムモジュールをダウンロードして、そのインストール可能なプログラムモジュールを、中央演算ユニットCPにより実行するためにメモリMEMモジュールに記憶するルーチンを備え得る。
図1は、モバイルステーションが、データネットワークDN、アクセスネットワークAN、アンテナ245および受信回路240を介して、リポジトリ(repository)RPからインストール可能なプログラムモジュールをダウンロードするように構成される配置を示している。他の配置、例えば、データネットワークDNを介してインストール可能なプログラムモジュールをパーソナルコンピュータPCにダウンロードし、パーソナルコンピュータPCからインストール可能なプログラムモジュールを無線LAN回路255を介して、または、ブルートゥースあるいはUSB(不図示)等の他の近距離接続を介して、モバイルステーションに転送することも同様に可能である。アクセスネットワークANは、典型的にはブロードバンド可能なモバイル通信ネットワークであり、データネットワークDNは典型的にはインターネットまたはインターネットプロトコル(IP)を実装する閉じたサブネットワークであり、通常はイントラネットまたはエクストラネットと呼ばれる。一般的なこのレベルにおいて、既に説明した
図1の全ての要素は、関連する技術で使用されている従来のものでもよい。1または2以上の外部ホストはアクセスネットワークANおよびデータネットワークDNを介してアクセス可能であり、以下で詳細に説明する。最後に、参照番号280は、パラメータおよび変数を記憶するために用いられるメモリ210のエリアを示す。
【0020】
上述した
図1の記載は、技術用語上は適用可能なモバイルステーションを述べたものである。このようなモバイルステーションは商用で利用可能である。例えば、WALNおよびブロードバンド通信をサポートするのであれば、本発明の優先日には、Symbian S60またはS80プラットフォームに基づくモバイルステーションが使用可能である。従来のモバイルステーションとの違いは、モバイルステーションが、工場出荷時にインストールされたソフトウェアアプリケーションまたはダウンロード可能なアプリケーションとして、本発明に係るゲートウェイアプリケーション270を備える、という事実に見出すことができる。クライアント端末CTはノートパソコンまたはスマートテレフォンに似ているが、当業者であれば、適用可能な装置の種類の代表的なサンプルを名付けただけであり、本発明に係るゲートウェイアプリケーション270を備えるモバイルステーションMSは、実際には、携帯情報端末(personal digital assistants)、家庭用エンターテインメント機器、デジタルカメラなど、無線LANクライアントとして動作することができるいかなるクライアント端末もサポートすることを理解できるであろう。
【0021】
ゲートウェイアプリケーション270内で、参照符号272は、1つの無線インターフェースを1またはいくつかのクライアント端末に提供する、スケーラブルでないゲートウェイとしてモバイルステーションを動作させるために用いられる、プログラムで実現される機能を集合的に示す。これらの機能は、
図5と関連して説明されるが、アドホック無線LANネットワークの確立、ビーコンIDの生成、IPアドレスの割当および発見(例えばDHCP)、外部のドメイン名サービスと協働するドメイン名サービス(Domain Name Service、DNS)、マルチプロトコルサポートおよびローミングサポートを含む。マルチプロトコルサポート機能は、送信元および送信先アドレスを解釈するネットワークアドレス&ポートトランスレーション(Network Address & Port Translation:NAPT)ブロックを含み得る。ポート番号の解釈は、同一のアドレスへの種々の接続、または、同一のアドレスからの種々の接続を識別するために用いられ得る。詳細な変換例は
図8と関連して説明する。
【0022】
参照符号274は、1またはいくつかのクライアント端末への複数の無線インターフェースの供給(provision)を調整する(coordinate)スケーラブルゲートウェイとして、モバイルステーションを動作させるために用いられるプログラムで実現される機能を集合的に示す。これらの機能は、
図6〜
図8と関連して説明されるが、パケットマルチキャスト伝送および無線LANネットワーク内での信号伝達を含むマルチキャスティング機能、マスタモバイルステーションとスレーブモバイルステーションとの間でのパケット送出および信号伝達、および、スーパヘッドおよびシェアマシンコンピュータと通信するための通信機能を含む。
【0023】
図3は、本発明の文脈でシェアマシンコンピュータSMと呼ばれる多重化/逆多重化コンピュータのブロック図を示す。インターネットのようなデータネットワークDNと通信するためのネットワークインターフェース330と同様に、シェアマシンコンピュータは、中央演算ユニットCP305およびメモリ310を有する。さらに、シェアマシンコンピュータSMは、シェアマシンコンピュータのユーザインターフェースを構成する外部の入出力回路315を備えるか利用し、かつ入力回路320および出力回路325を備えている。
【0024】
ユーザインターフェースの本質は、シェアマシンコンピュータSMを実現するために、どの種類のコンピュータを用いるか、に依存する。もしシェアマシンコンピュータが専用のコンピュータであれば、キーボードおよびディスプレイのような局所的なユーザインターフェースは不要かもしれず、ユーザインターフェースはリモートインターフェースでもよい。ここで、シェアマシンコンピュータは、例えばインターネット上のウェブブラウザから遠隔で管理される。一方、本発明によれば、より多くの数のクライアント端末の中から1または数個のアクセスネットワーク加入を共有できるため、アクセスネットワークのオペレータには、概して本発明に対して、特にシェアマシンコンピュータに対して、敵対的な態度を示し得ることが予期される。そこで、いくらかのネットワークオペレータは、シェアマシンコンピュータの動作を阻止しようと試みるかもしれない。本発明のロバスト性を向上するために、比較的多数の潜在的なシェアマシンコンピュータが必要とされ得る。従来のホームコンピュータが潜在的なシェアマシンコンピュータの主要な例である。本発明の目的のためには、適切なコンピュータ(ハードウェアワイズな)を本発明に係るシェアマシンコンピュータにするソフトウェアアプリケーションを開始するために、ユーザインターフェースが主に必要であるが、この場合、ユーザインターフェースは、ディスプレイ、キーボードおよびポインティングデバイスを含む局所的なインターフェースであるべきである。さらに、ユーザインターフェースはトラフィック統計を取得するためにも用いられうる。参照符号380は、パラメータおよび変数を記憶するために用いられるメモリ310のエリアを示す。
【0025】
シェアマシンコンピュータのソフトウェアアプリケーション370は、プロセッサに以下の機能の実行を指示するプログラムコードを有する。信号伝達機能は、シェアマシンコンピュータが、ゲートウェイモバイルステーションのような加入要素(participating elements)を発見することを許可する。スーパヘッド通信機能は、スーパヘッドコンピュータ(例えば、HTTPS上のXML)との通信を可能にする。オプションの配置/報告機能は、ユーザインターフェースを介して、シェアマシンコンピュータの配置およびトラフィック統計の報告を可能にする。ユーザインターフェースは局所的なユーザインターフェースでもよいし、リモートユーザインターフェースでもよい。パケット管理機能は、NAT/NAPT(ネットワークアドレス(およびポート)解釈(Network Address (and Port) Translation)動作と同様に、パケットのパッキング/逆パッキングおよび多重化/逆多重化を行う。DNS機能は、シェアマシンコンピュータが予め存在するインターネットベースのDNSサーバとともに、DNS動作に参加することを許可する。
【0026】
図4は、サービス調整サーバのブロック図である。サービス調整サーバは、口語的にはスーパヘッドコンピュータと呼ばれ、参照符号SHで示される。スーパヘッドコンピュータの目的は、シェアマシンコンピュータSMのサービスを調整することである。参照符号305〜330で示されるハードウェアブロックの機能説明については、スーパヘッドコンピュータSHは
図3に示されるシェアマシンコンピュータSMと類似であり得るため、ハードウェア要素の説明は繰り返さない。スーパヘッドコンピュータSHに本発明に係る以下の機能を実行させるのは、スーパヘッドソフトウェアアプリケーション370である。
【0027】
シェアマシン通信機能により、シェアマシンコンピュータ(例えば、HTTPS上のXML)と通信できる。シェアマシン管理機能により、シェアマシンコンピュータの経過を追うことができ、種々の動作パラメータおよびIPアドレスに応じて、シェアマシンコンピュータの優先順位付けができる。種々の動作パラメータおよびIPアドレスはゲートウェイモバイルステーションに伝達される。オプションの配置/報告機能は、ユーザインターフェースを介して、スーパヘッドコンピュータの配置およびトラフィック統計の報告を可能にする。ユーザインターフェースは局所的なユーザインターフェースでもよいし、リモートユーザインターフェースでもよい。
【0028】
図5は、無線LANクライアント端末、ゲートウェイとして校正されるモバイルステーション、DNSサーバおよびインターネットホストを有する、シナリオで確立されたゲートウェイを説明する信号伝達ダイアグラムである。
図5は、クライアント端末CTおよび本発明に係るゲートウェイアプリケーションをサポートするモバイルステーションを含む、説明用のシナリオを示す。ステップ5−0において、本発明に係るゲートウェイアプリケーションはモバイルステーション内で実行される。典型的には、モバイルステーションのユーザインターフェースを介したユーザの指示に応答して、ゲートウェイアプリケーションの実行は開始される。典型的な実施形態においては、モバイルステーションは、「アプリケーション(Applications)」に対するユーザインターフェースナビゲーション指示を受信し、この「アプリケーション(Applications)」から、本発明に係るゲートウェイアプリケーションが実行のために選択される。本発明に係るゲートウェイアプリケーションに制御され、モバイルステーションのプロセッサにより行われる動作のうちの1つは、モバイルステーションの無線LAN回路が動作可能なことを保障することである。ステップ5−0および対応する無効ステップ5−40の意義は、モバイルステーションは、ユーザが指定する時間、無線ブロードバンドゲートウェイアプリケーションのためだけに予約(reserve)され、他の時間は、モバイルステーションはユーザにより要求されるいかなるタスクも実行できることにある。
【0029】
ステップ5−2において、ゲートウェイアプリケーションは、(無線LANクライアントしてのモバイルステーションのより汎用的な使用とは異なり)、無線LAN基地局として動作することにより、モバイルステーションの周囲にアドホックな無線LANネットワークを用意するよう、モバイルステーションのプロセッサに指示する。ステップ5−4において、ゲートウェイアプリケーションは、ビーコンIDメッセージのブロードキャストを開始するよう、モバイルステーションに指示する。これは、典型的には、IEEE802.11x標準で定義されるように、IBSSIDメッセージである。ステップ5−4は1本の矢印として描かれているが、実際は、ビーコンIDメッセージのブロードキャストは、ゲートウェイアプリケーションの実行が終了するステップ5−40まで繰り返されるべきである。
【0030】
ステップ5−6において、クライアント端末CTは利用可能な無線LANネットワークを探し、ブロードキャストされているビーコンIDを検出するとともに、モバイルステーションMSにより生成された無線LANネットワークを選択する。ステップ5−8において、従来の無線LAN付随手続きの一部として、クライアント端末PCはモバイルステーションの無線LAN基地局からIPアドレスを要求し、ステップ5−10において、モバイルステーションの無線LAN基地局は要求されたIPアドレスを返す。典型的には、ステップ5−8および5−10では、ダイナミックホスト構成プロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol,DHCP)が使用される。
【0031】
ここで、クライアント端末CTが、インターネットホスト(
図1の符号190)からウェブページの読出しを試みたとする。ステップ5−12において、クライアント端末CTは、ホストのウェブページのIPアドレスのためのドメイン名サービス(DNS)クエリを、モバイルステーションのゲートウェイアプリケーションのDNSサーバに送信する。ステップ5−14において、モバイルステーションのゲートウェイアプリケーションはDNSクエリをインターネットのドメイン名サービスに転送し、ステップ5−16において、ホストのIPアドレスを取得する。ステップ5−18において、モバイルステーションのゲートウェイアプリケーションはホストのIPアドレスをクライアント端末CTに返す。
【0032】
ステップ5−20において、クライアント端末CTは、ホストのIPアドレスからウェブページを要求する。典型的には、この目的で、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol、HTTP)が使用される。クライアント端末CTと任意のインターネットホストとの間の通信と同様に、この要求は、モバイルステーションで実行されている、本発明に係るゲートウェイアプリケーションを介して行われる。
【0033】
ステップ5−22は任意のステップであり、いくつかの実施形態では省略可能である。ステップ5−22が実行されるとき、ステップ5−22は、最初のHTTPページ要求の出力先を、クライアント端末PCからHost’と呼ばれる別のインターネットホストへリダイレクトすることを含む。このことは、ステップ5−24において、ゲートウェイアプリケーションは、クライアント端末の最初のHTTPページ要求を、Host’のIPアドレスの強制ホームページに強制することを意味する。例えば、サイトHost’の運営者は、アクセスネットワークAN上での通信費用を負担する代わりに、広告を表示してもよい。ステップ5−26において、ウェブサイトHost’は要求されたウェブページを返し、ステップ5−28において、ゲートウェイアプリケーションは要求されたウェブページをクライアント端末PCに中継する。
【0034】
ステップ5−30において、クライアント端末CTは再度ホストのIPアドレスからウェブページを要求する。これは、クライアント端末からの2度目(またはそれ以上)のページ要求であるため、ゲートウェイアプリケーションはもはやHTTP要求をリダイレクトせずに、ステップ5−32において、これをホストに中継する。ステップ5−34および5−36において、ホストから要求されたウェブページはクライアント端末に伝送される。矢印50で示すように、その後のウェブページが要求されたとき、この処理はステップ5−36からステップ5−20へ戻ることができる。5−30から5−36へのループは、ステップ5−40においてゲートウェイアプリケーションが終了するまで、繰り返され得る。強制ホームページの特徴(ステップ5−22)が実行されない場合、最初のHTTP要求(ステップ5−20)はその後のHTTP要求(ステップ5−30)と同様に処理される。その後のステップ5−30の実行において、HTTPページ要求が、ゲートウェイアプリケーションがIPアドレスを持たないウェブページと関連している場合、DSNクエリが行われる(ステップ5−14および5−16を参照)。
【0035】
図5には、CT’で表される追加のクライアント端末も示している。ステップ5−6から5−36は、各追加のクライアント端末のために繰り返される。このことは、モバイルステーションMSに(無線LANクライアントとは反対に)無線LAN基地局として動作するよう指示する、本発明に係るゲートウェイアプリケーションにより、モバイルステーションMSは無線LANクライアント端末として動作するとともに、モバイルステーションにより行われる認証のため、アクセスネットワークへの単一の加入を共有可能な任意の数のクライアント端末をサポートできることを意味する。
【0036】
図5および上述の
図5の説明は、HTTPプロトコルの使用を説明する。本発明に係るゲートウェイアプリケーションは、類似した手法で他のプロトコルをサポートし、特定のポート番号を各サポートされるプロトコルに割り当てる。例えば、ゲートウェイアプリケーションは、暗号化されたHTTPSトラフィックをHTTPSプロトコルのプロキシコンフィグレーション領域を用いて伝送するよう、モバイルステーションに指示できる。
【0037】
図6は、無線LANクライアント端末、マスタゲートウェイおよびスレーブゲートウェイを含むIPアドレスの発見およびDHCP動作を説明する信号伝達図であり、DHCP動作は、無線LANクライアント端末、マスタモバイルステーションMS1およびスレーブモバイルステーションMS2を含む。モバイルステーションMS1,MS2の両方は、機能272,274を含む本発明に係るゲートウェイアプリケーション270(
図2を参照)を実行する。典型的な実施形態では、モバイルステーションMS1,MS2およびこれらのゲートウェイアプリケーションは同一である。
図1および
図5と関連して説明したように、初めにアドホック無線LANネットワークを確立するモバイルステーションは、マスタモバイルステーションMS1となり、その後に無線LANネットワークに参加する、いかなるモバイルステーションも、スレーブモバイルステーションの役割を担うであろう。明確化のため、
図6〜
図8は1つのスレーブモバイルステーションMS2のみを示しているが、本発明およびその実施形態は、適切な数のモバイルステーションに拡張できる。簡潔にするために、単語「モバイルステーション」を省略し、マスタモバイルステーションおよびスレーブモバイルステーションをそれぞれ「マスタ」および「スレーブ」と参照する。
【0038】
ステップ6−2で、クライアント端末CTは、DCHP発見()手続において、マスタMS1からIPアドレスを要求する。ステップ6−4で、マスタMS1は要求されたIPアドレスをクライアント端末CTへ送信する。本例では、マスタMS1自身のIPアドレスは192.168.1.1であり、マスタMS1は、次に利用可能なIPアドレスである192.168.1.2をクライアント端末に対して提供する。ステップ6−6で、モバイルステーションMS2は、既にアドホック無線LANネットワークが存在することを検出しており、マスタMS1からIPアドレスを要求する。ここに示す例では、ステップ6−8で、マスタMS1はスレーブMS2にIPアドレス192.168.2.1を提供する。本例では、このIPアドレスは、マスタ自身のIPアドレスから、3番目のバイトを次に利用可能な数に設定することにより、得られる。言い換えると、スレーブモバイルステーションMS2はそれ自身のサブネットが割り当てられる。本実施形態は、リソースの利用の最適化に関してある利点をもたらす。例えば、スレーブモバイルステーションMS2はクライアント端末のいくつかに対して無線LANゲートウェイとして動作し得るため、全てのトラフィックをマスタモバイルステーションMS1を介して送信する必要がない。
【0039】
アドホックネットワークは、スレーブモバイルステーションがいつネットワークを離れるのかを示さないので、典型的な環境では、IPアドレスリース期間はそれほど長くなってはならないことに注意すべきである。モバイルステーションがネットワークを離れた後、ゲートウェイおよびサブネットアドレスはすぐに更新されるべきである。典型的な環境では、モバイルステーションはゲートウェイサービスに専念しておらず、IPリース期間は数分をこえないのが好ましい。
【0040】
図7は、マスタモバイルステーション/ゲートウェイMS1、スレーブモバイルステーション/ゲートウェイMS2およびシェアマシンコンピュータSMを介して、無線LANクライアント端末CTからインターネットホストへのデータパケットの流れを説明する信号伝達図である。初期状態7−0では、上述の
図5および
図6と関連して説明したように、アドホック無線LANネットワーク(
図1Aの項目WN)が確立され、DHCP発見手続が行われている。
【0041】
ここで説明する実施形態では、アドホック無線LANネットワークは、マスタゲートウェイモバイルステーションMS1と、スレーブゲートウェイモバイルステーションMS2とを有するが、クライアント端末CTはマスタMS1とのみ通信する。
【0042】
ステップ7−2および7−4で、クライアント端末CTは、2つのIPパケットIP1,IP2をマスタMS1へ送信する。IPパケットの最終的な送信先はインターネットホストHOである。このようにして、マスタMS1は、クライアント端末のインターネットへの唯一のアクセスポイントとして、動作する。ステップ7−6で、マスタMS1は、第1のIPパケットIP1をUDPパケットとして、シェアマシンコンピュータSMに送信する。明確化のために、間に存在するアクセスネットワークは省略されているが、
図1Aには示されている。ステップ7−8で、マスタMS1は第2のIPパケットIP2をUDPパケットとしてマルチキャストし、スレーブMS2はマルチキャスト伝送を受信する。ステップ7−10で、スレーブMS2は第2のIPパケットIP2をUDPパケットとしてシェアマシンコンピュータSMに送信する。ステップ7−12および7−14で、シェアマシンコンピュータSMはIPパケットIP1,IP2をホストに送信する。本例では、UDPパケットは効率化の目的で使用された。
【0043】
もし、よりよりロバスト性が要求され、ある程度効率を犠牲にできる場合は、代わりにTCPプロトコルが使用されてもよい。
【0044】
図7および
図8の目的のためには、マスタゲートウェイモバイルステーションMS1はどうにかしてシェアマシンコンピュータSMのアドレスを知るか取得すれば十分である。例えば、単純な実施形態では、マスタMS1またはそのユーザは、利用可能なシェアマシンコンピュータのアドレスを発見するために、インターネットサーチエンジンを用い得る。スーパヘッドコンピュータからシェアマシンコンピュータのアドレスを取得するための改善された手続を、
図9と関連して説明する。
【0045】
2点間の伝送でマルチキャストを用いる理由は、モバイルステーションが備えられた現在の無線LANの多くがSymbianS60またはS80プラットフォームに基づいているが、SymbianS60またはS80プラットフォームは、個々のパケットごとに、メディアアクセス制御(Media Access Control(MAC))またはデバイスハードウェアレイヤにアクセスするアプリケーションプログラミングインターフェース(Application Programming Interface(API))機能を提供しないためである。無線LANネットワークにおいてマルチキャスト伝送を用いることにより、この問題を解決する次善策が提供される。
【0046】
特有な一実施形態では、スレーブモバイルステーション/ゲートウェイが各パケットの送信先を確認するために逆パックする必要がないよう、フラグを第1の(マスタ)モバイルステーション/ゲートウェイに設定することにより、マルチタスクに起因するオーバヘッドは軽減される。マルチタスク動作は、モバイルアクセスネットワークにおいてパケットのロスは確かな欠点であるという事実も補う。複数の選択的なルートを介したマルチキャスト伝送の結果、少なくとも1つのパケット送信が成功する可能性が高まる。さらに、マルチタスク動作はアドホック無線LANネットワークのロバスト性を向上する。無線LANネットワークからスレーブモバイルステーション/ゲートウェイの1つが消えても、パケットは残り得る。
【0047】
図7に示すシナリオでは、マスタMS1は第1のIPパケットIP1をシェアマシンコンピュータSMに直接送信するが、第2のIPパケットIP2はスレーブMS2を介して送信される。ゲートウェイMS1,MS2とアクセスネットワークAN1,AN2(
図1Aを参照)との負荷バランスを達成するために、次のIPパケット(不図示)は再び直接送信される。
【0048】
いくつかのパケットをスレーブを介して送信すること、および/または、アクセスネットワークにおける変化する遅延により生じるオーバヘッドの結果、シェアマシンコンピュータSMはいくつかのパケットを順序から外れて受信し、パケットIPn+1の後にパケットIPnが受信される可能性がある。そのため、シェアマシンコンピュータSMは、正しい順序でホストに転送するのに必要な全てのパケットを受信するまで、順序を外れてくるパケットをバッファできるべきである。シェアマシンコンピュータSMは、予め定めた期間内にあるパケットが受信されなかった場合にアラームを発するプロトコル監視タイマを用い得る。この場合、シェアマシンコンピュータSMは、最後に正しく受信されたパケットから始まるパケットの再送信を要求し得る。
【0049】
ステップ7−16〜7−28で、2つのインターネットパケットIP3,IP4は、シェアマシンコンピュータSMおよびゲートウェイMS1,MS2を介して、ホストからクライアント端末CTへ送信される。上記に基づき、ホストからクライアント端末CTへのパケット送信についての、逆方向の説明は、大部分は自身で説明がつくため、詳細な説明は省略する。この場合、スレーブMS2はマルチキャスト伝送上でパケットIP4をマスタMS1へ送信しなければならず、必要に応じて伝送を要求することにより、パケットを正しい順序に集めることはマスタMS1の役割である。
【0050】
本実施形態によると、本発明に係るスケーラブルゲートウェイの動作はクライアント端末CTおよびホストからは完全に見えないため、クライアント端末CTおよびホストは何らの修正は不要で、伝送スピードの向上のみを検出する、という利益が提供される。
【0051】
図8は、マスタゲートウェイモバイルステーションMS1、スレーブゲートウェイモバイルステーションMS2およびシェアマシンコンピュータSMを介して、無線LANクライアント端末CTからインターネットホストHOへのデータパケットの流れを説明するより詳細な信号伝達図である。本実施形態では、シェアマシンコンピュータはネットワークアドレス解釈ブロックを有する。ネットワークアドレス解釈ブロックは、対応する逆の解釈と同様に、ポート解釈も可能である。本文脈では、このブロックはネットワークアドレス&ポート解釈ブロック(Network Address & Port Translation、NAPT)と呼ばれる。NAPTブロックはIPアドレスを変更するため、実際には、シェアマシンコンピュータSMの不可欠な機能ブロックであり得る、そして、典型的には不可欠な機能ブロックであるにも関わらず、NAPTブロックは異なるネットワーク要素として示されている。NAPTブロックは、送信元および送信先アドレスを識別し、アドレスに基づいてパケットを分離するために、パケットのポート番号を用い得る。
【0052】
図8の上部付近に示すように、ネットワーク要素CT,MT1,MT2,SMおよびHOに割り当てられた最初のIPアドレスは、各ネットワーク要素の参照符号の後の添え字“IP”により示される。例えば、CT IPはクライアント端末CTに割り当てられたIPアドレスである。マスタおよびスレーブゲートウェイモバイルステーションMS1,MS2はそれぞれ、第2のIPアドレスも用いる。これらは添え字“IP”の後のプライムにより示される。例えば、MS1 IP’はマスタゲートウェイモバイルステーションMS1に割り当てられた第2のIPアドレスである。モバイルステーションの第2のIPアドレスは、モバイルステーションMS1,MS2とシェアマシンコンピュータSMとの通信に用いられる。代表的な一実施形態において、モバイルステーションの第1のIPアドレスMS1 IP,MS2 IPは、マスタモバイルステーションMS1のサブネットワークから割り当てられるのに対し、第2のIPアドレスMS1 IP’,MS2 IP’はモバイルステーションの各アクセスネットワークオペレータにより割り当てられるパブリックIPアドレスである。
【0053】
初期状態8−0で、アドホック無線LANネットワークが確立され、DHCP手続が行われている。
図8の残りのステップは、4つの主なフェーズを構成する。4つの主なフェーズとは、第1のパケット1Uと第2のパケット2Uとをクライアント端末CTからホストHO(アップリンク送信と呼ばれる)へ伝送すること、および、第1のパケット1Dと第2のパケット2DとをホストHOからクライアント端末CTへ伝送すること、である。
図8に示す、メッセージのアドレス設定の詳細および動作は、表1にまとめられている。
【0054】
ステップ8−11〜8−17はクライアント端末CTからホストHOへの第1のアップリンクパケット1Uの伝送に関する。ステップ8−11で、クライアント端末CTはパケット1UをマスタモバイルステーションMS1へ送信する。表1に示すように、パケット1Uは、マスタモバイルステーションMS1により確立された無線LANネットワーク上のイーサネットパケットである。パケット1Uの送信元および送信先アドレスは、マスタモバイルステーションMS1のMACアドレスである。パケットのペイロードはIPデータを含み、クライアント端末により伝送される。表1は、ステップ8−11のための第2の列を含み、イーサネットパケット内に入れられたIPパケットがあることを意味する。IPパケットの送信元および送信先アドレスはそれぞれ、クライアント端末CTおよびホストHOのIPアドレスである。ステップ8−12はオプションのヘッダパッキングステップであり、その目的は、無線インターフェースバンド幅の使用を最適化することである。
図8に示すシナリオでは、マスタモバイルステーションMS1は、直接シェアマシンコンピュータSMに第1のパケット1Uを送信するのではなく、スレーブモバイルステーションMS2を介して送信する。したがって、ステップ8−13は、パケット1Uをマルチキャスト伝送として送信することを有し、このことは、UDPパケットに入れられたイーサネットパケットをMS1のMACアドレスから送信することを必要とする。表1に示すように、UDPパケットは順に実際のIPパケットを含む。ステップ8−14で、スレーブモバイルステーションMS2は、マルチキャスト伝送を受信すると、UDPパケットをシェアマシンコンピュータSMのIPアドレスへ送信する。ヘッダ逆パッキンステップ8−15は、ヘッダパッキングステップ8−12の効果を逆に元に戻す。ステップ8−16で、シェアマシンコンピュータSMのNAPTブロックはパケット1Uのネットワークアドレス解釈を行う。ネットワークアドレス解釈の後、ステップ8−17で、シェアマシンコンピュータSMは第1のアップリンクパケット1UをホストHOへ送信する。
【0055】
ステップ8−21〜8−27はクライアント端末CTからホストHOへの第2のアップリンクパケット2Uの伝送に関する。第2のアップリンクパケット2Uの伝送は、パケット2UがマスタモバイルステーションMS1からシェアマシンコンピュータSMへ直接送信される点で、第1のアップリンクパケット1Uの送信よりシンプルであり、無線LAN上のマルチキャスト伝送は省略される。クライアント端末CTおよびホストHOで始まるパケット、または、終了するパケットの伝送は、パケットがスレーブモバイルステーションMS2を介して伝達されるか否かに関わらず、似ている。このことは、伝送はクライアント端末CTおよびホストHOからは見えず、クライアント端末CTおよびホストHOは向上した送信バンド幅のみを検出することを意味する。
【0056】
ステップ8−31〜8−37はホストHOからクライアント端末CTへの第1のダウンリンクパケット1Dの伝送に関する。最後に、ステップ8−41〜8−47はホストHOからクライアント端末CTへの第2のダウンリンクパケット2Dの伝送に関する。ダウンリンク伝送はアップリンク伝送に似ており、必要なアドレス指定の詳細は表1に示されているので、種々の伝送の詳細な説明は省略する。本実施形態では、モバイルステーションのパブリック(オペレータが割り当てた)IPアドレスは、シェアマシンコンピュータSMとの通信に用いられるのに対し、プライベートIPアドレス、つまり、マスタモバイルステーションMS1により割り当てられたIPアドレスは、モバイルステーション間での通信に用いられる。
【表1】
【0057】
上の表で、「単一の送信元/送信先ポート」という表記は、シェアマシンコンピュータSMは、ポート番号により、同一のホストHOへの種々の接続を識別し得ることを意味する。例えば、シェアマシンコンピュータSMは、例えばクライアント端末CTからホストHOへの接続を、ポート番号5555により識別し得る。一方、次の接続は、ポート番号5556(または、任意の他の単一の値)により識別されるであろう。ホストHOがパケットをダウンストリームに送信するとき、シェアマシンコンピュータSMは、ダウンストリームパケットがどの接続に属するのかを判定するために、ポート番号を用いることができる。
【0058】
図9は、役に立つ(serving)スーパヘッドおよびシェアマシンコンピュータを発見するために、マスタモバイルステーションが用い得る手続きを開示する。ステップ9−2は、
図1、
図2、
図5および
図6と関連して説明したように、マスタゲートウェイモバイルステーションMS1内のゲートウェイアプリケーションの初期化を有する。ステップ9−4で、マスタMS1はメモリからスーパヘッドコンピュータのリストを読み出す。ゲートウェイアプリケーションのマスタMS1へのインストールは、デフォルトスーパヘッドリストを記憶してもよく、このリストは、ゲートウェイアプリケーションの引き続く実行で更新されるであろう。ステップ9−6で、マスタMS1はリストから第1のスーパヘッドコンピュータを選択する。ステップ9−8で、マスタMS1は、選択されたスーパヘッドコンピュータアドレスへ、問合せを送信する。ステップ9−10は、問合せに対する応答が選択されたスーパヘッドコンピュータアドレスから受信されたか否かについてのテストを含む。テストが成功すると、処理はステップ9−12に進み、マスタMS1は1または2以上の取得されたシェアマシンアドレスの使用を開始する。ステップ9−14で、マスタMS1はスーパヘッドアドレスのリストを記憶する。
【0059】
一方、ステップ9−10のテストが失敗であると、処理はステップ9−16および9−18に進み、リストの次のスーパヘッドアドレスが試される。スーパヘッドアドレスのリストがなくなると、処理はステップ9−20および9−22に進む。ステップ9−20および9−22は、種々のユーザ警告および/またはエラー回復手続を含む。例えば、マスタモバイルステーションMS1またはそのユーザは、インターネットサーチエンジンを用いて、さらにスーパヘッドアドレスを取得する。
【0060】
スーパヘッドコンピュータからマスタMS1への適切な応答は、1または2以上の利用可能なシェアマシンコンピュータのIPアドレスのリスト、好ましくは、更新された利用可能なスーパヘッドコンピュータのリストを含むべきである。代表的であるが非限定的な実施形態では、そのようなリストはXML(eXtendible Markup Language)フォーマットで送信される。利用可能なシェアマシンコンピュータのリストを受信すると、マスタMS1は、コンピュータが自らを潜在的なシェアマシンコンピュータとしてスーパヘッドコンピュータに報告したことを知ることができる。
【0061】
典型的には、各接続は1つのシェアマシンコンピュータにより供給されるが、1つのマスタMS1は1または2以上のクライアント端末からいくつかの接続を供給してもよく、各接続は異なるシェアマシンコンピュータにより供給されてもよい。また、有効なシェアマシンコンピュータが自身を供給から離すか、逆に、接続の供給を止める場合、マスタMS1がいくつかのシェアマシンアドレスのリストを取得し記憶すれば有益である。
【0062】
いくつかの実施形態では、スーパヘッドおよびシェアマシンコンピュータは分散して実現される。このように分散して実現することにより、容量の観点に加え、ある利点をもたらす。例えば、多くの興味があるサービスやサーバは、サービス妨害アタックのようなネットワークの破壊行為(vandalism)や妨害工作(sabotage)により、脅される。さらに、モバイルステーションでアクセスネットワーク加入を用いることは非合法ではないが、本発明に係る、いくつかのクライアント端末の中のアクセスネットワークの分散は、通常より多いアクセスネットワークトラフィックをもたらし得る。そして、ネットワークオペレータはモバイルステーションにおける本発明に係るゲートウェイアプリケーションの動作を妨げたり妨害したりするかもしれない。スーパヘッドおよびシェアマシンコンピュータを分散して実現することにより、このようなハッカーによるネットワークベースの破壊行為やアクセスネットワークオペレータによる妨害行為に対する脆弱さを軽減できる。スーパヘッドおよび/またはシェアマシンコンピュータにダイナミックIPアドレスを用いることにより、ロバスト性をさらに向上し得る。
【0063】
図9に示す好適な手続の実施形態によると、スーパヘッドおよびシェアマシンコンピュータのリストは、スーパヘッドコンピュータに対する問合せを介して定期的に更新される。頻繁にスーパヘッドおよびシェアマシンのアドレスを更新することにより、スーパヘッドおよび/またはシェアマシンコンピュータが従来のホームコンピュータであり、ここで説明した手法で接続を提供するために空き時間が用いられる場合に特に、さらなるロバスト性をもたらす。このようなホームコンピュータがオフされたり、他の目的で使われたりするとき、ホームコンピュータはスーパヘッドおよび/またはシェアマシンコンピュータとしての動作を停止する。したがって、アドレス更新の頻度は、典型的なホームコンピュータの代表的な動作パターンに基づいて決められるべきで、初期値としては10分が適している。マスタモバイルステーションMS1と関連して
図9に示すスーパヘッド発見手続を説明してきたが、対応するスーパヘッド発見手続もシェアマシンコンピュータにより用いられ得る。シェアマシンコンピュータがスーパヘッドコンピュータを発見するとすぐに、発見されたスーパヘッドコンピュータと共にシェアマシンコンピュータが自身を登録する変形例もある。
【0064】
ここで説明したアドレス問合せ手続の変形例では、シェアマシンコンピュータが互いの経過を追うことにより、スーパヘッドおよびシェアマシンコンピュータの機能は結合される。言い換えると、シェアマシンコンピュータはスーパヘッドコンピュータとしても動作する。
【0065】
上述した実施形態は、スケーラブルゲートウェイ機能の供給に関連する。発明の重要な要素の1つは、モバイルステーション内に無線LAN基地局を確立することである。モバイルステーション内に無線LAN基地局を確立することにより、近年のモバイルステーションのよりよい機能のいくつかを利用することが可能になるだろう。
【0066】
クライアント端末PCとインターネットホストとの間でインターネットトラフィックを単に伝送するだけでなく、いくつかの特有な実施形態においては、本発明に係るゲートウェイアプリケーションは、近年のモバイルステーションの機能のいくつかを利用する追加の、あるいは、補助的なサービスをさらに提供できる。いくつかの実施形態では、主サーバにより供給されるサービスを補助サーバが補強する構成により、このような補助的なサービスが供給される。このような補助サーバは、本発明に係る無線LANゲートウェイアプリケーションの機能の一部となり得るか、または、主サーバとは異なるネットワーク要素として実現され得る。
【0067】
このような追加のサービスの1つの実施形態の例は、いくつかのモバイルステーションに組み込まれたGPS(Global Positioning System)装置の使用を含む。GPSにより供給される地理的座標をクライ関連付け末に起因するトラフィックまたはそのいくつかと関連付けるために、本発明に係るゲートウェイアプリケーションは改良され得る。例えば、ゲートウェイアプリケーションは静止画像データまたは動画像データに地理的座標を付すこと、および/または、地理的座標を関連ある場所のプレインテキスト名に位置づける(map)追加のサービス(不図示)を使用することができる。別の実施形態では、ゲートウェイアプリケーションは、GPSにより供給される座標をトラフィックまたはそのいくつかに関連付けるが、実際に画像に座標を付すことは、画像共有サーバ(不図示)のような、追加サーバにより供給される。実際は、重要なのはクライアント端末の位置であって、無線LANゲートウェイとして動作するモバイルステーションの位置ではない。しかしながら、モバイルステーションの無線LAN伝送の範囲が狭いことを考慮すると、モバイルステーションの位置は、実質的に全ての実用上の目的のためのクライアント端末の位置として使用できる。
【0068】
さらに意欲的な大掛かりな(ambitious)実施形態では、ゲートウェイアプリケーションは、地理的座標に基づいて、追加のサービスを提供できる。例えば、ゲートウェイアプリケーションは、クライアント端末により起動される種々のクエリ、および/または、インターネットサービスによるこれらのクエリに対する応答を認識でき、関連する地図または写真情報によりクエリ応答を改良できる。例えば、ゲートウェイアプリケーションは「郵便ポスト」に対するクエリを検出でき、モバイルステーションのGPSにより供給される地理的座標に最も近い郵便局の地図および/または写真をクエリ応答に提供できる。地図および/または写真を取得するために、ゲートウェイアプリケーションは、要求された機能を提供する補助サーバに問合せを行ってもよい。
【0069】
このような追加のサービスの別の例は、ゲートウェイアプリケーションが収集し、あるインターネットベースの補助サーバ(不図示)に伝送するトラフィック統計に関連する。例えば、このような補助サーバはサービスの質(Quality of Service、QoS)パラメータを監視するためにトラフィック統計を使用してもよい。トラフィック統計は、QoSを特定のレベルに維持するため、および/または、アクセスネットワークでの資源活用を最適化するために用いることができる。ある実施形態では、補助サーバは広告サーバである。広告サーバは、クライアント端末CTに対する目標を定めた広告または調整された(tailored)広告のために、トラフィック統計を使用してもよい。このようなトラフィック統計には、例えば、ユーザのID、使用(トラフィックの量、使用時間、訪問したインターネットアドレス、クエリパラメータなど)を含んでいてもよい。選択的または追加的に、ゲートウェイアプリケーションはクライアント端末加入者の課金に関与する課金サーバにトラフィック統計を伝送してもよい。さらに、広告サーバおよび課金サーバは、広告サーバの運営者が広告スペースまたは時間を売却し、広告サーバは、受信された任意の広告について、クライアント端末の加入者にクレジットするようにして、連携してもよい。このクレジットは、単なる例にすぎないが、クライアント端末の加入者の請求書を減らしたり、追加のサービスを生成したり、および、プリペイド加入時間を延長したりするために、課金サーバに中継され、課金サーバにより使用される。
【0070】
最後に、ゲートウェイアプリケーションまたはその派生情報(derivative)は、モバイルステーションの位置を広告サーバに伝送してもよい。広告サーバは、モバイルステーションの位置に基づいて目標を定めた、あるいは調整された広告を行う。例えば、ある商品またはサービスのための目標を定めた広告は、クライアント端末がその商品またはサービスの販売店にかなり近いことをモバイルステーションの位置が示す場合にのみ、クライアント端末へ広告を送信することを含んでも良い。一方、調整された広告は、広告が最も近い販売店の住所または位置を示すように実行してもよい。
【0071】
図4および
図5は、本発明が近年のモバイルステーションの機能から利益が得られる実施形態の例を示しており、結果として得られる無線LANゲートウェイは、専用の無線基地局より機能的に優れている。
図4は、近傍の無線LANクライアント端末CTの候補を検出するために、モバイルステーションMS内の無線LAN回路、および、任意の無線LANゲートウェイアプリケーションが周期的に有効化される実施形態を示している。ある代表的なシナリオでは、無線LAN可能なデジタルカメラが無線LANクライアント端末として動作する。
図4に示す実施形態では、モバイルステーションMSは当業者によく知られたソフトウェア実装のチックカウンタを用いて実現され得る2つのタイマを使用する。2つのタイマのうちの一方はスリープタイマと呼ばれ、他方は監視タイマ(watchdog timer)と呼ばれる。スリープタイマの機能はモバイルステーションの無線LAN回路と、任意の無線LANゲートウェイアプリケーションを周期的に起動することである。監視タイマは、バッテリ資源を最適化するために無線LAN回路の電源がオフされるよう、無線LANネットワークにおける予め定めた長さの無効化期間を検出するために用いられる。
【0072】
ステップ10−1において、モバイルステーションMSの無線LAN回路は電源がオフされ、無線LANゲートウェイアプリケーションの実行は、一時中断または終了し得る。スリープタイマが終了すると、ステップ10−1は終了する。例えば、スリープタイマは、無線LAN回路を有効にし、無線LANゲートウェイアプリケーションの実行を開始または再開するためのプログラムルーチンを行うよう、モバイルステーションのプロセッサに指示するプロセッサ割り込みを生成してもよい。ステップ10−2の後、モバイルステーションは無線LANネットワークを確立している。ステップ10−3において、モバイルステーションは、いずれかのクライアント端末、例えばデジタルカメラが、無線LANネットワークへの接続を試みているか否かを確認する。試みていない場合、処理はステップ10−8へ進み、無線LANネットワークおよび回路は無効にし、処理は再びステップ10−1を開始する。一方、いずれかのクライアント端末が無線LANへ接続している場合、ステップ10−4でモバイルステーションは監視タイマを開始させ、ステップ10−5に示すように、無線LANネットワークを維持する。ステップ10−6はクライアント端末の起動を検出するテストを含む。クライアント端末の起動が検出されると、処理はステップ10−4に戻り、監視タイマが再び開始される。当然、いかなるクライアント関連の要求も、無線LANゲートウェイアプリケーションの基本機能の一部として同様に提供される。一方、どのクライアント端末の起動も検出されない場合、処理はステップ10−7に進む。ステップS7は監視タイマが終了したか否かに関してのテストである。監視タイマが終了していない場合、処理はステップ10−5に戻り、監視タイマを再開することなく、無線LANネットワークは維持される。結局、どのクライアント端末の起動も検出されず、監視タイマが終了する時期が発生し、このことがステップ10−7で検出される。そして、ステップ10−8では、無線LANネットワークおよび回路は無効になり、処理は再びステップ10−1を開始する。
【0073】
図10に関連して説明される実施形態によると、無線LANゲートウェイアプリケーションは自らの実行を終了し、モバイルステーションの無線LAN回路の電源をオフにしてもよい。ゲートウェイアプリケーションの自動的な実行と、それに伴って自動的にモバイルステーションの無線LAN回路を有効にすることは、特定の利益をもたらす。例えば、デジタルカメラおよびモバイルステーションは、ともに、ユーザインターフェースが小さく、また特にLCDが点灯しているときに比較的バッテリ寿命が短いという短所を持つ。本実施形態に関連して説明される自動化は、このような短所を軽減する。
【0074】
図11は、画像ホストサーバへの画像アップロードを改良するためにモバイルステーションの位置決定機能が用いられる実施形態を示す。ステップ11−0において、モバイルステーションMS内で実行されているゲートウェイアプリケーションと、クライアント端末CTとして動作する無線LANを備えたデジタルカメラCAMとの間で無線LAN接続が確立される。無線LAN接続確立の詳細については、
図3および
図4が参照される。ステップ11−2において、カメラCAM/CTはDNSクエリを起動し、画像ホストサーバのインターネットアドレスを取得する。ステップ11−4において、モバイルステーションMS内で実行されているゲートウェイアプリケーションの実施形態は、カメラ/クライアント端末CAM/CTが位置認識アプリケーションを実行することを検出する。したがって、ゲートウェイアプリケーションはモバイルステーションの位置決定機能を用い、モバイルステーションの位置を決定する。例えば、モバイルステーションの位置は、モバイルステーション内蔵の衛生測位装置(GPS)またはアクセスネットワークにおけるセルID決定に基づいて、決定されてもよい。ステップ11−8は任意であり、ゲートウェイアプリケーションは、モバイルステーションの位置を補助サーバSSの実施形態に送信する。補助サーバSSは、本シナリオでは、モバイルステーションの位置を受信し、プレインテキスト形式の位置記述を返す。例えば、ピカデリーサーカスの地理的座標またはセルIDは、「ロンドンのピカデリー広場(Piccadilly Circus, London)」というプレインテキスト記述に変換され得る。ステップ5−10において、カメラ/クライアント端末CAM/CTは画像データの画像ホストサーバへのアップロードを開始する。ステップ11−12において、ゲートウェイアプリケーションは、画像データにモバイルステーションの位置を補う。ある特有な実施形態では、位置データは画像のメタデータ領域に配置される。
技術が発展すると、本発明に係る概念が種々の手法により実現され得ることは、当業者にとって容易に理解される。本発明およびその実施形態は、上述した例に限定されることはなく、特許請求の範囲内で変更されてもよい。
【0075】
参考文献
1.FI20080032、2008年1月16日出願
2.PCT/FI2008/050617、2008年10月30日出願
両方の参考文献は出願人が本出願と共通する特許出願であり、その内容を参照することにより援用される。これらの参考文献は、本発明の出願日において未公開であるため、内容の一部はここで繰り返されている。
【0076】
以上の実施形態に関し、更に、以下の項目を開示する。
【0077】
本発明の目的は、上述した1または2以上の問題点を軽減する、方法、装置およびソフトウェア製品を提供することである。この目的は、添付の独立請求項で定義される方法、装置およびソフトウェア製品により達成される。従属請求項および関連の説明を含む図面は、特有の実施形態に関する。
【0078】
本発明の一態様は、無線LANゲートウェイとして動作するための向上した機能を有するモバイルステーションである。このようなモバイルステーションは、アプリケーションおよびデータを記憶するメモリと、前記記憶されたアプリケーションを実行するプロセッサと、入力部および出力部を有するユーザインターフェースと、1または2以上のアクセスネットワークとの通信インターフェースを提供する受信/伝送回路と、モバイルステーションのユーザを認証する動作が可能な認証手段と、前記モバイルステーションのユーザの認証成功に応じて、モバイル通信ネットワークとのブロードバンド接続を確立し、維持する動作が可能な無線トランシーバと、前記ユーザインターフェースの前記入力部を介して受信された設定に応じて、有効または無効コマンドに応答する無線LAN手段と、を備える。本発明に係るモバイルステーションは以下の動作を制御するよう、前記プロセッサに指示するプログラムコード部を有する。
・無線LANネットワークが既に確立されているか否かを検出し、確立されていれば、スレーブモバイルステーションとして前記無線LANネットワークに参加して、並列伝送経路として動作することにより、これをサポートし、確立されていなければ、以下の動作を実行することによりマスタモバイルステーションとして動作する。
・無線LANネットワーク上で、少なくとも1つの無線LANクライアント端末と通信できる無線LAN基地局として、前記無線LANを有効化する。
・前記無線LAN基地局のためにネットワーク識別子を生成する。
・前記少なくとも1つの無線LAN端末のためにインターネットプロトコルアドレスを割り当てる。
・外部DNSシステムと連携して、ドメイン名サービス(DNS)クエリを解決する。
・前記ゲートウェイアプリケーションによりサポートされる各プロトコルのために、少なくとも1つのポート番号を割り当てる。
・前記少なくとも1つの無線LAN端末とインターネットホストとの間で、前記ブロードバンド接続上でインターネットトラフィックをトンネルし、このトンネリングは、前記モバイルステーションとインターネットホストとの間の、複数の同時伝送経路を確立および管理することを有し、前記複数の同時伝送経路は、前記モバイルステーションの前記受信/伝送回路を介する第1の伝送経路と、前記スレーブモバイルステーションの前記受信/伝送回路を介する少なくとも1つの第2の伝送経路と、を有する。
【0079】
本発明の他の態様は、上述したモバイルステーションの動作方法と、モバイルステーションのための上述したプログラムコード部を有するソフトウェアアプリケーションを備えるソフトウェアキャリアを含む。
【0080】
さらに本発明の別の実施形態は、上述した複数の同時伝送経路からインターネットホストへのデータパケットを多重化(結合)するとともに、前記インターネットホストから前記複数の同時伝送経路へ到達するデータパケットを逆多重化(分離)する多重化/逆多重化コンピュータを含む。後に、本説明では、多重化/逆多重化コンピュータは口語的に「シェアマシン」と呼ばれる。
【0081】
特有な一実施形態では、モバイルステーションは、ダウンロード可能なプログラムを受信、インストールおよび実行する手段をさらに備え、本発明に係るゲートウェイアプリケーションはダウンロード可能なアプリケーションである。本発明に係るゲートウェイアプリケーションをダウンロード可能なアプリケーショントして実現することにより、本発明に係る方法を物理的には実行できるが、必要なソフトウェアを含まないモバイルステーションに、本発明に係る技術を適用できる、というさらなる利点がもたらされる。
【0082】
別の特有な実施形態では、ゲートウェイアプリケーションは、インターネットセッション中の各モバイルステーションからの第1のHTTPページ要求を予め定めたインターネットアドレスへリダイレクトするコード部を備えている。インターネットセッション中の前記モバイルステーションの第1のHTTPページのリダイレクトにより、前記予め定めたインターネットアドレスの所有者は、モバイルステーションのユーザは前記予め定めたインターネットアドレスを介してインターネットセッションを開始しなければならない、という利益を受ける。このアドレスは有用な情報または広告を含み得る。
【0083】
さらに別の特有な実施形態はモバイルステーションのためのゲートウェイアプリケーションであり、このモバイルステーションはGPS受信器または前記モバイルステーションの位置を決定するための他の手段を備えており、前記ゲートウェイアプリケーションは、決定された場所を、トンネルされたインターネットトラフィックと関連付けるコード部を備えている。ゲートウェイアプリケーションおよび/またはあるインターネットベースの補助サーバは前記決定された位置を用いて1または2以上の追加的または補助的なサービスを無線LAN端末に実現してもよい。
【0084】
ゲートウェイアプリケーションは、トンネルされたトラフィックに関するトラフィック統計を収集し、かつ、広告および/または課金のために前記トラフィック統計を用いるよう、前記収集したトラフィック統計の少なくともいくつかを広告サーバおよび/または課金サーバに伝送するコード部を備え。
【0085】
バッテリ消費を最小化するために、スリープタイマが周期的に前記無線LAN回路を有効化し、監視タイマが、予め定めた期間、前記無線LAN端末の有効化が検出されないことに応答して、前記無線LAN回路を無効化するよう、ゲートウェイアプリケーションは前記モバイルステーションのプロセッサにタイマ機能を設定するよう指示してもよい。
【0086】
また、本発明の実施形態に関し、以下の項目を開示する。
【0087】
(1)アプリケーションおよびデータを記憶するメモリ(MEM210)と、
前記記憶されたアプリケーションを実行するプロセッサ(205)と、
入力部(220)および出力部(225)を有するユーザインターフェース(215)と、
1または2以上のアクセスネットワーク(AN)との通信インターフェースを提供する受信/伝送回路(210)と、
モバイルステーションのユーザを認証する動作が可能な認証手段(250,160)と、
前記モバイルステーションのユーザの認証成功に応じて、モバイル通信ネットワークとのブロードバンド接続を確立し、維持する動作が可能な無線トランシーバ(210)と、
前記ユーザインターフェース(225)の前記入力部(220)を介して受信された設定に応じて、有効または無効コマンドに応答する無線LAN(Wireless Local-Area Network)手段(255)と、を備え、
前記メモリ(MEM210)はゲートウェイアプリケーション(270)を備え、
前記ゲートウェイアプリケーション(270)は、
前記無線LAN手段を有効化(5−0)し、無線LANネットワーク(WN)が存在するか否かを検出し、無線LANネットワークが存在しない場合は、前記無線LANネットワーク(WN)上で、少なくとも1つの無線LANクライアント端末(CT)および少なくとも1つのスレーブモバイルステーション(MS2)と通信可能な無線LAN基地局を確立するよう、前記プロセッサに指示する第1のコード部と、
前記無線LAN基地局のためのネットワーク識別子を生成する(5−2,5−4)よう、前記プロセッサに指示する第2のコード部と、
前記少なくとも1つの無線LANクライアント端末および前記少なくとも1つのスレーブモバイルステーション(MS2)のためのインターネットプロトコルアドレスを割り当てる(5−8,5−10;6−2〜6−8)よう、前記プロセッサに指示する第3のコード部と、
外部DNS(Domain Name Service)システムと連携して、DNSクエリを解決する(resolve)(5−12〜5−18)よう、前記プロセッサに指示する第4のコード部と、
前記ゲートウェイアプリケーションによりサポートされる各プロトコルに少なくとも1つのポート番号を割り当てるよう、前記プロセッサに指示する第5のコード部と、
前記ブロードバンド接続上で前記少なくとも1つの無線LANクライアント端末とインターネットホスト(HO)との間でインターネットトラフィックをトンネルする(5−30〜5−36)よう、前記プロセッサに指示する第6のコード部と、を有し、
前記インターネットトラフィックのトンネルは、前記モバイルステーション(MS1)と前記インターネットホスト(HO)との間の、複数の同時伝送経路を確立および管理することを有し(7−6,7−8;7−18,7−22;8−13,8−23;8−34,8−44)、
前記複数の同時伝送経路は、前記モバイルステーション(MS1)の前記受信/伝送回路(210)を介する第1の伝送経路と、前記スレーブモバイルステーション(MS2)の前記受信/伝送回路を介する少なくとも1つの第2の伝送経路と、を有することを特徴とするモバイルステーション(MS1)。
【0088】
(2)前記少なくとも1つの第2の伝送経路内でマルチキャスト伝送を用いる手段をさらに備えることを特徴とする(1)に記載のモバイルステーション(MS1)。
【0089】
(3)前記モバイルステーションおよび前記インターネットホスト(HO)とは異なるコンピュータである多重化/逆多重化コンピュータ(SM)で、前記複数の同時伝送経路が開始するとともに終了するよう、前記複数の同時伝送経路を確立および管理する手段をさらに備えることを特徴とする(1)または(2)に記載のモバイルステーション(MS1)。
【0090】
(4)いくつかの多重化/逆多重化コンピュータ(SM)の動作を調整するいくつかのサービス調整サーバ(SH)と通信する信号伝達手段をさらに備え、
前記信号伝達手段は、
前記いくつかのサービス調整サーバ(SH)のいくつかを示すリストを前記メモリから取り出し、
サービス調整サーバの更新されたリストを示す応答が受信されるまで、1または2以上の前記いくつかのサービス調整サーバ(SH)に問合せを送信し、
前記いくつかのサービス調整サーバ(SH)の少なくとも1つから、1または2以上の有効な多重化/逆多重化コンピュータ(SM)のアドレスを取得し、
サービス調整サーバの前記更新されたリストを前記メモリに記憶するよう、前記プロセッサに指示するコード部を有することを特徴とする(3)に記載のモバイルステーション(MS1)。
【0091】
(5)アプリケーションおよびデータを記憶するメモリ(MEM210)と、
前記記憶されたアプリケーションを実行するプロセッサ(205)と、
入力部(220)および出力部(225)を有するユーザインターフェース(215)と、
1または2以上のアクセスネットワーク(AN)との通信インターフェースを提供する受信/伝送回路(210)と、
モバイルステーションのユーザを認証する動作が可能な認証手段(250,160)と、
前記モバイルステーションのユーザの認証成功に応じて、モバイル通信ネットワークとのブロードバンド接続を確立し、維持する動作が可能な無線トランシーバ(210)と、
前記ユーザインターフェース(225)の前記入力部(220)を介して受信された設定に応じて、有効または無効コマンドに応答する無線LAN(Wireless Local-Area Network)手段(255)と、を備えるモバイルステーションのためのソフトウェアキャリアであって、
前記ソフトウェアキャリアはゲートウェイアプリケーション(270)を備え、
前記ゲートウェイアプリケーションは、
前記無線LAN手段を有効化(5−0)し、無線LANネットワーク(WN)が存在するか否かを検出し、無線LANネットワークが存在しない場合は、前記無線LANネットワーク(NW)上で、少なくとも1つの無線LANクライアント端末(CT)および少なくとも1つのスレーブモバイルステーション(MS2)と通信可能な無線LAN基地局を確立するよう、前記プロセッサに指示する第1のコード部と、
前記無線LAN基地局のためのネットワーク識別子を生成する(5−2,5−4)よう、前記プロセッサに指示する第2のコード部と、
前記少なくとも1つの無線LANクライアント端末および前記少なくとも1つのスレーブモバイルステーション(MS2)のためのインターネットプロトコルアドレスを割り当てる(5−8,5−10;6−2〜6−8)よう、前記プロセッサに指示する第3のコード部と、
外部DNS(Domain Name Service)システムと連携して、DNSクエリを解決する(resolve)(5−12〜5−18)よう、前記プロセッサに指示する第4のコード部と、
前記ゲートウェイアプリケーションによりサポートされる各プロトコルに少なくとも1つのポート番号を割り当てるよう、前記プロセッサに指示する第5のコード部と、
前記ブロードバンド接続上で前記少なくとも1つの無線LANクライアント端末と前記インターネットホスト(HO)との間でインターネットトラフィックをトンネルする(5−30〜5−36)よう、前記プロセッサに指示する第6のコード部と、を有し、
前記インターネットトラフィックのトンネルは、前記モバイルステーション(MS1)とインターネットホスト(HO)との間の、複数の同時伝送経路を確立および管理することを有し(7−6,7−8;7−18,7−22;8−13,8−23;8−34,8−44)、
前記複数の同時伝送経路は、前記モバイルステーション(MS1)の前記受信/伝送回路(210)を介する第1の伝送経路と、前記スレーブモバイルステーション(MS2)の前記受信/伝送回路を介する少なくとも1つの第2の伝送経路と、を有することを特徴とするソフトウェアキャリア。
【0092】
(6)アプリケーションおよびデータを記憶するメモリ(MEM210)と、
前記記憶されたアプリケーションを実行するプロセッサ(205)と、
入力部(220)および出力部(225)を有するユーザインターフェース(215)と、
1または2以上のアクセスネットワーク(AN)との通信インターフェースを提供する受信/伝送回路(210)と、
モバイルステーションのユーザを認証する動作が可能な認証手段(250,160)と、
前記モバイルステーションのユーザの認証成功に応じて、モバイル通信ネットワークとのブロードバンド接続を確立し、維持する動作が可能な無線トランシーバ(210)と、
前記ユーザインターフェース(225)の前記入力部(220)を介して受信された設定に応じて、有効または無効コマンドに応答する無線LAN(Wireless Local-Area Network)手段(255)と、を備えるモバイルステーションの動作方法であって、
前記方法は、ゲートウェイアプリケーション(270)により、前記プロセッサ(205)を制御して、
前記無線LAN手段を有効化(5−0)し、無線LANネットワーク(WN)が存在するか否かを検出し、無線LANネットワークが存在しない場合は、前記無線LANネットワーク(NW)上で、少なくとも1つの無線LANクライアント端末(CT)および少なくとも1つのスレーブモバイルステーション(MS2)と通信可能な無線LAN基地局を確立し、
前記無線LAN基地局のためのネットワーク識別子を生成し、
前記少なくとも1つの無線LANクライアント端末および前記少なくとも1つのスレーブモバイルステーション(MS2)のためのインターネットプロトコルアドレスを割り当て、
外部DNS(Domain Name Service)システムと連携して、DNSクエリを解決し、
前記ゲートウェイアプリケーションによりサポートされる各プロトコルに少なくとも1つのポート番号を割り当て、
前記ブロードバンド接続上で前記少なくとも1つの無線LANクライアント端末とインターネットホスト(HO)との間でインターネットトラフィックをトンネルする(5−30〜5−36)、動作を行い、
前記インターネットトラフィックのトンネルは、前記モバイルステーション(MS1)と前記インターネットホスト(HO)との間の、複数の同時伝送経路を確立および管理することを有し(7−6,7−8;7−18,7−22;8−13,8−23;8−34,8−44)、
前記複数の同時伝送経路は、前記モバイルステーション(MS1)の前記受信/伝送回路(210)を介する第1の伝送経路と、前記スレーブモバイルステーション(MS2)の前記受信/伝送回路を介する少なくとも1つの第2の伝送経路と、を有することを特徴とする方法。
【0093】
(7)アプリケーションおよびデータを記憶するメモリ(MEM310)と、
前記記憶されたアプリケーションを実行するプロセッサ(305)と、
データネットワーク(DN)に通信インターフェースを提供するネットワークインターフェース(330)と、を備え、
前記メモリ(MEM310)は、多重化/逆多重化アプリケーション(370)を有し、
前記多重化/逆多重化アプリケーションは、
1または2以上のマスタモバイルステーション(MS1)を発見するための信号伝達を実現するよう、前記プロセッサに指示する第1のコード部と、
前記多重化/逆多重化コンピュータおよびマスタモバイルステーション(MS1)で、複数の同時伝送経路が開始するとともに終了するよう、かつ、前記複数の同時伝送経路のサブネットが、前記マスタモバイルステーション(MS1)とは異なる1または2以上のモバイルステーション(MS2)を介して伝達されるよう、前記複数の同時伝送経路上でデータパケットを伝達する多重化/逆多重化機能を実現するよう、前記プロセッサに指示する第2のコード部と、
前記ホストコンピュータへのデータパケットの送信者アドレスが前記多重化/逆多重化コンピュータ(SM)のアドレスへ変化し、前記ホストコンピュータにより生成されたデータパケットの受信者アドレスがクライアント端末(CT)の前記アドレスへ変化するよう、クライアント端末(CT)とホストコンピュータ(HO)との間の接続をサポートするネットワークおよびポート解釈機能(NAPT)を実現するよう、前記プロセッサに指示する第3のコード部と、
予め存在するインターネットベースのDNSサービスと共にDNS動作に参加するドメイン名サービス(DNS)を実現するよう、前記プロセッサに指示する第4のコード部と、を有することを特徴とする多重化/逆多重化コンピュータ(SM)。