(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記p型ドーパントが、前記第1GaN層の積層方向への前記p型ドーパントのドーピング量を示すドーピングプロファイルに基づいてドーピングされるものである、請求項5に記載の半導体素子。
前記ドーピングプロファイルが、前記AlGaN層に近くなるほど前記p型ドーパントのドーピング量が特定の勾配で減少する形態のドーピングプロファイルである、請求項8に記載の半導体素子。
前記第1GaN層、前記AlGaN層及び前記第2GaN層が、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スパッタリング及び原子層堆積法(ALD)の少なくとも1つにより形成される、請求項14に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的なHFET素子においては、ゲート動作を用いたショットキー特性の品質が素子のスイッチング特性に大きな影響を与えることがある。
よって、HFETの漏れ電流を低減して降伏電圧を最大化する技術が必要である。
【0008】
本発明は、順次積層された第1GaN層、AlGaN層、第2GaN層、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を備える半導体素子において、前記第1GaN層が複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含むことにより、低減された漏れ電流特性を示す、半導体素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による半導体素子は、第1GaN層と、前記第1GaN層上に形成されるAlGaN層と、前記AlGaN層上に形成される第2GaN層と、前記第2GaN層の一部領域上に形成されるソース電極、ドレイン電極及びゲート電極とを含み、前記第1GaN層は、複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含む。
【0010】
本発明の一態様において、前記第1GaN層の厚さは、0.1μm〜10μmであってもよい。
本発明の一態様において、前記Fe
xN
y層の厚さは、1nm〜20nmであってもよい。
本発明の一態様において、前記Fe
xN
y層は、複数であってもよい。
【0011】
本発明の一態様において、前記複数のGaN層は、前記複数のFe
xN
y層のそれぞれを介して互いに離隔するように積層されたものであってもよい。
【0012】
本発明の一態様において、前記Fe
xN
y層の数は、2〜20であってもよい。
本発明の一態様において、前記複数のGaN層は、p型ドーパントがドーピングされたものであってもよい。
本発明の一態様において、前記p型ドーパントは、C、Mg及びFeの少なくとも1つであってもよい。
【0013】
本発明の一態様において、前記p型ドーパントのドーピング量(又はドーピング濃度)は、10
17/cm
3〜10
19/cm
3であってもよい。
【0014】
本発明の一態様において、前記p型ドーパントは、前記第1GaN層の積層方向への前記p型ドーパントのドーピング量を示すドーピングプロファイルに基づいてドーピングされるものであってもよい。
【0015】
本発明の一態様において、前記ドーピングプロファイルは、前記AlGaN層に近くなるほど前記p型ドーパントのドーピング量が特定の勾配で減少する形態のドーピングプロファイルであってもよい。
【0016】
本発明の一態様において、前記p型ドーパントのドーピング量は、前記AlGaN層の下部から特定の深さまで最小のドーピング量以下であってもよい。
【0017】
本発明の一態様において、前記特定の深さは、2nm〜50nmであってもよい。
本発明の一態様において、前記最小のドーピング量は、10
17/cm
3であってもよい。
本発明の一態様において、前記Fe
xN
y層は、複数のFe
xN
y結晶体が前記第1GaN層の積層方向と垂直に離隔して配置される島状に形成されたものであってもよい。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明による半導体素子の製造方法は、基板上に第1GaN層を形成する段階と、前記第1GaN層上にAlGaN層を形成する段階と、前記AlGaN層上に第2GaN層を形成する段階と、前記第2GaN層の一部領域上にソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する段階とを含み、前記第1GaN層は、Fe
xN
y層を介して互いに離隔するように積層された複数のGaN層を含んでもよい。
【0019】
本発明の一態様において、前記第1GaN層、前記AlGaN層及び前記第2GaN層は、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ化学気相成長法(PECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition))、スパッタリング及び原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition))の少なくとも1つにより形成されてもよい。
本発明の一態様において、前記Fe
xN
y層は、Feソース及びSi
3H
4ガスにより形成されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本明細書に開示された一実施形態によれば、順次積層された第1GaN層、AlGaN層、第2GaN層、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を備える半導体素子において、前記第1GaN層が複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層(Fe
xN
yインターレイヤー)を含むことにより、低減された漏れ電流特性を示す、半導体素子及びその製造方法を提供する。
【0021】
特に、本明細書に開示された半導体素子によれば、窒化物薄膜(例えば、前記第1GaN層)の成長中にFe
xN
y層を挿入することにより、窒化物の結晶欠陥を減らし、p型ドーパントのFeを用いてインターレイヤーだけでなく上下のGaN層のトラップ形成にも影響を与えることにより、漏れ電流を低減して降伏電圧の減少を最小限に抑えることができるという利点がある。また、成長条件により反り(bow)を減少させることができ、様々な利点を有するレイヤーとして使用することができ、高出力のHFET素子を製造することができるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、HFET素子及びその製造方法に適用することができる。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、当該技術思想を適用できる全ての窒化物半導体素子及びその製造方法に適用することができる。
【0024】
特に、窒化物薄膜の成長中にFe
xN
y層(Fe
xN
yインターレイヤー)を挿入することにより、窒化物の結晶欠陥を減らし、p型ドーパントのFeを用いてインターレイヤーだけでなく上下のGaN層のトラップ形成にも影響を与えることにより、漏れ電流を低減するという利点を有する、半導体素子及びその製造方法に適用することができる。
【0025】
本明細書で使用される技術用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されるものであり、本発明を限定するものではない。また、本明細書で使用される技術用語は、本明細書において特に断らない限り、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般的に理解される意味で解釈されるべきであり、非常に包括的な意味で解釈され、又は、非常に狭い意味で解釈されるべきではない。さらに、本明細書で使用される技術用語が本発明の思想を正確に表現できない間違った技術用語である場合は、当業者が正しく理解できる技術用語で代替して理解すべきである。さらに、本明細書で使用される一般的な用語は、辞書の定義に従って、又は前後の文脈によって解釈されるべきであり、非常に狭い意味で解釈されるべきではない。
【0026】
そして、本明細書で使用される単数の表現は、特に断らない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「構成される」や「含む」などの用語は、明細書に記載された様々な構成要素又は段階の全てを必ず含むものと解釈されるべきではなく、そのうち一部の構成要素又は段階を含まないこともあり、追加の構成要素又は段階をさらに含むこともあるものと解釈されるべきである。
【0027】
さらに、本明細書で使用される第1、第2などのように序数を含む用語は様々な構成要素を説明するために使用されるが、前記構成要素は前記用語により限定されるものではない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲から外れない限り、第1構成要素は第2構成要素と命名してもよく、同様に、第2構成要素は第1構成要素と命名してもよい。
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するが、図面番号に関係なく同一又は類似の構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0029】
また、本発明を説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。なお、添付図面は本発明の思想を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本発明の思想が制限されるように解釈されるべきではない。
【0030】
具体的には、本発明は、窒化物半導体素子及びその製造方法に関し、ヘテロ接合構造の窒化物半導体電力素子においてエピタキシャル薄膜に起因する漏れ電流を低減する方法に関する。
【0031】
まず、GaN薄膜の漏れ電流を低減するためには、結晶欠陥を最小限に抑える方法があり、GaNの半絶縁特性を強化するためには、p型ドーパントを添加する方法がある。
また、結晶欠陥を最小限に抑えるためには、成長条件を最適化する方法があり、GaNの成長中にインターレイヤーを挿入する方法がある。
【0032】
MOCVD薄膜成長装置内でインターレイヤーを形成できる物質としては、Si
xN
y、AlN、Mg
xN
yなどがある。
【0033】
ここで、GaNの半絶縁特性を強化するためにp型ドーパントを用いてもよいが、p型ドーパントとしては、例えばC、Mg、Feソースなどがある。
【0034】
GaNを成長させる際にインターレイヤーを用いる理由は2つある。第1に、Si基板上にGaNを成長させる際には、2つの物質間の格子定数の差と熱膨張係数の差によりクラックや反りが発生することがあるが、インターレイヤーを挿入することでクラックや反りを低減することができる。クラックや反りの発生はGaNの厚さが厚くなるほど大きくなる傾向があるため、インターレイヤーの役割は非常に重要であるといえる。第2に、インターレイヤーを島状に成長させ、その上にGaNを成長させる際に水平成長となるようにすることにより、垂直成長に起因する電位欠陥を除去することができる。従って、電位欠陥を減らし、高品質のGaNを成長させることにより、漏れ電流を低減することができるという利点を有する。
【0035】
また、GaNを厚く成長させた場合のストレスを緩和することにより、クラックや反りを最小限に抑えることができるという利点を有する。
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0037】
本明細書に開示された一実施形態による半導体素子
本明細書に開示された一実施形態による半導体素子は、第1GaN層と、前記第1GaN層上に形成されるAlGaN層と、前記AlGaN層上に形成される第2GaN層と、前記第2GaN層の一部領域上に形成されるソース電極、ドレイン電極及びゲート電極とを含み、前記第1GaN層は、複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含んでもよい。
【0038】
図1は本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の構造の一例を示す図である。
【0039】
図1に示すように、本明細書に開示された一実施形態による半導体素子100は、第1GaN層110と、第1GaN層110上に形成されるAlGaN層120と、AlGaN層120上に形成される第2GaN層130と、第2GaN層130の一部領域上に形成されるゲート電極140、ソース電極150及びドレイン電極160とを含んでもよい。
【0040】
さらに、本明細書に開示された一実施形態による半導体素子100は、表面漏れ電流の発生を防ぐための酸化膜層170を含んでもよい。
【0041】
本明細書に開示された一実施形態による半導体素子100は、ドレイン電極160からソース電極150に流れる2DEG電流をショットキーゲート電極140によりスイッチングすることができる。
ここで、第1GaN層110は、基板(図示せず)上に形成されてもよい。
【0042】
一実施形態によれば、前記基板は、n型でもp型でもよく、様々な種類の物質で構成することができる。例えば、前記基板は、絶縁性基板、サファイア基板、GaN基板、SiC基板及びSi基板の少なくとも1つであってもよい。その他、様々な種類の基板を本明細書に開示された半導体素子に適用できることは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0043】
また、前記基板は、半導体素子100を製造した後に除去してもよい。つまり、最終の半導体素子100の構造は前記基板のない構造であってもよい。
第1GaN層110は、GaNからなり、0.1μm〜10μmの厚さを有するようにしてもよい。
【0044】
第1GaN層110は、様々な方法(又は方式)で形成することができる。例えば、第1GaN層110は、窒化物半導体結晶を選択的に成長させる方法により形成してもよいが、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)及びハイドライド気相成長法(HVPE)の少なくとも1つにより形成することができる。ただし、第1GaN層110の結晶性を考慮してデバイス製作にMOCVD法を用いるのが一般的である。
【0045】
第1GaN層110は、複数のGaN層111及び複数のGaN層111間に形成されるFe
xN
y層(Fe
xN
yインターレイヤー)112を含んでもよい。例えば、第1GaN層110は、2つのGaN層111間に形成される1つのFe
xN
y層112を含んでもよい。
【0046】
Fe
xN
y層112は、Si基板上にGaNを成長させた場合に2つの物質間の格子定数の差と熱膨張係数の差によるクラックや反りが発生することを抑制する役割を果たす。
【0047】
従って、Fe
xN
y層112は、GaNの結晶性を向上させると共に、p型ドーパントのFeの半絶縁の役割を果たすことにより、漏れ電流(又はリーク電流)を最小限に抑えることができるという利点を有する。
【0048】
一実施形態によれば、Fe
xN
y層112は、複数であってもよい。例えば、Fe
xN
y層112の数は、2〜20であってもよい。
【0049】
具体的には、複数のGaN層111は、複数のFe
xN
y層112のそれぞれを介して互いに離隔するように積層されたものであってもよい。
【0050】
例えば、Fe
xN
y層112は、
図1に示すように3つであってもよい。この場合、GaN層111は、4つであり、第1GaN層110は、4つのGaN層111間に3つのFe
xN
y層112がそれぞれ挿入された構造を有するようにしてもよい。
【0051】
半導体素子100の製造面では、第1GaN層110は、GaN層111とFe
xN
y層112とを繰り返し成長(交互に成長)させた構造を有するようにしてもよい。
【0052】
一実施形態によれば、Fe
xN
y層112層の厚さは、1nm〜20nmであってもよい。
【0053】
一実施形態によれば、半導体素子100は、第1GaN層110上にC、Fe及びMgドーパントの少なくとも1つのドーパントを注入して形成された高抵抗GaN層(図示せず)をさらに含んでもよい。ここで、前記少なくとも1つのドーパントの濃度は、10
17/cm
3〜10
19/cm
3であってもよい。
【0054】
AlGaN層120は、第1GaN層110上に形成され、活性層の役割を果たす。
【0055】
一実施形態によれば、AlGaN層120の厚さは、2nm〜100nmにしてもよく、15nm〜30nmにすることが好ましい。
【0056】
AlGaN層120は、様々な物質、様々な組成からなるようにすることができる。例えば、AlGaN層120は、Al
xGa
1-xNからなるものであってもよい。その他、様々な物質又は組成でAlGaN層120を構成できることは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0057】
第2GaN層130は、AlGaN層120上に形成され、GaNを薄く成長させて形成してもよい。
【0058】
一実施形態によれば、第2GaN層130の厚さは、0nm〜100nmにしてもよく、2nm〜10nmにすることが好ましい。第2GaN層130は、表面漏れ電流の発生を防ぐ役割を果たす。
【0059】
ゲート電極140、ソース電極150及びドレイン電極160は、第2GaN層130の一部領域上に形成され、前述したように、ショットキーゲート電極140の制御によりドレイン電極160からソース電極150に流れる2DEG(2次元電子ガス)電流が発生する。
【0060】
さらに、一実施形態によれば、半導体素子100は、第2GaN層130上に形成される酸化膜層170を含んでもよい。酸化膜層170は、表面漏れ電流を低減する役割を果たす。
【0061】
ここで、酸化膜層170は、ソース電極150又はドレイン電極160とゲート電極140との間に形成されてもよい。
【0062】
酸化膜層170は、様々な物質又は組成で構成することができる。例えば、酸化膜層170は、SiO
2、Si
xN
y(例えば、Si
3N
4)、HfO
2、Al
2O
3、ZnO及びGa
2O
3の少なくとも1つの物質からなるようにしてもよい。
【0063】
一実施形態によれば、酸化膜層170の厚さは、2nm〜200nmにしてもよく、2nm〜100nmにすることが好ましい。
【0064】
また、酸化膜層170は、様々な方法で形成することができる。例えば、酸化膜層170は、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スパッタリング及び原子層堆積法(ALD)の少なくとも1つにより形成されてもよい。
【0065】
第1実施形態:p型ドーパントがドーピングされた第1GaN層
本明細書に開示された第1実施形態は、前述した実施形態が含む構成又は段階の一部もしくは組み合わせで実現し、又は、実施形態の組み合わせで実現することができる。以下、本明細書に開示された第1実施形態をより明確にするために、重複する説明は省略する。
本明細書に開示された第1実施形態による半導体素子は、第1GaN層と、前記第1GaN層上に形成されるAlGaN層と、前記AlGaN層上に形成される第2GaN層と、前記第2GaN層の一部領域上に形成されるソース電極、ドレイン電極及びゲート電極とを含み、前記第1GaN層は、複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含んでもよい。
【0066】
第1実施形態によれば、前記複数のGaN層(又は前記第1GaN層)は、p型ドーパントがドーピングされたものであってもよい。前記p型ドーパントは、前記複数のGaN層の半絶縁特性を強化するためにドーピングされるものであってもよい。
【0067】
すなわち、前記第1GaN層は、前記第1GaN層からの漏れ電流の発生を防ぐために、p型ドーパントがドーピングされた高抵抗GaN層を含んでもよい。
【0068】
ここで、前記p型ドーパントは、C、Mg及びFeの少なくとも1つであってもよい。
第1実施形態によれば、前記p型ドーパントのドーピング量(又はドーピング濃度)は、10
17/cm
3〜10
19/cm
3であってもよい。
【0069】
また、第1実施形態によれば、前記p型ドーパントは、前記第1GaN層の積層方向への前記p型ドーパントのドーピング量を示すドーピングプロファイルに基づいてドーピングされるものであってもよい。
【0070】
ここで、前記ドーピングプロファイルは、前記AlGaN層に近くなるほど前記p型ドーパントのドーピング量が特定の勾配で減少する形態のドーピングプロファイルであってもよい。
【0071】
また、第1実施形態によれば、前記p型ドーパントのドーピング量は、前記AlGaN層の下部から特定の深さまで最小のドーピング量以下であってもよい。
【0072】
前記特定の深さは、2nm〜50nmであってもよい。また、前記最小のドーピング量は、10
17/cm
3であってもよい。
【0073】
第1実施形態によれば、前記p型ドーパントは、前記複数のGaN層の少なくとも1つのGaN層にドーピングされるようにしてもよい。また、前記p型ドーパントは、前記複数のGaN層にわたってドーピングされるようにしてもよい。前記p型ドーパントが特定のドーピングプロファイルに基づいてドーピングされる場合、前記特定のドーピングプロファイルは、前記Fe
xN
y層により不連続グラフの形態を有するようにしてもよい。
【0074】
以下、
図2を参照して、ドーピングプロファイルに基づいてp型ドーパントがドーピングされた半導体素子について説明する。
【0075】
図2は本明細書に開示された第1実施形態によるp型ドーパントのドーピングプロファイルの一例を示す図である。
【0076】
前述したように、本明細書に開示された第1実施形態による半導体素子は、複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含む第1GaN層を含んでもよい。
【0077】
前記第1GaN層は、p型ドーパントがドーピングされてもよく、その場合、前記第1GaN層に起因して下方に発生する漏れ電流を低減することができる。
【0078】
前記p型ドーパントは、C、Mg及びFeの少なくとも1つであってもよい。
図2は前記p型ドーパントがFeの場合を示す。
【0079】
第1実施形態によれば、前記p型ドーパントは、前記第1GaN層の積層方向(前記半導体素子の垂直方向(又は下方向))への前記p型ドーパントのドーピング量を示すドーピングプロファイルに基づいてドーピングされるものであってもよい。
【0080】
図2を参照すると、第1実施形態による半導体素子は、前記第1GaN層中で前記p型ドーパントであるFeのドーピング量が特定の勾配で減少する形態のドーピングプロファイルを有する。
【0081】
この場合、前記第1GaN層中での前記Feのドーピング量は、10
17/cm
3〜10
19/cm
3であってもよい。
【0082】
例えば、
図2に示すドーピングプロファイルのように、前記第1GaN層中での前記Feのドーピング量は、前記第1GaN層の積層方向に特定の距離まで10
19/cm
3を維持し、特定の距離から特定の勾配で減少して10
17/cm
3となるようにしてもよい。
また、第1実施形態によれば、前記p型ドーパントのドーピング量は、前記AlGaN層の下部から特定の深さまで最小のドーピング量以下となるようにしてもよい。
【0083】
ここで、前記特定の深さは、2nm〜50nmであってもよい。また、前記最小のドーピング量は、10
17/cm
3であってもよい。
【0084】
例えば、
図2に示すように、前記Feのドーピング量は、前記AlGaN層の下部から50nmまで、前記最小のドーピング量である10
17/cm
3である。
【0085】
このように、前記p型ドーパント(例えば、Fe)のドーピング量を、前記AlGaN層に近くなるほど減少させ、最小のドーピング量以下となるようにするのは、p型ドーパントのドーピングによる影響が2DEGチャネルに及ばないようにするためである。
【0086】
第1実施形態の変形例によれば、前記第1GaN層を基板上に形成する場合、前記基板上に一種のバッファ層(図示せず)を形成してもよい。前記バッファ層は、前記第1GaN層のエピタキシャル成長のためのものであって、結晶性を付与する役割(又は一種のシード層の役割)を果たす。この場合、前記p型ドーパントは、前記バッファ層からドーピングしてもよい。前記バッファ層は、様々な物質で構成することができる。例えば、前記バッファ層はSi
3N
4からなる。
【0087】
第2実施形態:島状のFexNy層
本明細書に開示された第2実施形態は、前述した実施形態が含む構成又は段階の一部もしくは組み合わせで実現し、又は、実施形態の組み合わせで実現することができる。以下、本明細書に開示された第2実施形態をより明確にするために、重複する説明は省略する。
本明細書に開示された第2実施形態による半導体素子は、第1GaN層と、前記第1GaN層上に形成されるAlGaN層と、前記AlGaN層上に形成される第2GaN層と、前記第2GaN層の一部領域上に形成されるソース電極、ドレイン電極及びゲート電極とを含み、前記第1GaN層は、複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含んでもよい。
【0088】
第2実施形態によれば、前記Fe
xN
y層は、複数のFe
xN
y結晶体が前記第1GaN層の積層方向と垂直に離隔して配置される島状に形成されたものであってもよい。
【0089】
図3は本明細書に開示された第2実施形態による半導体素子の一例を示す図である。
図3に示すように、本明細書に開示された第2実施形態による半導体素子は、島状のFe
xN
y層112a、112bを備えてもよい。
【0090】
島状という用語は、当該技術分野において一般的に知られている意味で使用される。例えば、島状とは、
図3に示すように、複数のFe
xN
y結晶体が前記第1GaN層の積層方向と垂直に離隔して配置された形態を意味する。
【0091】
島状に成長したFe
xN
y層112a、112bは、その上にGaNが成長する際に水平成長となるようにすることにより、垂直成長に起因する電位欠陥を除去する役割を果たす。
【0092】
本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法
本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法は、基板上に第1GaN層を形成する段階と、前記第1GaN層上にAlGaN層を形成する段階と、前記AlGaN層上に第2GaN層を形成する段階と、前記第2GaN層の一部領域上にソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する段階とを含み、前記第1GaN層は、Fe
xN
y層を介して互いに離隔するように積層された複数のGaN層を含んでもよい。
【0093】
ここで、前記第1GaN層、前記AlGaN層及び前記第2GaN層は、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スパッタリング及び原子層堆積法(ALD)の少なくとも1つにより形成されてもよい。
【0094】
一実施形態によれば、前記Fe
xN
y層は、Feソース及びSi
3H
4ガスにより形成されてもよい。
【0095】
図4は本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法は、次のような段階からなるようにしてもよい。
【0096】
まず、基板上に、Fe
xN
y層を介して互いに離隔するように積層された複数のGaN層を含む第1GaN層を形成する(S110)。
【0097】
次に、前記第1GaN層上にAlGaN層を形成する(S120)。
次に、前記AlGaN層上に第2GaN層を形成する(S130)。
次に、前記第2GaN層の一部領域上にソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する(S140)。
【0098】
図5A〜
図5Gは本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を示す図である。
【0099】
図5A〜
図5Gを参照すると、本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法においては、第1GaN層、AlGaN層及び第2GaN層を順次積層し、前記第2GaN層の一部領域上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を形成し、前記第1GaN層が複数のGaN層及び前記複数のGaN層間に形成されるFe
xN
y層を含むようにすることにより、低減された漏れ電流特性を示す。このために、前記GaN層と前記Fe
xN
y層とを繰り返し成長(交互に成長)させてもよい。
【0100】
以下、
図5A〜
図5Gを参照して、本明細書に開示された一実施形態による半導体素子の製造方法の詳細を具体的に説明する。
【0101】
まず、MOCVD薄膜成長装置により、基板(図示せず)上に第1サブGaN層111a(GaN薄膜)を成長(形成)させる(
図5A)。
【0102】
前記基板は、n型でもp型でもよく、前記基板の種類には、Si、SiC、サファイア、GaN基板などがある。
【0103】
第1サブGaN層111aを構成するGaNは、有機金属気相成長法(MOCVD)で製造するのが一般的である。
【0104】
この場合、リアクタ内でGaの原料であるTMGaとNの原料であるNH
3を高温で合成し、第1サブGaN層111aをエピタキシャル成長させてもよい。
【0105】
次に、第1サブGaN層111a上にFe
xN
y層112を形成する(
図5B)。Fe
xN
y層112の成長のためには、Feソース及びSi
3H
4ガスを使用し、Fe
xN
y層112の厚さは、1nm〜20nmにしてもよく、2nm〜15nmにすることが好ましい。
【0106】
次に、Fe
xN
y層112上に第2サブGaN層111bを成長させる(
図5C)。第2サブGaN層111bを構成するGaNは、第1サブGaN層111aと同様に、有機金属気相成長法(MOCVD)で製造するのが一般的である。
【0107】
第1サブGaN層111a及び第2サブGaN層111bは、前述した複数のGaN層111を意味する。つまり、第1サブGaN層111a、Fe
xN
y層112及び第2サブGaN層111bは前述した第1GaN層(n型GaN)110(
図1参照)を形成する。
【0108】
一実施形態によれば、第1GaN層110の厚さは、0.1μm〜10μmであってもよい。
【0109】
前述したように、第1GaN層110には、C、Fe及びMgドーパントの少なくとも1つのドーパントを用いて、漏れ電流の発生を防ぐための高抵抗GaN層(又は高抵抗GaN)を成長させてもよい。
【0110】
この場合、前記ドーパントのドーピング量は、10
17/cm
3〜10
19/cm
3にしてもよく、10
17/cm
3〜10
18/cm
3にすることが好ましい。
このようにして第1GaN層110を成長させた後、活性層であるAlGaN層120を成長させる(
図5D)。
【0111】
一実施形態によれば、AlGaN層120の厚さは、2nm〜100nmにしてもよく、15nm〜30nmにすることが好ましい。
【0112】
次に、AlGaN層120を成長させた後、表面漏れ電流の発生を防ぐために、第2GaN層(GaNキャップ層)130を成長させる(
図5E)。
【0113】
一実施形態によれば、第2GaN層130は、0nm〜100nmにしてもよく、2nm〜10nmにすることが好ましい。
【0114】
次に、第2GaN層130の一部領域上にゲート電極140、ソース電極150及びドレイン電極160を形成する(
図5F)。
【0115】
次に、第2GaN層130上に酸化膜層170を形成する(
図5G)。
酸化膜層170は、表面漏れ電流を低減する役割を果たす。
【0116】
ここで、酸化膜層170は、ソース電極150又はドレイン電極160とゲート電極140との間に形成されてもよい。
【0117】
酸化膜層170は、様々な物質又は組成で構成することができる。例えば、酸化膜層170は、SiO
2、Si
xN
y(例えば、Si
3N
4)、HfO
2、Al
2O
3、ZnO及びGa
2O
3の少なくとも1つの物質からなるようにしてもよい。
【0118】
一実施形態によれば、酸化膜層170の厚さは、2nm〜200nmにしてもよく、2nm〜100nmにすることが好ましい。
【0119】
また、酸化膜層170は、様々な方法で形成することができる。例えば、酸化膜層170は、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スパッタリング及び原子層堆積法(ALD)の少なくとも1つにより形成されてもよい。
【0120】
以上のように、本発明は、窒化物半導体HFET素子の製造方法に関する。具体的には、チャネル(又はDEGチャネル)下部のGaN層の結晶性を向上させ、反りを低減するために、Si
xN
y又はAlN層(インターレイヤー)を用いる。
【0121】
特に、本発明によれば、Fe
xN
y層を用いて、GaNの結晶性を向上させると共に、p型ドーパントのFeの半絶縁の役割を果たすようにすることにより、リークを最小限に抑える窒化物半導体HFET素子を製造することができる。
【0122】
Fe
xN
yは、MOCVD薄膜成長装置を用いて成長させ、GaN薄膜を成長させる際には成長を途中で止め、有機金属ソース(例えば、Feソース)とSi
3H
4ガスを同時に反応チャンバに注入して薄い層のFe
xN
yを形成する。その後、再びGaN層とFe
xN
y層とを繰り返し成長させる。
【0123】
ここで、GaN層とFe
xN
y層とは、クラックや反りが大きくならない範囲内で繰り返し成長させる。Fe
xN
y層は、島状又は単一層に成長させ、その上に成長するGaN層の水平成長を誘導して結晶欠陥を減らし、Fe
xN
yの成長条件に応じた薄膜全体の反りの制御も可能であり、GaN層に存在するリークをより低減することができるなど、多方面の利点を有する。
【0124】
つまり、本明細書に開示された半導体素子によれば、漏れ電流を低減して降伏電圧の減少を最小限に抑えるために、窒化物薄膜(例えば、前記第1GaN層)の成長中にFe
xN
y層を挿入することにより、窒化物の結晶欠陥を減らし、p型ドーパントのFeを用いてインターレイヤーだけでなく上下のGaN層のトラップ形成にも影響を与えることにより、漏れ電流を低減するという利点がある。また、成長条件により反りを減少させることができ、様々な利点を有するレイヤーとして使用することができ、高出力のHFET素子を製造することができるという利点がある。
【0125】
本発明の範囲は本明細書に開示された実施形態に限定されるものではなく、本発明は本発明の思想及び特許請求の範囲に記載された範疇内において様々な形態に修正、変更又は改善することができる。