特許第5711300号(P5711300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5711300第4族金属含有膜を堆積させるための前駆体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711300
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】第4族金属含有膜を堆積させるための前駆体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20150409BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   C23C16/40
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2013-112557(P2013-112557)
(22)【出願日】2013年5月29日
(62)【分割の表示】特願2009-280376(P2009-280376)の分割
【原出願日】2009年12月10日
(65)【公開番号】特開2013-219376(P2013-219376A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2013年6月11日
(31)【優先権主張番号】61/121,336
(32)【優先日】2008年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/629,416
(32)【優先日】2009年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】シンチャン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピー.スペンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ムー−スン
(72)【発明者】
【氏名】イアン ブキャナン
(72)【発明者】
【氏名】ローラ エム.マッツ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ウラジミロビッチ イワノフ
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−026763(JP,A)
【文献】 特表2004−507551(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01983073(EP,A1)
【文献】 特開2009−001896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C23C 16/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第4族金属含有前駆体を含む組成物であって、
前記第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが下記式I:
【化1】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRはそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である)を有する前駆体であり、
そして式Iを有する第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンからなる群から選択される、
前記組成物。
【請求項2】
複数の第4族金属含有前駆体を含む組成物であって、
前記第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが下記式I:
【化2】
(式中、MはTiを含み;R及びRはそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である)を有する前駆体であり、
そして式Iを有する第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、(エトキシ)(イソプロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンから成る群から選択される、
前記組成物。
【請求項3】
下記式I:
【化3】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRはそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である)
を有する第4族金属含有前駆体を含む組成物から基板の表面上に金属含有膜を蒸着によって形成する工程を含む、基板の少なくとも表面上に金属含有膜を形成する方法であって、
式Iを有する第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンからなる群から選択される、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2008年12月10日に出願された米国仮特許出願第61/121,336号の利益を主張する。
【0002】
第4族金属含有膜を堆積させるための前駆体及びその組成物が本明細書に開示されている。また、その前駆体を形成するための方法と、第4族金属含有膜を堆積させるための方法も本明細書に開示されている。後者については、限定されるものではないが、原子層成長(ALD)又はサイクリック化学気相成長(CCVD)などの蒸着プロセスを用いて、説明されている方法によって、限定されるものではないが、化学量論的又は非化学量論的なチタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウムストロンチウム膜などの金属含有膜を形成してよく、例えば半導体デバイス内のゲート誘電体又はキャパシタ誘電体膜としてそれを使用してよい
【背景技術】
【0003】
金属酸化物半導体(MOS)集積回路(IC)の各世代について、高速及び低電力消費の必要性などの高密度及び高性能を提供するために、デバイスの寸法は、連続的に縮小されている。残念なことに、電界効果半導体デバイスは、チャンネルの幅に比例する出力シグナルを形成するので、スケールの縮小はこれらの出力を減らすこととなる。ゲート誘電体の厚さを減らすことにより、ゲートをチャンネルの近くにより接近させて、電界効果を増大させ、それにより駆動電流を増加させることによって、一般にこの効果は平衡にされている。したがって、デバイス性能を改良するために極めて薄くて信頼性が高く、かつ低欠陥のゲート誘電体を提供することが、ますます重要になっている。
【0004】
この10年間、熱酸化ケイ素、SiOが、ゲート誘電体として主に使用されているが、これは、SiOが下地のシリコン基板によって安定しており、その製造プロセスは比較的単純であるからである。しかし、酸化ケイ素ゲート誘電体が比較的低い誘電率(k)3.9を有するから、特に薄い酸化ケイ素ゲート誘電体を流れるゲート−チャンネルリーク電流のために、酸化ケイ素ゲート誘電体の厚さのさらなる縮小がますます困難になっている。
【0005】
これは、酸化ケイ素より厚い層に形成できるが、同等以上のデバイス性能も提供できる代替誘電体の考察につながる。この性能は、「酸化物に換算した等価膜厚(EOT)」として表現できる。代替誘電体材料層は比較のための酸化ケイ素層よりも厚くてよいが、酸化ケイ素層のかなり薄い層と等価の効果を有する。
【0006】
この目的を達成するために、高誘電率(high−k)金属酸化物材料が、ゲート又はキャパシタ誘電体の代替誘電体材料として提案されている。高誘電率及び/又は強誘電体酸化物薄膜を形成するために、第4族含有前駆体は、それ自体で、又は、例えばPb(Zr,Ti)O又は(Ba,Si)(Zr,Ti)Oなどの他の金属含有前駆体と合わせて使用してもよい。酸化ケイ素(例えば、9〜11の範囲のAlの誘電率;15〜26の範囲のHfOの誘電率;14〜25の範囲のZrOの誘電率;50〜80の範囲のTiOの誘電率;及び約200のSrTiOの誘電率)のものよりも高い金属酸化物材料の誘電率を達成できるので、2Å未満のEOTを有するより厚い金属酸化物層を堆積できる。結果として、限定されるものではないが、酸化物、窒化物、ケイ酸塩又はこれらの組み合わせなどの金属含有膜を金属窒化物又はケイ素などの基板上に堆積させられるように、半導体産業では、例えばチタン含有、ジルコニウム含有、及びハフニウム含有前駆体並びにそれらの組み合わせなどの第4族前駆体が必要とされる。
【0007】
残念なことに、ケイ素などの従来の基板材料を使用するとき、high−k金属酸化物材料の使用は、幾つかの問題を生む。ケイ素は、high−k金属酸化物と反応させるか、又はhigh−k金属酸化物の堆積又は次の熱プロセス中で酸化させることができるので、酸化ケイ素の界面層を形成する。これが酸化物に換算した等価膜厚を増加させるので、デバイス性能を低下させる。さらに、high−k金属酸化物層とケイ素基板の間の界面トラップ密度が増加する。したがって、キャリヤのチャンネル移動度が低下する。これは、MOSトランジスタのON/OFF電流比を下げることにより、そのスイッチング特性を低下させる。また、酸化ハフニウム(HfO)層又は酸化ジルコニウム(ZrO)層などのhigh−k金属酸化物層は、比較的低い結晶温度を有し、熱的に不安定である。したがって、次のソース/ドレイン領域中に注入された不純物を活性化させるための熱アニールプロセス中に、この金属酸化物層を容易に結晶化できる。これにより、電流が通過する金属酸化物層内の粒子境界を形成できる。この金属酸化物層の表面粗さが増加すると、リーク電流特性が悪化することがある。さらに、粗面を有するアラインメント・キー上の光の乱反射のために、high−k金属酸化物層の結晶化が、次のアライメント・プロセスに悪影響を及ぼす。
【0008】
第4族前駆体を堆積させる基板との副反応を最小化させることに加えて、第4族前駆体が250℃以上の温度で熱的に安定であることも好ましい。典型的には、蒸着(例えば、化学気相成長及び/又は原子層成長)プロセスを用いて、第4族含有金属膜を堆積させる。処理中に蒸着室に達する前に、前駆体の早すぎる分解を避けるために、これらの前駆体は蒸気送達中において熱的に安定であることが好ましい。前駆体の早すぎる分解は、蒸着装置の流量コンジットを詰まらせるであろう副生成物の好ましくない蓄積を生むだけでなく、蒸着されたゲート/キャパシタ誘電体、高誘電率及び/又は強誘電体の金属酸化物薄膜の組み合わせで、好ましくない変化を起こすことがある。さらに、第4族前駆体が、他の原材料(例えば、ケイ素、酸化物、窒化物、又は限定されるものではないが、Pb及び/又はTiなどの他の金属を含む材料)との好ましくない副反応を避けることが好ましい。第4族前駆体の幾つかが固体であるから、有機溶媒に溶解又は懸濁したときに、これらの前駆体がこれらの化学的同一性を長期的に維持することが好ましい。溶剤中の第4族前駆体の化学的同一性の変化は、繰り返し可能な送達及び膜成長を達成する蒸着プロセスの能力を悪くすることがあるから、有害である。
【0009】
前述のように、先行技術の第4族前駆体は主に固体であり、比較的低い蒸気圧(例えば、0.5torr以下)を有する。先行技術で報告された液状形態である少数の第4族前駆体についてみると、これらの前駆体は、典型的には、100℃以上の温度で熱的に安定ではなく、半導体製造中のデリバリー又はプロセスの問題(限定されるものではないが、原材料容器と反応器の間の送達管の詰まり及びウェハー上の好ましくない粒子堆積を挙げることができる)を起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故に、次の性質:より低い分子量(例えば、500m.u.以下)、より低い融点(例えば、100℃以下)、及びより高い蒸気圧(例えば、0.5torr以上)の少なくとも1つを示す、第4族前駆体、好ましくは、液体の第4族前駆体を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第4族金属含有前駆体、及びこれらの有機金属前駆体を用いてケイ素、金属窒化物及び他の金属層などの基板上に共形(コンフォーマル)な金属含有膜を製造するための堆積プロセスが、本明細書に開示されている。また、第4族金属含有前駆体を形成するための方法及び第4族金属含有前駆体を用いて膜を堆積させるための方法も本明細書に開示されている。
【0012】
一実施形態では、下記式I:
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、Mは、Ti、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)
を有する第4族金属含有前駆体を含む組成物から金属含有膜を蒸着によって基材の少なくとも1つの表面上に形成する工程を含む、金属含有膜を基板の少なくとも1つの表面上に形成する方法であって、前記蒸着が、化学気相成長、低圧蒸着、プラズマ化学気相成長、又は原子層成長から選択される少なくとも1つであることを特徴とする方法を提供する。本方法のこの又は他の実施形態では、式IのR及びRは、イソプロピル又はtert‐ブチルのようなかさ高いアルキル基のいずれかでよい。
【0015】
さらなる実施形態では、下記式I:
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、そしてR及びRは、異なるアルキル基である)を有する、少なくとも50重量%以上の少なくとも1種類の第4族金属含有前駆体;並びに脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、ニトリル、アミン、有機アミド、アルコール、イミン、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアンダジン、イソ尿素、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む、金属含有膜を形成するための組成物であって、25℃の温度での組成物の粘度が50センチポアズ以下であることを特徴とする組成物を提供する。
【0018】
さらに別の実施形態では、複数の第4族金属含有前駆体を含む組成物であって、第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、下記式I:
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、Mは、Ti、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)を有する前駆体であり、そして式Iを有する第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(イソプロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、ビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする組成物を提供する。特定の実施形態では、この組成物が、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(イソプロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;及びビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンを含む。
【0021】
さらなる実施形態では、堆積室内に基板の少なくとも1つの表面を準備する工程;及び 下記式I:
【0022】
【化4】
【0023】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは、異なるアルキル基である)を有する少なくとも1つの第4族金属含有前駆体から、化学気相成長法及び原子層成長法から選択される堆積法により、金属含有膜を少なくとも1つの表面上に形成する工程を含む、基板の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する方法を提供する。
【0024】
別の実施形態では、
a.下記式I:
【0025】
【化5】
【0026】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)を有する第4族金属含有前駆体を堆積室中に導入し、次に、加熱される基板の少なくとも一部分上へ第4族金属を化学的に吸着させる工程;
b.未反応の第4族金属含有前駆体をパージする工程;
c.水、酸素、酸素プラズマ、オゾン、及び水プラズマからなる群から選択される少なくとも1つを含む酸化剤を導入する工程;
d.次式A:
【0027】
【化6】
【0028】
(式中、Mは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群から選択される第2族金属であり;
は、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は、C〜Cの直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;そして
は、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される)、及び;
次式B:
【0029】
【化7】
【0030】
(式中、Mは、2〜5の原子価を有する金属基であり;
は、1〜10個の炭素原子を有する、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、水素、アルキル、アルコキシ、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;
5−6は、独立にアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、アリール、及び酸素又は窒素原子のいずれかを含む複素環式基からなる群から選択され;そして
nは、金属Mの原子価と等しい整数である)
からなる群から選択される多座配位β−ケトイミネートを導入する工程;並びに
e.未反応の多座配位β−ケトイミネートガスをパージする工程、
f.水、酸素、酸素プラズマ、オゾン、及び水プラズマからなる群から選択される酸化剤を導入する工程
を含むとともに、工程a〜fを繰り返して金属含有膜を堆積させることを特徴とする、基板上に金属含有膜を形成する方法を提供する。本方法の特定の実施形態では、式Iを有する第4族前駆体、多座配位β−ケトイミネート、又はこれらの両方から選択される前駆体の少なくとも1つを、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、ニトリル、アミン、有機アミド、アルコール、イミン、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアンダジン、イソ尿素、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に溶解させる。
【0031】
別の実施形態では、下記式:
【0032】
【化8】
【0033】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;そしてRは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)によって表される第4族金属含有前駆体を導入する工程;及び
少なくとも1つの酸化剤を堆積室中に導入して、その少なくとも1つの酸化剤を第4族金属含有前駆体と反応させて、金属含有膜を基板上に提供する工程
を含む、金属含有膜を基板上に形成するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】3つの第4族金属含有前駆体:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例2に記述された液体前駆体であり、実線で示される)、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例1に記述された液体前駆体であり、点線で示される)、及び市販の固体前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(マサチューセッツ州HaverhillのSAFCハイテック(Hitech)社から供給されたものであり、破線で示される)の蒸発に関する熱重量分析(TGA)比較を示す図である。図1では、最初の2つの前駆体、又は本明細書に記述されている第4族液状金属含有前駆体が、市販の固体前駆体より揮発性であることが示される。
図2】ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例2に記述された液体前駆体であり、実線で示される)及びビス(tert−ブトキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタン(実施例5に記述された液体前駆体であり、破線で示される)の蒸発に関するTGA比較を示す図である。図2では、両方の前駆体が同一分子量を有し、かつ室温で液体であるとしても、本明細書に記述されている第4族金属含有前駆体、すなわち、ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンが、前駆体ビス(tert−ブトキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタンよりも安定であり、かつ揮発性であることが示される。これは、ビス(tert−ブトキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタン中のイソブチル基Rと比較したときに、ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン中のよりかさ高いt−ブチル基Rが、液相中の分子間相互作用を阻害することにより、ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンの安定性を著しく増加させることを示すものであろう。
図3】ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)ジルコニウム(実施例3に記述された液体前駆体であり、実線で示される)及びビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)ハフニウム(実施例4に記述された液体前駆体であり、破線で示される)の蒸発に関するTGA比較を示す図である。この図によって、両前駆体が揮発性であり、それぞれZrO又はHfOを堆積させるためのCVD又はALD法における前駆体として使用できることが示される。
図4】Ti−1として示された実施例2のビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンの示差走査熱量(DSC)測定値を示す図である。この図によって、少なくとも290℃の温度まではTi−1が液相中で熱的に安定であることが示される。
図5】ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例2のものであり、図5では「Ti−1」で示される)、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例1のものであり、図5では「Ti−2」で示される)、ビス(イソブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例10のものであり、図5では「Ti−3」で示される)を含む液体前駆体及び市販の固体前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト))チタン(マサチューセッツ州HaverhillのSAFCハイテック(Hitech)社から供給されたものであり、破線で示され、図5では「Ti−4」で示される)を用いたTiOの原子層成長(ALD)に関する厚さ対温度のグラフを示す図である。この図によって、液体前駆体がより反応性であり、比較的高い堆積速度をもたらすであろうことが示される。
図6】2つの異なる蒸気送達法:そのまま送達するバブリング(図6では「Ti−5」で示される)及び直接液体注入DLI(図6では「75Ti−5」で示される)(オクタンによって75重量%溶液で送達する)を用いて送達される前駆体ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンを用いたTiOの原子層成長(ALD)に関する厚さ対温度のグラフを示す図である。このデータでは、両送達法によって類似のALD結果が得られることが証明された。
図7】Ti含有前駆体ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(実施例2のものであり、本明細書では「Ti−1」という)を用いて堆積させたチタン酸ストロンチウム膜のX線光電子分光法(XPS)分析を示す図である。この図によって、炭素の汚染をなくして、化学量論的STO膜を形成できることが示される。
図8】本明細書に記述されていて、かつ実施例21に記述されている3つの第4族前駆体を含む低融点組成物対市販の固体前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(マサチューセッツ州HaverhillのSAFCハイテック(Hitech)社より供給されたもの)の蒸発に関するTGA比較を示す図である。この図によって、低融点組成物が高融点固体と類似の気化特性を有することが示される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
例えば、化学気相成長又は他の堆積プロセスにおける前駆体として適切である第4族錯体が、本明細書に開示されている。これらの錯体及び組成物は、限定されるものではないが、例えば、原子層成長(ALD)プロセスなどの化学気相成長(CVD)プロセスによって、金属含有膜を、例えば、ケイ素、金属窒化物、金属酸化物、金属酸窒化物、金属ケイ酸塩、及び他の金属含有層などの基板上に形成するために有用である。例えば、Ti、Hf、Zr、及びこれらの組み合わせなどの金属原子を材料又は膜中に導入するために、第4族金属含有前駆体は、他の金属含有膜のためのドーパントとしても利用できる。本明細書で使用されるように、用語「化学気相成長プロセス」とは、基板を、所望の蒸着物を提供するために基板表面上で反応及び/又は分解する1種以上の揮発性前駆体に曝露する任意の方法をいう。蒸着された金属膜は、コンピューターチップ、光学デバイス、磁気情報記憶媒体から、支持材料上にコーティングされた金属触媒までの範囲に亘る用途を有する。また、これらの錯体を調製するための方法並びに堆積プロセス、特に、CVD又はALD堆積プロセスにおけるそれらの使用が、本明細書に開示されている。
【0036】
第4族前駆体の仲間は、下記式I:
【0037】
【化9】
【0038】
で表される。
【0039】
上記式Iでは、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0040】
特定の実施形態では、R及びRは、3〜5個の炭素原子を含むかさ高いアルキル基を含み;Rは、4〜6個の炭素原子を含むかさ高いアルキル基を含み;Rは水素を含み;そしてRは、メチル基を含む。式Iの後者の実施形態では、R及びRは、イソプロピル又はtert‐ブチルのかさ高いアルキル基のいずれかでよい。
【0041】
本明細書で使用される用語「アルキル」としては、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、3〜5個の炭素原子、4〜6個の炭素原子、又は前述の範囲での変形を含む、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基が挙げられる。典型的なアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert‐ブチル、tert−アミル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロペンチル、及びシロクヘキシルが挙げられる。用語「アルキル」は、例えば、ハロアルキル、アルキルアリール、又はアリールアルキルなどの他の基に含まれるアルキル部分にも適用される。本明細書で使用される用語「かさ高い」は、同数の炭素原子を有する直鎖アルキル基と比較して、より立体的に障害されているアルキル基として記述され、そして例えば、分岐鎖アルキル基、環状アルキル基、又は1つ以上の側鎖及び/又は置換基を有するアルキル基を含んでよい。本明細書で使用される用語「アリール」は、芳香族性を有する6〜12員の炭素環を含む。典型的なアリール基としては、フェニル及びナフチル基が挙げられる。用語「アルキル置換アリール」は、アルキルで置換されたアリール部分に適用される。典型的なアルキル置換アリール基としては、トリル及びキシリル基が挙げられる。用語「ハロ」及び「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素が挙げられる。ある実施形態では、本明細書で開示されている幾つかの基は、例えばハロゲン原子又はO、N、Si若しくはSなどの他のヘテロ原子のような1つ以上の他の元素で置換されていてよい。
【0042】
ある実施形態では、式Iのβ−ジケトネート配位子内のR及びRの少なくとも1つが、異なるアルキル基であるか、又は非対称である。非対称なβ−ジケトネート配位子の例としては、限定されるものではないが、2,2−ジメチルヘキセン−3,5−ジオン(「dmhd」)、6−メチル−2,4−ヘタンジオン(「mhd」)及び6−メトキシ−5,5−ジメチルヘキセン−2,4−ジオン(「methd」)が挙げられる。
【0043】
他の実施形態では、β−ジケトネート配位子内のR及びRの少なくとも1つが、同じアルキル基であるか、又は対称的である。対称的なβ−ジケトネート配位子の例としては、限定されるものではないが、2,4−ペンタンジオン(「acac」)、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト(「thd」)、2,2,7−トリメチル−3,5−オクタンジオナト(「tod」)及び1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン(「dbm」)が挙げられる。
【0044】
特定の実施形態では、第4族金属含有前駆体は、次の性質:より低い分子量(例えば、500m.u.以下)、より低い融点(例えば、100℃以下)、より高い蒸気圧(例えば、0.5torr以上)の少なくとも1つを示す液体である。本明細書に開示されている前駆体のための典型的な融点温度としては、次の終点温度:100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、及び/又は30℃のいずれか1つ以上を有する範囲が挙げられる。特定融点範囲の例としては、限定されるものではないが、100℃以下、75℃以下、又は60℃以下が挙げられる。
【0045】
本明細書に開示されている組成物のある実施形態では、組成物は、複数種類(例えば、2種類以上の第4族金属含有前駆体)で構成される。この又は他の実施形態では、複数の第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、本明細書に開示されている式Iを有する第4族金属含有前駆体を含む。特定の実施形態では、この組成物は、第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(イソプロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、ビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第4族金属含有前駆体を含む。
【0046】
また、例えば半導体デバイスを製造するのに使用できる、第4族金属含有酸化物膜、金属含有窒化物膜、金属含有酸窒化物膜、金属含有ケイ酸塩膜、多成分系金属酸化物膜、及びこれらの任意の組み合わせ又はその積層体を形成するための方法も、本明細書に開示されている。一実施形態では、本明細書で開示されている方法により、従来の熱酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸化ジルコニウム/ハフニウム誘電体のいずれかのものより実質的に高い誘電率を有する第4族金属又は多成分系金属酸化物膜が提供される。
【0047】
本明細書に開示されている方法により、原子層成長(ALD)又は化学気相成長(CVD)プロセスを用いて、第4族金属含有膜を堆積させる。本明細書に開示されている方法のための適切な蒸着プロセスの例としては、限定されるものではないが、サイクリックCVD(CCVD)、MOVCD(金属有機CVD)、熱化学気相成長、プラズマ化学気相成長(PECVD)、高密度化学気相成長(PECVD)、光子補助化学気相成長(PACVD)、プラズマ−光子補助化学気相成長(PPECVD)、低温化学気相成長、化学補助気相成長、熱フィラメント化学気相成長、液体ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体からの堆積、及び低エネルギーCVD(LECVD)が挙げられる。ある実施形態では、プラズマALD(PEALD)又はプラズマサイクリックCVD(PECCVD)法によって金属含有膜を堆積させる。これらの実施形態では、堆積温度は、比較的低いか、又は200℃〜400℃の範囲でよく、最終用途に必要とされる膜物性の詳細を調整するためのより広いプロセス・ウィンドウが可能になる。PEALD又はPECCVD堆積のための典型的な堆積温度としては、次の終点温度:200、225、250、275、300、325、350、375、及び/又は400℃のいずれか1つ以上を有する範囲が挙げられる。
【0048】
本明細書で開示されている方法の一実施形態では、式Iを有する第4族金属含有前駆体、ケイ素含有前駆体、酸素源、及び任意に窒素源を用いて、第4族金属ケイ酸塩又は金属酸窒化ケイ素膜を基板の少なくとも1つの表面上へ形成する。金属含有及びケイ素含有前駆体は、典型的には、液体形態又は気相のいずれかで反応することにより、膜形成を阻害するが、本明細書に開示されている方法では、反応器への導入前及び/又は導入中に前駆体を分けるALD又はCCVD法を用いることにより、金属含有及びケイ素含有前駆体の前反応を避ける。これに関して、金属含有膜を堆積させるために、例えば、ALD又はCCVDプロセスなどの堆積技術を使用する。例えば、ある実施形態では、金属含有膜を堆積させるためにALDプロセスを使用する。典型的なALDプロセスでは、基板表面を金属アミド又はケイ素含有前駆体に交互に曝露することにより、膜を堆積させる。表面反応、各前駆体のパルス長、及び堆積温度の自己限定的な制御により、膜成長が進む。しかし、基板の表面が飽和すると直ぐに、膜成長が停止する。さらに別の実施形態では、CCVDプロセスを用いて金属含有膜を堆積させてよい。この実施形態では、ALDウィンドウよりも高い温度範囲か、又は350℃〜600℃の温度範囲を用いてCCVDプロセスを実施することにより、例えば前駆体の分解を防いでもよい。CCVD堆積のための典型的な堆積温度としては、次の終点温度(これらは摂氏温度で規定される):200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、及び/又は600℃の1つ以上を有する範囲が挙げられる。
【0049】
ある実施形態では、本明細書に開示されている方法により、金属ケトイミネート前駆体及び酸素源を用いて多成分系金属酸化物膜を形成する。
【0050】
前述のように、本明細書に開示されている方法により、例えば、本明細書に記述されている式Iを有する第4族金属含有前駆体などの少なくとも1種類の金属前駆体、任意に少なくとも1つのケイ素含有前駆体、任意に酸素源、任意に追加の金属を含有するか、又は他の金属を含有する前駆体、任意に還元剤、及び任意に窒素源を用いて、金属含有膜を形成する。本明細書で使用される前駆体及び供給源を「ガス状」として時に記述することがあるが、前駆体は、不活性ガスの有無によらず直接気化、バブリング又は昇華によって反応器中に輸送される液体又は固体のいずれかでよいと理解されたい。幾つかの場合には、揮発した前駆体をプラズマ発生器に通してよい。
【0051】
ある実施形態では、本明細書に記述されている第4族金属含有前駆体に加えて、他の金属含有前駆体を使用できる。一般に半導体製造に使用される金属としては、金属アミドのための金属成分として使用されるものが挙げられ、チタン、タンタル、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛、トリウム、ビスマス、ランタン、ストロンチウム、バリウム、鉛、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書に開示されている方法とともに使用してよい他の金属含有前駆体の例としては、限定されるものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert‐ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert‐ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert‐ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert−アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert−アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)バリウム、M(R5−m−n(式中、M=Sr又はBaであり、nは1〜4の整数であり、n+m=5である)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
一実施形態では、金属含有膜を提供するために本明細書に記述されている第4族金属前駆体に加えて使用できる金属含有前駆体は、例えば、本出願人の同時係属出願である米国特許出願公開第2007/0248754号明細書、米国特許出願公開第2009/0136677号明細書、及び米国特許出願公開第2009/0136685号明細書(これらの全てが参照により全体で本明細書に援用される)に記述されている多座配位β−ケトイミネートである。ある実施形態では、多座配位β−ケトイミネートは、イミノ基中にアルコキシ基を組み入れていてよい。多座配位β−ケトイミネートは、下記構造式A及びBによって表される基から選択される。
【0053】
構造式Aは:
【0054】
【化10】
【0055】
(式中、Mは、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムなどの第2族金属である)として規定される。好ましくは、Mはストロンチウム又はバリウムである。本発明の錯体に利用される有機基(すなわち、R基)としては、各種の有機基が挙げられ、それらは直鎖又は分岐鎖でよい。好ましい実施形態では、Rは、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される。本明細書で使用されるように、「アルコキシアルキル」基とは、C−O−C部分を含むエーテル状部分をいう。例としては、−CHCH−O−CHCH−O−CH及び−CHCH−O−CH−O−CHが挙げられる。好ましくは、Rは、例えば、tert‐ブチル基、sec−ブチル、及びtert−ペンチル基などの4〜6個の炭素原子を含むかさ高いアルキル基である。最も好ましいR基は、tert‐ブチル又はtert−ペンチルである。好ましくは、Rは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される。より好ましくは、Rは、水素又はC〜Cアルキルである。好ましくは、Rは、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される。より好ましくは、Rは、C〜Cアルキルである。好ましくは、Rは、C〜Cの直鎖又は分岐鎖アルキレンであり、より好ましくはRは、3又は4個の炭素原子を含み、かつ少なくとも1つの不斉中心炭素原子を有する分岐鎖アルキレン架橋基を含む。好ましくは、Rは、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される。より好ましくは、RはC〜Cアルキルである。
【0056】
これらの金属含有錯体の具体例は、下記式B:
【0057】
【化11】
【0058】
(式中、Mは、2〜5の原子価を有する金属基であり;Rは、1〜10個の炭素原子を有する、アルキル、アルコキシアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;Rは、水素、アルキル、アルコキシ、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;Rは、アルキル、アルコキシアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;Rは、C3〜10の直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり、好ましくは、Rは、少なくとも1つの不斉炭素原子を有しており;R5−6は、独立してアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、アリール、及び酸素又は窒素原子のいずれかを含む複素環式基からなる群から選択され;nは、金属Mの原子価と等しい整数である)によって表される。
【0059】
堆積させられた金属膜が金属ケイ酸塩である実施形態では、堆積プロセスは、少なくとも1種のケイ素含有前駆体の導入をさらに包含する。適切なケイ素含有前駆体の例としては、モノアルキルアミノシラン前駆体、ヒドラジノシラン前駆体、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ある実施形態では、ケイ素含有前駆体は、少なくとも1つのN−H部分及び少なくとも1つのSi−H部分を有するモノアルキルアミノシラン前駆体を含む。N−H部分及びSi−H部分の両方を含む適切なモノアルキルアミノシラン前駆体としては、
例えば、ビス(tert‐ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、トリス(tert‐ブチルアミノ)シラン、ビス(イソプロピルアミノ)シラン、トリス(イソプロピルアミノ)シラン、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、モノアルキルアミノシラン前駆体は、式(RNH)SiR4−(n+m)(式中、R及びRは同一か、又は異なっており、かつ独立してアルキル、ビニルアリル、フェニル、環状アルキル、フルオロアルキル、及びシリルアルキルからなる群から選択され、nは、1〜3の範囲の数であり、mは、0〜2の範囲の数であり、そして「n+m」の合計は、3以下の数である)を有する。別の実施形態では、ケイ素含有前駆体は、式(RN−NH)SiR4−(x+y)(式中、R及びRは同一か、又は異なっており、かつ独立してアルキル、ビニル、アリル、フェニル、環状アルキル、フルオロアルキル、シリルアルキルからなる群から選択され、xは、1〜2の範囲の数であり、yは、0〜2の範囲の数であり、「x+y」の合計は、3以下の数である)を有するヒドラジノシランを含む。適切なヒドラジノシラン前駆体の例としては、限定されるものではないが、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)−シラン、トリス(1,1−ジメチルヒドラジノ)シラン、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)エチルシラン、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)イソプロピルシラン、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)ビニルシラン、及びこれらの混合物が挙げられる。堆積法に応じて、ある実施形態では、予め定められたモル体積か、又は約0.1〜約1000ミクロモルでケイ素含有前駆体を反応器中に導入してよい。この又は他の実施形態では、ケイ素含有前駆体を反応器中に予め定められた期間か、又は約0.001〜約500秒間で導入してよい。このケイ素含有前駆体は、金属アミドと酸素源の反応により形成された金属ヒドロキシル基と反応して、基板の表面上に化学的に吸着せしめられ、金属−酸素−ケイ素及び金属−酸素−窒素−ケイ素の結合によって酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素の形成が行なわれ、したがって、金属ケイ酸塩又は金属酸窒化ケイ素膜が提供される。
【0060】
堆積法に応じて、ある実施形態では、予め定められたモル体積か、又は約0.1〜約1000ミクロモルで、1種以上の第4族金属含有前駆体又は他の前駆体を反応器中に導入してよい。この又は他の実施形態では、この(これらの)前駆体を反応器中に予め定められた期間か、又は約0.001〜約500秒間導入してよい。
【0061】
前述のように、本明細書に記述されている方法を用いて堆積させた膜のあるもの(例えば、金属ケイ酸塩又は金属酸窒化ケイ素膜)を酸素の存在下で形成してよい。酸素源は、少なくとも1つの酸素源の形態で反応器中に導入するか、及び/又は堆積プロセスで使用される他の前駆体中に付随的に存在してよい。適切な酸素源ガスとしては、例えば、水(HO)(例えば、脱イオン水、浄化水、及び/又は蒸留水)、酸素(O)、酸素プラズマ、オゾン(O)、NO、NO、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)及びこれらの組み合わせが挙げられる。ある実施形態では、酸素源は、約1〜約2000標準立方センチメートル(sccm)又は約1〜約1000sccmの範囲の流量で反応器中に導入される酸素源ガスを含む。酸素源は、約0.1〜約100秒の範囲に亘る時間で導入できる。特定の実施形態では、酸素源は、10℃以上の温度を有する水を含む。膜がALDプロセスにより堆積させられるこの又は他の実施形態では、前駆体のパルス導入は、0.01秒を超えるパルス期間を有することができ、酸化剤のパルス期間は、0.01秒を超えるパルス期間を有することができる一方で、水のパルス期間は、0.01秒を超えるパルス期間を有することができる。さらに別の実施形態では、このパルス間のパージ期間は0秒程度でよい。
【0062】
本明細書に開示されている堆積法は、1つ以上のパージガスを伴ってよい。未消費反応物及び/又は反応副生成物をパージするために使われるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスであり、好ましくはAr、N、He、H及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。ある実施形態では、例えば、Arなどのパージガスを、反応器中に約10〜約2000sccmの範囲の流量で、約0.1〜1000秒間供給することによって、反応器中に残留している未反応材料及び任意の副生成物をパージする。
【0063】
例えば、金属酸窒化ケイ素膜が堆積させられる態様のような特定の実施形態では、例えば、窒素源などの追加のガスを反応器中に導入してよい。窒素源ガスの例としては、例えば、NO、NO、アンモニア、アンモニアプラズマ、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
本明細書に記述されている方法の特定の実施形態では、反応器又は堆積室の温度は、周囲温度(例えば、25℃)〜約700℃の範囲でよい。ALD又はCVD堆積法のための典型的な反応器温度としては、次の終点温度:25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、及び/又は700℃の1つ以上を有する範囲が挙げられる。特定の反応器温度範囲の例としては、限定されるものではないが、25℃〜375℃、75℃〜700℃、又は325℃〜675℃が挙げられる。この又は他の実施形態では、圧力は、約0.1Torr〜約100Torr又は約0.1Torr〜約5Torrの範囲でよい。特定の実施形態では、100mTorr〜600mTorrの範囲の圧力で熱CVDプロセスを用いて、誘電体膜を堆積させる。別の特定の実施形態では、1Torr以下の温度範囲でALDプロセスを用いて、誘電体膜を堆積させる。
【0065】
本明細書に記述されている方法の特定の実施形態では、反応器又は堆積室中の基板の温度は、周囲温度(例えば、25℃)〜約700℃の範囲でよい。ALD又はCVD堆積のための典型的な基板温度としては、次の終点温度:25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、及び/又は700℃の1つ以上を有する範囲が挙げられる。特定の基板温度範囲の例としては、限定されるものではないが、25℃〜375℃、75℃〜700℃、325℃〜675℃が挙げられる。ある実施形態では、基板温度は、堆積中の反応器温度と同一であるか、又は同一の温度範囲でよい。他の実施形態では、基板温度は、堆積中の反応器温度と異なる。
【0066】
得られる金属ケイ酸塩、金属酸窒化ケイ素膜、又は他の金属含有膜の化学量論的組成を変えるために、前駆体、酸素源、及び/又は他の前駆体若しくはソースガスを供給する各工程をそれらの供給時間を変えることにより行なってよい。
【0067】
反応を誘起して基板上に金属含有膜を形成するために、前駆体、酸素源ガス、還元剤、又はこれらの組み合わせの少なくとも1つに対してエネルギーを適用する。そのようなエネルギーは、限定されるものではないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子線、光子、及びリモートプラズマ法によって提供できる。ある実施形態では、基板表面でプラズマ特性を改良するために、二次RF周波数源を使用できる。堆積法がプラズマを伴う実施形態では、プラズマ発生プロセスは、プラズマが反応器内で直接に発生する直接プラズマ発生プロセスか、又は代わりにプラズマが反応器の外側で発生し、かつ反応器中に供給されるリモートプラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0068】
本明細書に開示されている方法のさらに別の実施形態では、第4族金属含有膜は、a.気相状態の第4族金属含有前駆体を堆積室中に導入して、加熱されている基板上に金属含有前駆体を化学的に吸着させる工程;b.未反応の第4族金属含有前駆体をパージする工程;c.加熱された基板上に酸素源を導入して、吸着している第4族金属含有前駆体と反応させる工程;及びd.未反応の酸素源をパージする工程を含む蒸着法を用いて形成される。上記工程は、本明細書に記述されている方法の1サイクルを規定し;金属含有膜の所望の厚さが得られるまで、このサイクルを繰り返すことができる。この又は他の実施形態では、本明細書に記述されている方法の工程は、各種の順序で行なってよく、連続して、又は同時に(例えば、別の工程の少なくとも一部分中に)、及び任意の組み合わせで行なってよいものと理解されたい。得られる金属酸化物膜の化学量論的組成を変えるために前駆体及び酸素源ガスを供給する期間を変えることにより、それらを供給する各工程を行なってよい。例えば、ストロンチウム及びバリウム含有膜などの多成分系金属酸化物膜については、ストロンチウム含有前駆体、バリウム含有前駆体又は両前駆体を工程aにおいて反応器チャンバ中に交互に導入することができる。
【0069】
第4族金属含有前駆体及び/又は他の金属含有前駆体を各種の方法で、例えば、CVD若しくはALD反応器又は反応チャンバなどの堆積室に送達してよい。一実施形態では、液体送達システムを利用してよい。代替的な実施形態では、低揮発度材料を容量分析的に送達して、前駆体の熱分解を使わずに、再生産可能な送達及び堆積を行なうことを可能ならしめるために、例えば、MSP社(ミネソタ州Shoreview)製のターボ噴霧器などの液体送達/フラッシュ蒸発プロセス複合ユニットを利用してよい。
【0070】
液体送達処方では、本明細書に記述されている前駆体は、純液体形態で送達するか、又は代わりにそれを含む溶剤処方又は組成物中で利用してよい。したがって、ある実施形態では、前駆体処方は、基板上に膜を形成する所定の最終用途において好ましく、かつ有利であるような、適切な特性の1種以上の溶媒成分を含んでよい。例えば、前駆体組成物の粘度を調整するか、溶媒に含まれる特定の金属前駆体の液体送達蒸発及び/又は輸送を助けるか、堆積プロセスで用いる1種以上の前駆体を可溶化するか、又はこれらの組み合わせのために、溶媒を加えてよい。特定の実施形態では、25℃で50センチポアズ(cP)以下の粘度を示す前駆体組成物を提供するために、本明細書に記述されている第4族金属含有前駆体を適切な溶媒又は溶媒混合物中に溶解させることにより、直接液体送達法を利用できる。
【0071】
ある実施形態では、本前駆体組成物は、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、及び/又はペンタンなどのC〜C12脂肪族炭化水素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、及び/又はメシチレンなどのC〜C18芳香族炭化水素)、エーテル(例えば、C〜Cアルキル部分を含むジアルキルエーテル、C〜C環状エーテル;C12〜C60クラウンO〜O20エーテル(式中、接頭のC範囲はエーテル化合物中の炭素原子の数iであり、接尾のOの範囲はエーテル化合物中の酸素原子の数iである)、エステル、ニトリル、アルコール(例えば、C〜C12アルカノール)、アミン(例えば、トリエチルアミン及び/又はtert−ブチルアミン)、ポリアミン、アミド、イミン及びカルボジイミド(例えば、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド)、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアナジン、及び/又はイソ尿素などの溶媒又は溶媒の混合物を含む。溶媒のさらなる例としては、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒が挙げられる。特定の実施形態では、第4族金属前駆体組成物中の溶媒は、式RCONR1011{式中、R及びR10は、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、ある実施形態では結合して環状基(CH)n(式中、nは4〜6である)を形成することができ、R11は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル及び環状アルキル基からなる群から選択される}を有する有機アミドを含む。式RCONR1011を有するアミドの具体例としては、N−メチル−又はN−エチル−又はN−シロクヘキシル−2−ピロリジノン、N,N−ジエチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルホルムアミドが挙げられる。
【0072】
特定の実施形態では、本前駆体組成物は、25℃で測定したときに、50センチポアズ(cP)以下、又は45cP以下、又は40cP以下、又は35cP以下、又は30cP以下、又は25cP以下、又は20cP以下、又は15cP以下、又は10cP以下の粘度を有する液状第4族金属含有前駆体を含む。この又は他の実施形態では、前駆体組成物は、25℃で50cP以下の粘度を有する液状第4族金属含有前駆体;本明細書に記述されているが、25℃で100cP以上の粘度を有する少なくとも1種の第4族金属含有前駆体;25℃で5cP以下の粘度を有する少なくとも1種の溶媒;及び所望により、第4族金属含有前駆体以外の追加の金属含有前駆体を含む。この実施形態では、第4族金属含有前駆体の全濃度は、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、又は75重量%以上である。前駆体組成物のための少なくとも1種の溶媒の例としては、限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、直鎖又は環状エーテル、エステル、ニトリル、アルコール、アミン、ポリアミン、有機アミド、及びこれらの組み合わせなどの、本明細書に記述されている溶媒の1種以上が挙げられる。特定の実施形態では、本前駆体組成物は、例えば、オクタンなどの脂肪族炭化水素を含む。
【0073】
本明細書に記述されている方法の一実施形態では、例えば、CCVD、ALD、又はPEALDなどのサイクリックな堆積プロセスを利用してよく、この際に、第4族金属含有前駆体又はその溶液及び例えば、オゾン、酸素プラズマ若しくは水プラズマなどの酸素源を利用する。前駆体容器から堆積室につながっているガス管を、プロセスの要求に応じて約110℃〜約200℃の範囲の1つ以上の温度に加熱し、第4族金属含有前駆体の容器をバブリングのために約100℃〜約190℃の範囲の1つ以上の温度に保つ一方で、直接液体注入のために、約150℃〜約200℃の範囲の1つ以上の温度に保たれた噴霧器中に第4族金属含有前駆体を含む溶液を注入する。第4族金属含有前駆体のパルス導入中にその前駆体の蒸気を堆積室に送達するのを助けるために、100〜1000sccmの流量のアルゴンガスをキャリアガスとして利用してよい。堆積室プロセス圧力は約1Torrである。典型的なALD又はCCVDプロセスでは、例えば、酸化ケイ素又は金属窒化物などの基板を堆積室中の試料加熱台上で加熱し、最初に錯体を基板の表面上へ化学的に吸着させるため、基板を第4族金属含有前駆体に曝露する。例えば、アルゴンガスなどの不活性ガスによって、未吸着の過剰な錯体を処理室からパージする。十分なArパージ後、酸素源を堆積室中に導入して、吸着表面と反応させて、次に、別の不活性ガスをパージして、反応副生成物をチャンバから除去する。所望の膜厚を得るために、このプロセスサイクルを繰り返すことができる。
【0074】
別の実施形態では、本明細書に記述されている方法は、複数の前駆体を連続して堆積室中に導入し、三座金属酸化物膜を形成するための条件下において基板上で前駆体を気化させて堆積させる、三座金属酸化物膜の形成のためのサイクリック堆積プロセスである。
【0075】
別の実施形態では、得られる金属酸化物膜を、限定されるものではないが、例えば、プラズマ処理、化学処理、紫外線照射、電子ビーム照射、及び/又は膜の1つ以上の性質に影響する他の処理などの堆積後の処理にさらすことができる。特定の実施形態では、膜を堆積後の処理にさらして緻密化する。
【0076】
前述のように、金属含有膜を基板の少なくとも一部分上に堆積させるために、本明細書に記述されている方法を使用してよい。適切な基板の例としては、限定されるものではないが、ケイ素、SiO、Si、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化炭窒化ケイ素、ホウ窒化物、反射防止コーティング、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔質の有機及び無機材料、例えば、銅及びアルミニウムなどの金属、並びに限定されるものではないが、例えば、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、又はWNなどの導電性金属層が挙げられる。これらの膜は、例えば、化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスなどの各種の次の処理工程に適合可能である。適切な基板の例としては、限定されるものではないが、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタンをドープされた酸化イットリウム、チタンをドープされた酸化ランタン、及びチタンをドープされた他のランタニド酸化物などの半導体材料が挙げられる。
【0077】
堆積した誘電体膜は、限定されるものではないが、コンピューターチップ、光学デバイス、磁気情報記憶媒体、支持材料又は基板上のコーティング、微小電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム、薄膜トランジスタ(TFT)、及び液晶ディスプレイ(LCD)などを含む用途を有する。
【0078】
次の実施例では、本明細書に記述されている第4族金属含有前駆体を用いて、第4族金属含有前駆体を調製し、かつ膜を堆積させる方法が説明されるが、多少なりともそれらを限定するものではない。
【実施例】
【0079】
次の実施例では、Hewlett Packard5890型11G.C.及びHP−5MSを有する5972型質量選択検出器によって、実施例のG.C.M.S.スペクトル測定を行なった。500MHzで稼動するBruker AMX500分光計によって、実施例のNMR分析値を得た。Hにおいて7.16ppmでCから化学シフトを設定した。不活性雰囲気下で、100標準立方センチメートル(sccm)の窒素の動的流量及び10℃/min.のランプ速度でNetzsch STA449Cを用いて、示差走査熱量測定(DSC)又は熱重量分析によって、特定の化合物の融点測定値を得た。
【0080】
実施例1:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=イソプロピル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
テトラヒドロフラン(THF)20mL中の1.00g(3.52mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの溶液に、5mLのTHF中の1.00g(7.04mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン(dmhd)を加えて、反応混合物を得た。得られた透明溶液を16時間加熱還流した。反応混合物からの全揮発物を除去したところ、1.50gの重量である粘性褐色油が生成した。収率は95%であった。H−NMRは、未配位の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン(dmhd)がないことを確認し、iPrO:Tiに配位しているdmhdの好ましい比が、2個のiPrO:2個のdmhd配位子であることを示す。元素分析:Ti(MeCCOCHCOMe)(OCHMeについての計算値:C,58.93;H,8.99.実測値:C,56.17;H,7.98.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.58(CH),5.04(CH),1.72(CH),1.40[(CH],1.06[C(CH].
【0081】
実施例2:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=tert‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)
の合成
THF20mL中の1.10g(3.23mmol)のTi(IV)t−ブトキシドの溶液に、THF5mL中の0.92g(6.47mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた黄色溶液を1時間還流した。真空下で反応混合物から全揮発物を除去した後に、1.53gの重量である粘性黄褐色油を得た。収率は99%であった。元素分析:Ti(MeCCOCHCOMe)(OCMeについての計算値:C,60.50;H,9.31.実測値:C,59.83;H,8.78.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.57(CH,dmhd),1.73(CH,dmhd),1.49(OC(CH),1.08(C(CH,dmhd).このTi前駆体のDSC測定値(図4では「Ti−1」として表す)によって、それが少なくとも290℃までは液相中で熱的に安定であることが示される。
【0082】
実施例3:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)ジルコニウム(R=R=tert‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
室温でのTHF20mL中の1.00g(2.61mmol)のZr(IV)t−ブトキシドの溶液に、THF5mL中の0.74g(5.21mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた反応混合物を1時間還流し、その後に、真空下で全揮発物を除去したところ、1.31gの重量である粘性黄色油が、96%の収率で得られた。元素分析:Zr(MeCCOCHCOMe)(OCMeについての計算値:C,55.45;H,8.53.実測値:C,52.26;H,7.28.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.61(CH,dmhd),1.74(CH,dmhd),1.49(OC(CH),1.14(C(CH,dmhd).
【0083】
実施例4:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)ハフニウム(R=R=tert‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
室温でのTHF20mL中の1.00g(2.12mmol)のHf(IV)t−ブトキシドの溶液に、THF5mL中の0.60g(4.25mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた反応混合物を1時間還流し、その後に、真空下で全揮発物を蒸留したところ、1.26gの重量である透明粘性油が得られた。収率は98%であった。元素分析:Hf(MeCCOCHCOMe)(OCMeについての計算値:C,47.48;H,7.30.実測値:C,46.22;H,6.60.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.58(CH,dmhd),1.73(CH,dmhd),1.51(OC(CH),1.13(C(CH,dmhd).
【0084】
実施例5:ビス(tert−ブトキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=tert‐ブチル;R=イソブチル;R=H;R=メチル)の合成
THF20mL中の1.00g(2.94mmol)のチタン(IV)t−ブトキシドの透明溶液に、THF5mL中の0.84g(5.88mmol)の6−メチル−2,4−ヘプタンジオン(mhd)を加えて、反応混合物を得た。得られた黄色反応混合物を1時間還流し、その後に、真空下で全揮発物を蒸発させたところ、1.33gの粘性暗緑色油が得られた。収率は95%であった。元素分析:Ti(MeCHCHCOCHCOMe)(OCMeについての計算値:C,60.50;H,9.31.実測値:C,56.80;N,H,8.01.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.34(CH,mhd),2.27−1.92(CH),1.80−1.71(CH,mhd),1.54−1.52(OC(CH),1.02(CH(CH,mhd),0.88((CH,mhd).
【0085】
実施例6:ビス(メトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=メチル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
THF25mL中の1.00g(5.81mmol)のチタン(IV)メトキシドの白色懸濁液に、THF5mL中の1.65g(11.62mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加え、反応混合物を得た。得られた反応混合物(これは白色スラリーであった)を1時間還流して、透明溶液を形成した。全揮発物の除去によって、2.23gのベージュ色固体を得たところ、収率は98%であった。DSCによって、それが65℃の融点を有することが示された。元素分析:Ti(MeCCOCHCOMe)(OMe)についての計算値:C,55.11;N,0.00;H,8.22.実測値:C,54.50;N,0.18;H,7.54.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.59(s,1H),4.43−4.39(b,3H),1.81,1.71(two s,3H),1.22,1.04(two s,9H).
【0086】
実施例7:ビス(エトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=エチル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
THF20mL中の1.00g(4.38mmol)のチタン(IV)エトキシドの透明溶液に、THF5mL中の1.25g(8.77mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。反応混合物(最初は透明溶液であった)を1時間に加熱還流し、その後に、THFを真空下で蒸発させ、1.81gの桃茶色油が、収率98%で得られた。元素分析:Ti(MeCCOCHCOMe)(OEt)についての計算値:C,57.14;H,8.63.実測値:C,55.37;H,7.71.H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.60(s,1H),4.70(b,2H),1.85,1.73(two s,3H),1.32(b,3H),1.25,1.04(two s,9H).
【0087】
実施例8:ビス(イソプロポキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=イソプロピル;R=イソブチル;R=H;R=メチル)の合成
THF20mL中の1.00g(3.52mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドの透明溶液に、THF5mL中の1.00g(7.04mmol)の6−メチル−2,4−ヘプタンジオンを加えて、反応混合物を得た。反応混合物(最初は透明であった)は、反応が進むにつれて、深黄色から琥珀色に変色した。1時間の還流後に、真空下で反応混合物から全揮発物を蒸発させたところ、1.55gの粘性暗琥珀色油が、98%の収率で得られた。
【0088】
実施例9:ビス(n−プロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=n−プロピル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
室温(例えば、約25℃)での50mLのヘキサン中の6.34g(22.30mmol)のチタン(IV)n−プロポキシドの透明溶液に、25mLのヘキサン中の6.34g(44.60mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを滴加した。反応混合物を16時間で還流し、その後に、真空下で全揮発物を吸引した。反応混合物から生成した油を125mTorrの真空下で160℃の真空蒸留加熱に供したところ、約9.40gの黄緑色油が得られた。収率は94%であった。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.59(s,CH),4.63(b,OCHCHCH),1.82,1.72(two s,CH),1.72(m,OCHCHCH),1.25,1.06(two s,C(CH),1.02(t,OCHCHCH).
【0089】
実施例10:ビス(イソブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=イソブチル;R=t−ブチル;R=H;R=メチル)の合成
室温でのTHF50mL中の7.14g(20.99mmol)のTi(IV)イソブトキシドの溶液に、THF25mL中の5.97g(41.98mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを滴加した。反応混合物を16時間還流し、その後に、THFを真空下で吸引した。不透明な桃色油を単離したところ、9.94gの重量であった。200mTorrの真空下において175℃で加熱することにより、粗製油を真空蒸留に供した。約8.53gの粘性黄色油が集められた。収率は85%であった。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.59(CH),4.50[OCHCH(CH],2.00[OCHCH(CH],1.85−1.72(three s)(CH),1.26,1.07(two s)[(CH],1.04[OCHCH(CH
【0090】
実施例11:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=tert‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=エチル)の合成
65mLのTHF中の6.75g(19.82mmol)のTi(IV)tert−ブトキシドの溶液に、THF10mL中の6.19g(39.64mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。淡黄色固体を単離したところ、9.98gの重量であった。DSCによって、それが113℃の融点を有することが示された。収率は99.8%であった。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.61−5.58(four s)(CH),2.17,2.04(two m)(CHCH),1.50[OC(CH],1.28,1.10,1.09(three s)[(CH],1.17,0.96(two m)(CHCH).
【0091】
実施例12:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=イソプロピル;R=t−ブチル;R=H;R=エチル)の合成
65mLのTHF中の5.97g(20.99mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの溶液に、10mLのTHF中の6.56g(41.98mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加した。反応混合物を16時間還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。粘性琥珀色油を単離したところ、9.95gの重量であった。収率は99.5%であった。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.61(CH),5.02[OCH(CH],2.17,2.02(two m)(CHCH),1.44−1.32[OCH(CH],1.26,1.07(two s)[(CH],1.16(m),0.94(t)(CHCH
【0092】
実施例13:ビス(エトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=エチル;R=t−ブチル;R=H;R=エチル)の合成
65mLのTHF中の5.09g(20.30mmol)のTi(IV)エトキシドの溶液に、10mLのTHF中の6.97g(44.60mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加した。反応混合物を16時間還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。灰色がかった白色固体を単離したところ、9.83gの重量であった。収率は98.3%であった。DSCによって、それが46℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.62(CH),4.69(OCHCH),2.14,2.02(two b)(CHCH),1.32(OCHCH),1.24,1.06(two s)[(CH],1.12,0.94(two b)(CHCH).
【0093】
実施例14:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=t−ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=イソプロピル)の合成
65mLのTHF中の6.39g(18.78mmol)のTi(IV)tert−ブトキシドの小麦色−黄色溶液に、10mLのTHF中の6.39g(37.55mmol)の2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間加熱還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。灰色がかった白色固体を単離したところ、9.75gの重量であった。収率は97.5%であった。DSCによって、196℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.63,5.61(two s)(CH),2.39,2.26(two m)[CH(CH],1.49[OC(CH],1.28,1.10[(CH],1.22(d),1.06(dd),0.98(dd)[CH(CH
【0094】
実施例15:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=イソプロピル;R=t−ブチル;R=H;R=イソプロピル)の合成
65mLのTHF中の5.63g(19.82mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの溶液に、10mLのTHF中の6.75g(39.64mmol)の2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。黄色−ベージュ色固体を単離したところ、約10gの重量であった。収率は100%であった。DSCによって、それが138℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.65,5.64(two s)(CH),4.98[OCH(CH],2.38,2.25(two m)[CH(CH],1.39,1.31[OCH(CH],1.27,1.08(two s)[(CH],1.21,1.04,0.96(three d)[CH(CH].
【0095】
実施例16:ビス(エトキシ)ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=エチル;R=t−ブチル;R=H;R=イソプロピル)の合成
65mLのTHF中の4.79g(20.99mmol)のTi(IV)エトキシドの溶液に、10mLのTHF中の7.15g(41.98mmol)の2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間加熱還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。ろう状ワイン色固体を単離したところ、9.93gの重量であった。収率は99.3%であった。DSCによって、それが51℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.66(CH),4.67(OCHCH),2.38,2.24(two m)[CH(CH],1.31(OCHCH),1.25,1.07(two s)[(CH],1.19(d),1.03(b),0.91(b)[CH(CH].
【0096】
実施例17:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2−アセチルシクロヘキサノネート)チタン(R=R=t−ブチル;R及びRは六員環を形成する;R=メチル)の合成
室温でのTHF50mL中の7.21g(21.17mmol)のTi(IV)tert−ブトキシドの溶液に、THF25mL中の5.93g(42.33mmol)の2−アセチルシクロヘキサノンを滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を4時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。得られたバーガンディブラウンのろう状固体を精製のために熱ヘキサンに溶解させた。溶液を−40℃に保った後に、約7.89gの淡ベージュ色固体を単離した。収率は79%であった。DSCによって、それが84℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):2.24−2.04(three m)(CH),1.84−1.77(three s)(CH),1.56[OC(CH],1.35(CH).
【0097】
実施例18:ビス(イソプロポキシ)ビス(3−エチル−2,4−ペンタンジオナト)チタン(R=R=イソプロピル;R=メチル;R=メチル;R=メチル)の合成 50mLのTHF中の6.73g(23.68mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの透明溶液に、THF25mL中の6.07g(47.35mmol)の3−エチル−2,4−ペンタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。約9.39gの橙琥珀色油を単離した。真空蒸留による精製を試みたところ、150℃を超える温度では生成物が分解した。精製後、収率は20%であった。
【0098】
実施例19:ビス(イソブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=イソ‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル)の合成
室温でのTHF50mL中の6.07g(17.84mmol)のTi(IV)イソブトキシドの溶液に、THF25mL中の6.57g(35.67mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。9.88gの重量である白色固体を単離した。この白色固体のDSCによって、それが154℃の融点を有することが示された。
【0099】
実施例20:ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンの合成
65mLのTHF中の4.52g(19.82mmol)のTi(IV)エトキシドの薄黄色溶液に、10mLのTHF中の7.31g(39.64mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加した。この反応物を16時間加熱還流し、その後に、全揮発物を真空下で吸引した。10gの淡緑色固体を単離したところ、100%の収率であった。TGAによって、それが40℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.88(CH),4.64(OCH),1.29(OCHCH),1.25,1.07(two s)[(CH].
【0100】
実施例21:ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、(エトキシ)(イソプロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、及びビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=エチル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル;R=R=イソプロピル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル;及びR=エチル;R=イソプロピル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル)を含む組成物の合成
THF75mL中の20%チタン(IV)イソプロポキシドを含む5.00g(21.92mmol)のチタン(IV)エトキシドの透明溶液に、THF25mL中の8.08g(43.83mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた反応混合物(これは透明溶液であった)を16時間加熱還流し、その後に、全揮発物を真空下で蒸発させて、10.93gの淡黄色油を得た。この粗製材料を150mTorrの真空下において160℃での真空蒸留加熱に供した。白色がかったピンク色固体となり、その重量は7.85gであった。収率は71%であった。固体のDSCによって、33℃の融点を有することが示された。NMRによって、この固体がTi(OEt)(TMHD)(58重量%)、Ti(OEt)(OPr)(TMHD)(34重量%)及びTi(OPr(TMHD)(8重量%)の混合物からなることが示された。比較すると、純粋で市販のTi(OPr(TMHD)(SAFCハイテック(Hitech)社、製品コードTI−2−2を参照)の融点は>170℃である。TGAによって、この混合物が純Ti(OPr(TMHD)と類似の気化特性を有することが示された。
【0101】
実施例22:ビス(n−プロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R=n−プロピル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル)の合成
室温で40mLのヘキサン中の5.34g(18.78mmol)のチタン(IV)n−プロポキシドの透明溶液に、10mLのヘキサン中の6.92g(37.55mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。白色固体を単離して、125mTorrの真空下において180℃で真空蒸留加熱に供した。約9.53gのろう状ピンク色固体に移行した。収率は95%であった。固体のDSCによって、それは93℃の融点を有することが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.89(s,CH),4.60(t,OCHCHCH),1.69(m,OCHCHCH),1.27,1.08(two s,C(CH),1.01(t,OCHCHCH).
【0102】
実施例23:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R=イソプロピル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル;R=R=n‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル;及びR=イソプロピル;R=n‐ブチル;R=t−ブチル;R=H;R=t−ブチル)を含む組成物
室温において50mLのヘキサン中にイソプロポキシ:n−ブトキシを2:1の比で含む5.71g(18.29mmol)のチタン(IV)n−ブトキシイソプロポキシド錯体の透明溶液に、25mLのヘキサン中の5.20g(36.59mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えた。反応混合物を16時間還流し、次に全揮発物を真空下で吸引した。200mTorrの真空下において150℃で真空蒸留することによって、8.21gの黄緑色油を単離した。収率は82%であった。NMRによって、それがイソプロポキシ:n−ブトキシ基を1.4:1.2の比で含む混合物であることが示された。H−NMR(500MHz,C)d(ppm):5.58(s,CH),5.05(sp,OCH(CH),4.70(b,OCHCHCHCH),1.85−1.72(three s,CH),1.68(m,OCHCHCHCH),1.53(m,OCHCHCHCH),1.41−1.30(m,OCH(CH),1.26,1.06(two s,C(CH),0.93(t,OCHCHCHCH).前駆体組成物のTGA分析によって、それが市販の前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンと類似の気化特性を有することが示された(図8参照)。
【0103】
実施例24:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(本明細書では「Ti−1」という)、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(本明細書では「Ti−2」という)並びにTi−1又はTi−2及びオクタンを含む前駆体組成物の粘度
AR−G2レオメーター(TAインストルメンツ(TA Instruments)社、デラウェア州ニューキャッスル)を用いて、25℃における、Ti−1、Ti−2の純液体試料{100重量%(「wt.%」)}と、各種のwt.%のTi−1及びTi−2並びにオクタンを含む前駆体組成物の粘度を測定し、測定の結果を表1に示す。ペルチェ加熱デバイスを用いて、温度を所望の温度で制御した。60mm直径の平行板形態を使用した。試料投入後、せん断速度スウィープ測定前、600秒に亘って熱平衡を得た。1〜200s−1の範囲のせん断速度で粘度を測定した。全試料がニュートン液体であった。粘度を表1に示す。驚くべきことに、有意にはTi−Aの75wt.%溶液を含む溶液の粘度は10cP未満であり、オクタン中のTi−2の85wt.%溶液の粘度は10.6cPであった。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例25:バブリングを介した酸化チタン膜の原子層成長
本明細書に記述されているチタン前駆体及び比較用チタン前駆体及び酸素源としてのオゾンを用いるTiO膜の原子層成長を行なって、結果を図5に示す。基板は、1%HF溶液で洗浄し、脱イオン水で濯ぎ、そして窒素下で乾燥させたむき出しのケイ素ウエハーであった。図5に示すように、堆積温度は約200〜450℃の範囲であった。堆積室の圧力は、1.5Torr付近であった。次のチタン前駆体:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(図5ではTi−1という)、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(図5ではTi−2という)、ビス(イソブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(図5ではTi−3という)及び市販の固体前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(SAFCハイテック(Hitech)社、製品コードTI−2−2)(図5ではTi−4という)を含む容器を、前駆体に応じて100〜130℃に保った。
【0106】
本実施例では、TiOのALD又はCCVDの1サイクルは、次の4個の工程:
1.キャリアガスとしてアルゴン(Ar)を用いたバブリングによるチタン前駆体(Ti−1〜Ti−4)の導入;
2.Arを用いて未吸着チタン前駆体を除去するためのArパージ;
3.堆積室中へのオゾンの導入;及び
4.Arを用いて未反応オゾンを除去するためのArパージ
からなった。
【0107】
この実施例では、TiO膜を得たが、得られたTiO膜は堆積温度依存性を示した。典型的なALD条件は次の通りであった。Ti前駆体のパルス時間が3秒であり、Ti前駆体のパルス導入後のArパージ時間が8秒であり、オゾンのパルス時間が5秒であり、そしてオゾンパルス導入後のArパージ時間は10秒であった。このサイクルを100回繰り返す。結果を図5に示すが、図5から、ALDのプロセスウィンドウは約300℃以下であった。
【0108】
実施例26:直接液体注入又はバブリングを介した酸化チタン膜の原子層成長
本実施例によって、2つの異なる方法(例えば、バブリング及び直接液体注入システム)で同一前駆体を送達するときに、ALD堆積結果が実質的に等しくなることが示される。2つの異なる蒸気送達法を用い、チタン前駆体ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンを用いるTiO膜の原子層成長を図6に示す。実施例25に記述された前駆体ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンのALD堆積結果を「Ti−5」として図6に示す。
【0109】
前駆体組成物が75重量%ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン及び25重量%オクタンを含むDLI堆積結果を「75Ti−5」として図6に示す。75重量%のTi−5を含む小型容器の浸漬管側をDLIシステム内の注入バルブに接続し、液体を押し込むために約30psigの窒素を小型容器の他方の側に接続する。注入バルブによって140℃に設定した噴霧器中に液流コントローラー(LFC)を通して75mg/分の流量でTi溶液を押し込んだ。この注入バルブは常に開いていた。Ti溶液を噴霧器内で気化し、得られたTi含有蒸気をTiパルスの実施中に反応器チャンバに送達するか、又は他のパルスの実施中に排気ガスに送達した。堆積温度範囲は200〜400℃である。ガス流量に応じて、堆積室の圧力は1.5Torr付近の範囲である。バブリングが4つの工程であるのに対して、DLIでは、液体を注入するために追加の1工程を必要とする。
【0110】
前駆体がDLIによって送達されるALDの1サイクルは、次の5つの工程:
1.チタン前駆体組成物の導入;注入バルブを数ミリ秒間開けると、気化器内にチタン前駆体含有蒸気が与えられるであろう。
2.チタンパルス;チタン前駆体蒸気を堆積室中に導入し;そしてチタン前駆体を加熱された基板上に化学的に吸着させる;
3.Arパージ;Arを用いて未吸着チタン前駆体をパージする;
4.Oパルス;Oを堆積物に導入する;及び
5.Arパージ;Arを用いて未反応Oをパージする
からなった。
【0111】
この実施例では、TiO膜を得たが、得られたTiO膜は堆積温度依存性を示す。典型的なALD条件は以下の通りである:溶液の注入速度が75mg/分であり、Ti前駆体のパルス時間が4秒であり、Ti前駆体のパルス後のArパージ時間は8秒であり、オゾンパルスの時間は5秒であり、オゾンパルス後のArパージ時間は10秒であった。このサイクルを100回繰り返す。結果を図6に示すが、ALDのプロセスウィンドウは約300℃以下であった。
【0112】
実施例27:チタン酸ストロンチウム膜の原子層成長
この実施例では、チタン前駆体として上述の実施例で示されたチタン錯体ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(本明細書ではTi−1という)(これをバブリングによってそのまま送達する)、溶媒に溶解したストロンチウム前駆体(ビス(2,2−ジメチル−5−(1−ジメチルアミノ−2−プロピルイミノ)−3−ヘキサノネート−N,O,N’)ストロンチウム)(デドカン中で10重量%THF中で0.1M)、及び酸素源としてのオゾンを用いて、チタン酸ストロンチウムのALD又はCCVD堆積を説明する。堆積温度は約300℃であった。堆積室の圧力は約1.5Torrであった。TiO及びSrOサブサイクルの組み合わせによって、チタン酸ストロンチウム膜を形成できる。DLIによってストロンチウムを送達した。
【0113】
TiOのALD又はCCVDの1サブサイクルは、次の4つの工程:
1.キャリアガスとしてArを用いたバブリングによるチタン前駆体の導入(Ti前駆体パルス);
2.Arを用いて未吸着チタン前駆体を除去するためのArパージ(Arパージ);
3.堆積室中へのオゾンの導入(Oパルス)、及び;
4.Arを用いて未反応のオゾンを除去するためのArパージ(Arパージ)
からなった。
【0114】
SrOのALD又はCCVDの1サブサイクルは、次の4つの工程:
1.キャリアガスとしてArを用いた噴霧器によるストロンチウム前駆体の導入(Sr前駆体パルス);
2.Arを用いて未吸着ストロンチウム前駆体を除去するためのArパージ(Srパージ);
3.堆積室中へのオゾンの導入(Oパルス);及び
4.Arを用いて未反応のオゾンを除去するためのArパージ(Arパージ)
からなった。
【0115】
本実施例では、TiOの5回のサブサイクル+SrOの5回のサブサイクルを40サイクルとして繰り返して、化学量論的STO膜を形成できる。1回のTiOサブサイクルの各工程時間は、3秒(Ti前駆体パルス)、5秒(Arパージ)、5秒(Oパルス)及び5秒(Arパージ)である。SrOサブサイクルの各工程時間は、5秒(Sr前駆体パルス)、5秒(Arパージ)、5秒(Oパルス)及び5秒(Arパージ)である。図7に示したようにXPSにより得られた膜を分析したところ、化学量論的STO膜を形成できることが示された。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[30]に記載する。
[1]
下記式I:
【化12】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)
を有する第4族金属含有前駆体を含む組成物から基板の表面上に金属含有膜を蒸着によって形成する工程を含み、前記蒸着が、サイクリック化学気相成長、プラズマ化学気相成長、又は原子層成長から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、基板の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する方法。
[2]
MがTiを含む、項目1に記載の方法。
[3]
はtert‐ブチル基を含み、Rはメチル基を含み、そしてRは水素を含む、項目2に記載の方法。
[4]
R及びRが、それぞれtert‐ブチル基を含む、項目3に記載の方法。
[5]
R及びRが、それぞれエチル基を含む、項目3に記載の方法。
[6]
R及びRが、それぞれイソプロピル基を含む、項目3に記載の方法。
[7]
がイソブチル基を含み、Rがメチル基を含み、そしてRが水素を含む、項目2に記載の方法。
[8]
R及びRが、それぞれtert‐ブチル基を含む、項目7に記載の方法。
[9]
R及びRが、それぞれエチル基を含む、項目7に記載の方法。
[10]
R及びRが、それぞれイソプロピル基を含む、項目7に記載の方法。
[11]
金属含有前駆体が、60℃以下の融点を有する、項目1に記載の方法。
[12]
下記式I:
【化13】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRはそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)
を有する、少なくとも50質量%以上の少なくとも1種類の第4族金属含有前駆体;並びに
脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、亜硝酸塩、アミン、有機アミド、アルコール、イミン、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアンダジン、イソ尿素、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒
を含み、25℃の温度での組成物の粘度が50センチポアズ以下であることを特徴とする、金属含有膜を形成するための組成物。
[13]
少なくとも1種類の溶媒が、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒からなる群から選択されるエーテル;C〜C12アルカノールを含むアルコール、C〜Cアルキル部分を含むジアルキルエーテルからなる群から選択されるエーテル、C〜C環状エーテル;C12〜C60クラウンO〜O20エーテル(式中、接頭のCi範囲がエーテル化合物中の炭素原子の数iであり、接尾のOi範囲がエーテル化合物中の酸素原子の数iである);C〜C12脂肪族炭化水素を含む炭化水素;C〜C18芳香族炭化水素を含む炭化水素;式RCONR’R”{R及びR’は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり、結合して環状基(CH)n(式中、nは4〜6であり、R”は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基及び環状アルキル基から選択される)を形成できる}の有機アミドからなる群から選択される、項目12に記載の組成物。
[14]
少なくとも1種類の溶媒が、オクタン、ドデカン、トルエン、及びメシチレンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、項目13に記載の組成物。
[15]
粘度が、25℃で25cP以下である、項目12に記載の組成物。
[16]
粘度が、25℃で10cP以下である、項目15に記載の組成物。
[17]
複数の第4族金属含有前駆体を含み、前記第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが下記式I:
【化14】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びRはそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)を有する前駆体であり;そして
式Iを有する第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロポキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、ビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
[18]
ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロポキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンを含む、項目17に記載の組成物。
[19]
ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、(エトキシ)(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、及びビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンを含む、項目17に記載の組成物。
[20]
堆積室内に基板の少なくとも1つの表面を準備する工程;並びに
下記式I:
【化15】
(式中、MはTi、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)を有する少なくとも1種類の第4族金属含有前駆体から、サイクリック化学気相成長法及び原子層成長法から選択される蒸着法により、前記基材の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する工程
を含む、基板の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する方法。
[21]
前記形成工程が、堆積室中に水、O、H、オゾン、酸素プラズマ、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸素源を導入することをさらに含む、項目20に記載の方法。
[22]
前記形成工程が、堆積室中に、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert‐ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert‐ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert‐ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert−アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert−アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)バリウム、M(R5−m−n(式中、M=Sr又はBaであり、nは1〜4の整数であり、n+m=5である)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の金属含有前駆体を導入することをさらに含む、項目20に記載の方法。
[23]
前記形成工程が、堆積室中に、ビス(tert‐ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、ジ−イソ−プロピルアミノシラン(DIPAS)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(TRDMAS)、及びビス(ジエチルアミノ)シラン(BDEAS)からなる群から選択されるケイ素含有前駆体を導入することをさらに含む、項目20に記載の方法。
[24]
前記形成工程が、堆積室中に、
次式A:
【化16】
(式中、Mは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群から選択される第2族金属であり;
は、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
はC〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
はC〜Cの直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;そして
はC〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される)、並びに
次式B:
【化17】
(式中、Mは、2〜5の原子価を有する金属基であり;
は、1〜10個の炭素原子を有する、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、水素、アルキル、アルコキシ、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;
5−6は、独立してアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、アリール、及び酸素又は窒素原子のいずれかを含む複素環式基からなる群から選択され;そして
nは、金属Mの原子価と等しい整数である)
からなる群から選択される多座配位β−ケトイミネートを導入することさらに含む、項目20に記載の方法。
[25]
a.下記式I:
【化18】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは異なるアルキル基である)
を有する第4族金属含有前駆体を堆積室中に導入し、次に、加熱される基板の少なくとも一部分上へ第4族金属を化学的に吸着させる工程;
b.未反応の第4族金属含有前駆体をパージする工程;
c.水、酸素、酸素プラズマ、オゾン、及び水プラズマからなる群から選択される少なくとも1つを含む酸化剤を導入する工程;
d.次式A:
【化19】
(式中、Mは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群から選択される第2族金属であり;
は、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択され;
は、C〜C直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;そして
は、C〜C10アルキル、C〜C10フルオロアルキル、C〜C10脂環式基、及びC〜C10アリールからなる群から選択される)、及び;
次式B:
【化20】
(式中、Mは、2〜5の原子価を有する金属基であり;
は、1〜10個の炭素原子を有する、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、水素、アルキル、アルコキシ、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
は、直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;
5−6は、独立してアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、アリール、及び酸素又は窒素原子のいずれかを含む複素環式基からなる群から選択され;そして
nは、金属Mの原子価と等しい整数である)
からなる群から選択される多座配位β−ケトイミネートを導入する工程;並びに
e.未反応の多座配位β−ケトイミネートガスをパージする工程
f.水、酸素、酸素プラズマ、オゾン、及び水プラズマからなる群から選択される酸化剤を導入する工程
を含むとともに、工程a〜fを繰り返して金属含有膜を堆積させることを特徴とする、基板上に金属含有膜を形成する方法。
[26]
前記金属含有膜がチタン酸ストロンチウムを含む、項目25に記載の方法。
[27]
前記金属含有膜がチタン酸バリウムストロンチウムを含む、項目25に記載の方法。
[28]
前記基板を約200℃〜500℃の温度に加熱する、項目25に記載の方法。
[29]
式Iを有する第4族前駆体から選択される前駆体の少なくとも1つ、多座配位β−ケトイミネート、又はこれらの両方を、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、亜硝酸塩、アミン、有機アミド、アルコール、イミン、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアンダジン、イソ尿素、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に溶解させる、項目25に記載の方法。
[30]
下記式I:
【化21】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びRは、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;そしてRは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R及びRは、異なるアルキル基である)
によって表される第4族金属含有前駆体を導入する工程;並びに
少なくとも1つの酸化剤を堆積室中に導入するとともに、その際、少なくとも1つの酸化剤を第4族金属含有前駆体と反応させて、金属含有膜を基板上に堆積させる工程
を含む、基板上に金属含有膜を形成する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8