【実施例】
【0079】
次の実施例では、Hewlett Packard5890型11G.C.及びHP−5MSを有する5972型質量選択検出器によって、実施例のG.C.M.S.スペクトル測定を行なった。500MHzで稼動するBruker AMX500分光計によって、実施例のNMR分析値を得た。
1Hにおいて7.16ppmでC
6D
6から化学シフトを設定した。不活性雰囲気下で、100標準立方センチメートル(sccm)の窒素の動的流量及び10℃/min.のランプ速度でNetzsch STA449Cを用いて、示差走査熱量測定(DSC)又は熱重量分析によって、特定の化合物の融点測定値を得た。
【0080】
実施例1:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=イソプロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
テトラヒドロフラン(THF)20mL中の1.00g(3.52mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの溶液に、5mLのTHF中の1.00g(7.04mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン(dmhd)を加えて、反応混合物を得た。得られた透明溶液を16時間加熱還流した。反応混合物からの全揮発物を除去したところ、1.50gの重量である粘性褐色油が生成した。収率は95%であった。
1H−NMRは、未配位の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン(dmhd)がないことを確認し、iPrO:Tiに配位しているdmhdの好ましい比が、2個のiPrO:2個のdmhd配位子であることを示す。元素分析:Ti(Me
3CCOCHCOMe)
2(OCHMe
2)
2についての計算値:C,58.93;H,8.99.実測値:C,56.17;H,7.98.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.58(CH),5.04(CH),1.72(CH
3),1.40[(CH
3)
2],1.06[C(CH
3)
3].
【0081】
実施例2:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=tert‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)
の合成
THF20mL中の1.10g(3.23mmol)のTi(IV)t−ブトキシドの溶液に、THF5mL中の0.92g(6.47mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた黄色溶液を1時間還流した。真空下で反応混合物から全揮発物を除去した後に、1.53gの重量である粘性黄褐色油を得た。収率は99%であった。元素分析:Ti(Me
3CCOCHCOMe)
2(OCMe
3)
2についての計算値:C,60.50;H,9.31.実測値:C,59.83;H,8.78.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.57(CH,dmhd),1.73(CH
3,dmhd),1.49(OC(CH
3)
3),1.08(C(CH
3)
3,dmhd).このTi前駆体のDSC測定値(
図4では「Ti−1」として表す)によって、それが少なくとも290℃までは液相中で熱的に安定であることが示される。
【0082】
実施例3:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)ジルコニウム(R=R
1=tert‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
室温でのTHF20mL中の1.00g(2.61mmol)のZr(IV)t−ブトキシドの溶液に、THF5mL中の0.74g(5.21mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた反応混合物を1時間還流し、その後に、真空下で全揮発物を除去したところ、1.31gの重量である粘性黄色油が、96%の収率で得られた。元素分析:Zr(Me
3CCOCHCOMe)
2(OCMe
3)
2についての計算値:C,55.45;H,8.53.実測値:C,52.26;H,7.28.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.61(CH,dmhd),1.74(CH
3,dmhd),1.49(OC(CH
3)
3),1.14(C(CH
3)
3,dmhd).
【0083】
実施例4:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)ハフニウム(R=R
1=tert‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
室温でのTHF20mL中の1.00g(2.12mmol)のHf(IV)t−ブトキシドの溶液に、THF5mL中の0.60g(4.25mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた反応混合物を1時間還流し、その後に、真空下で全揮発物を蒸留したところ、1.26gの重量である透明粘性油が得られた。収率は98%であった。元素分析:Hf(Me
3CCOCHCOMe)
2(OCMe
3)
2についての計算値:C,47.48;H,7.30.実測値:C,46.22;H,6.60.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.58(CH,dmhd),1.73(CH
3,dmhd),1.51(OC(CH
3)
3),1.13(C(CH
3)
3,dmhd).
【0084】
実施例5:ビス(tert−ブトキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=tert‐ブチル;R
2=イソブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
THF20mL中の1.00g(2.94mmol)のチタン(IV)t−ブトキシドの透明溶液に、THF5mL中の0.84g(5.88mmol)の6−メチル−2,4−ヘプタンジオン(mhd)を加えて、反応混合物を得た。得られた黄色反応混合物を1時間還流し、その後に、真空下で全揮発物を蒸発させたところ、1.33gの粘性暗緑色油が得られた。収率は95%であった。元素分析:Ti(Me
2CHCH
2COCHCOMe)
2(OCMe
3)
2についての計算値:C,60.50;H,9.31.実測値:C,56.80;N,H,8.01.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.34(CH,mhd),2.27−1.92(CH
2),1.80−1.71(CH
3,mhd),1.54−1.52(OC(CH
3)
3),1.02(CH(CH
3)
2,mhd),0.88((CH
3)
2,mhd).
【0085】
実施例6:ビス(メトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=メチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
THF25mL中の1.00g(5.81mmol)のチタン(IV)メトキシドの白色懸濁液に、THF5mL中の1.65g(11.62mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加え、反応混合物を得た。得られた反応混合物(これは白色スラリーであった)を1時間還流して、透明溶液を形成した。全揮発物の除去によって、2.23gのベージュ色固体を得たところ、収率は98%であった。DSCによって、それが65℃の融点を有することが示された。元素分析:Ti(Me
3CCOCHCOMe)
2(OMe)
2についての計算値:C,55.11;N,0.00;H,8.22.実測値:C,54.50;N,0.18;H,7.54.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.59(s,1H),4.43−4.39(b,3H),1.81,1.71(two s,3H),1.22,1.04(two s,9H).
【0086】
実施例7:ビス(エトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=エチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
THF20mL中の1.00g(4.38mmol)のチタン(IV)エトキシドの透明溶液に、THF5mL中の1.25g(8.77mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えて、反応混合物を得た。反応混合物(最初は透明溶液であった)を1時間に加熱還流し、その後に、THFを真空下で蒸発させ、1.81gの桃茶色油が、収率98%で得られた。元素分析:Ti(Me
3CCOCHCOMe)
2(OEt)
2についての計算値:C,57.14;H,8.63.実測値:C,55.37;H,7.71.
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.60(s,1H),4.70(b,2H),1.85,1.73(two s,3H),1.32(b,3H),1.25,1.04(two s,9H).
【0087】
実施例8:ビス(イソプロポキシ)ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=イソプロピル;R
2=イソブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
THF20mL中の1.00g(3.52mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドの透明溶液に、THF5mL中の1.00g(7.04mmol)の6−メチル−2,4−ヘプタンジオンを加えて、反応混合物を得た。反応混合物(最初は透明であった)は、反応が進むにつれて、深黄色から琥珀色に変色した。1時間の還流後に、真空下で反応混合物から全揮発物を蒸発させたところ、1.55gの粘性暗琥珀色油が、98%の収率で得られた。
【0088】
実施例9:ビス(n−プロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=n−プロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
室温(例えば、約25℃)での50mLのヘキサン中の6.34g(22.30mmol)のチタン(IV)n−プロポキシドの透明溶液に、25mLのヘキサン中の6.34g(44.60mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを滴加した。反応混合物を16時間で還流し、その後に、真空下で全揮発物を吸引した。反応混合物から生成した油を125mTorrの真空下で160℃の真空蒸留加熱に供したところ、約9.40gの黄緑色油が得られた。収率は94%であった。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.59(s,CH),4.63(b,OCH
2CH
2CH
3),1.82,1.72(two s,CH
3),1.72(m,OCH
2CH
2CH
3),1.25,1.06(two s,C(CH
3)
3),1.02(t,OCH
2CH
2CH
3).
【0089】
実施例10:ビス(イソブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=イソブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=メチル)の合成
室温でのTHF50mL中の7.14g(20.99mmol)のTi(IV)イソブトキシドの溶液に、THF25mL中の5.97g(41.98mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを滴加した。反応混合物を16時間還流し、その後に、THFを真空下で吸引した。不透明な桃色油を単離したところ、9.94gの重量であった。200mTorrの真空下において175℃で加熱することにより、粗製油を真空蒸留に供した。約8.53gの粘性黄色油が集められた。収率は85%であった。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.59(CH),4.50[OCH
2CH(CH
3)
2],2.00[OCH
2CH(CH
3)
2],1.85−1.72(three s)(CH
3),1.26,1.07(two s)[(CH
3)
3],1.04[OCH
2CH(CH
3)
2]
【0090】
実施例11:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=tert‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=エチル)の合成
65mLのTHF中の6.75g(19.82mmol)のTi(IV)tert−ブトキシドの溶液に、THF10mL中の6.19g(39.64mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。淡黄色固体を単離したところ、9.98gの重量であった。DSCによって、それが113℃の融点を有することが示された。収率は99.8%であった。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.61−5.58(four s)(CH),2.17,2.04(two m)(CH
2CH
3),1.50[OC(CH
3)
3],1.28,1.10,1.09(three s)[(CH
3)
3],1.17,0.96(two m)(CH
2CH
3).
【0091】
実施例12:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=イソプロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=エチル)の合成
65mLのTHF中の5.97g(20.99mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの溶液に、10mLのTHF中の6.56g(41.98mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加した。反応混合物を16時間還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。粘性琥珀色油を単離したところ、9.95gの重量であった。収率は99.5%であった。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.61(CH),5.02[OCH(CH
3)
2],2.17,2.02(two m)(CH
2CH
3),1.44−1.32[OCH(CH
3)
2],1.26,1.07(two s)[(CH
3)
3],1.16(m),0.94(t)(CH
2CH
3)
【0092】
実施例13:ビス(エトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=エチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=エチル)の合成
65mLのTHF中の5.09g(20.30mmol)のTi(IV)エトキシドの溶液に、10mLのTHF中の6.97g(44.60mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加した。反応混合物を16時間還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。灰色がかった白色固体を単離したところ、9.83gの重量であった。収率は98.3%であった。DSCによって、それが46℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.62(CH),4.69(OCH
2CH
3),2.14,2.02(two b)(CH
2CH
3),1.32(OCH
2CH
3),1.24,1.06(two s)[(CH
3)
3],1.12,0.94(two b)(CH
2CH
3).
【0093】
実施例14:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=t−ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=イソプロピル)の合成
65mLのTHF中の6.39g(18.78mmol)のTi(IV)tert−ブトキシドの小麦色−黄色溶液に、10mLのTHF中の6.39g(37.55mmol)の2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間加熱還流し、その後に、真空下でTHFを吸引した。灰色がかった白色固体を単離したところ、9.75gの重量であった。収率は97.5%であった。DSCによって、196℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.63,5.61(two s)(CH),2.39,2.26(two m)[CH(CH
3)
2],1.49[OC(CH
3)
3],1.28,1.10[(CH
3)
3],1.22(d),1.06(dd),0.98(dd)[CH(CH
3)
2]
【0094】
実施例15:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=イソプロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=イソプロピル)の合成
65mLのTHF中の5.63g(19.82mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの溶液に、10mLのTHF中の6.75g(39.64mmol)の2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。黄色−ベージュ色固体を単離したところ、約10gの重量であった。収率は100%であった。DSCによって、それが138℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.65,5.64(two s)(CH),4.98[OCH(CH
3)
2],2.38,2.25(two m)[CH(CH
3)
2],1.39,1.31[OCH(CH
3)
2],1.27,1.08(two s)[(CH
3)
3],1.21,1.04,0.96(three d)[CH(CH
3)
2].
【0095】
実施例16:ビス(エトキシ)ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=エチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=イソプロピル)の合成
65mLのTHF中の4.79g(20.99mmol)のTi(IV)エトキシドの溶液に、10mLのTHF中の7.15g(41.98mmol)の2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間加熱還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。ろう状ワイン色固体を単離したところ、9.93gの重量であった。収率は99.3%であった。DSCによって、それが51℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.66(CH),4.67(OCH
2CH
3),2.38,2.24(two m)[CH(CH
3)
2],1.31(OCH
2CH
3),1.25,1.07(two s)[(CH
3)
3],1.19(d),1.03(b),0.91(b)[CH(CH
3)
2].
【0096】
実施例17:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2−アセチルシクロヘキサノネート)チタン(R=R
1=t−ブチル;R
2及びR
3は六員環を形成する;R
4=メチル)の合成
室温でのTHF50mL中の7.21g(21.17mmol)のTi(IV)tert−ブトキシドの溶液に、THF25mL中の5.93g(42.33mmol)の2−アセチルシクロヘキサノンを滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を4時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。得られたバーガンディブラウンのろう状固体を精製のために熱ヘキサンに溶解させた。溶液を−40℃に保った後に、約7.89gの淡ベージュ色固体を単離した。収率は79%であった。DSCによって、それが84℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):2.24−2.04(three m)(CH
2),1.84−1.77(three s)(CH
3),1.56[OC(CH
3)
3],1.35(CH
2).
【0097】
実施例18:ビス(イソプロポキシ)ビス(3−エチル−2,4−ペンタンジオナト)チタン(R=R
1=イソプロピル;R
2=メチル;R
3=メチル;R
4=メチル)の合成 50mLのTHF中の6.73g(23.68mmol)のTi(IV)イソプロポキシドの透明溶液に、THF25mL中の6.07g(47.35mmol)の3−エチル−2,4−ペンタンジオンを室温で滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。約9.39gの橙琥珀色油を単離した。真空蒸留による精製を試みたところ、150℃を超える温度では生成物が分解した。精製後、収率は20%であった。
【0098】
実施例19:ビス(イソブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=イソ‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル)の合成
室温でのTHF50mL中の6.07g(17.84mmol)のTi(IV)イソブトキシドの溶液に、THF25mL中の6.57g(35.67mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。9.88gの重量である白色固体を単離した。この白色固体のDSCによって、それが154℃の融点を有することが示された。
【0099】
実施例20:ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンの合成
65mLのTHF中の4.52g(19.82mmol)のTi(IV)エトキシドの薄黄色溶液に、10mLのTHF中の7.31g(39.64mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを室温で滴加した。この反応物を16時間加熱還流し、その後に、全揮発物を真空下で吸引した。10gの淡緑色固体を単離したところ、100%の収率であった。TGAによって、それが40℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.88(CH),4.64(OCH
2),1.29(OCH
2CH
3),1.25,1.07(two s)[(CH
3)
3].
【0100】
実施例21:ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、(エトキシ)(イソプロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、及びビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=エチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル;R=R
1=イソプロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル;及びR=エチル;R
1=イソプロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル)を含む組成物の合成
THF75mL中の20%チタン(IV)イソプロポキシドを含む5.00g(21.92mmol)のチタン(IV)エトキシドの透明溶液に、THF25mL中の8.08g(43.83mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを加えて、反応混合物を得た。得られた反応混合物(これは透明溶液であった)を16時間加熱還流し、その後に、全揮発物を真空下で蒸発させて、10.93gの淡黄色油を得た。この粗製材料を150mTorrの真空下において160℃での真空蒸留加熱に供した。白色がかったピンク色固体となり、その重量は7.85gであった。収率は71%であった。固体のDSCによって、33℃の融点を有することが示された。NMRによって、この固体がTi(OEt)
2(TMHD)
2(58重量%)、Ti(OEt)(OPr
i)(TMHD)
2(34重量%)及びTi(OPr
i)
2(TMHD)
2(8重量%)の混合物からなることが示された。比較すると、純粋で市販のTi(OPr
i)
2(TMHD)
2(SAFCハイテック(Hitech)社、製品コードTI−2−2を参照)の融点は>170℃である。TGAによって、この混合物が純Ti(OPr
i)
2(TMHD)
2と類似の気化特性を有することが示された。
【0101】
実施例22:ビス(n−プロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン(R=R
1=n−プロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル)の合成
室温で40mLのヘキサン中の5.34g(18.78mmol)のチタン(IV)n−プロポキシドの透明溶液に、10mLのヘキサン中の6.92g(37.55mmol)の2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを滴加して、反応混合物を得た。反応混合物を16時間還流し、その後に、揮発物を真空下で吸引した。白色固体を単離して、125mTorrの真空下において180℃で真空蒸留加熱に供した。約9.53gのろう状ピンク色固体に移行した。収率は95%であった。固体のDSCによって、それは93℃の融点を有することが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.89(s,CH),4.60(t,OCH
2CH
2CH
3),1.69(m,OCH
2CH
2CH
3),1.27,1.08(two s,C(CH
3)
3),1.01(t,OCH
2CH
2CH
3).
【0102】
実施例23:ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(R=R
1=イソプロピル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル;R=R
1=n‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル;及びR=イソプロピル;R
1=n‐ブチル;R
2=t−ブチル;R
3=H;R
4=t−ブチル)を含む組成物
室温において50mLのヘキサン中にイソプロポキシ:n−ブトキシを2:1の比で含む5.71g(18.29mmol)のチタン(IV)n−ブトキシイソプロポキシド錯体の透明溶液に、25mLのヘキサン中の5.20g(36.59mmol)の2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンを加えた。反応混合物を16時間還流し、次に全揮発物を真空下で吸引した。200mTorrの真空下において150℃で真空蒸留することによって、8.21gの黄緑色油を単離した。収率は82%であった。NMRによって、それがイソプロポキシ:n−ブトキシ基を1.4:1.2の比で含む混合物であることが示された。
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)d(ppm):5.58(s,CH),5.05(sp,OCH(CH
3)
2),4.70(b,OCH
2CH
2CH
2CH
3),1.85−1.72(three s,CH
3),1.68(m,OCH
2CH
2CH
2CH
3),1.53(m,OCH
2CH
2CH
2CH
3),1.41−1.30(m,OCH(CH
3)
2),1.26,1.06(two s,C(CH
3)
3),0.93(t,OCH
2CH
2CH
2CH
3).前駆体組成物のTGA分析によって、それが市販の前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンと類似の気化特性を有することが示された(
図8参照)。
【0103】
実施例24:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(本明細書では「Ti−1」という)、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(本明細書では「Ti−2」という)並びにTi−1又はTi−2及びオクタンを含む前駆体組成物の粘度
AR−G2レオメーター(TAインストルメンツ(TA Instruments)社、デラウェア州ニューキャッスル)を用いて、25℃における、Ti−1、Ti−2の純液体試料{100重量%(「wt.%」)}と、各種のwt.%のTi−1及びTi−2並びにオクタンを含む前駆体組成物の粘度を測定し、測定の結果を表1に示す。ペルチェ加熱デバイスを用いて、温度を所望の温度で制御した。60mm直径の平行板形態を使用した。試料投入後、せん断速度スウィープ測定前、600秒に亘って熱平衡を得た。1〜200s
−1の範囲のせん断速度で粘度を測定した。全試料がニュートン液体であった。粘度を表1に示す。驚くべきことに、有意にはTi−Aの75wt.%溶液を含む溶液の粘度は10cP未満であり、オクタン中のTi−2の85wt.%溶液の粘度は10.6cPであった。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例25:バブリングを介した酸化チタン膜の原子層成長
本明細書に記述されているチタン前駆体及び比較用チタン前駆体及び酸素源としてのオゾンを用いるTiO
2膜の原子層成長を行なって、結果を
図5に示す。基板は、1%HF溶液で洗浄し、脱イオン水で濯ぎ、そして窒素下で乾燥させたむき出しのケイ素ウエハーであった。
図5に示すように、堆積温度は約200〜450℃の範囲であった。堆積室の圧力は、1.5Torr付近であった。次のチタン前駆体:ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(
図5ではTi−1という)、ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(
図5ではTi−2という)、ビス(イソブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(
図5ではTi−3という)及び市販の固体前駆体ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(SAFCハイテック(Hitech)社、製品コードTI−2−2)(
図5ではTi−4という)を含む容器を、前駆体に応じて100〜130℃に保った。
【0106】
本実施例では、TiO
2のALD又はCCVDの1サイクルは、次の4個の工程:
1.キャリアガスとしてアルゴン(Ar)を用いたバブリングによるチタン前駆体(Ti−1〜Ti−4)の導入;
2.Arを用いて未吸着チタン前駆体を除去するためのArパージ;
3.堆積室中へのオゾンの導入;及び
4.Arを用いて未反応オゾンを除去するためのArパージ
からなった。
【0107】
この実施例では、TiO
2膜を得たが、得られたTiO
2膜は堆積温度依存性を示した。典型的なALD条件は次の通りであった。Ti前駆体のパルス時間が3秒であり、Ti前駆体のパルス導入後のArパージ時間が8秒であり、オゾンのパルス時間が5秒であり、そしてオゾンパルス導入後のArパージ時間は10秒であった。このサイクルを100回繰り返す。結果を
図5に示すが、
図5から、ALDのプロセスウィンドウは約300℃以下であった。
【0108】
実施例26:直接液体注入又はバブリングを介した酸化チタン膜の原子層成長
本実施例によって、2つの異なる方法(例えば、バブリング及び直接液体注入システム)で同一前駆体を送達するときに、ALD堆積結果が実質的に等しくなることが示される。2つの異なる蒸気送達法を用い、チタン前駆体ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンを用いるTiO
2膜の原子層成長を
図6に示す。実施例25に記述された前駆体ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンのALD堆積結果を「Ti−5」として
図6に示す。
【0109】
前駆体組成物が75重量%ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン及び25重量%オクタンを含むDLI堆積結果を「75Ti−5」として
図6に示す。75重量%のTi−5を含む小型容器の浸漬管側をDLIシステム内の注入バルブに接続し、液体を押し込むために約30psigの窒素を小型容器の他方の側に接続する。注入バルブによって140℃に設定した噴霧器中に液流コントローラー(LFC)を通して75mg/分の流量でTi溶液を押し込んだ。この注入バルブは常に開いていた。Ti溶液を噴霧器内で気化し、得られたTi含有蒸気をTiパルスの実施中に反応器チャンバに送達するか、又は他のパルスの実施中に排気ガスに送達した。堆積温度範囲は200〜400℃である。ガス流量に応じて、堆積室の圧力は1.5Torr付近の範囲である。バブリングが4つの工程であるのに対して、DLIでは、液体を注入するために追加の1工程を必要とする。
【0110】
前駆体がDLIによって送達されるALDの1サイクルは、次の5つの工程:
1.チタン前駆体組成物の導入;注入バルブを数ミリ秒間開けると、気化器内にチタン前駆体含有蒸気が与えられるであろう。
2.チタンパルス;チタン前駆体蒸気を堆積室中に導入し;そしてチタン前駆体を加熱された基板上に化学的に吸着させる;
3.Arパージ;Arを用いて未吸着チタン前駆体をパージする;
4.O
3パルス;O
3を堆積物に導入する;及び
5.Arパージ;Arを用いて未反応O
3をパージする
からなった。
【0111】
この実施例では、TiO
2膜を得たが、得られたTiO
2膜は堆積温度依存性を示す。典型的なALD条件は以下の通りである:溶液の注入速度が75mg/分であり、Ti前駆体のパルス時間が4秒であり、Ti前駆体のパルス後のArパージ時間は8秒であり、オゾンパルスの時間は5秒であり、オゾンパルス後のArパージ時間は10秒であった。このサイクルを100回繰り返す。結果を
図6に示すが、ALDのプロセスウィンドウは約300℃以下であった。
【0112】
実施例27:チタン酸ストロンチウム膜の原子層成長
この実施例では、チタン前駆体として上述の実施例で示されたチタン錯体ビス(tert−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン(本明細書ではTi−1という)(これをバブリングによってそのまま送達する)、溶媒に溶解したストロンチウム前駆体(ビス(2,2−ジメチル−5−(1−ジメチルアミノ−2−プロピルイミノ)−3−ヘキサノネート−N,O,N’)ストロンチウム)(デドカン中で10重量%THF中で0.1M)、及び酸素源としてのオゾンを用いて、チタン酸ストロンチウムのALD又はCCVD堆積を説明する。堆積温度は約300℃であった。堆積室の圧力は約1.5Torrであった。TiO
2及びSrOサブサイクルの組み合わせによって、チタン酸ストロンチウム膜を形成できる。DLIによってストロンチウムを送達した。
【0113】
TiO
2のALD又はCCVDの1サブサイクルは、次の4つの工程:
1.キャリアガスとしてArを用いたバブリングによるチタン前駆体の導入(Ti前駆体パルス);
2.Arを用いて未吸着チタン前駆体を除去するためのArパージ(Arパージ);
3.堆積室中へのオゾンの導入(O
3パルス)、及び;
4.Arを用いて未反応のオゾンを除去するためのArパージ(Arパージ)
からなった。
【0114】
SrOのALD又はCCVDの1サブサイクルは、次の4つの工程:
1.キャリアガスとしてArを用いた噴霧器によるストロンチウム前駆体の導入(Sr前駆体パルス);
2.Arを用いて未吸着ストロンチウム前駆体を除去するためのArパージ(Srパージ);
3.堆積室中へのオゾンの導入(O
3パルス);及び
4.Arを用いて未反応のオゾンを除去するためのArパージ(Arパージ)
からなった。
【0115】
本実施例では、TiO
2の5回のサブサイクル+SrOの5回のサブサイクルを40サイクルとして繰り返して、化学量論的STO膜を形成できる。1回のTiO
2サブサイクルの各工程時間は、3秒(Ti前駆体パルス)、5秒(Arパージ)、5秒(O
3パルス)及び5秒(Arパージ)である。SrOサブサイクルの各工程時間は、5秒(Sr前駆体パルス)、5秒(Arパージ)、5秒(O
3パルス)及び5秒(Arパージ)である。
図7に示したようにXPSにより得られた膜を分析したところ、化学量論的STO膜を形成できることが示された。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[30]に記載する。
[1]
下記式I:
【化12】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びR1は、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R2は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;R3は、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R4は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2及びR4は異なるアルキル基である)
を有する第4族金属含有前駆体を含む組成物から基板の表面上に金属含有膜を蒸着によって形成する工程を含み、前記蒸着が、サイクリック化学気相成長、プラズマ化学気相成長、又は原子層成長から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、基板の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する方法。
[2]
MがTiを含む、項目1に記載の方法。
[3]
R2はtert‐ブチル基を含み、R4はメチル基を含み、そしてR3は水素を含む、項目2に記載の方法。
[4]
R及びR1が、それぞれtert‐ブチル基を含む、項目3に記載の方法。
[5]
R及びR1が、それぞれエチル基を含む、項目3に記載の方法。
[6]
R及びR1が、それぞれイソプロピル基を含む、項目3に記載の方法。
[7]
R2がイソブチル基を含み、R4がメチル基を含み、そしてR3が水素を含む、項目2に記載の方法。
[8]
R及びR1が、それぞれtert‐ブチル基を含む、項目7に記載の方法。
[9]
R及びR1が、それぞれエチル基を含む、項目7に記載の方法。
[10]
R及びR1が、それぞれイソプロピル基を含む、項目7に記載の方法。
[11]
金属含有前駆体が、60℃以下の融点を有する、項目1に記載の方法。
[12]
下記式I:
【化13】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びR1はそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R2は1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;R3は水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R4は1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2及びR4は異なるアルキル基である)
を有する、少なくとも50質量%以上の少なくとも1種類の第4族金属含有前駆体;並びに
脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、亜硝酸塩、アミン、有機アミド、アルコール、イミン、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアンダジン、イソ尿素、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒
を含み、25℃の温度での組成物の粘度が50センチポアズ以下であることを特徴とする、金属含有膜を形成するための組成物。
[13]
少なくとも1種類の溶媒が、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒からなる群から選択されるエーテル;C2〜C12アルカノールを含むアルコール、C1〜C6アルキル部分を含むジアルキルエーテルからなる群から選択されるエーテル、C4〜C8環状エーテル;C12〜C60クラウンO4〜O20エーテル(式中、接頭のCi範囲がエーテル化合物中の炭素原子の数iであり、接尾のOi範囲がエーテル化合物中の酸素原子の数iである);C6〜C12脂肪族炭化水素を含む炭化水素;C6〜C18芳香族炭化水素を含む炭化水素;式RCONR’R”{R及びR’は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり、結合して環状基(CH2)n(式中、nは4〜6であり、R”は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基及び環状アルキル基から選択される)を形成できる}の有機アミドからなる群から選択される、項目12に記載の組成物。
[14]
少なくとも1種類の溶媒が、オクタン、ドデカン、トルエン、及びメシチレンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、項目13に記載の組成物。
[15]
粘度が、25℃で25cP以下である、項目12に記載の組成物。
[16]
粘度が、25℃で10cP以下である、項目15に記載の組成物。
[17]
複数の第4族金属含有前駆体を含み、前記第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが下記式I:
【化14】
(式中、MはTi、Zr及びHfから選択される金属を含み;R及びR1はそれぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R2は1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;R3は水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R4は1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2及びR4は異なるアルキル基である)を有する前駆体であり;そして
式Iを有する第4族金属含有前駆体の少なくとも1つが、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;(エトキシ)(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(t−ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン;ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロポキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、ビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
[18]
ビス(イソプロポキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、(イソプロポキシ)(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタン、及びビス(n−ブトキシ)ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオナト)チタンを含む、項目17に記載の組成物。
[19]
ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、(エトキシ)(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタン、及びビス(イソプロポキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)チタンを含む、項目17に記載の組成物。
[20]
堆積室内に基板の少なくとも1つの表面を準備する工程;並びに
下記式I:
【化15】
(式中、MはTi、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びR1は、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R2は1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;R3は水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R4は1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2及びR4は異なるアルキル基である)を有する少なくとも1種類の第4族金属含有前駆体から、サイクリック化学気相成長法及び原子層成長法から選択される蒸着法により、前記基材の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する工程
を含む、基板の少なくとも1つの表面上に金属含有膜を形成する方法。
[21]
前記形成工程が、堆積室中に水、O2、H2O2、オゾン、酸素プラズマ、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸素源を導入することをさらに含む、項目20に記載の方法。
[22]
前記形成工程が、堆積室中に、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert‐ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert‐ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert‐ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert−アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert−アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert‐ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)バリウム、M(RmC5−m−nHn)2(式中、M=Sr又はBaであり、nは1〜4の整数であり、n+m=5である)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の金属含有前駆体を導入することをさらに含む、項目20に記載の方法。
[23]
前記形成工程が、堆積室中に、ビス(tert‐ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、ジ−イソ−プロピルアミノシラン(DIPAS)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(TRDMAS)、及びビス(ジエチルアミノ)シラン(BDEAS)からなる群から選択されるケイ素含有前駆体を導入することをさらに含む、項目20に記載の方法。
[24]
前記形成工程が、堆積室中に、
次式A:
【化16】
(式中、Mは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群から選択される第2族金属であり;
R1は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシアルキル、C1〜C10アルコキシ、C1〜C10フルオロアルキル、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択され;
R2は水素、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシアルキル、C1〜C10アルコキシ、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択され;
R3はC1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシアルキル、C1〜C10アルコキシ、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択され;
R4はC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;そして
R5はC1〜C10アルキル、C1〜C10フルオロアルキル、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択される)、並びに
次式B:
【化17】
(式中、Mは、2〜5の原子価を有する金属基であり;
R1は、1〜10個の炭素原子を有する、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
R2は、水素、アルキル、アルコキシ、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
R3は、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
R4は、直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;
R5−6は、独立してアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、アリール、及び酸素又は窒素原子のいずれかを含む複素環式基からなる群から選択され;そして
nは、金属Mの原子価と等しい整数である)
からなる群から選択される多座配位β−ケトイミネートを導入することさらに含む、項目20に記載の方法。
[25]
a.下記式I:
【化18】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びR1は、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R2は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基であり;R3は、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;R4は1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2及びR4は異なるアルキル基である)
を有する第4族金属含有前駆体を堆積室中に導入し、次に、加熱される基板の少なくとも一部分上へ第4族金属を化学的に吸着させる工程;
b.未反応の第4族金属含有前駆体をパージする工程;
c.水、酸素、酸素プラズマ、オゾン、及び水プラズマからなる群から選択される少なくとも1つを含む酸化剤を導入する工程;
d.次式A:
【化19】
(式中、Mは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群から選択される第2族金属であり;
R1は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシアルキル、C1〜C10アルコキシ、C1〜C10フルオロアルキル、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択され;
R2は、水素、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシアルキル、C1〜C10アルコキシ、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択され;
R3は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシアルキル、C1〜C10アルコキシ、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択され;
R4は、C1〜C6直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;そして
R5は、C1〜C10アルキル、C1〜C10フルオロアルキル、C3〜C10脂環式基、及びC6〜C10アリールからなる群から選択される)、及び;
次式B:
【化20】
(式中、Mは、2〜5の原子価を有する金属基であり;
R1は、1〜10個の炭素原子を有する、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
R2は、水素、アルキル、アルコキシ、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
R3は、アルキル、フルオロアルキル、脂環式基、及びアリールからなる群から選択され;
R4は、直鎖又は分岐鎖アルキル架橋基であり;
R5−6は、独立してアルキル、フルオロアルキル、脂環式基、アリール、及び酸素又は窒素原子のいずれかを含む複素環式基からなる群から選択され;そして
nは、金属Mの原子価と等しい整数である)
からなる群から選択される多座配位β−ケトイミネートを導入する工程;並びに
e.未反応の多座配位β−ケトイミネートガスをパージする工程
f.水、酸素、酸素プラズマ、オゾン、及び水プラズマからなる群から選択される酸化剤を導入する工程
を含むとともに、工程a〜fを繰り返して金属含有膜を堆積させることを特徴とする、基板上に金属含有膜を形成する方法。
[26]
前記金属含有膜がチタン酸ストロンチウムを含む、項目25に記載の方法。
[27]
前記金属含有膜がチタン酸バリウムストロンチウムを含む、項目25に記載の方法。
[28]
前記基板を約200℃〜500℃の温度に加熱する、項目25に記載の方法。
[29]
式Iを有する第4族前駆体から選択される前駆体の少なくとも1つ、多座配位β−ケトイミネート、又はこれらの両方を、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、亜硝酸塩、アミン、有機アミド、アルコール、イミン、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアンダジン、イソ尿素、1〜6個の酸素原子を有するグリム溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に溶解させる、項目25に記載の方法。
[30]
下記式I:
【化21】
(式中、Mは、Ti、Zr、及びHfから選択される金属を含み;R及びR1は、それぞれ独立して1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;R2は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;R3は、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;そしてR4は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2及びR4は、異なるアルキル基である)
によって表される第4族金属含有前駆体を導入する工程;並びに
少なくとも1つの酸化剤を堆積室中に導入するとともに、その際、少なくとも1つの酸化剤を第4族金属含有前駆体と反応させて、金属含有膜を基板上に堆積させる工程
を含む、基板上に金属含有膜を形成する方法。